説明

製造ツールのレシピを生成する方法及びそのシステム

【課題】設計データを用いた自動レシピ生成の方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】コンピュータが設計データに基づいて製造ツールのレシピを作成する。コンピュータは、基本要素及び該基本要素に対応する階層レベルを含む、設計データを取得する。コンピュータは、関心のある1つ又はそれ以上の基本要素を選択し、関心のあるレベルに対応する単純アレイセルの1つ又はそれ以上の組を生成する。コンピュータは、単純アレイセルの組を用いて、関心のあるレベルの座標において周期的領域を識別して自動レシピ作成を可能にする。周期的領域は、1つ又はそれ以上の基本要素に関して識別される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に試験品を製造するプロセスの方法及びシステムに関し、より具体的には、設計データを用いた自動レシピ生成の方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業において、デバイスは、絶えずサイズが小さくなり続けている構造体を生産する多くの製造プロセスによって製作される。従って、検査、計量、及び評価プロセスのような製造プロセスは、試験品を製造するためにより高い精度及び効率を必要とする。本明細書で用いられる用語「試験品」は、半導体集積回路、磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ、及び他の薄膜デバイスを製造するのに使用される、任意の種類のウェハ、レチクル及び他の構造体、それらの組合せ及び/又は部分を含むものと広く解釈されるべきである。
【0003】
試験品の検査、計量、及び評価のような製造プロセスには、構造要素の認識、計測、較正、監視、検査、欠陥の評価及び分析、それぞれの製造プロセスのパラメータ及び/又は条件を評価して必要なフィードバックを供給するのに必要な報告及び/又は他の手順を含めることができる。様々な製造ツールは、非破壊的観測、例えば、非限定的な例として、走査電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、光学的検査ツールなどに基づくものとすることができ、検査、計量、及び評価プロセスに用いることができる。製造制御要件がより難しくなるにつれて、検査、計量、及び評価プロセスのようなプロセスのためのレシピ生成もより複雑になる。
【0004】
最新技術の試験品製造における計測値の量及びレシピの複雑さは、レシピを作成するための従来の手動(又は半手動)プロセスをますます厄介なものにしている。新興技術である自動レシピ生成は、生産時間及び開発を改善し、エラーの可能性を減らすことができる。
【0005】
従来技術において自動レシピ生成の問題点が認識されており、解決策を提供するための種々のシステムが開発されてきた。例えば、検査レシピを作成するための従来のシステムは、検査ターゲットを選択する検査ターゲット選択モジュール、検査ターゲット内の欠陥サイズに関して対応する重要領域を抽出する重要領域抽出モジュール、欠陥サイズに関して検査ターゲット内で検出される欠陥によって予測される、対応する欠陥密度を抽出する欠陥密度予測モジュール、重要領域及び欠陥密度に基づいて欠陥サイズ内のキラー欠陥の対応する数を計算するキラー欠陥計算モジュール、並びに、キラー欠陥の数、及び見込み検査レシピ内で規定された欠陥検出の割合に基づいて、欠陥サイズに関する欠陥検出の割合を決定する見込み検査レシピに関して検出されることが予測されるキラー欠陥の数を計算する、検出予測計算モジュールを含む。
【0006】
検査レシピを作成するための別の従来の方法は、第1の設計、及び、この第1の設計が製造プロセスを用いて印刷されたウェハについての検査システムの出力の1つ又はそれ以上の特性を取得するステップを含む。この方法はまた、第1の設計、及び、この第1の設計が印刷されたウェハについて取得された出力の1つ又はそれ以上の特性を用いて、第2の設計の検査レシピを作成するステップを含む。第1の設計と第2の設計は異なる。この検査レシピは、製造プロセスを用いて第2の設計がウェハ上に印刷された後で、ウェハを検査するのに使用されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のレシピ生成の解決策は、作成されたウェハに基づいてレシピを生成する。伝統的な解決策は、製造される第1のウェハに依存するものであり、ウェハの画像を取り込み、作成されたウェハを検査し、検査されたウェハの分析に基づいてレシピを生成する。典型的には、ユーザは、作成されたウェハからのデータを入力してレシピを生成する。従って、既存の解決策におけるレシピ生成プロセスは、時間がかかり、煩雑なプロセスである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例証として、且つ、限定のためではなく、添付の図面の図面に示され、図中、類似の参照符号は類似の要素を示す。本開示において、「一(an)」又は「1つの(one)」実施形態に対する異なる言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、そのような言及は少なくとも1つの実施形態を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による、試験品の設計及び製作のための例示的な作業フローを示す。
【図2】ウェハ内の多数のダイのうちの1つを含むことができる例示的な構成要素を示す図である。
【図3】本開示主題の特定の実施形態による、周期性識別ユニットの略機能図を示す。
【図4】本開示主題の特定の実施形態による、コンピュータ化されたレシピ作成の一般化されたフロー図である。
【図5A】本開示主題の特定の実施形態による、基本セル及びそれぞれの周期的アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図5B】本開示主題の特定の実施形態による、基本セル及びそれぞれの周期的アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図5C】本開示主題の特定の実施形態による、基本セル及びそれぞれの周期的アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図5D】本開示主題の特定の実施形態による、基本セル及びそれぞれの周期的アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図6A】本開示主題の特定の実施形態による、単純アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図6B】本開示主題の特定の実施形態による、単純アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図6C】本開示主題の特定の実施形態による、単純アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図6D】本開示主題の特定の実施形態による、単純アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図6E】本開示主題の特定の実施形態による、単純アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図6F】本開示主題の特定の実施形態による、単純アレイの概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図7A】本開示主題の特定の実施形態による、集約された周期的領域の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図7B】本開示主題の特定の実施形態による、集約された周期的領域の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図7C】本開示主題の特定の実施形態による、集約された周期的領域の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図8A】本開示主題の特定の実施形態による、重なった周期的領域の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図8B】本開示主題の特定の実施形態による、重なった周期的領域の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図8C】本開示主題の特定の実施形態による、重なった周期的領域の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図9A】本開示主題の特定の実施形態による、周期性値のさらなる調節の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図9B】本開示主題の特定の実施形態による、周期性値のさらなる調節の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図10】本開示主題の特定の実施形態による、反復性ブレーカを有する周期的領域の概略的なインスタンスの非限定的な例を示す。
【図11】製造ツールの略機能図を示す。
