説明

製紙における添加剤としての変性ビニルアミン含有ポリマー

ビニルアミン含有ポリマーが開示されており、そのアミン基は(1)カチオン性官能基、(2)アニオン性官能基、(3)疎水性官能基、(4)親水性官能基、(5)ポリマーに両性的性質を付与する官能基、又は(6)それらの組み合わせで置換されている。そのようなポリマーを調製する方法、並びにそのようなポリマーを含む組成物も開示されている。その他の用途のなかでも、これらのポリマーは乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留まり向上剤、濾水助剤、並びにピット及び粘着物制御剤として、製紙用途に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルアミン含有ポリマー及びそれらの製造方法に関するものであり、そのアミン基は(1)カチオン性官能基、(2)アニオン性官能基、(3)疎水性官能基、(4)親水性官能基、(5)そのポリマーに両性(amphoteric characteristic)を付与する官能基、又は(6)それらの組み合わせによって置換されている。
【背景技術】
【0002】
部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミド又は完全に加水分解されたポリビニルホルムアミド(すなわち、ポリビニルアミン)の両方とも、製紙において、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤(リテンションエイド)、及び濾水性向上剤(ドレネージエイド)として用いることができる。ポリビニルアミンは、高密度の一級アミン又はアミジン官能基によって高いカチオン性である。これらのポリマーは、一級アミノ基のこの高い密度の結果として強い水素結合能を有する。米国特許第2,721,140号明細書は、高湿潤強度を有する紙を作るための添加剤としてのポリビニルアミンの使用を開示しており、一方、米国特許第5,961,782号明細書は、架橋性クレーピング接着配合物を作るためのポリビニルアミンの使用を開示している。米国特許第4,421,602号明細書は、N-ビニルホルムアミド単位及びビニルアミン単位を含む、N-ビニルホルムアミドの部分的に加水分解された水溶性ポリマーを開示している。それはまた、製紙工程におけるパルプ繊維のフロキュレーション効率、微細繊維歩留り、及び濾水速度の増大のための、ポリビニルアミン及び50%加水分解されたポリビニルホルムアミドの使用も開示しており、一方、米国特許第6,159,340号明細書は、紙及び板紙製造における乾燥及び湿潤紙力増強剤としてのそのようなポリマーの使用を開示している。米国特許第6,616,807号明細書及び同6,797,785号明細書は、製紙における濾水性向上剤、凝集剤、及び歩留り向上剤としてのポリビニルアミン類の使用を開示している。
【0003】
ポリビニルアミンは典型的には、N-ビニルホルムアミドモノマーの溶液フリーラジカル重合と、それに続く塩基又は酸触媒加水分解によって作られ、これによってポリマー主鎖の一級アミンが脱保護され、ギ酸が放出される。米国特許第4,774,285号明細書は、N-ビニルホルムアミドモノマーが追加のビニルポリマー、例えば、酢酸ビニルと共重合され、続いて加水分解されてビニルアミン及びビニルアルコールの水溶性コポリマーが作られ、これが製紙のための湿潤及び乾燥紙力増強剤として用いられることを開示している。米国特許第5,630,907号明細書は、ビニルアミンとアクリル酸単位の両方を含むコポリマー組成物、並びにそれらの応用を開示している。米国特許第6,824,650号明細書は、ポリマー状アニオン性反応性化合物とともにポリビニルアミンポリマーを用いて、紙力を増強することを開示している。米国特許第6,797,785号明細書は、逆相懸濁重合による、ジアリルジメチルアンモニウム(クロライド)(DADMAC)又はアクリルアミド単位と組み合わせてビニルアミン単位を含むコポリマーと、製紙における凝結剤及び凝集剤としてのそれらの使用を開示している。EP0251182は、濾水助剤、歩留り向上剤、並びに紙製品の乾燥強度を高めるためのウェットエンド添加剤として、製紙において使用するための、ビニルアミン及びアクリロニトリル単位を含むコポリマーを開示している。一般に、これらのコポリマーは線状の炭素-炭素結合を通じてランダムに一緒に連結されたビニルアミン単位及び追加のビニル単位を含み、この追加のビニル単位はポリマー主鎖中のビニルアミン単位の密度を低下させ、それによってポリビニルアミンホモポリマーと比較してより低いカチオン電荷密度をポリマー主鎖に付与する。
【0004】
ポリビニルアミンのアミン官能基は、反応性官能基を有する様々な化合物と反応できる。官能基を有するポリビニルアミンの重合後の化学修飾は、改変された物理特性及び用途特性をもつポリビニルアミン誘導体を製造するための代替法である。米国特許第5,292,441号明細書は、汚水浄化のための凝集剤としての四級化ポリビニルアミンの使用を開示しており、この四級化ポリビニルアミンは、ポリビニルアミンと四級化剤、例えば、塩化メチル、硫酸ジメチル、又は塩化ベンジルとの反応によって得られる。米国特許第6,864,330号明細書は、PEGがグラフトしたポリビニルアミン誘導体を開示しており、さらにこのグラフトポリマーの一級アミンが、四級アンモニウム基を含むエポキシドとの反応によってさらにカチオン化できることも開示している。このグラフト化ポリマーは、フリーラジカル重合によって、PEGの存在下でビニルホルムアミドを重合することによって調製され、ポリビニルアミンホモポリマー及びコポリマーとは構造的に異なる。米国特許第5,994,449号明細書は、ポリ(ビニルアミン-co-ビニルアルコール)コポリマー及びポリアミノアミドの混合物とエピハロヒドリンとの反応生成物である樹脂組成物、並びにクレーピング接着剤としてのこれらの組成物の使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2,721,140号明細書
【特許文献2】米国特許第5,961,782号明細書
【特許文献3】米国特許第4,421,602号明細書
【特許文献4】米国特許第6,159,340号明細書
【特許文献5】米国特許第6,616,807号明細書
【特許文献6】米国特許第6,797,785号明細書
【特許文献7】米国特許第4,774,285号明細書
【特許文献8】米国特許第5,630,907号明細書
【特許文献9】米国特許第6,824,650号明細書
【特許文献10】米国特許第6,797,785号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0251182号明細書
【特許文献12】米国特許第5,292,441号明細書
【特許文献13】米国特許第6,864,330号明細書
【特許文献14】米国特許第5,994,449号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(XIII)、又は(XIV)のうちの少なくとも一つを有するランダムに分配された繰り返しモノマー単位を含むポリマーである。
【0007】
【化1】

【0008】
前記ポリマーは、下記式(VIII)、(IX)、(X)、又は(XII)のうちの少なくとも一つを有するランダムに分配された繰り返しモノマー単位をさらに任意選択で含んでいてもよい。
【0009】
【化2】

【0010】
上記式中、Xは任意のアニオン、好ましくはCl、Br、又はIであり;Yは、-C(=O)-又は-CH-又は単結合であり;Rは任意の官能基、好ましくは、H、-COOH、-COOR、-CHNR、-NR、-CONR、-OH、-OCOR、-OR、-NO、-CN、-N(CH)、アルケニル、アルキニル、又はアルカノキシルであり;R及びRは同じであるか異なり、Hであるか、又は22個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;RはH又はCHであり;Rは任意選択でヒドロキシルにより置換されていてもよい12個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、好ましくは、-CHCH(OH)CH-又は-CHCH-であり;R及びR10は、Hであるか又は22個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル、好ましくは-CH又は-CHCHであり;Rは18個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキルもしくはアルケニル基であり;Rは、モノサッカライドもしくはオリゴサッカライドもしくはポリサッカライド残基、又は18個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、又はヒドロキシル含有もしくはアルデヒド含有アルキル基であり;Rは、12個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、好ましくは-CHCH-であり;R11は-R、-OR、-NR、好ましくは-NHであり;R、R、S、及びZは同じであるか異なり、-RN(R10)、-R(R)、-CHCH(OH)CHOR、-Y-R-COOH、-Y-R-COR11、又は-CH(OH)Rであり;k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、q、g、及びhは0〜100の負ではない数であって、ポリマー中に存在する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XII)、(XIII)、又は(XIV)のランダムに分配された繰り返し単位のモル%を表し、k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、q、g、及びhは独立に0モル%であってもよく;且つ、m、m、n、n、n、n、n、g、及びhの合計は0.1モル%より大きい。本発明は、mが0.1モル%より大きく、且つm、n、n、n、及びnが0モル%である場合は、エトキシル化ポリマーを包含しない。破線は、ポリマーの主鎖内で繰り返し単位を連結する結合を表す。
【0011】
本発明の別の態様は、下記式(XI)を有するポリマーである。
【0012】
【化3】

【0013】
式中、m、m、n、n、n、n、及びnの合計は0.1モル%より大きい。
【0014】
本発明の一つの態様では、k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、及びqの合計は100モル%である。
【0015】
本発明の別の態様は、変性したビニルアミン含有ポリマーの調製法であって、この方法は、カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤;アミン反応性官能基を含み、アシル化又はアルキル化の後でカルボン酸もしくはアミドもしくはアミド誘導体残基を有するか又は生成する、アルキル化又はアシル化剤;アルキルグリシジルエーテル、アルデヒド含有化合物、例えばモノサッカライドもしくはオリゴサッカライド、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物と、ビニルアミン含有ポリマーをある反応温度である時間反応させる工程を含み;得られるポリマーを、カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤;アミン反応性官能基を含み、アシル化又はアルキル化の後でカルボン酸もしくはアミドもしくはアミド誘導体残基を有するか又は生成する、アルキル化又はアシル化剤;アルキルグリシジルエーテル、アルデヒド含有化合物、例えばモノサッカライドもしくはオリゴサッカライド、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物と、ある温度である反応時間、任意選択によりさらに反応させてもよい。
【0016】
本発明のなお別の態様は、変性したビニルアミン含有ポリマーを含む組成物であり、この組成物は、紙製品のための乾燥強化樹脂、紙製品のための湿潤強化樹脂;接着剤;クレーピング接着剤;製紙のための濾水性向上剤;製紙のための歩留り向上剤;水処理のための凝結剤;水処理のための凝集剤;製紙工程のための付着抑制剤;製紙用途及び水処理に用いるための粘着物付着抑制剤;樹脂の特性を最適化するための可塑剤、及び樹脂の特性を最適化するための改質剤からなる群から選択される。
【0017】
本発明のなお別の態様は、上記の変性したビニルアミン含有ポリマーを含む紙製品である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本発明の詳細な説明]
本明細書で用いるように、単数形の語は、文脈が明らかにそれと相容れない意味を示さない限り、「1つ以上」又は「少なくとも1つ」を意味するものとして用いられる。したがって、例えば、本明細書又は付属の特許請求の範囲において「化合物」という言及は、単一の化合物又は1つより多い化合物をいうことができる。さらに、全ての数値は、他に特に言及されない限り、「約」の語で修飾されていることが理解される。
【0019】
本発明の一つの側面はビニルアミン含有ポリマーを目的とし、このアミン基は、(1)カチオン性基、(2)カルボン酸含有基、(3)アルキルグリシジルエーテル基、(4)モノサッカライドもしくはオリゴサッカライド基、又は(5)それらの組み合わせで置換されている。
【0020】
本明細書で用いられ、他に記載のない限り、「ビニルアミン含有ポリマー」の用語は、ビニルアミンのホモポリマー(例えば、ポリビニルアミン又は完全に加水分解されたポリビニルホルムアミド)、ビニルアミンとその他のコモノマーとのコポリマー、部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミド、部分的に加水分解されたビニルホルムアミドコポリマー、ビニルアミンターポリマー、アクリルアミドポリマーのホフマン変性(Hoffmann modification)によって製造されたビニルアミンホモ-及びコポリマーを意味することが理解される。
【0021】
本発明は、重合後に化学的に変性されたビニルアミン含有ポリマーの修飾に基づいている。本発明は、ビニルアミン含有ポリマーに重合後の化学変性を受けさせることによって、ビニルアミン含有ポリマーを修飾する。式(IX)は、本発明のポリマー中の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、又は(VII)の1つ以上を作りだすために修飾されることができる、ビニルアミン含有ポリマー中のビニルアミン残基である。部分的に加水分解されたビニルホルムアミドは、式(IX)に加えて式(XII)を含みうる。式(XII)が本発明によって修飾された場合、それは本発明のポリマー中で式(XIII)又は(XIV)あるいはその両方を作り出すことができる。
【0022】
本発明のポリマーは、下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(XIII)、又は(XIV)のうちの少なくとも1種を含む、不規則(ランダム)に分配された繰り返しモノマー単位を含み、
【0023】
【化4】

