複共振アンテナ及び電子デバイス
【課題】最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化し得、電気的・機械的接続の信頼性の高い複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供する。
【解決手段】複共振アンテナは、誘電体ブロック3と、第1導体1と、第2導体2とを含む。誘電体ブロック3は、棒状であり、第1導体1は、誘電体ブロック3の内部において、その長さ方向に延び、一端が誘電体ブロック3の一端の側から外部に導出されており、第2導体2は、誘電体ブロック3の長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜でなる。
【解決手段】複共振アンテナは、誘電体ブロック3と、第1導体1と、第2導体2とを含む。誘電体ブロック3は、棒状であり、第1導体1は、誘電体ブロック3の内部において、その長さ方向に延び、一端が誘電体ブロック3の一端の側から外部に導出されており、第2導体2は、誘電体ブロック3の長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜でなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
複共振アンテナ(デュアル・バンド・アンテナまたはマルチ・バンド・アンテナと称されることもある)は、1チップ上に共振周波数の異なる2つのアンテナ電極を備えており、1チップでありながら、2つの異なる周波数帯に対応することができる。複共振アンテナが用いられる機器の例としては、GPS(Global Positioning System)の機能と、Bluetooth(登録商標 以下省略)の機能とを有する移動体通信装置、例えば携帯電話機を挙げることができる。GPSでは1.57GHz帯の電波を用い、Bluetoothでは2.45GHz帯の電波を用いており、これらの周波数帯に対応できる複共振アンテナが要求される。このような複共振アンテナとして、例えば、特許文献1は、誘電体基体の主面に低周波側アンテナ電極及び高周波側アンテナ電極を設けたものを開示している。
【0003】
また、最近、情報技術の発展に伴い、携帯電話機などでは、無線LANで授受されるデータに画像などの情報量の多いデータも含まれるようになってきている。そこで、無線LANで授受する情報のうち、情報量の大きいデータを伝送速度の速い高周波帯(例えば5.2GHz帯)で授受し、通常のデータを、通信距離が長い低周波帯(例えば2.45GHz帯)でデータを授受するという、使い分けが行われる。
【0004】
上述した複共振アンテナでは、低周波側アンテナ電極及び高周波側アンテナ電極は、一端を、一つの給電端に共通に接続し、他端を自由端とした、いわゆる二股のパターンとし、給電端から自由端までのアンテナ電気長を、λ/4とするのが一般的である。
【0005】
無線通信に適合するノート型パソコンでは、一般に、液晶表示装置で構成されたディスプレイの周縁に無線通信用複共振アンテナが配置されており、一方、送受信回路の一部を構成する回路部分が、キーボードに配置されている。そこで、ディスプレイの周縁に配置された無線通信用複共振アンテナを、同軸ケーブルを用いて、キーボードに内蔵された回路部分に接続する必要がある。
【0006】
上述したように、この種の無線通信用複共振アンテナは、ノート型パソコンの場合を例にとると、ディスプレイの周縁に残された狭いスペースに配置しなければならないから、そのような狭スペースに対応できなければならない。また、携帯に伴う不測の衝撃や、伴うディスプレイの開閉操作等に対して、複共振アンテナ回路の電気的・機械的接続が長期にわたって安定的に維持されるような構造でなければならない。
【0007】
ところが、特許文献に記載された複共振アンテナでは、アンテナ電極を同一面上に併設することから、小型化に限界があり、ノート型パソコン等の高密度実装の電子デバイス等への適用において、更に、改善すべき余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−167762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化
し得る複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、電気的・機械的接続の信頼性の高い複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロックと、第1導体と、第2導体とを含む。前記誘電体ブロックは、棒状である。前記第1導体は、前記誘電体ブロックの内部において、その長さ方向に延び、一端が前記誘電体ブロックの一端の側から外部に導出されている。前記第2導体は、前記誘電体ブロックの長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜である。
【0012】
上述したように、本発明に係る複共振アンテナでは、誘電体ブロックは、棒状であり、この誘電体ブロックの内部において、その長さ方向に延びる第1導体を有している。そして、この構造において、第2導体が、誘電体ブロックの長さ方向に沿い、その表面に導体膜として設けられている。この構造によれば、誘電体ブロックの比誘電率、第1導体の長さ及び位置、第1導体と第2導体との間に発生するキャパシタ、さらには、第2導体と接地との間の距離等に依存して共振周波数が定まる複共振アンテナが得られる。複共振アンテナとしては、誘電体ブロックを基本とし、その内外に第1導体及び導体膜でなる第2導体を設けた構造となるので、最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化し得る。
【0013】
しかも、第1導体は、その一端が誘電体ブロックの一端の側から外部に導出されているから、従来であれば、アンテナ導体に接続されていた同軸ケーブルの中心導体を、誘電体ブロックの内部に配置し、そのまま外部に導出する構成を採ることができる。このため、電気的・機械的接続の信頼性の高い複共振アンテナが実現される。
【0014】
同軸ケーブルは、周知のように、中心導体の周りを、絶縁層が被覆し、前記絶縁層の周りをシールド層が被覆し、前記シールド層の周りを外被層が被覆した構造となっている。そこで、先端から所定の長さをもって、前記外被層及び前記シールド層を除去する。そして、このようにして除去されて残った中心導体及び被覆絶縁層を、誘電体ブロックに挿入し、第1導体として用いる。
【0015】
上述したように、給電線たる同軸ケーブルの中心導体を、そのまま、第1導体として利用した複共振アンテナが実現される。このため、複共振アンテナに給電線たる同軸ケーブルを接続していた従来技術と異なって、第1導体が同軸ケーブルの中心導体として一本化され、部品点数の極少化、占有スペースの最小化が達成される。また、第1導体と同軸ケーブルとの間にはんだ付け部分等の接続部分が存在しないので、はんだ付け部分で両者の接続が切断される等のオープン故障を生じる余地がなくなる。しかも、第1導体は、同軸ケーブルのうち、中心導体を絶縁層で被覆した構造となり、シールド層を持たないので、中心導体とシールド層とのショート故障を生じることもない。また、面倒なはんだ付け工程が不要になるので、コスト低減にも寄与することができる。
【0016】
また、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロックを含んでおり、誘電体ブロックは第1導体を覆っているから、誘電体ブロックの比誘電率の選定により、波長短縮効果による縮小化を図りつつ、必要な特性を確保することができる。
【0017】
具体的な形態として、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端の側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置することがある。
【0018】
別の態様として、前記第2導体は、一端及び他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置することがある。
【0019】
更に別の態様として、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端とは反対側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置することもある。
