説明

製袋機構およびそれを用いた縦形製袋充填機

【課題】 製袋機構およびそれを用いた縦形製袋充填機において、逆止弁付きのフィルムがずれない良好な搬送を行うことができ、外観が良好でエア漏れなどのない逆止弁付きの包装袋を効率的に製造できるようにする。
【解決手段】 製袋機構に、フィルム20を襟状に折り曲げる反転案内部を備える製袋ガイド3を設ける。反転案内部のうち、バルブ21が通過する範囲にバルブ反転部25aを設ける。バルブ反転部25aは、フィルム20が通過するフィルム反転部25bより低い位置に、円弧面状の回転案内面25Aが形成されている。また製袋ガイド3の内側には、バルブ案内面2bを備える充填筒2を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋機構およびそれを用いた縦形製袋充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面フィルムを筒状に形成して端部を縦シールして、筒状体を連続成形し、端部を横シールしてから被包装物を充填することで、包装袋を形成する縦形製袋充填機が知られている。そして筒状体を連続成形するための製袋機構として、例えばセーラー服の襟状に設けられたガイド部材を用いることが知られている。
一方、例えばコーヒー豆などのように、充填後に、例えば二酸化炭素などのガスを発生するために、このような内部ガスを外部に透過させ、水分や酸素などが外部から浸透するのを規制する逆止弁を設けた包装袋が知られている。
このような逆止弁付きの包装袋を製袋する製袋機構として、例えば、特許文献1には、逆止弁をフィルムの幅方向の端部に仮接着し、フィルムとともに搬送して、襟状のガイド部材でフィルムを円筒状の筒状体に成形し、縦シール時に逆止弁をフィルムで挟んだ状態で加熱接着する筒状体形成機構が記載されている。
【特許文献1】特許第2626703号公報(第2−3頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の製袋機構およびそれを用いた縦形製袋充填機には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術によれば、逆止弁がフィルムの幅方向の端部に仮接着されているので、フィルムを搬送する際、搬送抵抗が幅方向の左右で異なり、左右均等な搬送が困難であった。そのため、端部同士を合わせる際にずれが生じ、包装袋にゆがみやしわが生じやすいという問題がある。
また、逆止弁をフィルム端部で挟んで縦シールするため、逆止弁とフィルムとの間に微小な隙間が生じやすく、逆止弁の端からエア漏れが生じやすいという問題がある。
一方、逆止弁をフィルムの中間部に設け、充填筒、製袋ガイドに逆止弁の逃げを設けるようにすることも考えられるが、逆止弁が反転するとき逃げ部の角にフィルムが強く押しつけられフィルムに傷がつくという問題がある。
この場合、充填筒を角筒にすることにより反転時の力の分散を図ることも考えられるが、この場合、傷の程度は低減できるが完全になくすことは難しく、また角筒断面では円筒断面に比べて充填速度が低下するため、製造効率が劣ったものとなるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、逆止弁付きのフィルムがずれない良好な搬送を行うことができ、外観が良好でエア漏れなどのない逆止弁付きの包装袋を効率的に製造できる製袋機構およびそれを用いた縦形製袋充填機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、ガスの出入りを規制する逆止弁が幅方向の中間部に設けられたフィルムを、前記逆止弁が内側に向くように筒状に折り曲げる製袋機構であって、軸方向に沿う切れ目を有する筒状とされ軸方向の端部に前記切れ目から軸方向外側に向けて傾斜する開口が形成された内周案内部と、該内周案内部の前記開口から該開口の外側に折り返された襟状の傾斜案内面とを有し、前記内周案内部と前記傾斜案内面との接続部である反転案内部が形成された製袋ガイド部材と、該製袋ガイド部材の前記内周案内部と略同軸に設けられ、前記筒状体の内周面を案内して筒形状を保持するとともに、被包装物を充填する管路を形成する充填筒とを備え、前記反転案内部のうち前記逆止弁が通過する範囲が、前記逆止弁が通過する際に当接する円弧面状の回転案内面である構成とする。
