説明

製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法

【課題】含鉄集塵ダスト類中に含有するアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物、特にCaOおよび/またはCa(OH)2のCa2+イオンとしての溶出を抑制し、含鉄集塵ダスト類を用いて好適な強い強度の造粒物を製造する方法を提供する。
【解決手段】予め、前記含鉄集塵ダスト類に炭酸塩化処理を施し、該含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させた後に、該含鉄集塵ダスト類、または、該含鉄集塵ダスト類とその他の鉄含有原料に、水を添加して混練、造粒する製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鉄所内で発生する製鉄ダスト(焼結ダスト、転炉ダスト、高炉ダストなどの含鉄集塵ダスト類、スラッジ、スケール粉等)のうち、アルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物、特にCaOおよび/またはCa(OH)2を多く含有する含鉄集塵ダスト類の造粒方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製鉄ダストと称される、製鉄プロセスにおける焼結工程、高炉、転炉等で発生する含鉄集塵ダスト、各種水処理設備から発生するスラッジ、熱延、冷延工程から発生するスケール粉等は、副原料や炭材、さらに水を添加して混練、造粒して非焼成ペレットとするか、または、造粒後、さらに、焼結機で焼成して焼結鉱とした後、高炉用鉄含有原料として利用されている。
【0003】
これらの製鉄ダストは、通常の焼結用主要原料として使用される鉄鉱石粉に比べて粒度が非常に小さいため、製鉄ダストの造粒性および造粒後の圧壊強度を向上させるために、従来、以下方法が提案されている。
【0004】
(1)バインダーとして廃トナーを添加する方法(例えば、特許文献1、参照)。
(2)重量平均分子量1000〜1000000のカルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物と、(a)キレート剤、(b)酸、および、(c)酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種からなる分子量500未満の低分子造粒補助剤とを添加して造粒処理を行う方法(例えば、特許文献2、参照)。
【0005】
(3)3mmの篩いでふるい分けた焼却灰および集塵ダストをそれぞれ単独または混合機でこれらを混合後、セメントとポリ塩化アルミニウム、炭酸ソーダ、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウムの1種または2種以上を添加水に加えて混合機で混合し、混練し、造粒機で造粒または製団機で成型した後、自然養生または蒸気養生処理する方法(例えば、特許文献3、参照)。
【0006】
(4)鉱石粉、金属酸化物ダスト、炭材含有粉体の1種または2種以上からなる原料に、水和物および/または炭酸塩形成で硬化する結合剤と水を混合して成型した生塊成鉱を、水蒸気またはCO2を含有するガス雰囲気下で養生して短時間で硬化させる非焼成塊成鉱の製造方法において、養生温度を水の沸点の±20℃の範囲に調節するとともに、養生中の生塊成鉱中の水分を2〜12wt%に調節する方法。
【0007】
上記(1)および(2)は、有機系高分子化合物をバインダーとして用いて造粒する方法であり、上記(2)における低分子造粒補助剤は、原料中のCaOの影響を低減し、有機系高分子化合物のバインダー機能を十分発揮させるために添加するものである。
【0008】
上記(3)および(4)は、セメントなどアルカリ物質を添加して造粒し、造粒後に水蒸気および/またはCO2含有ガス雰囲気下で養生して、造粒物の一定の強度を発現しようとするものである。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された有機系高分子化合物をバインダーとして用いる方法は、製造コストの面で問題があり、廃トナーを添加する方法では、顔料など不要な成分も含まれるなどの問題があった。特許文献2に開示された重量平均分子量1000〜1000000のカルボキシル基および/またはその塩を含有する高分子化合物をバインダーとして使用する方法は、CaOの影響を低減し、有機系高分子化合物のバインダー機能を十分発揮させるために低分子造粒補助剤を添加する必要があり、組成が複雑となって制御が難しく、また、さらに製造コストが上昇するという問題があった。
【0010】
