説明

複合シリカ粒子膜の製造方法

【課題】機能性微粒子として特定の材料を用いることにより、圧縮することなく粒子膜を形成すること。
【解決手段】粒子間の空隙に液体が保持されてなる複合シリカ粒子膜の製造方法であって、シリカが溶媒にコロイド状に分散されてなるコロイダルシリカ塗布液を支持体上に塗布し、塗布膜を形成する工程、前記塗布膜から溶媒を除去してシリカ粒子膜を作製する工程、前記シリカ粒子膜を形成するシリカ粒子間の空隙に液体を供給し、前記液体を保持させる工程からなる複合シリカ粒子膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ粒子間の空隙に液体が保持されてなる複合シリカ粒子膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、支持体上に粒子膜を形成した積層体が知られている。例えば特許文献1には、支持体上に塗布により形成された機能性微粒子含有層を圧縮することにより得られる機能性微粒子の圧縮層を含む機能性膜が開示されている。また特許文献1には、前記機能性膜に透明物質を含浸させることにより、粒子膜表面の光散乱を抑制できることも開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−36411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の粒子膜は、機能性微粒子含有層を形成した後、該層を圧縮する必要があった。そのため、粒子膜における粒子の配列が歪んだり、粒子自体がダメージを受けることがあった。
本発明者らは、機能性微粒子として特定の材料を用いることにより、圧縮することなく粒子膜を形成することが可能となることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、粒子間の空隙に液体が保持されてなる複合シリカ粒子膜の製造方法であって、
シリカが溶媒にコロイド状に分散されてなるコロイダルシリカ塗布液を支持体上に塗布し、塗布膜を形成する工程、
前記塗布膜から溶媒を除去してシリカ粒子膜を作製する工程、
前記シリカ粒子膜を形成するシリカ粒子間の空隙に液体を供給し、前記液体を保持させる工程
からなる複合シリカ粒子膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、圧縮することなく粒子膜を形成することが可能であるため、材料として用いるコロイダルシリカの性状を維持し、かつ粒子の配列に乱れのないシリカ粒子膜を形成することができる。このようなシリカ粒子膜に、目的に応じた液体を保持させることにより、優れた機能を発現し得る複合シリカ粒子膜とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明における支持体の材料は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の公知の樹脂や、ガラス等を挙げることができる。支持体は、単一の層からなる単層基材であってもよく、2層以上の層からなる多層基材であってもよい。また薬剤や各種添加剤などを含有していてもよい。
透明性および可とう性の観点からは、オレフィン系樹脂、塩素含有樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂等から形成される支持体であることが好ましい。支持体は、シリカ粒子膜、あるいは複合シリカ粒子膜を作製した後、任意の方法で除去することもできる。支持体の形状、大きさ、厚さは特に限定されるものではない。
【0008】
本発明では、シリカが溶媒にコロイド状に分散されてなるコロイダルシリカ塗布液を用いる。前記溶媒は、通常水である。該塗布液には、シリカの分散の安定化などを目的として、例えば界面活性剤、有機系電解質などの添加剤を添加してもよい。塗布液が界面活性剤を含む場合、その含有量は溶媒100重量部に対し、通常0.1重量部以下である。用いられる界面活性剤は特に限定されるものではなく、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0009】
アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸のアルカリ金属塩が挙げられ、具体的にはカプリル酸ナトリウム、カプリル酸カリウム、デカン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸テトラメチルアンモニウム、ステアリン酸ナトリウムなどが挙げられる。特に、炭素原子数6〜10のアルキル鎖を有するカルボン酸のアルカリ金属塩が好ましい。
【0010】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジ
オクタデシルジメチルアンモニウム、臭化−N−オクタデシルピリジニウム、臭化セチルトリエチルホスホニウムなどが挙げられる。
【0011】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインなどが挙げられる。
