説明

製造方法

【課題】凝固因子の阻害剤として作用し、血栓塞栓性障害、特に心筋梗塞、狭心症、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症又は深部静脈血栓症等の予防及び/又は処置するための化合物の製造方法の提供。
【解決手段】4−{4−[(5S)−5−(アミノメチル)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル]フェニル}モルホリン−3−オン(VII)塩酸塩を5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)と反応させる際、エーテル、アルコール、ケトンおよび水の群から選択される溶媒中で、またはこれらの混合物中で、無機塩基を使用して反応を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−[(2S)−2−オキシラニルメチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、4−(4−アミノフェニル)−3−モルホリノンおよび5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリドから出発する、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化合物5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミドは、WO−A01/47919に開示されており、式(I)
【化1】

に相当する。
【0003】
式(I)の化合物は、凝固因子Xaの阻害剤として作用し、血栓塞栓性障害、特に心筋梗塞、狭心症(不安定狭心症を含む)、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス術後の再閉塞および再狭窄、卒中、一過性虚血性発作、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症または深部静脈血栓症の予防および/または処置のための物質として用いることができる。
【0004】
WO−A01/47919も、グラムの範囲の式(I)の化合物の製造方法を記載しており、同じ出発化合物2−[(2S)−2−オキシラニルメチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(II)、4−(4−アミノフェニル)−3−モルホリノン(III)および5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)から出発する:
【化2】

【0005】
この場合、2−[(2S)−2−オキシラニルメチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)ジオン(II)を、4−(4−アミノフェニル)−3−モルホリノン(III)と反応させ、2−((2R)−2−ヒドロキシ−3−{[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]アミノ}プロピル)−1H−イソインドール−1,3(2H)ジオン(V)を得る。続いて、(V)をホスゲン等価物で2−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)ジオン(VI)に変換する。フタルイミド保護基の除去により、4−{4−[(5S)−5−(アミノメチル)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル]フェニル}モルホリン−3−オン(VII)を得、それを最後に5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)と反応させ、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)を得る。
【0006】
しかしながら、このWO−A01/47919に開示の方法は、反応管理において様々な不利益を提示し、それは特に工業的スケールでの式(I)の化合物の製造に不都合な影響を有する。
【0007】
DE10300111.5は、5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)、(2S)−3−アミノプロパン−1,2−ジオール塩酸塩(VIII)および4−(4−アミノフェニル)−3−モルホリノン(III)から出発する、式(I)の化合物の合成の代替法を開示している:
【化3】

【0008】
この場合、5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)を(2S)−3−アミノプロパン−1,2−ジオール塩酸塩(VIII)と反応させ、5−クロロチオフェン−2−カルボン酸((S)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−アミド(IX)を得る。続いて、(IX)を5−クロロチオフェン−2−カルボン酸((S)−3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピル)アミド(X)に変換し、次いで、それを4−(4−アミノフェニル)−3−モルホリノン(III)と反応させ、5−クロロチオフェン−2−カルボン酸{(R)−2−ヒドロキシ−3−[4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニルアミノ]−プロピル}アミド(XI)を得る。最後に、(XI)をホスゲンまたはホスゲン等価物と反応させ、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)を得る。
【0009】
この代替的合成は、工業的スケールで実行できるが、毒性の溶媒または試薬を部分的に使用する。これは、それ自体が不利益であり、加えて、法規上の理由で生成物中に各場合で許容し得る上限より少なくなるまで、これらの毒性物質を最終生成物(I)から除去しなければならず、このことはさらなる出費を意味する。