【図12】製造ツールのためのレシピを生成するためのコンピュータシステムの1つの実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、製造ツールのレシピを作成するための方法及びシステムに向けられる。コンピュータが、設計データに基づいて製造ツールのレシピを作成する。コンピュータは、基本要素及び該基本要素に対応する階層レベルを含む、設計データを取得する。コンピュータは、1つ又はそれ以上の関心のある基本要素を選択し、関心のあるレベルに対応する単純アレイセルの1つ又はそれ以上の組を生成する。コンピュータは、単純アレイセルの組を用いて関心のあるレベルの座標内の周期的領域を識別して自動レシピ作成を可能にする。周期的領域は、1つ又はそれ以上の基本要素に関して識別される。
【0011】
本発明の実施形態は、ウェハに依存しないデータを用いることにより、レシピを生成するための処理時間量及びリソースの使用量を著しく削減する。ウェハが作成され、作成されたウェハからのデータを検査し収集するのを待つのではなく、実施形態は、設計データを分析し、設計データ内の反復領域を識別する。設計データの分析は、製造プロセスからオフラインで、且つ、製造プロセスと並列に実行することができる。設計データの分析は、第1のウェハの製造に先立って、又はその製造中に実行することができる。実施形態は、設計データ内の反復領域の識別から得られた結果を用いて、検査レシピなどの、製造ツールのレシピを生成することができる。例えば、設計データ内の反復領域の識別から得られた結果を用いて、セル間の手法及び/又はダイ間の手法を用いて検査するかどうかを判断することができる。例えば、設計データ内で反復領域が識別された場合、セル間手法を適用するレシピを生成することができる。
【0012】
実施形態は、製造されたウェハから直接導かれたデータによるのではなく、設計データについての判断に基づく自動的方法で、ダイ間検査又はセル間検査を実行するかどうかの判断を可能にする。実施形態は、多数の基本セルの全てのアンカー点の座標の組を分析するのではなく、異なる階層レベルにおける単純アレイセルの組を分析することによって、レシピを生成するための処理時間量をさらに削減する。実施形態はさらに、レシピを作成するための信頼度がより高いプロセスを提供する。従来のレシピ生成解決策は、製造されたウェハから直接得られる、エラーを含んだデータを用いてレシピを生成する。実施形態は、設計データを用いてレシピを作成し、ウェハから得られる情報に通常付随するエラーを補償せずに、セル間手法を用いてウェハを検査するかどうかの判断を可能にする。
【0013】
図1は、本発明の実施形態による、試験品の設計及び製作のための例示的な作業フローを示す。本明細書で用いられる用語「試験品」は、半導体集積回路、磁気ヘッド、フラットパネルディスプレイ、及び他の薄膜デバイスを製造するのに使用される、任意の種類のウェハ、レチクル及び他の構造体、それらの組合せ及び/又は部分に及ぶものと広く解釈されるべきである。簡潔且つ簡単にするために、本明細書を通してウェハ110が例として用いられる。例証のみを目的として、以下の説明は、半導体ウェハの検査に関して与えられる。実施形態は、他の製造操作及び他の試験品にも適用可能である。
【0014】
図示するように、ウェハ110は、設計120に従い、一組のプロセスパラメータ135により制御される製作プロセス130によって作成することができる。設計120は、例えば、データストア内のCADライブラリ内に格納することができる。設計120は、試験品に関するコンピュータ自動設計(CAD)モデルを、例えばグラフィックス形式(例えば、GDS、GDS−IIなど)で含むことができる。プロセスパラメータ135は、多様なパラメータ、例えば、リソグラフィ・パラメータ、エッチ・パラメータ、及び他の任意の種類のパラメータを含むことができる。データストアは、永続記憶装置とすることができる。永続記憶装置は、ローカル記憶装置又は遠隔記憶装置とすることができる。永続記憶装置は、磁気記憶装置、光学記憶装置、固体記憶装置、電子記憶装置(主メモリ)、又は類似の記憶装置とすることができる。永続記憶装置は、モノリシックデバイス、又は分散したデバイスの組とすることができる。本明細書で用いられる「組(set)」は、任意の正の整数の項目を指す。
【0015】
ウェハ110は、1つ又はそれ以上の製造ツールを用いる1つ又はそれ以上の製造プロセスに供することができる。製造プロセスの例としては、それらに限定されないが、製作プロセス130、検査プロセス140、計量プロセス150、及び欠陥評価プロセス160を含めることができる。製造ツールの例としては、それらに限定されないが、検査ツール141、計量ツール151、欠陥評価ツール161、製作プロセス用のツールなどを含めることができる。図10は、以下で詳しく説明する走査電子顕微鏡(SEM)を用いた例示的な製造ツールを示す。
【0016】
検査プロセス140の一部分として、検査ツール141がウェハ110内の欠陥の位置を識別することができる。検査プロセス140は、暗視野、明視野又はEビーム検査システムなどの任意の適切な種類の欠陥検査システムを用いて実施することができる。図1には別々のプロセスとして示すが、検査プロセス140は、場合によっては、製作プロセス130とインラインで実施することができる。計量プロセス150の一部分として、計量ツール150は、ウェハの計測、例えば、ウェハの曲がり、抵抗率、反り、サイト、平坦度、及び厚さなどの計測を実施することができる。計量ツール150は、試験のために用いることができるが、環境パラメータの監視、並びに、試験室内の音響、振動及び温度に関する実時間データの提供のような他の用途を有することができる。計量ツール151は、保持、接合、分離、ハンダ付けなどのようなその他の作業を実施することができる。自動欠陥評価プロセス160は、設計プロセスに関する識見を得るために用いることができる情報を抽出するために欠陥データを処理する、評価ツール161を含むことができる。例えば、自動欠陥評価プロセス160は、設計データ120を改良する改変をもたらす情報、又はプロセスを改良するように製作プロセス130を調節する情報を抽出することができる。
【0017】
検査プロセス140は、評価プロセス160のための欠陥を識別することができる。ウェハ110(又は他のデバイス若しくは物体)の視像をウェハ110が無欠陥状態でどのように見えるかを示す1つ又はそれ以上の基準視像と比較するツールを含む、種々の検査ツール141を用いることができる。1つ又はそれ以上の基準視像を比較のために用いることができる。例えば、基準視像は、(理想的には)同じ構造的特徴部を含む同じウェハの他の(1つ又はそれ以上の)部分を示すものとすることができ、又は少なくとも部分的にそれらに基づくものとすることができる。
【0018】
ウェハ110は、ダイ間比較又はセル間比較を用いて検査することができる。ウェハ110の画像を取得し、その中に示されるセル又はダイを、適切なダイ間又はセル間検査法の任意の組合せを用いて検査することができる。例えば、ウェハ110の中に含まれ得る構成要素の一例を図2に示す。例えば、図2に示す構成要素は、ウェハ110内の多数のダイのうちの1つを含むことができる。構成要素は、ダイ間検査を用いて最も良く検査することができる領域、例えば論理構成要素を含むことができる周辺部201領域を含むことができる。このような領域は、1つ又はそれ以上の基準ダイとの比較により欠陥に関して照合することができる。
【0019】
しかし、他の状況においては、セル間検査が所望される場合がある。例えば、図2に示すデバイスは、1つ又はそれ以上の種類の、複数の(理想的には)同一のメモリセル205を内部に含む。そのようなセル205については、同じダイ内の隣接する又は近傍のセルの方が隣接するダイの間のセルよりも類似度が高い可能性があるので、セル間検査が好ましい場合がある。類似度は、プロセス条件及び/又は検査ツール141自体に起因するものであり得る。例えば、照明、合焦、又は他の光学的不規則性に起因する差異は、ダイ間に比べてダイ内ではあまり顕著ではない可能性がある。
【0020】
図1に戻ると、ウェハの検査は、製造レシピ(例えば、検査レシピ)に従って施される。所与のウェハ又はウェハのレイヤの検査のためのレシピを作成するステップの一部分として、レシピは、異なる種類の検査に対してウェハの異なる領域を指定することができる。非限定的な例として、レシピは、領域を、マスクされる区域、ダイ間検査区域、又はセル間検査区域として指定することができる。非限定的な例として、同じダイ内の隣接又は近傍の領域の方が異なるダイに属する領域よりも類似度が高い場合には、セル間検査(即ち、ダイより小さい周期性を有する周期的ダイ領域に対して施される検査)が好ましい可能性がある。所与のウェハの幾つかの領域(例えば、論理構成要素を含む周辺部領域)は、ダイ間法を用いて検査することが好ましい可能性がある。他の領域(例えば、1つ又はそれ以上の種類の複数の同一セルを含む領域)は、セル間法を用いて検査することが好ましい可能性がある。ウェハの特定の領域を、ダイ間法及び/又はセル間法の任意の適切な組合せを用いて検査することができる。
【0021】
ウェハの区域は、製造ツールを用いて取得された半導体構造体の画像(例えば、SEM像)、及び/又は、例えばウェハ設計仕様のような非画像データに基づいて、ある特定の種類の検査に対して指定することができる。
【0022】
一実施形態において、1つ又はそれ以上の製造ツール(例えば、検査ツール141、計量ツール151、評価ツール161)は、製造レシピを生成するためのレシピ作成ユニット190を含むことができる。本明細書で用いられる用語「製造レシピ」又は「レシピ」は、1つ又はそれ以上の製造ツールの動作を指定するパラメータ(例えば、検査されるべき関心のある区域、ウェハ上のその位置及び反復周期、ピクセルサイズ、ビーム電流、帯電状態及び画像取得条件、欠陥検出アルゴリズム、画像処理パラメータ及び/又はその他)の任意の設定を含むように広く解釈されるべきである。
