説明

製品

フレグランスのコアおよびアミノプラストポリマーのシェルを含み、シェルの組成が、50〜90%のターポリマーおよび10〜50%のポリマー安定剤を含む75〜100%の熱硬化性樹脂であり;ターポリマーが:(a)20〜60%の少なくとも1種のポリアミンに由来する部分;(b)3〜50%の少なくとも1種のポリオールに由来する部分;および(c)20〜70%の置換されたメチレン部分を含み、マイクロカプセルがさらに、任意に25%までのカチオン性ポリマーを含む、アミノプラストマイクロカプセル。当該カプセルは、既知のアミノプラストカプセルに対して優位であり、それらがホルムアルデヒドを含まないという主要な利点を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定であり、水分散可能であり、帯電しており、高度に布地直接性(fabric-substantive)のアミノプラストマイクロカプセルを含み、結合した、および遊離ホルムアルデヒドを本質的に含まない液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
成分、例えばフレグランス、殺虫剤、悪臭中和物質、殺真菌剤および殺カビ剤(mildewcides)などが、これらをこれらの周辺の環境から保護し、これらの制御放出のための手段として作用する固体のシェルまたは膜を含むマイクロカプセル中にカプセル封入され得ることは、周知である。このようなカプセル剤を生産する、代表的な好都合な方法は、成分を液体中に分散させ、小滴の表面上にポリマー膜を作成することからなる。
【0003】
これを行うよく用いられる方法は、種々のコモノマーおよびマクロマーの界面重縮合による。尿素などのアミン化合物およびメラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とホルムアルデヒドとが重縮合して、いわゆるアミノプラストマイクロカプセルを形成することは、これらのプロセスの中で最も代表的であり、これにより高度に架橋した樹脂(また熱硬化性樹脂として知られている)からなるシェルが得られる。
【0004】
これらの確立したプロセスにより、本質的に、カプセル封入されるべき成分を含む分散した油性相および連続水性相からなるエマルジョンが、膜により包囲されるコアからなる固体ビーズの懸濁液に変換され、この透過性は、多数の要因に依存し、これには架橋の程度および/または前記膜の厚さが含まれる。
【0005】
フレグランスに適用されるときには、これらのマイクロカプセルは典型的に、マイクロカプセルが圧力または摩擦の作用によって破壊されるときに、ある時点において、驚くべき感覚的効果、例えば増大した香料の強度または影響を発生させるために用いられる。この方略は、いわゆる「こすると香りが発生する」系において用いられる。それらはしばしば、カプセル封入されていない香料と共に消費者製品において用いられる。
【0006】
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、小分子を保持することができる高度に架橋したネットワークを提供するそれらの注目するべき特性、例えば香料において遭遇されるもののために、香料カプセル封入に特に適する。さらに、アミノプラストターポリマーを含む、ポリオール部分、また特に芳香族ポリオール部分を含むマイクロカプセルシェルは、激烈な保存条件、例えば高いレベルの界面活性剤を含む消費者製品を保存する間に遭遇するものの下でさえも、優れた香料保持を提供する。
【0007】
しかし、メラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルは、特に酸性条件において、未反応のホルムアルデヒド前駆体による、および/またはマイクロカプセルの保存の間に発生する遊離ホルムアルデヒドを含む。ホルムアルデヒドは極めて望ましくない物質であり、その放出は最小限でなければならず、好ましくは存在してはならない。これに対抗する伝統的な方法は、ホルムアルデヒドスカベンジャー、即ちホルムアルデヒドと反応して安定な縮合物を生成することができる化合物を用いることであった。例には、尿素、アミノ酸、ベータ−ケトエステルおよびエチレン尿素が含まれる。しかし、これらはマイクロカプセルシェルの保全性に影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【0008】
ここで、ポリオール部分および特に芳香族ポリオール部分を含み、ホルムアルデヒドを本質的に含まず、同時に尚高度に架橋されているアミノプラストターポリマーを含み、それにより激烈な保存条件下、例えば45℃程度に高い保存温度への、および高いレベルの界面活性剤の存在下での長期にわたる曝露においても高度な香料保持を提供する、メラミンをベースとするマイクロカプセルを調製することが可能であることが見出された。
【0009】
したがって、フレグランスのコアおよびアミノプラストポリマーのシェルを含むマイクロカプセルを提供し、シェルの組成は、50〜90%、好ましくは60〜85%のターポリマーおよび10〜50%、好ましくは10〜25%のポリマー安定剤を含む75〜100%の熱硬化性樹脂であり;ターポリマーは、
(a)20〜60%、好ましくは30〜50%の少なくとも1種のポリアミンに由来する部分;
(b)3〜50%、好ましくは5〜25%の少なくとも1種のポリオールに由来する部分;および
(c)20〜70%、好ましくは40〜60%の置換されたメチレン部分
を含み、
マイクロカプセルがさらに、任意に25%まで、好ましくは10%までのカチオン性ポリマーを含む。
【0010】
本明細書中で、他に特に述べない限り、すべての百分率は重量パーセントである。
「部分」により、ターポリマーの一部であり、特定の分子由来の化学物質を意味する。上記に記載したターポリマーは、上記の部分を含む任意のターポリマーであり得、これを、当該技術分野において知られている多くの好適な方法のいずれによっても調製することができる。
【0011】
用語「由来の」を用いることは、必ずしもターポリマー中の部分が当該物質自体から直接由来することを意味するわけではないが、そうである場合がある(そして、しばしばそうである)。
