説明

補機取付ブラケット

【課題】補機取付面を設定して、車種仕様に応じた補機の数,大きさ及び配置の違いを吸収する。
【解決手段】補機取付ブラケット10は、車体フレーム20に複数の補機を取り付けるものであって、板面が車高方向に延びつつ車体フレーム20の側面に固定される固定板部12と、板面が車幅方向に延びつつ固定板部12の下端に連結される受け板部14と、固定板部12と受け板部14とを車体前後方向の両端部において夫々連結する連結板部16と、を含んで構成する。ここで、補機としては、エアクリーナ22,バッテリボックス24,リレーボックス26,ツールボックス28などが想定される。また、固定板部12及び受け板部14に、夫々、ボルトなどの締結部材が挿通される挿通孔18を格子状に複数開設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フレームの側面にバッテリ,エアクリーナ,ツールボックス(工具箱)などの各種補機を複数取り付ける補機取付ブラケットにおいて、補機の数,大きさ及び配置違いにかかわらず、同一ブラケットで対応可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの商用車では、「三菱ふそうトラック 架装要領書 KG-FB型 KK-FD型」(非特許文献1)に記載されるように、梯子型の車体フレームの側面に対して、専用設計された取付ブラケットを用いてバッテリ,工具箱などの各種補機を取り付ける構成が採用されている。
【非特許文献1】「三菱ふそうトラック 架装要領書 KG-FB型 KK-FD型」,三菱自動車工業株式会社 三菱自動車エンジニアリング株式会社,2002年6月,三菱FE83EC4型(1/20)キャブオーバトラックキャブ付シャシ図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、トラックを含む車両においては、市場における様々な要求に対応すべく、多種多様な仕様が設定されていることは公知である。そして、仕様が異なると、車体フレームの側面に取り付ける補機の数,大きさ及び配置が異なるため、仕様に応じた多数の取付ブラケットを用意しておく必要があった。このため、取付ブラケットの管理にかなりの労力を要すると共に、補機の取り付けに工数がかかり、コスト削減及びタクトタイム短縮が困難であった。
【0004】
そこで、本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、補機取付面を設定して、車種仕様に応じた補機の数,大きさ及び配置の違いを吸収することで、取付ブラケットの管理及び補機取付作業を容易にし、コスト削減及びタクトタイム短縮を図った補機取付ブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、本発明は、板面が車高方向に延びつつ車体フレームの側面に固定される固定板部と、板面が車幅方向に延びつつ固定板部の下端に連結される受け板部と、を含んで構成され、車体フレームに複数の補機を取り付けるための補機取付ブラケットであって、固定板部及び受け板部に、夫々、締結部材が挿通される挿通孔が格子状に複数開設されたことを特徴とする。ここで、補機としては、エアクリーナ,バッテリボックス,リレーボックス,ツールボックスなどが想定される。
【0006】
このとき、補機取付ブラケットとしての強度を向上させるために、連結板部により、固定板部と受け板部の車体前後方向の両端部を夫々連結することが望ましい。また、連結板部の板面が車体前後方向に垂直な面に沿っていれば、これが車体前後方向に対するストッパとして機能し、補機取付ブラケットを利用して、例えば、燃料タンクを取り付けることができる。さらに、車体フレームにスペーサを介して固定板部を間接的に固定すれば、車体レイアウト設計に要する労力を大幅に軽減することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固定板部及び受け板部には、格子状の挿通孔が複数開設されているため、締結部材が挿通される挿通孔を変えることで、各種補機を任意の位置に固定することができる。このため、補機取付面が設定され、車種仕様に応じた補機の数,大きさ及び配置の違いを吸収することで、補機取付ブラケットの管理及び補機取付作業を容易にし、コスト削減及びタクトタイム短縮を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付された図面を参照して本発明を詳述する。
図1は、本発明を具現化した補機取付ブラケットの一例を示す。
補機取付ブラケット10は、車体フレームに複数の補機を取り付けるものであって、板面が車高方向に延びつつ車体フレームの側面に固定される固定板部12と、板面が車幅方向に延びつつ固定板部12の下端に連結される受け板部14と、固定板部12と受け板部14とを車体前後方向の両端部において夫々連結する連結板部16と、を含んで構成される。固定板部12及び受け板部14は、車体前後方向に沿って長辺が配置される略矩形形状をなす一方、連結板部16は、板面が車体前後方向に垂直な面に沿って配置される。ここで、補機としては、エアクリーナ,バッテリボックス,リレーボックス,ツールボックスなどが想定される。
【0009】
本発明の特徴として、固定板部12及び受け板部14には、夫々、ボルトなどの締結部材が挿通される挿通孔18が格子状に複数開設される。ここで、格子状とは、縦及び横に所定間隔を隔てつつ配置される単純なものに限らず、いわゆる千鳥格子状のものも含まれる。また、挿通孔18は、固定板部12及び受け板部14において同一間隔で開設されていなくともよい。
【0010】