【0024】
かつ、式(VIII)、(IX)、(X)、又は(XII)のうちの少なくとも1種を有する、不規則(ランダム)に分配された繰り返しモノマー単位を任意選択でさらに含んでもよい。
【0025】
【化5】

【0026】
上記式中、Xは任意のアニオン、好ましくはCl、Br、又はIであり;Yは、-C(=O)-又は-CH-又は単結合であり;Rは、H、-COOH、-COOR、-CHNR、-NR、-CONR、-OH、-OCOR、-OR、-NO、-CN、-N(CH)、アルケニル、アルキニル、又はアルカノキシルであり;R及びRは同じであるか異なり、Hであるか、又は22個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;RはH又はCHであり;Rは任意選択によりヒドロキシルで置換されていてもよい12個以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキル基、好ましくは-CHCH(OH)CH-又は-CHCH-であり;R及びR10は、Hであるか又は22個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル、好ましくは-CH又は-CHCHであり;Rは18個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキルもしくはアルケニル基であり;Rは、モノサッカライドもしくはオリゴサッカライドもしくはポリサッカライド残基、又は18個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、又はヒドロキシル含有もしくはアルデヒド含有アルキル基であり;Rは、12個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、好ましくは-CHCH-であり;R11は-R、-OR、-NR、好ましくは-NHであり;R、R、S、及びZは同じであるか異なり、-RN(R10)、-R(R)、-CHCH(OH)CHOR、-Y-R-COOH、-Y-R-COR11、又は-CH(OH)Rであり;k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、q、g、及びhは0〜100の負ではない数であって、ポリマー中に存在する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、(XII)、(XIII)、又は(XIV)のランダムに分配された繰り返し単位のモル%を表し、k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、q、g、及びhは独立に0モル%であってもよく;且つ、m、m、n、n、n、n、n、g、及びhの合計は0.1モル%より大きく、好ましくは1モル%より大きく、好ましくは2モル%より大きく、好ましくは5モル%より大きく、好ましくは10モル%より大きく、好ましくは15モル%より大きく、好ましくは20モル%より大きく、そして好ましくは30モル%より大きい。
【0027】
一級アミン基に加えて、部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミド及びビニルアミンコポリマーは、典型的には、一般式(XII)を有するランダム(ramdomly)に分配されたアミジン官能基を含む。アミジン官能基の量は、時間、温度、苛性量、及びその他の因子などの加水分解条件に左右される。当業者は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、及び(VII)のランダムに分配された繰り返しモノマー単位をもたらすための一級アミン官能基のアルキル化及びアシル化は、そのアミジン官能基の窒素原子上でも起こることができ、式(XIII)及び(XIV)のランダムに分配されたモノマー単位をもたらすことが理解できよう。
【0028】
【化6】

【0029】
式中、q及びgは独立に0であるか、又は1、2、5、10、20、又は30モル%よりも大きく、99、又は90又は80又は70モル%にまでになることができ、hは0であるか、又は0.5、又は1、又は2、又は5モル%よりも大きく、50、又は40又は30モル%にまでなることができる。
【0030】
本発明のポリマーは、式(XII)、(XIII)、及び/又は(XIV)の繰り返し単位を含むことができる。
【0031】
本発明のポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(XIII)、又は(XIV)から選択される、ランダムに分配された、繰り返し単位の1種又は2種又はそれより多い繰り返しモノマー単位の任意の組み合わせを含む。
【0032】
本発明は、mが0.1モル%より大きく、且つm、n、n、n、及びnが0モル%である場合は、エトキシル化ポリマーを含まない。
【0033】
上記式中の破線は、上記ポリマーの主鎖内で上記繰り返し単位を連結する結合を表す。
【0034】
本発明の好ましいポリマーは、下記式(XI)を含む。
【0035】
【化7】

【0036】
式中、m、m、n、n、n、n、及びnの合計は0.1モル%より大きく、m、m、n、n、n、n、及びnのいずれかの数、又は2つあるいは2つの数よりも多い任意の組み合わせにおいてこれらの数のいずれかが0.1モル%よりも大きい。
【0037】
本発明の1つの態様では、k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、q、g、及びhの合計は100モル%である。
【0038】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(I)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、三級アミン基を有するアルキル化剤によってカチオン化されている。この態様においては、m、n、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、好ましくはHであり;Rは-CHCH-であり;R10は-CHCHであり;mは0.1、1、2、3、又は5モル%から60、70、80、90、又は100モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜100モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは5〜60モル%の範囲内である。
【0039】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(II)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、4級アンモニウム基を有するアルキル化剤によってカチオン化されている。この態様においては、m、n、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;Xは任意のアニオン、好ましくはClであり;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、好ましくはHであり;Rは-CHCH(OH)CH-であり;Rは-CHであり;Rは-CH又は18以下の炭素の直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;mは0.1、1、2、又は5モル%から80、85、90、又は100モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜100モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜85モル%の範囲内、より好ましくは5〜80モル%の範囲内である。
【0040】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(I)及び式(II)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、三級アミン基を有するアルキル化剤と4級アンモニウム基を有するアルキル化剤とによってカチオン化されている。この態様においては、n、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;Xは任意のアニオン、好ましくはClであり;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、好ましくはHであり;Rは-CHCH(OH)CH-であり;R及びR10は-CH又は-CHCHであり;Rは-CHCH-であり;Rは-CH又は18以下の炭素の直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;m及びmの合計は、0.1、1、2、又は5モル%から80、85、90、又は100モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜100モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜85モル%の範囲内、より好ましくは5〜80モル%の範囲内である。
【0041】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(V)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、アルデヒド含有反応剤によってアルキル化されている。この態様においては、m、m、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;Rはモノサッカライド、又はオリゴサッカライド、又はポリサッカライド残基、又は18以下の炭素の直鎖状もしくは分枝状アルキル基、又はヒドロキシル含有もしくはアルデヒド含有アルキル基であり;nは、0.1、1、2、又は5モル%から80、85、90、又は100モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜100モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜85モル%の範囲内、より好ましくは5〜80モル%の範囲内である。
【0042】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(II)及び式(V)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、4級アンモニウム基を有するアルキル化剤によってカチオン化され、さらにまたアルデヒド含有反応剤によってもアルキル化されている。この態様においては、m、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;Xは任意のアニオン、好ましくはClであり;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、好ましくはHであり;Rは-CHCH(OH)CH-であり;Rは-CHであり;Rは-CH又は18以下の炭素の直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;Rはモノサッカライド、又はオリゴサッカライド、又はポリサッカライド残基、又は18以下の炭素の直鎖状もしくは分枝状アルキル基、又はヒドロキシル含有もしくはアルデヒド含有アルキル基であり;mは、0.1、1、2、3、又は5モル%から50、70、80、90、又は99.8モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.8モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは5〜50モル%の範囲内であり;nは、0.1、1、2、3、又は5モル%から20、25、30、40、50、又は99.8モル%の範囲内、好ましくは0.1〜99.8モル%、より好ましくは1〜50モル%の範囲内、より好ましくは1〜40モル%の範囲内、より好ましくは2〜30モル%の範囲内、より好ましくは3〜25モル%の範囲内、より好ましくは5〜20モル%の範囲内である。
【0043】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(III)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、グリシジルエーテルによってアルキル化されている。この態様においては、m、m、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、より好ましくはHであり;RはH、又は22以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、より好ましくはH、又は4〜16の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり;nは、0.1、1、2、3、又は5モル%から60、70、80、90、又は100モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜100モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは5〜60モル%の範囲内である。
【0044】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(IV)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、カルボン酸を有するアルキル化剤によってアルキル化されているか、又はアシル化後にカルボン酸を生成するアシル化剤によってアシル化されている。この態様においては、m、m、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、より好ましくはHであり;Yは、-C(=O)-又は-CH-又は単結合であり、より好ましくは-C(=O)-であり;Rは、18以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキル又はアルケニル基であり、より好ましくは-CHCH-又は-CH=CH-であり;nは、0.1、1、2、3、又は5モル%から60、70、80、90、又は100モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜100モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは5〜60モル%の範囲内である。
【0045】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(III)及び(IV)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、グリシジルエーテルによってアルキル化され、さらに、カルボン酸を有するアルキル化剤によってアルキル化されているか又はアシル化後にカルボン酸を生成するアシル化剤によってアシル化されている。この態様においては、m、m、n、及びnは0モル%であることが好ましく;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、より好ましくはHであり;RはH、又は22以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキルであり、より好ましくはH、又は4〜16の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキルであり;Yは、-C(=O)-又は-CH-又は単結合であり、より好ましくは-C(=O)-であり;Rは、18以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキル又はアルケニル基であり、より好ましくは-CHCH-又は-CH=CH-であり;nは、0.1、1、2、3、4、又は5モル%から40、60、70、80、90、又は99.9モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.9モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは4〜60モル%の範囲内、より好ましくは5〜40モル%の範囲内であり;nは、0.1、1、2、3、4、又は5モル%から40、60、70、80、90、又は99.9モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.9モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは4〜60モル%の範囲内、より好ましくは5〜40モル%の範囲内である。
【0046】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(II)及び(IV)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、4級アンモニウム基を有するアルキル化剤によってカチオン化され、さらにまた、カルボン酸残基を有するか若しくは生成するアルキル化剤によってアルキル化されているかあるいはアシル化後にカルボン酸残基を有するか若しくは生成するアシル化剤によってアシル化されている。この態様においては、m、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;Xは任意のアニオン、好ましくはClであり;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、好ましくはHであり;Rは-CHCH(OH)CH-であり;Rは-CHであり;Rは-CH又は18以下の炭素の直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;Yは、-C(=O)-又は-CH-又は単結合であり、より好ましくは-C(=O)-であり;Rは、18以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキル又はアルケニル基であり、より好ましくは-CHCH-又は-CH=CH-であり;mは0.1、1、2、3、又は5モル%から60、70、80、90、又は99.8モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.8モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは5〜60モル%の範囲内であり;nは、0.1、1、又は2モル%から20、30、40、又は50モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜50モル%、より好ましくは1〜40モル%の範囲内、より好ましくは2〜30モル%の範囲内、より好ましくは2〜20モル%の範囲内にあり;pは、0.1、0.5、1、2、5、10、又は20モル%から、60、70、75、80、90、95又は99.8モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.8モル%、より好ましくは0.5〜95モル%の範囲内、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは5〜75モル%の範囲内、より好ましくは10〜70モル%の範囲内、より好ましくは20〜60モル%の範囲内である。
【0047】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(II)及び(VI)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、4級アンモニウム基を有するアルキル化剤によってカチオン化され、さらにまた、アミドもしくはアミド誘導体残基を有するアルキル化剤でアルキル化されている。この態様においては、m、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;Xは任意のアニオン、好ましくはClであり;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、好ましくはHであり;Rは-CHCH(OH)CH-であり;Rは-CHであり;Rは-CH又は18以下の炭素の直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;Yは、-C(=O)-又は-CH-又は単結合であり、より好ましくは単結合であり;Rは、18以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキル又はアルケニル基であり、より好ましくは-CH-であり;R11は、-R、-OR、-NR、より好ましくは-NHであり;mは0.1、1、2、3、又は5モル%から、60、70、80、90、又は99.8モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.8モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは5〜60モル%の範囲内であり;nは、0.1、1、又は2モル%から、20、30、40、又は50モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜50モル%、より好ましくは1〜40モル%の範囲内、より好ましくは2〜30モル%の範囲内、より好ましくは2〜20モル%の範囲内にあり;pは、0.1、1、2、5、10、又は20モル%から、60、70、75、80、90、又は95モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜95モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは5〜75モル%の範囲内、より好ましくは10〜70モル%の範囲内、より好ましくは20〜60モル%の範囲内である。
【0048】
本発明の1つの態様は、ランダムに分配された式(II)及び(III)の繰り返し単位を含むポリマーであり、ここでは、ビニルアミン含有ポリマーは、4級アンモニウム基を有するアルキル化剤によってカチオン化され、さらにまた、グリシジルエーテルによってもアルキル化されている。この態様においては、m、n、n、及びnは0モル%であることが好ましく;Xは任意のアニオン、好ましくはClであり;RはH、又は4〜8の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり、好ましくはHであり;Rは-CHCH(OH)CH-であり;Rは-CHであり;RはH、又は22以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり、より好ましくはH、又は4〜16の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキルであり;mは0.1、1、2、3、又は5モル%から、50、70、80、90、又は99.8モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.8モル%、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは3〜70モル%の範囲内、より好ましくは5〜50モル%の範囲内であり;nは、0.1、1、2、3、又は5モル%から、20、25、30、40、又は50モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜50モル%、より好ましくは1〜40モル%の範囲内、より好ましくは2〜30モル%の範囲内、より好ましくは3〜25モル%の範囲内、より好ましくは5〜20モル%の範囲内にあり;pは、0.1、0.5、1、2、5、10、又は20モル%から、60、70、75、80、90、95、又は99.8モル%の範囲にあり、好ましくは0.1〜99.8モル%、より好ましくは0.1〜95モル%の範囲内、より好ましくは1〜90モル%の範囲内、より好ましくは2〜80モル%の範囲内、より好ましくは5〜75モル%の範囲内、より好ましくは10〜70モル%の範囲内、より好ましくは20〜60モル%の範囲内である。
【0049】
本発明の別の態様は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(XIII)、又は(XIV)から選択される、ランダムに分配された2種以上の繰り返しモノマー単位の任意の組み合わせを含むポリマーである。この態様においては、任意のm、m、n、n、n、n、n、g、及びhは2種以上の組み合わせで、0.1モル%よりも多い。本発明の1つの態様は、3種以上のランダムに分配されたモノマー単位を有する。本発明の1つの態様は、4種以上のランダムに分配されたモノマー単位を有する。
【0050】
本発明の別の態様は、lが0モル%であり、且つ約4,000〜2,000,000ダルトンの範囲、より好ましくは約10,000〜約1,000,000ダルトンの範囲に分子量を有するポリマーである。
【0051】
別の態様は、上記の変性したビニルアミン含有ポリマーの製造法であって、その方法は、ビニルアミン含有ポリマーを、好ましくは溶液中で、ある温度である時間、カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤;アミン反応性官能基を含み、且つアシル化又はアルキル化後にカルボン酸もしくはアミドもしくはアミド誘導体残基を有するか又は生成するアルキル化もしくはアシル化剤;アルキルグリシジルエーテル、アルデヒド含有化合物、例えば、モノサッカライドもしくはオリゴサッカライド、及びこれらの混合物、からなる群から選択される化合物と反応させるステップを含み、ここで得られるポリマーを、カチオン性官能基及びアミン反応性基を含むアルキル化剤;アミン反応性基を含み、且つアシル化もしくはアルキル化後に、カルボン酸もしくはアミドもしくはアミド誘導体残基を有するかもしくは生成するアルキル化もしくはアシル化剤;アルキルグリシジルエーテル;アルデヒド含有化合物、例えば、モノサッカライドもしくはオリゴサッカライド、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物と、ある反応温度である時間、任意選択によりさらに反応させてもよい。
【0052】
本発明の別の態様は上述した方法であって、上記ビニルアミン含有ポリマーが、上記反応媒体中に約1%〜約50%固形分の量で存在する。
【0053】
本発明の別の態様は上述した方法であって、上記反応媒体が水又は有機溶媒を含む。
【0054】
本発明の別の態様は上述した方法であって、上記反応温度が約10℃〜約90℃である。
【0055】
本発明の別の態様は上述した方法であって、上記時間が約15分〜約12時間である。
【0056】
さらに、当業者は、ランダムに分配された式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(XIII)、又は(XIV)の繰り返しモノマー単位を得るための一級アミン官能基のアルキル化及びアシル化が、アミン含有コモノマーの窒素原子又はビニルアミンコポリマーの製造時に生成される官能基の窒素原子上でも起こりうることを理解するだろう。例えば、ビニルホルムアミドとアクリルアミド及びアクリロニトリルとのコポリマーの加水分解時に生成される官能基の窒素原子は、アミン反応性基を有し且つアシル化又はアルキル化後にカルボン酸もしくはアミドもしくはアミド誘導体残基を有するか又は生成する反応剤、及び/又はカチオン性基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤、及び/又はカチオン性基及びアミン反応性基を含むアルキル化剤、及び/又はアルキルグリシジルエーテル、及び/又はアルデヒド含有化合物、例えば、モノサッカライドもしくはオリゴサッカライド、及びそれらの混合物、でアルキル化又はアシル化されうる。
【0057】
アミン反応性官能基を含み且つアシル化もしくはアルキル化後にカルボン酸もしくはアミドもしくはアミド誘導体残基を生成する反応剤による、ビニルアミン含有ポリマーのアルキル化もしくはアシル化は、カチオン性基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤、又はアルキルグリシジルエーテル、又はアルデヒド含有化合物、例えば、モノサッカライドもしくはオリゴサッカライド、及びそれらの混合物、によるアルキル化の前又は後に行うことができる。カチオン性基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤とアルキルグリシジルエーテルの両方でのビニルアミン含有ポリマーのアルキル化は、同時に又は順次行うことができる。本発明のポリマーは、精製あり又は精製なしで得ることができる。本発明の方法は、様々な官能基をビニルアミン含有ポリマーに付加させるために用いることができ、官能基には、ポリマーにアニオン性又はカチオン性官能基あるいは両親媒特性を付与しないものも含まれる。
【0058】
ビニルアミン含有ポリマーのアルキル化は、アルデヒド官能基を含む反応剤、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキサール、又はアルデヒド還元末端を有するモノサッカライドもしくはオリゴサッカライドを用いて行うことができる。理論に拘束されることは望まずに、ビニルアミンと還元末端含有モノサッカライドもしくはオリゴサッカライドとの反応は、最初に、構造(V)に示されるヘミアミナールを形成する。さらなる反応(脱水)がイミン官能基(XV)を形成でき、これがさらに別のアミンと反応してアミナール官能基(XVI)を形成することができる。本発明の方法に用いられる還元末端含有モノサッカライド又はオリゴサッカライドは、好ましくは、グルコース、マルトース、ラクトース、マルトデキストリン、コーンシロップ、酵素により加水分解されたデンプン及び化学的に加水分解されたデンプンからなる群から選択される。本発明の方法に用いられる還元末端含有モノサッカライドもしくはオリゴサッカライドは、コーンシロップ及びラクトースが最も好ましい。一般に、還元末端含有モノサッカライドもしくはオリゴサッカライドは、20℃〜50℃の範囲の温度で、6.0〜12.0の範囲のpHで、約5〜30分の時間にわたって、ビニルアミン含有ポリマーの水溶液に粉末又は水溶液として添加される。反応は6、8、9、又は10から、11、11.5、12、又は12.5の範囲、好ましくは6〜12.5、好ましくは8.0〜12.0、より好ましくは9.0〜11.5、そして最も好ましくは10.0〜11.0の範囲のpHで行われる。アルキル化は、5、10、15、20、又は30分から、1、3、4、5、12、又は15時間の範囲、好ましくは5分〜15時間、より好ましくは15分〜12時間、より好ましくは10分〜8時間、より好ましくは15分〜6時間、より好ましくは20分〜4時間、そして最も好ましくは30分〜2時間の時間、行われる。理論に拘束されることを望むことなしに、サッカライドとビニルアミン残基との連結はヘミアミナール(V
)又はイミン(XV)である。それはアルカリ条件下ではかなり安定であるが、酸性条件下では安定性は劣る。それは別のポリビニルアミン分子からのアミンと反応して、アミナール基を形成し、ポリマーを架橋することができる。イミン基も、隣接するアミンと反応して、6員環アミナール官能基(XVI)を形成することができる。このアルキル化は、反応媒体中のポリマー含量が1、2、5、又は10%固形分から、30、35、40、又は50%固形分までの範囲で、好ましくは1%〜50%固形分、好ましくは2%〜40%固形分、より好ましくは5%〜35%固形分、そして最も好ましくは10%〜30%固形分の範囲で行われる。
【0059】
【化8】