【0023】
別の実施形態において、1つ又はそれ以上のコンピュータ180が、ウェハ110を検査するためのレシピを生成するためのレシピ作成ユニット190を含むことができる。コンピュータ180は、1つ又はそれ以上の製造ツール(例えば、検査ツール141、計量ツール151、評価ツール161)に結合することができる。一実施形態において、コンピュータ180は、ネットワークを介して1つ又はそれ以上のツールと通信する。別の実施形態において、1つ又はそれ以上のサーバ170が、レシピ作成ユニット190を含むことができる。サーバ170は、1つ又はそれ以上の製造ツールに結合することができる。サーバ170は、サーバコンピュータ、ゲートウェイコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯コンピュータ又は類似のコンピューティングデバイスを含む、任意の型のコンピューティングデバイスによってホストすることができる。一実施形態において、サーバ170は、ネットワーク(図示せず)を介して1つ又はそれ以上のツールと通信する。ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線ネットワーク、移動体通信ネットワーク、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、又は類似の通信システムとすることができる。
【0024】
セル間検査を含む検査レシピを生成するステップの一部分として、それぞれのダイ区画を認識すること、即ち、反復パターン領域及びその反復性パラメータを識別することが必要である。
【0025】
本明細書で用いられる用語「反復パターン領域」、「反復領域」、「周期的パターン領域」又は「周期的領域」は、あるシフト値によるシフト変換のもとでパターンが不変である、即ち、ある周期性値(以後、反復性パラメータとも呼ぶ)に関して周期的である、任意のダイ領域を含むように等価に且つ広く解釈されるべきである。
【0026】
作成されるウェハに依存し、検査レシピを生成するために、作成されたウェハからのデータを用いてそれぞれのダイ区画を認識する従来のレシピ生成解決策とは異なり、レシピ作成ユニット190は、設計データ125を用いてウェハについての設計データ125内の周期的領域を識別する、周期性識別ユニット195を含むことができ、レシピは、ウェハについての設計データ125から識別された周期的領域に基づいて生成することができる。設計データ125は、CADライブラリに格納されたデータのサブセットとすることができ、CADライブラリに格納されたデータとは異なる形式にすることができる。設計データ125は、周期性識別ユニット195に結合されたデータストア内に格納することができる。
【0027】
設計データ125は、基本要素及び該基本要素に対応する階層レベルを含むことができる。周期性識別ユニット195は、設計データ125から関心のある1つ又はそれ以上の基本要素を選択し、関心のあるレベルに対応する1つ又はそれ以上の単純アレイセルの組を生成することができる。周期性識別ユニット195は、1つ又はそれ以上の単純アレイセルの組を用いて、設計データ125内の関心のあるレベルの座標内の周期的領域を識別して自動レシピ作成を可能にすることができる。周期性識別ユニット195は、1つ又はそれ以上の基本要素に関して周期的領域を識別することができる。特定の周期的領域の位置を、異なる座標(例えば、ウェハの最も下のレイヤを特徴付ける座標系、ウェハのトップレイヤを特徴付ける座標系など)で定義することができる。
【0028】
ウェハ110をダイ間手法及び/又はセル間手法を用いて検査するかどうかの判断は、例えばレシピ作成ユニット190によって、自動的に行うことができる。例えば、周期性識別ユニット195がウェハについての設計データ125内に最小数の周期的領域が存在することを識別した場合、セル間手法を用いることができる。
【0029】
図3は、設計データを用いて製造ツールのレシピを生成するための周期性識別ユニット300の1つの実施形態のブロック図である。周期性識別ユニット300は、図1の周期性識別ユニット195と同じものとすることができる。周期性識別ユニット300は、設計データを取得して処理するように、設計データ(例えば、CADライブラリ内のデータ)座標に必要な変換を施すように、設計データに対応するセルを識別するように、及びセルにそれぞれの階層レベルを割り当てるように構成された、設計データモジュール350を備える。設計データモジュール350は、基本セル生成器301、単純アレイセル生成器302、及び周期的領域識別器303に動作可能に結合される。
【0030】
基本セル生成器301は、ユーザ及び/又はコンピュータ化プロセスが、関心のある基本要素を定義すること、及び、それぞれの基本セルの組を生成することを可能にするように構成される。単純アレイセル生成器302は、基本セル生成器モジュール301に動作可能に結合され、基本セルの組に従って関心のあるレベルについて単純アレイセルの組を生成するように構成される。
【0031】
周期的領域識別器303は、単純アレイセル生成器302に動作可能に結合され、単純アレイセルの組を用いて周期的領域(周期性値を含む)の最終組を識別するように構成される。周期的領域の最終組はさらに、周期的領域識別器303に動作可能に結合された周期的領域記憶モジュール309内に格納され処理される。記憶モジュール309は、データストアとすることができる。データストアは、永続記憶装置とすることができる。永続記憶装置は、ローカル記憶装置又は遠隔記憶装置とすることができる。永続記憶装置は、磁気記憶装置、光学記憶装置、固体記憶装置、電子記憶装置(主メモリ)、又は類似の記憶装置とすることができる。永続記憶装置は、モノリシックデバイス、又は分散したデバイスの組とすることができる。本明細書で用いられる「組」は、任意の正の整数の項目を指す。周期的領域識別器303は、各基本セルに関する周期的領域をトップレベルの座標において識別するように構成された単純周期的領域生成器304、生成された単純及び/又は集約された(aggregated)周期的領域を調節するように構成された調節モジュール305、異なる基本セル及び/又はそれらの組合せに対応する周期的領域の間の重なりを識別し、それに応じて周期的領域を修正するように構成された重なりモジュール306、最終組内の周期的領域がサイズ関連基準に適合することを可能にさせるように構成されたフィルタ処理モジュール307、及び、生成された周期的領域の反復性を、反復性ブレーカを考慮して可能にするように構成された検証モジュール308をさらに備える。反復性ブレーカは、周期的領域と重なる関心のあるレベル上にあり、その周期的領域の周期性値で反復しない、設計データ要素である。
【0032】
フィルタ処理モジュール307は、検証プロセスの後のさらなるフィルタ処理を提供することができる。フィルタ処理モジュール307は、周期的領域の最終組がサイズ関連基準を満たすように周期的領域をフィルタ除去又は除去することができる。この基準は、事前定義することができ、及び/又は、レシピの目的、フィルタ処理結果、ツールパラメータなど毎に適合させることができる。記憶モジュール309は、モジュール304−308及び全体のモジュール303の動作に必要なデータを格納するように、並びに、モジュール303から受け取ったデータに従って、収容された周期的領域の最終組を更新するように、さらに構成される。記憶モジュール309はさらに、生成された周期的領域をさらなるコンピュータ化レシピ作成のために用いることを可能にするレシピ生成器インタフェース310に動作可能に結合される。非限定的な例として、レシピ生成インタフェースは、製造ツール(例えば、検査ツール)及び/又は製造プロセス(例えば、検査プロセス)の要件に適合するのに必要な周期性値の丸め及び/又は乗算を施すことができる。
【0033】
当業者であれば、本明細書で開示される主題の教示は図3に示すシステムに限定されるものではなく、等価な及び/又は改変された機能を別の様式で統合又は分割することができること、且つ、ソフトウェア、ファームウェア及びハードウェアの任意の適切な組合せで実装することができることを容易に理解するであろう。
【0034】
図4は、特定の実施形態による、設計データを用いてレシピを作成するための方法400の一実施形態のフロー図である。方法400は、ハードウェア(例えば、回路、専用論理、プログラム可能論理、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で実行される命令)又はこれらの組合せを含むことができる、処理論理によって実行することができる。1つの実施形態において、方法400は、図1の周期性識別ユニット195によって実行される。周期性識別作成ユニットは、試験品の製造に関連して用いられる独立型ツールとして構成することができ、又は、少なくとも部分的に、処理ユニットと統合することができる。1つの実施形態において、初期のダイ分割はオフラインで施すことができ、計量ツール及び/又は計量プロセスの要件に従ってさらに調節することができる。
【0035】
