説明

製造工程におけるネットワークシステム

【課題】製造工程でのトレーサビリティーを確保することにより不具合の発生を短時間で認定して安定した品質を維持することができる製造工程におけるネットワークシステムを提供すること。
【解決手段】所定の指示書のバーコードを読み込んで作業指示を行うとともにネームプレートを発行し、コンベア上で搬送した多数のサブアッセンブリワイヤハーネスから選択した複数のサブアッセンブリワイヤハーネスにネームプレートを添付し、ネームプレート情報及び作業者情報の履歴を記録する導入工程11と、複数の作業工程(1)12と、作業工程(2)13と、作業工程(3)14とを実行すると共に、各作業工程前に工程飛び判断及び不良品判断をする製造工程におけるネットワークシステム10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数のサブアッセンブリワイヤハーネスから所定のワイヤハーネスをコンベア上で組み立てる複数の工程を総括的に管理する製造工程におけるネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生産ライン中の検査工程において、検査準備信号の入力に応じて、検査すべきワイヤハーネスを特定し、それに対応した検査項目別の指示内容を、それに対応した時間間隔で、音声により作業者に指示するワイヤハーネス検査支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたワイヤハーネス検査支援装置では、生産ラインを流されるワイヤハーネスの品番が変わると、その品番の変更はバーコードリーダによって自動的に検知され、変更された品番に対応した検査の指示内容が、自動的にスピーカから指示され、その指示に従って作業者が作業を続けるようになっている。
【0004】
従来の他の一例として、作業者の音声に基づく音声信号を伝達する手段を備え、CPUに音声認識ソフトを組み込み、その認識結果表に基づいて作業管理を行うワイヤハーネスの組立作業支援システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に開示されたワイヤハーネスの組立作業支援システムでは、検査準備信号の入力に応じて、作業すべきワイヤハーネスが特定され、それに対応した作業項目別の指示内容が、作業順序に従って、画面や音声で、作業者に伝えられる。
【特許文献1】特開平08−271570号公報(第3−7頁、図1)
【特許文献2】特開2000−164050号公報(第2−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1及び2では、1つの作業工程における作業指示を行うのみで、複数の作業工程間における管理は行っていなかった。また、組立工程の工程履歴、所謂、トレーサビリティーがとられていないために、品質管理が十分ではなく、不良品発生時における対応効率が良好ではない。
【0007】
ところで、現状のワイヤハーネス組立工程においては、前工程が最小限のその工程の完成品在庫をもち、後工程に引き取られた分だけ種類毎に造って補充する、後補充生産方式(Fill−Up System of Production)に移行する傾向がある。そのため、一般的に多用されているかんばん方式(ジャストインタイム生産を実現するための管理方法)による迅速な生産計画、生産指示改善のための実績収集の仕組みを改善することが必要になってきている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、次の作業工程への移行時における工程飛びや不良品混入等のミスを防止することで、更には製造工程でのトレーサビリティーを確保することにより不具合の発生を短時間で認定して安定した品質を維持することができる製造工程におけるネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1)本発明に係る製造工程におけるネットワークシステムは、ワイヤハーネスの製造工程におけるネットワークシステムであって、少なくとも複数の作業工程からなる前記製造工程の各作業工程毎の前記ワイヤハーネスの通過履歴を記録するデータベースを備え、前記ワイヤハーネスに添付され、少なくとも製品番号が記録されたネームプレート情報を各作業工程毎に読み込み、各作業工程の作業前に前作業工程が行われているかを前記通過履歴に基づいて確認する工程飛び判断を行うことを特徴とする。