特許文献3、4に開示されたセメント、アルカリ物質を添加して造粒し、造粒後に水蒸気および/またはCO2含有ガス雰囲気下で養生する方法は、まず造粒物を製造し、その後養生によって造粒物中のアルカリ物質を炭酸化して、造粒物の強度を高めようとするものである。しかしながら、この方法では、養生前の造粒物の強度が弱く、搬送時等に壊れやすいこと、養生に時間がかかること、硬化が造粒物の表面のみで起こり、造粒物内部まで硬化させることが困難なこと、炭酸塩以外にも塩基性炭酸塩が生成し、炭酸塩化が不十分となること等の問題があった。
【0011】
【特許文献1】特開2003−147446号公報
【特許文献2】特開2004−76137号公報
【特許文献3】特開平11−239775号公報
【特許文献4】特開2000−119760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来技術の現状に鑑み、製鉄所内で発生する製鉄ダスト(焼結ダスト、転炉ダスト、高炉ダストなどの含鉄集塵ダスト類、スラッジ、スケール粉等)のうち、特に、含鉄集塵ダスト類を造粒する際に、含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物、特に、CaOおよび/またはCa(OH)2のCa2+イオンとしての溶出を抑制し、含鉄集塵ダスト類の造粒に寄与する微細粒子の水中での分散性を促進することにより、含鉄集塵ダスト類の造粒性および造粒後の圧壊強度を向上し、さらに、焼結過程での通気性を良好に維持し、焼結鉱の生産性および成品歩留を向上させるための製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
【0014】
(1)製鉄所内で発生する含鉄集塵ダスト類の造粒方法において、予め、前記含鉄集塵ダスト類に炭酸塩化処理を施し、該含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させた後に、該含鉄集塵ダスト類、または、該含鉄集塵ダスト類とその他の鉄含有原料に、水を添加して混練、造粒することを特徴とする製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【0015】
(2)前記含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物がCaOおよび/またはCa(OH)2であり、アルカリ土類金属炭酸塩が炭酸カルシウムであることを特徴とする上記(1)に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【0016】
(3)前記含鉄集塵ダスト類は、粒径が10μm以下の超微粒子を2mass%以上含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【0017】
(4)前記炭酸塩化処理は、前記含鉄集塵ダスト類を水に浸漬した後、二酸化炭素、または、二酸化炭素含ガスを通じて、該含鉄集塵ダスト類中に含有するアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【0018】
(5)前記二酸化炭素を含有するガスは、空気、または、燃焼排ガスであることを特徴とする上記(4)に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【0019】
(6)前記炭酸塩化処理は、前記含鉄集塵ダスト類を炭酸水素ナトリウム水溶液、または、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬し、該含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【0020】
(7)前記造粒の際に、ケイ酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、タンニン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムの内の1種または2種以上を含有する水溶液を添加することを特徴とする上記(1)〜(6)の何れかに記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【0021】
(8)前記含鉄集塵ダスト類、または、該含鉄集塵ダスト類とその他の鉄含有原料に、さらに、副原料および/または炭材を添加した後、水を添加して混練、造粒することを特徴とする上記(1)〜(7)の何れかに記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、製鉄所内で発生するダスト類、特に、含鉄集塵ダスト類を造粒する際に、予め、含鉄集塵ダスト類に炭酸塩化処理を施し、含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物、特に、CaOおよび/またはCa(OH)2を炭酸カルシウムとして安定化し、析出させることにより、造粒性を阻害するCa2+イオンの溶出を抑制し、造粒に寄与する粒径が10μm以下の超微細粒子の水中での分散性を促進することができる。
【0023】