この発明によれば、幅方向の中間部に逆止弁が設けられたフィルムを、逆止弁を所定方向に向けて、製袋ガイド部材の傾斜案内面に搬送し、反転案内部に沿って折り曲げて、内周案内部に沿って搬送することで、フィルムが襟状に折り曲げられて、内周案内部に導かれる。そして、内周案内部と充填筒との間で筒状に成形され、幅方向端部は、内周案内部の切れ目で合わされた筒状体が形成され、その状態を保って搬送される。
ここで、逆止弁はフィルム幅方向の中間部に設けられているので、幅方向端部に設けられている場合のように幅方向左右の搬送負荷の不均等が生じることがないから、フィルム幅方向端部の合わせ位置のずれが生じない。
また、逆止弁は、反転案内部の屈曲に沿って変形しないため、屈曲しない部分より長い移動距離が必要であり、その分、反転案内部を通過する際、ショートカットして移動しようとするので反転案内部の回転案内面に押しつけられる。
このため、逆止弁は円弧面状の回転案内面に当接して回転移動する。
この回転移動が行われる間、逆止弁の周囲のフィルムは逆止弁の回転移動軌跡に沿って製袋ガイド部材の各案内面から離間するため、逆止弁の近傍ではフィルムに無理な力がかからず、傷や永久変形を防止することができる。また、反転案内部でフィルムが引っかかったり詰まったりすることなく安定して搬送することができる。
また、逆止弁が通過しない際には、フィルムは他の反転案内部の頂部に当接して移動する。
なお、回転案内面が円弧面状であるという意味は、搬送方向に沿う断面が円弧状とされているという意味であり、例えば、円筒面の一部をなす曲面であってもよいし、そのような曲面に搬送方向に沿う複数の溝を設けた形状でもよいし、搬送方向に沿う断面が円弧状で搬送方向に直交する方向の断面が波形の曲面であってもよい。円筒面状とすれば、製作が容易となり、後二者のようにすれば、逆止弁との接触面積が減るので逆止面の回転移動がより円滑となる。
また、ここで、逆止弁が回転案内面に当接する、とは、逆止弁がフィルム直接当接する場合と、フィルムを挟んで間接的に当接する場合とを含むものとする。すなわち、逆止弁は、フィルムに貫通もしくはフィルムを挟持して取り付けられていてもよいし、筒状体の内周面を構成するフィルム面上に取り付けられていてもよい。
【0006】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の製袋機構において、前記充填筒が略円筒状とされ、該充填筒の外周部に、前記逆止弁を前記フィルムの搬送方向に沿って案内する逆止弁案内面が設けられ、該逆止弁案内面が、前記充填筒の円筒部分の中心軸および前記回転案内面の円筒面の中心軸に平行な平面であって、かつ、前記充填筒の円筒部分の中心軸からの距離と前記筒状体の内側に突出する逆止弁の高さとの和が、前記充填筒の円筒部分の外半径に略等しくなるように配置された構成とする。
この発明によれば、逆止弁が回転案内面に沿って回転移動されて、フィルムに対する取付面が内周案内部の案内面に平行になると、内周方向に向いた逆止弁が充填筒に形成された逆止弁案内部に当接する状態となる。
このため、内周案内部では、フィルムが充填筒に沿う円筒状に案内されるともに、逆止弁が逆止弁案内面により確実に案内されて、円滑に搬送される。特に周方向に筒状体がずれたり歪んだりすることを防止できる逆止弁案内面が充填筒の円筒部分の中心軸および回転案内面の円筒面の中心軸に平行な平面であるため、回転移動後の逆止弁が逆止弁案内面に対して左右に傾くことないから、逆止弁案内面に円滑に当接させることができる。
また、逆止弁と逆止弁案内面とが当接した状態で、充填筒の円筒部分の中心軸に対する逆止弁案内面の距離と逆止弁がフィルムから内側に突出する高さの和が、充填筒の外半径に略等しくなるように配置されているので、逆止弁により張られる部分のフィルムが充填筒の円筒部分の延長上に配置され、歪みの少ない略円筒状の筒状体を張ることができる。このため、筒状体の周長に対する断面積が略最大化されるので、被包装物を充填するためのオーガ軸径を略最大化することができ、充填速度を向上することができる。