【0010】
上記1)に記載の製造工程におけるネットワークシステムによれば、各作業工程毎のワイヤハーネスの通過履歴がデータベースに記録されており、少なくとも製品番号が記録されたネームプレート情報が各作業工程毎に読み込まれ、各作業工程の作業前に前作業工程が行われているかを通過履歴に基づいて確認する工程飛び判断を行う。従って、検査順序が決まっている複数の検査工程において、前工程が行われているかどうかを必ず確認するため、一連の検査工程の中での工程飛びを確実に防止して、前工程を飛ばさないようにすることができるので、安定した品質を維持することができる。
【0011】
2)本発明に係る製造工程におけるネットワークシステムは、上記1)に記載した製造工程におけるネットワークシステムであって、前記工程飛び判断で工程飛びが無かった場合、各作業工程の作業後に記録された製品の良・不良データに基づいて不良品の有無を確認する不良品判断を行うことを特徴とする。
【0012】
上記2)に記載の製造工程におけるネットワークシステムによれば、工程飛び判断で工程飛びが無かった場合、各作業工程の作業後に記録された製品の良・不良データに基づいて不良品の有無を確認する不良品判断を行うので、前工程で不良品が有ったかどうかを確認して、不良品の修復処理が適切に行われたものかどうかを確認することができる。従って、前工程での検査結果で不良品であったものが、そのまま次工程に流れてくるのを確実に防止することができる。
【0013】
3)本発明に係る製造工程におけるネットワークシステムは、上記1)又は2)に記載した製造工程におけるネットワークシステムであって、前記データベースに作業者データ、時刻データを各作業工程毎に記録することを特徴とする。
【0014】
上記3)に記載の製造工程におけるネットワークシステムによれば、データベースに作業者データ、時刻データを各作業工程毎に記録するので、製造工程において、例えば、検査を実行した作業者、検査日時の履歴等をリアルタイムでモニタリングでき、不良品等を発生させた作業者や日時を瞬時に認定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造工程におけるネットワークシステムによれば、製造工程の各作業工程におけるトレーサビリティーがとられていないために品質管理が十分ではなく不良品発生時における対応効率が良好ではない、という問題を解消でき、これにより、次の作業工程への移行時における工程飛びや不良品混入等のミスを確実に防止することができ、更には製造工程でのトレーサビリティーを確保することにより不具合の発生を短時間で認定して安定した品質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る好適な実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る製造工程におけるネットワークシステムの一実施の形態例を示すブロック構成図、図2は図1に示すネットワークシステムで管理される基礎データの一例画面、図3は図1に示すネットワークシステムで管理される進捗データの一例画面、図4は図1に示すネットワークシステムで管理される一製品の工程通過履歴を示す一例画面、
図5は図1に示す製造工程におけるネットワークシステムにおけるクランプ取付工程までの流れを説明するフローチャート、図6は図5におけるクランプ取付工程後から導通検査工程までの流れを説明するフローチャート、図7は図6における導通検査工程後から作業終了までの流れを説明するフローチャートである。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態である製造工程におけるネットワークシステム10は、導入工程11と、複数ある作業工程の内でクランプ取付工程である作業工程(1)12と、導通検査工程である作業工程(2)13と、外観検査工程である作業工程(3)14と、製品ストア(出荷)15とを備えている。
【0018】
導入工程11には、導入工程用パソコン16と、この導入工程用パソコン16に接続され、ネームプレート発行用のラベルプリンタ17と、同じく導入工程用パソコン16に接続されたバーコードリーダ18と、が備えられている。
【0019】
導入工程11では、搬送されているコンベア上で「かんばん」(不図示)に表示されているピッキング情報に従い、複数のサブアッセンブリワイヤハーネスを選別する。