その結果、含鉄集塵ダスト類の造粒性および造粒後の圧壊強度を向上し、さらに、焼結過程での通気性を良好に維持することができるので、非焼成ペレット、または、焼結鉱の生産性および成品歩留を向上させ、強度に優れた非焼成ペレット、または、焼結鉱を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の詳細を説明する。
【0025】
本発明が対象とする含鉄集塵ダスト類は、製鉄プロセスで発生する製鉄ダスト(焼結、高炉、転炉等で発生する集塵ダストや各種水処理設備から発生するスラッジ、熱延、冷延工程から発生するスケール粉等)の中で、特に、焼結ダスト、転炉ダスト、高炉ダストなどの含鉄集塵ダストを意味し、その他の製鉄ダストに比べて、特に、0.25mm以下の粒径の粒子が90%以上と微粉粒子を多く含有し、高温プロセスで発生したCa、Mg等のアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を多く含有することを特徴する。
【0026】
本発明の基本的な実施形態は、含鉄集塵ダスト類のみ、または、含鉄集塵ダスト類に、スラッジ、スケール粉等のその他の製鉄ダスト、鉄鉱石粉などのその他の鉄含有原料を配合して、水を添加して混練機、造粒機を用いて混練、造粒する。得られた生ペレットまたは擬似造粒物のうち、生ペレットは、非焼成ペレットとして使用される他、生ペレットまたは擬似造粒物をさらに焼成し、焼成ペレットまたは焼結鉱として、高炉用原料として使用される。
【0027】
一般の非焼成ペレットを製造する場合は、副原料や炭材は必要ないが、高炉原料の塩基性を調整するため、または、高炉内での被還元性を向上するために、前記含鉄集塵ダスト類、または、該含鉄集塵ダスト類とその他の鉄含有原料に、さらに、副原料および/または炭材を添加してもよい。
【0028】
また、生ペレットを高温ガスなどの外部加熱式の焼結機を用いて焼成し、焼成ペレットを製造する場合は、上記炭材の添加は必ずしも必要ではないが、原料中の炭材を熱源として焼成ペレットまたは焼結鉱を製造する場合は、焼成反応を促進するために、副原料および炭材を添加する必要がある。
【0029】
例えば、含鉄集塵ダスト類を用いて焼結鉱を製造する場合は、含鉄集塵ダスト類を粉砕した鉄鉱石粉等のその他の鉄含有原料に配合し、石灰石、ドロマイト、珪石、蛇紋岩等の副原料、および、コークス粉、無煙炭等の炭材を配合して、これらの焼結原料に適量の水分を加えてドラムミキサーなどの混合・造粒機により混合、造粒して擬似粒子とした後、ドワイトロイド式焼結機に装入し、原料充填ベッド表層中の炭材に点火し、下方に向けて空気を吸引することにより、炭材の燃焼点を上方から下方に移動させながら、焼結原料を加熱焼成することにより製造する。
【0030】
この場合の焼結原料の擬似粒子は、鉄鉱石粉、副原料などに起因して、粒径が1mm以上の粗粒子が多く存在するため、粒径が1mm以上の粗粒子(核粒子)の周りに粒径が0.5〜1mm未満の微粉粒子が付着した造粒物(擬似粒子)を主体とし、その他の粒径が0.5〜1mm未満の微粉粒子同士が付着した造粒物(擬似粒子)と混在している。
【0031】
また、含鉄集塵ダスト類を用いて非焼成ペレットを製造する場合は、含鉄集塵ダスト類、および/または、含鉄集塵ダスト類にその他の製鉄ダストを配合し、水分を添加し、混練機、造粒機を用いて混練、造粒して生ペレットとし、高炉で使用される。この場合、高炉原料の塩基性を調整するため、または、高炉内での被還元性を向上するために、前記含鉄集塵ダスト類、または、該含鉄集塵ダスト類とその他の鉄含有原料に、さらに、副原料および/または炭材を添加してもよい。
【0032】
非焼成ペレット、焼成ペレットを製造する場合の造粒物(ペレット)は、含鉄集塵ダスト類が粒径0.25mm以下の微粒子を多く含有するため、粒径0.25mm以下の微粒子同士が付着した造粒物が主体のペレット造粒物となる。ペレットの造粒は、造粒性および造粒後の圧壊強度を向上させるために、造粒機として、一般に焼結原料の造粒用として用いられるドラムミキサーに比べて造粒効率が高いディスクペレタイザーを用いることが好ましい。
【0033】
本発明では、非焼成ペレット、焼成ペレットを製造する場合の造粒も、水分を添加して行うことを基本とするが、さらに、必要に応じて、バインダーとして、用途に応じて、生石灰や、ポルトランドセメント、高炉スラグ粉末、ベントナイトまたは糖蜜などを用いてもよい。
【0034】
ただし、ここで言うバインダーは、造粒時または焼成時に造粒物の圧壊強を高める作用を有する添加材を意味する。また、造粒時に原料中の粒径10μm以下の微細粒子の水分中への分散性を阻害するようなバインダーや、過度の添加は、本発明の目的に反するので、好ましくない。
【0035】
また、焼成ペレットは、上記含鉄集塵ダスト類、および/または、含鉄集塵ダスト類にその他の製鉄ダストに副原料および/または炭材を添加し、その後、混練、造粒して得られた生ペレットを、加熱ガスなどにより外部加熱するか、炭材を熱源として焼成して、強度の高い焼成ペレットとして製造される。
