製品の製造方法、スイッチの製造方法および段差曲げ装置
【課題】可動片と固定片とを有するスイッチのような一対の部品間の間隔が品種毎に異なる製品の生産性を向上してコストの低減を図る。
【解決手段】下ケース1に組み付けた可動片9の可動接点13の位置をセンサ25−1で計測する一方、固定片12が組み付けられる基準面24の位置をセンサ25−1で計測し、基準面24と可動接点13との距離D3を算出し、平らな固定片12の固定接点15の位置をセンサ25−2で計測する一方、前記基準面24に対する組み付け面24aの位置をセンサ25−2で計測し、組み付け面24aと固定接点15との第2の距離D6を算出し、前記第1,第2の距離D3,D6から接点間隔を算出し、この接点間隔が所要の接点間隔になるように、段差曲げ装置26によって、平らな固定片12を、段差曲げ加工する。
【解決手段】下ケース1に組み付けた可動片9の可動接点13の位置をセンサ25−1で計測する一方、固定片12が組み付けられる基準面24の位置をセンサ25−1で計測し、基準面24と可動接点13との距離D3を算出し、平らな固定片12の固定接点15の位置をセンサ25−2で計測する一方、前記基準面24に対する組み付け面24aの位置をセンサ25−2で計測し、組み付け面24aと固定接点15との第2の距離D6を算出し、前記第1,第2の距離D3,D6から接点間隔を算出し、この接点間隔が所要の接点間隔になるように、段差曲げ装置26によって、平らな固定片12を、段差曲げ加工する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに一対の部品が組み付けられる製品を製造する方法、スイッチの製造方法およびそれに用いる段差曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ、例えば、マイクロスイッチは、微小接点間隔とスナップアクション機構とを有し、接点の切り替えを行なうものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるマイクロスイッチは、図23に示すように、遊端部に可動接点13を備えた可動片9と、前記可動片9の遊端部に対向する開路(常開)側および閉路(常閉)側の固定接点17,15をそれぞれ備えた固定片19,12とを備えおり、図示しないアクチュエータを押圧操作することにより、可動接点13が、閉路側の固定接点15から開路側の固定接点17側に切り替わるものである。なお、図23は、アクチュエータを押圧操作した作動状態を示している。
【特許文献1】特開2003−317573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のマイクロスイッチでは、比較的大きな変位を検出したいといったユーザや微小な変位を検出したいといったユーザの種々の要求仕様に応じて、多種類の接点間隔Dのマイクロスイッチが求められる。
【0005】
上記構成のマイクロスイッチは、圧力計、温度計、湿度計に組み込まれて、水圧や、油圧、空気圧を検出するが、測定対象により圧力などの差が複数あり、ユーザーの要求仕様が多くなるという課題が有る。例えば、圧力計に組み込む場合には、圧力変化に対応した動きや力の差が要求されて、その動きをスイッチの接点間隔Dに対応させて、力の差をDF特性(動作力と復帰力の差)に対応させて、所要の圧力変化を検出している。よって、圧力検出幅に対応したDF特性が要求される。
【0006】
従来では、DF特性に対応した接点間隔が異なる多くの機種毎に、予め専用の金型で接点間隔に対応してそれぞれ曲げ加工された多種類の固定片を準備し、各機種に対応する設備やラインを利用して多種類のマイクロスイッチの生産が行なわれていた。
【0007】
このように機種毎に、対応する固定片を使用して設備やラインを用いて生産するために、多種少量生産では機種毎の固定片の在庫が多くなり、設備やラインが増えて固定片の変更の手間がかかるといった難点がある。
【0008】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、可動片と固定片といったように一対の部品間の間隔が品種毎に異なる製品の生産性を向上してコストの低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の製品の製造方法は、少なくとも一対の部品が、ケースに組み付けられる製品を製造する方法であって、前記一対の部品間の対向間隔が、所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けるものである。
【0010】
所要の間隔は、各品種に個別的に対応する間隔であるのが好ましい。
【0011】
一方の部品材料は、平らな材料であるのが好ましい。
【0012】
他方の部品との位置関係は、ケースに組み付けた他方の部品に対して、一方の部品材料を組み付けたと想定した場合の位置関係であるのが好ましい。
【0013】
本発明によると、一対の部品間の対向間隔が所要の間隔になるように、一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、段差曲げ加工して一方の部品を得るので、段差曲げ加工の加工量を調整することによって、多品種に容易に対応することが可能となり、しかも、1種類の前記一方の部品材料のみで対応できることになる。これによって、品種毎に部品の在庫を準備したり、各製造ラインを設ける必要がなく、これによって、多品種少量生産される製品の生産性を高めて、コストの低減を図ることができる。
【0014】
(2)本発明の製品の製造方法の好ましい実施形態では、前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なうものである。
【0015】
この実施形態によると、段差曲げ装置を用いて、平らな薄板材の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、平らな薄板材の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより、一端側と他端側と段差面を平行に保った段差曲げが可能となり、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0016】
(3)本発明のスイッチの製造方法は、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチを製造する方法であって、前記固定接点と前記可動接点との接点間隔が、各機種に個別的に対応した所要の接点間隔になるように、1種類の固定片材料を、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して前記固定片とし、該固定片を前記ケースに組み付けるものである。
【0017】
1種類の固定片材料は、平らな固定片であるのが好ましい。
【0018】
本発明のスイッチの製造方法によると、1種類の固定片材料を、段差曲げ加工するので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの固定片の固定接点と可動片の可動接点との接点間隔を調整できることになり、1種類の固定片材料で、接点間隔が異なる多種類の仕様のスイッチの製造に容易に対応できることになる。
【0019】
これによって、機種毎に予め曲げ加工された固定片の在庫を準備したり、各製造ラインを設ける必要がなく、これによって、多品種少量生産されるスイッチの生産性を高めて、コストの低減を図ることができる。
【0020】
また、固定片の一端側と他端側との段差面が平行になるように段差曲げ加工するので、一端側の固定接点と、他端側のケースに対する取り付け面とが平行となり、接点を開閉した場合に、接点の消耗は生じるけれども、平行でない固定片に比べて、接点の接触状態が良好となり、スイッチ品質の長期間の維持が可能となる。
【0021】
(4)本発明のスイッチの製造方法の一つの実施形態では、前記段差曲げ加工は、前記1種類の固定片材料である平らな固定片の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なうものである。
【0022】
平らな固定片の一端側を折り曲げ、この一端側から所定間隔隔てた他端側を逆方向に折り曲げて段差曲げする場合に、一端側と他端側と段差面を平行に保たせるのが困難である。
【0023】
この実施形態によると、段差曲げ装置を用いて、平らな固定片の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、平らな固定片の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより、一端側と他端側と段差面を平行に保った段差曲げが可能となり、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0024】
(5)上記(4)の実施形態では、前記一端側または前記他端側に前記固定接点を有する前記平らな固定片を予め準備する第1の工程と、前記平らな固定片を前記ケースに組み付けたと想定したときの、前記可動接点と該平らな固定片の固定接点との接点間隔を求める第2の工程と、求めた接点間隔を、前記所要の接点間隔にするのに必要な前記段差曲げ加工の加工量を算出する第3の工程と、算出した加工量に従って、前記平らな固定片を、前記段差曲げ加工する第4の工程とを含むものである。
【0025】
この実施形態によると、平らな固定片をケースに組み付けたと想定したときの接点間隔を求め、それに基づいて、所要の接点間隔にするために必要な段差曲げ加工の加工量を算出するので、段差曲げ加工を行なう前に、固定片をケースに組み付ける必要がなく、段差曲げ加工を行なった後の固定片を、ケースに組み付ければよい。
【0026】
(6)上記(5)の実施形態では、前記第2の工程は、第1の距離を求める工程と、第2の距離を求める工程と、前記第1,第2の距離から前記接点間隔を算出する工程とを含み、前記第1の距離は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点と、前記固定片が組み付けられるケースの基準面との距離とし、前記第2の距離は、前記平らな固定片の固定接点と該平らな固定片の前記基準面に対する組み付け面との距離としてもよい。
【0027】
この実施形態によると、ケースに可動片を組み付けた状態で基準面に対する距離を求めるので、ケース内の部品の寸法のバラツキなどを含めて、所要の接点間隔にするための段差曲げ加工の加工量を算出することができる。
【0028】
(7)上記(6)の実施形態では、前記第1の距離を求める工程は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点の位置をセンサで計測する一方、前記固定片が組み付けられる前記基準面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第1の距離を算出し、前記2の距離を求める工程は、前記平らな固定片の固定接点の位置をセンサで計測する一方、該固定片の前記基準面に対する組み付け面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第2の距離を算出するようにしてもよい。
【0029】
この実施形態によると、固定片が組み付けられるケースの基準面に対する可動接点の位置および固定接点の位置をそれぞれ計測し、計測された両位置から接点間隔を算出することができる。