好適なポリアミン部分の例には、尿素、メラミン、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5トリアジンに由来するもの、例えばベンゾグアナミンおよびグリコールウリルが含まれるが、それらには限定されない。
【0012】
ポリオール部分を、芳香族、脂肪族およびポリマーポリオール部分から選択してもよい。好適な芳香族ポリオール部分の例には、フェノール、3,5−ジヒドロキシトルエン、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、キシレノール、多価ナフタレンならびにセルロースおよびフミン酸の分解によって生成するポリフェノールから由来するもの、またはそれらから由来するものの形態を有するものが含まれるが、それらには限定されない。好適な脂肪族ポリオールの例には、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)−プロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、糖類などが含まれるが、それらには限定されない。
【0013】
置換されたメチレン部分は、一般式(1)
【化1】

式中、Rは、水素原子またはアルキル基のいずれかであり、YおよびYは、シグマ受容体基、アルキン基および金属スルホン酸塩から選択される置換基である、
を有する。「シグマ受容体基」によって、部分的な正電荷をそれに隣接する炭素原子上で(炭素−Y結合に関与するシグマ軌道の分極によって)誘発させて、正電荷が出現するようにする基を意味する。そのような基の例には、ヒドロキシル、アルコキシド、フェニル−オキシ、アルキルおよびカルボン酸アリール、シアノ、フェニルおよび置換フェニルが含まれる。
【0014】
したがって、そのような置換されたメチレン部分は、ポリマー鎖上の末端基(ORが存在する場合)またはY、Y部分から遠隔の結合が共にポリマーに結合している場合には架橋部分のいずれかである。
置換されたメチレンのポリマーへの結合は、ポリアミンとの炭素−窒素結合、またはポリオールとの炭素−炭素もしくは炭素−酸素結合のいずれかの形成により起こる。
【0015】
置換されたメチレン部分は、一般式(2)または(3)を有する化合物に由来し得る。
【化2】

式中、R1は、水素原子またはアルコキシド基のいずれかであり、YおよびYは、上記で定義したシグマ受容体基、またはアルキン基、または金属スルホン酸塩から選択される置換基である。式(2)に従う物質の例は、2−エトキシ−2−ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メトキシ酢酸メチルおよびC3〜C6アルキル鎖を有する対応するアルキル化された変形、2,2−ジメトキシ−酢酸メチルエステル、2,2−ジエトキシ−酢酸エチルエステルおよびC3〜C6アルキル鎖を有する対応するアルキル化された変形、2,2−ジメトキシエタナール、ジ−フェノキシエタナールである。
【0016】
特定の態様において、式(2)で表される物質は、レゾルシノールのグリオキシル酸との反応から得られる。
ポリマー安定剤は、マイクロカプセルが凝集するのを防止し、したがって保護コロイドとして作用する。これを、重合前にモノマー混合物に加え、この結果、これがポリマーによって部分的に保持され、この間他の部分は連続相中に通過する。
【0017】
好適なポリマー安定剤の特定の例には、スルホネート基を保有するアクリルコポリマー、例えば商標LUPASOL(BASF販売)、例えばLUPASOL PA 140またはLUPASOL VFRの下で商業的に入手できるもの;アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー、アルキルアクリレートとN−ビニルピロリドンとのコポリマー、例えば商標Luviskol(例えばLUVISKOL K 15、K 30またはK 90、BASF販売)の下で入手できるもの;ポリカルボン酸ナトリウム(Polyscience Inc.販売)またはポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウム(Polyscience Inc.販売);ビニルおよびメチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー(例えばGANTREZ AN、ISP販売)、エチレン、イソブチレンまたはスチレン−無水マレイン酸コポリマー、およびメチルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー(GANTREZ S、ISP販売)が含まれる。したがって、好ましいポリマー安定剤は、アニオン性またはアニオノゲン(anionogene)高分子電解質である。
【0018】
任意に、マイクロカプセルはカチオン性ポリマーで被覆されていてもよい。カチオン性ポリマーは、マイクロカプセルによって発生する負の電荷の部分的な、もしくは完全な中和、またはさらに負に帯電したマイクロカプセルの正に荷電したマイクロカプセルへの変換をも可能にする。
【0019】
好ましいカチオン性ポリマーは、カチオン性セルロース誘導体、例えば商標UCARE(Amerchol販売)の下で入手できるもの、および四級化ゴム、例えば商標JAGUAR(Rhodia販売)の下で入手できる四級化グアーガム、ポリエチレンイミン、例えば商標LUPASOL(BASF販売)の下で商業的に入手できるもの、カチオン性ポリアクリレート類およびアクリルアミド類、ゼラチンおよび四級化タンパク質加水分解物、ならびに四級化アミノシリコーンを含む。
【0020】
用いることができる他のカチオン性化合物には、すべてが複数の第四級アンモニウム基を有するポリクオタニウムの集合、ポリマー種、例えば塩化ジアリルジメチルアンモニウム/アクリルアミドポリマー、例えば商標MERQUAT(Nalco販売)の下で入手できるもの、ならびにビニルピロリドンおよび四級化ジメチルアミノアルキルメタクリレートのコポリマー、例えば商標GAFQUAT HS 50およびHS 100(ISP販売)の下で入手できるものが含まれる。
