説明

複合サイクル発電プラントを運転するための方法及びシステム

【課題】 空気処理ユニットに対して比較的一定の流量及び圧力の加圧空気を供給するシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】本発明の1つの実施形態は、中間冷却器(204)を通じてガスタービン(20)の圧縮機(28)から空気を受け取り且つほぼ一定の圧力で空気を空気処理ユニット(14)に供給する可変ガイドベーンブースタ(208)を提供することができる。本発明の1つの実施形態は、ほぼ一定の圧力で空気を空気処理ユニット(14)に供給する可変ガイドベーンブースタ(208)を作動させるための速度調節可能なブースタタービン(220)を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に発電システムに関し、より詳細には、大型の可変速プロセス用機器を含む複合サイクル発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの公知の統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電プラントは、ガス化プロセスにおける酸化剤の流れを発生させるために空気分離ユニットを使用する。一般に、空気分離ユニットは、比較的一定の流量及び圧力の加圧空気源を必要とする。典型的には、必要な流量及び圧力で加圧空気を供給するのにモータ駆動式圧縮機が使用される。しかしながら、モータ駆動式圧縮機は、大量の電力を使用する高価な機器である。更に、モータ駆動式圧縮機は、IGCC発電プラント上の寄生負荷と考えられ、全体効率の低下につながる可能性がある。
【0003】
空気処理ユニット用の別の空気源は、IGCC発電プラントに関連付けられたガスタービンの圧縮機である。しかしながら、この圧縮機によって供給される空気は、ガスタービンの負荷に基づいた可変の圧力及び流量になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の理由により、空気処理ユニットに対して比較的一定の流量及び圧力の加圧空気の供給源を提供するシステム及び方法についての必要性がある。このシステム及び方法は、IGCC発電プラント上の寄生負荷であってはならない。このシステム及び方法は、ガスタービンの負荷範囲にわたって比較的一定の圧力及び調節可能な流量の加圧空気の供給源を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態によれば、複合サイクル発電プラントシステム(10)は、圧縮機(28)、燃焼室、及び前記圧縮機(28)に駆動結合されたタービンセクションを含むガスタービン(20)と、可変ガイドベーンブースタ(208)の入口と流れ連通状態で結合された、圧縮機(28)からのブリード空気の発生源と、速度調節可能ブースタタービン(220)と統合された可変ガイドベーンブースタ(208)の出口と流れ連通状態で結合された空気分離ユニット(14)と、を備え、速度調節可能ブースタタービン(220)が可変ガイドベーンブースタ(208)に動力を供給して圧縮機(28)から空気を抽出するようにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】公知の統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電システム10を示す概略図。
【図2】本発明の1つの実施形態による、図1に示すシステムの一部分を示す概略図。
【図3】本発明の1つの実施形態による、IGCCシステムの一部を制御する方法を示すフローチャート。
【図4】本発明の1つの実施形態による複合サイクル発電プラントを作動させる例示的なシステムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、図面全体を通じて同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと更に理解できるであろう。
【0008】
好ましい実施形態の以下の詳細な説明では、本発明の特定の実施形態を示す添付図面を参照する。異なる構造及び動作を有するその他の実施形態は、本発明の技術的範囲から逸脱するものではない。
【0009】
本明細書では、特定の用語は、専ら読者の便宜のために使用しており、本発明の技術的範囲に対する限定として解釈すべきではない。例えば、「上側」、「下側」、「左側」、「前側」、「右側」、「水平方向」、「垂直方向」、「上流側」、「下流側」、「前方」、「後方」、「頂部」、「底部」などの用語は、図示の構成を単に説明しているに過ぎない。実際に、構成要素はあらゆる方向に配向することができ、従って、本用語は、特に明記しない限り、種々の変形形態を含むものとして理解されたい。
【0010】
本明細書で使用する場合に、前に数詞のない要素又はステップの表現は、そうではないことを明確に述べていない限り複数のそのような要素又はステップの存在を排除するものではないと理解されたい。更に、本発明の「1つの実施形態」という表現は、記載した特徴を同様に組入れた付加的な実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0011】
