説明

補強板搭載RF−IDタグリライトカード

【課題】高い物理的な信頼性を誇るRF−IDタグ搭載感熱リライトカードを供給する。
【解決手段】カード表面用基材の裏面に、熱溶融型接着性樹脂を塗布後、成形版胴版を利用してRF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部を形成後、補強板を挿入後、連続状に形成したRF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部が、補強板が挿入済みのRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入させながら低圧加熱ロールで接着後、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面に熱溶融型接着性樹脂を塗布後、感熱リライト層形成済み基材の裏面と低圧加熱ロールで接着後、カード形状に仕上げ抜きして高い物理的な信頼性を誇る補強板搭載RF−IDタグリライトカード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱リライト印字装置搭載RF−IDタグ用リーダーライター等での全面印字が可能な高い物理的な信頼性を誇る補強板搭載RF−IDタグリライトカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RF−ID(無線周波数識別:Radio Frequency−IDentification)システムは、電磁波を利用して、人等の所在管理及び物品等の物流・流通管理における自動認識が可能になるシステムであり、すでに物流分野及び流通分野等の一部で実用化が開始されている。
このような状況下、電磁波を利用したRF−IDタグシステムでは、色々な問題点が指摘されている。
RF−IDタグカードでは、RF−IDタグ用ICチップ実装部の厚さが、他の部分の厚さより厚くなることにより、RF−IDタグカードに発行工程等で全面印字を施すことが可能なプリンターの印字方式が限定されることである。
このため、特許文献1では、インクジェットプリンターを利用したRF−IDタグカード印字システムを紹介している。
インクジェットプリンターシステムでは、インクジェットプリンターヘッドがRF−IDタグカードとは、密着せずに印字可能なため、RF−IDタグ用ICチップ実装部の厚さが、他の部分の厚さより厚くても良好な印字結果が得られるものである。
【特許文献1】特開2005−186578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、RF−IDタグは、非接触ICカードに比して安価である。このため、流通業界では、RF−IDタグシステムをポイントカードシステムに導入することも検討されている。
インキジェットプリンターシステムでは、RF−IDタグポイントカードの印字領域にポイント残高等を全て印字すれば、顧客に新たなRF−IDタグ実装ポイントカードを支給する必要が生じる。
このため、RF−IDタグポイントカードでも感熱リライト印字対応を要求される。
しかし、RF−IDタグカードのRF−IDタグ用ICチップ実装部の厚さが、他の部分の厚さより厚くなっていると、この部分にしか感熱リライト印字装置の感熱ヘッドが接触しないために感熱リライト印字装置での印字不良の原因となっていた。
このため、本発明では、RF−IDタグカードでのRF−IDタグ用ICチップ実装部による厚みの不均衡を解消し、感熱リライト印字装置での全面印字適正があるRF−IDタグカードを提供することを課題とする。
さらに、利用者のRF−IDタグカードの使用時には、RF−IDタグカードに搭載しているRF−IDタグ用ICチップが、曲げ応力等により、破壊されることがある。
このため、高い物理的な信頼性を誇るRF−IDタグカードを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するため、カード表面用基材の裏面に、熱溶融型接着性樹脂を塗布後、成形版胴版を利用してRF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部を形成後、RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に補強板を挿入後、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部をカード基材部の裏面に形成したRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入させながら低圧加熱ロールで接着後、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面に熱溶融型接着性樹脂を塗布後、感熱リライト層形成済み基材の裏面と接着後に仕上げ抜き加工することでRF−IDタグカードを得るという原理に基づき感熱リライト印字装置での全面印字適正がある高い物理的な信頼性を誇る補強板搭載RF−IDタグリライトカードを提供することで、課題を解消するものである。