【0021】
上記のタイプのマイクロカプセルは、水性スラリーの形態で提供され、典型的に15〜50%の固形分を有し、ここで用語「固形分」は、マイクロカプセルの合計重量を表す。マイクロカプセルの平均の大きさは、マイクロカプセル形成の間に系に加えられた混合剪断応力に依存して、1マイクロメートル〜100マイクロメートルまたはそれ以上の範囲内であり得る。最も適切なマイクロカプセルの大きさの範囲および大きさの分布の選択は、想定される用途に依存する。マイクロカプセルをランドリー製品において用いる場合には、小さい、ないし中程度の剪断応力で摩擦したときに、5〜60マイクロメートルの範囲内の大きさを有するマイクロカプセルにより、堆積および嗅覚的影響に関する最適な性能がもたらされることが見出された。
【0022】
スラリーは、配合助剤(formulation aid)、例えば安定剤および粘性制御親水コロイドおよび殺生物剤を含んでいてもよい。
【0023】
典型的に、親水コロイドを用いて、凝固、沈降およびクリーミングに対するスラリーのコロイド安定性を改善する。用語「親水コロイド」は、アニオン性、カチオン性、両性イオン性または非イオン性特徴を有する広範囲の群の水溶性または水分散性ポリマーを表す。本発明のために有用な親水コロイドは、以下のものを包含する:ポリ炭水化物(polycarbohydrate)、例えばデンプン、加工デンプン、デキストリン、マルトデキストリンおよびセルロース誘導体、ならびにそれらの四級化形態;天然ゴム、例えばアルギン酸エステル、カラギーナン、キサンタン、寒天、ペクチン、ペクチン酸、ならびに天然ゴム、例えばアラビアゴム、トラガカントゴムおよびカラヤゴム、グアーガムおよび四級化グアーガム;ゼラチン、タンパク質加水分解物およびそれらの四級化形態;合成ポリマーおよびコポリマー、例えばポリ(ビニルピロリドン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール−コ−酢酸ビニル)、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(アルキル(メタ)アクリル酸−コ−(メタ)アクリル酸)、ポリ(アクリル酸−コ−マレイン酸)コポリマー、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエーテル−コ−マレイン酸無水物)など、ならびにポリ−(エチレンイミン)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド−コ−ジメチルシロキサン)、ポリ(アミノジメチルシロキサン)など、ならびにそれらの四級化形態;
【0024】
本発明のマイクロカプセルはさらに、15%より低い、好ましくは10%より低い、最も好ましくは5%より低い、名目上のシェル対コアの質量比により特徴づけられる。したがって、マイクロカプセルは、極めて薄く、脆いシェルを有していてもよい。
【0025】
シェル対コアの比率は、予め水で洗浄し、濾過によって分離した、カプセル封入された香油マイクロカプセルの有効量を測定することにより、得られる。これを、マイクロ波で強調された溶媒抽出による湿潤マイクロカプセルケークの抽出および抽出物のその後のガスクロマトグラフィー分析により、達成する。
【0026】
従来技術のアミノプラストマイクロカプセルと比較して、本発明のマイクロカプセルおよびマイクロカプセルスラリーは、遊離の、または発生途上にあるホルムアルデヒドを本質的に含まないという利点を示す。これは、酸性の消費者製品に加え、またその中で数ヶ月にわたって保存した場合に、前記マイクロカプセルおよびスラリーが遊離のホルムアルデヒドを放出しないことを意味する。したがって、ホルムアルデヒドスカベンジャーを用いることは、必要ではない。
【0027】
さらに、ポリオール部分および特に芳香族ポリオール部分を含むアミノプラストターポリマーを用いることにより、従来技術と比較しての多数の予測されない利点が得られ、例えば:
・マイクロカプセルは、カプセル封入が既知の方法によっては困難であったかまたはさらに不可能であったフレグランス組成物を含む、従来の場合であったよりもはるかに広範囲のフレグランス組成物を収容する能力を有する、
【0028】
・安定なマイクロカプセルを構築するために必要であるシェル材料の総量が、顕著に低減され、現在まで達成可能であったよりも薄いカプセル壁およびはるかに良好な脆さ(frangibility)対安定性のバランスがもたらされる。これにより、マイクロカプセル壁の極めて小さい厚さと比較して、驚くほど高い香料保持がもたらされる、
【0029】
・マイクロカプセルは、外部のカプセル封入されていない香料による可塑化の傾向がはるかに低い、
・マイクロカプセルを、衣類仕上げ用コンディショナーにおいて、綿、ポリエステルおよび他の布地に対してそれらの持続性を妨げずに、アニオン形態で、即ちカチオンコーティングを何ら伴わずに、用いることができる。これは、従来技術からは予想され得ない驚くべき結果である。
【0030】
特定の態様において、本発明のマイクロカプセルスラリーはさらに、帯電したマイクロカプセルを放出することができ、これは、脱イオン水中に分散させたときに、0.1mV〜100mVの範囲内の絶対ゼータ電位により特徴づけられる。
【0031】
「ゼータ電位」(ζ)により、特定の測定手法により測定した、溶液中のすべての帯電した目的物により発生した見かけの静電ポテンシャルを意味する。ゼータ電位の理論的な基礎および実際的な関連の詳細な討議を、例えば“Zeta Potential in Colloid Sciences” (Robert. J. Hunter; Academic Press, London 1981, 1988)中に見出すことができる。目的物のゼータ電位を、当該目的物の表面からある距離にて測定し、これは一般的に、表面自体における静電電位とは等しくなく、これより低い。しかし、その数値により、溶液中に存在する他の対象、例えば界面活性剤、高分子電解質および表面との静電的相互作用を確立する目的物の能力の好適な評価基準を提供する。