本発明の1つの実施形態は、中間冷却器を通してガスタービンの圧縮機から空気を受け取り、比較的一定圧力の空気を空気処理ユニットに供給する可変速ブースタを提供することができる。本発明の1つの実施形態は、比較的一定圧力の空気を空気処理ユニットに供給する可変速ブースタを作動させるための速度調節可能ブースタタービンを提供することができる。
【0012】
ここで、種々の参照符号が複数の図を通して同様の要素を示す各図を参照すると、図1は、公知の統合型ガス化複合サイクル(IGCC)発電システム10の概略図である。IGCC発電プラント10は、一般に、主空気圧縮機12と、圧縮機12に流れ連通状態で結合された空気分離ユニット(ASU)14と、ASU14に流れ連通状態で結合されたガス化装置16と、ガス化装置16に流れ連通状態で結合されたシンガス冷却器18と、シンガス冷却器18に流れ連通状態で結合されたガスタービン20と、シンガス冷却器18に流れ連通状態で結合された蒸気タービン22とを含む。幾つかのIGCC発電システム10では、ガス化装置16及びシンガス冷却器18は、単一の一体形容器内に結合することができる。
【0013】
作動中、圧縮機12は、周囲空気を加圧し、これが次にASU14に送られる。幾つかのIGCC発電システム10では、ガスタービン圧縮機24からの加圧空気もまた、ASU14に送ることができる。或いは、圧縮機12からの加圧空気がASU14に供給されるのではなく、ガスタービン圧縮機24からの加圧空気がASU14に供給される。ここでASU14は、加圧空気を使用して、ガス化装置16で使用される酸素を生成する。より具体的には、ASU14は、加圧空気を、酸素(O)と「プロセスガス」と呼ばれることもあるガス副生成物との別個の流れに分離する。O流れは、ガス化装置16に送られて部分燃焼状態ガスを生成するのに使用され、この部分燃焼状態ガスは、本明細書では「シンガス」と呼ばれ、以下でより詳細に説明するようにガスタービン20により燃料として使用される。
【0014】
ASU14により生成されたプロセスガスは、窒素を含んでおり、本明細書では「窒素プロセスガス」(NPG)と呼ぶことにする。NPGはまた、限定ではないが、酸素及び/又はアルゴンのような他のガスを含むことができる。例えば、NPGは、約95%〜約100%の窒素を含むことができる。幾つかのIGCC発電システム10では、NPG流れの少なくとも一部は、ASU14から大気に放出される。NPG流れの一部は、エンジン20のエミッション制御を可能にするために、ガスタービン燃焼器26内の燃焼域(図示せず)内に噴射される。これにより、燃焼温度を低下させ且つガスタービン20からの窒素酸化物エミッションを低減可能にすることができる。幾つかのIGCC発電システム10では、NPG流れをガスタービン燃焼器26の燃焼域内に噴射する前に、圧縮機28を用いて該NPG流れを加圧することができる。
【0015】
幾つかのIGCC発電システム10では、ガス化装置16は、燃料供給源30から供給された燃料、ASU14によって供給されたO、蒸気、及び/又は石灰石の混合物を、ガスタービン20により燃料として使用されるシンガスの生成物に変換する。ガス化装置16はあらゆる燃料を使用することができるが、ガス化装置16の実施形態は、石炭、石油コークス、残油、オイルエマルジョン、タールサンド、及び/又はその他の同様の燃料を使用することができる。更に、幾つかのIGCC発電システム10では、ガス化装置16により生成されたシンガスには二酸化炭素が含まれる。ガス化装置16は、固定床ガス化装置、流動床ガス化装置、及び/又は完全噴流床ガス化装置の形態を含むことができる。
【0016】
幾つかのIGCC発電システム10では、ガス化装置16により生成されたシンガスは、以下でより詳細に説明するように、シンガス冷却器18に送られて該シンガスを冷却することを可能にする。冷却したシンガスは、シンガス冷却器18から浄化装置32に送られて浄化された後、燃焼の目的でガスタービン燃焼器26に送られる。二酸化炭素(CO2)は、浄化の間にシンガスから分離することができ、更に、大気に放出することができる。ガスタービン20は、電力網(図示せず)に電力を供給する発電機34を駆動する。ガスタービン20からの排気ガスは、蒸気タービン22を駆動するための蒸気を発生する熱回収蒸気発生器36に送られる。蒸気タービン22により発生した出力は、電力網に電力を供給する発電機38を駆動することができる。幾つかのIGCC発電システム10では、HRSG36からの蒸気は、シンガスを生成するためにガス化装置16に供給される。
【0017】