さらに、本発明では、補強板も搭載することで、RF−IDタグカード使用時のRF−IDタグ用ICチップの破壊という課題を解消するものである。
したがって、本発明の発明者は、鋭意努力して、感熱リライト印字装置での全面印字適正がある高い物理的な信頼性を誇る補強板搭載RF−IDタグリライトカードを開発したものである。
【0005】
本発明の第1の態様は、カード表面用基材の裏面に熱溶融型接着性樹脂によるRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部を有し、前記RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部には補強板を有し、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部を前記RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入する位置に配置し、前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面の熱溶融型接着性樹脂と感熱リライト層形成済み基材の裏面が接着している構成を有する前記感熱リライト層への全面印字が可能なことを特徴とする補強板搭載RF−IDタグリライトカードである。
【0006】
本発明の第2の態様は、カード表面用基材の裏面に熱溶融型接着性樹脂の塗布工程後、成形版胴版を利用してRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部の形成工程後、補強板をRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入工程後、前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部を前記RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入させながら低圧加熱ロールを通過させて前記熱溶融型接着性樹脂と前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの接着工程後、前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面に熱溶融型接着性樹脂を塗布工程後に感熱リライト層形成済み基材裏面と接着させて製造することで前記感熱リライト層への全面印字が可能な補強板搭載RF−IDタグリライトカードである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、カード表面用基材の裏面に、熱溶融型接着性樹脂を塗布後に、成形版胴版を利用してRF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部を形成後、RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に補強板を挿入後、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部がカード表面用基材部の裏面に形成した補強板が挿入しているRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入させながら低圧加熱ロールで接着後、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面に熱溶融型接着材を塗布後、感熱リライト層形成済み基材の裏面と接着させてカード化することで、RF−IDタグ用ICチップ実装部による厚みの不均衡を解消している。
このため、本発明の補強板搭載RF−IDタグリライトカードでは、感熱リライト印字装置での全面印字を可能とする優れた効果を有する。
さらに、本発明では、補強板により、使用時のRF−IDタグ用ICチップの破壊を防止することが可能とする優れた効果がある。
また、一連の製造工程の中で、補強板を挿入しているため、製造コストを低く抑えられる効果もある。
また、カード表面用基材の裏面の熱溶融型接着剤には、成形版胴版を利用してRF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部を形成しているためにRF−IDタグ用ICチップ実装インレットを貼り合わせる際の加熱ロールは、低圧で良い。
このため、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットには、製造時の物理的な負荷が少なく、物理的な信頼性の高い補強板搭載RF−IDタグリライトカードの提供が可能との優れた効果がある。
即ち、貼り合わせ時の加熱ロールの負荷が大きい場合には、RF−IDタグ用ICチップに微小クラックを生じさせる場合がある。
この微小クラックが、使用時等の負荷により、RF−IDタグ用ICチップを破壊するクラックへと成長することがある。
しかし、本発明では、低圧加熱ロールを採用しているため、貼り合わせ加工時の物理的な負荷が少ないため、高い物理的な信頼性を誇る補強板搭載RF−IDタグリライトカードの供給を可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下には、本発明の実施形態について、図と共に説明する。