【0020】
このとき、バーコードリーダ18で「かんばん」に表示されているバーコードを読み取ることにより、バーコードリーダ18でバーコードを読み込む作業を行った作業者情報及び日時情報が導入工程用パソコン16に履歴として記録される。作業者情報は、バーコードリーダの使用者を予め登録しておくか、作業者の胸に付けられている名札の識別情報をバーコードリーダで読み取ることにより得られる。
【0021】
そして、導入工程用パソコン16を印刷モードにすることにより、「かんばん」の製品品番に指定されたバーコードが印字された「ネームプレート」が印刷され、これを複数のサブアッセンブリワイヤハーネスのうちの対応する一つに貼り付けられる。その後、製品に問題が無ければ、OK・NG入力装置によりOK信号を入力することで次工程に進むことができる。この導入工程用パソコン16に取り込まれた作業者情報、日時情報及びOK・NG入力装置により入力された信号は、工程モニタリング(製品通過履歴)用パソコン25に取り込まれ、常時監視される。
【0022】
クランプ取付工程である作業工程(1)12では、先ずクランプ取付作業を行うワイヤハー
ネスに付けられたネームプレートのバーコードをバーコードリーダ26で読み込み、作業
者情報や日時情報を記録する。そして、「かんばん」に表示されているピッキング情報に
従ってクランプ取付作業が行われる。作業終了後、製品に問題が無ければ、OK信号を入
力し、次工程に進む。
【0023】
このとき、クランプを着け終わる毎に、そのクランプに付されているバーコードをバーコードリーダ26で読み取って工程モニタリング用パソコン25に取り込むことで、クランプを付け忘れている部位を簡単に見つけ出すことができるとともに、不具合が発生した際に、どのクリップの不具合なのか瞬時に判別することもできる。
【0024】
導通検査工程である作業工程(2)13では、バーコードリーダ27により「ネームプレート」のバーコードを読み取り、導通検査を行った作業者情報及び日時情報が工程モニタリング用パソコン25に記録される。その後、ワイヤハーネスの導通検査が導通チェッカーにより行われる。導通チェッカーによる導通検査が完了され、作業終了後、製品に問題が無ければ、OK信号を入力し、次工程に進む。
【0025】
ここで、例えば作業工程(2)13において、不良が発見された場合、導通検査工程のOK・NG入力装置にNG信号を入力することにより、履歴にNG記録が書き込まれ、その部位の手直しのための手直し工程に送られる。また、間違って次の工程に送られてしまった場合でも、次工程でネームプレートのバーコードを読み込むことによって、工程モニタリング用パソコン25内のデータから送られてきたものが不良品であると判断し、間違って作業が続けられることはない。
【0026】
外観検査工程である作業工程(3)14では、作業工程(3)用パソコン28と、この作業工程(3)用パソコン28に接続された出荷ラベル用のラベルプリンタ29と、同じく作業工程(3)用パソコン28に接続されたバーコードリーダ30と、が備えられている。
【0027】
作業工程(3)14では、バーコードリーダ30により「ネームプレート」のバーコードを読み取り、外観検査を行う作業者情報及び日時情報が工程モニタリング用パソコン25に記録される。そして、導通検査が完了したワイヤハーネスの外観検査が行われる。外観検査は、作業工程(3)用パソコン28を外観表示にして、その画像と現品とを比較することにより外観を検査する。
【0028】
外観検査が終了し、製品に問題が無ければ、OK信号を入力し、ラベルプリンタ29により発行された出荷ラベルとともに、ワイヤハーネスを製品ストア(出荷)15に移動する。
【0029】
また、工程モニタリング用パソコン25は、導入工程用パソコン16と、作業工程(3)用パソコン28とにネットワーク接続されているため、導入工程用パソコン16に蓄積されているデータと、作業工程(3)用パソコン28に蓄積されているデータについても、常時監視することができる。
【0030】
図2は、工程モニタリング用パソコン25に記録される基礎データである製品通過履歴の一例である。製品品番と作業工程に対応して、その製品品番のワイヤハーネスにおける作業者情報及び日時情報等が表示される。例えば、1行目の製品品番4××01は、作業工程0001(導入工程)を作業者001が、200×年7月20日15時58分19秒にOK信号を入力して導入工程を完了したことがわかる。また、5行目の製品品番4××03は、作業工程0004(外観検査工程)を作業者004が、200×年7月20日15時58分30秒にOK信号を入力して外観検査工程を完了したことがわかる。