【0030】
(8)本発明の段差曲げ装置は、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチの前記固定片を、一端側または他端側に前記固定接点を有する平らな固定片から段差曲げ加工して製造する段差曲げ装置であって、前記平らな固定片の前記一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を上記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができるようになっている。
【0031】
上記の場合、両挟み付け部材は相対移動することができればよく、一方の挟み付け部材を固定とし、他方の挟み付け部材のみを移動可能としたり、両挟み付け部材を共に逆方向に移動可能としてもよい。あるいは、両挟み付け部材を同じ方向に移動させると共に、その移動速度を異ならせる態様も含む。
【0032】
上記隙間無く密接とは例えば挟み付け部材の両挟み付け面による固定片の両面に対する挟み付け力を強くして隙間無く密接させる状態や、挟み付け部材の両挟み付け面の摩擦係数を小さく例えば鏡面程度にして滑り易い状態で隙間無く密接させる状態を含む。
【0033】
本発明の段差曲げ装置によると、固定片の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、固定片の他方側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより段差曲げすることができるので、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0034】
この場合、固定片の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、固定片の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けるのは、隙間無く密着させた状態で一方の挟み付け部材の両面間で固定片が滑らない様にする為である。したがって、この意味からすると、段差曲げ中に一方の挟み付け部材の両面が固定片の両面に滑らないように隙間無く密着してさえいれば、一方の挟み付け部材の挟み付け力と他方の挟み付け部材の挟み付け力とを同等とすると共に、例えば、固定片に位置決め穴を空けておき、その位置決め穴に一方の挟み付け部材側に固定した位置決めピンを入れて、固定片を保持して滑らないようにしてもよい。
【0035】
さらに、段差曲げ開始から段差曲げ終了までの過程で両挟み付け部材で固定片の一端側と他端側それぞれを隙間無く密接した状態で相対移動するので固定片の一端側の両面それぞれの折曲起点での曲げ形状と、固定片の他端側の両面それぞれの折曲起点での曲げ形状とが対称な同形状を保ちつつ段差曲げされて当該一端側と他端側それぞれに段差曲げ高さが異なる段差面を形成するので、段差曲げ完了後の固定片は、その一端側の段差面と他端側の段差面との平行度が保たれる。
【0036】
(9)本発明の段差曲げ装置の好ましい実施形態では、前記第1挟み付け部材を第2挟み付け部材に対して相対的に平行移動可能としてもよい。
【0037】
(10)本発明の段差曲げ装置の他の実施形態では、前記段差曲げ加工の加工量を、無段階に制御可能な制御手段を備え、該制御手段は、前記平らな固定片と前記ケースに組み込まれた前記可動片との測定値から、所要の接点間隔に対応した、前記平らな固定片に必要な所定の段差を演算する演算部と、アクチュエータを制御することにより、前記平らな固定片を、前記所定の段差に無段階に曲げ加工する制御部とを備えるものである。
【0038】
制御手段は、例えば、パーソナルコンピュータやシーケンサなどが好ましい。
【0039】
アクチュエータは、例えば、サーボモータなどが好ましい。
【0040】
この実施形態によると、平らな固定片とケースに組み込まれた可動片との測定値から、接点間隔を得るための段差曲げ加工量に対応する所定の段差を演算し、無段階の段差曲げ加工を行うので、任意の接点間隔のスイッチの製造に対応できるとともに、自動化を図るのが容易となる。
【0041】
(11)上記(10)の実施形態では、前記制御手段は、前記スイッチの機種変更に応じて、前記スイッチの各機種に個別的に対応する前記所要の接点間隔のデータが格納されたデータベースから対応する所要の接点間隔のデータを取り込み、取り込んだ所要の接点間隔になるように、前記段差曲げ加工量を変更するようにしてもよい。
【0042】
この実施形態によると、生産されるスイッチの機種が変更されると、変更された機種に対応する所要の接点間隔のデータを取り込み、所要の接点間隔になるように段差曲げ加工量を変更するので、容易に機種変更に対応できることになる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によると、一対の部品の内の一方の部品材料を、段差曲げ加工して一方の部品とするので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの一対の部品間の間隔を調整できることになり、前記間隔が異なる多種類の品種の製造に容易に対応できることになる。
【0044】
特に、1種類の固定片材料である平らな固定片を、段差曲げ加工するので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの固定片の固定接点と可動片の可動接点との接点間隔を調整できることになり、平らな固定片の1種類で、接点間隔が異なる多種類の機種のスイッチの製造に容易に対応できることになる。これによって、機種毎に予め曲げ加工された固定片の在庫を準備したり、各製造ラインを設ける必要がなく、これによって、多品種少量生産されるスイッチの生産性を高めて、コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面によって、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0046】
図1は、マイクロスイッチの断面図であり、図2はその要部の分解斜視図である。
【0047】
スイッチケースの下ケース1には、共通固定端子3、常閉固定端子5および常開固定端子7が設けられている。共通固定端子3には、可動片9の基端側が支持されており、さらに、この共通固定端子3には、前記可動片9のスナップアクション用の一対の圧縮ばね部9aの基端側を係合溝11aでそれぞれ係合支持する一対の受け金11が装備されている。
【0048】
常閉固定端子5および常開固定端子7には、可動片9の遊端側の可動接点13が接離する固定接点15,17をそれぞれ有する固定片12,19がそれぞれ設けられている。
【0049】
カバーケース21には、可動片9の基端側に当接作用するアクチュエータとしての押しボタン23が支持されている。
【0050】
押しボタン23に外力をかけない常態においては、図示のように、圧縮ばね部9aの弾性復元力によって可動片9の遊端側が上方に付勢変位されて可動接点13が固定片12の固定接点(常閉接点)15に接触維持されている。
【0051】
押しボタン23が押し込み操作されて可動片9が下方変位して動作位置に達すると、瞬時に圧縮ばね部9aの弾性復元力が可動片9を下方に付勢変位するように反転し、可動接点13が固定片19の固定接点(常開接点)17に接触されて接点切換が行われる。
【0052】
また、復帰に際しては、押しボタン23が上方に変位し、前記動作位置を過ぎた戻りの位置に達すると、圧縮ばね部9aの弾性復元力が可動片9を上方に付勢変位するように反転し、可動接点13が固定片12の固定接点15に接触されて復帰する。
【0053】
この実施形態のスイッチの製造方法では、接点間隔が異なる多種類のマイクロスイッチの生産性を高めるために、次のようにしている。
【0054】
すなわち、図3(a)に示すように開路(常開接点)側の固定片19および可動片9を下ケース1に組み付け、可動接点13を、固定接点17に圧接した作動状態で、閉路(常閉接点)側の固定片12が組み付けられる基準面24の寸法D1と、可動接点13の上側の接点面寸法D2とを、変位センサ25−1を用いて計測し、第1の距離として、その差D3(=D2−D1)を算出する。
【0055】
次に、図3(b)に示す固定片材料としての真っ直ぐで平らな閉路側の固定片12の、前記基準面24に対する組み付け面24aの寸法D4と、固定接点15の接点面寸法D5とを、変位センサ25−2で計測し、第2の距離として、その差D6(=D4−D5)を算出する。
【0056】
次に、上記差D3,D6の和の寸法が、生産する機種に対応する接点間隔の規格に入るように、平らな固定片12を、図3(c)に示すように後述の段差曲げ装置26によって段差曲げ加工し、段差曲げ加工した固定片12の寸法を確認した後、この固定片12を、下ケース1の基準面24にカシメ固定して取り付ける。
【0057】
図4は、以上の製造方法による各工程の流れを示す図である。
【0058】
先ず、ケースを供給し(ステップS1)、ケース内に可動片等を組み込み(ステップS2)、変位センサ25−1によって可動片の位置、すなわち、上述の図3(a)の寸法を計測し(ステップS3)、その計測値が、後述のパソコン22に与えられる。
【0059】
一方、固定片材料としての平らな固定片を供給し(ステップS4)、変位センサ25−2によって、固定片の位置、すなわち、上述の図3(b)の寸法を計測し(ステップS5)、その計測値が、パソコン22に与えられる。
【0060】
パソコン22は、変位センサ25−1,25−2からの計測値に基づいて、製品であるスイッチの機種に応じた仕様、例えば、仕様F,G,Hに対応する接点間隔にするための平らな固定片の目標とする段差曲げ加工量を算出し(ステップS6)、段差曲げ装置を制御して、平らな固定片を製品仕様に応じて段差曲げ加工する(ステップS7)。
【0061】
次に、図5に示すように、段差曲げ加工された固定片12の組み付け面24aの寸法D4と、固定接点15の接点面寸法D5’とを、変位センサ25−3で計測して、その差D6’(=D4−D5’)を算出してパソコン22に与える(ステップS8)。
【0062】
パソコン22は、目標とする段差曲げ加工量となっていることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された各仕様に対応する固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込み(ステップS10)、製品特性を検査して(ステップS11)、各種の製品、例えば、製品F,G,Hが完成する。
【0063】
なお、ステップS9において、目標とする段差曲げ加工量となっていない場合には、目標とする段差曲げ加工量にするための修正値を算出し、その修正値を、以降の段差曲げ加工に利用する。
【0064】
このように、ケースに組み込まれた可動片の位置を計測する一方、平らな固定片の位置を計測し、その計測値から製品仕様、すなわち、機種に応じた段差曲げ加工量を算出し、その加工量で固定片を段差曲げ加工してケースに組み込むので、一種類の固定片を用いて、多種類の機種に対応できることになり、また、機種毎に、設備やラインを変更する必要もない。
【0065】
次に、段差曲げ装置26による段差曲げ加工について、詳細に説明する。図6ないし図11は、段差曲げ装置による段差曲げ加工を示す概略構成図である。
【0066】