図1は、本発明のRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部形成及び補強板搭載RF−IDタグリライトカード化の説明図である。
【0009】
[概要]
本発明の実施例の概要を説明する。
本発明は、カード表面用基材の裏面に、熱溶融型接着性樹脂を塗布後、成形版胴版を利用してRF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部を形成後、RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に補強板を挿入後、連続状に形成したRF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部をカード表面用基材の裏面に形成した補強板挿入済みのRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入させながら第1低圧加熱ロールで接着後、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面に熱溶融型接着性樹脂を塗布後、感熱リライト層形成済み基材の裏面と第2低圧加熱ロールで接着後、カード形状に仕上げ抜きして高い物理的な信頼性を誇る補強板搭載RF−IDタグリライトカードを完成させるものである。
【0010】
[カード基材]
カード表面用基材1及ぶ感熱リライト層形成済み基材1aとしては、プラスチックフィルムを幅広く各種のものを使用できる。
カード表面用基材1及び感熱リライト層形成済み基材1aともそれぞれの表面には、公知の連続ビジネスフォーム用印刷機等で絵柄等を印刷する。
さらに、カード表面用基材1及び感熱リライト層形成済み基材1aとともに連続ビジネスフォーム用印刷機の加工部で両側にマージナルパンチ加工を施した後に連続状に巻き取る。
マージナルパンチ加工は、カード表面用基材1と感熱リライト層形成済み基材1a等の丁合時に使用するために施すものである。
プラスチックフィルムとしては、以下に挙げる単独フィルムあるいはそれらの複合フィルムを使用するが乳白ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。
【0011】
[感熱リライト層形成済み基材]
感熱リライト層形成済み基材1aの表面には、感熱リライト層が全面にコーティングしている。
この感熱リライト層とは、感熱リライト印字装置の感熱ヘッドなどの加熱手段により可視情報を多数回にわたって繰り返し書き換え可能に表示することができる層であって、公知の可逆性感熱発色剤層である。本実施例では、ロイコ系の可逆性感熱発色層を用いる。
ロイコ系の可逆性感熱発色層としては、ロイコ染料と、このロイコ染料を加熱することにより発色させる酸性基及びロイコ染料を加熱することにより消色させる塩酸性基とを有する化合物、またはロイコ染料を加熱することにより発色させる酸性基を有する化合物およびロイコ染料を加熱することにより消色させる塩酸性基とを有する化合物と、水または有機溶剤に溶解する高分子材料等からなるバインダーとから構成したものである。
【0012】
ロイコ染料としては、3−インドリノ−p−ジメチルアミノフェニル−6−ジメチルアミノフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)−フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランなどが使用できる。
【0013】
ロイコ染料を加熱することにより発色させる酸性基としては、フェノール性水酸基、またはカルボキシル基などが使用できる。また、ロイコ染料を加熱することにより消色させる塩酸性基としては、アミノ基などが使用できる。
【0014】
これらの酸性基及び塩酸性基を有する両性化合物としては、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール等のアミノフェノール;2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸等のアミノ安息香酸;2−ヒドロキシ−3−アミノ安息香酸、2−アミノ−3−ヒドロキシ安息香酸、2−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、2−アミノ−4−アミノ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−アミノ安息香酸、3−アミノ−4−ヒドロキシ安息香酸、−ヒドロキシ−5−アミノ安息香酸等のヒドロキシアミノ安息香酸等が使用できる。
【0015】
また、酸性基を有する化合物としては、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシ安息香酸;4−ヒドロキシサリチル酸、5−ヒドロキシサリチル酸等のヒドロキシサリチル酸等が使用できる。また、塩酸性基を有する化合物としては、トクチルアミン、ノニルアミン、ベンジルアミン、2−フェニルエチルアミン、6−フェニルヘキシルアミン等が使用できる。