ガスタービン20の始動時には、負荷転流インバータ(LCI)又は静止形周波数コンバータ(SFC)のようなスタータ35は、回路遮断器42及び電力変圧器44を介して電力システムバス37からAC(交流)電力を受けることができる。スタータ35は、AC電力をDC(直流)電力に整流し、次いで、可変AC周波数を有するAC電力にこのDC電力を変換し、断路器46を介して発電機34に供給する。発電機34は、同期モータとして作動し、ガスタービン20を始動するのに必要なトルク制御を行う。ガスタービン20が自立運転に達すると、断路器46が開放されてスタータ35を発電機34から切り離す。回路遮断器42も開放されて、電力システムバス37からの電力供給を遮断する。スタータコントローラ48は様々な感知信号及び命令信号を受信し、ガスタービン20の始動時にモータとして機能している発電機34の作動を調整する役割を果たす。スタータ35は、発電機34の調整可能な速度動作及びソフト始動を可能にする。一般に、ソフト始動は、発電機34及びガスタービン20への機械的応力を低減し、AC電力システム37上の電気的始動サージを排除できるようにする。出力変圧器は、スタータ35があらゆる電圧機械で作動できるようにする。
【0018】
更に、幾つかのIGCC発電システム10では、ポンプ40は、HRSG36からシンガス冷却器18に沸騰水を供給し、ガス化装置16から送られるシンガスを冷却できるようにすることができる。沸騰水は、シンガス冷却器18を通して送ることができ、ここで水が蒸気に変換される。次にシンガス冷却器18からの蒸気は、ガス化装置16、シンガス冷却器18及び/又は蒸気タービン22内で使用するためにHRSG36に戻される。
【0019】
図2は、本発明の1つの実施形態による、図1に示すシステムの一部分の概略図である。本発明の1つの実施形態では、ガスタービン圧縮機24からの加圧空気は、中間冷却器204及び可変ガイドベーンブースタ208を通してASU14に供給することができる。ここで、高温の加圧空気は、ガスタービン圧縮機24から中間冷却器204の第1の流路202を介して送ることができる。冷却流体の流れは、中間冷却器204を通る第2の流路206を介して流れることができる。ASU14は、加圧空気を使用して、ガス化装置16で使用するための酸素を生成することができる。より具体的には、ASU14は、加圧空気を、酸素(O)と「プロセスガス」と呼ばれることもあるガス副生成物との別個の流れに分離することができる。システム10の全体効率の向上を可能にするために、ASU14に供給される加圧空気は、ガスタービン圧縮機24から抽気(ブリード)され、次いで、可変ガイドベーンブースタ208を使用して比較的一定の圧力に維持することができる。
【0020】
作動時には、本発明の1つの実施形態は、加圧空気をガスタービン圧縮機24から燃焼器26及びASU14に供給することができる。ガスタービン圧縮機24から吐出された圧縮機ブリード空気流の圧力は可変であり、発電機34の負荷と関係付けられる。可変圧力圧縮機ブリード空気流をASU14に直接送る代わりに、可変ガイドベーンブースタ208は、速度調節可能ブースタタービン220を用いて可変ガイドベーンブースタ208の速度を調整することによって、ASU14への入口圧力を調節することができる。可変ガイドベーンブースタ208はまた、可変ガイドベーンのセットを使用することによりASU14への空気流量を調整することができ、ASU14に供給される空気流量が、ガスタービン20の広い作動負荷範囲にわたってほぼ一定の圧力になるようにする。
【0021】
ASU14に導かれる空気流の圧力を調節するために、可変ガイドベーンブースタ208は、可変速度で回転し、ほぼ一定の出口圧力を維持することができる。ガスタービン圧縮機24からASU14に流れる加圧空気の空気流量を調整するために、可変ガイドベーンブースタ208は、ASU14の回転速度要件及び空気流量率要件の変化に起因した流れの変動に適応するようにガイドベーンを位置決めすることができる。可変ガイドベーンブースタ208の作動は、ガスタービン20の負荷の変動に起因した、広い範囲の圧縮機ブリード空気の流量及び/又は圧力を許容すると同時に、ASU14の入口における必要空気流量と共にほぼ一定の空気圧力を維持する。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、速度調節可能ブースタタービン220は、可変ガイドベーンブースタ208を作動させることができる。速度調節可能ブースタタービン220は、蒸気タービン22、蒸気ポンプ、又はその組み合わせを含むことができる。速度調節可能ブースタタービン220は、該速度調節可能ブースタタービン220が可変ガイドベーンブースタ208を作動可能にするような様態で、該可変ガイドベーンブースタ208と一体化することができる。例えば、限定ではないが、速度調節可能ブースタタービン220は、可変ガイドベーンブースタ208に機械的に結合することができる。ここで、速度調節可能ブースタタービン220の速度は、可変ガイドベーンブースタ208の速度を決定付けることができる。
【0023】
或いは、速度調節可能ブースタタービン220は、ブースタモータ230と結合してもよい。ここで、速度調節可能ブースタタービン220の動作は、可変ガイドベーンブースタ208に電気的に結合することができるブースタモータ230を作動させることができる。ここで、ブースタモータ230は、可変ガイドベーンブースタ208に電力を供給することができる。
【0024】