【0032】
ゼータ電位は相対的な測定値であり、この数値はこれを測定する方法に依存する。本発明の場合において、マイクロカプセルのゼータ電位を、ZetaPALS機器(Brookhaven Instruments Corporation販売)を用いて、いわゆる位相解析光散乱法により測定する。所定の目的物のゼータ電位はまた、溶液中に存在するイオンの量に依存し得る。本出願において特定するゼータ電位の値を、帯電したマイクロカプセルの対イオンのみが存在する脱イオン水中で測定する。
【0033】
「絶対ゼータ電位」(|ζ|)により、この(正または負の)符号を参照しないゼータ電位の絶対値を意味する。したがって、−10mVのゼータ電位を有する負に帯電した目的物および+10mVのゼータ電位を有する正に帯電した種は、同一の絶対ゼータ電位を有する。
【0034】
特定の態様において、上記のマイクロカプセルを用いる組成物は、衣類仕上げ用コンディショナー用のマイクロカプセルを送達するその能力によって特徴づけられており、マイクロカプセルは、脱イオン水中に分散するときには、−0.1mV〜−100mVの範囲内の負のゼータ電位を有する。
【0035】
マイクロカプセルは、高度に壊れやすく、それにより、60マイクロメートルの直径を有するマイクロカプセルについて9mNを上回らず、35マイクロメートルの直径を有するマイクロカプセルについて3mNを上回らない通常の破裂力の作用の下で、カプセル封入された香料を破壊し、放出する、本発明の乾燥マイクロカプセルの能力を意味し、これは、6×10MPaより高くない破裂圧力に相当する。典型的に、本発明のマイクロカプセルの破裂圧力は、1〜10MPa、好ましくは4〜7MPaを超えない。破裂力および破裂圧力を共に、種々の方法、例えばナノインデンテーション試験(nano-indentation test)または浸透圧破裂試験により測定してもよい。これらの前述の力は、衣類を折りたたみ、身に着け、着用し、または脱ぐときに衣類に目下加えられるものを表す。
【0036】
典型的なナノインデンテーション試験を、以下のように行う:懸濁されたマイクロカプセルのスラリーを、脱イオン水で希釈し、研磨し、(N/O)プラズマで洗浄したアルミニウムホルダー上に塗布する。水を蒸発させた後、別個のマイクロカプセルをその表面上に有するホルダーを、60マイクロメートルのダイヤモンド平坦最上部圧子体を備えたMTS Nanoindenter XPに移送する。すべての圧縮試験を、100ナノメートル/秒の変位速度で、制御された変位モードの下で行う。負荷対変位の曲線を測定して、破裂力(Fcrit)および破裂における臨界的変位(hcrit)を得る。
【0037】
「乾燥マイクロカプセル」により、通常の乾燥条件、例えば自然乾燥または乾燥機での乾燥の間に一般的であるものに付されたマイクロカプセルを意味する。
【0038】
液体の水性衣類仕上げ用コンディショナーにおいて用いるための香料含有マイクロカプセルは、本発明の特定の態様を構成し、典型的に以下のプロセスにより得られる:
1.ポリマー安定剤の存在下で中程度ないし高度の剪断撹拌の下で香料の水中油エマルジョンを生成し、それによってミキサーの撹拌速度および形状を、所望の平均のマイクロカプセルの大きさの範囲およびマイクロカプセルの大きさの分布の関数として定義する。これらの事項は、十分当該分野の通常の技術の範囲内である。
【0039】
2.上記で記載したように、ポリアミンおよび少なくとも1種の置換メチレン化合物を加える、
3.pHを、ブレンステッド酸、例えば硫酸、スルホン酸、塩酸、ギ酸などを加えることによって、置換メチレン化合物の反応性に依存して1〜7の範囲内に調整する;
【0040】
4.段階3を行う間に、芳香族ポリオールを反応媒体に、段階3の開始時、終了時、また段階3の間連続的に加える;これにより、マイクロカプセルシェルが形成する、
5.75℃〜90℃の範囲内の温度にて1〜5時間加熱して、シェルを硬化させる、
6.系を室温に冷却する。
【0041】
本発明の典型的な組成物において、ターポリマーを生成する反応媒体に加える香油の典型的な量は、全混合物の15〜50重量%、好ましくは25〜40重量%、最も好ましくは35〜40重量%である。マイクロカプセル封入において封入される他の成分の組成範囲を、38重量%の名目上の香料濃度について以下に示す。しかし、この名目上の香油濃度を修正することには他の成分の濃度の最適化が必要であることは、すべての当業者に明らかである。
【0042】
したがって、38重量%の名目上の香油濃度について、反応媒体中の残りの成分の組成は、好ましくは以下の通りである:
・1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%および最も好ましくは3〜4重量%のポリアミン、
・0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜2重量%および最も好ましくは0.5〜1.5重量%の芳香族ポリオール、
・1%〜10%重量%、好ましくは2%〜8%重量%および最も好ましくは3%〜4%の置換メチレン化合物、
・0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜2重量%および最も好ましくは0.5〜1.5重量%の安定化ポリマー。
残りは水である。
【0043】
本発明の組成物において用いるためのフレグランス材料を、天然の生成物、例えばエッセンシャルオイル、アブソリュート、樹脂性物質、樹脂、凝集体ならびに合成香料成分、例えば炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、エーテル類、酸類、アセタール類、ケタール類およびニトリル類から選択してもよく、それには、飽和および不飽和化合物、脂肪族、炭素環式および複素環式化合物または上記のすべての前駆体が含まれる。用いることができる着臭剤組成物の他の例は、H 1468 (United States Statutory Invention Registration)に記載されている。