本明細書で用いられる用語「設計データ」は、試験品の階層的物理設計(レイアウト)を示す任意のデータ、及び/又は、物理設計から導かれる(例えば、複雑なシミュレーション、簡単な幾何学的及びブール演算などを通して)データに及ぶように広く解釈されるべきである。設計データ(例えば、図1における設計データ125)は、非限定的な例として、GDSII形式、OASIS形式などの異なる形式で準備することができる。
【0036】
現代の技術において知られているように、構造要素は、幾何学的形状、又は他の構造要素の挿入と組み合された幾何学的形状として解釈することができる。非限定的な例として、所与の構造要素は、GDSII形式におけるSREF、AREF指示文により挿入される1つ又はそれ以上のSTRUCTURE要素を含むことができ、又は、PLACEMENT及びREPETITION(OASIS形式)により挿入される1つ又はそれ以上のCELL要素を含むことができる。
【0037】
ある特定の幾何学的特徴を有し、設計データライブラリ(又は類似のデータ構造体)に含まれる1つ又はそれ以上の幾何学的に同一の構造要素(即ち、同じ寸法、形状、配向及び設計層番号を有する要素)に対応する構造要素を、以後「基本要素」と呼ぶ。
【0038】
例証のみを目的として、以下の説明は、矩形の左下隅に存在するようにその位置(以後アンカー点と呼ぶ)を選択された、X及びY軸にそれぞれ平行な外部矩形境界によって特徴付けられる基本要素に関して記述される。当業者であれば、本明細書で開示される主題の教示は、他の外部境界、及び/又は、他のアンカー点の選択に対しても同様に当てはまることを容易に理解するであろう。
【0039】
設計ライブラリは、構造要素によって構成され、これは、特定の実施形態によれば、周期性識別ユニットがそれを処理して基本要素を識別するように構成される。ある特定の基本要素は、設計ライブラリ内で「それ自体は(per se)」定義されないが、設計ライブラリ内の1つ又はそれ以上の構造要素に対応することができる「仮想構造」である。周期性識別ユニットは、その設計データから導かれる、設計ライブラリ内に含まれる構造要素に対応する全ての基本要素を識別するために、設計データを取得し分析することができる。異なる名称を有する幾何学的に同一の要素は、同じ基本要素で表すことができる。周期性識別ユニットは、各々の基本要素にそれぞれの階層レベル値を割当てるように、そして適切な場合には基本要素間に親子関係を指定するように、さらに構成される。代替的に又は付加的に、周期性識別ユニットは、既に識別された基本要素及びその識別された基本要素に対応する階層レベルを伴う設計データ及び/又はその派生物を取得することができる。
【0040】
ブロック401において、周期性識別ユニットは、以下のように階層レベルを基本要素に割り当てる:
−最下階層レベル(H0)は、他の基本要素の挿入を有しない基本要素に割り当てられる。
−次の階層レベルH1は、少なくとも1つの基本要素の挿入を有するが、挿入された基本要素が全てレベルH0に属する、基本要素に割り当てられる。
−階層レベルHnは、n−1未満か又はn−1に等しい階層レベルの基本要素を有し、少なくとも1つの挿入された基本要素がHn-1の階層レベルを有する、基本要素に割り当てられる。
【0041】
挿入は、CADにおける要素に対する操作である。アンカー点は、挿入点としても知られ、挿入位置の特性である。
【0042】
基本要素に階層レベルを割り当てると、周期性識別ユニットは、検査される反復パターン領域を構成する(より高レベルの他の構造要素を明示的又は暗黙に構成することにより)と想定される1つ又はそれ以上の基本要素の選択のユーザ入力を受け取る。選択された基本要素の中で、いかなる他の基本要素にも分解することができない選択された基本要素を、以後「基本セル」と呼ぶ。ブロック403において、周期性識別ユニットは、ユーザ入力を受取り、それぞれの階層レベルHiによって各々が特徴付けられる、試験品の一組の基本セルを定める。図5Aは、試験品の3つの基本セルの例示的な組を示す。アンカー点1(504)を有する基本セル502「セル1」は、T型を構成する直交した矩形からなる。基本セル506「セル11」は、アンカー点11(508)を有し、基本セル502(セル1)と該基本セル502(セル1)の鏡映との組合せからなる。基本セル512「セル2」は、アンカー点2(514)を有する単一の矩形からなる。
【0043】
組内の異なる基本セルは、異なる階層レベルによって特徴付けることができる。代替的又は付加的に、ユーザ入力は、基本セルの1つ又はそれ以上の組合せ(それらの回転及び/又は鏡映の結果を含む)を含むことができる。例えば、基本セル506は、基本セル502と、基本セル502の鏡映との組合せとすることができる。そのような組合せもまた、以後基本セルと呼ぶ。基本要素の組合せの階層レベルは、組合せ内の要素の中の基本要素の最高階層レベルに対応する。
【0044】
代替的又は付加的に、基本セルの組は、特定の設計及び/又は検査関連基準に従って、コンピュータ化プロセスにより定めることができる。代替的又は付加的に、基本セルの組は、ユーザ入力(例えば、基本セルに必要とされる階層レベル、関心のある基本セルを含むと考えられる領域の選択など)に従って、コンピュータ化プロセスにより定めることができる。
【0045】
図5Bは、周期的アレイを生成するための1つ又はそれ以上の基本セルの反復パターン領域550の非限定的な例を示す。反復パターン領域550は、矩形領域とすることができる。一組の基本セルのインスタンス(例えば、セル502(セル1))で構成される矩形領域は、さらに、基本セルのそれぞれのインスタンスのアンカー点の座標が反復性基準を満たす場合にはM×N周期的アレイと呼ばれる。特定の実施形態によれば、反復性基準は、基本セルのインスタンスを有する矩形領域がM×N周期的アレイであるかどうかを判断するための、所与の基本セルのインスタンスのアンカー点の座標に対する要件を定めることができる。特定の実施形態によれば、反復性基準は以下の通りである。
(Xm,Yn)=(X0,Y0)+(m*StepX,n*StepY) (式1)
式中、(Xm,Yn)は、上記の矩形領域の座標系内のそれぞれのアンカー点の座標であり、m=0,1,...,M−1、n=0,1,...,N−1であり、反復性パラメータStepX及びStepYは、正の定数である。
【0046】
反復パターン領域550内の基本セル502「セル1」のインスタンスのアンカー点座標は、StepX=Cx及びStepY=Cy(「Cx」はX方向の周期性値を表し、「Cy」はY方向の周期性値を表す)とする反復性基準(式1)を満たす。従って、図示した反復パターン領域550内の基本セル502(セル1)の組は、4×3周期的アレイを構成する。
【0047】
図5Cは、周期的アレイを生成する1つ又はそれ以上の基本セルの反復パターン領域570の別の非限定的な例を示す。反復パターン領域570内の基本セル506「セル11」のインスタンスのアンカー点座標は、StepX=Cx及びStepY=Cyとする反復性基準(式1)を満たす。反復パターン領域570内の基本セル506(セル11)の組は、2×3周期的アレイを構成する。
【0048】
図5Dは、周期的アレイを生成する1つ又はそれ以上の基本セルの反復パターン領域590のさらに別の非限定的な例を示す。基本セル502「セル1」の挿入の座標は、StepX=Cx及びStepY=Cyとする反復性基準(式1)を満たす。基本セル512「セル2」の挿入の座標は、StepX=Cx及びStepY=Cyとする反復性基準(式1)を満たす。従って、反復性領域590は、セル1(502)の2×3周期的アレイ及びセル2(512)の2×3周期的アレイを含む。
【0049】
一般に、関心のあるレベル(以後、トップレベルと呼ぶ)における反復パターン領域は、設計データ内に含まれる各基本セルの全アンカー点の座標の組を分析して、基本セルの明示的な挿入及び暗黙の挿入を含んだ(ある特定の基本セルがより高レベルのセル内に挿入されており、その挿入座標が最終的にトップレベルの座標に変換される場合)、周期的領域を定めることによって、定めることができる。しかし、そのような座標の組は非常に大きなサイズになる可能性があり、組の生成及び反復性分析の試みには法外な時間がかかる可能性がある。
【0050】
特定の実施形態によれば、反復パターン領域内の各基本セルの全アンカー点の座標の組を分析する代りに、周期性識別ユニットは、基本セルの単純アレイを生成して分析する。本明細書で用いられる用語「所与の基本セルの単純アレイ」は、それぞれのアンカー点の座標が反復性基準を満たすことによって特徴付けられる所与の基本セルの挿入の任意の組を含むように広く解釈されるべきであり、即ち、所与の基本セルの単純アレイは、所与の基本セルに関する反復パターン領域を構成する。例えば、「セルB」が「セルA」の挿入のM×N周期的アレイを含む場合、「セルB」は「セルA」の単純アレイを含む。当業者であれば、「セルA」は、「セルA」の1×1単純アレイを含むセルと考えることもできることを容易に理解するであろう。
【0051】