【0020】
上述した3つの態様は、それぞれ、異なるアンテナ特性を示すので、要求される特性に従って、選択的に用いることができる。
【0021】
好ましい形態として、誘電体ブロックが、長さ方向に向かう孔を有しており、第1導体が孔の内部に挿入されている構造を採用することができる。別の形態として、誘電体ブロックは、少なくとも複数の分割片に分割され、分割片のそれぞれは互いに結合されていてもよい。分割の形態として、誘電体ブロックは、中心導体及び絶縁層の長さ方向に沿って分割されていてもよい。この場合、分割片の全てが、同一の比誘電率を持つ必要はなく、分割片の少なくとも一つは、他の分割片とは比誘電率が異なっていてもよい。
【0022】
第1導体は、誘電体ブロックの中心線上に配置されていてもよいし、中心線から外れた位置に配置されていてもよい。
【0023】
本発明は、更に、上述した複共振アンテナとともに、通信部を含む電子デバイスを開示する。そのような電子デバイスの代表例は、ノート型パソコンである。
【0024】
上述したように、この種の無線通信用複共振アンテナは、ノート型パソコンの場合を例にとると、ディスプレイの周縁に残された狭いスペースに配置しなければならないから、そのような狭スペースに対応できなければならない。また、携帯に伴う不測の衝撃や、伴うディスプレイの開閉操作等に対して、複共振アンテナ回路の電気的・機械的接続が長期にわたって安定的に維持されるような構造でなければならない。
【0025】
なお、同軸ケーブルをアンテナとして利用する技術は知られている(例えば特開2008−153816号公報)。しかし、この先行技術は、複共振アンテナに関するものではない。しかも、L型素子と、同軸ケーブルの2つの部分で構成されているため、部品点数が増え、ノート型パソコン上における占有スペースが拡大し、L型素子と同軸ケーブルとの間のはんだ付けの煩わしさ、はんだ付け部分を有することによる電気的・機械的接続の信頼性低下等の問題を抱えている。
【発明の効果】
【0026】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化し得る複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することができる。
(b)電気的・機械的接続の信頼性の高い複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することができる。
(c)波長短縮効果による第1導体の縮小化を図りつつ、必要な特性を確保することができる複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することができる。
【0027】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る複共振アンテナの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1〜図3に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの一部を示す図である。
【図5】図4の一部を拡大した図である。
【図6】図1〜図3に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの別の例を示す図である。
【図7】図1〜図3に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの更に別の例を示す図である。
【図8】本発明に係る複共振アンテナの別の例を示す断面図である。
【図9】図8に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの例を示す図である。
【図10】図8に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの別の例を示す図である。
【図11】図8に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの更に別の例を示す図である。
【図12】本発明に係る複共振アンテナの更に別の例を示す断面図である。
【図13】図12に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの例を示す図である。
【図14】図12に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの別の例を示す図である。
【図15】図12に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの更に別の例を示す図である。
【図16】本発明に係る複共振アンテナのGPS電波に対するリターン・ロス特性を示す図である。
【図17】本発明に係る複共振アンテナのGPS電波に対する効率特性を示す図である。
【図18】本発明に係る複共振アンテナのBluetooth電波に対するリターン・ロス特性を示す図である。
【図19】本発明に係る複共振アンテナのBluetooth電波に対する効率特性を示す図である。
【図20】本発明に係る複共振アンテナの更に別の形態を示す図である。
【図21】本発明に係る複共振アンテナの更に別の形態を示す図である。
【図22】本発明に係る複共振アンテナの更に別の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
まず、図1を参照すると、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロック3と、第1導体1と、第2導体2とを含む。誘電体ブロック3は、長さL1及び幅W1を持つ棒状である。実施の形態に示す誘電体ブロック3は、上面、下面、前面及び背面を有する断面4角形状であるが、他の断面多角形状、断面円形状、断面楕円形状またはそれらの組合せであってもよい。誘電体ブロック3は、有機誘電体材料であってもよいし、無機誘電体材料であってもよいし、更には、有機誘電体材料と無機誘電体材料とを混合した複合誘電体材料であってもよい。
【0030】
第1導体1は、誘電体ブロック3の内部において、その長さ方向に延び、一端が誘電体ブロック3の一端の側から外部に導出されており、誘電体ブロック3の内部にある部分が、アンテナ部分105として機能する。
【0031】
第2導体2は、誘電体ブロック3の長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜でなる。第2導体2は、Cuを主成分とするものによって構成することができる。耐候性、耐酸化性、耐摩耗性等を考慮して、多層めっき構造としてもよい。図示の第2導体2は、一端が誘電体ブロック3の一端の側に位置し、他端が誘電体ブロック3の長さ方向の中間部
に位置させてある。第2導体2の長さL2は、共振周波数に応じて選定される。この実施例の誘電体ブロック3は、1.57GHz帯のGPS電波、2.45GHz帯のBluetooth電波に対応することを前提とし、その全長L2及び幅W2を、誘電体ブロック3の全長L1及び幅W1の略半分よりも少し小さい値にしてある。もっとも、複共振アンテナとしての共振周波数は、誘電体ブロック3の比誘電率、第1導体1の長さ及び位置、第1導体1と第2導体2との間に発生するキャパシタ、さらには、第2導体2と接地との間の距離等に依存して定まるので、これらの定数が変化した場合には誘電体ブロック3の長さL1、幅W1、さらには、第2導体2の長さL2、幅W2も変化するので、図はあくまで一例に過ぎない。
【0032】
第1導体1は、好ましくは、同軸ケーブルを利用して構成することができる。同軸ケーブルは、周知のように、中心導体101の周りを、絶縁層102が被覆し、絶縁層102の周りをシールド層103が被覆し、シールド層103の周りを外被層104が被覆している。
【0033】
中心導体101は、一般には、Cu線によって構成され、絶縁層102は、例えば、ポリエチレン等によって構成され、シールド層103は網組み銅線によって構成される。外被層104は、例えば、ビニル等によって構成されている。シールド層103の内径、中心導体101の直径及び絶縁層102の比誘電率εr1は、同軸ケーブルの特性インピーダンスが、例えば50Ωとなるように定められる。
【0034】