本発明の1つの実施形態では、速度調節可能ブースタタービン220は、第1の蒸気通路222を介してHRSG36から蒸気を受け取ることができる。ここで、蒸気は、HRSG36上の出口位置から停止弁226及び制御弁228、更に速度調節可能ブースタタービン220上の入口位置を通って移動することができる。本発明の第1の代替の実施形態では、速度調節可能ブースタタービン220は、第2の蒸気通路224を介して蒸気タービン22から蒸気を受け取ることができる。ここで、蒸気は、蒸気タービン22上の出口位置から停止弁226及び制御弁228、更に速度調節可能ブースタタービン220上の入口位置を通って移動することができる。本発明の第3の実施形態では、第1及び第2の蒸気通路の両方が、速度調節可能ブースタタービン220に蒸気を供給することができる。
【0025】
理解されるように、本発明は、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品として具現化することができる。従って、本発明は、完全ハードウェア実施形態、完全ソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、或いはソフトウェア及びハードウェア態様を組合せた実施形態の形態をとることができ、本明細書ではそれら全てを全体として「回路」、「モジュール」又は「システム」と呼ぶ。更に、本発明は、媒体内に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有するコンピュータ使用可能記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。本明細書で使用する場合、用語「ソフトウェア」及び「ファームウェア」は同義的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、プロセッサによって実行するためにメモリ内に記憶されるあらゆるコンピュータプログラムを含む。上述のメモリ形式は単なる例示的なものに過ぎず、従って、コンピュータプログラムの記憶装置に使用可能なメモリの形式に関して限定するものではない。
【0026】
あらゆる好適なコンピュータ読み取り可能媒体を利用することができる。コンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能媒体は、例えば限定ではないが、電子、磁気、光学、電磁、赤外線又は半導体のシステム、装置、デバイス或いは伝播媒体とすることができる。コンピュータ読み取り可能媒体のより具体的な実施例(非網羅的リスト)には、以下のもの、すなわち、1つ又はそれ以上のワイヤを有する電気的接続部、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能・プログラム可能読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、光学記憶装置、インターネット又はイントラネットをサポートするものなどの伝送媒体、或いは磁気記憶装置が含まれることになる。プログラムは、例えば紙又は他の媒体を光学的にスキャンすることにより電子的に取り込み、次いで必要に応じて適切な方法でコンパイルし、解釈し、又は他の方法で処理し、その後コンピュータメモリ内に記憶させることができるので、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能媒体は、プログラムを印刷する紙又は他の好適な媒体であってもよい点に留意されたい。本明細書の文脈に照らして、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読み取り可能媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスによって或いはこれらと関連して使用するためのプログラムを収容、記憶、通信、伝播、又は移送することができるあらゆる媒体とすることができる。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「プロセッサ」とは、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途集積回路(ASIC)、ロジック回路、及び本明細書で説明される機能を実行することができる他の何らかの回路又はプロセッサを意味する。
【0028】
本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java7(商標)、Smalltalk(商標)又はC++、或いは同様のものなどの、オブジェクト指向プログラミング言語で記述することができる。しかしながら、本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードはまた、「C」プログラミング言語又は同様の言語のような、従来の手続き形プログラミング言語で記述することができる。プログラムコードは、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして全体的にユーザコンピュータ上で、部分的にユーザコンピュータ上で、或いは、部分的にユーザコンピュータ上で且つ部分的にリモートコンピュータ上で、又は全体的にリモートコンピュータ上で実行することができる。後者の場合には、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を介してユーザコンピュータに接続することができ、或いは外部コンピュータに対して接続することができる(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを介して)。