【0031】
図3は、前記工程モニタリング用パソコン25に記録された基礎データを加工して、リアルタイムで作業工程の進捗状況をモニタリングできる進捗データの一例である。例えば、2行目の製品品番4××02は、導通検査である作業工程(2)まで完了していることがわかる。また、4行目の製品品番4××04は、検査工程を完了して出荷可能な製品ストア状態にあることがわかる。更に、7行目の製品品番4××07は、クランプ取付工程である作業工程(1)で製品に問題があり、NG信号が入力され、手直し工程に回っていることがわかる。これにより、どの製品が、いつ、どの工程を通過したかの履歴をリアルタイムで管理することができる。
【0032】
図4は、前記進捗データを加工して一製品の作業工程順の工程飛び判断と不良品判断の履歴を示すデータの一例である。例えば、作業工程0002(クランプ取付工程)では、作業者002が工程飛び無しと良品であることを確認してOK信号を入力したことがわかる。また、作業工程0004(外観検査工程)では、作業工程0003(導通検査工程)を飛び越して、作業工程0004に回ってしまい、作業者004が前工程0003の工程飛び判断と不良品判断の履歴がないことを画面上で確認して、工程飛び有りのNG信号を入力したことがわかる。更に、作業工程0005(製品ストア工程)では、前作業工程0004で製品に問題(エラー)が有りNG信号が入力されたにもかかわらず、手直し工程に回った履歴が無かったため、不良品であると判断してNG信号を入力したことがわかる。
【0033】
次に、図5〜図7を参照して、上述した製造工程におけるネットワークシステム10の各工程の流れを説明する。
【0034】
先ず、図5に示すように、バーコードリーダ18により「かんばん」が読み込まれる(S101)ことにより、そのワイヤハーネスの「ネームプレート」が発行される(S102)。
【0035】
次に、導入工程に移る。導入工程の作業者により「ネームプレート」のバーコードが読み込まれてから、作業者情報等のデータ入力(S103)が行われる。このデータ入力後、導入された製品に不具合(エラー)が無ければ、作業者はOK信号を入力する(S104)。もし、製品に不具合があれば、NG信号を入力してから再度データ入力から行うことになる。
【0036】
次に、クランプ取付工程に移る。クランプ取付工程の作業者により「ネームプレート」のバーコードが読み込まれてから、作業者情報等のデータ入力(S105)が行われる。このデータ入力後、クランプ取付工程(S106)が実行される。そして、このクランプ取付工程で不具合(エラー)が無ければ、作業者はOK信号を入力する(S107)。もし、製品に不具合があれば、NG信号を入力してから手直し工程(S108)に回して不具合箇所を手直しをしてから再びクランプ取付工程(S106)が再実行される。
【0037】
次に、導通検査工程に移る。導通検査工程の作業者により「ネームプレート」のバーコードが読み込まれてから、作業者情報等のデータ入力(S109)が行われる。このデータ入力後、前工程が行われたかどうかを確認する工程飛び判断(S110)が行われる。ここで、作業者は図4で示した作業工程順の工程飛び判断の履歴を示すデータを呼び出して、前工程にOK信号が入力されていることを確認する。もし、入力されてなければ工程飛びが有ったと判断してNG信号を入力する。そして、管理者を呼び出し(S111)てから前工程へ(S112)戻され、前工程が実行された後、再びデータ入力(S109)が行われる。
【0038】
また、工程飛び判断(S110)で前工程にOK信号が入力されていれば、作業者はOK信号を入力してから、作業工程順の不良品判断(S113)の履歴を示すデータを確認する。例えば、前工程で製品に不具合(エラー)が有りNG信号が入力されたにもかかわらず、手直し工程に回った履歴が無かった場合、不良品であると判断してNG信号を入力する。そして、管理者を呼び出し(S114)てから手直し前工程へ(S115)戻され、前工程が実行された後、再びデータ入力(S109)が行われる。
【0039】