上述した一般的な同軸ケーブルにおいて、その先端から所定の長さをもって、外被層104及びシールド層103の除去された除去部分105を有しており、中心導体101のうち、この除去部分105が、アンテナ部分として機能する。
【0035】
誘電体ブロック3は、外被層104及びシールド層103の除去された除去部分105を覆っている。除去部分105は、誘電体ブロック3の中心線上に配置されていてもよいし、中心線から外れた位置に配置されていてもよい。また、誘電体ブロック3は、先端側では、中心導体101の先端が、誘電体ブロック3の内部で終わるようにしてもよいし、後端側では、同軸ケーブルの外被層104を部分的に覆うようにしてもよい。更に、その形状は、図示の断面四角形状に限らず、他の多角形状であってもよいし、断面円形状又は断面楕円形状等であってもよい。要するに、誘電体ブロック3は任意の外形、断面形状を採ることができる。
【0036】
具体的な形態として、誘電体ブロック3は、長さ方向に向かう直線状の孔を有しており、除去部分105は、孔の内部に挿入されている。除去部分105は、接着剤等によって、孔の内周面に接着固定することが好ましい。接着剤の有する比誘電率による影響を軽減するため、接着箇所は、例えば、導入口等に限ることが好ましい。
【0037】
上述した複共振アンテナは、第1導体1及び第2導体2による複数の共振周波数を持つ複共振特性をもつようになる。具体的には、1.57GHz帯のGPS電波及び2.45GHz帯のBluetooth電波の周波数に共振する複共振アンテナである。
【0038】
上述したように、本発明に係る複共振アンテナでは、誘電体ブロック3は、棒状であり、この誘電体ブロック3の内部において、その長さ方向に延びる第1導体1を有している。そして、この構造において、第2導体2が、誘電体ブロック3の長さ方向に沿い、その表面に導体膜として設けられている。この構造によれば、誘電体ブロック3の比誘電率、第1導体1の長さ及び位置、第1導体1と第2導体2との間に発生するキャパシタ、さらには、第2導体2と接地との間の距離等に依存して共振周波数が定まる複共振アンテナが得られる。複共振アンテナとしては、誘電体ブロック3を基本とし、その内外に第1導体
1及び導体膜でなる第2導体2を設けた構造となるので、最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化し得る。
【0039】
しかも、第1導体1は、その一端が誘電体ブロック3の一端の側から外部に導出されているから、給電線たる同軸ケーブルの中心導体を、そのまま、第1導体1として利用した実施の形態を採ることができる。
【0040】
さらに、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロック3を含んでおり、誘電体ブロック3は除去部分105を覆っているから、誘電体ブロック3の比誘電率εr2の選定により、波長短縮効果による除去部分105の縮小化を図りつつ、必要な特性を確保することができる。除去部分105は、同軸ケーブルの絶縁層102によって覆われているので、その比誘電率εr1による波長短縮効果を生じるが、同軸ケーブルの絶縁層102の比誘電率εr1は、同軸ケーブル・メーカによって特定されており、ユーザが任意に選定できるものではない。本発明では、同軸ケーブルとは別に、除去部分105を覆う誘電体ブロック3を有するから、誘電体ブロック3の比誘電率εr2を選定し、波長短縮効果を上げることができる。波長短縮の観点からは、誘電体ブロック3の比誘電率εr2は、同軸ケーブルの絶縁層102の比誘電率εr1よりも高くしてある。
【0041】
本発明に係る複共振アンテナは、例えば、無線LANに適合する通信機能を有する電子デバイスに用いられる。そのような例として、図4及び図5は、キーボード701及びディスプレイ702を備えるノート型パソコン7への適用を図示している。
【0042】
図4及び図5を参照すると、本発明に係る複共振アンテナ5は、ディスプレイ702の周辺に残された狭いスペース703に配置される。複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面が、基板上等に平面パターンとして形成された接地導体705の面と直交する関係で、スペース703に配置されている。より具体的には、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に遠い上面にある。同軸ケーブルでなる第1導体1は、ディスプレイ702の周辺を縁取る枠体704に沿って導かれ、枠体704の外側に配置された接地導体705に、外被層104の上から接着テープ706等で固定される。そして、外被層104を剥いで露出させたシールド層103を、接地導体705にはんだ付け707等の手段によって固定する。
【0043】
実施の形態に示された同軸ケーブルは、先端から所定の長さL1をもって、外被層104及びシールド層103の除去された除去部分105を有しているから、給電線たる同軸ケーブルの中心導体101をそのまま利用した複共振アンテナ5が実現される。このため、例えば、L型素子に、給電線たる同軸ケーブルを接続していた従来技術と異なって、除去部分105が、同軸ケーブルの中心導体101として一本化され、部品点数の極少化、電子デバイスへの実装時における占有スペース703の最小化が達成される。
【0044】
また、シールド層103を電子デバイスの接地導体705にはんだ付けする場合を除いて、除去部分105と同軸ケーブルとの間にはんだ付け部分等の接続部分が存在しないので、はんだ付け部分で両者の接続が切断される等のオープン故障を生じる余地がなくなる。
【0045】
しかも、除去部分105は、中心導体101を絶縁層102で被覆した構造となり、シールド層103を持たないので、従来であれば問題となる中心導体101とシールド層103とのショート故障を生じることもない。また、面倒なはんだ付け工程が不要になるので、コスト低減にも寄与することができる。
【0046】
本発明に係る複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面と、接地導体705との相対関係
によって、リターン・ロスや放射効率等のアンテナ特性が変化する。したがって、第2導体2の膜面と接地導体705との相対関係を変えることによって、アンテナ特性を変えることができる。その一例を図6及び図7に示す。これらの図において、図4及び図5に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明はこれを省略する。まず、図6の実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面の間の側面にある。次に、図7に示す実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に近い下面にある。
【0047】
更に、本発明に係る複共振アンテナ5のアンテナ特性は、誘電体ブロック3に対する第2導体2の相対位置を変えることによっても、変化させることができる。図8にその一例を示す。図8において、図1に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。図8において、第2導体2は、一端及び他端が誘電体ブロック3の長さ方向の中間部に位置する。より具体的には、第2導体2の一端は、誘電体ブロック3の一端から長さL3だけ内側にあり、他端は誘電体ブロック3の他端から長さL4だけ内側にある。
【0048】
図9〜図11は、図8に示した複共振アンテナ5を用いた電子デバイスの例を示している。まず、図9では、複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面が、接地導体705の板面と直交する関係で、スペース703に配置されている。より具体的には、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に遠い上面にある。
【0049】
図10では第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面の間の側面にある。次に、図11に示す実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に近い下面にある。
【0050】