【0016】
バインダーとしては、メチルアルコール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリスチレン、ポリ塩化ビルニル等が使用できる。
【0017】
ロイコ系の可逆性感熱発色層における上記の各成分の含有量としては、両性化合物1重量部に対して、ロイコ染料0.1〜1重量部、バインダー2重量部以下を混合する。そして、例えば、水もしくは有機溶剤に上記両性化合物、ロイコ染料、バインダーを溶解または分散して、グラビア印刷などの方法で全面コーティングする。
【0018】
ロイコ系の可逆性感熱発色層における画像表示及び画像消去の原理は、次の通りである。ロイコ系の可逆性感熱発色層に対して、感熱リライト印字装置の感熱ヘッドにより比較的低温加熱することで、その熱エネルギーによって、フェノール性化合物は無色のロイコ染料のラクトン環を開環させ、無色から有色に色変化させ各種の情報を目視可能に表示させる。
また、感熱リライト印字装置のセラミックバーにより高温加熱することにより、その熱エネルギーによって、ラクトン環を閉環させて無色の化合物に戻すことができる。つまり、熱の作用によって酸の性質を示したり、塩基の性質を示すためにロイコ染料に対して、顕色剤となったり減色剤となったりするものである。
【0019】
[RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部形成]
図1にて、カード表面用基材1の裏面にRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2を形成することについて説明する。
連続状のカード表面用基材1は、カード表面基材1の裏面が表となるように公知の連続ビジネスフォームの丁合機であるコレーター3の供給ロール4に装着する。
その後、カード表面基材1の裏面には、Tダイ型ノズルを有する塗工装置5によって熱溶融型接着性樹脂6を塗布後に成形版胴版7を通過させてRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2を形成する。
なお、Tダイ型ノズルを有する塗工装置5の塗工幅は、感熱リライト印字装置搭載RF−IDタグ用リーダーライターが、両側にマージナルパンチを要求する場合には、最大でもカード表面用基材1に加工している両側マージナルパンチ孔間の内側の幅とする。
【0020】
熱溶融型接着性樹脂6は、カード表面用基材1にTダイ型ノズルを有する塗工装置5、5aでの塗工方法を採用したが、公知の各種方法、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、グラビアリバースコート、キスコート等の方法でも可能である。
【0021】
成形版胴版7としては、円筒形状の公知の凹版、グラビア版、エンボス版と基本的には、同様の材料、同様の構造、同様の製法によるものを用いれば良い。
成形版胴版7の版の材料としては、通常は鉄、銅等の金属が用いる。
また、成形版胴版7の表面にRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2を得るための所望の凸部を形成する形成方法としては、例えば、公知のエッチング等によれば良い。
なお、成形版胴版7の表面は、フッ素樹脂をコーティングする。これは、成形版胴版7に熱溶融型接着性樹脂6の付着を防止するために施すものである。
コレーター3に装着する成形版胴版7の回転駆動は、通常の輸転式グラビア印刷機、輪転式エンボス機等と同様な機構、方法を用いれば良い。
なお、成形版胴版7は、熱溶融型接着性樹脂6に合わせて適度に加熱する。
【0022】
[熱溶融型接着性樹脂]
RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2の形成に用いる熱溶融型接着性樹脂6としては、公知の熱溶融型接着性樹脂を用途に応じて使用すれば良い。
この様な熱溶融型接着性樹脂6としては、加熱して溶融し、Tダイ型ノズルを有する塗工装置での塗工が可能で、かつ、カード表面基材1及び感熱リライト層形成済み基材1aの裏面に接着し、かつ、加熱した成形版胴版7によりRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2の形成が可能で、かつ、RF−IDタグ用ICチップ実装インレット8とも接着する接着性能を示す樹脂であれば特に制限はない。
例えば、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アクリル酸共重合樹脂(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂(EMAA)等のポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂が挙げられ、これらを1種のみまたは2種以上適宜混合した組成物を用いる。
なお、カード表面用基材1となる紙若しくはプラスチックフィルムの種類に応じて、熱溶融型接着性樹脂を適宜選択する。
なお、熱溶融型接着性樹脂6は、感熱リライト層形成済み基材1aの裏面とRF−IDタグ用ICチップ実装インレット8との接着にも使用する。