次に、補機取付ブラケット10を用いて、車体フレームに各種補機としてのエアクリーナ,バッテリボックス,リレーボックス及びツールボックスを取り付ける方法について、図2を参照しつつ説明する。なお、エアクリーナ,バッテリボックス,リレーボックス及びツールボックスは、車種仕様に応じたものが予め選択されているものとする。
固定板部12に開設された挿通孔18に締結部材を挿通し、車体フレーム20の側面に補機取付ブラケット10を締結固定する。そして、固定板部12及び受け板部14に夫々開設された挿通孔18に締結部材を挿通し、固定板部12及び受け板部14の少なくとも一方にエアクリーナ22,バッテリボックス24,リレーボックス26及びツールボックス28を夫々締結固定する。ここで、エアクリーナ22などの各種補機は、固定板部12及び/又は受け板部14に対して直接締結固定される構成に限らず、ブラケット30及び32などを介して間接的に締結固定されるようにしてもよい。
【0011】
このとき、固定板部12及び受け板部14には、格子状の挿通孔18が複数開設されているため、締結部材が挿通される挿通孔18を変えることで、エアクリーナ22,バッテリボックス24,リレーボックス26及びツールボックス28を任意の位置に固定することができる。このため、補機取付面が設定され、車種仕様に応じた補機の数,大きさ及び配置の違いを吸収することで、取付ブラケットの管理及び補機取付作業を容易にし、コスト削減及びタクトタイム短縮を図ることができる。
【0012】
なお、サブラインにおいて補機取付ブラケット10に各種補機を固定し、メインラインにおいて各種補機が固定された補機取付ブラケット10を車体フレーム20に固定するようにしてもよい。このようにすれば、ユニット化が促進され、メインラインでの作業工数が削減されることから、タクトタイムをより短縮することができる。
また、固定板部12及び受け板部14は、その車体前後方向の両端部において連結板部16により連結されているため、補機取付ブラケット10としての強度が向上し、受け板部14に各種補機の重量が作用しても、その重量で固定板部12と受け板部14とがなす角度が広がることが防止される。このとき、連結板部16の板面が車体前後方向に垂直な面に沿っているので、これが車体前後方向に対するストッパとして機能し、図3に示すように、車体フレーム20の側面に燃料タンク34を取り付ける燃料タンク取付ブラケットとしても利用することができる。
【0013】
なお、固定板部12は、車体フレーム20に直接固定される構成に限らず、図4に示すように、スペーサ36を介して間接的に固定するようにしてもよい。このようにすれば、車体フレーム20と固定板部12との間に、スペーサ36の厚さに相当する隙間が形成されるため、固定板部12に各種補機を取り付けるときに、その締結作業のためのスペースを確保することができる。また、車体フレーム20に補機取付ブラケット10を直接固定するスペースがなくとも、スペーサ36を固定するスペースさえ確保できれば、補機取付ブラケット10を固定することができる。さらに、固定板部12に格子状の挿通孔18が複数開設されているため、スペーサ36に対する車体前後方向の固定位置を容易に変更することができる。このため、車体レイアウト設計に要する労力を大幅に軽減することができる。
【0014】
その他、車体フレーム10に取り付ける各種補機としては、エアクリーナ22,バッテリボックス24,リレーボックス26及びツールボックス28に限らず、当業者であれば想起し得る各種補機のうち任意に選択した複数のものが対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を具現化した補機取付ブラケットの一例を示す斜視図
【図2】車体フレームに各種補機を取り付ける方法を示す斜視図
【図3】補機取付ブラケットを利用して燃料タンクを取り付ける方法を示す斜視図
【図4】補機取付ブラケット固定構造の変形例を示す斜視図
【符号の説明】
【0016】
10 補機取付ブラケット
12 固定板部
14 受け板部
16 連結板部
18 挿通孔
20 車体フレーム
22 エアクリーナ
24 バッテリボックス
26 リレーボックス
28 ツールボックス
36 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板面が車高方向に延びつつ車体フレームの側面に固定される固定板部と、板面が車幅方向に延びつつ前記固定板部の下端に連結される受け板部と、を含んで構成され、前記車体フレームに複数の補機を取り付けるための補機取付ブラケットであって、
前記固定板部及び受け板部に、夫々、締結部材が挿通される挿通孔を格子状に複数開設したことを特徴とする補機取付ブラケット。
【請求項2】
前記固定板部と受け板部とを、その車体前後方向の両端部において連結する連結板部が備えられたことを特徴とする請求項1記載の補機取付ブラケット。
【請求項3】
前記連結板部は、その板面が車体前後方向に垂直な面に沿っていることを特徴とする請求項2記載の補機取付ブラケット。
【請求項4】
前記固定板部は、前記車体フレームにスペーサを介して間接的に固定されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の補機取付ブラケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−168557(P2007−168557A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367541(P2005−367541)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(504334865)日産ライトトラック株式会社 (60)
【Fターム(参考)】