装置台2上に第1挟み付け部材4が配備されている。第1挟み付け部材4は上下一対のクランプ6,8から構成されている。両クランプ6,8は互いの対向面(挟み付け面)を対向させて上下に配置されており、第1駆動部10により上側のクランプ6が上下方向に駆動されて平らな固定片12の一端側12aの両面を隙間無く密接に挟み付けて固定することができるようになっており、クランブ8には、固定接点15に応じた凹部が形成されている。
【0067】
装置台2上には第2挟み付け部材14が配備されている。第2挟み付け部材14は上側のパンチ16と下側のダイ18とから構成されている。このパンチ16とダイ18は第2駆動部20により個別に上下方向に移動して固定片12の他端側12bを隙間無く密接に挟み付けることができるようになっている。
【0068】
この場合、第1挟み付け部材4による平らな固定片12の一端側12aの両面の挟み付け力は強く、第2挟み付け部材14による平らな固定片12の他端側12bの両面の挟み付け力は弱く設定されている。
【0069】
この設定は、第1駆動部10、第2駆動部20により行うことができる。
【0070】
例えば第1駆動部10ではモータと歯車とで第1挟み付け部材を駆動して強い挟み付け力で平らな固定片12の一端側12aの両面を挟み付け固定する。
【0071】
例えば第2駆動部20ではエアシリンダ等のダンパにより弱い挟み付け力で平らな固定片12の他端側12bの両面を挟み付ける。
【0072】
次に図6ないし図11を参照して動作を説明する。
【0073】
まず、図6で示すように、平らな固定片12の一端側12aを第1挟み付け部材4の下側クランプ8のクランプ面上に載置した状態で両クランプ6,8間に配置すると共に固定片12の他端側12bを第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16との間に配置する。
【0074】
次いで、図7で示すように第1挟み付け部材4の上側クランプ6を第1駆動部10で下降駆動して両クランプ6,8で固定片12の一端側12aの両面を隙間が無い密接状態で挟み付け固定する。この挟み付け力は固定片12が移動することができない程度に強く設定された力である。
【0075】
一方、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16を第2駆動部20で昇降移動させて固定片12の他端側12bの両面をダイ18とパンチ16とで弱い力で隙間が無い密接状態で挟み付ける。
【0076】
ここで第1挟み付け部材4の挟み付け力は、第2挟み付け部材14を上昇させても固定片12の一端側12aを固定することができる程度の力である。
【0077】
第2挟み付け部材14の挟み付け力は固定片12の他端側12bがダイ18とパンチ16との対向面間を滑り動くことができる程度の力である。したがって、ダイ18とパンチ16の対向面の面粗さは鏡面でも構わない。また、固定片12の他端側12bはダイ18とパンチ16の両対向面に隙間が無い密接状態で横滑りすることができるようになっている。
【0078】
ここで、固定片12の一端側12aの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点A,下側を折曲起点Bとし、固定片12の他端側12bの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点C,下側を折曲起点Dとする。
【0079】
次いで、図8で示すように、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16を、それらが固定片12の他端側12bの両面を隙間無く密接した状態で、下方向に一体に同期下降させる。この下降移動により、平らな固定片12は段差曲げされる。
【0080】
この場合、固定片12の一端側12aは第1挟み付け部材4の両クランプ6,8で隙間無く密接して固定された状態で折曲げられる。
【0081】
一方、固定片12の他端側12bは第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16との間で隙間無く密接して挟み付けられた状態で折曲げられる。
【0082】
そのため、図8の円で囲む部分を拡大して示すように、固定片12の一端側12aの上側折曲起点Aは伸び側に曲げ変形し、下側折曲起点Bは縮み側に曲げ変形する。固定片12の他端側12bの上側折曲起点Cは縮み側に曲げ変形し、下側折曲起点Dは伸び側に曲げ変形する。
【0083】
以上の曲げ変形の形状は、固定片12の一端側12a側と固定片12の他端側12bとで対称であり、同一の曲げ変形である。これが、実施の形態の段差曲げの特徴である。同一の曲げ変形になるのは、段差曲げ加工の開始から終了まで第1挟み付け部材4の両クランプ6,8と、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16とが、固定片12の一端側12aと他端側12bに対して隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して両挟み付け部材4,14を段差曲げ方向に平行に相対移動させることによる。
【0084】
次いで、図9で示すように、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16を第2駆動部20で昇降させて、第2挟み付け部材14による固定片12の他端側12bの挟み付けを解除する。
【0085】
次いで、図10で示すように、第1駆動部10で第1挟み付け部材4のクランプ6を上昇させることにより固定片12の一端側12aの挟み付けを解除する。
【0086】
最後に、図11で示すように、実施の形態の段差曲げ装置から段差曲げされた固定片12を取り出す。
【0087】
以上により、実施の形態の段差曲げ装置を用いて、平らな固定片12を段差曲げすることができる。
【0088】
特に、両挟み付け部材4,14を固定片12の段差曲げ高さ方向に相対的に平行移動させるだけで、固定片12を段差曲げすることができるので段差曲げ作業がきわめて簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0089】
そして、段差曲げ完了後に段差曲げ装置から固定片12を取り出しても、固定片12の一端側12aと他端側12bそれぞれに対応する段差面同士の平行度が保たれる。この両段差面同士の平行度が保たれる詳しい理由はさらに後述する。
【0090】
上記段差曲げは、第2挟み付け部材14の段差曲げ高さ方向の平行移動距離を設定することにより、1種類の平らな固定片12から種々の段差曲げ高さ(段差曲げ加工量)の固定片12を形成することができる。例えば、図12(a)は段差曲げ高さH1、図12(b)は段差曲げ高さH2、図12(c)は段差曲げ高さH3の各固定片12を示す。なお、上記では段差曲げ高さを説明の理解のためH1,H2,H3の3種類で説明したが、段差曲げ高さをそれ以上の段階で任意に設定することができることは勿論である。なお、この段差曲げ高さを任意に設定することが可能であるから、その段差曲げ角度も任意に設定することができる。
【0091】
この段差曲げ高さは、手動制御あるいは自動制御により任意に設定することができる。手動制御としては、第1、第2駆動部10,20をユーザが手動操作で駆動することにより第1挟み付け部材4に対して第2挟み付け部材14をユーザ操作で段差曲げ高さ方向に適宜の目盛りを参照しつつ平行移動させることにより可能である。自動制御としては、例えば、シーケンサ(登録商標)やパーソナルコンピュータにより設定することもできる。
【0092】
図13は、上述の図4のパソコン22によって制御する場合の構成図である。
【0093】
このパソコン22は、例えば、モータでそれぞれ構成される第1、第2駆動部10,20を駆動制御して第1、第2挟み付け部材4,14の挟み付け動作を制御する制御部22aと、プログラムが格納されているプログラムメモリ22bと、段差曲げ高さ(段差曲げ加工量)のデータ(例えば段差曲げ高さを制御モータの回転量を示すパルス数ないしはステップ数で決めることができるデータ)を格納するデータメモリ22cと、変位センサ25−1〜25−3からの計測値が与えられる入力部22dとを備えている。なお、段差曲げ加工量のデータは、ハードディスク等にデータベースとして格納してもよい。
【0094】
図14は、このパソコン22による動作を説明するためのフローチャートであり、図4のステップに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0095】
可動片が組み込まれたケースに対して、変位センサ25−1によって計測が行われ、上述の図3(a)に示すように、固定片が組み付けられる基準面24から可動接点13の接点面までの距離D3が算出されてパソコン22に与えられる(ステップS3)。
【0096】
平らな固定片12に対して、変位センサ25−2によって計測が行われ、上述の図3(b)に示すように、固定片12の組み付け面24aから固定接点15の接点面までの距離D6が算出されてパソコン22に与えられる(ステップS5)。
【0097】
パソコン22は、変位センサ25−1,25−2からの与えられる距離D3,D6および生産する機種のDF特性に対応した接点間隔Dに基づいて、目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)を算出し、目標とする段差曲げ加工量となるように、第1,第2駆動部10,20の駆動を制御する(ステップS6)。
【0098】
これによって、第1,第2駆動部10,20が駆動されて平らな固定片の段差曲げ加工が行なわれる(ステップS7)。
【0099】
次に、段差曲げ加工された固定片に対して、変位センサ25−3によって計測が行われ、上述の図5に示すように、段差曲げ加工された固定片12の組み付け面24aから固定接点15の接点面までの距離D6’が算出されてパソコン22に与えられる(ステップS8)。
【0100】
パソコン22は、実際の段差曲げ加工結果(=D−D3+D6’)と、上述の目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)との差ΔXを算出し、この差が所定の規格内にあることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込む(ステップS10)。
【0101】
上述のステップS9で、差ΔXが、所定の規格内にないときには、次回の段差曲げ加工量に修正値としてフィードバックする。
【0102】
次に、図15ないし図22を参照して、実施の形態の段差曲げ装置により、固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bそれぞれに形成した段差面が互いに平行に保たれる理由を説明する。
【0103】
図15は、第1挟み付け部材4で平らな固定片12の一端側12aの両面に隙間無く密接した状態で挟み付けしている状態を示す。この状態では固定片12の他端側12bは第2挟み付け部材14で挟み付けられていない。
【0104】
次に、図16で示すように、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16の対向間隔を狭めて固定片12の他端側12bを折曲げる。この場合の第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16による固定片12の他端側12b両面の挟み付けは、固定片12の他端側12bの両面とダイ18とパンチ16の両対向面との間に隙間が存在していて、固定片12の他端側12bの両面にダイ18とパンチ16とが密接しておらず隙間が存在している。
