説明

製袋充填機におけるシール装置

【課題】両シール体の噛合い位置を維持した状態で両シール体の作動範囲を調節する。
【解決手段】製袋充填機のシール装置は、両シール体8,9を移動可能に支持する支持枠10に移動調節可能に支持された支持体33と、支持体33に回転可能に支持された作動体36と、作動体36に移動可能に支持されて作動体36と共に回転するガイド体38と、作動体36に対する偏心位置でガイド体38に回転可能に支持された可動手段22,39と、作動体36の回転による可動手段22の回転に連係して両シール体8,9を移動させる連動機構と、ガイド体38に連結されると共に支持体33に作動体36と同心で回転可能に支持された回転体と、支持体33の支持位置の変化により作動体36に対する回転体の位相を変化させて作動体36の回転中心を通る直線上で可動手段22の偏心位置を移動させる変更手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形されたフィルムに所定のシールを施して被包装品を包装するようにした製袋充填機のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状フィルムに所定のシ−ルを施して包装品を得るシール装置としては、上下に対向して配置された一対のシ−ル体が、互いに接近して筒状フィルムを挟持した状態で、筒状フィルムの搬送方向の下流側へ移動しながら離間して、フィルムにシ−ルを施すようにボックスモーション運動を行なわせる製袋充填機のシール装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−202220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の製袋充填機のシール装置では、特許文献1の装置のごとく、駆動手段に連係して回動する作動体の回転中心に対する一方のシール体の支持位置を変更することで、一対のシール体の対向方向における作動範囲を調節して、被包装品のサイズの変更等に対応させる検討がなされている。
【0005】
しかし、このような作動範囲の調節に際して、両シール体の噛合い位置のずれが生じるため、そのずれを別途の手段により調節しなければならない。
本発明は、一対のシール体の噛合い位置を維持した状態で両シール体の作動範囲を調節し得る製袋充填機におけるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係る製袋充填機のシール装置は、一対のシール体(8,9)が筒状フィルム(4)を挟持して筒状フィルム(4)の搬送と共に移動して横シールを施すものであって、下記の支持体(33)と作動体(36)とガイド体(38)と可動手段(22,39)と連動機構(19,20,21,25,27)と回転体(35)と変更手段とを備えている。前記支持体(33)は、一対のシール体(8,9)を移動可能に支持する支持枠(10)に対し両シール体(8,9)の対向方向へ移動調節可能に支持されている。前記作動体(36)は、前記支持体(33)に対し回転可能に支持され、駆動手段(53)に連係して回転する。前記ガイド体(38)は、前記作動体(36)に対し移動可能に支持され、該作動体(36)と共に回転する。前記可動手段(22,39)は、前記作動体(36)から偏心した偏心位置で前記ガイド体(38)に回転可能に支持されている。前記連動機構は、前記作動体(36)の回転による前記可動手段(22)の回転に伴い該可動手段(22)に連係して一対のシール体(8,9)を両シール体(8,9)の対向方向及び筒状フィルム(4)の搬送方向に移動させる。前記回転体(35)は、前記ガイド体(38)に連結されると共に、前記支持体(33)に対し前記作動体(36)と同心(34a)で回転可能に支持され、駆動手段(53)に連係して回転する。前記変更手段は、前記支持体(33)の支持位置の変化と連動し、前記作動体(36)に対する前記回転体(35)の位相を変化させ前記作動体(36)の回転中心(34a)を通る直線(L)上で前記可動手段(22)の偏心位置を移動させて、一対のシ−ル体(8,9)の噛合い位置を維持した状態で両シ−ル体(8,9)の作動範囲を変更し得るよう構成されている。
【0007】