図12は本発明に係る複共振アンテナ5の更に別の実施の形態を示している。図12において、図1に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。図12において、第2導体2は、一端が誘電体ブロック3の前記一端とは反対側に位置し、他端が誘電体ブロック3の長さ方向の中間部に位置する。具体的には、第2導体2の一端は、誘電体ブロック3の一端から長さL5だけ内側にある。
【0051】
図13〜図15は、図12に示した複共振アンテナ5を用いた電子デバイスの例を示している。まず、図13では、複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面が、接地導体705の板面と直交する関係で、スペース703に配置されている。より具体的には、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に遠い上面にある。
【0052】
図14では第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面の間の側面にある。図15に示す実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に近い下面にある。
【0053】
次に、本発明に係る複共振アンテナ5を電子デバイスに組み込んだときのアンテナ特性について、図16〜図19を参照して説明する。これらの図において、曲線Aは、図1に示した複共振アンテナ5を図4及び図5に示す配置としたときのアンテナ特性、曲線Bは、図8に示した複共振アンテナ5を、図9に示す配置としたときのアンテナ特性、曲線Cは、図12に示した複共振アンテナ5を、図13に示す配置としたときの特性、曲線Dは図1に示した複共振アンテナ5を、図6に示す配置としたときの特性、及び、曲線Gは図1に示した複共振アンテナ5を、図7に示す配置としたときのアンテナ特性をそれぞれ示している。
【0054】
図16は、1.57GHz帯のGPS電波に対するリターン・ロス特性を示し、図17は、同じく効率特性を示している。図18は、2.45GHz帯のBluetooth電波に対するリターン・ロス特性を示し、図19は同じく効率特性を示している。
【0055】
これらの図16〜図19から理解されるように、本発明に係る複共振アンテナ5によれば、1.57GHz帯のGPS電波及び2.45GHz帯のBluetooth電波の何れにおいても、必要なアンテナ特性を確保することができる。
【0056】
また、誘電体ブロック3に対する第2導体2の相対位置によって、GPS電波及びBluetooth電波の何れにおいても、リターン・ロス及び効率が変化する。また、電子デバイスとして用いたとき、特性A,D,Gの対比から明らかなように、誘電体ブロック3に対する第2導体2の相対位置が同じであっても、第2導体2の接地電極に対する相対位置によって、アンテナ特性が変化する。図示は省略するが、他の形態の複共振アンテナ5及びそれを用いた電子デバイスでも、同様に、GPS電波及びBluetooth電波の両者において、必要なアンテナ特性を確保することができる。
【0057】
次に、図20を参照すると、誘電体ブロック3は、複数個n(=2)の分割片301,302に分割されている。図20の実施の形態では、誘電体ブロック3は、中心導体101及び絶縁層102の長さ方向に沿って分割されている。第2導体2は、分割片301又は302の何れかの表面上に配置する。分割片301,302は、同一の比誘電率を持つ必要はない。例えば、図20に示すように、分割線が上下方向を向くように配置した場合には、接地導体705に近い側の分割片301の比誘電率εr21を、分割片302の比誘電率εr22よりも高くすることにより、波長短縮効果を促進することができる。
【0058】
或いは、図21に示すように、分割線が水平方向を向くように配置した場合には、接地導体705に近い下側の分割片301の比誘電率εr21を、上側の分割片302の比誘電率εr22よりも高くすることにより、波長短縮効果を促進することができる。
【0059】
更に、本発明に係る複共振アンテナ5は、図22に図示するように、補強部材9を含むことができる。補強部材9は、同軸ケーブルに嵌めこまれ、一端面が誘電体ブロック3の端面に押し付けられる。この構成によれば、誘電体ブロック3との境界において、同軸ケーブルの急激な曲がりを回避し、曲げによって、同軸ケーブルが損傷、破断等を受けるのを回避することができる。補強部材9は、例えば、ゴム又はプラスチック等によって構成することができる。
【0060】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0061】
1 第1導体
2 第2導体
3 誘電体ブロック
101 中心導体
102 絶縁層
103 シールド層
104 外被層
【技術分野】
【0001】
本発明は、複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
複共振アンテナ(デュアル・バンド・アンテナまたはマルチ・バンド・アンテナと称されることもある)は、1チップ上に共振周波数の異なる2つのアンテナ電極を備えており、1チップでありながら、2つの異なる周波数帯に対応することができる。複共振アンテナが用いられる機器の例としては、GPS(Global Positioning System)の機能と、Bluetooth(登録商標 以下省略)の機能とを有する移動体通信装置、例えば携帯電話機を挙げることができる。GPSでは1.57GHz帯の電波を用い、Bluetoothでは2.45GHz帯の電波を用いており、これらの周波数帯に対応できる複共振アンテナが要求される。このような複共振アンテナとして、例えば、特許文献1は、誘電体基体の主面に低周波側アンテナ電極及び高周波側アンテナ電極を設けたものを開示している。
【0003】
また、最近、情報技術の発展に伴い、携帯電話機などでは、無線LANで授受されるデータに画像などの情報量の多いデータも含まれるようになってきている。そこで、無線LANで授受する情報のうち、情報量の大きいデータを伝送速度の速い高周波帯(例えば5.2GHz帯)で授受し、通常のデータを、通信距離が長い低周波帯(例えば2.45GHz帯)でデータを授受するという、使い分けが行われる。
【0004】
上述した複共振アンテナでは、低周波側アンテナ電極及び高周波側アンテナ電極は、一端を、一つの給電端に共通に接続し、他端を自由端とした、いわゆる二股のパターンとし、給電端から自由端までのアンテナ電気長を、λ/4とするのが一般的である。
【0005】
無線通信に適合するノート型パソコンでは、一般に、液晶表示装置で構成されたディスプレイの周縁に無線通信用複共振アンテナが配置されており、一方、送受信回路の一部を構成する回路部分が、キーボードに配置されている。そこで、ディスプレイの周縁に配置された無線通信用複共振アンテナを、同軸ケーブルを用いて、キーボードに内蔵された回路部分に接続する必要がある。
【0006】
上述したように、この種の無線通信用複共振アンテナは、ノート型パソコンの場合を例にとると、ディスプレイの周縁に残された狭いスペースに配置しなければならないから、そのような狭スペースに対応できなければならない。また、携帯に伴う不測の衝撃や、伴うディスプレイの開閉操作等に対して、複共振アンテナ回路の電気的・機械的接続が長期にわたって安定的に維持されるような構造でなければならない。
【0007】
ところが、特許文献に記載された複共振アンテナでは、アンテナ電極を同一面上に併設することから、小型化に限界があり、ノート型パソコン等の高密度実装の電子デバイス等への適用において、更に、改善すべき余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−167762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化
し得る複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、電気的・機械的接続の信頼性の高い複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロックと、第1導体と、第2導体とを含む。前記誘電体ブロックは、棒状である。前記第1導体は、前記誘電体ブロックの内部において、その長さ方向に延び、一端が前記誘電体ブロックの一端の側から外部に導出されている。前記第2導体は、前記誘電体ブロックの長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜である。