【0029】
以下では、本発明の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照しながら本発明を説明する。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施することができる点は理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを形成し、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実施する手段をもたらすようにすることができる。
【0030】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ読み取り可能メモリ内に記憶させることができ、該命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置に命令して特定の方式で機能させることができ、コンピュータ読み取り可能メモリ内に記憶された命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実施する命令手段を含む製品をもたらすようにする。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置上にロードして、一連の動作ステップをコンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置上で実行させてコンピュータに実装されるプロセスを生成し、コンピュータ又は他のプログラム可能装置上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックで指定された機能/動作を実施するステップを提供するようにする。
【0031】
本発明は、本発明の1つの実施形態と統合されたIGCC発電プラント10の動作を制御する技術的作用を有する、制御システム又は同様のものを含むことができる。本発明の1つの実施形態の制御システムは、IGCC発電プラント10を自動的に及び/又は連続的に監視して、速度調節可能なブースタタービン220を作動させるべきかどうかを判断するよう構成することができる。
【0032】
或いは、制御システムは、速度調節可能なブースタタービン220の動作を開始するためにユーザ動作を必要とするように構成することができる。本発明の制御システムの1つの実施形態は、スタンドアローンシステムとして機能することができる。或いは、制御システムは、タービン制御装置又はプラント制御システムなどの広範なシステム内のモジュール又は同様のものとして統合することができる。
【0033】
図3は、本発明の1つの実施形態による、IGCC発電プラント10の一部を制御する方法の実施例を示すフローチャートである。
【0034】
ステップ302では、方法300は、ガスタービン20が排出ガスを発生しているかどうかを判断することができる。ここで、方法300は、可変ガイドベーンブースタ208の動作を開始する前に、この要件を許容条件又は同様のものとして含めることができる。
【0035】
ステップ304では、方法300は、HRSG36が蒸気を発生することができるかどうかを判定することができる。本発明の1つの実施形態では、HRSG36は、IGCC発電プラント10上での蒸気の他の利用に加えて、速度調節可能ブースタタービン220の運転のために十分な蒸気を発生していることが必要とすることができる。
【0036】
ステップ306では、方法300は、蒸気タービン22が運転中であるかどうかを判定することができる。ここで、オペレータは、速度調節可能ブースタタービン220の運転に十分なエネルギーが利用可能であるかどうかを判定することができる。
【0037】
ステップ308では、方法300は、速度調節可能ブースタタービン220と共に使用するためにHRSG36から蒸気を抽出するかどうかを判断することができる。ここで、オペレータは、IGCC発電プラント10が速度調節可能ブースタタービン220の運転のために十分な蒸気及び必要な特性で利用可能な蒸気を有するかどうかを確認することができる。十分な蒸気が利用可能な場合、方法300は、ステップ312に進むことができ、利用可能でない場合、方法300はステップ304に戻ることができる。
【0038】
ステップ310では、方法300は、速度調節可能ブースタタービン220と共に使用するために蒸気タービン22から蒸気を抽出するかどうかを判定することができる。ここで、オペレータは、IGCC発電プラント10が速度調節可能ブースタタービン220の運転のために十分な蒸気及び必要な特性で利用可能な蒸気を有するかどうかを確認することができる。十分な蒸気が利用可能な場合、方法300は、ステップ312に進むことができ、利用可能でない場合、方法300はステップ304に戻ることができる。
【0039】