図6A−図6Fは、例示的な単純アレイの概略の実例を示す。図6Aは、水平に整列した2つのセル1の挿入を含んだセル3(602)を示す。これらのセルは、アンカー点604によって特徴付けられる。これらの挿入は反復性基準を満たし、従って、セル3(602)は、セル1の2×1単純アレイを含む。図6Bは、垂直に整列した2つのセル1の挿入を含んだセル4(606)を示す。これらのセルは、アンカー点608によって特徴付けられる。これらの挿入は反復性基準を満たし、従って、セル4(606)は、セル1の1×2単純アレイを含む。図6Cは、垂直に整列した2つのセル3の挿入を含んだセル5(610)を示す。これらのセルは、アンカー点612によって特徴付けられる。垂直に整列した2つのセル3の挿入は、4つのセル1の挿入に相当し、これはセル1の挿入に関する反復性基準を満たし、従って、セル5(610)は、セル1の2×2単純アレイを含む。図6Dは、セル5の1つの挿入及びセル4の1つの挿入を含むセル6(614)を示す。セル5は、2つのセル3の挿入に相当する。セル4は、2つのセル1の挿入に相当する。これらのセルは、アンカー点616によって特徴付けられる。各々のセル3は、水平に整列した2つのセル1の挿入に相当し、これはセル1の挿入に関する反復性基準を満たす。従って、セル6(614)は、セル1の3×2単純アレイを含む。図6Eは、セル11の2×3単純アレイを含むセル7(618)を示す。これらのセルは、アンカー点620で特徴付けられる。図6Fは、セル1の2×3単純アレイ及びセル2の2×3単純アレイを含むセル8(622)を示す。これらのセルは、アンカー点624によって特徴付けられる。図示したように、同じセルが同時に、異なる基本セルに対応する異なる単純アレイを含むことができる。当業者であれば、90°で割り切れる角度の回転及び/又は座標系軸に関する鏡映を施しても、所与の単純アレイは、改変された反復性パラメータを有する単純アレイのままであることを容易に理解するであろう。
【0052】
再び図4を参照すると、基本セルの単純アレイを含む階層レベルHkの基本要素は、以後「階層レベルHkの単純アレイセル」と呼ばれる。単純アレイセルは、所与の基本セルの1つの単純アレイのみを含む一方で、異なる基本セルに相当する幾つかの単純アレイを含むことができる。所与の単純アレイセルは、基本要素の階層レベルにより、並びに、それぞれの単純アレイの反復性パラメータ及び基本セルによって特徴付けられる。Hkまでの階層レベルの単純アレイセル及びそれらの特性を含む組は、以後「階層レベルHkの単純アレイセルの組」と呼ばれる。
【0053】
ブロック405において、周期性識別ユニットは、基本セルの定義された組を用いて単純アレイセルのトップレベルの組を生成し、この組はトップ階層レベル(関心のあるレベル)までの単純アレイセル及びそれらの特性を含む。生成された組は、全てのそのような単純アレイセルを含むことができ、又は代替的に、所定の基準に従って選択された単純アレイセルのみを含むことができる。
【0054】
特定の実施形態により、単純アレイセルのトップレベルの組は以下のように生成することができる。
【0055】
階層レベルHiによって特徴付けられる所与の基本セルに対して、周期性識別ユニットは、それぞれの単純アレイを含むHi+1階層レベルの全ての基本要素を識別し、レベルHi+1に関する単純アレイセルの組を生成する。階層レベルHiの異なる基本セルに相当する複数の単純アレイを同時に含むセル(例えば、図6Fにおけるセル8によって示される)は、レベルHi+1の組の中に、各々それぞれの基本セルに従って数回含まれる可能性がある。階層レベルHiのそれぞれの基本セルは、Hi+1階層レベルの単純アレイセルの組の中、及びレベルHiの単純アレイセルの組(Hiより低いレベルに基本セルが存在した場合)の中にもまた含まれる。
【0056】
周期性識別ユニットはさらに、設計データを下から上へ、レベルHi+1からトップレベルまでトラバースし、各階層レベルに対して、前のレベルにおいて生成されたそれぞれの組を用いて単純アレイセルのそれぞれの組を生成し、それにより単純アレイセルのトップレベルの組を生成する。
【0057】
従って、各々の所与の階層レベルにおいて、単純アレイセルの組は、単に、それぞれの前のレベルに対して生成された単純アレイの組からのセルの挿入を分析することによって生成され、それにより、必要な処理が著しく削減される。
【0058】
随意に、各々の階層レベルにおいて、この手続きは、冗長セル、即ち、それぞれのレベルの単純アレイの組の中の他のセルのみと子供関係を有するセル、を除外することによる、生成された組の最適化を含むことができる。
【0059】
当業者であれば、本明細書で開示される主題の教示により、所与の階層レベルにおいて挿入されたある特定の基本要素は、この特定の基本要素が所与の階層レベルの単純アレイセルの組の中に含まれていない場合、いかなる基本セルの単純アレイをも含まないことを容易に理解するであろう。同様に、トップレベルの単純アレイセルの組に含まれる基本要素だけが、関心のある反復性領域を含むことができる。
【0060】
ブロック407において、周期性識別ユニットはさらに、トップレベル座標において、各々の基本セルに関する周期的領域を識別する。トップレベルの単純アレイセルの組に含まれるセルの各々の挿入に対して、周期性識別ユニットはさらに、単純アレイに対応するレベルの座標におけるそれぞれの単純アレイの反復パラメータをトップレベルの座標におけるパラメータに変換し、単純な周期的領域を識別する。各々の単純な周期的領域は、それぞれの単純アレイの外部矩形境界によって、トップレベルの座標において定められる。
【0061】
当業者であれば、トップレベルの単純アレイセルの組を異なる方法で識別することができることを容易に認識するであろう。非限定的な例として、方法は、さらなる随意の併合(merging)を伴う異なる基本セルに対応する単純アレイセルのトップレベルのサブセットを、別々に識別することを含むことができる。代替的又は付加的に、各々のトップレベルの単純アレイセルのサブセットは、生成された周期的領域のさらなる併合を伴うそれぞれの周期的領域を識別するために用いることができる。
【0062】
周期性識別ユニットはさらに、同じ基本セルに対応する隣接する単純な周期的領域を集約して、集約された周期的領域にする。可能であればいつでも、集約された周期的領域は幾つかの単純周期的領域を含むが、それでもなお場合により、集約された周期的領域は単一の周期的領域のみを含むことができる。
【0063】
周期性識別ユニットはさらに、集約された周期的領域を調節し(拡大するか又は縮小する)、それぞれの外部矩形境界がX及びY方向の両辺から、それぞれ(Cx−BoxX)及び(Cy−BoxY)の値だけ拡大又は縮小するように調節された各々の集約された周期的領域の境界を生成し、ここで、CxはX方向の周期性値であり、CyはY方向の周期性値であり、BoxX、BoxYはそれぞれ、それぞれの基本セルの境界ボックスのX方向及びY方向のサイズである。周期的領域が1次元アレイに対応するとき、第2の方向における領域のサイズは、それぞれBoxX又はBoxYとして定められる。
【0064】
図7A−図7Cは、例示的な集約された周期的領域の概略的実例である。図7Aは、6個のセル6の挿入を含んだセル710「セル9」を示す。これらのセルは、アンカー点715によって特徴付けられる。従って、図7Bに示すように、各々のセル6はセル1の3×2単純アレイを含むので、セル9はセル1の6個の単純アレイを含む。しかし、セル9は、セル1の単純アレイで構成されたものではなく、その理由は、互いに組み合わされた36個のセル1のセル9への挿入が反復性基準に適合しないからである。
【0065】
図7Cは、トップレベルセルにおけるセル9の挿入を示す。セル9の挿入720には、Y軸に関する鏡映が施されている。当業者であれば、90°で割り切れる角度の回転及び/又は座標系軸に対する鏡映を施しても、所与の単純周期的領域は、改変された反復性パラメータを有する単純周期的領域のままであることを容易に理解するであろう。従って、セル1の6個の単純アレイの挿入は、各々がトップレベルの座標においてそれぞれの単純アレイの外部矩形境界により定められる、単純周期的領域701−706を構成する。周期性基準(例えば、反復性基準)が満たされるかどうかの試験に基づいて、隣接する単純周期的領域701−702はさらに集約されて、集約された周期的領域708となり、集約されて集約された周期的領域707になる隣接する単純周期的領域703−706は、それぞれの集約されたアレイの外部境界によって定められる。
【0066】
図8Aは、基本セル1に対応する例示的な周期的領域(801)、及び例示的な調節された周期的領域(802)を示す。図8Aはまた、基本セル2に対応する例示的な周期的領域(803)、及び例示的な調節された周期的領域(804)を示す。図示したように、異なる基本セルに対応する領域が重なり合う。
【0067】
再び図4を参照すると、ブロック409において、周期性識別ユニットはさらに、集約された周期的領域の間の重なり部分を識別するように、そして、可能な場合には、対応する組み合わされた周期的領域を識別するように動作することができる。一対の重なり合った周期的領域(例えば、2つの異なる基本セル又は同じ基本セルに対応する)を識別すると、周期性識別ユニットは、これらの周期的領域を特徴付ける周期性値を分析する。1つの領域のX又はY方向における反復性パラメータの値Caが別の領域のそれぞれの反復性パラメータの値Cb(又は別の公倍数)によって剰余なしに割り切れる場合、2つの隣接領域の重なり部分は組み合わされた反復領域に集約され、ここで、Caは、それぞれの基本セルの組合せに関して、得られた組合せ領域のそれぞれの方向における反復性を特徴付け、組合せ領域の境界は、重なり領域の矩形境界によって定められる。組合せ領域をさらに調節して、組合せ領域の調節された境界の矩形が元の領域の境界内に入るようにすることができる。
【0068】
図8Aに示す非限定的な例において、図示した周期的領域801と803は重なっており、セル1の周期的領域のX及びY方向の反復性パラメータの値Cx1及びCy1は、セル2の周期的領域の反復性パラメータの値Cx2及びCy2によって割り切れる(等しい)。従って、周期的領域801と803とは、X及びY方向において組み合わされて、基本セルのセル1及びセル2の組合せに関する反復性パラメータCx1及びCy1によって特徴付けられる周期的領域806になり、さらに組み合わされた周期的領域は、周期的領域801及び803からの全てのセルを含む。周期的領域606はさらに調節されて、周期的領域805になっている。