【0105】
図16では、固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bがそれぞれ折曲げられているが、固定片12の一端側12aの折曲起点A、Bに対して、固定片12の他端側12bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形形状が相違している。
【0106】
次いで、図17で示すように固定片12の他端側12bの両面を両スライド部材のスライド面で挟み付けて固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bそれぞれを折曲げる。
【0107】
最後に、図18で示すように、固定片12をクランプ機構とスライド機構とから取出した場合、固定片12の他端側12bの段差面がスプリングバックして仮想線から実線のごとくその先端が折れ下がっている。すなわち、固定片12の両段差面は平行度が無い状態となっている。
【0108】
このように固定片12の両段差面が平行度が保つことができないのは、図16で固定片12の一端側12aの折曲起点A、Bに対して、固定片12の他端側12bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形の形状が相違していることにより、スプリングバックが偏在することに原因する。
【0109】
これに対して実施の形態について図19ないし図22を参照して説明する。実施の形態では、まず、図19で示すように、固定片12が折曲げられていない平らな状態で第1挟み付け部材4と第2挟み付け部材14それぞれで固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bそれぞれを挟み付けている。
【0110】
この挟み付けの状態では、第1挟み付け部材4の両クランプは固定片12の一端側12aの両面に隙間が無い状態で密接しており、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16は固定片12の他端側12bの両面に隙間が無い状態で密接している。
【0111】
この場合、第1挟み付け部材4の両クランプは固定片12の一端側12aに強い力で密接しており、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16は固定片12の他端側12bに弱い力で密接している状態である。
【0112】
そして、図20で示すように段差曲げ加工開始から終了に至る過程で固定片12の他端側12bの両面に隙間が無い状態で密接した状態で両挟み付け部材4,14で挟み付けて第2挟み付け部材14を下降させると、固定片12は上述したようにその一端側12aと他端側12bそれぞれの折曲起点A,Bと、C,Dとは互いに対称な同形状で折曲げられる。
【0113】
そのため図21で曲げ変形が完了して固定片12を取り出すと、固定片12は図22で示すように固定片12の一端側12aと他端側12bそれぞれの段差面の平行度を保った状態になっている。この場合、スプリングバックが起こっても、固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bは共に同じ曲げ変形で対称であるため、スプリングバックはバランスされる結果、固定片12の一端側12aと他端側12bそれぞれの段差面の平行度は保たれることになる。
【0114】
本発明は、スイッチに限らず、一対の部品をケースに組み付ける製品、例えば、リレーその他の製品に適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、マイクロスイッチなどの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る製造方法によって製造されるマイクロスイッチの断面図である。
【図2】図1の要部の分解斜視図である。
【図3】本発明の製造方法の要部の工程を説明するための図である。
【図4】本発明に係る製造方法を用いた生産工程の流れを示す図である。
【図5】段差曲げ加工後の固定片の寸法の計測を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図7】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図8】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工している状態で示す図である。
【図9】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、第2挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図10】段差曲げ装置を段差曲げ終了後両挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図11】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、固定片を取り出す状態で示す図である。
【図12】図12(a)は段差曲げ高さH1、図12(b)は段差曲げ高さH2、図12(c)は段差曲げ高さH3の各固定片を示す図である。
【図13】段差曲げ装置の制御装置のブロック図である。
【図14】動作説明に供するフローチャートである。
【図15】本出願人が考案した別の段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図16】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けて段差曲げしている途中状態を示す図である。
【図17】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態を示す図である。
【図18】上記別の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図19】実施形態の段差曲げ装置を両挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図20】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げしている途中状態で示す図である。
【図21】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態で示す図である。
【図22】実施形態の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図23】マイクロスイッチの接点付近の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1 下ケース
2 装置台
4 第1挟み付け部材
6,8 クランプ
9 可動片
10 第1駆動部
12 固定片
12a 一端側
12b 他端側
14 第2挟み付け部材
16 パンチ
18 ダイ
20 第2駆動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに一対の部品が組み付けられる製品を製造する方法、スイッチの製造方法およびそれに用いる段差曲げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ、例えば、マイクロスイッチは、微小接点間隔とスナップアクション機構とを有し、接点の切り替えを行なうものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるマイクロスイッチは、図23に示すように、遊端部に可動接点13を備えた可動片9と、前記可動片9の遊端部に対向する開路(常開)側および閉路(常閉)側の固定接点17,15をそれぞれ備えた固定片19,12とを備えおり、図示しないアクチュエータを押圧操作することにより、可動接点13が、閉路側の固定接点15から開路側の固定接点17側に切り替わるものである。なお、図23は、アクチュエータを押圧操作した作動状態を示している。
【特許文献1】特開2003−317573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のマイクロスイッチでは、比較的大きな変位を検出したいといったユーザや微小な変位を検出したいといったユーザの種々の要求仕様に応じて、多種類の接点間隔Dのマイクロスイッチが求められる。
【0005】
上記構成のマイクロスイッチは、圧力計、温度計、湿度計に組み込まれて、水圧や、油圧、空気圧を検出するが、測定対象により圧力などの差が複数あり、ユーザーの要求仕様が多くなるという課題が有る。例えば、圧力計に組み込む場合には、圧力変化に対応した動きや力の差が要求されて、その動きをスイッチの接点間隔Dに対応させて、力の差をDF特性(動作力と復帰力の差)に対応させて、所要の圧力変化を検出している。よって、圧力検出幅に対応したDF特性が要求される。
【0006】
従来では、DF特性に対応した接点間隔が異なる多くの機種毎に、予め専用の金型で接点間隔に対応してそれぞれ曲げ加工された多種類の固定片を準備し、各機種に対応する設備やラインを利用して多種類のマイクロスイッチの生産が行なわれていた。
【0007】
このように機種毎に、対応する固定片を使用して設備やラインを用いて生産するために、多種少量生産では機種毎の固定片の在庫が多くなり、設備やラインが増えて固定片の変更の手間がかかるといった難点がある。
【0008】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、可動片と固定片といったように一対の部品間の間隔が品種毎に異なる製品の生産性を向上してコストの低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の製品の製造方法は、少なくとも一対の部品が、ケースに組み付けられる製品を製造する方法であって、前記一対の部品間の対向間隔が、所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けるものである。
【0010】
所要の間隔は、各品種に個別的に対応する間隔であるのが好ましい。
【0011】
一方の部品材料は、平らな材料であるのが好ましい。
【0012】
他方の部品との位置関係は、ケースに組み付けた他方の部品に対して、一方の部品材料を組み付けたと想定した場合の位置関係であるのが好ましい。
【0013】
本発明によると、一対の部品間の対向間隔が所要の間隔になるように、一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、段差曲げ加工して一方の部品を得るので、段差曲げ加工の加工量を調整することによって、多品種に容易に対応することが可能となり、しかも、1種類の前記一方の部品材料のみで対応できることになる。これによって、品種毎に部品の在庫を準備したり、各製造ラインを設ける必要がなく、これによって、多品種少量生産される製品の生産性を高めて、コストの低減を図ることができる。
【0014】
(2)本発明の製品の製造方法の好ましい実施形態では、前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なうものである。
【0015】