【0023】
[補強板及び補強板の挿入工程]
補強板9は、SUS304等ステンレス板の厚さ0.1ミリ以下の薄板で、RF−IDタグ用ICチップ実装部11を被覆できる大きさのもの採用する。
本実施例では、補強板挿入装置10として、ダイボンダーを利用して、RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2に補強板9を挿入する。
補強板9は、ステンレス製薄板にまず、公知の半導体用ダイシングテープを貼付後に、公知のフォトエッチング工程で所定の大きさの小片に加工後に、ウエハーリングに固定して、ダイボンダーを利用した補強板挿入装置9により、RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2に補強板9を挿入する。
【0024】
[RF−IDタグ用ICチップ実装インレット]
RF−IDタグ用ICチップ実装インレット8は、一例として、ウエハー状の公知のEEPROM(Electroically Erasable and Progurammable Read Only Memory)等の不揮発メモリーを搭載したRF−IDタグ用ICチップのボンディングパットに公知のスタッドバンプを形成後に、公知の方法でダイカット後に、公知の異方性導電材料等にて公知の透明ポリエステルシート等の片面にアルミ等製アンテナを形成している連続状のアンテナシートのアンテナ接続パットに実装後したものである。
なお、本実施例では、RF−IDタグ用ICチップのウエハーは、公知の方法でバックラップして、厚さを薄くした。
さらに、アンテナシートは、感熱リライト印字装置搭載RF−IDタグ用リーダーライターでの印字を考慮し、左右方向にも多面付けしている連続状のアンテナシートを採用している。
したがって、RF−IDタグ用ICチップ実装インレット8は、左右方向にも多面付けしている連続状となる。
【0025】
また、本発明で対象とするRF−IDタグ用リーダーライターとRF−IDタグカードよりなるRF−IDタグシステムは、VHF(Very High Frequency)帯(例えば、13.56Mz)、UHF帯(Ultra−High Frequency)帯、マイクロ波帯(例えば、2.45Gz)等の公知のRF−IDタグシステムを対象とする。
【0026】
[RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部の深さ]
RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2の深さは、補強板9の厚さにRF−IDタグ用ICチップ実装インレット8のRF−IDタグ用ICチップ実装部11の厚さを加えた厚さと同等とするのが最も好ましい。
【0027】
[リライトカード化]
リライトカード化についても図1で説明する。
コレーター3では、連続状、かつ、左右方向にも多面付けしているRF−IDタグ用ICチップ実装インレット8のRF−IDタグ用ICチップ実装面を下にして、RF−IDタグ用ICチップ実装部11をカード表面用基材1の裏面のRF−IDタグカード用ICチップ実装部挿入凹部2に挿入しながら第1低圧加熱ロール12を通過させて接着する。
その後、RF−IDタグ用ICチップ実装インレット8の裏面には、コレーター3に装着したTダイ型ノズルを有する塗工装置5aによって熱溶融型接着材6を塗布後に、連続状で、かつ、両側にマージナルパンチ加工した感熱リライト層形成済み基材1aの裏面とを第2低圧加熱ロール12aで接着させる。
なお、この際には、感熱リライト層形成済み基材1aとカード表面基材1のマージナルパンチを重ねながら、接着させる。
コレーター3の加工部では、RF−IDタグ用ICチップ実装インレット8の横方向の面付け数に応じた多面付けしているクレジットカードサイズの仕上げ抜き歯13で仕上げ抜き加加工を施すことで、補強板搭載RF−IDタグリライトカード14が完成する。
即ち、RF−IDタグ用ICチップ実装インレット8の横方向の面付け数を4面付けとした場合では、クレジットカードサイズの仕上げ抜き歯13は、横方向に4面付けでコレータ3の加工部に装着する。
【0028】
[低圧加熱ロール]
第1低圧加熱ロール12、第2低圧加熱ロール12aは、公知の熱ラミネート用加熱ロールで良い。
特に、第1低圧加熱ロール間のギャップを調整して低圧とすることで、RF−IDタグ用ICチップ実装インレット10への熱ラミネート時の物理的な負荷を低減するものである。
特に本発明の第1加熱ロールでは、熱溶融型接着性樹脂6に単にRF−IDタグ用ICチップ実装インレット8を感熱ロールで接着させるの比べ、事前にRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部2を成形版胴版7で形成しているために低圧で良い。
このことは、物理的な信頼性の高いRF−IDタグカード14の提供が可能との優れた効果がある。
即ち、貼り合わせ時の加熱ロールの圧力が大きい場合には、RF−IDタグ用ICチップ実装インレット8への負荷が大きく、特にRF−IDタグ用ICチップに微小クラックを生じさせる場合がある。