【0069】
図8Bに示す非限定的な例において、図示した周期的領域807と808は、部分的に重なっており、セル1の周期的領域のX及びY方向の反復性パラメータの値Cx1及びCy1は、セル2の周期的領域の反復性パラメータの値Cx2及びCy2によって割り切れる(等しい)。従って、周期的領域807と808の重なり部分は、X及びY方向において組み合わされて、基本セルのセル1及びセル2の組合せに関する反復性パラメータCx1及びCy1によって特徴付けられる周期的領域809になっている。周期的領域807は、修正されて周期的領域810になり、周期的領域808は、修正されて周期的領域811になっている。周期的領域は、重なり領域を除去することによって修正することができる。
【0070】
再び図4を参照すると、ブロック411において、周期性識別ユニットはさらに、反復領域の最終組を識別するように動作することができる。重なり合う集約された周期的領域の各対に対して、周期性識別ユニットは、それぞれの基本セルに対応する集約された周期的領域を修正して重なり領域を除外し、可能な場合には、組み合わされた反復領域を生成する。同様に、周期的領域の他の対(集約/組合せ、組合せ/組合せ)に対して、周期性識別ユニットは、対応する周期的領域を修正して重なり領域を除外し、可能な場合には、組み合わされた反復領域を生成する。このプロセスは、全ての重なり合う対に対して、周期的領域の間の重なりが存在するまで繰返される。結果として得られる修正された集約された周期的領域及び組み合わされた反復領域は、周期性識別ユニットによって識別される周期的領域の最終組を構成する。
【0071】
当業者であれば、本明細書で開示された主題は、上述の重なり領域の処理に限定されないことを容易に理解するであろう。同様に、非限定的な例として、本教示は、調節され組み合わされる重なった周期的領域の数が2つの領域に限定されない場合にも適用可能である。別の非限定的な例として、開示された教示は、基本セルがそれら自体の間で重なって図8Cに示すチェス盤様の構造体を形成する場合にも適用可能である。図示するように、セル10(850)は、X方向の周期性値Cxを有するセル2の3×3単純アレイを含み、トップレベルの座標系において、同様に周期性値Cxを有するセル2の3×3単純アレイを構成するセル11(853)と重なり合う。これら2つのセルを組み合わせて、周期的領域812にすることができる。随意に、周期的領域は、サイズ関連基準に適合する場合に限り周期的領域の最終組に含めることができる。非限定的な例として、サイズ関連基準は、設計データのサイズとは異なり得る基本セルの実際のサイズに従って定めることができる。代替的又は付加的に、サイズ関連基準は、製造プロセスの検査される段階に従って定めることができる(例えば、ダイのマスク寸法がウェハ上のダイの寸法に対してある縮尺を有する(例えば、4:1)場合、マスク検査のための周期的領域の最小サイズは、ウェハ検査のための最小領域サイズとは異なり得る)。代替的又は付加的に、サイズ関連基準は、製造及び/又は検査プロセスを特徴付けるスケールに依存することもできる。
【0072】
周期的領域の最終組は、それぞれの周期的領域を特徴付ける周期性値をさらに含む。当業者であれば、Caが周期的領域の周期性値である場合、kを任意の正整数とする値k*Caもまたこの周期的領域の周期性値として割り当てることができることを容易に理解するであろう。
【0073】
一般に、より小さい周期性値を割り当てることが好ましい。随意に、非限定的な例として図9A−図9Bに示すように、幾つかの場合、2つの隣り合う基本セルのアンカー点の間のシフトによって定められる周期性値は、セルのパターン及び/又はそれらの相対的位置の付加的な分析の後でさらに小さくする(又はそれ以外の方法で調節する)ことができる。図9Aに示す周期的領域901は、周期性値Cxを有するセル2の3×3周期的アレイを含み、ここでX方向において隣り合うセルは共通の境界を有する。周期的領域902は、周期的領域901からOR演算によって得られ、X方向において範囲(0、3Cx)内の任意の適切な周期性値によって特徴付けることができる1次元アレイ1×3を含む。図9Bに示すセル「セル12」950は、X方向にCx/2だけシフトした2つの矩形を含む。従って、周期性値Cxを有するセル12の3×1アレイを含む周期的領域903は、セル12のパターンの分析により、周期性値Cx/2で特徴付けることができる。
【0074】
当業者であれば、周期的領域の最終組の生成は、ブロック409及びブロック411を参照して詳述した動作の順番に限定されないことを容易に理解するであろう。随意に、周期的領域の最終組は2つのステップ、即ち、集約された周期的領域及び組み合わされた反復領域を含む組を生成するオフラインのステップと、検査中に施され、検査ツール及び検査要件に従ってこの組を調整することを含むオンラインのステップとによって生成することができる。非限定的な例として、Y方向においてのみ動作するツールは、X方向にのみ周期性を有する領域を検査することができず、従って、そのような領域はレシピ作成のオンラインステップの間にフィルタ除去されることになる。
【0075】
ある特定の領域の周期性は、基本セルの反復性だけでなく、領域内の非反復パターンに対応する、その反復性を破る他の設計要素(例えば、GDSII形式の場合の非反復性境界、パス、SREF要素、OASIS形式の場合の矩形、多角形、パス、台形などの要素)にも依存する。従って、周期性識別ユニットはさらに、生成された周期的領域の反復性を、反復性ブレーカを考慮して検証するように動作することができる。
【0076】
周期的領域(及び/又は単純な周期的領域)の最終組の中の各々の周期的領域に対して、周期性識別ユニットは、周期的領域内の全ての反復性ブレーカを識別するために設計データを分析する。例えば、周期性識別ユニットは、周期的領域をクリッピング(切り抜き)矩形と見なし、この矩形と重なる、基本セルを除く全ての構造要素を収集することができる。収集された場合、周期性識別ユニットはさらに、これらの構造要素(又は、随意に、所定の基準に適合するそれらの部分)を反復性ブレーカとして識別する。反復性ブレーカを識別すると、周期性識別ユニットは、周期的領域の矩形を縮小して、全ての反復性ブレーカが縮小した領域と重なり合わなくなるようにして、周期的領域の最終組を更新する。随意に、縮小した領域がサイズ関連基準に適合しない場合、それぞれの周期的領域を最終組から除外することができる。反復性ブレーカ1002及び1003を含む周期的領域1001の非限定的な例を図10に示す。縮小すると、周期的領域1004は反復性ブレーカを含まない。
【0077】
図4に戻ると、ブロック413において、周期性識別ユニットは、周期的領域の最終組を自動レシピ生成のために用いる。それぞれの周期的領域を特徴付ける周期性値はさらに、設計データとウェハ(又はその製造プロセスにおいて生成されるマスク若しくは他のレイヤ)の間の関係を特徴付けるスケール因子に従って、実サイズの値に変換される。実サイズの値は、所与の計量ツール及び/又は検査プロセスに従ってさらに調節することができる(例えば、ピクセルのそれぞれのサイズに一致するように乗じる、ピクセルのそれぞれのサイズに一致するよう丸める、及び/又は別の方法で)
【0078】
図11は、例示的な製造ツール1100の概略的な機能ブロック図を示す。説明の目的のみのために、図11は、走査電子顕微鏡(SEM)1101に基づく製造ツール1100を示す。製造ツールは、非限定的な例として、光学検査ツール、原子間力顕微鏡などに基づくものとすることができる。製造ツール1100は、SEM1101及び処理ユニット1102を含むことができる。SEM1101は、電子カラム1104内の磁気及び静電「レンズ」(図示せず)を用いたレンズ系によって成形及び合焦することができる電子ビーム1103を使用することができる。レンズ系は、ビーム1103の軌道及び焦点距離を制御して、真空試料チャンバ1106内に配置された半導体構造体1105の上に電子ビームを合焦させるように設計することができる。真空試料チャンバ1106は、X−Yステージ1107及び2次電子検出器1108を含むことができる。X−Yステージ1107は、制御ユニット1109から受け取る制御信号に応答してX−Y面上の随意の方向に移動するように適合させることができる。2次電子検出器1108は、電子ビーム1103で照射された半導体構造体1105の表面から放出された2次電子、反射電子及び/又は後方散乱電子を検出し、検出した結果を画像処理ユニット110に供給するように適合させることができる。画像処理ユニット1110は、2次電子検出器1108の検出結果を受取り、受け取ったデータを処理してSEM像を与えるように構成することができる。SEM像をさらなる分析のために処理ユニット1102に送って計量データを導出することができ、且つ、SEM像及びその派生物を格納することができる。随意に制御ユニット1109はさらに、2次電子検出器1108及び処理ユニット1102と動作可能に結合することができる。処理ユニット1102はさらに、1つ又はそれ以上の製造レシピ(例えば、ウェハを検査するための検査レシピ)を収容又は格納するように構成することができる。製造レシピは、初期にオフラインで生成され、所与の製造ツール及び/又はプロセスに対してさらに調節することができる。処理ユニット1102はさらに、適切な製造レシピに従って制御ユニット1109に命令を与えることができる。