【0060】
本発明の方法に用いられるビニルアミン含有ポリマーは、ビニルアミンホモポリマー(すなわち、ポリビニルアミン)、ビニルアミンコポリマー、ビニルアミンターポリマー、重合後化学的に変性されたアクリルアミドポリマー又はビニルアミン含有ポリマーのホフマン変性(Hofmann modification)によって製造されたビニルアミンホモ-及びコポリマーからなる群から選択されることが好ましい。本発明の方法に用いられるビニルアミン含有ポリマーは、最も好ましくはポリビニルアミンである。
【0061】
ビニルアミン含有ポリマーのペンダントアミンにカチオン性官能基含有置換基を付加することは、得られるポリマーの総質量を増大させ、それによってポリマーの分子量が増大し、さらにまた、得られるポリマーのカチオン電荷分布を変化させる。本発明の方法に用いられる、カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤は、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド及び2-(ジエチルアミノ)エチルクロライドからなる群から選択されることが好ましい。本発明の方法に用いられる、カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤は、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが最も好ましい。
【0062】
カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤、例えば、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド又は2-(ジエチルアミノ)エチルクロライド塩酸塩によるビニルアミン含有ポリマーのアルキル化は、一般に水中で行われるが、水/有機溶媒混合物中で行うこともできる。これらのアルキル化は、2、4、6、8、9、又は10から、11.5、12、12.5、13、又は14の範囲のpH、好ましくは2〜14の範囲のpH、より好ましくは4〜14、より好ましくは6〜14、より好ましくは8〜14、より好ましくは9〜13、より好ましくは10.0〜12.5、そして最も好ましくは11.5〜12.0の範囲のpHで行うことができる。これらのアルキル化は、10、20、30、40、又は50℃から、60、70、80、85、又は90℃の範囲、より好ましくは30℃〜80℃、好ましくは10℃〜90℃の範囲の温度、より好ましくは20℃〜85℃、より好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは40℃〜70℃、そして最も好ましくは50℃〜60℃の範囲の温度で行うことができる。これらのアルキル化は、5、10、15、20、30、40、又は60分から、1、2、3、4、5、10、12、又は25時間の範囲の時間、好ましくは5分〜25時間、より好ましくは10分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間、より好ましくは15分〜12時間、より好ましくは20分〜4時間、より好ましくは30分〜3時間、より好ましくは40分〜2時間の範囲の時間行うことができ、最も好ましくは1時間行なわれる。これらのアルキル化は、反応媒体中のポリマー含量が、1、3、5、8、又は10%から、20、25、30、40、又は50%ポリマー固形分(水中)の範囲で行うことができ、反応媒体中で1%〜50%、より好ましくは3%〜40%、より好ましくは5%〜30%、より好ましくは8%〜25%、そして最も好ましくは10%〜20%のポリマー固形分(水中)の範囲で行うことが好ましい。
【0063】
理論に拘束されることを望むことなく、かなり広い範囲の反応条件が可能であり、なぜなら、1-(N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド)-2-ヒドロキシプロピルとビニルアミン残基との間の結合は、アルカリ及び高温条件の両方の下でかなり化学的に安定だからである。
【0064】
カチオン官能基とアミン反応性官能基を含むその他のアルキル化剤を本発明の方法に用いることができ、それには、(ジアルキルアミノ)アルキルクロライド、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチルクロライド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-アルキル-ジメチルアンモニウムクロライド、例えば、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロライド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ココアルキル-ジメチルアンモニウムクロライド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-ステアリル-ジメチルアンモニウムクロライド、(ハロアルキル)トリメチルアンモニウムクロライド、例えば、(4-クロロブチル)トリメチルアンモニウムクロライド、(6-クロロヘキシル)トリメチルアンモニウムクロライド、(8-クロロオクチル)トリメチルアンモニウムクロライド、(グリシジルプロピル)トリメチルアンモニウムクロライドが含まれる。
【0065】
本発明のポリマーをさらに修飾するために用いることができるが、本発明のポリマーを作り出しはしないその他のアルキル化剤は、アルキルハライド、例えば、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、ブチルクロライド、ベンジルクロライド、フェネチルクロライドである。
【0066】
その他のアルキル化剤には、オレフィン、例えば、1-ヘキセン、1-ノネン、1-デセン、及び1-ドデセン;環状オレフィン、例えば、シクロヘキセン、シクロペンテン、及びシクロオクテン;アリールアルケン、例えば、スチレン、メチルスチレン、3-フェニルプロペン、及び2-フェニル-2-ブテンが含まれるがこれらには限定されない。
【0067】
ビニルアミン含有ポリマーは、アルキルグリシジルエーテル化合物、グリシドール、又はクロロプロパンジオールでもアルキル化できる。本発明の方法に用いられるアルキルグリシジルエーテルは、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、及びC12/C14グリシジルエーテルからなる群から選択されることが好ましい。アルキルグリシジルエーテルによるビニルアミン含有ポリマーのアルキル化は一般に水中で行われるが、水/有機溶媒混合物中でも行うことができる。これらのアルキル化は、8、9、10、又は11.5から、12、12.5、13、又は14の範囲、好ましくは8.0〜14.0、より好ましくは9.0〜13、より好ましくは10.0〜12.5、そして最も好ましくは11.5〜12.0の範囲のpHで行うことができる。これらのアルキル化は、10、20、30、40、又は50℃から、60、70、80、85、又は90℃の範囲、好ましくは10℃〜90℃、より好ましくは20℃〜85℃、より好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは40℃〜70℃、そして最も好ましくは50℃〜60℃の範囲の温度で行うことができる。これらのアルキル化は、5、10、15、20、30、40、又は60分から、1、2、3、4、5、10、12、又は25時間の範囲の時間、好ましくは5分〜25時間、より好ましくは10分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間、より好ましくは15分〜12時間、より好ましくは20分〜4時間、より好ましくは30分〜3時間、より好ましくは40分〜2時間、そして最も好ましくは1時間、行うことができる。これらのアルキル化は、反応媒体中、1、3、5、8、又は10%から、20、25、30、40、又は50%の範囲、好ましくは1%〜50%、より好ましくは3%〜40%、より好ましくは5%〜30%、より好ましくは8%〜25%、そして最も好ましくは10%〜20%の範囲内のポリマー含量で行うことができる。
【0068】
本発明の方法に用いられる、アミン反応性官能基を含み且つアシル化又はアルキル化の後でカルボン酸又はアミド又はアミド誘導体残基を有するか又は生じるアルキル化又はアシル化剤は、無水コハク酸、18以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキル又はアルケニル基で置換された無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水3-メチルグルタル酸、2,2-ジメチル無水コハク酸、環式アルキルカルボン酸無水物、環式アルケニルカルボン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、クロロ酢酸、クロロ酢酸の塩、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の塩、ハロゲン置換アルカン酸アクリルアミド、及びハロゲン置換アルケン酸アクリルアミドからなる群から選択されることが好ましい。紙に用いられる一般的なサイズ剤であるアルケニルコハク酸無水物(ASA)は、無水マレイン酸とオレフィンとの反応によって調製できる。本発明の方法で用いる、アミン反応性官能基を含み且つアシル化又はアルキル化の後でカルボン酸残基を有するか又は生じるアルキル化又はアシル化剤は、最も好ましくは、無水コハク酸、又は18以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキルもしくはアルケニル基で置換された無水コハク酸、又は無水マレイン酸である。環状カルボン酸無水物、例えば、無水コハク酸又は無水マレイン酸がビニルアミン含有ポリマーと反応した場合、アミン官能基の開環アシル化によってビニルアミン含有ポリマーの側鎖(ペンダント)アミン基上にカルボン酸含有官能基がぶらさがる。ビニルアミン含有ポリマー上にカルボン酸含有官能基を付加することは、これらのポリマーに両性(amphoteric property)を付与する。
【0069】
アミン反応性官能基を含み且つアシル化又はアルキル化後にカルボン酸又はアミド又はアミド誘導体残基を有するか又は生成するアルキル化又はアシル化剤、例えば、無水コハク酸、によるビニルアミン含有ポリマーのアルキル化又はアシル化は、典型的には水中で行われるが、水/有機溶媒混合物中でも行うことができる。一般に、そのような反応剤は、20℃〜50℃の範囲の温度で、7.0〜10.0の範囲のpHで、約20〜30分の時間にわたって、ビニルアミン含有ポリマーの水溶液に添加される。この反応は、6、7、7.5から、8.5、9、又は10の範囲、好ましくは6.0〜10.0、より好ましくは7.0〜9.0、そして最も好ましくは7.5〜8.5の範囲のpHで行われる。これらのアルキル化及びアシル化は、10、15、20、又は30℃から、50、60、70、又は90℃の範囲、好ましくは10℃〜90℃、より好ましくは10℃〜70℃、より好ましくは15℃〜60℃、より好ましくは20℃〜50℃、そして最も好ましくは30℃〜40℃の温度で行われる。これらのアルキル化及びアシル化は、5、10、15、20、又は30分から、1、3、4、5、12、又は15時間、好ましくは5分〜15時間、より好ましくは15分〜12時間、より好ましくは10分〜5時間、より好ましくは15分〜4時間、より好ましくは20分〜3時間、そして最も好ましくは30分〜1時間、行われる。より高いpH及びより高い温度は反応速度を増大させるが、無水コハク酸の加水分解の速度をも増大させ、それによって反応効率を低下させる。アルキルカルボン酸とビニルアミン残基との結合はアミドである。それは中性及び酸性条件下で比較的安定であるが、アルカリ条件下では安定性が劣り、9.0より高いpHで徐々に加水分解を受けやすい。これらのアルキル化及びアシル化は、反応媒体中、1、2、5、又は10%固形分から、30、35、40、又は50%固形分、好ましくは1%〜50%固形分、好ましくは2%〜40%固形分、より好ましくは5%〜35%固形分、そして最も好ましくは10%〜30%固形分の範囲で行われる。
【0070】
理論に拘束されることを望むことなく、完全に加水分解されたビニルホルムアミドは理論的にはビニルアミン繰り返し単位のみからなり(すなわち、ビニルアミンホモポリマー)、各ビニルアミン繰り返し単位は1つの一級アミンを有し且つ43の分子量を有する。さらに、完全に加水分解されたビニルホルムアミドの全てのビニルアミン繰り返し単位は、理論的には、(1)カチオン性基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤によってアルキル化されることができ、(2)アミン反応性官能基を含み且つアシル化又はアルキル化後にカルボン酸又はアミド又はアミド誘導体を有するか又は生成するアルキル化又はアシル化剤によってアルキル化又はアシル化されることができ、(3)アルキルグリシジルエーテルでアルキル化されることができ、又は(4)モノサッカライド又はオリゴサッカライド又はポリサッカライドによって1:1モル基準でアルキル化されることができる。したがって、例えば、ポリビニルアミンの全ての一級アミンが無水コハク酸によってアシル化された場合、モル比は1:1である。3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを、カチオン性基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤として用いる場合は、ビニルアミン単位に対するそのモル比は、0.03、0.05、0.1、0.2、0.25、又は0.3より大きいが、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、又は1.0よりも小さく、好ましくは0.03より大きいが1.0未満であり、好ましくは0.05より大きいが0.8未満であり、より好ましくは0.1より大きいが0.7未満であり、より好ましくは0.2より大きいが0.6未満であり、より好ましくは0.25より大きいが0.5未満であり、そして最も好ましくは0.3より大きいが0.4未満である。
【0071】
ビニルアミン含有ポリマーを無水コハク酸でアシル化し且つ3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドでアルキル化する場合は、ビニルアミン単位に対する無水コハク酸のモル比は、0.005、0.01、0.015、0.02、又は0.03より大きいが、0.2、0.3、0.5、0.8、又は1.0未満であり、好ましくは0.005より大きいが1.0未満、好ましくは0.01より大きいが0.8未満、より好ましくは0.015より大きいが0.5未満、より好ましくは0.02より大きいが0.3未満、そして最も好ましくは0.03より大きいが0.2未満であり;一方、ビニルアミン単位に対する3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのモル比は、好ましくは、0.02、0.05、0.1、0.2、0.25、又は0.3より大きいが、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、又は1.0未満であり、好ましくは0.02より大きいが1.0未満、より好ましくは0.05より大きいが0.8未満、より好ましくは0.1より大きいが0.7未満、より好ましくは0.2より大きいが0.6未満、より好ましくは0.25より大きいが0.5未満、そして最も好ましくは0.3より大きいが0.4未満である。
【0072】
理論に拘束されることを望むことなく、本発明のポリマーは様々な条件下で化学的な自己架橋をすることができ、用途特性に最終的に影響を及ぼしうる物理的及び化学的性質、例えば、パルプ繊維に対する結合親和性及びその他のポリマーとの相互作用など、に変化をもたらしうる。自己架橋の典型例は、無水マレイン酸でアシル化されたポリビニルアミンのマイケル付加による分子内及び分子間架橋、及び、付加したアセトアミドのアミド交換による、クロロアセトアミドでアルキル化されたポリビニルアミンの架橋である。
【0073】
任意の二官能又は多官能架橋剤を、後処理工程を通じて本発明のポリマーを架橋させるために用いてもよい。これらの二官能又は多官能架橋剤の例は、アルキルジエポキシド、1,3-ブタジエン、ポリエポキシド、アルキルジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンカルボキシレート、ジハロアルカン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アルキルジイソシアネート、ポリイソシアネート、無水マレイン酸系ポリマー、アジリジン、エピハロヒドリン、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジアルデヒド、エチレングリコールジアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ポリエトキシメタクリレートメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、多官能アクリルアミド、多官能アクリレート、多官能メタクリレート、多官能マレート、多官能フマレート、金属ハロゲン化物、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三塩化インジウム、三塩化ガリウム、五塩化タンタル、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、三塩化ホウ素、及び塩化ジルコニウムである。本発明のポリマーは、様々な条件下での静電相互作用又は疎水性相互作用による物理的架橋も行うことがあり、様々な物理的特性及び用途特性を有するポリマーを生じうる。無機架橋剤は、2又は多数のアニオンをもつ任意のアニオン性無機物質、例えば、ホウ酸、リン酸、又は硫酸であることができる。
【0074】
本発明の別の側面は、様々な製紙、水処理、及びその他の用途における、本発明のポリマーの使用を目的とする。本発明のポリマーが使用できる能力は、ビニルアミン含有ポリマーの側鎖アミノ基に付加された置換基の性質、並びに置換の程度に左右される。上で定義した式(II)、又は(I)及び(II)、又は(II)及び(IV)、又は(II)及び(V)、又は(II)及び(VI)を有するランダムに分配された繰り返し単位を含むビニルアミン含有ポリマーを含む組成物は、製紙業において、乾燥紙力増強樹脂、湿潤紙力増強樹脂、歩留り向上剤、濾水剤、並びにピッチ及び粘着性制御剤として、水処理のための凝結剤(flocculant)、及び水処理のための凝集剤(coagulant)として用いることができる。上で定義した、式(II)及び(III)、又は(I)及び(II)、又は(V)を有するランダムに分配された繰り返し単位を含むビニルアミン含有ポリマーを含む組成物は、製紙工程及び水処理における混入物質制御、例えば、ピッチ及び粘着性制御のためのカチオン性ポリマー界面活性剤として、及び接着剤、特にクレーピング接着剤及び建材接着剤として、特に有用である。本発明のポリマーを含む組成物は、樹脂特性を最適化するための可塑剤又は改質剤、増粘剤、及び様々なその他の工業用途のためのコーティング材料として用いてもよい。紙製品も本発明のポリマーを含むことができる。
【0075】
紙パルプ原液中のピッチ及び粘着物質の強化された除去及び/又は制御は、本発明のポリマーと1種以上の酵素の組み合わせ物での処理によって達成できる。そのような酵素には、典型的には、ヒドロラーゼ(加水分解酵素)、例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、及びペクチナーゼ;リアーゼ、例えば、ペクテートリアーゼ;及びオキシドリダクターゼ、例えば、ラッカーゼ、グルコースオキシダーゼ、及びペルオキシダーゼが含まれる。酵素は一般に任意の形態、例えば、液体又は固体の形態で用いることができる。個々の酵素又は様々な酵素の任意の組み合わせを、本発明のポリマーとともに適用すること、あるいは本発明のポリマーの適用の前又は後に順次適用することができる。個々の酵素は、使用前に、本発明のポリマーとともに混合してブレンドされた配合物を形成してもよい。
【0076】
上に記載した任意の形態の、酵素と本発明のポリマーとの混合物は、任意の従来のパルプ化法、例えば、バージンファイバー又はリサイクルファイバー又はそれらの組み合わせの処理のための機械パルプ化又は化学パルプ化を用いるパルプ化段階でパルパー(pulper)中に存在させ又はパルパーに導入することができる。任意の形態の、酵素と本発明のポリマーとの組み合わせは、任意の原料貯蔵器又はその他の貯蔵タンクへ導入してもあるいはそこで接触させてもよい。それらは、水とともに製紙機械中に投入しても、あるいはバージン又はリサイクルミルの水処理ループ中に適用して、濾水中の粘着物又はピッチを処理してもよい。
【0077】
理論に拘束されることを望むことなく、本発明のポリマーの分子量は、紙製品の強度向上のための製紙添加剤としてそれを用いるためには重要である。分子量が低すぎる場合は、ポリマーはパルプ繊維上に低い残留性しかもたない。分子量が大きすぎる場合は、ポリマーは、繊維と結合する前に凝集する傾向があり、これは強度添加剤としてのポリマーの有効性を低下させる。本発明のポリマーを調製するために用いられるビニルアミン含有ポリマーの分子量(M)は、4,000、10,000、20,000、50,000、75,000、100,000、150,000、又は200,000から、400,000、450,000、500,000、600,000、700,000、800,000、又は1,000,000ダルトンの範囲、好ましくは4,000〜1,000,000ダルトン、より好ましくは10,000〜1,000,000ダルトン、より好ましくは20,000〜800,000ダルトンの範囲、より好ましくは50,000〜700,000ダルトンの範囲、より好ましくは75,000〜600,000ダルトンの範囲、より好ましくは100,000〜500,000ダルトンの範囲、より好ましくは150,000〜450,000ダルトンの範囲、そして最も好ましくは200,000〜400,000ダルトンの範囲、である。mが0であり、mが0より大きく、XがClであり、Rが-CHCH(OH)CH-であり、R及びRが-CHである場合は、本発明のポリマーのMは、好ましくは100,000〜1,000,000ダルトンの範囲、より好ましくは200,000〜600,000の範囲、そして最も好ましくは250,000〜500,000の範囲である。m及びnが0であり、m及びnが0より大きく、XがClであり、Yが-C(=O)-であり、Rが-CHCH(OH)CH-であり、R及びRが-CHであり、且つRが-CHCH-である場合は、本発明のポリマーのMは、好ましくは100,000〜1,000,000ダルトンの範囲、より好ましくは200,000〜600,000ダルトンの範囲、そして最も好ましくは250,000〜500,000ダルトンの範囲である。
【0078】
理論に拘束されることを望むことなく、側鎖に且つランダムに分配された四級アンモニウム基を有する本発明のビニルアミン含有ポリマーの電荷密度は、その四級アンモニウム官能基によって、水性媒体中においてpHによる影響をあまり受けないと考えられる。さらに、そのようなポリマーは、粘着物及びピッチの制御のための薬剤として、より適していると考えられる。
【0079】
式(I)又は(II)を有するランダムに分配された繰り返しモノマー単位を含むビニルアミン含有ポリマーは、同じポリマー濃度において、未変性のビニルアミン含有ポリマーと比較して低い粘度を示す。この点は、式(II)を有するランダムに分配されたモノマー単位を含むビニルアミン含有ポリマーについて特にあてはまる。理論に拘束されることを望むことなく、その低い粘度は、そのポリマーの水との低い結合性に起因している可能性がある。無水コハク酸でアシル化したビニルアミン含有ポリマーの溶液粘度は、ビニルアミン単位に対する無水コハク酸のモル比が0.02〜0.6の範囲である場合、未変性ビニルアミン含有ポリマーの溶液粘度よりも非常に高いことが判明している。理論に拘束されることを望むことなく、この高い溶液粘度は、カルボン酸と未反応の側鎖(ペンダント)一級アミン基との間の分子間の電荷相互作用によると考えられる。例えば、12%の活性ポリマー濃度をもつポリビニルアミンは約1200cpsのブルックフィールド粘度を有する一方、無水コハク酸でアシル化されたポリビニルアミンの同量のブルックフィールド粘度は典型的には2700cpsよりも大きく、4000cps程まで高くなりうる。そのようなポリマーに側鎖四級アンモニウム官能基を加えることによって、粘度は顕著に低下されうる。例えば、無水コハク酸でアシル化され且つ3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドでアルキル化されたポリビニルアミン(ビニルアミンに対するそれぞれのモル比は、より高いポリマー固形分において0.039/0.37/1.0)の粘度は、約700cpsである。理論に拘束されることを望むことなく、この低下した粘度は、ポリマーの側鎖一級アミン(ペンダントアミン)基の37%の第二級アミンへの転化によって生じるポリマーコンフォメーションの変化と、それによるそのようなポリマーが水に結合する能力の低下に起因しうる。この特性は、経済的観点から、大規模生産にとって有利である。
【0080】
アミン反応性官能基を含み且つアシル化又はアルキル化後にカルボン酸を有するか又は生じる反応剤でアシル化又はアルキル化されたビニルアミン含有ポリマーが、そのポリマーの線状の主鎖に沿って分配された側鎖カルボン酸基を含むことに関しては、理論に拘束されることを望むことなく、未変性ビニルアミン含有ポリマーのものと比較して、これらのポリマーによって示される、水性媒体中での改変された物理特性及び改善された分子間及び分子内電荷相互作用は、それらの両性特性(amphoteric character)によるようである。水中でのこれらのポリマーの溶解度は、アシル化に用いた無水コハク酸のモル比とポリマー溶液のpHに左右される。中性から酸性のpHでは、いくらかのコハク酸アシル化ビニルアミン含有ポリマーは、凝集して、貯蔵中に溶液から析出する傾向がある。理論に拘束されることを望むことなく、この挙動は、ポリマーの側鎖カルボン酸と一級アミン残基との間の強い分子内電荷相互作用に基づく可能性がある。ビニルアミン含有ポリマーへの四級アンモニウム基を含む置換基の付加(例えば、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドでのアルキル化による)は、その側鎖一級アミン基とカルボン酸との間の相互作用の機会を低下させる。四級アンモニウム官能基は、様々なpHにおいて独立した電荷密度を有し、一級アミンと比べて、カルボン酸残基とより弱い静電結合を形成する。このことは、これらの両性ポリマーの溶液を安定化させることを助け、それらの凝集と溶液からの沈殿を防止する。
【0081】
式(II)、又は(I)及び(II)、又は(II)及び(IV)、又は(II)及び(V)、又は(II)及び(VI)を有するランダムに分配された繰り返し単位を含むビニルアミン含有ポリマーは、紙製品のための乾燥紙力増強剤として、パルプ繊維の濾水を促進させるために、及び製紙工程でパルプ繊維による微細物及び充填剤(フィラー)の保持を高めるために、好ましく用いられる。理論に拘束されることを望むことなく、このポリマーは、モル数基準で、少なくとも2%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも15%、そして最も好ましくは少なくとも20%の未反応の側鎖一級アミン基(ペンダント一級アミン基)をポリマー主鎖上に含むことが好ましい。好ましくは、このポリマーは、pH4.0にて、好ましくはpH5.0にて、より好ましくはpH6.0、そして最も好ましくはpH7.0において、全体で正の電荷密度を有し、それによって製紙業での使用のために有効となる。式(II)、又は(I)及び(II)、又は(II)及び(IV)、又は(II)及び(V)、又は(II)及び(VI)を有するランダムに分配された繰り返し単位を含むビニルアミン含有ポリマーの組成物も、板紙製品のための望ましい用途特性を提供する。これらのポリマーは、乾燥パルプに基づいて0.01、0.02、0.03、0.05、0.08、又は0.1%から、0.5、0.6、0.75、1.0、1.5、又は2.0%の範囲、乾燥パルプに基づいて、好ましくは0.01%〜2.0%、好ましくは0.02%〜1.5%、より好ましくは0.03%〜1.0%、より好ましくは0.05%〜0.75%、より好ましくは0.08%〜0.6%、そして最も好ましくは0.1%〜0.5%の処理量で有効である。
【0082】
本発明のポリマーは、本ポリマーの性質を改善するために、その他の組成物と組み合わせて用いることができる。本発明のポリマーと組み合わせて用いてもよい組成物は、カチオン性、又はアニオン性、又は両性、又はノニオン性の、合成又は天然ポリマーであることができる。例えば、本発明のポリマーは、紙製品の強度特性を向上させるために、カチオン性デンプン又は両性デンプンとともに用いることができる。本発明のポリマーは、アニオン性ポリマー、例えば、ポリアクリル酸、アクリルアミドとアクリル酸のコポリマー、又はカルボキシメチルセルロースなど;カチオン性ポリマー、例えば、架橋されたポリアミドアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、又はポリアミン、と組み合わせて使用して、紙製品の強度特性を向上させるための高分子電解質複合物を形成させることもできる。本発明のポリマーは、ポリマー性のアルデヒド官能性化合物、例えば、グリオキサレート化されたポリアクリルアミド、アルデヒドセルロース、及びアルデヒド官能性ポリサッカライドと組み合わせて用いることもできる。個々の組成物又は様々な組成物の任意の組み合わせを、本発明のポリマーとともに用いることができ、あるいは本発明のポリマーの適用の前又は後で順次適用することができる。個々の組成物を本発明のポリマーと共にブレンドして、使用前にブレンドした組成物を作ることもできる。
【0083】
本発明の態様を以下の実施例で明らかにする。これらの実施例は説明のためにのみ提供することが理解されるべきである。したがって、本明細書に示し且つ記載したものに加えて本発明の様々な変形が上記記載から当業者に明らかであろう。本発明を特定の手段、材料、及び態様を参照して説明しているが、本発明は開示した特定のものに限定されず、付属の特許請求の範囲内の全ての均等物に及ぶことが理解されるべきである。
【実施例】
【0084】
[実施例]
ポリビニルアミンはPVAmと略記する。以下の例では、カチオン官能基を含むアルキル化剤でアルキル化したPVAmは、例えば、PVAm四級アンモニウム(24)のように記載できる。この括弧内の数値は、ビニルアミン単位に対して、反応で用いた3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのモル数を表している。これらのPVAm四級アンモニウム誘導体がさらに無水コハク酸でアシル化もされている場合は、それらは例えば、スクシニルPVAm四級アンモニウム(10:20)のように記載できる。この括弧内の数値10及び20は、ビニルアミン単位に対して、反応で用いた無水コハク酸と3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのモル%をそれぞれ表している。反応効率が100%の場合、ポリビニルアミン中のビニルアミン単位の10モル%が無水コハク酸でアシル化され、20モル%が3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドでアルキル化されている。このポリビニルアミン誘導体中の残りの未反応ビニルアミン単位は70モル%になりうる。別の例としては、スクシニルPVAm(36)は、無水コハク酸がビニルアミン単位に対して36モル%で反応に用いられていることを示している。PVAm四級アンモニウム誘導体がさらにアルキルグリシジルエーテルでアルキル化されている場合、それらは例えば、C4-PVAm四級アンモニウム(1:24)のように記載されうる。この括弧内の数値は、C4アルキルグリシジルエーテルすなわちブチルアルキルグリシジルエーテルがビニルアミン単位に対して1モル%で用いられ、一方、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが24モル%で用いられていることを示している。
【0085】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて分子量を測定した。この分析は、ゲル浸透カラム(CATSEC4000+1000+300+100)とウォーターズ515シリーズ・クラマトグラフ装置を、移動相として50:50のHO:CHCN中の1%NaNO/0.1%トリフルオロ酢酸の混合物とともに用いて行った。流速は1.0mL/分だった。検出器はヒューレットパッカード1047A示差屈折率計だった。カラム温度は40℃に設定し、検出器温度は35℃に設定した。ポリマーの数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を、市販されている狭分子量標準品のポリ(2-ビニルピリジン)に対して計算した。
【0086】
本発明におけるイオン化したポリマーの電荷密度(Muetek)を、コロイド滴定法を用いてpH7.0で測定した。電荷密度(meq/g)は単位質量当りのカチオン電荷の量であり、生成物固形分1g当りのミリ当量で表す。ポリマー試料を自動滴定装置(Brinkmann Titrino)を用いて固定滴定速度(0.1mL/1用量、5秒)で0mV電位まで滴定し、Muetek粒子電荷検出装置(Model PCD 03, BTG, Muetek Analytic Inc., 2141 Kingston Ct.,Marietta, GA, USA)を終点検出のために使用した。
【0087】
ブルックフィールド粘度(BV)をDV-II粘度計(ブルックフィールド粘度研究所、Middleboro, MA)を使用して測定した。選択したスピンドル(2番)をその装置に取り付け、30RPMの速度に設定した。反応溶液を特定の固形分含量で調製した。空気の気泡を取り込まないように、ブルックフィールド粘度スピンドルを注意深くその溶液中に差し込み、次に上述した速度で3分間、24℃で回転させた。単位はセンチポアズ(cps)である。
【0088】
本発明のポリマー中の「活性ポリマー」は、乾燥量基準で、そのポリマーを作るために用いた全てのモノマー及び変性用化合物の、溶液中のパーセント量として合計質量を表す。例えば、N-ビニルホルムアミドはポリビニルアミンのためのモノマー前駆体であり、71.1の分子量を有する。したがって、7.11gのN-ビニルホルムアミドを用いて初めに作ったポリマーを含む100gのポリビニルアミン溶液は、7.11%の活性ポリマーを有する。
【0089】
〔実施例1−PVAm四級アンモニウム(25)〕
【0090】
1Lの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、300g)に対して、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12.0まで上げた。この反応混合物を50℃まで加熱し、次に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、69%活性分、34.8g)を10分間にわたって添加し、その間、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.5〜12.0の範囲に保った。得られた混合物を50℃で3時間撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.0〜11.5の範囲に保った。室温まで冷やした後、pHを塩酸水溶液で8.5に調節し、全固形分27.5%、合計活性ポリマー14.9%をもつ最終生成物を得た。電荷密度は、pH7.0において7.77meq/gと測定された。ブルックフィールド粘度は511cpsである。SEC:M:383,000;M/M:4.17。ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363)のSEC:M:306,000;M/M:4.62。
【0091】
表I中の実施例1−1、1−2、及び1−3は、ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules社から入手、12%活性ポリマー)に対して、様々なモル比の3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat 188、Dow Chemical Company、65%活性成分、27.7g)を用い、実施例1に記載したようにして調製した。
【0092】
【表1】