【0012】
上述したように、本発明に係る複共振アンテナでは、誘電体ブロックは、棒状であり、この誘電体ブロックの内部において、その長さ方向に延びる第1導体を有している。そして、この構造において、第2導体が、誘電体ブロックの長さ方向に沿い、その表面に導体膜として設けられている。この構造によれば、誘電体ブロックの比誘電率、第1導体の長さ及び位置、第1導体と第2導体との間に発生するキャパシタ、さらには、第2導体と接地との間の距離等に依存して共振周波数が定まる複共振アンテナが得られる。複共振アンテナとしては、誘電体ブロックを基本とし、その内外に第1導体及び導体膜でなる第2導体を設けた構造となるので、最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化し得る。
【0013】
しかも、第1導体は、その一端が誘電体ブロックの一端の側から外部に導出されているから、従来であれば、アンテナ導体に接続されていた同軸ケーブルの中心導体を、誘電体ブロックの内部に配置し、そのまま外部に導出する構成を採ることができる。このため、電気的・機械的接続の信頼性の高い複共振アンテナが実現される。
【0014】
同軸ケーブルは、周知のように、中心導体の周りを、絶縁層が被覆し、前記絶縁層の周りをシールド層が被覆し、前記シールド層の周りを外被層が被覆した構造となっている。そこで、先端から所定の長さをもって、前記外被層及び前記シールド層を除去する。そして、このようにして除去されて残った中心導体及び被覆絶縁層を、誘電体ブロックに挿入し、第1導体として用いる。
【0015】
上述したように、給電線たる同軸ケーブルの中心導体を、そのまま、第1導体として利用した複共振アンテナが実現される。このため、複共振アンテナに給電線たる同軸ケーブルを接続していた従来技術と異なって、第1導体が同軸ケーブルの中心導体として一本化され、部品点数の極少化、占有スペースの最小化が達成される。また、第1導体と同軸ケーブルとの間にはんだ付け部分等の接続部分が存在しないので、はんだ付け部分で両者の接続が切断される等のオープン故障を生じる余地がなくなる。しかも、第1導体は、同軸ケーブルのうち、中心導体を絶縁層で被覆した構造となり、シールド層を持たないので、中心導体とシールド層とのショート故障を生じることもない。また、面倒なはんだ付け工程が不要になるので、コスト低減にも寄与することができる。
【0016】
また、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロックを含んでおり、誘電体ブロックは第1導体を覆っているから、誘電体ブロックの比誘電率の選定により、波長短縮効果による縮小化を図りつつ、必要な特性を確保することができる。
【0017】
具体的な形態として、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端の側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置することがある。
【0018】
別の態様として、前記第2導体は、一端及び他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置することがある。
【0019】
更に別の態様として、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端とは反対側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置することもある。
【0020】
上述した3つの態様は、それぞれ、異なるアンテナ特性を示すので、要求される特性に従って、選択的に用いることができる。
【0021】
好ましい形態として、誘電体ブロックが、長さ方向に向かう孔を有しており、第1導体が孔の内部に挿入されている構造を採用することができる。別の形態として、誘電体ブロックは、少なくとも複数の分割片に分割され、分割片のそれぞれは互いに結合されていてもよい。分割の形態として、誘電体ブロックは、中心導体及び絶縁層の長さ方向に沿って分割されていてもよい。この場合、分割片の全てが、同一の比誘電率を持つ必要はなく、分割片の少なくとも一つは、他の分割片とは比誘電率が異なっていてもよい。
【0022】
第1導体は、誘電体ブロックの中心線上に配置されていてもよいし、中心線から外れた位置に配置されていてもよい。
【0023】
本発明は、更に、上述した複共振アンテナとともに、通信部を含む電子デバイスを開示する。そのような電子デバイスの代表例は、ノート型パソコンである。
【0024】
上述したように、この種の無線通信用複共振アンテナは、ノート型パソコンの場合を例にとると、ディスプレイの周縁に残された狭いスペースに配置しなければならないから、そのような狭スペースに対応できなければならない。また、携帯に伴う不測の衝撃や、伴うディスプレイの開閉操作等に対して、複共振アンテナ回路の電気的・機械的接続が長期にわたって安定的に維持されるような構造でなければならない。
【0025】
なお、同軸ケーブルをアンテナとして利用する技術は知られている(例えば特開2008−153816号公報)。しかし、この先行技術は、複共振アンテナに関するものではない。しかも、L型素子と、同軸ケーブルの2つの部分で構成されているため、部品点数が増え、ノート型パソコン上における占有スペースが拡大し、L型素子と同軸ケーブルとの間のはんだ付けの煩わしさ、はんだ付け部分を有することによる電気的・機械的接続の信頼性低下等の問題を抱えている。
【発明の効果】
【0026】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化し得る複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することができる。
(b)電気的・機械的接続の信頼性の高い複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することができる。
(c)波長短縮効果による第1導体の縮小化を図りつつ、必要な特性を確保することができる複共振アンテナ及びそれを用いた電子デバイスを提供することができる。
【0027】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る複共振アンテナの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1〜図3に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの一部を示す図である。
【図5】図4の一部を拡大した図である。
【図6】図1〜図3に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの別の例を示す図である。
【図7】図1〜図3に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの更に別の例を示す図である。
【図8】本発明に係る複共振アンテナの別の例を示す断面図である。
【図9】図8に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの例を示す図である。
【図10】図8に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの別の例を示す図である。
【図11】図8に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの更に別の例を示す図である。
【図12】本発明に係る複共振アンテナの更に別の例を示す断面図である。
【図13】図12に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの例を示す図である。
【図14】図12に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの別の例を示す図である。
【図15】図12に示した複共振アンテナを組み込んだノート型パソコンの更に別の例を示す図である。
【図16】本発明に係る複共振アンテナのGPS電波に対するリターン・ロス特性を示す図である。