【0007】
請求項3に記載の発明では、縦形充填包装機であって、幅方向の中間部にガスの出入りを規制する逆止弁が設けられたフィルムを連続供給するフィルム供給部と、該フィルム供給部から供給された平面状のフィルムを筒状に折り曲げる請求項1または2に記載の製袋機構と、該製袋機構により筒状に折り曲げられた前記フィルムの幅方向の端部同士を縦シールする縦シール機構と、該縦シール機構により縦シールされた筒状体を横断方向に横シールする横シール機構と、前記製袋機構および前記横シール機構の動作に連動し、前記充填筒を通して所定量の被包装物を充填する充填部とを備えた構成とする。
この発明によれば、請求項1または2に記載の製袋機構を備えるので、請求項1または2に記載の発明と同様の作用効果を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製袋機構およびそれを用いた縦形製袋充填機によれば、逆止弁を幅方向の中間部に設けた逆止弁付きフィルムを用いて、反転案内部で逆止弁を回転案内面に沿って回転移動することにより、逆止弁周辺のフィルムを周囲の反転案内部から離間させて内周案内面に円滑に搬送することができるとともに、内周案内面に搬送後は、逆止弁を充填筒に設けられた逆止弁案内面に沿わせて安定して搬送することができるから、フィルムのずれによる歪みやフィルム面の傷などがない良好な外観を備えるエア漏れのない包装袋を効率よく製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る縦形製袋充填機の製袋機構について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る製袋機構を用いた縦形製袋充填機の概略構成について説明するための斜視説明図である。図2(a)、(b)は、本発明の実施形態に係る製袋機構の主要部について説明するための平面説明図および正面説明図である。図3(a)は、図2(a)におけるA−A線に沿う断面説明図である。図3(b)は、図3(a)のB部の部分拡大図である。図4(a)は、本発明の実施形態に係る反転案内部の構成および作用について説明するための、図2(a)のA−A線に沿う部分断面説明図である。図4(b)は、図4(a)におけるC−C線に沿う断面説明図である。
【0010】
本実施形態の製袋機構1は、縦形製袋充填機100に用いられるもので、バルブ21(逆止弁)を幅方向の中間部に取り付けたフィルム20を襟状に折り曲げてから筒状体を形成する機構である。
【0011】
まず本実施形態の縦形製袋充填機100の概略構成について説明する。
縦形製袋充填機100の概略構成は、図1に示すように、フィルム供給部11、ホッパ10(充填部)、製袋機構1、縦シールヒータ4(縦シール機構)、繰り出しベルト5、および横シールヒータ6(横シール機構)からなる。
フィルム供給部11は、包材として所定幅の帯状のフィルム20を巻いた包材リール12から、フィルム20を引き出し、複数のローラを組合せてなるフィルム搬送機構13により送り出して製袋機構1に供給する機構である。
フィルム20の材質は、熱シール可能な材質であれば、どのような材質でもよい。例えば、合成樹脂フィルム、ラミネートフィルムなどを採用することができる。
【0012】
バルブ21は、包装袋の内部に発生するガスを包装袋の外部に透過させ、それ以外のガス、例えば酸素、窒素、水蒸気などの流れを遮断もしくは規制するためのものである。例えば、ガス選択型フィルタと逆流防止弁とが、平面視略円形の扁平な合成樹脂ケースに設けられた構成などを採用することができる。
そして、包装袋の内側となるフィルム20の面上にバルブ上面21aが上側を向くように載せて固定し、その背後にガス透過孔を形成することで、バルブ21が包装袋の外部に露出しないように取り付けることができる。
バルブ上面21aは、平面に当接して安定して摺動できる適宜形状、例えば、平面、突起面などが形成されている。バルブ下面21bは、円筒面を周方向に滑らかに摺動または転動できるように、例えば平面、突起などからなる当接部が形成されている。
包装袋内部に発生するガスは、例えば、被包装物がコーヒー豆の粉粒体などからなる場合の二酸化炭素などが挙げられる。