【0036】
一方、非焼成ペレットとして高炉で使用する場合は、上記造粒後の生ペレットの強度を高めるために、生ペレットを、ヤード堆積等の方法により、水分と空気中の炭酸ガスで硬化させ、高炉用原料としての所要強度を発現させる必要がある。
【0037】
本発明は、以上説明した実施形態における造粒の前に、予め、前記含鉄集塵ダスト類に炭酸塩化処理を施し、この含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を、アルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させることを特徴とする。また、好ましくは、含鉄集塵ダスト類中に含有するCaOおよび/またはCa(OH)2を、炭酸カルシウムとして安定化し、析出させる。これらの限定理由を、以下に説明する。
【0038】
上述した含鉄集塵ダスト類、または、含鉄集塵ダスト類を配合した鉄含有原料を、水分のみで造粒し、非焼成ペレット、焼成ペレット、および、焼結鉱を製造するいずれの場合にも、生産性および成品歩留の向上とともに、冷間強度や、被還元性、耐還元粉化性などの所定品質を満足させるために、生ペレットまたは擬似粒子とする際の造粒性を改善し、造粒後の圧壊強度を高めることが望まれる。
【0039】
非焼成ペレットの圧壊強度を高めるためには、上述したバインダーなどの添加や、生ペレットの養生による圧壊強度向上方法が用いられるが、バインダーを用いず、養生時間を短縮するために、水のみで造粒する際の造粒性を改善し、造粒後の生ペレットの圧壊強度を高めることが好ましい。
【0040】
焼成ペレットや焼結鉱を製造する場合は、焼結機に装入する際に崩壊しないだけの圧壊強度に加えて、生ペレットや擬似粒子を焼成する際に、通気性を良好に維持するために、充填層内での造粒物の崩壊を抑制することが、生産性および成品歩留の向上とともに、冷間強度や、被還元性、耐還元粉化性などの所定品質を向上するために要求される。
【0041】
例えば、焼結鉱では、焼結機内の原料充填層上部から空気を下方に吸引しながら原料中の炭材を燃焼し、焼結反応を進行させるので、原料充填層の厚み方向の一部に、原料中の蒸発した水分が凝集した水分過剰の湿潤帯が形成され、この領域において擬似粒子が崩壊されやすく、通気性を低下させる主な原因となる。
【0042】
したがって、焼成ペレットや焼結鉱を製造する場合には、湿潤帯のような水分が過剰な状態でも造粒物が崩壊しない強度を要求することが好ましい。
【0043】
湿潤帯での造粒物の崩壊を抑制するために、例えば、焼成ペレットを製造する際の造粒時に、バインダーとして生石灰を添加することが行なわれているが、高価な生石灰などのバインダーを用いずに水のみで造粒物の強度を向上させ、湿潤帯での造粒物の崩壊を抑制することが好ましい。
【0044】
本発明者らは、含鉄集塵ダスト類、または、含鉄集塵ダスト類を多く含有する鉄含有原料を水のみで造粒する際に得られる造粒物について、その構造、化学特性、物理特性の分析・評価を行い、造粒性、および、造粒後の圧壊強度を向上するための手段について鋭意検討した。その結果、以下の新規知見が得られた。
【0045】
本発明者らの検討によれば、製鉄所内で発生する製鉄ダスト(焼結ダスト、転炉ダスト、高炉ダストなどの含鉄集塵ダスト類、スラッジ、スケール粉等)のうちで、特に、含鉄集塵ダスト類は、粒径が0.25mm以下の微粒子を90%以上含有し、特に、粒径10μm以下の超微細粒子を2〜60mass%と多く含有することを確認した。
【0046】
一般に、鉱物学的に、岩石または鉱物の風化物のうち、砂より粒径が細かいものは粘土と呼ばれており、湿っているときには粘性と塑性がある。この粘土の粒径の定義は必ずしも明らかではないが、国際土壌学会および米国農務省では2μm以下、日本農学会では10μm以下としている(「粘土ハンドブック第二版」p3、日本粘土学会(1994年)、参照)。
【0047】
また、粘土(超微粒子)の水分中での挙動は、その化学成分、その電荷分布と水中に溶存する電解質イオンの種類と量、水溶液のpH等によって異なり、粘土(超微粒子)が水分中に均一に分散した状態で、水分が多い場合はスラリー状となり、水分が少なくなるとペースト可塑物となり、水分の低下にともない、順次粘性、粘弾性、塑性が現れる。
【0048】
本発明者らは、これらの鉱物学的知見を基に、製鉄所で発生する含鉄集塵ダスト類中に多く含有される粒径10μm以下の超微細粒子の上記特性を利用して、焼結原料の擬似粒子の場合は、主として粒径1mm以上の粗粒子(核粒子)と粒径0.5mm程度の微粉粒子(付着粉)間の結合力(付着力)を高め、微粉原料のペレット造粒物の場合は、主として粒径0.5mm以下の微粉粒同士の結合力(付着力)を高めることにより、造粒時の造粒性および造粒後の圧壊強度を向上させるための検討を行なった。
【0049】