このRF−IDタグ用ICチップに生じた微小クラックが、RF−IDタグカード14の使用時等の負荷により、RF−IDタグ用ICチップを破壊するクラックへと成長することがある。
しかし、本発明では、第1低圧加熱ロール12では、低圧なため、貼り合わせ加工時のRF−IDタグ用ICチップ実装インレット8への物理的な負荷が少なく、高い物理的な信頼性を誇るRF−IDタグカードの供給を可能とするものである。
第2低圧加熱ロールは、カード裏面基材1aとRF−IDタグ用ICチップ実装インレット8の裏面に塗布した熱溶融型接着性樹脂6との接着を行うものである。
【0029】
[感熱リライト印字装置での印字]
感熱リライト印字装置での全面印字は、感熱リライト印字装置のホッパー部に補強板搭載RF−IDタグリライトカード14にセットし、印字する。
補強板搭載RF−IDタグリライトカード14は、RF−IDタグ用ICチップ実装部9のみが厚くなっていないため、感熱リライト印字装置での良好な全面印字結果を得た。
さらに、感熱リライト印字装置での感熱ヘッド部は、RF−IDタグ用ICチップ実装部9のみに物理的な負荷が掛かからないため、RF−IDタグ用ICチップが破壊せず、感熱リライト印字装置での全面印字後にRF−IDタグラベルの動作不良は発生しなかった。
【0030】
[変形実施例]
本発明に実施に関しては、前記実施例の記載事項に限定されるものではない。
前記実施例では、RF−IDタグとRF−IDタグ用リーダーライターとの通信に影響がないロイコ系の可逆性感熱発色層を用いる感熱リライト層で説明したが可逆性感熱発色層として、種々の仕様を使用することができるが、上記の仕様に限定されるものではなく、その他の様々な仕様を設けることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】RF−IDタグ用ICチップ実装挿入凹部形成及びリライトカード化説明図
【符号の説明】
【0032】
1 :カード表面用基材
1a :感熱リライト層形成済み基材
2 :RF−IDタグ用ICチップ実装挿入凹部
3 :コレーター
4 :供給ロール
5 :Tダイ型ノズルを有する塗工装置
5a :コレーター装着したTダイ型ノズルを有する塗工装置
6 :熱溶融型接着性樹脂
7 :成形版胴版
8 :補強板
9 :RF−IDタグ用ICチップ実装インレット
10 :補強板挿入装置
11 :RF−IDタグ用ICチップ実装部
12 :第1低圧加熱ロール
12a:第2低圧加熱ロール
13 :仕上げ抜き歯
14 :補強板搭載RF−IDタグリライトカード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード表面用基材の裏面に熱溶融型接着性樹脂によるRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部を有し、前記RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部には補強板を有し、RF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部を前記RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入する位置に配置し、前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面の熱溶融型接着性樹脂と感熱リライト層形成済み基材の裏面が接着している構成を有する前記感熱リライト層への全面印字が可能なことを特徴とする補強板搭載RF−IDタグリライトカード。
【請求項2】
カード表面用基材の裏面に熱溶融型接着性樹脂の塗布工程後、成形版胴版を利用してRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部の形成工程後、補強板をRF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入工程後、前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットのRF−IDタグ用ICチップ実装部を前記RF−IDタグ用ICチップ実装部挿入凹部に挿入させながら低圧加熱ロールを通過させて前記熱溶融型接着性樹脂と前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの接着工程後、前記RF−IDタグ用ICチップ実装インレットの裏面に熱溶融型接着性樹脂を塗布工程後に感熱リライト層形成済み基材裏面と接着させて製造することで前記感熱リライト層への全面印字が可能な補強板搭載RF−IDタグリライトカード。



【図1】
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【公開番号】特開2008−210228(P2008−210228A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47186(P2007−47186)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】