【0013】
フィルム搬送機構13の中間部には、フィルム20の幅方向の中央部に所定間隔でバルブ21を取り付けるバルブ取付機構14が設けられている。
バルブ取付機構14は、例えば感熱接着剤や熱融着などを用いた適宜の取り付け手段によりフィルム20とバルブ21とをシールして取り付け、バルブ排気孔に相当するフィルム部分に排気孔をあけるものである。
なお、バルブ取付機構14の下流側のフィルム搬送機構13においては、図示しないが、搬送ローラなどにフィルム20から突出するバルブ21を避ける逃げ部などが必要に応じて形成されている。そのため、バルブ21が取り付けられた後でも、フィルム20を円滑に搬送できるようになっている。
【0014】
ホッパ10は、所定タイミングで所定量の被包装物を自動供給する機構である。すなわち、縦シールヒータ4により縦シールされた筒状体が形成され、筒状体の下部が横シールヒータ6により横シールされて底部が封止されると、次にその上部が横シールされるまでの間に、被包装物の充填を行い、上部を横シール後、横シール中間部のカッタ(図示しない)で切断し包装袋50を形成する。そして、これらの工程を順次繰り返すようになっている。
【0015】
次に本実施形態の製袋機構1について説明する。
製袋機構1の概略構成は、充填筒2、および製袋ガイド3(製袋ガイド部材)からなる。
【0016】
充填筒2は、図2(a)に示すように、ホッパ10の下端に鉛直方向に延された略D字状断面を有する管部材である。すなわち、断面において優弧をなす円筒部分2aと、その弦となっている平面部分とからなる。平面部分の外周側は、バルブ案内面2bとなっている。
円筒部分2aの外周部は、筒状体に成形されたフィルム20を筒形状に保持して搬送するため、外半径rの案内面が構成されている。
バルブ案内面2bは、充填筒2に沿って搬送される筒状体の内側に突出されるバルブ21のバルブ上面21aを案内するための平面であり、円筒部分2aの中心軸Oから距離d(ただしd<r)の位置に設けられている。
ここで、バルブ21がフィルム20から筒状体の内側に突出する高さをhとするとき、距離dは、高さhとの和が、半径rに略等しくなるように設定される。すなわち、h+d≒rである。
【0017】
このような寸法関係にすることで、バルブ21の近傍のフィルム20は、バルブ21がバルブ案内面2bに当接しつつ搬送される際に、充填筒2の中心軸Oから略半径rだけ離れた位置、すなわち、円筒部分2aと略同一の円周面上に位置することになる。したがって、フィルム20による筒状体は、略半径rの円筒状を保って搬送できるようになっている。
なお、半径rに対する和(h+d)の許容偏差量は、良好な搬送性能が得られる筒状体断面の真円度許容量として必要に応じて設定することができる。例えば、バルブ21の寸法やフィルム20の可撓性などの条件から、フィルム20の搬送性を考慮して適宜決めるようにする。
【0018】
一般に、高さhは、距離dに比べてかなり小さな値でも十分であるから、円筒部分2aの割合は大きく、バルブ案内面2bの幅は比較的狭いものとなる。バルブ案内面2bの幅は、バルブ上面21aを幅方向に当接できる程度の面積があれば十分である。
したがって、充填筒2の断面形状は、D字状とは言え円断面に近いものとなる。そのため、充填筒2は、例えば矩形断面などの場合と比べて、周長に対する面積比が高い形状となるものである。
【0019】
製袋ガイド3の概略構成は、図2(a)、(b)に示すように、背面ガイド部23(傾斜案内面)、側面ガイド部24、24(傾斜案内面)、反転案内部25、および内周ガイド部26(内周案内部)からなる。
内周ガイド部26の概略形状は、フィルム20の幅方向端部を挿通させるためのスリット26bが軸方向に形成された円筒部材を鉛直方向に立て、スリット26bの上端から斜め上方に傾斜する面で切断して楕円状の開口を形成した形状とされている。内周ガイド部26の内周面26aは、中心軸Oと同軸に配置され、円筒部分2aの外半径rよりやや大きい内半径rを有する円筒面とされる。
ここで、内半径rは、(r−d)が後述するバルブ反転部25aにおいてバルブ21を円滑に回転するための十分な空間を形成することができる寸法とする。