請求項1の発明によれば、支持枠(10)における支持体(33)の支持位置を一対のシ−ル体(8,9)の対向方向に変更するだけで、可動手段(22,39)の偏心位置が作動体(36)の回転中心(34a)を通る直線(L)上で移動するため、製袋充填機の運転開始前に限られることなく運転中にも、両シール体(8,9)の噛合い位置を維持した状態で両シール体(8,9)の作動範囲を変更することができる。更に、両シール体(8,9)の作動範囲を変更してもフィルム搬送等に対する両シール体(8,9)の位相(タイミング)が変更されることなく、作動範囲の変更における調節を簡単にすることができる。
【0008】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明においては、前記支持枠(10)に配設され、ハンドル(31)またはモータに回動連結されたねじ機構(32)によって、前記支持体(33)が移動可能に支持されるように構成されている。請求項2の発明によれば、ねじ機構(32)によって、ハンドル(31)またはモータにより、支持枠(10)に対する支持体(33)の移動調節を容易に行なうことができる。
【0009】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記変更手段は、前記支持体(33)に対し回転可能に支持され、第1ベルト(58)に巻き掛けられ、該第1ベルト(58)の走行によって前記作動体(36)と共に回転する第1伝動体(42,43,48)と、前記支持体(33)に対し回転可能に支持され、第2ベルト(60)に巻き掛けられ、該第2ベルト(60)の走行によって前記回転体(35)と共に回転する第2伝動体(44,45,49)と、該第2伝動体(44,45,49)に至る第2ベルト(60)の途中で第2ベルト(60)を巻き掛け案内するプーリ(50)を有し、前記支持体(33)の支持位置の変化と連動し、第2ベルト(60)で第2伝動体(44,45,49)を回転させ、前記作動体(36)に対する前記回転体(35)の位相を変える。請求項3の発明によれば、支持体(33)の移動調節に伴い第2伝動体(44)の回転中心(45a)の位置を変更するだけの操作により、作動体(36)に対する回転体(35)の位相の変更を容易に行なうことができる。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項4の発明において、前記支持体(10)の移動情報を検知する検知手段を備え、前記駆動手段は、前記作動体(36)を回転駆動するモータ(53)と、該モータ(53)とは別のモータを備え、該別のモータで前記検知手段による前記支持体(33)の移動情報に基づき、前記回転体(35)を回転駆動するよう構成されている。請求項4の発明によれば、検知手段による支持体(33)の移動情報に基づき、支持体(33)の位置の変化に連動するように、作動体(36)を回転駆動するモータ(53)とは別のモータで回転体(35)を回転させて、作動体(36)に対する回転体(35)の位相を変えることができる。このことから、複数のプーリやベルトで作動体(36)と回転体(35)との位相を変更する構造と比べて小型化することができる。
【0011】
請求項1〜4の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項5の発明において、前記支持枠(10)に対し前記支持体(33)を移動させるモータと、前記駆動手段として前記作動体(36)を回転駆動するモータ(53)と前記回転体(35)を回転駆動する別のモータを備えると共に、入力される指令情報に対応し得るよう、前記支持体(33)の支持位置及び前記作動体(36)に対する前記回転体(35)の位相に関する対応関係情報が、予め記憶された制御手段を備え、前記対応関係情報に基づき、前記支持体(33)をモータで移動させると共に、前記別のモータで前記作動体(36)に対する回転体(35)の位相を変化させるように構成されている。請求項5の発明によれば、対応関係情報に基づき、各モータを駆動し、一対のシール体(8,9)の噛合い位置を維持した状態で両シール体(8,9)の作動範囲を変更する。このことから、複数のプーリやベルトで作動体(36)と回転体(35)との位相を変更する構造と比べて小型化することができる。
【0012】