【0010】
化合物(I)の工業スケールでの簡潔な製造方法を提供し、特に製法の最終工程で毒性の溶媒または試薬を回避するという本発明の目的は、ここから生じるものである。
【発明の概要】
【0011】
この度、驚くべきことに、WO−A01/47919に開示の合成におけるある種の反応パラメーターを改変することにより、式(I)の化合物を、場合により大量に良好な収率および純度で製造することが可能であると見出された。
【0012】
従って、本発明は、4−{4−[(5S)−5−(アミノメチル)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル]フェニル}モルホリン−3−オン(VII)塩酸塩を5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)と反応させることによる式(I)の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミドの製造方法に関し、これは、エーテル、アルコール、ケトンおよび水の群から選択される溶媒またはそれらの混合物中で、無機塩基を使用して反応を実行することを特徴とする。
【0013】
言及し得る適切かつ好ましい溶媒の例は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジイソプロピルエーテルもしくはメチルtert−ブチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノールもしくはtert−ブタノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンもしくはアセトンなどのケトン類、または水、または列挙した溶媒の2種またはそれ以上の混合物である。
【0014】
特に好ましい溶媒は、ケトン類またはケトン類と水の混合物、特にアセトン、または、好ましくはアセトンと水の混合物である。
【0015】
言及し得る適切かつ好ましい無機塩基の例は、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)およびアルカリ土類金属(例えばカルシウムおよびマグネシウム)の水酸化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩、または、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の重炭酸塩である。
【0016】
無機塩基として特に好ましいのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウム、特に炭酸ナトリウムである。
【0017】
アミノメチルオキサゾリジノン(VII)塩酸塩のクロロチオフェンカルボニルクロリド(IV)との反応は、好ましくは、溶媒としてのアセトン/水混合物中、塩基としての炭酸ナトリウムを使用して実施する。
【0018】
アセトン/水の比は、この場合、広範囲に亘って変動でき、好ましくは0.5ないし1.5(v/v)、特に0.9ないし1.1(v/v)である。
【0019】
このようにして、最初に、WO−A01/47919に記載の方法では溶媒および塩基として使用される発癌性のピリジンを、回避することが可能である。本発明によると、さらに、臨床的に複雑な生成物(I)のクロマトグラフィー的精製を回避することが可能である。
【0020】
本発明による方法は、好ましくは最初に水性炭酸ナトリウム溶液を入れ、それに最初にアセトンを、次いでアミノメチルオキサゾリジノン(VII)塩酸塩を、続いてクロロチオフェンカルボニルクロリド(IV)を導入することにより実施する。反応物の添加は、好ましくは0ないし20℃、特に10ないし15℃の温度で行う。添加が完了した後、次いで、反応混合物を40ないし55℃の温度で、好ましくは約50℃で撹拌する。室温に冷却後、次いで、生成物を簡単なやり方で濾過により単離できる。
【0021】
本発明の好ましい実施態様では、上記の濾過により得られる式(I)の化合物の粗生成物は、後続の段階で、さらなる生成のために酢酸から再結晶する。
【0022】
WO−A01/47919でも既に開示されている通り、溶媒としてのエタノール中でメチルアミンを用いてオキサゾリジノンメチルフタルイミド(VI)からフタルイミド保護基を除去することにより、アミノメチルオキサゾリジノン(VII)が製造される。しかしながら、反応の完了後、WO−A01/47919の記載と異なり、次いで、pHが1ないし4に、好ましくは2ないし3になるまで、水性塩酸を高い温度で反応混合物に添加する。この添加は、高い温度、好ましくは50ないし60℃の温度で行う。このようにして、アミノメチルオキサゾリジノン(VII)を、その塩酸塩形態で純粋に単離する。それは、この場合結晶として得られ、簡単なやり方で容易に濾過できる。
【0023】
反応混合物の濃縮後に得られるアミノメチルオキサゾリジノン(VII)粗生成物を、クロロチオフェンカルボニルクロリド(IV)とのさらなる反応に直接用いるWO−A01/47919に開示の方法は、対照的に、アミノメチルオキサゾリジノン(VII)粗生成物中に存在するこの反応の第2の成分が、続く最終生成物(I)の製造を妨げ、さらに生成物(I)に混入するという不利益を有する。それに比べて、本発明により純粋な形態の固体の塩酸塩として単離されるアミノメチルオキサゾリジノン(VII)の使用は、次のクロロチオフェンカルボニルクロリド(IV)との反応における反応管理の改善を可能にし、望まざる副反応が回避され、より純粋な生成物が得られ、かくして入念なクロマトグラフィー的精製を回避できる。
【0024】
オキサゾリジノンメチルフタルイミド(VI)は、WO−A01/47919でも既に開示されている通り、ホスゲン等価物を用いる、例えば、そして好ましくは、N,N−カルボニルジイミダゾールを用いるヒドロキシアミノ化合物(V)の環化により製造する。しかしながら、反応条件は、触媒としてのジメチルアミノピリジンおよび溶媒としてのテトラヒドロフランの存在下ではなく、本発明に従い、触媒なしで、溶媒としてのN−メチルピロリドンまたはトルエン中、好ましくはトルエン中で反応を実施するという点で、WO−A01/47919に開示のものとは異なる。このことは、得られるオキサゾリジノンメチルフタルイミド(VI)を、入念なクロマトグラフィー的精製の代わりに、簡単な濾過により単離することも可能にする。