【0020】
側面ガイド部24、24は、内周ガイド部26の楕円状の開口からそれぞれ左右の外側方向に向けて、例えばセーラー服の襟状に延され、平面視で、充填筒2を周方向にそれぞれ、例えば8分の3程度、取り囲むとともに、下側に開いた滑らかな錐状の湾曲面を形成する案内面である。
背面ガイド部23は、フィルム供給部11から供給されるフィルム20を斜め上方に案内するための傾斜して設けられた平面案内面である(図3(a)参照)。そして、図2(a)に示すように、平面視で略等脚台形状とされ、側方で、側面ガイド部24、24に滑らかに接続し、上方(台形の上底側)で、内周ガイド部26の楕円状の開口の長径方向の上端部に接続されている。
【0021】
反転案内部25は、背面ガイド部23、側面ガイド部24と内周ガイド部26とが開口において接続されることにより、径方向の断面視で山形を形成し、フィルム20を内周面26aに向けて搬送方向を変更できるようにした稜線である。
そして、反転案内部25は、フィルム20が通過する範囲に形成されたフィルム反転部25bと、バルブ21が通過する範囲に形成されたバルブ反転部25a(逆止弁反転部)とからなる。
フィルム反転部25bは、内周面26aと側面ガイド部24とが鋭角をなして交わることで形成されており、フィルム反転部25bの頂部には、それぞれ同一直線上に整列して延された直線稜線部25B、25Bが、内周面26aと背面ガイド部23とが鋭角をなして交わることで形成されている。フィルム20は搬送に伴って連続的に滑らかにここを通過して筒状に成形される。
バルブ反転部25aは、図4(b)に示すように、直線稜線部25B、25Bの間にあり、バルブ21がショートカットできるように、バルブ21の搬送方向に沿って丸められた円弧面である回転案内面25Aが形成されてなる。そして、円弧面を形成するため、深さtの略コ字状溝が形成される。略コ字状溝の上端部と直線稜線部25B、25Bとの境目には、フィルム20が当接しても傷つかないように適宜角R部25c、25cが形成されている。
【0022】
縦シールヒータ4は、図1に示すように、内周ガイド部26のスリット26bにより搬送されるフィルム端部20a、20aを互いに会わせた状態で、熱シールするための機構であり、スリット26bの下流側の充填筒2近傍に配置される。
繰り出しベルト5は、製袋ガイド3により筒状体に成形され、縦シールヒータ4で熱シールされたフィルム20を、充填筒2に沿って下方に搬送するための搬送手段である。なお、煩雑となるので図示を省略しているが、筒状体を安定して搬送するため対向する側にも同様の繰り出しベルト5が設けられている。
横シールヒータ6は、充填筒2の下方に設けられ、筒状体とされたフィルム20を横断する方向に挟んで熱シールし、包装袋を上下で封止するための機構である。
【0023】
次に、本実施形態の縦形製袋充填機100の動作について、製袋機構1による製袋動作を中心に説明する。以下、仮想的な先端部が搬送につれて順次受ける作用を説明していく。
【0024】
フィルム20は、バルブ取付機構14によりバルブ21が幅方向の中央部に取り付けられ、フィルム供給部11から供給される。そして、製袋ガイド3の背面ガイド部23に案内され、図3(a)の左斜め上方に搬送される。
フィルム20の搬送が進むにつれ、幅方向の端部側から徐々に側面ガイド部24に移行し、側面ガイド部24の湾曲面に沿って搬送され、充填筒2を取り巻くように移動していく。
【0025】
その間に、フィルム20の幅方向中央部から徐々に、背面ガイド部23、側面ガイド部24を上部まで上り詰めて、反転案内部25で反転し、内周面26aに沿って搬送され、スリット26bの上端位置で、それぞれのフィルム端部20a同士が合わされる。
バルブ21が貼り付いていないフィルム部分の場合、フィルム20は、背面ガイド部23上を搬送されることにより、平面を保った状態で直線稜線部25Bに到達する。そして、図4に示すように、直線稜線部25B、25B、フィルム反転部25b、25bによって、下方に折り返され、内周面26a側に搬送される。フィルム20は、直線稜線部25B、25Bで張られるので、バルブ反転部25aにおいてたるむことはない。また、直線稜線部25B、25Bの端部に角R部25c、25cが形成されていることと相俟って、回転案内面25Aと直線稜線部25Bとの間の段部にフィルム20が引っかかって搬送の障害となったり、フィルム20が傷ついたりしないものである。