【0012】
塗布液が有機系電解質を含む場合、その含有量は溶媒100重量部に対し、通常0.01重量部以下である。本発明における有機系電解質とは、電離性イオン性基を有する有機化合物のうちで界面活性剤でないものを指す。例えば、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ブチルスルホン酸カリウム、フェニルホスフィン酸ナトリウム、ジエチルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。該有機系電解質はベンゼンスルホン酸誘導体であることが好ましい。
【0013】
使用するコロイダルシリカは、形成される層の均一さと緻密さの観点から、球状であることが好ましい。球状のシリカ粒子が鎖状に連なった、いわゆる鎖状シリカなどのコロイダルシリカを使用することもできる。コロイダルシリカを用いることにより、圧縮することなく、粒子同士が強固に結合した粒子膜を作製することができる。
【0014】
本発明で用いる塗布液は、シリカ以外の固形成分を含んでいてもよい。シリカ以外の固形成分を含む塗布液を用いた場合には、形成される粒子膜はシリカと該固形成分から形成される膜となる。使用する塗布液がシリカ以外の固形成分を含む場合、その含有量は、通常シリカ100重量部に対し10重量部以下である。
【0015】
本発明で用いるコロイダルシリカの粒子径(Da)は、1〜1000nmであることが好ましく、50〜1000nmであることがより好ましく、70〜500nmであることがさらに好ましい。このような粒子径のコロイダルシリカを用いることにより、毛管現象によって液が粒子間の空隙に供給されやすくなる。なお、使用するコロイダルシリカのうち、80重量%以上のコロイダルシリカの粒子径が前記範囲であることが好ましく、90重量%以上のコロイダルシリカの粒子径が前記範囲であることがより好ましい。
コロイダルシリカの粒子径(Da)は、動的光散乱法やシアーズ法、BET法、レーザー回折散乱法等により、球相当径として求めることができる。測定方法は、コロイダルシリカの大きさにより適宜選定すればよい。たとえば数十nm以下の微小な粒子はBET法またはレーザー回折散乱法を用いることが好ましい。動的光散乱法による粒子径の測定は、市販の粒度分布測定装置を使用して行なうことができる。シアーズ法とは、Analytical Chemistry,vol.28,P.1981−1983,1956に記載された方法であって、コロイダルシリカの平均粒子径の測定に適用される分析手法であり、pH=3のコロイダルシリカ分散液をpH=9にするまでに消費されるNaOHの量から表面積を求め、求めた表面積から球相当径を算出する方法である。
【0016】
また、本発明のシリカに替えて、圧縮工程を経ずに粒子膜を形成できる性状を有する粒子であれば素材に特に限定は無く、無機微粒子、有機微粒子、いずれも粒子膜に用いることができる。無機微粒子の例としては、金属微粒子、金属酸化物微粒子、金属水酸化物微粒子、金属炭酸塩微粒子、金属硫酸塩微粒子等が挙げられる。金属微粒子の金属元素としては、金、パラジウム、白金、銀などが挙げられる。金属酸化物微粒子、金属水酸化物微粒子、金属炭酸塩微粒子、金属硫酸塩微粒子における金属元素としては、珪素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、セリウム、ニッケル、スズなどが挙げられる。有機微粒子の例としては、スチレン系重合体、アクリル系重合体、シロキサン系重合体、アミン系重合体、ウレタン系重合体の微粒子等が挙げられる。具体的にはポリスチレン,ポリアクリル,ポリアミド,ポリイミド,ポリウレタン,ポリカーボネート,シリコン系等の有機微粒子が挙げられる。
【0017】
本発明の第一の工程は、前記したようなコロイダルシリカ塗布液を支持体上に塗布し、塗布膜を形成する工程である。
本発明において、コロイダルシリカ塗布液を支持体上に塗布する方法は特に限定されるものではなく、例えば、グラビアコーティング、リバースコーティング、刷毛ロールコーティング、スプレーコーティング、キスコーティング、ダイコーティング、ディッピング、バーコーティングなどの公知の方法で塗布することができる。コロイダルシリカ塗布液の塗布量、塗布回数は特に限定されるものではないが、塗布膜厚みの均一性の観点から、1回の塗工で塗布する量を1〜20g/m2とすることが好ましい。
【0018】
コロイダルシリカ塗布液を塗布する前に、支持体表面にコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理、フレーム処理、電子線処理、アンカーコート処理、洗浄処理などの前処理を行なってもよい。
【0019】
本発明の第二の工程は、前記塗布膜から溶媒を除去してシリカ粒子膜を作製する工程である。溶媒の除去は、例えば、常圧下、または減圧下における加熱により行なうことができる。溶媒を除去する際の圧力、加熱温度は、使用する溶媒に応じて適宜選択することができる。例えば、溶媒が水であるときは、一般的には20〜80℃で乾燥することができる。
【0020】