この実施形態によると、段差曲げ装置を用いて、平らな薄板材の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、平らな薄板材の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより、一端側と他端側と段差面を平行に保った段差曲げが可能となり、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0016】
(3)本発明のスイッチの製造方法は、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチを製造する方法であって、前記固定接点と前記可動接点との接点間隔が、各機種に個別的に対応した所要の接点間隔になるように、1種類の固定片材料を、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して前記固定片とし、該固定片を前記ケースに組み付けるものである。
【0017】
1種類の固定片材料は、平らな固定片であるのが好ましい。
【0018】
本発明のスイッチの製造方法によると、1種類の固定片材料を、段差曲げ加工するので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの固定片の固定接点と可動片の可動接点との接点間隔を調整できることになり、1種類の固定片材料で、接点間隔が異なる多種類の仕様のスイッチの製造に容易に対応できることになる。
【0019】
これによって、機種毎に予め曲げ加工された固定片の在庫を準備したり、各製造ラインを設ける必要がなく、これによって、多品種少量生産されるスイッチの生産性を高めて、コストの低減を図ることができる。
【0020】
また、固定片の一端側と他端側との段差面が平行になるように段差曲げ加工するので、一端側の固定接点と、他端側のケースに対する取り付け面とが平行となり、接点を開閉した場合に、接点の消耗は生じるけれども、平行でない固定片に比べて、接点の接触状態が良好となり、スイッチ品質の長期間の維持が可能となる。
【0021】
(4)本発明のスイッチの製造方法の一つの実施形態では、前記段差曲げ加工は、前記1種類の固定片材料である平らな固定片の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なうものである。
【0022】
平らな固定片の一端側を折り曲げ、この一端側から所定間隔隔てた他端側を逆方向に折り曲げて段差曲げする場合に、一端側と他端側と段差面を平行に保たせるのが困難である。
【0023】
この実施形態によると、段差曲げ装置を用いて、平らな固定片の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、平らな固定片の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより、一端側と他端側と段差面を平行に保った段差曲げが可能となり、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0024】
(5)上記(4)の実施形態では、前記一端側または前記他端側に前記固定接点を有する前記平らな固定片を予め準備する第1の工程と、前記平らな固定片を前記ケースに組み付けたと想定したときの、前記可動接点と該平らな固定片の固定接点との接点間隔を求める第2の工程と、求めた接点間隔を、前記所要の接点間隔にするのに必要な前記段差曲げ加工の加工量を算出する第3の工程と、算出した加工量に従って、前記平らな固定片を、前記段差曲げ加工する第4の工程とを含むものである。
【0025】
この実施形態によると、平らな固定片をケースに組み付けたと想定したときの接点間隔を求め、それに基づいて、所要の接点間隔にするために必要な段差曲げ加工の加工量を算出するので、段差曲げ加工を行なう前に、固定片をケースに組み付ける必要がなく、段差曲げ加工を行なった後の固定片を、ケースに組み付ければよい。
【0026】
(6)上記(5)の実施形態では、前記第2の工程は、第1の距離を求める工程と、第2の距離を求める工程と、前記第1,第2の距離から前記接点間隔を算出する工程とを含み、前記第1の距離は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点と、前記固定片が組み付けられるケースの基準面との距離とし、前記第2の距離は、前記平らな固定片の固定接点と該平らな固定片の前記基準面に対する組み付け面との距離としてもよい。
【0027】
この実施形態によると、ケースに可動片を組み付けた状態で基準面に対する距離を求めるので、ケース内の部品の寸法のバラツキなどを含めて、所要の接点間隔にするための段差曲げ加工の加工量を算出することができる。
【0028】
(7)上記(6)の実施形態では、前記第1の距離を求める工程は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点の位置をセンサで計測する一方、前記固定片が組み付けられる前記基準面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第1の距離を算出し、前記2の距離を求める工程は、前記平らな固定片の固定接点の位置をセンサで計測する一方、該固定片の前記基準面に対する組み付け面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第2の距離を算出するようにしてもよい。
【0029】
この実施形態によると、固定片が組み付けられるケースの基準面に対する可動接点の位置および固定接点の位置をそれぞれ計測し、計測された両位置から接点間隔を算出することができる。
【0030】
(8)本発明の段差曲げ装置は、固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチの前記固定片を、一端側または他端側に前記固定接点を有する平らな固定片から段差曲げ加工して製造する段差曲げ装置であって、前記平らな固定片の前記一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を上記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができるようになっている。
【0031】
上記の場合、両挟み付け部材は相対移動することができればよく、一方の挟み付け部材を固定とし、他方の挟み付け部材のみを移動可能としたり、両挟み付け部材を共に逆方向に移動可能としてもよい。あるいは、両挟み付け部材を同じ方向に移動させると共に、その移動速度を異ならせる態様も含む。
【0032】
上記隙間無く密接とは例えば挟み付け部材の両挟み付け面による固定片の両面に対する挟み付け力を強くして隙間無く密接させる状態や、挟み付け部材の両挟み付け面の摩擦係数を小さく例えば鏡面程度にして滑り易い状態で隙間無く密接させる状態を含む。
【0033】
本発明の段差曲げ装置によると、固定片の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、固定片の他方側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けた状態で両挟み付け部材を段差曲げ高さに対応して相対移動させることにより段差曲げすることができるので、所望の段差曲げ作業が簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0034】
この場合、固定片の一端側を一方の挟み付け部材で強く挟み付けて固定し、固定片の他端側を他方の挟み付け部材で弱い力で挟み付けるのは、隙間無く密着させた状態で一方の挟み付け部材の両面間で固定片が滑らない様にする為である。したがって、この意味からすると、段差曲げ中に一方の挟み付け部材の両面が固定片の両面に滑らないように隙間無く密着してさえいれば、一方の挟み付け部材の挟み付け力と他方の挟み付け部材の挟み付け力とを同等とすると共に、例えば、固定片に位置決め穴を空けておき、その位置決め穴に一方の挟み付け部材側に固定した位置決めピンを入れて、固定片を保持して滑らないようにしてもよい。
【0035】
さらに、段差曲げ開始から段差曲げ終了までの過程で両挟み付け部材で固定片の一端側と他端側それぞれを隙間無く密接した状態で相対移動するので固定片の一端側の両面それぞれの折曲起点での曲げ形状と、固定片の他端側の両面それぞれの折曲起点での曲げ形状とが対称な同形状を保ちつつ段差曲げされて当該一端側と他端側それぞれに段差曲げ高さが異なる段差面を形成するので、段差曲げ完了後の固定片は、その一端側の段差面と他端側の段差面との平行度が保たれる。
【0036】
(9)本発明の段差曲げ装置の好ましい実施形態では、前記第1挟み付け部材を第2挟み付け部材に対して相対的に平行移動可能としてもよい。
【0037】
(10)本発明の段差曲げ装置の他の実施形態では、前記段差曲げ加工の加工量を、無段階に制御可能な制御手段を備え、該制御手段は、前記平らな固定片と前記ケースに組み込まれた前記可動片との測定値から、所要の接点間隔に対応した、前記平らな固定片に必要な所定の段差を演算する演算部と、アクチュエータを制御することにより、前記平らな固定片を、前記所定の段差に無段階に曲げ加工する制御部とを備えるものである。
【0038】
制御手段は、例えば、パーソナルコンピュータやシーケンサなどが好ましい。
【0039】
アクチュエータは、例えば、サーボモータなどが好ましい。
【0040】
この実施形態によると、平らな固定片とケースに組み込まれた可動片との測定値から、接点間隔を得るための段差曲げ加工量に対応する所定の段差を演算し、無段階の段差曲げ加工を行うので、任意の接点間隔のスイッチの製造に対応できるとともに、自動化を図るのが容易となる。
【0041】
(11)上記(10)の実施形態では、前記制御手段は、前記スイッチの機種変更に応じて、前記スイッチの各機種に個別的に対応する前記所要の接点間隔のデータが格納されたデータベースから対応する所要の接点間隔のデータを取り込み、取り込んだ所要の接点間隔になるように、前記段差曲げ加工量を変更するようにしてもよい。
【0042】
この実施形態によると、生産されるスイッチの機種が変更されると、変更された機種に対応する所要の接点間隔のデータを取り込み、所要の接点間隔になるように段差曲げ加工量を変更するので、容易に機種変更に対応できることになる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によると、一対の部品の内の一方の部品材料を、段差曲げ加工して一方の部品とするので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの一対の部品間の間隔を調整できることになり、前記間隔が異なる多種類の品種の製造に容易に対応できることになる。
【0044】
特に、1種類の固定片材料である平らな固定片を、段差曲げ加工するので、この段差曲げ加工の加工量を調整することによって、ケースに組み付けたときの固定片の固定接点と可動片の可動接点との接点間隔を調整できることになり、平らな固定片の1種類で、接点間隔が異なる多種類の機種のスイッチの製造に容易に対応できることになる。これによって、機種毎に予め曲げ加工された固定片の在庫を準備したり、各製造ラインを設ける必要がなく、これによって、多品種少量生産されるスイッチの生産性を高めて、コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面によって、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0046】