請求項1〜5の発明のうちいずれか一つの発明を前提とする請求項6の発明において、前記支持枠(10)は、固定枠(11)と前記支持体(33)を上下方向へ移動調節可能に支持する移動枠(12)を有すると共に、該移動枠(12)を固定枠(11)に対し昇降させて両シール体(8,9)の噛合い位置の高さ(h)を調節し得る高さ調節手段を備えた横形製袋充填機に設けられている。請求項6の発明によれば、移動枠(12)の取付け高さ位置を物品(7)のサイズに応じて調節して良好な包装を行なうことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、製袋充填機のシール装置において、支持体(33)の支持位置を一対のシール体(8,9)の対向方向に変更するだけの簡単な操作により、両シール体(8,9)の噛合い位置を維持した状態で両シール体(8,9)の作動範囲を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】横形製袋充填機の正面側を示す略体図。
【図2】シール装置の側面側を示す略体図。
【図3】シール装置の背面側に配設された変更手段を示す略体図。
【図4】(a)は作動体と回転体とガイド体を示す斜視図、(b)は同じく正面図。
【図5】シール装置の正面側を示す略体図。
【図6】(a)(b)はシール体の作動範囲と噛合い位置の関係を示す作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す横形製袋充填機においては、原反ロール1から引き出された帯状フィルム2が製袋手段3で筒状に成形されて、その筒状フィルム4に縦シール手段5で縦シールが施されると共に、供給コンベヤ6から物品7が所定間隔毎に筒状フィルム4中に供給され、シール装置で筒状フィルム4の搬送路を挟んで対向する上下のシール体8,9間に搬送される。下シール体9及び上シール体8は、筒状フィルム4を挟持した状態で筒状フィルム4と共に筒状フィルム4の搬送方向の下流側に直線的に移動しながら横シールを施した後に筒状フィルム4から互いに離間するボックスモーション運動を繰り返す。このため、筒状フィルム4中の物品7の前後位置で筒状フィルム4が一対のシール体8,9によって挟持されて筒状フィルム4の搬送方向に対し交差する左右方向に横シールされ、筒状フィルム4が切断されてピロー包装品が得られる。以下、シール装置を詳述する。
【0016】
図5に示すように、支持枠10は、互いに連結された左右のフレーム11aを有する固定枠11と、互いに連結された左右の支持パネル12aを有する移動枠12とを備えている。移動枠12は、固定枠11の内側に上下方向に延設されたガイドレール10aによって固定枠11に対し上下方向に移動可能に支持されている。固定枠11には固定枠11に対する移動枠12の支持位置(取付け高さ位置)をハンドル13の回動操作により雌雄ねじ機構14を介して調節して、被包装品の高さ等に応じて図6に示すシール体8,9の噛合い高さ位置h(噛合い位置)を変更し得る高さ調節手段が取り付けられている。
【0017】
図2に示すように、左右の支持パネル12aの下端部の前後方向(筒状フィルム4の搬送方向)における両側にはステー15が支持パネル12aの内側へ突出している。左右のステー15間にはガイドロッド16が支持パネル12aに対し平行に前後方向へ延びるように架設されている。左右のガイドロッド16には支軸17によって互いに連結された案内体18が前後方向へ移動可能に支持されている。左右の案内体18にはスライドロッド19(連動機構)が上下方向へ移動可能に挿嵌されている。左右のスライドロッド19の上端間及び下端間には夫々連結体20,21(連動機構)が架設されている。上側の連結体20には上シール体8が取着されている。
【0018】
左右の案内体18の上方で押圧体22(可動手段)がスライドロッド19に上下方向へ移動可能に挿嵌されて案内体18に対し接近及び離間し得るように架設されている。押圧体22には、下面に中空状のガイド22aが嵌着されており、ガイド22aの下端が連結体25(連動機構)に当接している。各ガイド22a内には、軸部23が上下動可能に挿嵌され、押圧体22の上方で下シール体9を支持する台部24に軸部23の上端が取着されていると共に、押圧体22の下方で軸部23の下端が連結体25に取着されている。台部24と押圧体22の間にはコイルばね26が軸部23の外周に巻装されて押圧体22を常に付勢している。連結体25の左右両端部は押圧体22に対し上下動可能に嵌め込まれている。
【0019】