【0079】
処理ユニット1102は、製造レシピを生成するために、周期的領域を識別するための周期性識別ユニット1113を有するレシピ作成ユニット1112を含むことができる。
【0080】
図12は、設計データを用いて計量ツールのレシピを作成するためのコンピュータシステムの一実施形態の略図である。コンピュータシステム1200内には、本明細書で論じる方法の何れか1つ又はそれ以上を機械に実行させる一組の命令が存在する。代替的な実施形態において、機械は、LAN、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットの中の他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)することができる。機械は、クライアントサーバネットワーク環境におけるサーバ又はクライアント機械(例えば、ブラウザを実行するクライアントコンピュータ並びに自動タスク委譲及びプロジェクト管理を実行するサーバ)のキャパシティ内で動作することができ、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境におけるピア機械として動作することができる。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、コンソールデバイス若しくはセットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブ機器、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はその機械によって行われる動作を指定する一組の命令(逐次的又はその他の)を実行することができる任意の機械とすることができる。さらに単一の機械だけを図示したが、用語「機械」はまた、本明細書で論じるいずれか1つ又はそれ以上の方法を実行するための一組(又は複数組)の命令を個々に又は共同で実行する機械(例えば、コンピュータ)の任意の集合を含むように解釈されたい。
【0081】
例示的なコンピュータシステム1200は、処理装置1202、主メモリ1204(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM)又はDRAM(RDRAM)のような動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、静的メモリ1206(例えば、フラッシュメモリ、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)など)、及び2次メモリ1216(例えば、固定又は取外し可能コンピュータ可読記憶媒体を含むことができるドライブユニットの形態のデータ記憶装置)を含み、これらは互いにバス1208を介して通信する。
【0082】
処理装置1202は、1つ又はそれ以上の汎用処理装置、例えばマイクロプロセッサ、中央処理ユニットなどを表す。より具体的には、処理装置1202は、複雑命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実行するプロセッサ、又は、命令セットの組合せを実行するプロセッサとすることができる。処理装置1002はまた、1つ又はそれ以上の、特定用途向け集積回路(ASIC)のような専用処理装置、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどとすることができる。処理装置1202は、本明細書で論じた動作及びステップを実行するための命令1026を実行するように構成される。
【0083】
コンピュータシステム1200は、ネットワークインタフェースデバイス1222をさらに含むことができる。コンピュータシステム1200はまた、グラフィックポート及びグラフィックチップセットを通してコンピュータシステムに接続されたビデオディスプレイユニット1210(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又はブラウン管(CRT))、文字数字入力デバイス1012(例えば、キーボード)、コンソール制御デバイス1214(例えば、マウス)、及び信号発生デバイス1220(例えば、スピーカ)を含むことができる。
【0084】
2次メモリ1216は、本明細書で説明するいずれかの1つ又はそれ以上の方法又は機能を具体化する1つ又はそれ以上の命令1226の組を格納する、機械可読記憶媒体(又はより具体的にはコンピュータ可読記憶媒体)1224を含むことができる。命令1226はまた、コンピュータシステムによるそれらの実行の間、完全に又は部分的に主メモリ1204内及び/又は処理装置1202内に常駐することができ、主メモリ1204及び処理装置1202もまた機械可読記憶媒体を構成する。命令1226はさらに、ネットワークインタフェースデバイス1222を介してネットワーク1218上で送信又は受信することができる。
【0085】
コンピュータ可読記憶媒体1224は、命令1226を永続的に格納するために用いることもできる。コンピュータ可読記憶媒体1224は、例示的実施形態においては単一媒体として示されるが、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、1つ又はそれ以上の命令の組を格納する単一媒体又は複数媒体(例えば、集中又は分散データベース、及び/又は付随するキャッシュ及びサーバ)を含むように解釈されるべきである。用語「コンピュータ可読記憶媒体」はまた、機械に本発明の方法のいずれか1つ又はそれ以上を実行させる、機械による実行のための一組の命令を格納又はコード化することができる任意の媒体を含むように解釈されるべきである。従って、用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、それらに限定されないが、固体メモリ、並びに光及び磁気媒体を含むように解釈されるべきである。
【0086】
命令1226、構成要素及び本明細書で説明した他の機構(例えば、図3に関連した例示関して)は、個別のハードウェア構成要素として実装することができ、又は、ASICS、FPGA、DSP若しくは類似のデバイスなどのハードウェア構成要素の機能に組み込むことができる。さらに、命令1226はファームウェアとして、又はハードウェアデバイス内の機能性回路として実装することができる。さらに、命令10226は、ハードウェアデバイスとソフトウェア構成要素との任意の組合せにおいて実装することができる。
【0087】
上記の説明において、多数の細部を説明した。しかし、当業者には、本発明はそれらの特定の細部を用いずに実施することができることが明白であろう。本発明を不明瞭にしないように、場合によっては、周知の構造体及びデバイスは詳細を示さずブロック図の形で示している。
【0088】
以下の詳しい説明のある部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する動作のアルゴリズム及び記号表示を用いて示される。これらのアルゴリズム的記述及び表示は、データ処理技術分野の当業者が、その仕事の内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために用いる手段である。アルゴリズムは、本明細書において及び一般的に、結果に至る自己矛盾のない一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするステップである。通常、必須ではないが、これらの量は、格納、転送、合成、比較、及びその他の操作を行うことができる電気信号又は磁気信号の形態を取る。現時点では、主に共通使用のために、これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、項、数などと呼ぶことが便利であることが分かっている。
【0089】
しかし、全てのこれら及び類似の用語は、適当な物理量に関連付けられ、これらの量に付けられた単に便利な標識であることに留意されたい。別に特に記述しない限り、以下の議論から明白であるように、「得ること」、「選択すること」、「生成すること」、又は「識別すること]などの用語を使用する議論は、本説明の全体を通して、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(例えば、電子的)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又は他の情報記憶装置、送信装置又はディスプレイ装置内で同様に物理量として表される他のデータに変換する、コンピュータシステム又は類似の電子コンピューティングデバイスの動作又はプロセスについて言及するものであることを認識されたい。
【0090】
本発明の実施形態はまた、本明細書における動作を実行するための装置に関する。この装置は、必要な目的のために特別に構築することもでき、又は、本装置は、コンピュータシステム内に格納されたコンピュータプログラムによって特別にプログラムされた汎用コンピュータシステムを含むこともできる。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体、例えば、それらに限定されないが、光ディスク、CD−ROM、及び光磁気ディスクを含む任意の種類のディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気又は光カード、又は電子的命令を格納するのに適した任意の種類の媒体などに格納することができる。