図1は、マイクロスイッチの断面図であり、図2はその要部の分解斜視図である。
【0047】
スイッチケースの下ケース1には、共通固定端子3、常閉固定端子5および常開固定端子7が設けられている。共通固定端子3には、可動片9の基端側が支持されており、さらに、この共通固定端子3には、前記可動片9のスナップアクション用の一対の圧縮ばね部9aの基端側を係合溝11aでそれぞれ係合支持する一対の受け金11が装備されている。
【0048】
常閉固定端子5および常開固定端子7には、可動片9の遊端側の可動接点13が接離する固定接点15,17をそれぞれ有する固定片12,19がそれぞれ設けられている。
【0049】
カバーケース21には、可動片9の基端側に当接作用するアクチュエータとしての押しボタン23が支持されている。
【0050】
押しボタン23に外力をかけない常態においては、図示のように、圧縮ばね部9aの弾性復元力によって可動片9の遊端側が上方に付勢変位されて可動接点13が固定片12の固定接点(常閉接点)15に接触維持されている。
【0051】
押しボタン23が押し込み操作されて可動片9が下方変位して動作位置に達すると、瞬時に圧縮ばね部9aの弾性復元力が可動片9を下方に付勢変位するように反転し、可動接点13が固定片19の固定接点(常開接点)17に接触されて接点切換が行われる。
【0052】
また、復帰に際しては、押しボタン23が上方に変位し、前記動作位置を過ぎた戻りの位置に達すると、圧縮ばね部9aの弾性復元力が可動片9を上方に付勢変位するように反転し、可動接点13が固定片12の固定接点15に接触されて復帰する。
【0053】
この実施形態のスイッチの製造方法では、接点間隔が異なる多種類のマイクロスイッチの生産性を高めるために、次のようにしている。
【0054】
すなわち、図3(a)に示すように開路(常開接点)側の固定片19および可動片9を下ケース1に組み付け、可動接点13を、固定接点17に圧接した作動状態で、閉路(常閉接点)側の固定片12が組み付けられる基準面24の寸法D1と、可動接点13の上側の接点面寸法D2とを、変位センサ25−1を用いて計測し、第1の距離として、その差D3(=D2−D1)を算出する。
【0055】
次に、図3(b)に示す固定片材料としての真っ直ぐで平らな閉路側の固定片12の、前記基準面24に対する組み付け面24aの寸法D4と、固定接点15の接点面寸法D5とを、変位センサ25−2で計測し、第2の距離として、その差D6(=D4−D5)を算出する。
【0056】
次に、上記差D3,D6の和の寸法が、生産する機種に対応する接点間隔の規格に入るように、平らな固定片12を、図3(c)に示すように後述の段差曲げ装置26によって段差曲げ加工し、段差曲げ加工した固定片12の寸法を確認した後、この固定片12を、下ケース1の基準面24にカシメ固定して取り付ける。
【0057】
図4は、以上の製造方法による各工程の流れを示す図である。
【0058】
先ず、ケースを供給し(ステップS1)、ケース内に可動片等を組み込み(ステップS2)、変位センサ25−1によって可動片の位置、すなわち、上述の図3(a)の寸法を計測し(ステップS3)、その計測値が、後述のパソコン22に与えられる。
【0059】
一方、固定片材料としての平らな固定片を供給し(ステップS4)、変位センサ25−2によって、固定片の位置、すなわち、上述の図3(b)の寸法を計測し(ステップS5)、その計測値が、パソコン22に与えられる。
【0060】
パソコン22は、変位センサ25−1,25−2からの計測値に基づいて、製品であるスイッチの機種に応じた仕様、例えば、仕様F,G,Hに対応する接点間隔にするための平らな固定片の目標とする段差曲げ加工量を算出し(ステップS6)、段差曲げ装置を制御して、平らな固定片を製品仕様に応じて段差曲げ加工する(ステップS7)。
【0061】
次に、図5に示すように、段差曲げ加工された固定片12の組み付け面24aの寸法D4と、固定接点15の接点面寸法D5’とを、変位センサ25−3で計測して、その差D6’(=D4−D5’)を算出してパソコン22に与える(ステップS8)。
【0062】
パソコン22は、目標とする段差曲げ加工量となっていることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された各仕様に対応する固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込み(ステップS10)、製品特性を検査して(ステップS11)、各種の製品、例えば、製品F,G,Hが完成する。
【0063】
なお、ステップS9において、目標とする段差曲げ加工量となっていない場合には、目標とする段差曲げ加工量にするための修正値を算出し、その修正値を、以降の段差曲げ加工に利用する。
【0064】
このように、ケースに組み込まれた可動片の位置を計測する一方、平らな固定片の位置を計測し、その計測値から製品仕様、すなわち、機種に応じた段差曲げ加工量を算出し、その加工量で固定片を段差曲げ加工してケースに組み込むので、一種類の固定片を用いて、多種類の機種に対応できることになり、また、機種毎に、設備やラインを変更する必要もない。
【0065】
次に、段差曲げ装置26による段差曲げ加工について、詳細に説明する。図6ないし図11は、段差曲げ装置による段差曲げ加工を示す概略構成図である。
【0066】
装置台2上に第1挟み付け部材4が配備されている。第1挟み付け部材4は上下一対のクランプ6,8から構成されている。両クランプ6,8は互いの対向面(挟み付け面)を対向させて上下に配置されており、第1駆動部10により上側のクランプ6が上下方向に駆動されて平らな固定片12の一端側12aの両面を隙間無く密接に挟み付けて固定することができるようになっており、クランブ8には、固定接点15に応じた凹部が形成されている。
【0067】
装置台2上には第2挟み付け部材14が配備されている。第2挟み付け部材14は上側のパンチ16と下側のダイ18とから構成されている。このパンチ16とダイ18は第2駆動部20により個別に上下方向に移動して固定片12の他端側12bを隙間無く密接に挟み付けることができるようになっている。
【0068】
この場合、第1挟み付け部材4による平らな固定片12の一端側12aの両面の挟み付け力は強く、第2挟み付け部材14による平らな固定片12の他端側12bの両面の挟み付け力は弱く設定されている。
【0069】
この設定は、第1駆動部10、第2駆動部20により行うことができる。
【0070】
例えば第1駆動部10ではモータと歯車とで第1挟み付け部材を駆動して強い挟み付け力で平らな固定片12の一端側12aの両面を挟み付け固定する。
【0071】
例えば第2駆動部20ではエアシリンダ等のダンパにより弱い挟み付け力で平らな固定片12の他端側12bの両面を挟み付ける。
【0072】
次に図6ないし図11を参照して動作を説明する。
【0073】
まず、図6で示すように、平らな固定片12の一端側12aを第1挟み付け部材4の下側クランプ8のクランプ面上に載置した状態で両クランプ6,8間に配置すると共に固定片12の他端側12bを第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16との間に配置する。
【0074】
次いで、図7で示すように第1挟み付け部材4の上側クランプ6を第1駆動部10で下降駆動して両クランプ6,8で固定片12の一端側12aの両面を隙間が無い密接状態で挟み付け固定する。この挟み付け力は固定片12が移動することができない程度に強く設定された力である。
【0075】
一方、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16を第2駆動部20で昇降移動させて固定片12の他端側12bの両面をダイ18とパンチ16とで弱い力で隙間が無い密接状態で挟み付ける。
【0076】
ここで第1挟み付け部材4の挟み付け力は、第2挟み付け部材14を上昇させても固定片12の一端側12aを固定することができる程度の力である。
【0077】
第2挟み付け部材14の挟み付け力は固定片12の他端側12bがダイ18とパンチ16との対向面間を滑り動くことができる程度の力である。したがって、ダイ18とパンチ16の対向面の面粗さは鏡面でも構わない。また、固定片12の他端側12bはダイ18とパンチ16の両対向面に隙間が無い密接状態で横滑りすることができるようになっている。
【0078】
ここで、固定片12の一端側12aの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点A,下側を折曲起点Bとし、固定片12の他端側12bの挟み付けられている境界部分のうち上側を折曲起点C,下側を折曲起点Dとする。
【0079】
次いで、図8で示すように、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16を、それらが固定片12の他端側12bの両面を隙間無く密接した状態で、下方向に一体に同期下降させる。この下降移動により、平らな固定片12は段差曲げされる。
【0080】
この場合、固定片12の一端側12aは第1挟み付け部材4の両クランプ6,8で隙間無く密接して固定された状態で折曲げられる。
【0081】
一方、固定片12の他端側12bは第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16との間で隙間無く密接して挟み付けられた状態で折曲げられる。
【0082】
そのため、図8の円で囲む部分を拡大して示すように、固定片12の一端側12aの上側折曲起点Aは伸び側に曲げ変形し、下側折曲起点Bは縮み側に曲げ変形する。固定片12の他端側12bの上側折曲起点Cは縮み側に曲げ変形し、下側折曲起点Dは伸び側に曲げ変形する。
【0083】
以上の曲げ変形の形状は、固定片12の一端側12a側と固定片12の他端側12bとで対称であり、同一の曲げ変形である。これが、実施の形態の段差曲げの特徴である。同一の曲げ変形になるのは、段差曲げ加工の開始から終了まで第1挟み付け部材4の両クランプ6,8と、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16とが、固定片12の一端側12aと他端側12bに対して隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して両挟み付け部材4,14を段差曲げ方向に平行に相対移動させることによる。
【0084】
次いで、図9で示すように、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16を第2駆動部20で昇降させて、第2挟み付け部材14による固定片12の他端側12bの挟み付けを解除する。
【0085】
次いで、図10で示すように、第1駆動部10で第1挟み付け部材4のクランプ6を上昇させることにより固定片12の一端側12aの挟み付けを解除する。
【0086】
最後に、図11で示すように、実施の形態の段差曲げ装置から段差曲げされた固定片12を取り出す。
【0087】
以上により、実施の形態の段差曲げ装置を用いて、平らな固定片12を段差曲げすることができる。
【0088】