連結体25に連結されたトグルリンク機構27(連動機構)は、案内体18と、案内体18に架設された支軸17と、支軸17に回動可能に支持された回動体28と、上リンク29と、下リンク30とを備えている。上リンク29は、回動体28の一方の端部28a及び連結体25に対し夫々回動可能に支持されている。下リンク30は、回動体28の他方の端部28b及び連結体21に対し夫々回動可能に支持されている。上リンク29と下リンク30は、支軸17を回動中心として点対称で回動するように、リンク長さや取付け角度等が設定されている。
【0020】
図3に示すように、左右の支持パネル12aには、ハンドル31に回動連結されたねじ機構32が配設されていると共に、ハンドル31の回動操作によりねじ機構32を介して上下のシール体8,9の対向方向へ移動調節し得るよう支持体33が支持されている。左右の支持体33に支持された回転軸34には、図2,4に示すように、支持体33の内側で回転体35と作動体36が同一の回転中心34aで相対回転可能に互いに並んで支持されている。回転体35と作動体36は、互いに同一のピッチ円直径及び歯数を有する歯車35a,36aを備えている。
【0021】
図4に示すように、作動体36に取着されたレール37にはガイド体38が移動可能に支持されている。作動体36の回転中心34aに対する偏心位置でガイド体38に軸受39(可動手段)が回転可能に支持されている。軸受39は押圧体22に嵌入されている。作動体36にはレール37と略平行に延設された長孔状の貫通孔40が形成されている。回転体35の回転中心34aに対する偏心位置で回転体35に取着された連動軸41が貫通孔40を通してガイド体38に連結されている。
【0022】
図5に示すように、左右の支持体33の内側には、作動体36に噛み合う第1のギヤ42(第1伝動体)が第1の軸43(第1伝動体)により互いに連動して支持されていると共に、回転体35に噛み合う第2のギヤ44(第2伝動体)が第2の軸45(第2伝動体)により互いに連動して支持されている。第1のギヤ42と第2のギヤ44は、互いに同一のピッチ円直径及び歯数に設定されている。左右の支持パネル12aに対し第1のレバー46及び第2のレバー47が上下方向へ揺動可能に支持され、第1のレバー46間に第1の軸43が架設されていると共に、第2のレバー47間に第2の軸45が架設されている。第1の軸43と回転軸34との間の中心間距離と、第2の軸45と回転軸34との間の中心間距離とは、互いに同一に設定されている。
【0023】
図3に示すように、一方の支持体33の外側には、第1の軸43に第1のプーリ48(第1伝動体)が支持されていると共に、第2の軸45に第2のプーリ49(第2伝動体)が支持され、第1のプーリ48及び第2のプーリ49に隣接して補助プーリ50,51が支持されている。第1のプーリ48と第2のプーリ49は互いに同一の直径に設定され、両補助プーリ50,51は互いに同一の直径に設定されている。一方の支持パネル12aに取着されたブラケット52にはモータ53(駆動手段)が取り付けられていると共に、一方の支持体33に隣接して一方の支持パネル12aに従動プーリ54が支持され、モータ53により回転する駆動プーリ53aと、従動プーリ54との間にはブラケット52上の中間プーリ55を介してベルト56が掛け渡されている。従動プーリ54と共に回転するプーリ57と、第1の軸43上の第1のプーリ48との間にはベルト58(第1ベルト)が掛け渡されている。該プーリ57と一方の支持パネル12aに支持されたプーリ59と第2のプーリ49と両補助プーリ50,51との間にはベルト60(第2ベルト)が掛け渡されている。第2のプーリ49の巻掛け角は180度に設定され、両補助プーリ50,51の巻掛け角は90度に設定され、第2のプーリ49と両補助プーリ50,51との間に掛け渡されたベルト60は互いに平行に延設されている。
【0024】
ハンドル31を回転操作すると、支持体33が上下方向に移動して、その支持体33に支持された第1のプーリ48、第2のプーリ49、補助プーリ50,51も上下動するため、プーリ57と第2のプーリ49の中心間距離Sが変化して、その変化の際に第2のプーリ49がベルト60を転動して、第2のプーリ49と共に第2のギヤ44が回転する。
【0025】