【0044】
好ましいフレグランス成分の例は、Agrumex、Aldron、Ambrettolide、Ambroxan、ケイ皮酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、Boisambrene、セドロール、酢酸セドリル、Celestolide/Crysolide、Cetalox、シトロネリルエトキサレート(citronellyl ethoxalate)、Fixal、Fixolide、Galaxolide、Guaiacwood Acetate、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、ヘキシルケイ皮アルデヒド、サリチル酸ヘキシル、Iso E Super、安息香酸リナリル、ケイ皮酸リナリル、フェニル酢酸リナリル、Javanol、メチルセドリルケトン、Moskene、Musk、Musk Ketone、Musk Tibetine、Musk Xylol、Myraldyl Acetate、酢酸ネロリジル、Novalide、Okoumal、
【0045】
カプリル酸パラ−クレシル、フェニル酢酸パラ−クレシル、Phantolid、ケイ皮酸フェニルエチル、サリチル酸フェニルエチル、Rose Crystals、Rosone、Sandela、テトラデカニトリル、Thibetolide、Traseolide、Trimofix O、2−メチルピラジン、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、アセトフェノン、アルコールC6(以下において、表記法Cnは、n個の炭素原子および1つのヒドロキシル官能を有するすべての物質を含む)、アルコールC8、アルデヒドC6(以下において、表記法Cnは、n個の炭素原子および1つのアルデヒド官能を有するすべての異性体を包含する)、アルデヒドC7、アルデヒドC8、アルデヒドC9、ノネニリックアルデヒド(nonenylic aldhyde)、
【0046】
グリコール酸アリルアミル、カプロン酸アリル、酪酸アミル、アルデヒドアニシック(aldehyde anisique)、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアセトン、ベンジルアルコール、酪酸ベンジル、ギ酸ベンジル、イソ−吉草酸ベンジル、ベンジルメチルエーテル、プロピオン酸ベンジル、Bergamyl Acetate、酢酸ブチル、樟脳、3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセノン、ケイ皮アルデヒド、シス−3−ヘキセノール、酢酸シス−3−ヘキセニル、ギ酸シス−3−ヘキセニル、イソ−酪酸シス−3−ヘキセニル、プロピオン酸シス−3−ヘキセニル、チグリン酸シス−3−ヘキセニル、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルニトリル、2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、
【0047】
クミニックアルデヒド(cuminic aldehyde)、Cyclal C、酢酸(シクロヘキシルオキシ)−2−プロペニルエステル、ダマセノン、アルファ−ダマスコン、ベータ−ダマスコン、ギ酸デカヒドロベータ−ナフチル、マロン酸ジエチル、ジヒドロ−ジャスモン、ジヒドロ−リナロール、ジヒドロ−ミルセノール、ジヒドロ−テルピネオール、アントラニル酸ジメチル、ジメチルベンジルカルビノール、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、ジメチルオクテノン、Dimetol、ジミルセトール(dimyrcetol)、エストラゴール、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、ヘプタン酸エチル、エチルリナロール、サリチル酸エチル、酪酸エチル−2−メチル、オイカリプトール、オイゲノール、酢酸フェンキル、フェンキルアルコール、
【0048】
4−フェニル−2,4,6−トリメチル1,3−ジオキサン、2−オクチン酸メチル、4−イソプロピルシクロヘキサノール、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、酢酸スチルアリル、ゲラニルニトリル、酢酸ヘキシル、アルファ−イオノン、酢酸イソ−アミル、酢酸イソ−ブチル、イソ−シクロシトラール、ジヒドロイソジャスモン、イソ−メントン、イソ−ペンチル酸塩、イソ−プレゴール、シス−ジャスモン、レボ−カルボン、フェニルアセトアルデヒドグリセリルアセタール、カルビン酸3−ヘキセニルメチルエーテル、1−メチル−シクロヘキサ−1,3−ジエン、
【0049】
リナロール、酸化リナロール、ペンタン酸2−エチルエチルエステル、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、メントール、メントン、メチルアセトフェノン、メチルアミルケトン、安息香酸メチル、アルファ−メチルケイ皮アルデヒド、メチルヘプテノン、メチルヘキシルケトン、メチルパラクレゾール、酢酸メチルフェニル、サリチル酸メチル、ネラール、ネロール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、パラ−クレゾール、酢酸パラ−クレシル、パラ−t−ブチルシクロヘキサノン、パラ−トルイルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、酢酸フェニルエチル、フェニルエチルアルコール、酪酸フェニルエチル、ギ酸フェニルエチル、イソ酪酸フェニルエチル、プロピオン酸フェニルエチル、酢酸フェニルプロピル、フェニルプロピルアルデヒド、テトラヒドロ−2,4−ジメチル−4−ペンチル−フラン、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロピラン、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、プロピオン酸スチルアリル、スチレン、4−メチルフェニルアセトアルデヒド、テルピネオール、テルピノレン、テトラヒドロ−リナロール、テトラヒドロ−ミルセノール、トランス−2−ヘキセナール、酢酸ベルジル(verdyl acetate)およびViridineから選択された当該フレグランスのすべてである。
