説明

複合サイクル発電プラントの効率及び水回収を高めるためのシステム及び方法

【課題】複合サイクル発電プラントを提供する。
【解決手段】複合サイクル発電プラント10は、ガスタービン16と、復水タービン40と、蒸気タービン18と、熱回収蒸気発生器(HRSG)32とを含む。HRSG32は、ガスタービン16から第1の温度で受けた排気ガスにより伝達された熱に応答して蒸気タービン18を駆動するための蒸気を生成しかつ第1の温度よりも低い第2の温度で復水タービン40に排気ガスを送達するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には複合サイクルプラントに関し、より具体的には、約30よりも大きい圧力比で運転されるガスタービンを使用して複合サイクル発電プラントの効率及び水回収を高めるためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合サイクル発電プラントは、ガスタービン及び蒸気タービンを組合せて使用して、電力を生成する。発電プラントは、ガスタービンが熱回収蒸気発生器(「HRSG」)を介して蒸気タービンに熱的に連結されるように配置される。HRSGは、他の方法では廃棄されるガスタービン排気ガスによって給水が加熱される蒸気発生プロセスになるのを可能にする非接触熱交換器である。従来型の設計では、HRSGは常に、ガスタービンの下流に設置される。
【0003】
複合サイクル発電プラント用のHRSGの寸法を縮小するために、種々の技術が使用されてきた。1つの公知の技術は、HRSGの熱伝達表面を減少させることを含むが、そのことは発電プラントの電気効率を低下させることになる。また、タービン排気ガスから水を回収する種々の技術が使用されてきた。幾つかの公知の技術は、液体乾燥剤システム又は空気冷却復水器の使用を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,604,354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知の技術を使用している複合サイクル発電プラントで現在達成可能であるよりもコスト効果がある方法で高い電気効率が得られる複合サイクル発電プラントに対する必要性が存在する。複合サイクル発電プラント用のHRSGは、より小型であり、コストの低減が得られるべきである。複合サイクル発電プラントはまた、現在公知の技術を使用している複合サイクル発電プラントよりもコスト効果がある方法でガスタービン排気ガスから水を回収することができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態によると、複合サイクル発電プラントは、ガスタービンと、復水段と、蒸気タービンと、熱回収蒸気発生器(HRSG)とを含み、復水段は、ガスタービンにより発生した排気ガスから水を回収するように構成され、またガスタービン、復水段、蒸気タービン及びHRSGは共に、回収した水から発生した水蒸気の潜熱を有用な電気に変換するように構成される。
【0007】
本発明の別の実施形態によると、複合サイクル発電プラントは、ガスタービンと、復水タービンと、蒸気タービンと、熱回収蒸気発生器(HRSG)とを含み、HRSGは、複合サイクルにおいてガスタービンの下流にかつ復水タービンの上流に連結され、またq1HRSGは、蒸気タービンを駆動するための蒸気を生成するように構成される。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態によると、複合サイクル発電プラントは、ガスタービンと、復水タービンと、蒸気タービンと、熱回収蒸気発生器(HRSG)とを含み、HRSGは、ガスタービンから第1の温度で受けた排気ガスにより伝達された熱に応答して蒸気タービンを駆動するための蒸気を生成しかつ第1の温度よりも低い第2の温度で復水タービンに排気ガスを送達するように構成される。
【0009】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様並びに利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことにより一層良好に理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの実施形態による複合サイクル発電プラントを示す図。
【図2】1つの実施形態による航空機転用ガスタービン複合サイクル発電プラントを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記の図面の図は、幾つかの特定の実施形態を表しているが、以下の説明において述べるように本発明のその他の実施形態もまた考えられる。全てのケースにおいて、本開示は、本発明の例示した実施形態を限定としてではなく説明として提示している。当業者には、多くのその他の変更形態及び実施形態を案出することができるが、それらもまた、本発明の原理の技術的範囲及び技術思想の範囲内に属する。
【0012】
図1は、1つの実施形態による複合サイクル発電プラント10を示している。発電プラント10は、燃焼システム14及びタービン16を備えた高圧ガスタービンシステム12を含む。タービン16から流出したガスは、1つの特定の用途では、例えば約45psiの圧力とすることができる。発電プラント10はさらに、蒸気タービンシステム18を含む。蒸気タービンシステム18は、高圧セクション20、中圧セクション22、並びに1つ又はそれ以上の低圧セクション24を含む。低圧セクション24は、復水器26内に排出する。