特に、両挟み付け部材4,14を固定片12の段差曲げ高さ方向に相対的に平行移動させるだけで、固定片12を段差曲げすることができるので段差曲げ作業がきわめて簡単で時間もかかることなく容易迅速に行うことができる。
【0089】
そして、段差曲げ完了後に段差曲げ装置から固定片12を取り出しても、固定片12の一端側12aと他端側12bそれぞれに対応する段差面同士の平行度が保たれる。この両段差面同士の平行度が保たれる詳しい理由はさらに後述する。
【0090】
上記段差曲げは、第2挟み付け部材14の段差曲げ高さ方向の平行移動距離を設定することにより、1種類の平らな固定片12から種々の段差曲げ高さ(段差曲げ加工量)の固定片12を形成することができる。例えば、図12(a)は段差曲げ高さH1、図12(b)は段差曲げ高さH2、図12(c)は段差曲げ高さH3の各固定片12を示す。なお、上記では段差曲げ高さを説明の理解のためH1,H2,H3の3種類で説明したが、段差曲げ高さをそれ以上の段階で任意に設定することができることは勿論である。なお、この段差曲げ高さを任意に設定することが可能であるから、その段差曲げ角度も任意に設定することができる。
【0091】
この段差曲げ高さは、手動制御あるいは自動制御により任意に設定することができる。手動制御としては、第1、第2駆動部10,20をユーザが手動操作で駆動することにより第1挟み付け部材4に対して第2挟み付け部材14をユーザ操作で段差曲げ高さ方向に適宜の目盛りを参照しつつ平行移動させることにより可能である。自動制御としては、例えば、シーケンサ(登録商標)やパーソナルコンピュータにより設定することもできる。
【0092】
図13は、上述の図4のパソコン22によって制御する場合の構成図である。
【0093】
このパソコン22は、例えば、モータでそれぞれ構成される第1、第2駆動部10,20を駆動制御して第1、第2挟み付け部材4,14の挟み付け動作を制御する制御部22aと、プログラムが格納されているプログラムメモリ22bと、段差曲げ高さ(段差曲げ加工量)のデータ(例えば段差曲げ高さを制御モータの回転量を示すパルス数ないしはステップ数で決めることができるデータ)を格納するデータメモリ22cと、変位センサ25−1〜25−3からの計測値が与えられる入力部22dとを備えている。なお、段差曲げ加工量のデータは、ハードディスク等にデータベースとして格納してもよい。
【0094】
図14は、このパソコン22による動作を説明するためのフローチャートであり、図4のステップに対応する部分には、同一の符号を付す。
【0095】
可動片が組み込まれたケースに対して、変位センサ25−1によって計測が行われ、上述の図3(a)に示すように、固定片が組み付けられる基準面24から可動接点13の接点面までの距離D3が算出されてパソコン22に与えられる(ステップS3)。
【0096】
平らな固定片12に対して、変位センサ25−2によって計測が行われ、上述の図3(b)に示すように、固定片12の組み付け面24aから固定接点15の接点面までの距離D6が算出されてパソコン22に与えられる(ステップS5)。
【0097】
パソコン22は、変位センサ25−1,25−2からの与えられる距離D3,D6および生産する機種のDF特性に対応した接点間隔Dに基づいて、目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)を算出し、目標とする段差曲げ加工量となるように、第1,第2駆動部10,20の駆動を制御する(ステップS6)。
【0098】
これによって、第1,第2駆動部10,20が駆動されて平らな固定片の段差曲げ加工が行なわれる(ステップS7)。
【0099】
次に、段差曲げ加工された固定片に対して、変位センサ25−3によって計測が行われ、上述の図5に示すように、段差曲げ加工された固定片12の組み付け面24aから固定接点15の接点面までの距離D6’が算出されてパソコン22に与えられる(ステップS8)。
【0100】
パソコン22は、実際の段差曲げ加工結果(=D−D3+D6’)と、上述の目標とする段差曲げ加工量(=D−D3+D6)との差ΔXを算出し、この差が所定の規格内にあることを確認し(ステップS9)、段差曲げ加工された固定片を、可動片等が組み込まれたケースに組み込む(ステップS10)。
【0101】
上述のステップS9で、差ΔXが、所定の規格内にないときには、次回の段差曲げ加工量に修正値としてフィードバックする。
【0102】
次に、図15ないし図22を参照して、実施の形態の段差曲げ装置により、固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bそれぞれに形成した段差面が互いに平行に保たれる理由を説明する。
【0103】
図15は、第1挟み付け部材4で平らな固定片12の一端側12aの両面に隙間無く密接した状態で挟み付けしている状態を示す。この状態では固定片12の他端側12bは第2挟み付け部材14で挟み付けられていない。
【0104】
次に、図16で示すように、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16の対向間隔を狭めて固定片12の他端側12bを折曲げる。この場合の第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16による固定片12の他端側12b両面の挟み付けは、固定片12の他端側12bの両面とダイ18とパンチ16の両対向面との間に隙間が存在していて、固定片12の他端側12bの両面にダイ18とパンチ16とが密接しておらず隙間が存在している。
【0105】
図16では、固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bがそれぞれ折曲げられているが、固定片12の一端側12aの折曲起点A、Bに対して、固定片12の他端側12bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形形状が相違している。
【0106】
次いで、図17で示すように固定片12の他端側12bの両面を両スライド部材のスライド面で挟み付けて固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bそれぞれを折曲げる。
【0107】
最後に、図18で示すように、固定片12をクランプ機構とスライド機構とから取出した場合、固定片12の他端側12bの段差面がスプリングバックして仮想線から実線のごとくその先端が折れ下がっている。すなわち、固定片12の両段差面は平行度が無い状態となっている。
【0108】
このように固定片12の両段差面が平行度が保つことができないのは、図16で固定片12の一端側12aの折曲起点A、Bに対して、固定片12の他端側12bの折曲起点C、Dは対称ではなく、曲げ変形の形状が相違していることにより、スプリングバックが偏在することに原因する。
【0109】
これに対して実施の形態について図19ないし図22を参照して説明する。実施の形態では、まず、図19で示すように、固定片12が折曲げられていない平らな状態で第1挟み付け部材4と第2挟み付け部材14それぞれで固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bそれぞれを挟み付けている。
【0110】
この挟み付けの状態では、第1挟み付け部材4の両クランプは固定片12の一端側12aの両面に隙間が無い状態で密接しており、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16は固定片12の他端側12bの両面に隙間が無い状態で密接している。
【0111】
この場合、第1挟み付け部材4の両クランプは固定片12の一端側12aに強い力で密接しており、第2挟み付け部材14のダイ18とパンチ16は固定片12の他端側12bに弱い力で密接している状態である。
【0112】
そして、図20で示すように段差曲げ加工開始から終了に至る過程で固定片12の他端側12bの両面に隙間が無い状態で密接した状態で両挟み付け部材4,14で挟み付けて第2挟み付け部材14を下降させると、固定片12は上述したようにその一端側12aと他端側12bそれぞれの折曲起点A,Bと、C,Dとは互いに対称な同形状で折曲げられる。
【0113】
そのため図21で曲げ変形が完了して固定片12を取り出すと、固定片12は図22で示すように固定片12の一端側12aと他端側12bそれぞれの段差面の平行度を保った状態になっている。この場合、スプリングバックが起こっても、固定片12の一端側12aと固定片12の他端側12bは共に同じ曲げ変形で対称であるため、スプリングバックはバランスされる結果、固定片12の一端側12aと他端側12bそれぞれの段差面の平行度は保たれることになる。
【0114】
本発明は、スイッチに限らず、一対の部品をケースに組み付ける製品、例えば、リレーその他の製品に適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、マイクロスイッチなどの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係る製造方法によって製造されるマイクロスイッチの断面図である。
【図2】図1の要部の分解斜視図である。
【図3】本発明の製造方法の要部の工程を説明するための図である。
【図4】本発明に係る製造方法を用いた生産工程の流れを示す図である。
【図5】段差曲げ加工後の固定片の寸法の計測を説明するための図である。
【図6】本発明の実施形態に係る段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図7】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図8】段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工している状態で示す図である。
【図9】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、第2挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図10】段差曲げ装置を段差曲げ終了後両挟み付け部材での固定片の挟み付けを解除した状態で示す図である。
【図11】段差曲げ装置を段差曲げ終了後、固定片を取り出す状態で示す図である。
【図12】図12(a)は段差曲げ高さH1、図12(b)は段差曲げ高さH2、図12(c)は段差曲げ高さH3の各固定片を示す図である。
【図13】段差曲げ装置の制御装置のブロック図である。
【図14】動作説明に供するフローチャートである。
【図15】本出願人が考案した別の段差曲げ装置を固定片が配置されている状態で示す図である。
【図16】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を挟み付けて段差曲げしている途中状態を示す図である。
【図17】上記別の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態を示す図である。
【図18】上記別の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図19】実施形態の段差曲げ装置を両挟み付け部材で固定片を挟み付けている状態で示す図である。
【図20】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げしている途中状態で示す図である。