その結果、含鉄集塵ダスト類中に多く含有される粒径10μm以下の超微細粒子も、上記粘土(超微粒子)と同様な特性を示し、造粒時にこの超微細粒子が水中に均一に分散した状態では、焼結原料の擬似粒子の場合は、主として粒径1mm以上の粗粒子(核粒子)と粒径0.5mm程度の微粉粒子(付着粉)の間に存在する水分の粘性、粘弾性、塑性が発現し、結合力(付着力)が向上する。
【0050】
また、微粉原料のペレット造粒物の場合も同様に、主として粒径0.5mm以下の微粉粒同士の間に存在する水分の粘性、粘弾性、塑性が発現し、結合力(付着力)が向上することを確認した。
【0051】
さらに、これら造粒物の粒子間の結合力は、乾燥することにより粒子間の水分が少なくなるとともに、粒子間の塑性が顕著に発現するため、造粒物の圧壊強度が向上し、さらに、焼結過程で問題となる原料充填層の水分が過剰な湿潤帯での造粒物の崩壊を抑制する効果もあることが判明した。
【0052】
一方、製鉄所で発生する含鉄集塵ダスト類中に多く含有する粒径10μm以下の超微細粒子は、水中で凝集しやすく、そのままの含鉄集塵ダスト類に水を添加した場合には、水中の超微細粒子は、見かけ上の粒径が10μm以上の凝集粒子となり、上記超微細粒子の特性と利用した上記の造粒性および圧壊強度の向上効果を十分に得ることができないことを確認した。
【0053】
この原因を検討したところ、以下の事実が判明した。つまり、製鉄所の焼結、転炉、高炉などの高温プロセスでは、塩基度(CaO/SiO2)を調製するために、Caなどのアルカリ土類金属が石灰石(CaCO3)などの化合物が用いられるが、これらのアルカリ土類金属化合物は、熱分解または蒸発し、さらに、大気中の酸素や水分などにより酸化または水和されることにより、CaOやCa(OH)2などのアルカリ土類金属酸化物やアルカリ土類金属水酸化物に変化し、焼結ダスト、転炉ダスト、高炉ダストなどの含鉄集塵ダスト類中に混入して回収される。
【0054】
例えば、石灰石(CaCO3)は高温プロセスで熱分解してCaOとなり、さらに、大気中の水分により一部Ca(OH)2が生成し、また、水中では、ほとんど全てがCa(OH)2となり、溶解する。Ca(OH)2の溶解度は、0.16g/100g−H2O(20℃)であり、石灰石(CaCO3)の溶解度(0.0014g/100g−H2O(25℃))に比べて、圧倒的に水に溶解しやすくなる。
【0055】
本発明者らの検討の結果、製鉄所で発生する含鉄集塵ダスト類中に含有される粒径10μm以下の超微細粒子が水中で凝集しやすく、分散性が低い原因は、同様に含鉄集塵ダスト類中に多く含有されるCaOやCa(OH)2などのアルカリ土類金属酸化物やアルカリ土類金属水酸化物が、造粒時に添加される水分中に容易に溶解し、Ca2+などのアルカリ土類金属イオンを生成し、超微細粒子の水分中での分散性を阻害していることが判った。
【0056】
上述した粘土(超微粒子)の水分中での挙動として、水中でのその電荷分布と電解質イオンの種類と量、水溶液のpH等によって、粘土(微粒子)の水分中での凝集、分散性は変化することが知られている。
【0057】
これは、水中の電解質イオンの存在により、水中で超微粒子同士を反発させる電気二重層が圧縮され、超微粒子同士の引力が強くなって凝集しやすくなるためであると考えられている。この水中の電解質イオンによる上記圧縮効果を調査したところ、Na+やK+などの1価の電解質イオンに比べて、Ca2+やMg2+などの2価の電解質イオンによる効果が10〜100倍と強く、水中で超微粒子同士の引力を顕著に高め、分散性を阻害することを確認した。
【0058】
本発明において、造粒の前に、予め、前記含鉄集塵ダスト類に炭酸塩化処理を施す理由は、上記知見に基づき、含鉄集塵ダスト類中に多く含有されるCaやMgなどのアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を、炭酸カルシウム(CaCO3)や炭酸マグネシウム(MgCO3)などのアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、微細析出させることにより、造粒時に、水中へのCa2+やMg2+などのアルカリ土類金属イオンの溶出を抑制し、水中での粒径10μ以下の超微粒子の分散性を向上するためである。
【0059】
これにより、造粒時に含鉄集塵ダスト類中に多く含有される粒径10μ以下の超微粒子の上記特性を十分に活用し、焼結原料の擬似粒子の場合は、主として粒径1mm以上の粗粒子(核粒子)と粒径0.5mm程度の微粉粒子(付着粉)の間に存在する水分の粘性、粘弾性、塑性を発現させ、結合力(付着力)を向上させ、圧壊強度を向上させることができる。
【0060】
また、微粉原料のペレット造粒物の場合も同様に、主として粒径0.5mm以下の微粉粒同士の間に存在する水分の粘性、粘弾性、塑性を発現させ、結合力(付着力)を向上させ、圧壊強度を向上させることができる。これら造粒物の粒子間結合力は、乾燥により粒子間の水分が少なくなるとともに、粒子間の塑性が顕著に発現するので、さらに造粒物の圧壊強度が向上し、さらに、焼結過程で問題となる原料充填層の水分が過剰な湿潤帯での造粒物の崩壊を抑制することができる。