【0013】
蒸気タービンシステム18は、熱回収蒸気発生器(HRSG)32と組合される。HRSG32は逆流熱交換器であり、給水がそれを通って流れる時に、タービン16からの排気ガスが熱を放出しかつ低温になるにつれてその水を加熱するようになる。HRSG32は、3つの異なる作動圧力(高、中及び低)を有し、蒸気タービンシステム18の対応する段に供給される蒸気として様々な圧力及び温度の蒸気を発生させるための手段を備えた状態になっている。しかしながら、本発明はそれに限定されるものではなく、また2つの圧力のHRSGを備えた実施形態のようなその他の実施形態も本明細書に記載した原理を使用して作動することになることを理解されたい。蒸気タービンシステム18は、例えば低圧蒸気タービン34、中圧蒸気タービン36及び高圧蒸気タービン38を含むことができる。各セクション20、22、24は一般的に、1つ又はそれ以上のエコノマイザ、蒸発器及び過熱器を含む。
【0014】
複合サイクル発電プラントはさらに、低圧復水タービン40を含む。高圧タービン16から流出するガス42の温度は、特定の用途要件に基づいて最適値になっている。この温度は、例えば1つの特定の用途では約1100°Fとすることができる。最適ガス42は、HRSG32に流入してボトミングサイクルを実行し、このボトミングサイクルでは、ガスが、例えば1つの特定の用途では約180°Fとすることができるより低い温度に冷却される。冷却ガスは、低圧復水タービン40に流入してより多くの電力を生成する。
【0015】
低圧復水タービン40は、低温高圧タービン排気ガスをおよそ大気圧まで膨張させる。一般的に、低圧復水タービン40から流出するガスの温度は、露点以下であって、該低圧復水タービン40の出口において水滴の形成を引起こす。低圧復水タービン40から流出する湿潤ガスは、湿分分離器44に流入し、湿分分離器44において水が回収されかつ水除去排気ガスが排気ガス筒46を通して大気に排出される。
【0016】
HRSG32は、タービン排気ガス42の熱を使用して3つの蒸気ストリーム、つまり高圧蒸気ストリーム48、中圧蒸気ストリーム50及び低圧蒸気ストリーム52を生成する。これら3つの蒸気ストリーム48、50、52は、高、中及び低圧蒸気タービン38、36、34に流入して電力を生成する。高圧蒸気タービン38から抽出された高圧蒸気ストリーム54は、ガスタービン燃焼器14に噴射される。
【0017】
低圧蒸気タービンから流出した後に、蒸気ストリームは復水器26に流入し、復水器26において、蒸気が液体水に凝縮(復水)される。復水器26から流出する液体水は、補給水56並びに湿分分離器44及びHRSG32からの水ストリーム58、60と共に集水装置62に流入する。
【0018】
適当量の水が、集水装置62からHRSG32にポンプ圧送64され、HRSG32において、水が高圧ガスタービン排気から熱を吸収して蒸気ストリーム48、50、52を発生させる。3つの蒸気ストリーム48、50、52は、蒸気タービン38、36、34に流入してボトミングサイクルを完了する。
【0019】
概要説明において、高い圧力比で運転されるガスタービンとの複合サイクルの効率を大幅に高めかつタービン排気ガスから水を回収する複合サイクルプラント発電方式を説明してきた。本明細書に記載した原理を使用する1つの態様によると、少なくとも1つの公知の複合サイクルは、少なくとも3%ポイントほどその効率を高められかつ復水タービン段を使用して水を回収する。本明細書に記載した実施形態によると、HRSGは常に、HRSGが高圧ガスタービン段及び低圧ガスタービン(復水)段間に連結された状態で、従来型の複合サイクル発電プラント方式においてガスタービンの下流に設置される。本明細書に記載した実施形態におけるHRSGは、高圧タービン排気ガスから熱を回収して、ボトミングサイクルのための蒸気を発生させるので、HRSGの寸法は、大幅に縮小させることができる。1つの実施形態によると、高圧タービン排気ガスは、特定のタービン設計及び用途に応じて約50psiとすることができる。ボトミングサイクルは、1つの実施形態によると約1100°Fの温度のタービン排気ガスによって実行されるので、ボトミングサイクル効率は、該ボトミングサイクルが700°F〜800°Fの温度のタービン排気ガスによって実行される従来型の複合サイクル発電プラント方式を使用して達成可能であるものよりも高くなる。さらに、本明細書に記載した原理を使用して高圧ガスタービンとの組合せで低圧(復水)ガスタービンを使用することにより、HRSGから流出するガスの膨張及び排気ガスからの水の復水が可能になる。従って、本明細書に記載した実施形態は、ガスタービンの復水段を使用してタービン排気ガスから水を回収しかつ水蒸気の潜熱を有用な電気に変換して、より高い複合サイクル効率をもたらす。
【0020】
図2は、1つの実施形態による航空機転用ガスタービン複合サイクル発電プラント100を示している。発電プラント100は、ニューヨーク州スケネクタディ所在のGeneral Electric Companyによって製造されたLMS100型ガスタービンを使用した複合サイクル発電プラントである。図1を参照して本明細書に説明した原理を採用した場合には、LMS100型複合サイクルの効率は、少なくとも3%ポイントほど高められかつ復水タービン段を使用して水が回収されることを明示している。
【0021】
様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができることは、当業者には分かるであろう。