本発明の1つの実施形態は、HRSG36及び蒸気タービン22からの蒸気の抽出をどのように割り当てるかに関しての柔軟性を持たせることができる。これは、HRSG36と蒸気タービン22との間で経済上及び/又は運転上最も意味のある抽出の分割を選ぶ機能をオペレータに与えることができる。
【0040】
ステップ312では、速度調節可能ブースタタービン220からのエネルギーが、上述のように可変ガイドベーンブースタ208を駆動することができる。ここで、プロセッサ232は、速度調節可能ブースタタービン220、可変ガイドベーンブースタ208、及びASU14の作動を協働させることができる。ここでの目標は、IGCC発電プラント10上のASU14及び他の構成部品の動作上の必要性に適合させるものとすることができる。
【0041】
図4は、本発明の1つの実施形態による複合サイクル発電プラントを制御する例示的なシステム400のブロック図である。本方法300の要素は、システム400で具現化され、該システム400により実施することができる。システム400は、1つ又はそれ以上のユーザ又はクライアント通信デバイス402、又は同様のシステムもしくはデバイス(図4には2つが示されている)を含むことができる。各通信デバイス402は、例えば限定ではないが、コンピュータシステム、パーソナルデジタルアシスタント、携帯電話、又は電子メッセージを送受信することができるあらゆるデバイスとすることができる。
【0042】
通信デバイス402は、システムメモリ404又はローカルファイルシステムを含むことができる。システムメモリ404は、例えば限定ではないが、読み出し専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができる。ROMは、基本入力/出力システム(BIOS)を含むことができる。BIOSは、通信デバイス402の素子又は構成部品間の情報転送を助ける基本ルーチンを含むことができる。システムメモリ404は、通信デバイス402の全体のオペレーションを制御するオペレーティングシステム406を含むことができる。システムメモリ404はまた、ブラウザ408又はウェブブラウザを含むことができる。システムメモリ404はまた、図3の方法300の要素と類似し、又はこれを含むことができる、複合サイクル発電プラントを制御するためのデータ構造410又はコンピュータ実行可能コードを含むことができる。
【0043】
システムメモリ404は更に、テンプレートキャッシュメモリ412を含むことができ、これは、複合サイクル発電プラントを制御するための図3の方法300と共に用いることができる。
【0044】
通信デバイス402はまた、通信デバイス402の他の構成部品のオペレーションを制御するプロセッサ又は処理ユニット414を含むことができる。オペレーティングシステム406、ブラウザ408、及びデータ構造410は、処理ユニット414上で動作することができる。処理ユニット414は、システムバス416によりメモリシステム404及び通信デバイス402の他の構成部品に結合することができる。
【0045】
通信デバイス402はまた、複数の入力デバイス(I/O)、出力デバイス、又は組み合わせ入力/出力デバイス418を含むことができる。各入力/出力デバイス418は、入力/出力インターフェース(図4には図示されていない)によってシステムバス416に結合することができる。入力及び出力デバイス、又は組み合わせI/Oデバイス418により、ユーザは、通信デバイス402を作動させてこれとインターフェース接続し、更にブラウザ408及びデータ構造410のオペレーションを制御して、複合サイクル発電プラントを利用するためのソフトウェアへのアクセス、作動、及び制御を行うことが可能になる。I/Oデバイス418は、本明細書で説明されるオペレーションを実施するために、キーボード及びコンピュータポインティングデバイス又は同様のものを含むことができる。
【0046】
I/Oデバイス418はまた、例えば限定ではないが、ディスクドライブ、光学、機械、磁気、又は赤外の入力/出力デバイス、モデム、又は同様のものを含むことができる。I/Oデバイス418は、記憶媒体420にアクセスするのに用いることができる。媒体420は、通信デバイス402などのシステムが使用するため、又は該システムと関連してコンピュータ読み取り可能命令又はコンピュータ実行可能命令もしくは他の情報を収容、格納、通信、又は伝送することができる。
【0047】
通信デバイス402はまた、ディスプレイ又はモニタ422などの他のデバイスを含み、又はこれと接続することができる。モニタ422は、ユーザが通信デバイス402とインターフェース接続することを可能にすることができる。
【0048】
通信デバイス402はまた、ハードドライブ424を含むことができる。ハードドライブ424は、ハードドライブインターフェース(図4には図示していない)を介してシステムバス416に結合することができる。ハードドライブ424はまた、ローカルファイルシステム又はシステムメモリ404の一部を形成することができる。通信デバイス402のオペレーションにおいて、プログラム、ソフトウェア、及びデータをシステムメモリ404とハードドライブ424との間で転送及び交換することができる。
【0049】