【図17】本発明に係る複共振アンテナのGPS電波に対する効率特性を示す図である。
【図18】本発明に係る複共振アンテナのBluetooth電波に対するリターン・ロス特性を示す図である。
【図19】本発明に係る複共振アンテナのBluetooth電波に対する効率特性を示す図である。
【図20】本発明に係る複共振アンテナの更に別の形態を示す図である。
【図21】本発明に係る複共振アンテナの更に別の形態を示す図である。
【図22】本発明に係る複共振アンテナの更に別の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
まず、図1を参照すると、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロック3と、第1導体1と、第2導体2とを含む。誘電体ブロック3は、長さL1及び幅W1を持つ棒状である。実施の形態に示す誘電体ブロック3は、上面、下面、前面及び背面を有する断面4角形状であるが、他の断面多角形状、断面円形状、断面楕円形状またはそれらの組合せであってもよい。誘電体ブロック3は、有機誘電体材料であってもよいし、無機誘電体材料であってもよいし、更には、有機誘電体材料と無機誘電体材料とを混合した複合誘電体材料であってもよい。
【0030】
第1導体1は、誘電体ブロック3の内部において、その長さ方向に延び、一端が誘電体ブロック3の一端の側から外部に導出されており、誘電体ブロック3の内部にある部分が、アンテナ部分105として機能する。
【0031】
第2導体2は、誘電体ブロック3の長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜でなる。第2導体2は、Cuを主成分とするものによって構成することができる。耐候性、耐酸化性、耐摩耗性等を考慮して、多層めっき構造としてもよい。図示の第2導体2は、一端が誘電体ブロック3の一端の側に位置し、他端が誘電体ブロック3の長さ方向の中間部
に位置させてある。第2導体2の長さL2は、共振周波数に応じて選定される。この実施例の誘電体ブロック3は、1.57GHz帯のGPS電波、2.45GHz帯のBluetooth電波に対応することを前提とし、その全長L2及び幅W2を、誘電体ブロック3の全長L1及び幅W1の略半分よりも少し小さい値にしてある。もっとも、複共振アンテナとしての共振周波数は、誘電体ブロック3の比誘電率、第1導体1の長さ及び位置、第1導体1と第2導体2との間に発生するキャパシタ、さらには、第2導体2と接地との間の距離等に依存して定まるので、これらの定数が変化した場合には誘電体ブロック3の長さL1、幅W1、さらには、第2導体2の長さL2、幅W2も変化するので、図はあくまで一例に過ぎない。
【0032】
第1導体1は、好ましくは、同軸ケーブルを利用して構成することができる。同軸ケーブルは、周知のように、中心導体101の周りを、絶縁層102が被覆し、絶縁層102の周りをシールド層103が被覆し、シールド層103の周りを外被層104が被覆している。
【0033】
中心導体101は、一般には、Cu線によって構成され、絶縁層102は、例えば、ポリエチレン等によって構成され、シールド層103は網組み銅線によって構成される。外被層104は、例えば、ビニル等によって構成されている。シールド層103の内径、中心導体101の直径及び絶縁層102の比誘電率εr1は、同軸ケーブルの特性インピーダンスが、例えば50Ωとなるように定められる。
【0034】
上述した一般的な同軸ケーブルにおいて、その先端から所定の長さをもって、外被層104及びシールド層103の除去された除去部分105を有しており、中心導体101のうち、この除去部分105が、アンテナ部分として機能する。
【0035】
誘電体ブロック3は、外被層104及びシールド層103の除去された除去部分105を覆っている。除去部分105は、誘電体ブロック3の中心線上に配置されていてもよいし、中心線から外れた位置に配置されていてもよい。また、誘電体ブロック3は、先端側では、中心導体101の先端が、誘電体ブロック3の内部で終わるようにしてもよいし、後端側では、同軸ケーブルの外被層104を部分的に覆うようにしてもよい。更に、その形状は、図示の断面四角形状に限らず、他の多角形状であってもよいし、断面円形状又は断面楕円形状等であってもよい。要するに、誘電体ブロック3は任意の外形、断面形状を採ることができる。
【0036】
具体的な形態として、誘電体ブロック3は、長さ方向に向かう直線状の孔を有しており、除去部分105は、孔の内部に挿入されている。除去部分105は、接着剤等によって、孔の内周面に接着固定することが好ましい。接着剤の有する比誘電率による影響を軽減するため、接着箇所は、例えば、導入口等に限ることが好ましい。
【0037】
上述した複共振アンテナは、第1導体1及び第2導体2による複数の共振周波数を持つ複共振特性をもつようになる。具体的には、1.57GHz帯のGPS電波及び2.45GHz帯のBluetooth電波の周波数に共振する複共振アンテナである。
【0038】
上述したように、本発明に係る複共振アンテナでは、誘電体ブロック3は、棒状であり、この誘電体ブロック3の内部において、その長さ方向に延びる第1導体1を有している。そして、この構造において、第2導体2が、誘電体ブロック3の長さ方向に沿い、その表面に導体膜として設けられている。この構造によれば、誘電体ブロック3の比誘電率、第1導体1の長さ及び位置、第1導体1と第2導体2との間に発生するキャパシタ、さらには、第2導体2と接地との間の距離等に依存して共振周波数が定まる複共振アンテナが得られる。複共振アンテナとしては、誘電体ブロック3を基本とし、その内外に第1導体
1及び導体膜でなる第2導体2を設けた構造となるので、最少の部品点数で済み、電子デバイスにおける占有スペースを極小化し得る。
【0039】
しかも、第1導体1は、その一端が誘電体ブロック3の一端の側から外部に導出されているから、給電線たる同軸ケーブルの中心導体を、そのまま、第1導体1として利用した実施の形態を採ることができる。
【0040】
さらに、本発明に係る複共振アンテナは、誘電体ブロック3を含んでおり、誘電体ブロック3は除去部分105を覆っているから、誘電体ブロック3の比誘電率εr2の選定により、波長短縮効果による除去部分105の縮小化を図りつつ、必要な特性を確保することができる。除去部分105は、同軸ケーブルの絶縁層102によって覆われているので、その比誘電率εr1による波長短縮効果を生じるが、同軸ケーブルの絶縁層102の比誘電率εr1は、同軸ケーブル・メーカによって特定されており、ユーザが任意に選定できるものではない。本発明では、同軸ケーブルとは別に、除去部分105を覆う誘電体ブロック3を有するから、誘電体ブロック3の比誘電率εr2を選定し、波長短縮効果を上げることができる。波長短縮の観点からは、誘電体ブロック3の比誘電率εr2は、同軸ケーブルの絶縁層102の比誘電率εr1よりも高くしてある。
【0041】
本発明に係る複共振アンテナは、例えば、無線LANに適合する通信機能を有する電子デバイスに用いられる。そのような例として、図4及び図5は、キーボード701及びディスプレイ702を備えるノート型パソコン7への適用を図示している。
【0042】
図4及び図5を参照すると、本発明に係る複共振アンテナ5は、ディスプレイ702の周辺に残された狭いスペース703に配置される。複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面が、基板上等に平面パターンとして形成された接地導体705の面と直交する関係で、スペース703に配置されている。より具体的には、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に遠い上面にある。同軸ケーブルでなる第1導体1は、ディスプレイ702の周辺を縁取る枠体704に沿って導かれ、枠体704の外側に配置された接地導体705に、外被層104の上から接着テープ706等で固定される。そして、外被層104を剥いで露出させたシールド層103を、接地導体705にはんだ付け707等の手段によって固定する。
【0043】
実施の形態に示された同軸ケーブルは、先端から所定の長さL1をもって、外被層104及びシールド層103の除去された除去部分105を有しているから、給電線たる同軸ケーブルの中心導体101をそのまま利用した複共振アンテナ5が実現される。このため、例えば、L型素子に、給電線たる同軸ケーブルを接続していた従来技術と異なって、除去部分105が、同軸ケーブルの中心導体101として一本化され、部品点数の極少化、電子デバイスへの実装時における占有スペース703の最小化が達成される。