【0050】
本発明の好ましい態様において、カプセル封入されたフレグランスは、10Pa ppmより高い、最も好ましくは10Pa ppmより高い損失係数を有するフレグランス成分の少なくとも70重量%を含む。用語「損失係数」は、乾燥中のフレグランス材料の損失に関するパラメーターを表し、純粋な成分の蒸気圧(Pa)と室温における水溶性(ppm)との積として定義される。商業的に入手できるフレグランス成分についての蒸気圧および水溶性のデータは、周知であり、したがって所定のフレグランス成分についての損失係数を、容易に計算することができる。あるいはまた、蒸気圧および水溶性の測定を、当該分野において十分知られている手法を用いて容易に行うことができる。フレグランス成分の蒸気圧を、任意の既知の定量的ヘッドスペース分析手法を用いて測定することができる。例えば、Mueller and Lamparsky in Perfumes: Art, Science and Technology, 第6章、“The Measurement of Odors”、176〜179頁(Elsevier 1991)を参照。
【0051】
フレグランスの水溶性を、水に難溶性の物質を測定するための当該分野において知られている手法によって測定してもよい。好ましい手法は、フレグランス成分を水に溶解した飽和溶液の生成を伴う。透析膜を有する管を溶液中に配置して、平衡の後に、理想化された溶液が管の内側に生成するようにする。管を取り外し、この中の水溶液を好適な有機溶媒で抽出して、フレグランス成分を取り出すことができる。最後に、例えばガスクロマトグラフィーを用いて、抽出したフレグランス成分を濃縮し、測定することができる。フレグランスを測定する他の方法は、Gygax et al, Chimia 55 (2001) 401-405中に開示されている。
【0052】
高い損失係数を有する好ましいフレグランスを、以下のものから選択することができる。2−メチルピラジン、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセタール、アセトフェノン、アルコールC6(以下において、表記法Cnは、n個の炭素原子および1つのヒドロキシル官能を有するすべての物質を含む)、アルコールC8、アルデヒドC6(以下において、表記法Cnは、n個の炭素原子および1つのアルデヒド官能を有するすべての異性体を包含する)、アルデヒドC7、アルデヒドC8、アルデヒドC9、ノネニリックアルデヒド、
【0053】
グリコール酸アリルアミル、カプロン酸アリル、酪酸アミル、アルデヒドアニシック、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアセトン、ベンジルアルコール、酪酸ベンジル、ギ酸ベンジル、イソ−吉草酸ベンジル、ベンジルメチルエーテル、プロピオン酸ベンジル、酢酸ベルガミル(bergamyl acetate)、酢酸オーチル(autyl acetate)、樟脳、3−メチル−5−プロピル−2−シクロヘキセノン、ケイ皮アルデヒド、シス−3−ヘキセノール、酢酸シス−3−ヘキセニル、ギ酸シス−3−ヘキセニル、イソ−酪酸シス−3−ヘキセニル、プロピオン酸シス−3−ヘキセニル、チグリン酸シス−3−ヘキセニル、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルニトリル、2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、
【0054】
クミニックアルデヒド、サイクラール(cyclal)C、酢酸(シクロヘキシルオキシ)−2−プロペニルエステル、ダマセノン、アルファ−ダマスコン、ベータ−ダマスコン、マロン酸ジエチル、ジヒドロ−ジャスモン、ジヒドロ−リナロール、ジヒドロ−ミルセノール、ジヒドロ−テルピネオール、アントラニル酸ジメチル、ジメチルベンジルカルビノール、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、ジメチルオクテノン、ジメトール(dimetol)、ジミルセトール、エストラゴール、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、安息香酸エチル、ヘプタン酸エチル、エチルリナロール、サリチル酸エチル、酪酸エチル−2−メチル、オイカリプトール、オイゲノール、酢酸フェンキル、フェンキルアルコール、
【0055】
4−フェニル−2,4,6−トリメチル1,3−ジオキサン、2−オクチン酸メチル、4−イソプロピルシクロヘキサノール、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、酢酸スチルアリル、ゲラニルニトリル、酢酸ヘキシル、アルファ−イオノン、酢酸イソ−アミル、酢酸イソ−ブチル、イソ−シクロシトラール、ジヒドロイソジャスモン、イソ−メントン、イソ−ペンチル酸塩、イソ−プレゴール、シス−ジャスモン、レボ−カルボン、フェニルアセトアルデヒドグリセリルアセタール、カルビン酸3−ヘキセニルメチルエーテル、1−メチル−シクロヘキサ−1,3−ジエン、
【0056】