【0093】
〔実施例2−PVAm三級アミン(41)〕
【0094】
1Lの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、325g)に対して、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを11.5まで上げた。2-(ジエチルアミノ)エチルクロライドHCl(Aldrich Chemical Companyから入手、100%、39g)を10分間にわたり23℃で添加する一方で、pHを、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いて11.5〜12.0の範囲に保った。得られた混合物を60℃に加熱し、この温度で3時間撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.0〜11.5の範囲に保った。室温まで冷やした後、pHを8.0に調節して、全活性ポリマー15.8%をもつ最終生成物を得た。ブルックフィールド粘度は625cpsである。
【0095】
〔実施例3−C4-PVAm四級アンモニウム(6:25)〕
【0096】
1Lの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、300g)に対して、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12.0まで上げた。この反応混合物を50℃まで加熱し、ブチルグリシジルエーテル(SaChemから入手、99%、4g)を10分間にわたって添加し、次に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、69%活性分、34.8g)を10分間にわたって添加し、その間、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.5〜12.0の範囲に保った。得られた混合物を50℃で4時間撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.0〜11.5の範囲に保った。室温まで冷やした後、pHを8.3に調節し、全活性ポリマー13.7%をもつ最終生成物を得た。電荷密度は、pH7.0において6.5meq/gと測定された。ブルックフィールド粘度は520cpsである。SEC:M:378,000;M/M:3.96。
【0097】
〔実施例4−C8-PVAm四級アンモニウム(4:25)〕
【0098】
1Lの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、300g)に対して、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12.0まで上げた。この反応混合物を50℃まで加熱し、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル(2-EHGE)(SaChemから入手、99%、2g)を10分間にわたって添加し、次に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、69%活性分、34.8g)を添加し、その間、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.5〜12.0の範囲に保った。得られた混合物を50℃で4時間撹拌し、25%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.0〜11.5の範囲に保った。室温まで冷やした後、pHを8.0に調節し、全活性ポリマー12.4%をもつ最終生成物を得た。電荷密度は、pH7.0において7.5meq/gと測定された。ブルックフィールド粘度は530cpsである。SEC:M:650,000;M/M:8.29。
【0099】
〔実施例5−スクシニル-PVAm四級アンモニウム(4:38)〕
【0100】
500mLの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、150g)に対して、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12.0まで上げた。この反応混合物を50℃まで加熱し、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、65%活性分、27.7g)を2分で添加した。反応混合物を50℃で2時間撹拌し、その間50%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.5〜12.0の範囲に保った。室温まで冷やした後、塩酸水溶液を用いてpHを8.0に調節し、次に無水コハク酸(Aldrich Chemical Co.、1g)を添加した。反応混合物を24℃〜30℃の範囲の温度で1時間撹拌し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0〜8.0の範囲に保った。全固形分30%、全活性ポリマー19.0%で最終生成物を得た。電荷密度は、pH7.0において6.4meq/gと測定された。ブルックフィールド粘度は690cpsである。SEC:M:440,000;M/M:4.85。ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363)のSEC:M:306,000;M/M:4.62。
【0101】
表II中の実施例5−1、5−1、5−3、5−4、5−5、及び5−6を、ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー)に対して様々なモル比の無水コハク酸及び3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、65%活性分、27.7g)を用いて、実施例5に記載したようにして調製した。
【0102】
スクシニル-PVAm四級アンモニウム(4:23)のSEC:M:390,000;M/M:5.22。スクシニル-PVAm四級アンモニウム(16:17)のSEC:M:437,000;M/M:5.23。
【0103】
【表2】