【0061】
以上の効果は、特に、炭酸塩化処理により、含鉄集塵ダスト類中に含有されるCaOおよび/またはCa(OH)2を、炭酸カルシウムとして安定化し、微細析出させる場合に顕著となる。
【0062】
また、本発明において、含鉄集塵ダスト類中に含有される粒径10μm以下の超微粒子の上記特性を十分に活用し、安定した造粒性および造粒物の圧壊強度の向上効果を得るために、含鉄集塵ダスト類中の粒径10μm以下の超微粒子の含有量を2mass%以上とすることが好ましい。
【0063】
本発明において、上記炭酸塩化処理の方法は、特定の方法に限定されるものではないが、好ましい実施形態として、以下の方法を適用することができる。
【0064】
例えば、炭酸塩化処理の好ましい実施形態として、含鉄集塵ダスト類を水に浸漬した後、二酸化炭素、または、二酸化炭素を含有するガスを通じて、含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させる方法が好ましい。また、上記二酸化炭素を含有するガスとして、安価で入手しやすい点から、空気、または、燃焼排ガスを用いることが好ましい。
【0065】
この炭酸塩化処理方法によれば、CaOやCa(OH)2等のアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を含む含鉄集塵ダスト類を水中に浸漬すると、水溶液のpHが11前後に上昇するので、水中に導入する二酸化炭素の溶解速度が速くなり、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩化反応は速やかに進行する。
【0066】
また、炭酸塩化処理の終点は、水溶液のpHをモニターして、そのpHが9〜10程度となる時点で炭酸塩化処理を終了することが望ましい。これは、炭酸塩化処理した含鉄集塵ダスト類に水分を添加し、造粒する際に、粒径10μm以下の微超微細粒子の表面電荷を負とし、水中での分散性を向上させるために、微超微細粒子の電荷零点よりも高いpHに維持する必要があるからである。
【0067】
鉄鉱石の微超微細粒子の主要鉱物成分であるゲーサイト(α‐FeOOH)粒子の電荷零点はpH8.1であるから、少なくともこれよりも高いpH領域であれば、粒径10μm以下の超微粒子の表面電荷を負とすることが可能となる。
【0068】
また、炭酸塩化処理の好ましい別の実施形態として、含鉄集塵ダスト類を、炭酸水素ナトリウム水溶液、または、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬し、含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を、アルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させる方法が好ましい。
【0069】
この炭酸塩化処理方法によれば、予め、赤外吸収スペクトル法やエチレングリコール抽出法などの測定方法により、含鉄集塵ダスト類中のCaOやCa(OH)2などのアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物の含有量を測定しておき、これらの含有量に応じて、炭酸水素ナトリウム水溶液、または、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液の濃度を調節することが好ましい。
【0070】
上記炭酸塩化処理方法の好ましい実施形態は、何れも、含鉄集塵ダスト類を水中または水溶液中に浸漬する処理方法であるため、含鉄集塵ダスト類を水蒸気とCO2を含有するガスと接触させて養生する方法に比べて処理時間が短く、反応効率が高く、ほぼ100%の収率で炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させることが可能となる。
【0071】
また、発明において、上記炭酸塩化処理に加えて、造粒する際に、粒径10μm以下の超微粒子の水分での分散性をさらに向上させ、造粒性を向上させ、造粒後の圧壊強度を向上させるために、造粒する際に、含鉄集塵ダスト類に、水分中で粒子の分散性を高める作用を有する分散剤を添加することが好ましい。
【0072】
分散剤としては、ケイ酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、タンニン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムが好ましく、ケイ酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、タンニン酸ナトリウムがより好ましい。なお、この中で、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムはリンを含有し、これらの分散剤を使用する場合には、造粒物中のリン濃度を高めることになるので、必要に応じて、その使用量を制限するのが好ましい。