リナロール、酸化リナロール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール、メントール、メントン、メチルアセトフェノン、メチルアミルケトン、安息香酸メチル、メチルケイ皮アルデヒドアルファ、メチルヘプテノン、メチルヘキシルケトン、メチルパラクレゾール、酢酸メチルフェニル、サリチル酸メチル、ネラール、ネロール、4−tert−ペンチル−シクロヘキサノン、パラ−クレゾール、酢酸パラ−クレシル、パラ−t−ブチルシクロヘキサノン、パラ−トリルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、酢酸フェニルエチル、フェニルエチルアルコール、酪酸フェニルエチル、ギ酸フェニルエチル、イソ酪酸フェニルエチル、プロピオン酸フェニルエチル、酢酸フェニルプロピル、フェニルプロピルアルデヒド、テトラヒドロ−2,4−ジメチル−4−ペンチル−フラン、4−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)テトラヒドロピラン、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、プロピオン酸スチルアリル、スチレン、4−メチルフェニルアセトアルデヒド、テルピネオール、テルピノレン、テトラヒドロ−リナロール、テトラヒドロ−ミルセノール、トランス−2−ヘキセナールおよびViridine。
【0057】
本発明の他の特定の態様において、フレグランス成分は、10’000より高い匂い値を有し得る。匂い値は、標準状態(278.15K、1気圧)においてこの着臭剤と熱力学的に平衡にある着臭剤の標準的なヘッドスペース濃度HSとして定義され、マイクログラム/lヘッドスペースで表され、これは、臭度測定により測定したこの着臭剤の嗅覚しきい値(単位マイクログラム/lヘッドスペース)で除したものである。標準的なヘッドスペース濃度は、以下の方程式によって純粋な成分の蒸気圧に相関する:
【数1】

式中、mは着臭剤のモル質量であり、Rは気体定数であり、Tはケルビンで示す絶対温度であり、pは気圧で示す標準的な蒸気圧である。
【0058】
フレグランス成分の前駆体をまた、本発明においてフレグランス材料中に提供することができる。前駆体は、活性化条件、例えば光、酵素、高い温度または酸性もしくはアルカリ性pH値の下での開裂されることによりフレグランス特徴を有する化合物を提供する化合物である。
さらに、他の感覚刺激性物質を、例えば臭気マスキング剤、防虫剤などを、フレグランス成分との混合物において用いてもよい。
【0059】
マイクロカプセル封入することが可能であるフレグランスの量は、一般的に、乾燥材料を基準として85重量%を上回り、またさらに95重量%を上回り、マイクロカプセル封入収量は、10Pa ppmより大きい損失係数を有する極めて揮発性の高い成分についても、80重量%に近いかまたはこれを上回る。
他の特定の態様において、1%〜100%、好ましくは20%〜90%および最も好ましくは25%〜75%のフレグランス成分は、4.5より大きくない値、好ましくは2〜4.5、最も好ましくは3〜4.5のclogP、即ち計算されたオクタノール/水分配係数の対数を有し得る。
【0060】
本発明の芳香を付与された製品または物品において用いるフレグランス組成物の量は、これを用いる特定の用途によって、およびフレグランス組成物中のフレグランス装填に関して変化し得る。ランドリー用途について、ランドリーケア製品の合計重量を基準として0.01〜3重量%のフレグランス材料の量でフレグランス組成物を用いてもよい。
【0061】
本発明のマイクロカプセルは、パーソナルケアならびに家庭、洗浄および清浄製品、例えば石鹸、シャンプー、スキンケアクリーム、ランドリー洗剤、衣類コンディショナー、食器用洗剤、家具用つや出し剤などにおいて特に有用である。したがって、本発明は、上記で定義したマイクロカプセルを含む組成物を含むパーソナルケア製品、家庭用品、洗浄製品または清浄製品を提供する。
【0062】
ここで、本発明の態様を例示する作用を奏する一連の例が続く。これらの例は例示的であり、本発明はそれに制限されるものと考慮するべきではないことが理解される。
【0063】
例1:マイクロカプセルの調製
1.1 従来技術によるカプセルの調製
以下の例は、修飾したメラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルを、コモノマーとしてレゾルシノールを用いて形成することを例示する。24.17gのLupasol PA140(BASF販売)、26.25gのLuracoll SD(BASF販売)を、1lのジャケット原子炉中で250gの水に加えた。撹拌速度を、所要の粒子の大きさに到達するように調整し、混合物を、最初の温度(35℃)に加熱した。次に、200gの試験香料(表I)を、連続的な撹拌の下に維持した混合物に加えて、エマルジョンの生成を可能にした。重合を、ギ酸の10%溶液を用いてpH値を3.5に調整することによって開始した。12gのレゾルシノール(水に溶解した30%溶液)を加えた。次に、反応温度を、90分にわたり75℃に上昇させて、マイクロカプセルシェルの完全な架橋(硬化)を達成した。1時間の硬化の後に、pH値を、ギ酸を用いることによってpH3.5に調整した。90分後、反応物を冷却し、pH値を、アンモニアを用いて9.3に調整した。
【0064】
表I:試験香油の組成
【表1】

【0065】
1.2 ジメトキシエタナール−メラミンプレ縮合物(pre-condensate)の使用
以下の例は、ジメトキシエタナール−メラミンプレ縮合物をターポリマーメチレン部分の源として用いた、アミノ化合物、脂肪族、芳香族およびポリマーポリオールから選択された種々のコモノマーを含むターポリマーを用いて、本発明によるメラミンをベースとするマイクロカプセルを形成することを例示する。8.10gのGantrez AN 169 BF(ISP販売)を、1lのジャケット反応器中で250gの水に加え、透明な溶液が得られるまで45分間80℃まで加熱した。55.89gのHighlink CDO(Clariant販売)および20.4gのレゾルシノールの溶液(30%溶液)を加えた。撹拌速度を調整して、所要の粒子の大きさに到達させ、混合物を、最初の温度(35℃)に加熱した。次に、200gの試験香料を、連続的撹拌の下に維持した混合物に加えて、エマルジョンの生成を可能にした。重合を、ギ酸の10%溶液を用いてpH値を5.2に調整することによって開始した。次に、反応温度を、90分にわたり75℃に上昇させて、マイクロカプセルシェルの完全な架橋(硬化)を達成した。1時間の硬化の後に、pH値を、ギ酸を用いることによりpH3.5に調整した。90分後、反応物を冷却し、pH値を、アンモニアを用いて8に調整した。