【図21】実施形態の段差曲げ装置を2つの挟み付け部材で固定片を段差曲げ加工した状態で示す図である。
【図22】実施形態の段差曲げ装置で段差曲げされた固定片を示す図である。
【図23】マイクロスイッチの接点付近の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0117】
1 下ケース
2 装置台
4 第1挟み付け部材
6,8 クランプ
9 可動片
10 第1駆動部
12 固定片
12a 一端側
12b 他端側
14 第2挟み付け部材
16 パンチ
18 ダイ
20 第2駆動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の部品が、ケースに組み付けられる製品を製造する方法であって、
前記一対の部品間の対向間隔が、所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、
得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けることを特徴とする製品の製造方法。
【請求項2】
前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、
前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なう請求項1に記載の製品の製造方法。
【請求項3】
固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチを製造する方法であって、
前記固定接点と前記可動接点との接点間隔が、各機種に個別的に対応した所要の接点間隔になるように、1種類の固定片材料を、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して前記固定片とし、該固定片を前記ケースに組み付けることを特徴とするスイッチの製造方法。
【請求項4】
前記段差曲げ加工は、前記1種類の固定片材料である平らな固定片の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なう請求項3に記載のスイッチの製造方法。
【請求項5】
前記一端側または前記他端側に前記固定接点を有する前記平らな固定片を予め準備する第1の工程と、
前記平らな固定片を前記ケースに組み付けたと想定したときの、前記可動接点と該平らな固定片の固定接点との接点間隔を求める第2の工程と、
求めた接点間隔を、前記所要の接点間隔にするのに必要な前記段差曲げ加工の加工量を算出する第3の工程と、
算出した加工量に従って、前記平らな固定片を、前記段差曲げ加工する第4の工程と、
を含む請求項4に記載のスイッチの製造方法。
【請求項6】
前記第2の工程は、第1の距離を求める工程と、第2の距離を求める工程と、前記第1,第2の距離から前記接点間隔を算出する工程とを含むものであり、
前記第1の距離は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点と、前記固定片が組み付けられるケースの基準面との距離であり、
前記第2の距離は、前記平らな固定片の固定接点と該平らな固定片の前記基準面に対する組み付け面との距離である請求項5に記載のスイッチの製造方法。
【請求項7】
前記第1の距離を求める工程は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点の位置をセンサで計測する一方、前記固定片が組み付けられる前記基準面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第1の距離を算出するものであり、
前記2の距離を求める工程は、前記平らな固定片の固定接点の位置をセンサで計測する一方、該固定片の前記基準面に対する組み付け面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第2の距離を算出する請求項6に記載のスイッチの製造方法。
【請求項8】
固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチの前記固定片を、一端側または他端側に前記固定接点を有する平らな固定片から段差曲げ加工して製造する段差曲げ装置であって、
前記平らな固定片の前記一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を上記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、
前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができるようになっている、ことを特徴とする段差曲げ装置。
【請求項9】
前記第1挟み付け部材を第2挟み付け部材に対して相対的に平行移動可能とした請求項8に記載の段差曲げ装置。
【請求項10】
前記段差曲げ加工の加工量を、無段階に制御可能な制御手段を備え、該制御手段は、前記平らな固定片と前記ケースに組み込まれた前記可動片との測定値から、所要の接点間隔に対応した、前記平らな固定片に必要な所定の段差を演算する演算部と、アクチュエータを制御することにより、前記平らな固定片を、前記所定の段差に無段階に曲げ加工する制御部とを備える請求項8または9に記載の段差曲げ装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記スイッチの機種変更に応じて、前記スイッチの各機種に個別的に対応する前記所要の接点間隔のデータが格納されたデータベースから対応する所要の接点間隔のデータを取り込み、取り込んだ所要の接点間隔になるように、前記段差曲げ加工量を変更する請求項10に記載の段差曲げ装置。
【請求項1】
少なくとも一対の部品が、ケースに組み付けられる製品を製造する方法であって、
前記一対の部品間の対向間隔が、所要の間隔になるように、前記一対の部品の内の一方の部品材料を、他方の部品との位置関係に基づいて、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して一方の部品を得、
得られた一方の部品を、前記他方の部品と対向させて前記ケースに組み付けることを特徴とする製品の製造方法。
【請求項2】
前記一方の部品材料は、平らな薄板材からなり、
前記段差曲げ加工は、前記平らな薄板材の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな薄板材の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なう請求項1に記載の製品の製造方法。
【請求項3】
固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチを製造する方法であって、
前記固定接点と前記可動接点との接点間隔が、各機種に個別的に対応した所要の接点間隔になるように、1種類の固定片材料を、その一端側と他端側との段差面が平行になるように所定の段差に段差曲げ加工して前記固定片とし、該固定片を前記ケースに組み付けることを特徴とするスイッチの製造方法。
【請求項4】
前記段差曲げ加工は、前記1種類の固定片材料である平らな固定片の一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を前記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができる段差曲げ装置を用いて行なう請求項3に記載のスイッチの製造方法。
【請求項5】
前記一端側または前記他端側に前記固定接点を有する前記平らな固定片を予め準備する第1の工程と、
前記平らな固定片を前記ケースに組み付けたと想定したときの、前記可動接点と該平らな固定片の固定接点との接点間隔を求める第2の工程と、
求めた接点間隔を、前記所要の接点間隔にするのに必要な前記段差曲げ加工の加工量を算出する第3の工程と、
算出した加工量に従って、前記平らな固定片を、前記段差曲げ加工する第4の工程と、
を含む請求項4に記載のスイッチの製造方法。
【請求項6】
前記第2の工程は、第1の距離を求める工程と、第2の距離を求める工程と、前記第1,第2の距離から前記接点間隔を算出する工程とを含むものであり、
前記第1の距離は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点と、前記固定片が組み付けられるケースの基準面との距離であり、
前記第2の距離は、前記平らな固定片の固定接点と該平らな固定片の前記基準面に対する組み付け面との距離である請求項5に記載のスイッチの製造方法。
【請求項7】
前記第1の距離を求める工程は、前記ケースに組み付けた作動状態に対応した前記可動片の可動接点の位置をセンサで計測する一方、前記固定片が組み付けられる前記基準面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第1の距離を算出するものであり、
前記2の距離を求める工程は、前記平らな固定片の固定接点の位置をセンサで計測する一方、該固定片の前記基準面に対する組み付け面の位置をセンサで計測し、計測された前記両位置から前記第2の距離を算出する請求項6に記載のスイッチの製造方法。
【請求項8】
固定接点を有する固定片と、前記固定接点に接離する可動接点を有する可動片とが、ケースに組み込まれるスイッチの前記固定片を、一端側または他端側に前記固定接点を有する平らな固定片から段差曲げ加工して製造する段差曲げ装置であって、
前記平らな固定片の前記一端側の両面を隙間無く密接して挟み付ける第1挟み付け部材と、前記平らな固定片の他端側の両面を上記第1挟み付け部材の挟み付け力よりも弱い挟み付け力で隙間無く密接して挟み付ける第2挟み付け部材とを備え、
前記両挟み付け部材を段差曲げ加工の開始から終了まで前記隙間無く密接して挟み付けた状態を保持して段差曲げ方向に平行に相対移動させることができるようになっている、ことを特徴とする段差曲げ装置。
【請求項9】
前記第1挟み付け部材を第2挟み付け部材に対して相対的に平行移動可能とした請求項8に記載の段差曲げ装置。
【請求項10】
前記段差曲げ加工の加工量を、無段階に制御可能な制御手段を備え、該制御手段は、前記平らな固定片と前記ケースに組み込まれた前記可動片との測定値から、所要の接点間隔に対応した、前記平らな固定片に必要な所定の段差を演算する演算部と、アクチュエータを制御することにより、前記平らな固定片を、前記所定の段差に無段階に曲げ加工する制御部とを備える請求項8または9に記載の段差曲げ装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記スイッチの機種変更に応じて、前記スイッチの各機種に個別的に対応する前記所要の接点間隔のデータが格納されたデータベースから対応する所要の接点間隔のデータを取り込み、取り込んだ所要の接点間隔になるように、前記段差曲げ加工量を変更する請求項10に記載の段差曲げ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−123857(P2008−123857A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306901(P2006−306901)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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