【0026】
さらに搬送が進むと、フィルム反転部25bにより内周面26a側に折り返される範囲が、フィルム20幅方向の左右側に拡がっていく。
このとき、フィルム反転部25b、直線稜線部25Bは、側面ガイド部24、背面ガイド部23と内周面26aとがそれぞれ鋭角をなして交わることにより形成されているので、フィルム20の折り返しが円滑に行われ、しわなどが生じることはない。
このようにして、フィルム20が充填筒2の円筒部分2aに沿う筒状体が連続形成される。
【0027】
ここで、充填筒2、製袋ガイド3が対称面200に対して面対称に構成されているので、摩擦抵抗も対称面200に関して対称となり、左右からフィルム端部20aがスリット26b部に到達するタイミングのずれが起こりにくくなっている。そのため縦シールの合わせ目がずれることがなく、筒状体の歪みも発生しにくいという利点がある。
【0028】
次に、バルブ21がバルブ反転部25aに到達した場合の動作について説明する。
図5(a)は、この場合の動作を説明するための図2(a)のA−A線に沿う断面説明図である。図5(b)は、図5(b)のD−D線に沿う断面説明図である。
バルブ21がバルブ反転部25aに到達すると、バルブ21はフィルム20のように屈曲できないため、背面ガイド部23に沿って進み、ある程度まで背面ガイド部23から飛び出し、内周ガイド部26の内部側の空間に背面ガイド部23に平行に、先端側のフィルム20を張出すように進む。このとき、バルブ21の先端側のフィルム20の張力が増大するので、バルブ21には図示反時計回り方向のモーメントが作用する(図3(b)参照)。
そして、バルブ21は、バルブ下面21bが回転案内面25Aに押しつけられた状態で図示反時計方向に回転移動していく。
【0029】
なお、バルブ案内面2bと内周面26aとの隙間(r−d)は、バルブ21の端部が回転移動中にバルブ案内面2bに接触しない寸法として設定されているので、回転移動の妨げとはならない。
【0030】
このとき、搬送方向に沿う方向では、図5(a)に示すように、バルブ21がフィルム反転部25bより深さtだけ低い回転案内面25Aを通過することにより、バルブ21が貼り付けられていないフィルム20(図示奥行き方向)より若干長い移動距離の軌跡を描くので、搬送方向の先後で、バルブ21に貼り付けられたフィルム20が背面ガイド部23、内周ガイド部26からわずかに浮き上がって滑らかに回転される。
【0031】
また、搬送の幅方向断面では、図5(b)に示すように、バルブ21に貼り付けられて引張られたフィルム20がコ字状溝内でU字状に撓みつつ搬送される。
このように撓んでも、搬送方向の先後が浮き上がった状態でバルブ21が回転案内面25Aに沿って滑らかに回転されることと、またフィルム反転部25bの端部に角R部25cおよび隙間wとが設けられていることとが相俟ってフィルム20に傷が生じないものである。
【0032】
なお、回転案内面25Aは、段差tが浅く円筒面の丸みが小さいほど、フィルム20の浮き上がりを大きくできるが、フィルム20にかかるストレスが大きくなり、しわ等の原因になる。また、バルブ21が反転案内部25をバルブ21が通過する際の搬送負荷が大きくなる。
そのため、段差t、円筒面の丸みは大きいほどよいが、大きすぎると、バルブ下面21bが回転案内面25Aを離れるので、バルブ下面21bが回転移動中に回転案内面25Aから離れない程度の大きさとする。
直線稜線部25Bは長いほど、フィルム20の搬送は安定するが長すぎると製袋ガイドが大きくなってしまう。
【0033】
バルブ21が、反転案内部25を回転移動すると、バルブ上面21aを充填筒2のバルブ案内面2bに当接し、バルブ案内面2bに沿って摺動移動する。
このとき、フィルム20は、バルブ21により、充填筒2の円筒部分2aの円筒面と略同位置に張られるので、略円筒部分2aに沿う円筒面を有する筒状体として、充填筒2に沿って搬送される。