【0104】
〔実施例6−スクシニル-PVAm四級アンモニウム(8:25)〕
【0105】
1Lの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、300g)に対して、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12.0まで上げた。この反応混合物を70℃まで加熱し、次に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、69%活性分、34.8g)を2分間で添加した。この反応混合物を70℃で1時間撹拌し、その間、50%の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.5〜12.0の範囲に保った。冷却後、pHを8.0に調節し、無水コハク酸(Aldrich Chemical Company、4g)を添加した。反応混合物を24℃〜30℃の範囲の温度で2時間撹拌し、且つ水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0〜8.0の範囲に保った。水で希釈後、約14.5%の全活性ポリマーを有する最終生成物を得た。ブルックフィールド粘度は810cpsである。SEC:M:404,000;M/M:4.95。電荷密度:5.9meq/g(pH7.0)。
【0106】
〔実施例7−マレイル-PVAm四級アンモニウム(4:38)〕
【0107】
1Lの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、300g)に対して、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを12.0まで上げた。この反応混合物を50℃まで加熱し、次に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、69%活性分、52.2g)を2分間で添加した。この反応混合物を50℃で2時間撹拌し、その間、50%の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを11.5〜12.0の範囲に保った。冷却後、pHを8.0に調節し、無水マレイン酸(Aldrich Chemical Company、2g)を添加した。反応混合物を24℃〜30℃の範囲の温度で1時間撹拌し、且つ水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0〜8.0の範囲に保った。30%の全固形分、19.0%の全活性ポリマーを有する最終生成物を得た。電荷密度:6.14meq/g(pH7.0)。
【0108】
〔実施例8−スクシニル-PVAm(36)〕
【0109】
1Lの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、500g)をpH8.5で40℃に加熱し、次に無水コハク酸(Aldrich Chemical Company、30g)を45分で添加し、その間、50%の水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0〜8.0の範囲に保った。反応の間、90gの水を40℃で添加して粘度を下げ、且つ水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0〜8.0の範囲に保った。最終生成物は12%の活性ポリマーを有していた。ブルックフィールド粘度は1210cpsである。電荷密度:0.38meq/g(pH7.0)。
【0110】
表III中の実施例8−1、8−2、8−3、8−4、8−5、及び8−6を、ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー)に対して様々なモル比の無水コハク酸を用いて実施例8に記載したようにして調製した。
【0111】
【表3】