【0091】
本明細書で提示するアルゴリズム及びディスプレイは、いずれかの特定のコンピュータ又は他の装置に本来的に関係付けられるものではない。種々の汎用システムを本明細書の教示によるプログラムとともに使用することができ、又は、本方法ステップを実行するようにさらに特化された装置を構築することが便利であることが分かる場合がある。様々なこれらのシステムの構造は、以下の説明から明白となる。さらに、本発明の実施形態は、いずれかの特定のプログラミング言語に関連して記述されるものではない。本明細書で説明されたように本発明の実施形態の教示を実装するために、様々なプログラミング言語を用いることができることが認識されよう。
【0092】
コンピュータ可読記憶媒体は、機械(例えば、コンピュータ)により可読な形式で情報を格納するための任意の機構、それらに限定されないが、光ディスク、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、及び光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気又は光カード、フラッシュメモリなどを含むことができる。
【0093】
以上のように、設計データを用いて製造ツールのレシピを作成する方法及び装置を説明した。上記の説明は例証的であり非限定的であることを意図したものである。当業者には、上記の説明を読み理解することによって多くの他の実施形態が明らかとなるであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、並びに、それら特許請求の範囲が権利を与えられるところの均等の完全な範囲に関連して決定されるべきである。
【符号の説明】
【0094】
100:作業フロー
400:方法
502、506、512:基本セル
550、570、590:反復パターン領域
901、902、903:周期的領域
602、606、610、614、618、622:単純アレイを含むセル
1100:製造ツール
1101:走査電子顕微鏡(SEM)
1103:電子ビーム
1104:電子カラム
1105:半導体構造体
1107:X−Yステージ
1108:2次電子検出器
1109:制御ユニット
1110:画像処理ユニット
1200:コンピュータシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ツールのレシピを作成するコンピュータで実施される方法であって、
基本要素と前記基本要素に対応する階層レベルとを含む設計データを取得するステップと、
関心のある1つ又はそれ以上の基本要素を選択するステップと、
関心のあるレベルに対応する単純アレイセルの1つ又はそれ以上の組を生成するステップと、
自動レシピ作成を可能にするように、前記1つ又はそれ以上の単純アレイセルの組を用いて関心のあるレベルの座標内の複数の周期的領域を識別するステップと
を含み、前記周期的領域は、1つ又はそれ以上の基本要素に関して識別される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記関心のあるレベルに対応する前記単純アレイセルの組は、複数の単純アレイを含んだ少なくとも1つの単純アレイセルを含み、各々の前記単純アレイは異なる基本セルに対応することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関心のあるレベルに対応する前記単純アレイセルの組は、各々が異なる基本セルに対応する少なくとも2つの単純アレイセルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
異なる基本セルに関して生成された重なり合う周期的領域に対応する周期的領域を識別するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記識別された周期的領域を特徴付ける周期性値を生成するステップと、
前記生成された周期性値を処理してセル間検査のためのパラメータを生成するステップと、
をさらに含み、前記処理は、設計データと所与の試験品との間の関係を特徴付けるスケール因子、所与の製造ツール、及び所与の製造プロセスを含む群から選択される少なくとも1つの基準に従って施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生成された複数の周期的領域をフィルタ処理するステップをさらに含み、前記フィルタ処理は、サイズ関連基準、製造ツール関連基準、及び製造プロセス関連基準を含む群から選択される少なくとも1つの基準に従って施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
メモリと、
前記メモリに結合された処理装置と、
基本要素と前記基本要素に対応する階層レベルとを含む設計データを得るための、前記処理装置によって前記メモリから実行される設計データモジュールと、
前記設計データモジュールに結合され、関心のあるレベルに対応する単純アレイセルの1つ又はそれ以上の組を生成するための、前記処理装置によって前記メモリから実行される単純アレイセル生成器と、
前記設計データモジュール及び前記単純アレイセル生成器に結合され、前記処理装置によって前記メモリから実行され、自動レシピ作成を可能にするように、前記1つ又はそれ以上の組の単純アレイセルを用いて関心のあるレベルの座標内の複数の周期的領域を識別する周期的領域識別器と、
を備え、前記周期的領域は、1つ又はそれ以上の基本要素に関して識別される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記単純アレイセル生成器は、複数の単純アレイを含んだ少なくとも1つの単純アレイセルを生成するように構成され、各々の前記単純アレイセルは異なる基本セルに対応することを特徴とする、請求項7に記載のレシピ作成ユニット。
【請求項9】
前記単純アレイセル生成器は、各々が異なる基本セルに対応する少なくとも2つの単純アレイセルを生成するように構成されることを特徴とする、請求項7に記載のレシピ作成ユニット。
【請求項10】
前記周期的領域識別器は、異なる基本セルに関して生成された重なり合う周期的領域に対応する周期的領域を識別するための、前記処理装置によって前記メモリから実行される重なりモジュールをさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載のレシピ作成ユニット。
【請求項11】
前記周期的領域識別器は、
前記生成された周期的領域を特徴付ける周期性値を生成し、
前記生成された周期性値に従ってセル間検査のための実サイズのパラメータを生成する
ようにさらに構成され、
前記生成は、設計データと所与の試験品との間の関係を特徴付けるスケール因子、所与の製造ツール、及び所与の製造プロセスを含む群から選択される少なくとも1つの基準に従って施されることを特徴とする、請求項7に記載のレシピ作成ユニット。
【請求項12】
前記識別された複数の周期的領域をフィルタ処理するための、前記処理装置によって前記メモリから実行されるフィルタ処理モジュールをさらに備え、前記フィルタ処理は、少なくともサイズ関連基準に従って施されることを特徴とする、請求項7に記載のレシピ作成ユニット。
【請求項13】
処理システムによって実行されたときに、前記処理システムに、
基本要素と前記基本要素に対応する階層レベルとを有する設計データをコンピュータによって取得するステップと、
関心のある1つ又はそれ以上の基本要素を選択するステップと、
関心のあるレベルに対応する単純アレイセルの1つ又はそれ以上の組を生成するステップと、
自動レシピ作成を可能にするように、前記1つ又はそれ以上の単純アレイセルの組を用いて関心のあるレベルの座標内の複数の周期的領域を識別するステップと
を含み、前記周期的領域が1つ又はそれ以上の基本要素に関して識別される、
方法を実行させる命令を含むことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記関心のあるレベルに対応する前記単純アレイセルの組は、各々の単純アレイが異なる基本セルに対応する複数の単純アレイを含む少なくとも1つの単純アレイセル、又は、各々が異なる基本セルに対応する少なくとも2つの単純アレイセルを含むことを特徴とする、請求項13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記方法は、
前記識別された周期的領域を特徴付ける周期性値を生成するステップと、
前記生成された周期性値を処理してセル間検査のためのパラメータを生成するステップと、
をさらに含み、前記処理は、設計データと所与の試験品との間の関係を特徴付けるスケール因子、所与の製造ツール、及び所与の製造プロセスを含む群から選択される少なくとも1つの基準に従って施されることを特徴とする、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−62508(P2013−62508A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−218060(P2012−218060)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(504144253)アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド (27)
【Fターム(参考)】