また、フィルム20が周方向に捩れ出すと、バルブ21がバルブ案内面2b上で周方向にずれるが、左右方向のフィルム20の張力のバランスが崩れてバルブ21を中央に戻そうとする復元力が働くので、周方向の安定性も確保される。そのため、筒状体の歪みを防止することができる。
【0034】

スリット26bにおいて互いに合わされたフィルム端部20a、20aは、縦シールヒータ4により縦シールされ、横シールヒータ6の位置で横シールされ、筒状体の下端部がシールされる。
その状態で、所定長さだけ搬送されたタイミングで、ホッパ10から被包装物が所定量だけ充填される。そして、充填後、横シールヒータ6により、筒状体の上端部が横シールされ、被包装物が充填された逆止弁付きの包装袋が形成される。
【0035】
このように本実施形態では、フィルム20の中央部に設けたバルブ21を、回転案内面25Aに押しつけて滑らかに回転移動することで、バルブ21の側方のフィルム20を反転案内部25から略浮かすことができるので、バルブ21の反転時でもフィルム20が傷つけることなく円滑に搬送できる。
また、バルブ案内面2bを備えるため、フィルム20を軸方向および周方向に安定して搬送できる。
これらの作用により、シール部の位置ずれ、外形の歪み、傷などのない外観の良好な包装袋を製造することができる。
また、バルブ21は、バルブ取付機構14によりフィルム20の幅方向の中間部の面上にシールして取り付けられるので、幅方向端部に挟んで取り付けられる場合のように、エア漏れなどを起こすことがない包装袋を得ることができる。
【0036】
なお、上記の説明では、バルブ21がフィルム20の幅方向の中央部に設けられた例で説明したが、縦シールされる幅方向端部を除く幅方向の中間部であればよく、中央部に限定されるものではない。
その場合、逆止弁反転部は、逆止弁が通過するフィルム幅方向の位置に応じて、反転案内部の適宜の位置に設けられる。
このとき、逆止弁は1つであっても、本発明の反転案内部では搬送負荷が軽いので、フィルム端部同士のずれが起こらないようにすることができるが、より確実にずれを防止するには、搬送負荷を幅方向左右に均等化することが好ましい。例えば、逆止弁をフィルムの幅方向の対称位置に複数設けることにより搬送負荷を幅方向に均等化することができる。
【0037】
また、上記の説明では、逆止弁案内面を充填筒の断面で弦をなす平面から構成し、充填筒を断面D字状とする例で説明したが、断面コ字状の溝の底面で逆止弁案内面を構成してもよい。
この場合、充填筒の円筒部分の割合を多くとることができるので、筒状体をより円筒に近い形状に保持できるという利点がある。
また、このような溝の幅を逆止弁の幅に近づけ、溝の内側面により逆止弁の周方向の位置を規制するようにしてもよい。
この場合、フィルムの周方向のずれを規制できるので、より安定した筒状体を形成しつつ、搬送することができ、より歪みの少ない外観に優れた包装袋を形成できるという利点がある。
【0038】
また、上記の説明では、内周案内部、充填筒がそれぞれ略円筒状の場合について説明したが、筒状であれば、例えば角筒など略円筒断面以外の筒状でもよい。その場合、内周案内面の開口形状は異なるが、逆止弁が通過する範囲に、逆止弁反転部として、反転案内部の頂部より凹んだ回転案内面などを上記と同様に設けることができるものである。
【0039】
また、上記の説明では、より良好な搬送が可能となる実施形態として、充填筒の外周部に逆止弁案内面を設け、逆止弁の上面が逆止弁案内面に沿って摺動移動できるようにした場合について説明したが、逆止弁付きフィルムを円滑に反転させることで十分良好に搬送することができる場合は、製袋ガイド部材に回転案内面を設けるだけで、充填筒の逆止弁案内面を省略した構成としてもよい。この場合、逆止弁を逆止弁案内面に摺接させなくてよいので、逆止弁の上面は、平面などの摺動しやすい形状でなくてもよい。
【0040】
また、上記の説明では、バルブ21が、包装袋の内側に設けられた例で説明したが、例えば、フィルム20に孔を空けバルブ21を貫通させて取り付け、バルブ21の一部が包装袋の外部に露出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係る製袋機構を用いた縦形製袋充填機の概略構成について説明するための斜視説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る製袋機構の主要部について説明するための平面説明図および正面説明図である。