【0025】
ヒドロキシアミン(V)は、WO−A01/47919でも既に開示されている通り、(S)−エポキシフタルイミド(II)をアニリノモルホリノン(III)と、溶媒としての水性エタノール中、60℃の反応温度で反応させることにより製造する。しかしながら、WO−A01/47919の開示と異なり、エタノール/水の比(v/v)は、本発明によると9:1ではなく1:1ないし1:3、好ましくは1:2(v/v)であり、続く前駆物質(II)の測定はもはや不要である。代わりに、反応混合物を55ないし65℃の温度で24ないし48時間、好ましくは約36時間撹拌する。
【0026】
本発明の好ましい実施態様では、反応生成物が晶出し始めるように、反応が1ないし2時間続いた後、反応生成物(V)の種結晶を反応混合物に添加する。
【0027】
本発明の特に好ましい実施態様では、懸濁液を維持したまま、反応時間の終点に向けて反応混合物を還流下で加熱し、次いで55ないし65℃の反応温度に再冷却する。
この還流への加熱を必要に応じて繰り返す。加熱は、好ましくは全部で2回行う。
【0028】
(S)−エポキシフタルイミド(II)出発化合物の合成は、例えば、A. Gutcait et al. tetrahedron Asym. 1996, 7, 1641 に記載されている。加えて、この物質は、例えば日本の Daiso Ltd. から購入できる。
【0029】
アニリノモルホリノン(III)出発化合物の合成は、例えばWO−A01/47919の55ないし57頁またはDE10342570.5に詳しく記載されている。
【0030】
本発明による方法の個々の段階は、大気圧、加圧または減圧(例えば0.5ないし5バール)下で実施できる。断りのない限り、大気圧を一般的に使用する。
【実施例】
【0031】
好ましい例示的実施態様により本発明を詳細に説明するが、これらに限定されない。断りのない限り、全ての量的データは、重量パーセントに関するものである。
【0032】
5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)の合成
a)2−((2R)−2−ヒドロキシ−3−{[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]アミノ}プロピル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(V)
2−[(2S)−2−オキシラニルメチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)ジオン(II)1173gおよび4−(4−アミノフェニル)−3−モルホリノン(III)を、水6.7lおよびエタノール14.4lと、20℃で混合する。懸濁液を58ないし60℃に加熱し、得られる溶液を36時間撹拌する。2時間後、結晶の2−((2R)−2−ヒドロキシ−3−{[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]アミノ}プロピル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(V)5gを反応混合物に添加する。その後、生成物が結晶化し始める。26℃に冷却後、沈殿した反応生成物を吸引濾過し、エタノールで洗浄し、次いで乾燥させる。
収量:1522g;理論値の81.4%に相当
融点:215℃
【0033】
b)2−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(VI)
2−((2R)−2−ヒドロキシ−3−{[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]アミノ}プロピル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(V)2641gを、トルエン22lに懸濁し、19℃で、N,N−カルボニルジイミダゾール1300gを添加する。続いて、反応混合物を還流下で1時間加熱し、次いで、60℃で、エタノール4.5lを添加する。25ないし30℃に冷却後、沈殿した反応生成物を吸引濾過し、エタノールで洗浄し、次いで乾燥させる。
収量:2756g;理論値の97.9%に相当
融点:220.5℃
【0034】
c)4−{4−[(5S)−5−(アミノメチル)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル]フェニル}モルホリン−3−オン(VII)
2−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(VI)1360gを、エタノール10.2lに22℃で懸濁し、メチルアミン溶液(水中、40%強度)1103gを添加する。次いで、反応混合物を60ないし63℃に加熱し、得られる溶液をこの温度で2時間撹拌する。55ないし60℃に冷却後、全部で2348gの塩酸溶液(水中、20%強度)を、pHが2.7になるまで添加する。その後、生成物が結晶化し始める。20℃に冷却後、沈殿した反応生成物を吸引濾過し、メタノールで洗浄し、次いで乾燥させる。
収量:875g;理論値の82.7%に相当
融点:280℃より高温で分解
1H NMR (300 MHz, d6-DMSO): 3.25 (m, 2H), 3.72 (m, 2H), 3.98 (m, 3H), 4.42 (m, 3H), 4.97 (m, 1H), 7.42 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.57 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 8.44 (s (br.), 3H) ppm.