また、不良品判断(S113)で履歴データに問題がなければ、作業者はOK信号を入力してから、導通検査工程(S116)が実行される。そして、この導通検査工程で不具合(エラー)(S117)が無ければ、作業者はOK信号を入力して次工程に移る。もし、製品に不具合があれば、NG信号を入力してから手直し工程(S118)に回して不具合箇所を手直しをしてから再び導通検査工程(S116)が再実行される。
【0040】
次に、外観検査工程に移る。外観検査工程の作業者により「ネームプレート」のバーコードが読み込まれてから、作業者情報等のデータ入力(S119)が行われる。このデータ入力後、前工程が行われたかどうかを確認する工程飛び判断(S120)が行われる。ここで、作業者は図4で示した作業工程順の工程飛び判断の履歴を示すデータを呼び出して、前工程にOK信号が入力されていることを確認する。もし、入力されてなければ工程飛びが有ったと判断してNG信号を入力する。そして、管理者を呼び出し(S121)てから前工程へ(S122)戻され、前工程が実行された後、再びデータ入力(S119)が行われる。
【0041】
また、工程飛び判断(S120)で前工程にOK信号が入力されていれば、作業者はOK信号を入力してから、作業工程順の不良品判断(S123)の履歴を示すデータを確認する。例えば、前工程で製品に不具合(エラー)が有りNG信号が入力されたにもかかわらず、手直し工程に回った履歴が無かった場合、不良品であると判断してNG信号を入力する。そして、管理者を呼び出し(S124)てから手直し前工程へ(S125)戻され、前工程が実行された後、再びデータ入力(S119)が行われる。
【0042】
また、不良品判断(S123)で履歴データに問題がなければ、作業者はOK信号を入力してから、外観検査工程(S126)が実行される。そして、この外観検査工程で不具合(エラー)(S127)が無ければ、作業者はOK信号を入力して次工程に移る。もし、製品に不具合があれば、NG信号を入力してから手直し工程(S128)に回して不具合箇所を手直しをしてから再び外観検査工程(S126)が再実行される。
【0043】
外観検査工程(S126)において不具合がないことが確認され、作業者によりOK信号が入力されると、出荷ラベル(社内ラベル)が発行されて(S129)から、ワイヤハーネスは製品ストア(出荷)(S130)に搬送されて作業が終了される。
【0044】
上述したように、製造工程におけるネットワークシステム10によれば、導入工程11において、複数のサブアッセンブリワイヤハーネスを組み合わせてワイヤハーネスを作製するための準備に際し、そのサブアッセンブリワイヤハーネスを選択した作業者情報、作業日時等の履歴が発行される「ネームプレート」の情報の履歴とともに、工程モニタリング用パソコン25に記録される。そして、外観検査工程である作業工程(3)14において、作製されたワイヤハーネスの検査を実行した作業者情報、作業日時等の履歴が発行される出荷ラベルの情報の履歴とともに、工程モニタリング用パソコン25に記録される。
【0045】
そして、ワイヤハーネスの製造工程を実行する作業者情報、作業日時等を記録した後、各作業工程前に前工程が行われているか確認する工程飛び判断を行う。従って、作業順序が決まっている複数の作業工程において、前工程が行われているかどうかを必ず確認するため、一連の作業工程の中での工程飛びを確実に防止して、前工程を飛ばさないようにすることができる。
【0046】
また、工程飛びが無かった場合、不良箇所の有無を確認する不良品判断を行うので、前工程で不良箇所が有ったかどうかを確認して、不良箇所の修復処理が適切に行われたものかどうかを確認することができる。従って、前工程での作業結果で不良品であったものが、そのまま次工程に流れてくるのを確実に防止することができる。
【0047】
これにより、製造工程でのトレーサビリティーを確保することで、「かんばん」等の指示書の通過履歴を収集することができるとともに、「ネームプレート」の貼り間違えを回避できる。さらに、自動的に作業記録を得られるので作業員の工数を削減できるとともに、工程飛び等の不具合を防止して、安定した品質を維持することができる。
【0048】
また、目視による外観検査作業項目を減少させて品質の確保を図れるとともに、納入先でのクレームの原因になる不良品を流出させないようにでき、確認・測長作業の標準化を図れる。さらに、作業者の技量に左右されない外観検査工程を構築でき、多品種少量工程の外観検査作業を容易に行えるとともに、作業実績・不良実績・進捗状況の収集を可能にすることができる。