【図3】図2(a)におけるA−A線に沿う断面説明図およびそのB部の部分拡大図である。
【図4】本発明の実施形態に係る反転案内部の構成および作用について説明するための、図2(a)のA−A線に沿う部分断面説明図およびそのC−C線に沿う断面説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る反転案内部に逆止弁が到達したときの動作を説明するための、図2(a)のA−A線に沿う断面説明図およびそのD−D線に沿う断面説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 製袋機構
2 充填筒
2a 円筒部分
2b バルブ案内面(逆止弁案内面)
3 製袋ガイド(製袋ガイド部材)
4 縦シールヒータ(縦シール機構)
5 繰り出しベルト
6 横シールヒータ(横シール機構)
10 ホッパ(充填部)
11 フィルム供給部
14 バルブ取付機構
20 フィルム
20a フィルム端部(フィルムの幅方向端部)
21 バルブ(逆止弁)
23 背面ガイド部(傾斜案内面)
24 側面ガイド部(傾斜案内面)
25 反転案内部
25a バルブ反転部(逆止弁反転部)
25b フィルム反転部
25c 角R部
25A 回転案内面
25B 直線稜線部
26 内周ガイド部(内周案内部)
26b スリット(切れ目)
50 包装袋
100 縦形製袋充填機
200 対称面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスの出入りを規制する逆止弁が幅方向の中間部に設けられたフィルムを、前記逆止弁が内側に向くように筒状に折り曲げる製袋機構であって、
軸方向に沿う切れ目を有する筒状とされ軸方向の端部に前記切れ目から軸方向外側に向けて傾斜する開口が形成された内周案内部と、該内周案内部の前記開口から該開口の外側に折り返された襟状の傾斜案内面とを有し、前記内周案内部と前記傾斜案内面との接続部である反転案内部が形成された製袋ガイド部材と、
該製袋ガイド部材の前記内周案内部と略同軸に設けられ、前記筒状体の内周面を案内して筒形状を保持するとともに、被包装物を充填する管路を形成する充填筒とを備え、
前記反転案内部のうち前記逆止弁が通過する範囲が、前記逆止弁が通過する際に当接する円弧面状の回転案内面であることを特徴とする製袋機構。
【請求項2】
前記充填筒が略円筒状とされ、
該充填筒の外周部に、前記逆止弁を前記フィルムの搬送方向に沿って案内する逆止弁案内面が設けられ、
該逆止弁案内面が、
前記充填筒の円筒部分の中心軸および前記回転案内面の円筒面の中心軸に平行な平面であって、かつ、前記充填筒の円筒部分の中心軸からの距離と前記筒状体の内側に突出する逆止弁の高さとの和が、前記充填筒の円筒部分の外半径に略等しくなるように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の製袋機構。
【請求項3】
幅方向の中間部にガスの出入りを規制する逆止弁が設けられたフィルムを連続供給するフィルム供給部と、
該フィルム供給部から供給された平面状のフィルムを筒状に折り曲げる請求項1または2に記載の製袋機構と、
該製袋機構により筒状に折り曲げられた前記フィルムの幅方向の端部同士を縦シールする縦シール機構と、
該縦シール機構により縦シールされた筒状体を横断方向に横シールする横シール機構と、
前記製袋機構および前記横シール機構の動作に連動し、前記充填筒を通して所定量の被包装物を充填する充填部とを備える縦形充填包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−76598(P2006−76598A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261504(P2004−261504)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】