【符号の説明】
【0022】
10 複合サイクル発電プラント
12 高圧ガスタービン
14 燃焼システム
16 タービン
18 蒸気タービンシステム
20 蒸気タービンシステム高圧セクション
22 蒸気タービンシステム中圧セクション
24 蒸気タービンシステム低圧セクション
26 復水器
32 熱回収蒸気発生器(HRSG)
34 低圧蒸気タービン
36 中圧蒸気タービン
38 高圧蒸気タービン
40 低圧復水タービン
42 高圧タービンから流出するガス
44 湿分分離器
46 排気ガス筒
48 高圧蒸気ストリーム
50 中圧蒸気ストリーム
52 低圧蒸気ストリーム
54 高圧蒸気ストリーム
56 補給水
58 水ストリーム
60 水ストリーム
62 集水装置
100 航空機転用ガスタービン複合サイクル発電プラント
102 General ElecteicによるLMS100型ガスタービン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合サイクル発電プラント(10)であって、
ガスタービン(16)と、
復水タービン(40)と、
蒸気タービン(18)と、
熱回収蒸気発生器(HRSG)(32)と、を含み、
前記HRSG(32)が、前記ガスタービン(16)から第1の温度で受けた排気ガスにより伝達された熱に応答して前記蒸気タービン(18)を駆動するための蒸気を生成しかつ前記第1の温度よりも低い第2の温度で前記復水タービン(40)に排気ガスを送達するように構成される、
複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項2】
前記復水タービン(40)により生成された湿潤ガスを受けかつ該湿潤ガスから水を分離するように構成された湿分分離器(44)をさらに含む、請求項1記載の複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項3】
前記湿分分離器(44)により分離された水を回収するように構成された集水装置(62)をさらに含む、請求項2記載の複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項4】
前記復水タービン(40)が、前記冷却したガスタービン排気ガスをおよそ大気圧に膨張させるように構成される、請求項1記載の複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項5】
前記ガスタービン(16)が、約30よりも大きい圧力比で運転されるように構成される、請求項1記載の複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項6】
前記ガスタービン(16)が、ほぼ大気圧よりも高い圧力でガスを排出するように構成され、また
前記復水タービン(40)が、ほぼ大気圧でガスを排出するようにさらに構成される、
請求項1記載の複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項7】
複合サイクル発電プラント(10)であって、
ガスタービン(16)と、
復水タービン(40)と、
蒸気タービン(18)と、
熱回収蒸気発生器(HRSG)(32)と、を含み、
前記HRSG(32)が、該複合サイクルにおいて前記ガスタービン(16)の下流にかつ前記復水タービン(40)の上流に連結され、また
前記HRSG(32)が、前記蒸気タービン(18)を駆動するための蒸気を生成するように構成される、
複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項8】
前記HRSG(32)が、前記ガスタービン(16)から第1の温度で受けた排気ガスにより伝達された熱に応答して前記蒸気タービン(18)を駆動するための蒸気を生成しかつ前記第1の温度よりも低い第2の温度で前記復水タービン(40)に排気ガスを送達するように構成される、請求項7記載の複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項9】
複合サイクル発電プラント(10)であって、
ガスタービン(16)と、
復水段(40)と、
蒸気タービン(18)と、
熱回収蒸気発生器(HRSG)(32)と、を含み、
前記復水段(40)が、前記ガスタービン(16)により発生した排気ガスから水を回収するように構成され、また
前記ガスタービン(16)、復水段(40)、蒸気タービン(18)及びHRSG(32)が共に、前記回収した水から発生した水蒸気の潜熱を有用な電気に変換するように構成される、
複合サイクル発電プラント(10)。
【請求項10】
前記HRSG(32)が、前記ガスタービン(16)から第1の温度で受けた排気ガスにより伝達された熱に応答して前記蒸気タービン(18)を駆動するための蒸気を生成しかつ前記第1の温度よりも低い第2の温度で前記復水タービン(40)に排気ガスを送達するように構成される、請求項9記載の複合サイクル発電プラント(10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−132452(P2012−132452A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−278141(P2011−278141)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】