そして、第2のギヤ44に噛合している回転体35が作動体36に対して相対回動することから、回転体35に連結された連動軸41が貫通孔40を移動し、その移動に伴い、ガイド体38がレール37に沿って移動する。
【0026】
このガイド体38の移動によって、ガイド体38に回動支持された軸受39の中心39aが作動体36の回転中心34aを通る直線L上で移動するため、支持体33を上下動させると、作動体36に対する軸受39の偏心位置が、直線L上で変化するように構成されている。以上のように支持体33の上下方向への移動に連動して、作動体36に対する回転体35の位相を変えて、作動体36の回転中心34aを通る直線L上で軸受39の位置を移動させるよう変更手段が構成されている。なお、後述するが、変更手段は、一対のシール体8,9の噛合い位置を維持した状態で両シール体8,9の作動範囲を変更し得るよう構成されている。
【0027】
支持体33の上下動位置が設定されて直線L上の軸受39の偏心位置が決まった状態でモータ53が回転すると、ベルト56,58を介して第1のギヤ42が回転して作動体36が回転すると共に、ベルト56,60を介して第2のギヤ44が回転して回転体35が回転する。その駆動伝達の際には、作動体36と回転体35との間で位相が変化することはない。
【0028】
作動体36が所定方向に1回転する間に、作動体36の回転中心34aに対し偏心位置にある軸受39により押圧体22がスライドロッド19を介して案内体18をガイドロッド16に沿って移動させながら、スライドロッド19に沿って上下動する。作動体36の回転により、軸受39が最上方に向けて移動し、押圧体22が上動する際は、台部24上の下シール体9がコイルばね26を介して上動すると共に、台部24と一体連結された軸部23及び連結体25を介してトグルリンク機構27が回動することで、トグルリンク機構27を介して、下側の連結体21とスライドロッド19と上側の連結体20と上シール体8が下方へ移動して、上下のシール体8,9が互いに接近して噛合する。両シール体8,9が噛合した後も、押圧体22はコイルばね26を縮めながら上動するが、トグルリンク機構27の角度は、両シール体8,9の噛合時の状態から変化しない。その後、作動体36の回転が継続して、軸受39が最下方に向けて移動し、押圧体22が下動する際は、押圧体22のガイド22aが連結体25に当接するまではコイルばね26の圧縮を弱めるように押圧体22が下動し、ガイド22aが連結体25に当接してから、押圧体22が軸部23、連結体25、トグルリンク機構27を下方に押すことにより、上下のシール体8,9が互いに離間する。従って、上下のシール体8,9はボックスモーション運動を繰返しながら筒状フィルム4に横シールを施すことができる。その際、上下のシール体8,9が対向状態を維持しながら、図1,6に示すように、作動体36の回転中心34aに対する軸受39の偏心位置に応じて、上シール体8の先端中央部8aが仮想線Vの軌跡で移動すると共に、下シール体9の先端中央部9aが仮想線Wの軌跡で移動し、両シール体8,9の先端中央部8a,9aが噛合い高さ位置hで仮想線X上を筒状フィルム4の搬送方向下流に向けて直線的に移動する。
【0029】
例えば、支持体33の上下動位置を設定して直線L上の軸受39の偏心位置を変化させて、作動体36の回転中心34aから下シール体9の先端中央部9aまでの距離を図6(a)の値R1から図6(b)の値R2にすると、下シール体9の先端中央部9aの移動軌跡である仮想線Wの大きさ(作動範囲)がW1からW2に変化すると共に、上シール体8の先端中央部8aの移動軌跡である仮想線Vの大きさ(作動範囲)も対称形状になり、仮想線Vの大きさ(作動範囲)がV1からV2に変化し、更に、仮想線Xの長さがX1からX2に変化する。その際にも、X1,X2の高さ位置が両シール体8,9の噛合い高さ位置hに一致するように、回転軸34上の回転体35及び作動体36の直径等や、第1の軸43上の第1のギヤ42及び第1のプーリ48の直径等や、第2の軸45上の第2のギヤ44及び第2のプーリ49の直径等や、両補助プーリ50,51の直径等や、それらの中心間距離等が設定されている。
【0030】