通信デバイス402は、少なくとも1つのユニットコントローラ426と通信することができ、更に、ネットワーク428を介して他のサーバに、又は通信デバイス402に類似した他の通信デバイスにアクセスすることができる。システムバス416は、ネットワークインターフェース430によりネットワーク428に結合することができる。ネットワークインターフェース430は、ネットワーク428に結合するための、モデム、Ethernet(商標)カード、ルータ、ゲートウェイ、又は同様のものとすることができる。この結合は有線又は無線接続とすることができる。ネットワーク428は、インターネット、プライベートネットワーク、イントラネット、又は同様のものとすることができる。
【0050】
少なくとも1つのユニットコントローラ426はまた、ファイルシステム、ROM、RAM、及び同様のものを含むことができるシステムメモリ432を含むことができる。システムメモリ432は、通信デバイス402におけるオペレーティングシステム406と同様のオペレーティングシステム434を含むことができる。システムメモリ432はまた、複合サイクル発電プラントを制御するためのデータ構造436を含むことができる。データ構造436は、複合サイクル発電プラントを制御するための方法300に関して説明されたものと同様のオペレーションを含むことができる。サーバのシステムメモリ432はまた、他のファイル438、アプリケーション、モジュール、及び同様のものを含むことができる。
【0051】
少なくとも1つのユニットコントローラ426はまた、少なくとも1つのユニットコントローラ426内の他のデバイスのオペレーションを制御するプロセッサ442又は処理ユニットを含むことができる。少なくとも1つのユニットコントローラ426はまたI/Oデバイス444を含むことができる。I/Oデバイス444は、通信デバイス402のI/Oデバイス418と類似したものとすることができる。少なくとも1つのユニットコントローラ426は更に、I/Oデバイス444と共に少なくとも1つのユニットコントローラ426に対するインターフェースを提供する、モニタ又は同様のものなどの他のデバイス446を含むことができる。少なくとも1つのユニットコントローラ426はまた、ハードディスクドライブ448を含むことができる。システムバス450は、少なくとも1つのユニットコントローラ426の異なる構成部品を接続することができる。ネットワークインターフェース452は、システムバス450を介して少なくとも1つのユニットコントローラ426をネットワーク428に結合することができる。
【0052】
各図のフローチャート及びステップ図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施のアーキテクチャ、機能、及び動作を例示している。この点に関して、フローチャート又はステップ図における各ステップは、特定の論理機能を実施するための1つ又はそれ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又はコード部分を表すことができる。幾つかの別の実施形態においては、ステップ内に記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で行うことができる点に留意されたい。例えば、連続して示す2つのステップは、実際には、実質的に同時に実行することもでき、或いはこれらのステップは、含まれる機能に応じて逆の順序で実行してもよい場合がある。また、ステップ図及び/又はフローチャート図の各ステップ及びステップの組み合わせは、特定の機能又は動作を行う専用ハードウェアベースのシステム、或いは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実行することができる点に留意されたい。
【0053】
本明細書で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合に、数詞のない表現は、文脈がそうでないことを明示していない限り、複数の形態も同様に含むことを意図している。更に、本明細書内で使用する場合に、「含む」及び/又は「備える」という用語は、そこに述べた特徴部、完全体、ステップ、動作、要素及び/又は構成部品の存在を明示しているが、1つ又はそれ以上の特徴部、完全体、ステップ、動作、要素、構成部品及び/又はそれらの群の存在又は付加を排除するものではない。
【0054】
本明細書では特定の実施形態を図示しかつ説明してきたが、図示した特定の実施形態は、同一の目的を達成するために考えられるあらゆる構成と置き換えることができること、また本発明は他の環境におけるその他の用途も有することを理解されたい。本出願は、本発明のあらゆる改造及び変更を保護することを意図している。提出した特許請求の範囲は、本発明の技術的範囲を本明細書に記載した特定の実施形態に限定することを一切意図するものではない。
【符号の説明】
【0055】
10 IGCC発電プラント
12 主空気圧縮機
14 空気分離ユニット(ASU)
16 ガス化装置
18 シンガス冷却器
20 ガスタービン
22 蒸気タービン
24 ガスタービン圧縮機
26 ガスタービン燃焼器
28 圧縮機
30 燃料供給源
32 浄化装置
34 発電機
35 スタータ
36 熱回収蒸気発電機