【0073】
これらの分散剤は、造粒の際に、水中にCa2+イオンなどのアルカリ土類金属イオンが存在する場合には、水分中で粒径10μm以下の超微細粒子の分散性を高める効果が損なわれる。特に、上記分散剤のうちでも、ポリアクリル酸ナトリウムは、ナトリウムがカルシウムに置換し、架橋するために粘稠な物質となり、粒径10μm以下の超微細粒子の分散性を向上する効果は失われる。
【0074】
したがって、上記含鉄集塵ダスト類の炭酸塩化処理ともに、造粒する際に上記分散剤を添加することが好ましい。
【実施例】
【0075】
[実施例1]
図1に、微粉鉄鉱石と微粉鉄鉱石に炭酸処理ダスト、未処理含鉄ダストを混合したときの微粒子の沈降性を評価した結果を示す。(a)は、蒸留水20mLに150μm以下に粉砕した鉄鉱石0.5gを加えたもの、(b)は、蒸留水20mLに150μm以下に粉砕した鉄鉱石0.4gとCaOを11.4mass%含む高炉集塵ダストを水中で二酸化炭素を15分間通じて炭酸処理したものを加えたもの、(c)は、(a)に炭酸処理を行わない高炉集塵ダストを0.01g加えたものである。
【0076】
CaOを含む、炭酸処理を行わないダストをわずかに加えると、鉄鉱石微粒子は凝集し、水中で速やかに沈降するが、炭酸処理を行うと、鉄鉱石の20mass%混合しても、微粒子の凝集は起こらない。
【0077】
[実施例2]
表1に、含鉄ダストと鉄鉱石の性状を示す。含鉄ダストは、高炉、転炉、焼結工程から発生した集塵ダスト、スケール粉、スラッジなど12種類を混合し、成分調製したものである。含鉄ダストをそのまま蒸留水に懸濁したときのpHは、10.5であった。
【0078】
この含鉄ダスト1kgを蒸留水3L中に投入し、プロペラ型の攪拌機で攪拌しながら、二酸化炭素を1L/分で通じ、炭酸処理を行った。pHをモニターした結果、約30分でpHが9となったため、二酸化炭素の供給を停止し、大型の定性ろ紙を用いてろ過し、乾燥したものを炭酸処理ダストとした。
【0079】
表2に、実験した成分の混合比を示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
本試験では、原料の造粒性と焼結性の二つに分けて評価した。造粒性は、擬似粒化指数(GI0.25、GI0.5)と点火前の充填層の通気性(JPU)で評価した。
【0083】
擬似粒化指数:GI0.25、GI0.5(%)は次式より求めた。
GI0.25={(A−B)/A}×100
A:0.25mm以下の真粒子の配合割合
B:0.25mm以下の擬似粒子の配合割合
GI0.5の場合は、A:0.5mm以下の真粒子の配合割合、B:0.5mm以下の擬似粒子の配合割合
GI0.25、GI0.5は高いほど擬似粒子強度が強いことを意味する。
【0084】
JPUは次式により求めた。
JPU=(F/A)(h/s)0.6
F:流量(Nm3/min)
A:吸引面積(m2
h:装入層厚(m)
s:負圧(mH2O)
JPUは値が大きいほど原料層の通気性が良好であることを意味する。
【0085】
焼結性は、生産率、歩留、焼結時間に加え、品質として、耐還元粉化性(RDI)、還元率(RI)、タンブラー強度(TI)で評価した。
【0086】
耐還元粉化性(RDI JIS M8720)は、焼結鉱の高炉内の比較的低温領域での還元の際の粉化性を推定するもので、試料を30%CO、70%N2の還元性雰囲気で550℃30分間還元した後に、所定の回転試験機に装入して規定の回転数を回転させ、所定のふるいでふるい分け、各区分ごとの質量%により評価する。次式に計算式を示す。
【0087】
RDI(%)=(W3/W2)×100
2:回転試験機に装入した試料の質量(g)
3:ふるい分け後の3mm以下の試料質量(g)
【0088】
還元率(RI)は、JIS M8713に基づき、次式により計算した。
RI(%)=[(m1−m2)/{m0(0.430w2−0.111w1)}]×104
0:はかり取った試料質量(g)
1:還元開始直前の試料質量(g)
2:還元開始3時間後の試料質量(g)
1:還元前試料の酸化鉄(II)の質量%で、鉄(II)の質量%に酸化物換算 係数1.286を乗じて算出
2:還元前試料の全鉄質量%で、ISO2597によって測定
【0089】
タンブラー強度(TI)は、JIS M8712に基づき、試料を回転ドラム内で回転させ、6.3mmのふるいでふるい分け、試験に供された試料質量m0(g)と、試験後の+6.3mmの試料質量m1(g)から、次式により求めたものである。
TI=(m1/m0)×100
TIは、鉄鉱石(焼結鉱)の衝撃による粉化・崩壊に対する抵抗を表す強度であり、値が大きいほど粉化・崩壊に対する抵抗が強いことを意味する。
【0090】