また、横形製袋充填機の運転開始前に限られることなく運転中にも、支持パネル12aにおける支持体33の上下動位置を変更するだけで、偏心位置にある軸受39を、作動体36の回転方向ではなく、作動体36の回転中心34aを通る直線L上で移動させることができる。そのため、上下のシール体8,9の作動範囲が変更されても両シール体8,9の位相が変更されず、両シール体8,9の噛合い位置を維持した状態で上下のシール体8,9の作動範囲を変更することができる(変更手段)。従って、横シールされた袋の状態を確認しながら両シール体8,9の作動範囲を調節してシ−ル時間を調整したり、被包装品の長さ等の情報により被包装品の種類の変化に対応した包装の自動化を行なったり、様々な運転が可能になる。
【0031】
本発明の趣旨に反しない範囲で前記実施形態以外にも適宜変更可能であり、例えば下記のような構成を採用することができる。
・ ハンドル31による手動操作に代えて、モータなどの駆動源の駆動で、支持体33の位置を自動的に上下に調節し得るようにしてもよい。
【0032】
・ 更には、噛合い高さ位置hの調節もハンドル13に代えてモータで行うようにしてもよい。
・ 変更手段としては、支持体33の上下位置を検知する検知手段を設けると共に、駆動手段における駆動源として作動体36を回転駆動するモータ53とは別のモータを支持体33に新設して、該新設したモータで回転体35を回転させて、作動体36との位相を維持させ、支持体33の位置の変化を検知手段が検知した際に、その検知情報に基づき、支持体33の位置の変化に連動するように、新設したモータで作動体36に対する回転体35の位相を変えるようにしてもよい。
【0033】
なお、この場合、支持体33の位置の変化を検知手段が検知した際に、クラッチ(不図示)などを用いて回転体35と作動体36を非連結状態として、別々に回転する構成を採用してもよい。
【0034】
更に、ベルト56を介することなく、モータ53で第1のギヤ42または作動体36を直接回転駆動するようにしてもよい。
なお、支持体33の支持位置の変更と、作動体36に対する回転体35の回転位相の変更とを連動させる例として、ハンドル13或いはモータで支持体33の支持位置を変更すると、ベルト或いはモータで作動体36に対する回転体35の回転位相が変更される例を示したが、支持体33の支持位置、及び、作動体36に対する回転体35の回転位相を、夫々配設されたモータで自動変更する場合には、製袋充填機の制御手段に、入力パネル等の入力手段を介して設定される製品の大きさや包装処理能力などに関連する指令情報に対応し得るよう、支持体33の支持位置、及び、作動体36に対する回転体35の回転位相に関する対応関係情報(例えば、夫々のモータ駆動電流など)を上記指令情報と関連付けて予め記憶させておき、該対応関係情報に基づき夫々のモータを駆動し、一対のシール体の噛合い位置を維持した状態で両シール体の作動範囲を変更し得るように、支持体33の支持位置を変更すると共に作動体36に対する回転体35の回転位相を変更してもよい。この場合には、夫々のモータを駆動するタイミングは、同時でもよく、何れかのモータを先に駆動させてもよく、更には、何れかのモータを先に駆動する場合には、先に駆動したモータの駆動情報等に基づき、他方のモータの駆動量を決定してもよい。
【0035】
なお、製袋充填機に設置されたスイッチがONされている間、支持体33の支持位置と、作動体36に対する回転体35の回転位相との対応関係を維持しながら、夫々を変更するよう各モータを回転駆動し、オペレータの判断によりスイッチがOFFとされた際に、夫々のモータの回転駆動を停止するような半自動で変更してもよい。この場合には、オペレータによるスイッチ信号が指令情報に相当する。
【0036】
・ 上下のシール体の移動軌跡は、完全に対称とならないシール装置などにも適用可能である。
・ 作動体36を何れか一方の支持体33にのみ配設し、回転体35を他方の支持体33にのみ配設してもよい。
【0037】
・ 連動機構として、トグルリンク機構27に代えて、複数のギヤなどで構成してもよい。
・ 縦形製袋充填機にも利用できる。
【符号の説明】
【0038】