【0044】
また、シールド層103を電子デバイスの接地導体705にはんだ付けする場合を除いて、除去部分105と同軸ケーブルとの間にはんだ付け部分等の接続部分が存在しないので、はんだ付け部分で両者の接続が切断される等のオープン故障を生じる余地がなくなる。
【0045】
しかも、除去部分105は、中心導体101を絶縁層102で被覆した構造となり、シールド層103を持たないので、従来であれば問題となる中心導体101とシールド層103とのショート故障を生じることもない。また、面倒なはんだ付け工程が不要になるので、コスト低減にも寄与することができる。
【0046】
本発明に係る複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面と、接地導体705との相対関係
によって、リターン・ロスや放射効率等のアンテナ特性が変化する。したがって、第2導体2の膜面と接地導体705との相対関係を変えることによって、アンテナ特性を変えることができる。その一例を図6及び図7に示す。これらの図において、図4及び図5に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明はこれを省略する。まず、図6の実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面の間の側面にある。次に、図7に示す実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に近い下面にある。
【0047】
更に、本発明に係る複共振アンテナ5のアンテナ特性は、誘電体ブロック3に対する第2導体2の相対位置を変えることによっても、変化させることができる。図8にその一例を示す。図8において、図1に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。図8において、第2導体2は、一端及び他端が誘電体ブロック3の長さ方向の中間部に位置する。より具体的には、第2導体2の一端は、誘電体ブロック3の一端から長さL3だけ内側にあり、他端は誘電体ブロック3の他端から長さL4だけ内側にある。
【0048】
図9〜図11は、図8に示した複共振アンテナ5を用いた電子デバイスの例を示している。まず、図9では、複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面が、接地導体705の板面と直交する関係で、スペース703に配置されている。より具体的には、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に遠い上面にある。
【0049】
図10では第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面の間の側面にある。次に、図11に示す実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に近い下面にある。
【0050】
図12は本発明に係る複共振アンテナ5の更に別の実施の形態を示している。図12において、図1に現れた構成部分と対応する部分については、同一の参照符号を付し、重複説明は、これを省略する。図12において、第2導体2は、一端が誘電体ブロック3の前記一端とは反対側に位置し、他端が誘電体ブロック3の長さ方向の中間部に位置する。具体的には、第2導体2の一端は、誘電体ブロック3の一端から長さL5だけ内側にある。
【0051】
図13〜図15は、図12に示した複共振アンテナ5を用いた電子デバイスの例を示している。まず、図13では、複共振アンテナ5は、第2導体2の膜面が、接地導体705の板面と直交する関係で、スペース703に配置されている。より具体的には、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に遠い上面にある。
【0052】
図14では第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面の間の側面にある。図15に示す実施の形態では、第2導体2は、誘電体ブロック3の対向する上面及び下面のうち、接地導体705に近い下面にある。
【0053】
次に、本発明に係る複共振アンテナ5を電子デバイスに組み込んだときのアンテナ特性について、図16〜図19を参照して説明する。これらの図において、曲線Aは、図1に示した複共振アンテナ5を図4及び図5に示す配置としたときのアンテナ特性、曲線Bは、図8に示した複共振アンテナ5を、図9に示す配置としたときのアンテナ特性、曲線Cは、図12に示した複共振アンテナ5を、図13に示す配置としたときの特性、曲線Dは図1に示した複共振アンテナ5を、図6に示す配置としたときの特性、及び、曲線Gは図1に示した複共振アンテナ5を、図7に示す配置としたときのアンテナ特性をそれぞれ示している。
【0054】
図16は、1.57GHz帯のGPS電波に対するリターン・ロス特性を示し、図17は、同じく効率特性を示している。図18は、2.45GHz帯のBluetooth電波に対するリターン・ロス特性を示し、図19は同じく効率特性を示している。
【0055】
これらの図16〜図19から理解されるように、本発明に係る複共振アンテナ5によれば、1.57GHz帯のGPS電波及び2.45GHz帯のBluetooth電波の何れにおいても、必要なアンテナ特性を確保することができる。
【0056】
また、誘電体ブロック3に対する第2導体2の相対位置によって、GPS電波及びBluetooth電波の何れにおいても、リターン・ロス及び効率が変化する。また、電子デバイスとして用いたとき、特性A,D,Gの対比から明らかなように、誘電体ブロック3に対する第2導体2の相対位置が同じであっても、第2導体2の接地電極に対する相対位置によって、アンテナ特性が変化する。図示は省略するが、他の形態の複共振アンテナ5及びそれを用いた電子デバイスでも、同様に、GPS電波及びBluetooth電波の両者において、必要なアンテナ特性を確保することができる。
【0057】
次に、図20を参照すると、誘電体ブロック3は、複数個n(=2)の分割片301,302に分割されている。図20の実施の形態では、誘電体ブロック3は、中心導体101及び絶縁層102の長さ方向に沿って分割されている。第2導体2は、分割片301又は302の何れかの表面上に配置する。分割片301,302は、同一の比誘電率を持つ必要はない。例えば、図20に示すように、分割線が上下方向を向くように配置した場合には、接地導体705に近い側の分割片301の比誘電率εr21を、分割片302の比誘電率εr22よりも高くすることにより、波長短縮効果を促進することができる。
【0058】
或いは、図21に示すように、分割線が水平方向を向くように配置した場合には、接地導体705に近い下側の分割片301の比誘電率εr21を、上側の分割片302の比誘電率εr22よりも高くすることにより、波長短縮効果を促進することができる。
【0059】
更に、本発明に係る複共振アンテナ5は、図22に図示するように、補強部材9を含むことができる。補強部材9は、同軸ケーブルに嵌めこまれ、一端面が誘電体ブロック3の端面に押し付けられる。この構成によれば、誘電体ブロック3との境界において、同軸ケーブルの急激な曲がりを回避し、曲げによって、同軸ケーブルが損傷、破断等を受けるのを回避することができる。補強部材9は、例えば、ゴム又はプラスチック等によって構成することができる。
【0060】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0061】
1 第1導体
2 第2導体
3 誘電体ブロック
101 中心導体
102 絶縁層
103 シールド層
104 外被層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体ブロックと、第1導体と、第2導体とを含む複共振アンテナであって、
前記誘電体ブロックは、棒状であり、
前記第1導体は、前記誘電体ブロックの内部において、その長さ方向に延び、一端が前記誘電体ブロックの一端の側から外部に導出されており、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜でなる、
複共振アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載された複共振アンテナであって、同軸ケーブルを含んでおり、
前記同軸ケーブルは、中心導体の周りを、絶縁層が被覆し、前記絶縁層の周りをシールド層が被覆し、前記シールド層の周りを外被層が被覆し、先端から所定の長さをもって、前記外被層及び前記シールド層の除去された部分を有しており、
前記部分が、前記第1導体を構成する、
複共振アンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された複共振アンテナであって、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端の側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置する、複共振アンテナ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された複共振アンテナであって、前記第2導体は、一端及び他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置する、複共振アンテナ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された複共振アンテナであって、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端とは反対側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置する、複共振アンテナ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された複共振アンテナであって、前記誘電体ブロックは、少なくとも複数の分割片に分割され、前記分割片のそれぞれは互いに結合されている、複共振アンテナ。
【請求項7】
請求項6に記載された複共振アンテナであって、前記誘電体ブロックは、前記中心導体及び前記絶縁層の長さ方向に沿って分割されている、複共振アンテナ。
【請求項8】
請求項6または7に記載された複共振アンテナであって、前記分割片の少なくとも一つは、他の分割片とは比誘電率が異なる、複共振アンテナ。
【請求項9】
複共振アンテナと、通信部とを含む電子デバイスであって、
前記アンテナは、請求項1乃至8の何れかに記載されたものであり、前記通信部に接続されている、
通信装置。
【請求項10】
請求項9に記載された電子デバイスであって、
前記通信部は、接地導体を有しており、
前記接地導体は、基板面にアース電極を有しており、
前記複共振アンテナは、前記接地導体の側部に配置され、前記第2導体の膜面が、前記接地導体の面と直交する関係にある、
電子デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載された電子デバイスであって、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの対向する上面及び下面のうち、前記接地導体に遠い上面にある、
電子デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載された電子デバイスであって、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの対向する上面及び下面のうち、前記接地導体に近い下面にある、
電子デバイス。
【請求項13】
請求項10に記載された電子デバイスであって、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの対向する上面及び下面の間の側面にある、
電子デバイス。
【請求項1】
誘電体ブロックと、第1導体と、第2導体とを含む複共振アンテナであって、
前記誘電体ブロックは、棒状であり、
前記第1導体は、前記誘電体ブロックの内部において、その長さ方向に延び、一端が前記誘電体ブロックの一端の側から外部に導出されており、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの長さ方向に沿い、その表面に設けられた導体膜でなる、
複共振アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載された複共振アンテナであって、同軸ケーブルを含んでおり、
前記同軸ケーブルは、中心導体の周りを、絶縁層が被覆し、前記絶縁層の周りをシールド層が被覆し、前記シールド層の周りを外被層が被覆し、先端から所定の長さをもって、前記外被層及び前記シールド層の除去された部分を有しており、
前記部分が、前記第1導体を構成する、
複共振アンテナ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された複共振アンテナであって、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端の側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置する、複共振アンテナ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された複共振アンテナであって、前記第2導体は、一端及び他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置する、複共振アンテナ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載された複共振アンテナであって、前記第2導体は、一端が前記誘電体ブロックの前記一端とは反対側に位置し、他端が前記誘電体ブロックの長さ方向の中間部に位置する、複共振アンテナ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載された複共振アンテナであって、前記誘電体ブロックは、少なくとも複数の分割片に分割され、前記分割片のそれぞれは互いに結合されている、複共振アンテナ。
【請求項7】
請求項6に記載された複共振アンテナであって、前記誘電体ブロックは、前記中心導体及び前記絶縁層の長さ方向に沿って分割されている、複共振アンテナ。
【請求項8】
請求項6または7に記載された複共振アンテナであって、前記分割片の少なくとも一つは、他の分割片とは比誘電率が異なる、複共振アンテナ。
【請求項9】
複共振アンテナと、通信部とを含む電子デバイスであって、
前記アンテナは、請求項1乃至8の何れかに記載されたものであり、前記通信部に接続されている、
通信装置。
【請求項10】
請求項9に記載された電子デバイスであって、
前記通信部は、接地導体を有しており、
前記接地導体は、基板面にアース電極を有しており、
前記複共振アンテナは、前記接地導体の側部に配置され、前記第2導体の膜面が、前記接地導体の面と直交する関係にある、
電子デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載された電子デバイスであって、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの対向する上面及び下面のうち、前記接地導体に遠い上面にある、
電子デバイス。
【請求項12】
請求項10に記載された電子デバイスであって、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの対向する上面及び下面のうち、前記接地導体に近い下面にある、
電子デバイス。
【請求項13】
請求項10に記載された電子デバイスであって、
前記第2導体は、前記誘電体ブロックの対向する上面及び下面の間の側面にある、
電子デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−98707(P2013−98707A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238970(P2011−238970)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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