表3に、GI0.25、GI0.5とJPUの測定結果を示す。今回用いた鉄鉱石は、そのままでも比較的造粒性が良く(参考例1)、また、分散剤の添加効果が現れにくいものであった(参考例2)。実施例1〜4は、参考例に比べるとやや強度が低く、通気性もやや劣っているが、これはダスト中に金属鉄なども含まれており、造粒性が劣っているものと考えられる。一方、比較例に対して実施例は、何れも、強度、通気性が大幅に改善されており、含鉄ダストを炭酸処理することによって、造粒に対するCa2+イオンの悪影響を抑制できることを示している。
【0091】
次に、操業結果と品質を表4に示す。実施例1〜4は、比較例に比べると、焼結時間が短く、成品歩留が一定レベルで確保されているため、生産率はかなり改善されている。また、ダストを原料に用いた場合は、もともと鉄の還元が進んでいるため、RIおよびRDIが参考例に比べて高めとなっている。
【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】微粉鉄鉱石と微粉鉄鉱石に炭酸処理ダスト、未処理含鉄ダストを混合したときの微粒子の沈降性を調べた結果を示す図である。 (a)は、蒸留水20mLに150μm以下に粉砕した鉄鉱石0.5gを加えたもの。 (b)は、蒸留水20mLに150μm以下に粉砕した鉄鉱石0.4gとCaOを11.4mass%含む高炉集塵ダストを水中で二酸化炭素を15分間通じて炭酸処理したものを加えたもの。 (c)は、(a)に炭酸処理を行わない高炉集塵ダストを0.01g加えたもの。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鉄所内で発生する含鉄集塵ダスト類の造粒方法において、予め、前記含鉄集塵ダスト類に炭酸塩化処理を施し、該含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させた後に、該含鉄集塵ダスト類、または、該含鉄集塵ダスト類とその他の鉄含有原料に、水を添加して混練、造粒することを特徴とする製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【請求項2】
前記含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物がCaOおよび/またはCa(OH)2であり、アルカリ土類金属炭酸塩が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【請求項3】
前記含鉄集塵ダスト類は、粒径が10μm以下の超微粒子を2mass%以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【請求項4】
前記炭酸塩化処理は、前記含鉄集塵ダスト類を水に浸漬した後、二酸化炭素、または、二酸化炭素を含有するガスを通じて、該含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【請求項5】
前記二酸化炭素を含有するガスは、空気、または、燃焼排ガスであることを特徴とする請求項4に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【請求項6】
前記炭酸塩化処理は、前記含鉄集塵ダスト類を炭酸水素ナトリウム水溶液、または、炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合水溶液に浸漬し、該含鉄集塵ダスト類中に含有されるアルカリ土類金属酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物をアルカリ土類金属炭酸塩として安定化し、析出させることを特徴とする請求項項1〜3の何れか1項に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【請求項7】
前記造粒の際に、ケイ酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、タンニン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムの内の1種または2種以上を含有する水溶液を添加することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。
【請求項8】
前記含鉄集塵ダスト類、または、該含鉄集塵ダスト類とその他の鉄含有原料に、さらに、副原料および/または炭材を添加した後、水を添加して混練、造粒することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の製鉄用含鉄集塵ダスト類の造粒方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−38181(P2008−38181A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211939(P2006−211939)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】