【0035】
d)5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)
第1段階:5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)
5−クロロチオフェン−2−カルボン酸(購入できる)3.00kgを、トルエン8.48kgに懸濁し、75ないし80℃に加熱する。この温度で、塩化チオニル2.63kgを85分間かけて滴下して添加し、続いて75ないし80℃で30分間、次いで還流温度で気体の放出が止まるまで撹拌する。冷却後、反応混合物を、減圧下、段々と上昇する内部温度(最高で60℃まで)で蒸留し、過剰の塩化チオニルおよびトルエンを、約30%強度の酸塩化物のトルエン溶液が産生されるまで除去する。
【0036】
第2段階:5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)−粗生成物
4−{4−[(5S)−5−(アミノメチル)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル]フェニル}モルホリン−3−オン(VII)塩酸塩1160g、水350mlおよびアセトン2.7lを、順次、水5.95l中の炭酸ナトリウム464gの溶液に10℃で添加する。8ないし12℃で、5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)(30%強度トルエン溶液)2535gおよびさらなるトルエン517mlを添加する。次いで、反応混合物を50℃に加熱し、アセトン2700mlを添加し、混合物を50ないし53℃でさらに30分間撹拌する。26℃に冷却後、沈殿した反応生成物を吸引濾過し、水およびアセトンで洗浄する。
収量:溶媒を含有する粗生成物1998g
残存水分含量は、24.3%と判明し、これは、計算上の乾燥重量1505gまたは理論値の98.7%に相当する。
【0037】
第3段階:5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミド(I)−再結晶
溶媒を含有する粗生成物(残存水分含量9.4%)2120gを、酢酸12kgに懸濁し、110ないし115℃に加熱する。得られる溶液をこの温度で10分間撹拌し、次いで、清澄濾過(clarifying filtration)後、20℃に冷却する。沈殿した生成物を吸引濾過し、酢酸および水で洗浄し、次いで乾燥させる。
収量:1818g;理論値の94.7%に相当(粗生成物の乾燥重量をベースとして)
融点:230℃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−{4−[(5S)−5−(アミノメチル)−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−3−イル]フェニル}モルホリン−3−オン(VII)塩酸塩を5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(IV)と反応させることによる、式(I)の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミドの製造方法であって、エーテル、アルコール、ケトンおよび水の群から選択される溶媒中で、またはこれらの混合物中で、無機塩基を使用して反応を実施することを特徴とする、方法。
【請求項2】
溶媒としてのケトンまたはケトンと水の混合物中で反応を実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無機塩基としての水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムを用いて反応を実施することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒としてのアセトン/水混合物中、塩基としての炭酸ナトリウムを使用して反応を実施することを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
水性炭酸ナトリウム溶液を最初に入れ、反応物を10ないし15℃の温度で添加し、次いで、反応混合物を50℃で撹拌することを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
かくして得られる式(I)の化合物の粗生成物を、後続の段階で酢酸から再結晶することを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
オキサゾリジノンメチルフタルイミド(VI)からフタルイミド保護基を溶媒としてのエタノール中でメチルアミンを用いて除去することにより、アミノメチルオキサゾリジノン(VII)塩酸塩を製造し、アミノメチルオキサゾリジノン(VII)が固体の塩酸塩として単離されることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
オキサゾリジノンメチルフタルイミド(VI)のメチルアミンとの反応に続き、pHが2ないし3になるまで、水性塩酸を反応混合物に50ないし60℃の温度で添加することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
オキサゾリジノンメチルフタルイミド(VI)が、ホスゲン等価物を用いるヒドロキシアミノ化合物(V)の環化により製造され、溶媒としてのトルエン中でこの反応を実施することを特徴とする、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
オキサゾリジノンメチルフタルイミド(VI)を濾過により単離することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(S)−エポキシフタルイミド(II)をアニリノモルホリノン(III)と、溶媒としての水性エタノール中で反応させることにより、ヒドロキシアミン(V)を製造し、エタノール/水の比が1:2であることを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
反応が1ないし2時間続いた後、反応生成物(V)の種結晶を反応混合物に添加することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反応混合物を還流下で反応時間の終点に向かって2回加熱し、各回で続いて55ないし65℃の反応温度に再度冷却することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の方法により得ることができる、式(I)の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−2−チオフェンカルボキサミド。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の方法により得ることができる、式(I)の5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[4−(3−オキソ−4−モルホリニル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}−メチル)−2−チオフェンカルボキサミドの、血栓塞栓性障害の予防および/または処置用の医薬を製造するための使用。

【公開番号】特開2012−97106(P2012−97106A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−286538(P2011−286538)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2006−548182(P2006−548182)の分割
【原出願日】平成16年12月31日(2004.12.31)
【出願人】(507113188)バイエル・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】