37 電力システムバス
38 発電機
40 ポンプ
42 回路遮断器
44 電力変圧器
46 断路器
48 スタータコントローラ
202 第1の流路
204 中間冷却器
206 第2の流路
208 可変ガイドベーンブースタ
220 速度調節可能ブースタタービン
222 第1の蒸気通路
224 第2の蒸気通路
226 停止弁
228 制御弁
230 ブースタモータ
232 プロセッサ
300 例示的な方法
302 ガスタービンが排気ガスを発生
304 HRSGが蒸気を発生する
306 蒸気タービンが作動する
308 ブースタ蒸気タービンにおいてHRSGから蒸気を抽出する
310 ブースタ蒸気タービンにおいてタービンから蒸気を抽出する
312 ブースタ蒸気タービンからのエネルギーが可変ガイドベーンブースタを駆動する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合サイクル発電プラントシステム(10)において、
圧縮機(28)、燃焼室、及び前記圧縮機(28)に駆動結合されたタービンセクションを含むガスタービン(20)と、
可変ガイドベーンブースタ(208)の入口と流れ連通状態で結合された、前記圧縮機(28)からのブリード空気の発生源と、
速度調節可能ブースタタービン(220)と統合された前記可変ガイドベーンブースタ(208)の出口と流れ連通状態で結合された空気分離ユニット(14)と、
を備え、
前記速度調節可能ブースタタービン(220)が前記可変ガイドベーンブースタ(208)に動力を供給して前記圧縮機(28)から空気を抽出するようにする、
複合サイクル発電プラントシステム(10)。
【請求項2】
前記ガスタービン(20)と流れ連通した熱回収蒸気発生器(HRSG)(36)を更に備え、前記HRSG(36)の入口が前記タービンセクションからの排出ガスを受け取る、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記HRSG(36)と流れ連通した蒸気タービン(22)を更に備え、前記蒸気タービン(22)が前記HRSG(36)から蒸気を受け取る、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記速度調節可能ブースタタービン(220)が前記HRSG(36)と流れ連通しており、前記速度調節可能ブースタタービン(220)が、該速度調節可能ブースタタービン(220)の作動を可能にする蒸気を前記HRSG(36)から受け取る、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記速度調節可能ブースタタービン(220)が前記蒸気タービン(22)と流れ連通しており、前記速度調節可能ブースタタービン(220)が、該速度調節可能ブースタタービン(220)の作動を可能にする蒸気を前記蒸気タービン(22)から受け取る、
請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記速度調節可能ブースタタービン(220)が前記HRSG(36)及び前記蒸気タービン(22)と流れ連通しており、前記速度調節可能ブースタタービン(220)が、作動を可能にする蒸気を前記HRSG(36)及び前記蒸気タービン(22)から受け取る、
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記速度調節可能ブースタタービン(220)に結合されたモータ(230)を更に備え、前記速度調節可能ブースタタービン(220)が、前記モータ(230)を作動させることによって前記前記可変ガイドベーンブースタ(208)を作動させるようにする、
請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記可変ガイドベーンブースタ(208)が、可変ガイドベーンの少なくとも1つの列を含み、前記可変ガイドベーンブースタ(208)を通る流れを調整するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記速度調節可能ブースタタービン(220)が、前記可変ガイドベーンブースタ(208)に駆動結合され、前記可変ガイドベーンブースタ(208)が、ほぼ一定の圧力の加圧空気の流れを前記速度調節可能ブースタタービン(220)を用いて前記空気分離ユニット(14)に供給し、前記可変ガイドベーンブースタ(208)の回転速度を制御するように構成されている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項10】
前記速度調節可能ブースタタービン(220)及び前記可変ガイドベーンブースタ(208)が、IGCC発電プラント(10)と統合される、
請求項1に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−144730(P2010−144730A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287057(P2009−287057)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】