【0049】
また、工程モニタリング用パソコン25での製品通過履歴監視により、サブアッセンブリワイヤハーネスを選択した作業者情報、作業日時等の履歴、発行された「ネームプレート」情報の履歴と、作業工程において作業を実行した作業者情報、作業日時等の履歴、発行される出荷ラベルの情報の履歴とを総括的に監視することができる。これにより、製品通過履歴に基づいて履歴管理及び進捗管理をリアルタイムで行って工程飛び等の不具合が発生した部門を瞬時に認定することができる。
【0050】
また、少なくとも各作業工程の通過履歴及び工程飛びの確認を常時モニタリングできるデータベースを備えているので、各作業工程において作業を実行した作業者情報、作業日時の履歴等を常時モニタリングでき、通過履歴に基づいて履歴管理及び進捗管理をリアルタイムで行って工程飛び等の不具合が発生した部門を瞬時に認定することができる。
【0051】
尚、本発明に係る製造工程におけるネットワークシステムは、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、導通検査工程に、導通検査工程用パソコンを設置しても良い。また、例えば取り付けるクランプの数が多い場合等は、導入工程から導通検査工程までの間に、複数のクランプ取付工程を配置しても良い。更に、工程飛び判断・不良品判断は、データ入力時(製品情報入力時)に工程モニタリング用PCで、製品毎の履歴から自動的に判断し、作業者に通知することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る製造工程におけるネットワークシステムの一実施の形態例を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示すネットワークシステムで管理される基礎データの一例画面である。
【図3】図1に示すネットワークシステムで管理される進捗データの一例画面である。
【図4】図1に示すネットワークシステムで管理される一製品の工程通過履歴を示す一例画面である。
【図5】図1に示す製造工程におけるネットワークシステムにおけるクランプ取付工程までの流れを説明するフローチャートである。
【図6】図5におけるクランプ取付工程後から導通検査工程までの流れを説明するフローチャートである。
【図7】図6における導通検査工程後から作業終了までの流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
10 製造工程におけるネットワークシステム
11 導入工程
12 作業工程(1)(クランプ取付工程)
13 作業工程(2)(導通検査工程)
14 作業工程(3)(外観検査工程)
15 製品ストア
16 導入工程用PC
25 工程モニタリング用PC
28 作業工程(3)用PC(外観検査工程用PC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスの製造工程におけるネットワークシステムであって、
少なくとも複数の作業工程からなる前記製造工程の各作業工程毎の前記ワイヤハーネスの通過履歴を記録するデータベースを備え、
前記ワイヤハーネスに添付され、少なくとも製品番号が記録されたネームプレート情報を各作業工程毎に読み込み、
各作業工程の作業前に前作業工程が行われているかを前記通過履歴に基づいて確認する工程飛び判断を行うことを特徴とする製造工程におけるネットワークシステム。
【請求項2】
前記工程飛び判断で工程飛びが無かった場合、各作業工程の作業後に記録された製品の良・不良データに基づいて不良品の有無を確認する不良品判断を行うことを特徴とする請求項1記載の製造工程におけるネットワークシステム。
【請求項3】
前記データベースに作業者データ、時刻データを各作業工程毎に記録することを特徴とする請求項1又は2に記載した製造工程におけるネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−241755(P2007−241755A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−64724(P2006−64724)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】