【0112】
〔実施例9−マレイル-PVAm(85)〕
【0113】
500mLの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、150g)にpH7.0で室温において、35分間にわたって無水マレイン酸(Aldrich Chemical Company、21.5g)を添加し、その間10%の水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に保った。混合物を室温で2時間撹拌しながら、水を添加して粘度を低下させ、且つpHを約7.0に保った。混合物を塩酸水でpH4.0に調節して13.7%の活性ポリマーを含む最終生成物を得た。
【0114】
〔実施例10−三級PVAm四級アンモニウム(18:18)〕
【0115】
500mLの反応フラスコ中で50℃に加熱したポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、250g)の撹拌溶液を、50%水酸化ナトリウム水溶液で処理してpH10に調節した。8分間にわたって3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、65%水溶液、22.05g)を添加し、得られた混合物を2時間撹拌した。これに、一度に2-(ジエチルアミノ)エチルクロライド塩酸塩(DEC,Sigma-Aldrich, 13.11g)を添加し、次に蒸留水(10g)を加えた。50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調節し、2.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷やし、濃塩酸でpH7.5に調節して、27.8%の全固形分及び17.5%の計算した活性固形分をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度(30rpm、スピンドル3):678cps;電荷密度:pH7.0において8.70meq/g。
【0116】
ポリビニルアミンに対して様々なモル比のQuat(登録商標)188及びDECを用い、実施例10に記載したようにして実施例10−1及び10−2を調製した。
【0117】
【表4】