【0066】
1.3 メチルグリオキシル酸メチルヘミアセタール(GMHA)の使用
以下の例は、GMHAをターポリマーメチレン部分の源として用いて、本発明の新規なホルムアルデヒドを含まないメラミンをベースとするマイクロカプセルを形成することを例示する。20.4gのメラミン、18gのGMHA(DSM販売)、5.6gのレゾルシノールおよび12gの水の混合物を、透明な溶液が得られるまで80℃まで10分間加熱した。別個に、200gの水、200gの試験香料および2gのポリマー安定剤を含むエマルジョンを、1lのジャケット反応器中で調製した。撹拌速度を調整して、所要の粒子の大きさに到達させ、混合物を、最初の温度(35℃)に加熱した。メラミン、GMHAおよびレゾルシノールの溶液を加えた後に、反応温度を80℃に上昇させて、重合を開始した。240分後、反応物を室温に冷却した。
【0067】
例2:ホルムアルデヒドの決定
マイクロカプセルスラリー中の残留遊離ホルムアルデヒドレベルを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって環境保護庁(EPA)のMethod 8315Aに従って決定する。これに、遊離ホルムアルデヒドの予測される量に依存して、100mg〜1gのスラリーを、10mlのフラスコ中で秤量し、容積を、水で満たす。溶液/懸濁液を、10分間超音波浴に曝露する。マイクロカプセルを、液相から濾過または遠心分離によって分離する。遊離ホルムアルデヒドの誘導体化を、3μlの液相を2,4−ジニトロ−フェニルヒドラジンDNPHを1重量%においてアセトニトリルに溶解した溶液6μlと混合することによって達成する。
【0068】
分析を、UVダイオードアレー検出器(DAD)を備えたAgilent 1100HPLCシステム中にこの混合物を注入することによって行う。典型的な結果を、表Iに要約する。
【0069】
表I:メチレン部分の選択の総ホルムアルデヒドレベルに対する影響。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレグランスのコアおよびアミノプラストポリマーのシェルを含むマイクロカプセルであって、シェルの組成が、50〜90%、好ましくは60〜85%のターポリマーおよび10〜50%、好ましくは10〜25%のポリマー安定剤を含む75〜100%の熱硬化性樹脂であり;ターポリマーが:
(a)20〜60%、好ましくは30〜50%の少なくとも1種のポリアミン由来の部分;
(b)3〜50%、好ましくは5〜25%の少なくとも1種のポリオール由来の部分;および
(c)20〜70%、好ましくは40〜60%の置換されたメチレン部分
を含み、
マイクロカプセルがさらに、任意に25%まで、好ましくは10%までのカチオン性ポリマーを含む、前記マイクロカプセル。
【請求項2】
ポリアミン部分が、尿素、メラミン、6−置換−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジンおよびクリコールウリルの少なくとも1種に由来する、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
ポリオール部分が、フェノール、3,5−ジヒドロキシトルエン、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、キシレノール、多価ナフタレン、セルロースおよびフミン酸の分解によって生成するポリフェノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,1,1−トリス−(ヒドロキシメチル)−プロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよび糖類の少なくとも1種に由来する、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
置換されたメチレン部分が、式(2)および(3)
【化1】

式中、Rは、水素原子またはアルキル基のいずれかであり、YおよびYは、シグマ受容体基、アルキン基および金属スルホン酸塩から選択される置換基である、
から選択される式を有する少なくとも1種の化合物に由来する、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
ポリマー安定剤がアニオン性高分子電解質である、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
カチオン性セルロース誘導体、四級化ゴム、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリアクリレートおよびアクリルアミド、ゼラチンおよび四級化タンパク質加水分解物および四級化アミノシリコーンからなる群から選択されたカチオン性ポリマーが存在する、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
請求項1に記載のマイクロカプセルを含む、芳香を付与されたパーソナルケア、家庭、洗浄および清浄製品。
【請求項8】
ランドリー固体および液体洗剤ならびに液体布地柔軟剤およびコンディショナーから選択される、請求項7に記載の製品。
【請求項9】
製品がフリーの香料を含む、請求項8に記載の製品。
【請求項10】
フリーの香料が、強度および/または品質においてカプセル封入された香料と異なる、請求項9に記載の製品。
【請求項11】
マイクロカプセルがアニオン形態において存在する、請求項8に記載の布地コンディショナー。

【公表番号】特表2011−516618(P2011−516618A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545344(P2010−545344)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000052
【国際公開番号】WO2009/100553
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】