4…筒状フィルム、8…上シール体、9…下シール体、10…支持枠、11…固定枠、12…移動枠、13…ハンドル(高さ調節手段)、14…雌雄ねじ機構(高さ調節手段)、19…スライドロッド(連動機構)、20,21,25…連結体(連動機構)、22…押圧体(可動手段)、27…トグルリンク機構(連動機構)、31…ハンドル、32…ねじ機構、33…支持体、34a…回転中心、35…回転体、35a…歯車、36…作動体、36a…歯車、38…ガイド体、39…軸受(可動手段)、42…第1のギヤ(第1伝動体)、43…第1の軸(第1伝動体)、44…第2のギヤ(第2伝動体)、45…第2の軸(第2伝動体)、45a…回転中心、48…第1のプーリ(第1伝動体)、49…第2のプーリ(第2伝動体)、50…補助プーリ、53…モータ(駆動源、駆動手段)、58…ベルト(第1ベルト)、60…ベルト(第2ベルト)、L…直線、h…噛合い位置の高さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のシール体が筒状フィルムを挟持して筒状フィルムの搬送と共に移動して横シールを施す製袋充填機におけるシール装置であって、
一対のシール体を移動可能に支持する支持枠に対し両シール体の対向方向へ移動調節可能に支持された支持体と、
該支持体に対し回転可能に支持され、駆動手段に連係して回転する作動体と、
該作動体に対し移動可能に支持され、該作動体と共に回転するガイド体と、
前記作動体から偏心した偏心位置で前記ガイド体に回転可能に支持された可動手段と、
前記作動体の回転による前記可動手段の回転に伴い該可動手段に連係して一対のシール体を両シール体の対向方向及び筒状フィルムの搬送方向に移動させる連動機構と、
前記ガイド体に連結されると共に、前記支持体に対し前記作動体と同心で回転可能に支持され、駆動手段に連係して回転する回転体と、
前記支持体の支持位置の変化と連動し、前記作動体に対する前記回転体の位相を変化させて前記作動体の回転中心を通る直線上で前記可動手段の偏心位置を移動させる変更手段と
を備え、該変更手段によって、一対のシ−ル体の噛合い位置を維持した状態で両シ−ル体の作動範囲を変更し得るよう構成された
ことを特徴とする製袋充填機におけるシール装置。
【請求項2】
前記支持枠に配設され、ハンドルまたはモータに回動連結されたねじ機構によって、前記支持体が移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記支持体に対し回転可能に支持され、第1ベルトに巻き掛けられ、該第1ベルトの走行によって前記作動体と共に回転する第1伝動体と、前記支持体に対し回転可能に支持され、第2ベルトに巻き掛けられ、該第2ベルトの走行によって前記回転体と共に回転する第2伝動体と、該第2伝動体に至る第2ベルトの途中で第2ベルトを巻き掛け案内するプーリを有し、前記支持体の支持位置の変化と連動し、第2ベルトで第2伝動体を回転させる前記作動体に対する前記回転体の位相を変えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項4】
前記支持体の移動情報を検知する検知手段を備え、前記駆動手段は、前記作動体を回転駆動するモータと、該モータとは別のモータを備え、該別のモータで前記検知手段による前記支持体の移動情報に基づき、前記回転体を回転駆動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項5】
前記支持枠に対し前記支持体を移動させるモータと、
前記駆動手段として前記作動体を回転駆動するモータと前記回転体を回転駆動する別のモータを備えると共に、
入力される指令情報に対応し得るよう、前記支持体の支持位置及び前記作動体に対する前記回転体の位相に関する対応関係情報が、予め記憶された制御手段を備え、
前記対応関係情報に基づき、前記支持体をモータで移動させると共に、前記別のモータで前記作動体に対する回転体の位相を変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項6】
前記支持枠は、固定枠と前記支持体を上下方向へ移動調節可能に支持する移動枠を有すると共に、該移動枠を固定枠に対し昇降させて両シール体の噛合い位置の高さを調節し得る高さ調節手段を備えた横形製袋充填機に設けられている請求項1〜5のうちいずれか
一つに記載の製袋充填機におけるシール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250720(P2012−250720A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122821(P2011−122821)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】