【0118】
〔実施例11−三級PVAmメチルカルボン酸(29:7)〕
【0119】
500mLのフラスコ中で50℃に加熱したポリビニルアミン(250g)の撹拌溶液を、50%水酸化ナトリウム水溶液で処理してpH10に調節した。これに、一度にDEC(21.44g)を添加し、次に蒸留水(20g)を加えた。50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調節した。3時間撹拌した後、クロロ酢酸ナトリウム(Sigma-Aldrich、3.44g)を添加し、混合物をさらに4時間撹拌した。混合物を室温に冷やし、濃塩酸でpH8に調節し、36.6%の全固形分及び16.4%の計算した活性固形分をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度(30rpm、スピンドル3):696cps;電荷密度:pH7.0において6.06meq/g。
【0120】
〔実施例12−四級PVAmメチルカルボン酸(29:7)〕
【0121】
500mLのフラスコ中で50℃に加熱したポリビニルアミン(250g)の撹拌溶液を、50%水酸化ナトリウム水溶液で処理してpH10に調節した。10分にわたり、Quat 188(登録商標)(36.06g)を添加し、得られた混合物を2時間撹拌した。50%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10に保った。これに、クロロ酢酸ナトリウム(Sigma-Aldrich、3.22g)を一度に添加し、次に蒸留水(15g)を加えた。混合物をさらに4時間撹拌した。混合物を室温に冷やし、濃塩酸でpH4.8に調節して、16.2%の全固形分含量と38.85%の計算した活性固形分含量をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度(30rpm、スピンドル3):608cps。
【0122】
〔実施例13−グルコース(28%)-PVAm〕
【0123】
500mLの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporatedから入手、12%活性分、166.7g)にpH9.0で室温において、66gの水に溶かしたグルコース(8.6g)を10分間にわたって添加した。得られた混合物を23℃で2時間撹拌した。生成物は14.0%の活性ポリマーとpH7.9を有していた。ブルックフィールド粘度は352cpsだった。
【0124】
〔実施例14−ラクトース(20%)-PVAm〕
【0125】
500mLの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性物、240.6g)にpH12.0で室温において、37gの水に溶かしたラクトース(8.0g)を10分間にわたって添加した。得られた混合物を35℃で1時間撹拌した。20.9gの37.5%HClで混合物をpH8.0に調節し、水で希釈して、12%活性ポリマーを含む最終生成物を得た。ブルックフィールド粘度は1856cpsだった。
【0126】
〔実施例15−マルトデキストリン(33%)-PVAm〕
【0127】
500mLの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性物、188g)にpH11.8で室温において、67.4gの水に溶かしたマルトデキストリン(Maltrin M200、Grain Processing Corp.、12.5g)を10分間にわたって添加した。得られた混合物を35℃で75分間撹拌した。その混合物を、17.3gの37.5%HClでpH8.0に調節し、水で希釈して、12%活性ポリマーを含む最終生成物を得た。電荷密度:4.26meq/g;ブルックフィールド粘度は704cpsだった。
【0128】
〔実施例16−マルトデキストリン(12.5%)-PVAm四級アンモニウム(25)〕
【0129】
1Lの反応フラスコ中でポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporated、12%活性ポリマー、270.7g)に対して、pH12.5において、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手、65%活成分、36.9g)を30分間にわたり50℃で添加した。次に、172gの水に溶かしたマルトデキストリン(Maltrin M200、Grain Processing Corp.、10.0g)を30分間にわたり50℃で添加し、次に30分で10gの50%NaOHを添加した。得られた混合物を50℃で2時間撹拌し、次に、室温に冷やした。pHを、27.6gの37.5%HClを用いて7.5に調節した。この物質を55.7gの水で希釈して、12%活性ポリマーを含む最終生成物を得た。SEC:M:338,000;M/M:7.25。ブルックフィールド粘度は189cpsだった。
【0130】
〔実施例17−四級PVAmアセトアミド(29:7)〕
【0131】
500mLのフラスコ中で50℃に加熱したポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、Hercules Inc.、250g)の撹拌溶液を、50%水酸化ナトリウム水溶液で処理してpH10に調節した。8分間にわたって3-クロロヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat 188(登録商標)、Dow Chemical Companyから入手、65質量%水溶液、36.06g)を添加し、得られた混合物を2時間撹拌した。これに、一度にクロロアセトアミド(Sigma-Aldrich, 2.65g)を添加し、次に蒸留水(6g)を加えた。2.5時間さらに撹拌後、混合物を室温まで冷やし、濃塩酸でpH7.5に調節して、16.3%の計算した活性固形分をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度:697cps;SEC:M:414,000;M/M:5.59;電荷密度:pH8.0において6.88meq/g。この生成物はゲル化安定性目的には適合せず、2ヶ月以内で1500cpsよりも大きな粘度を有していた。この生成物の一部をさらに酸性化したところ、pH<5で良好な安定性をもっていた。
【0132】
〔実施例18−PVAmアセトアミド(29)〕
【0133】
500mLのフラスコ中で50℃に加熱したポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、Hercules Inc.、250g)の撹拌溶液を、50%水酸化ナトリウム水溶液で処理してpH8.0に調節した。これに、一度にクロロアセトアミド(Sigma-Aldrich, 11.656g)を添加し、次に蒸留水(14g)を加えた。1時間さらに撹拌後、混合物を50gの蒸留水で希釈した。反応混合物を4時間さらに撹拌し、次に室温まで冷やし、濃塩酸でpH4.5に調節して、25.9%の全固形分含量と11.6%の計算した活性固形分含量をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度:505cps。
【0134】
〔実施例19−三級PVAmidine(29)〕
【0135】
500mLのフラスコ中で50℃に加熱した、約50%加水分解したポリビニルホルムアミド(Hercobond(登録商標)6530、Hercules Inc.、250g)の撹拌溶液を、50%水酸化ナトリウム水溶液で処理してpH11.0に調節した。これに、一度にDEC(Sigma-Aldrich, 21.460g)を添加し、次に蒸留水(23g)を加えた。この添加が完了した後、50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調節した。この混合物を2時間さらに撹拌し、次に室温まで冷やし、濃塩酸でpH7.5に調節して、23.4%の全固形分含量と14.8%の計算した活性固形分含量をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度:505cps;SEC:M:356,000;M/M:1.90;電荷密度:pH7.0において7.41meq/g。
【0136】
〔実施例20−PVAmidine四級アンモニウム(29)〕
【0137】
500mLのフラスコ中で50℃に加熱した、約50%加水分解したポリビニルホルムアミド(Hercobond(登録商標)6530、Hercules Inc.、250g)の撹拌溶液を、50%水酸化ナトリウム水溶液で処理してpH10.4に調節した。これに、Quat(登録商標)188(65%溶液、36.57g)を10分間かけて滴下して添加した。この添加が終了した後、50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを10に調節した。この混合物を4時間さらに撹拌し、次に室温まで冷やし、濃塩酸でpH7.5に調節して、17.8%の計算した活性固形分含量をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度:885cps。
【0138】
〔実施例21−三級PVAmidineアセトアミド(29:7)〕
【0139】
500mLのフラスコ中で50℃に加熱した、約50%加水分解したポリビニルホルムアミド(Hercobond(登録商標)6530、Hercules Inc.、250g)の撹拌溶液を、濃塩酸で処理してpH7.5に調節した。これに、一度にクロロアセトアミド(Sigma-Aldrich, 11.642g)を添加し、次に蒸留水(7g)を加えた。1時間さらに撹拌した後、混合物を50gの蒸留水で希釈した。反応混合物を2.5時間撹拌し、次にDEC(6.35g)と蒸留水(12g)で処理した。pHを7.8に調節し、混合物を2時間さらに撹拌し、その後、室温に冷やし、濃塩酸でpH4.5に調節して、17.08%の全固形分含量と13.3%の計算した活性固形分含量をもつ生成物を得た。ブルックフィールド粘度:239cps。
【0140】
〔実施例22−クロロプロパンジオール変性PVAm〕
【0141】
500mLの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、Hercules Inc.)208.9gに、pH11.8で、84.34gの水と9.78gの3-クロロ-2-ヒドロキシプロパノール(クロロプロパンジオール、CPD、Aldrich Chemical Company)を25℃で添加した。22時間後、pHが10.0まで低下し、生成物を瓶詰めした。GC分析は277ppmの残留CPDを示した。
【0142】
〔実施例23−クロロプロパンジオール変性PVAm(実施例22に対して2倍高いCPD:PVAm比を用いた)〕
【0143】
500mLの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、Hercules Inc.)160.3gに、pH11.8で、124.7gの水を添加した。この溶液を60℃に加熱し、次に15.0gのCPDを5分間にわたって添加した。6時間後、反応混合物を夜通し常温(21℃)まで冷やしておいた。pHが8.8まで低下しており、生成物を瓶詰めした。GC分析は1373ppmの残留CPDを示していた。
【0144】
〔実施例24−クロロプロパンジオール変性PVAm(実施例22に対して4倍高いCPD:PVAm比を用いた)〕
【0145】
500mLの反応フラスコ中のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、Hercules Inc.)109.35gに、pH11.8で、170.18gの水を添加した。この溶液を60℃に加熱し、次に20.49gのCPDを7分間にわたって添加した。6時間後、反応混合物を夜通し常温(21℃)まで冷やしておいた。pHが8.1まで低下しており、生成物を瓶詰めした。GC分析は22,340ppmの残留CPDを示していた。
【0146】
〔比較例1−ポリ(ビニルアミン-co-アクリル酸)(80:20)〕
【0147】
撹拌機を備えた反応フラスコに、771.5gの蒸留水、0.99gの75%リン酸、及び0.68gの50%水酸化ナトリウム溶液を仕込んだ。得られた混合物を窒素気流下で70℃に加熱した。温度が70℃に達したとき、50gの水と30gのアクリル酸と33.3gの50%水酸化ナトリウム溶液との溶液、118.2gのN-ビニルホルムアミド、及び18.5gの水と0.037gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩との溶液を、3つの別々の滴下ロートから同時に添加し、添加は2時間かかった。このモノマー添加の終了後、55.6gの水中の0.11gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩の溶液を1時間で添加した。反応混合物を次にさらに4時間、70℃で撹拌し、最後に586gの水で希釈し、次に5gの0.5%重亜硫酸ナトリウム溶液を添加した。得られた混合物に、20分間かけて、800gの10%水酸化ナトリウムを添加した。反応混合物を70℃に6時間加熱し、室温に冷却し、40gの37.5%塩酸を添加した。この溶液は6.06%の活性ポリマーを有し、7.6のpHをもっていた。ブルックフィールド粘度は520cpsである。このコポリマーの電荷密度は1.8meq/g(pH7.0にて)である。
【0148】
〔比較例2 ポリ(ビニルアミン-co-アクリル酸)(30:70)〕
【0149】
攪拌機を備えた反応フラスコに、683gの蒸留水、0.953gの75%リン酸、及び0.654gの50%水酸化ナトリウム溶液を仕込んだ。得られた混合物を窒素気流下で70℃に加熱した。温度が70℃に達したとき、167gの水と100gのアクリル酸と110.8gの50%水酸化ナトリウム溶液との溶液、42.2gのN-ビニルホルムアミド、及び18gの水と0.036gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩との溶液を、3つの別々の滴下ロートから同時に添加し、添加は2時間かかった。このモノマー添加の終了後、56gの水中の0.18gの2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩の溶液を1時間で添加した。反応混合物を次にさらに4時間、70℃で撹拌し、最後に365gの水で希釈し、次に5gの0.5%重亜硫酸ナトリウム溶液を添加した。得られた混合物に、69.5gの37.5%塩酸を添加した。反応混合物を70℃に8時間加熱し、室温に冷却し、242.7gの20%水酸化ナトリウムを添加した。この溶液は7.68%の活性ポリマーを有し、7.6のpHをもっていた。ブルックフィールド粘度は860cpsである。このコポリマーの電荷密度は-1.2meq/g(pH7.0にて)である。
【0150】
〔実施例25−製紙用途における乾燥紙力増強剤としての評価〕
【0151】
上記実施例のポリビニルアミン誘導体を用いて作った紙の乾燥強度を、基準の乾燥紙力増強樹脂であるポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporatedから入手可能)を用いて作った紙の乾燥強度と比較した。
【0152】
製紙機械を使用して段ボール原紙を作った。紙パルプは、50ppmハードネス、25ppmアルカリ、2.5%GPC D15F及び2000μS/cmの導電率をもつ100%リサイクルした媒体である。このシステムのpHは7.0であり、パルプフリーネスは52℃の原液温度で350〜420CSFである。坪量は3000ft(279m)当たり100lbs(45.36kg)である。上記例で調製したポリビニルアミン誘導体は、製紙機械のウェットエンドに、乾燥紙パルプに対して0.1、又は0.2、又は0.3質量%の活性ポリマー量で乾燥紙力増強剤として添加した。この紙を80℃で0.5時間キュアした。乾燥引張強度、リングクラッシュ、及びミューレン破壊を用いて、乾燥強度効果を測定した。
【0153】
乾燥強度試験結果を以下の表IVに示す。ポリビニルアミン誘導体の性能は、ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能添加剤、Hercules Incorporatedから入手可能)を用いて作った紙の乾燥強度を上回るパーセント増大率として表している。
【0154】
【表5】

【0155】
表IVについては、データは、乾燥紙パルプに対して0.1質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0156】
表IVは、本発明の代表的ポリマーをポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363)と比較している。ポリビニルアミンのPVAm四級アンモニウム、PVAm三級アミン、及びスクシニルPVAm四級アンモニウム誘導体は、ミューレン破壊、リングクラッシュ、及び乾燥引張において、ポリビニルアミンのものと同等又はわずかに良い乾燥強度性能をもたらしている。表IVは、スクシニル-PVAm四級アンモニウム(4/25)(実施例5−2)がミューレン破壊においてポリビニルアミンよりも10%の向上と、リングクラッシュと乾燥引張の両方でポリビニルアミンよりも1%の向上を示している。スクシニル-PVAmは、ミューレン破壊においてポリビニルアミンと同等の性能を示すが、リングクラッシュ及び乾燥引張強度においてはポリビニルアミンよりもわずかに効果が劣る。Hercobond(登録商標)6363乾燥紙力増強剤基準よりも性能が低い例でさえ、性能はブランク(添加剤なし)よりも良好であり、実施例はHercobond(登録商標)6363に対して改善された費用対効果を有することに注目すべきである。
【0157】
【表6】

【0158】
表Vについては、データは、乾燥紙パルプに対して0.3質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0159】
表Vは、本発明の代表的な三級PVAm四級アンモニウムポリマーをポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363)と比較している。3種の三級PVAm四級アンモニウム誘導体全てが、3種の乾燥強度試験(ミューレン破壊、リングクラッシュ、及び乾燥引張)の全てにおいて、ポリビニルアミンよりも良好な乾燥強度性能を有していた。
【0160】
【表7】

【0161】
表VIについては、データは、乾燥紙パルプに対して0.3質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0162】
表VIは、3種の試験全てにおいて、Hercobond(登録商標)6363乾燥紙力増強剤と比較して、モノサッカライド又はオリゴサッカライド変性ポリビニルアミン誘導体の同等又はより良い乾燥強度性能を示している。
【0163】
【表8】

【0164】
表VIIについては、データは、乾燥紙パルプに対して0.3質量%の活性ポリマーを用い、同じ添加量におけるHercobond(登録商標)6363に対して評価した。
【0165】
表VIIは、3種の試験全てにおいてHercobond(登録商標)6363乾燥紙力増強剤と比較して、2種のクロロアセトアミドアルキル化ポリビニルアミン誘導体と3種のアルキル化ポリビニルアミン誘導体の同等又はより良好な乾燥強度性能を示している。
【0166】
【表9】

【0167】
表VIIIのデータは、乾燥紙パルプに対して0.2質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0168】
表VIIIの結果は、米国特許第5,530,907号明細書に記載されたものと同様に調製した両性(amphoteric)ポリ(ビニルアミン-co-アクリル酸)の乾燥強度性能を、PVAm(Hercobond(登録商標)6363)と比較して示している。この結果は、これらの先行技術のコポリマーが乾燥強度性能においてホモポリマーであるポリビニルアミンほどには有効ではないことを示している。
【0169】
〔実施例26−製紙用途における濾水剤としての評価〕
【0170】
上の例で調製した、カチオン性基でアルキル化されたポリビニルアミン誘導体の濾水効果及び固定特性も、Hercobond(登録商標)6363乾燥紙力増強樹脂及びブランクとともに、カナダフリーネス試験法を用いて比較した。濾液の濁度も測定して、ポリマーの固定特性を推定した。全ての添加剤に対する活性ポリマーの用量は、乾燥パルプに基づいて0.1、又は0.2、又は0.3質量%だった。結果を表Vにまとめており、これらの組成物の濾水性能はブランクに対するパーセント割合増加として表している。組成物の固定特性は、樹脂が存在しないコントロールの濁度を基準にした残留濁度のパーセント割合として表わされている。このパーセント割合が低ければ低いほど、その組成物は固定剤として、より有効である。
【0171】
【表10】

【0172】
表IXにおいて、フリーネスのパーセント割合が高ければ高いほど、且つ濁度のパーセント割合が低いほど、性能はより良い。この評価は、カチオン性基でアルキル化されたPVAm誘導体の全てが、採用した条件下でブランク(添加剤なし)よりも12%〜35%、パルプの濾水性能を向上させたことを示している。PVAm四級アンモニウム(34)(実施例1−1)とPVAm三級アミン(41)(実施例2)の両方とも、ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363乾燥強度添加剤)と同等の性能を示す。Hercobond(登録商標)6363基準よりも性能が低い例においてさえ、その例はHercobond 6363と比較して向上した費用対効果を有することに留意すべきである。PVAm三級アミン(41)(実施例2)は、PVAmよりも良好な固定特性をもたらす。採用した条件下で、PVAm三級アミン(41)は、パルプの仕上がりの濁度を未処理(添加剤なし)の39%に低下させる。対照的に、ポリビニルアミンは、パルプの仕上がりの濁度を未処理の45.7%に低下させる。
【0173】
上の例で調製した両性ポリビニルアミン誘導体の濾水効果と固定特性も、Hercobond(登録商標)6363乾燥紙力増強樹脂及びブランクとともに、カナダフリーネス試験法を用いて比較している。結果を表Xにまとめた。
【0174】
【表11】

【0175】
表Xについては、データは、乾燥紙パルプに対して0.2質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0176】
表Xの結果は、添加剤なしのブランクと比較して、スクシニル-PVAm四級アンモニウムとマレイル-PVAm四級アンモニウム(4/38)による向上した濾水性能を示している。この結果は、スクシニルPVAm(18)が、104.8%の残留濁度を伴い、濁度を少し増大させることを示している。
【0177】
【表12】

【0178】
表XIについては、データは、乾燥紙パルプに対して0.3質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0179】
表XIの結果は、添加剤なしのブランクと比較して、三級PVAm四級アンモニウムによる向上された濾水性能を示している。
【0180】
【表13】

【0181】
表XIIについては、データは、乾燥紙パルプに対して0.3質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0182】
表XIIの結果は、PVAm(Hercobond(登録商標)6363)と比較して、同等の濾水性能と濁度低下を示している。
【0183】
【表14】

【0184】
表XIIIについては、データは乾燥紙パルプに対して0.3質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0185】
表XIIIの結果は、添加剤なしのブランクと比較して、2種のクロロアセトアミドアルキル化ポリビニルアミン誘導体と3種のアルキル化ポリビニルアミジン誘導体の向上した濾水性能を示している。四級PVAmアセトアミド(29:7)はHercobond(登録商標)6363よりもかなり良い濾水性能を有する一方、PVAmアセトアミド(29)はパルプの仕上がりの濁度を低下させる最も有効な樹脂である。
【0186】
【表15】

【0187】
表XIVについては、データは乾燥紙パルプに対して0.2質量%の活性ポリマーを用いて評価した。
【0188】
表XIVの結果は、PVAm(Hercobond(登録商標)6363)と比較した、従来技術の両性コポリマーであるポリ(ビニルアミン-co-アクリル酸)(80:20)による改善された濾水性能と濁度低下を示している。従来技術の両性コポリマーであるポリ(ビニルアミン-co-アクリル酸)(30:70)は、PVAm(Hercobond(登録商標)6363)と比較して濾水性にわずかな向上を示すが、パルプ仕上がりの濁度を増大させる。
【0189】
〔実施例27−製紙用途における、粘着物及びピッチ制御剤としての評価〕
【0190】
カチオン性基でアルキル化されたポリビニルアミンと上記実施例で調製した両性ポリビニルアミン誘導体の効果を、基準製品であるDeTac(登録商標)DC 3970、ポリ(ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)系粘着物除去剤(detackifier)と、有機沈着物及び粘着性不純物の抑制について比較した。
【0191】
ピッチデポジット試験(PDT)をこの用途評価にために用い、この試験は、組成物がピッチ堆積を防止する能力を測定するために用いられる方法である。PDTは、堆積する表面として接着剤を裏付けしたテープから作られた切り取り試験片(クーポン)を用い、これを、合成ピッチを含む0.5%の漂白したハードウッドパルプ溶液中に沈めた。45分の浸漬後、このクーポンを脱イオン水で3回濯いで乾燥させた。クーポン上のピッチの堆積を、分光測定器を用いて300nmでの8回の読み取り値を集め、それらの値を平均することによって測定した。各試験において、コントロールサンプル(処理なし)を比較のために行った。両性ポリビニルアミン組成物は、2ppm濃度で試験した。その材料の性能は、添加剤なしのブランクに対するピッチ量のパーセント低下率として表す。材料の用量は、その組成物の配合と基準製品中の活性固形分を基準にする。2つの代表的な例と基準製品に対する結果を表XVに示す。
【0192】
【表16】

【0193】
パーセント割合の数値が高ければ高いほど、その製品がもたらすピッチ低減効果はより良い。表XVにまとめた結果は、ポリビニルアミン誘導体が、市販品DeTac(登録商標)DC3970と比較して、製紙工程においてピッチ及び粘着物を除去することにおいて改善された又は同等の性能を付与することを示している。並行試験において、PVAm四級アンモニウム組成物(実施例1−1及び1−2)は、42%のDeTac(登録商標)DC3970と比較して、60%及び56%のピッチ低減効果をそれぞれ持っており、製紙工程でピッチ及び粘着物を低減することにおいて、ポリビニルアルコール系の粘着物除去剤であるDeTac(登録商標)DC3970よりも良好な性能を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(XIII)、又は(XIV):
【化1】

のうちの少なくとも一つを有するランダムに分配された繰り返しモノマー単位を含んでおり、下記式(VIII)、(IX)、(X)、又は(XII):
【化2】

のうちの少なくとも一つを有するランダムに分配された繰り返しモノマー単位をさらに任意選択で含んでいてもよいポリマー。
(上記式中、Xは任意のアニオンであり;
Yは、-C(=O)-又は-CH-又は単結合であり;
Rは、H、-COOH、-COOR、-CHNR、-NR、-CONR、-OH、-OCOR、-OR、-NO、-CN、-N(CH)、アルケニル、アルキニル、又はアルカノキシルであり;
及びRは同じであるか異なり、Hであるか、又は22個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;
はH又はCHであり;
は任意選択でヒドロキシルにより置換されていてもよい12個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;
は、Hであるか又は22個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキルであり;
は18個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状のアルキルもしくはアルケニル基であり;
は、モノサッカライドもしくはオリゴサッカライドもしくはポリサッカライド残基、又は18個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基、又はヒドロキシル含有もしくはアルデヒド含有アルキル基であり;
は、12個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキル基であり;
10は、Hであるか又は22個以下の炭素を含む直鎖状もしくは分枝状アルキルであり;
11は-R、-OR、-NR、好ましくは-NHであり;
及びR及びS及びZは同じであるか異なり、-RN(R10)、-R(R)、-CHCH(OH)CHOR、-CH(OH)R、-Y-R-COOH、又は-Y-R-COR11であり;且つ、
k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、q、g、及びhは独立に0モル%であってもよく;且つ、m、m、n、n、n、n、n、g、及びhの合計は0.1モル%より大きい。
【請求項2】
下記式(XI):
【化3】

を含み、k、j、m、m、n、n、n、n、n、p、及びqの合計は100モル%であり、且つ、m、m、n、n、n、n、及びnの合計は0.1モル%より大きい、請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;Yが-C(=O)-であり;Rが-CHCH-又は-CH=CH-であり;mが0.1〜99.8モル%の範囲であり;nが0.1〜99.8モル%の範囲である、請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;mが0.1〜100モル%の範囲である、請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
Yが-C(=O)-であり;Rが-CHCH-又は-CH=CH-であり;nが0.1〜100モル%の範囲である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;mが0.1〜99.8モル%の範囲であり;nが0.1〜99.8モル%の範囲であり;pが0.1〜99.8モル%の範囲である、請求項1記載のポリマー。
【請求項7】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;Yが単結合であり;Rが-CH-であり;R11が-NHであり;mが0.1〜99.8モル%の範囲であり;nが0.1〜99.8モル%の範囲である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;Rが-CHCH-であり;R10が-CHCHであり;mが0.1〜99.8モル%の範囲であり;mが0.1〜99.8モル%の範囲である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
がモノサッカライドもしくはオリゴサッカライドもしくはポリサッカライド残基であり;nが0.1〜100モル%の範囲である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;Rがモノサッカライドもしくはオリゴサッカライドもしくはポリサッカライド残基であり;mが0.1〜99.8モル%の範囲であり;nが0.1〜99.8モル%の範囲である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;Yが-C(=O)-であり;Rが-CHCH-又は-CH=CH-であり;mが0.1〜99.8モル%の範囲であり;nが0.1〜99.8モル%の範囲である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項12】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;mが0.1〜100モル%の範囲である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項13】
Yが-C(=O)-であり;Rが-CHCH-又は-CH=CH-であり;nが0.1〜100モル%の範囲である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項14】
が-CHCH(OH)CH-であり;R及びRが-CHであり;mが0.1〜99.8モル%の範囲であり;nが0.1〜99.8モル%の範囲であり;pが0.1〜99.8モル%の範囲である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項15】
ランダムに分配された繰り返しモノマー単位が、少なくとも式(XIII)又は(XIV)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載のポリマー。
【請求項16】
約4,000〜約2,000,000ダルトンの範囲に分子量を有する、請求項1に記載のポリマー。
【請求項17】
ビニルアミン含有ポリマーを、ある反応温度である時間、カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤;アミン反応性官能基を含み、且つアシル化又はアルキル化後にカルボン酸残基を有するか又は生成するアルキル化もしくはアシル化剤;アルキルグリシジルエーテル;アルデヒド官能基含有反応剤、及びこれらの混合物、からなる群から選択される化合物と反応させるステップを含む、請求項1に記載のポリマーの製造方法であって、
得られるポリマーを、ある反応温度である時間、カチオン性官能基及びアミン反応性官能基を含むアルキル化剤;アミン反応性官能基を含み、且つアシル化もしくはアルキル化後に、カルボン酸残基を有するかもしくは生成するアルキル化もしくはアシル化剤;アルキルグリシジルエーテル;アルデヒド官能基含有反応剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物と、任意選択により、さらに反応させてもよく;且つ
前記ビニルアミン含有ポリマーが約4,000〜約2,000,000ダルトンの範囲に分子量を有する、製造方法。
【請求項18】
前記のカチオン性基及びアミン官能基を含むアルキル化剤が、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(ジエチルアミノ)エチルクロライド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
アミン反応性官能基を含み且つアシル化又はアルキル化の後でカルボン酸残基を有するか又は生じる前記のアルキル化又はアシル化剤が、無水コハク酸、18以下の炭素を含む直鎖状又は分枝状アルキル又はアルケニル基で置換された無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水3-メチルグルタル酸、無水2,2-ジメチルコハク酸、環式アルキルカルボン酸無水物、環式アルケニルカルボン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ハロゲン置換アルカン酸アクリルアミド、ハロゲン置換アルケン酸アクリルアミド、及びそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項17に記載の製造方法。
【請求項20】
前記アルキルグリシジルエーテルが、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、C12/C14グリシジルエーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の製造方法。
【請求項21】
前記のアルデヒド官能基を含む反応剤が、グルコース、マルトース、ラクトース、マルトデキストリン、コーンシロップ、酵素により加水分解されたデンプン、化学的に加水分解されたデンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の製造方法。
【請求項22】
請求項1に記載されたポリマーを含む紙製品。

【公表番号】特表2010−535269(P2010−535269A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519923(P2010−519923)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/009243
【国際公開番号】WO2009/017781
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】