第二の工程によって形成されるシリカ粒子膜の厚みは特に限定されず、目的によって適宜設定することができる。通常、前記シリカ粒子膜は0.3〜9μmであり、好ましくは2〜6μmである。
【0021】
本発明の第三の工程は、前記シリカ粒子膜を形成するシリカ粒子間の空隙に液体を供給し、前記液体を保持させる工程である。第二の工程で形成するシリカ粒子膜は、粒子同士が部分的に接して形成されているため、粒子間に空隙が存在する。本発明のように、まず粒子膜を作製し、その後粒子膜の空隙に液体を供給することで、粒子間への液体の供給率を自由に制御し、様々な機能を付与することができる。
【0022】
供給する液体の種類は特に限定されるものではなく、発現させたい機能に応じた各種液体を供給することができ、例えば各種樹脂やその前駆体、溶媒、イオン性液体、活性物質等が挙げられる。
例えばシリカと屈折率が近い非揮発性の有機溶媒を液体として用いると、粒子膜の空隙に該液体を供給することで粒子の規則的配列が原因で生じる特異的な反射ピークを、全体的な反射率を低く抑えたまま平坦化することができる。また、揮発性薬剤を液体として用いると、粒子間の空隙に供給された薬剤は粒子間の空隙で非常に微小な液滴となるため蒸気圧降下が起こり、薬剤の揮発速度が遅くなる。この機能を用いて薬剤徐放膜を作製することが可能である。本発明の複合シリカ粒子膜は、強度に優れ、支持体としてフィルムを用いた際は可とう性にも優れるため、高い強度を持つフレキシブルな膜として、様々な用途に用いることができる。
【0023】
シリカ粒子膜に供給する液体液体の粘度は限定されるものではないが、粒子膜への供給しやすさの観点から200Pa・s以下であることが好ましく、1.5Pa・s以下であることがより好ましい。シリカ粒子膜に供給する液体の粘度の測定は、市販の粘度計を使用して行うことができる。
【0024】
本発明において、シリカ粒子膜に液体を供給する方法は特に限定されるものではなく、例えば、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、バーコーティングなどの公知の方法での塗布のほか、必要量の液体をスポイトなど任意の方法を用いて粒子膜表面に滴下し、供給することもできる。また、液体は必ずしも粒子膜の最表層から供給する必要はなく、支持体中に該液体を含有させておき、支持体表面からブリードさせることにより、支持体と粒子膜の接触面から液体を供給することも可能である。溶液の接触量、接触回数は特に限定されるものではないが、粒子膜の溶液保持力の観点から1回の操作で供給する量は1〜10g/m2であることが好ましい。液体は粒子膜の毛管力などにより、粒子膜全体に浸透する。
【0025】
粒子膜内への液体の供給状態は、複合シリカ粒子膜の用途により任意に設定できる。粒子膜内の粒子の空隙全てに液体を供給してもよいし、各粒子表面をコーティングするために最低限必要な量の液体を供給してもよい。また粒子膜表面には液体を残してもよいし、拭取りなどの方法によって粒子膜表面から液体を除去してもよい。液体として、固体成分を溶媒に溶解させた溶液を用いる場合には、該溶液を粒子間に供給した後、乾燥させるなどの方法で溶媒を除去し、固体成分のみを粒子間、あるいは粒子表面に残存させることもできる。
【0026】
粒子膜を構成するシリカ粒子と、粒子間に供給する液体との親和性を向上させるために、シリカ粒子、またはシリカ粒子膜に疎水化処理などを行ってもよい。処理の方法としては公知の手法を用いることができる。
【0027】
本発明では、支持体の種類や構成、シリカ粒子の種類や粒子径、液体の種類を適宜選択することにより、様々な用途に適した複合シリカ粒子膜を製造することができる。本発明の複合シリカ粒子膜の製造方法によれば、強度に優れた複合シリカ粒子膜を作製することが可能である。例えば、粒子間に供給する液体として屈折率が低い(1.5以下)非揮発性溶媒を選択した場合には、透明性と強度に優れる複合シリカ粒子膜の作製が可能であり、LCD、PDP、CRT、有機EL、無機ELのような各種ディスプレイやスクリーンなどの表面を保護するハードコート材として好適である。
【実施例】
【0028】
シリカ粒子膜および複合シリカ粒子膜の評価方法は、次の通りである。
<鉛筆硬度評価>
JISK5400に準拠し、荷重500gfにて測定を行った。
<透明性評価>
JIS K7105に準拠し、直読式ヘーズコンピューター(HGM−2DP;C光源;スガ試験機製)を用いて測定した。
<内部構造評価>
支持体の粒子膜が積層されていない面に黒色のビニールテープを貼り、紫外可視分光光度計(UV−3150; 島津製作所製)により正反射率(入射角5°)を測定した。
<導電性評価>
超絶縁計(SM−8220; 日置電機製)を用いて粒子膜の表面抵抗率を測定した。
電極はSME−8310(日置電機製)を用い、充電時間10秒、測定時間10秒の条件で測定を行った。
【0029】
[参考例1]
トリアセチルセルロースフィルム(厚み:80μm)を支持体として用いた。コロイダルシリカ(1)(商品名:スノーテックスST−XL;BET比表面積法による平均粒子径50nm;固形分濃度40wt%;溶媒:水;日産化学工業株式会社製)400g、コロイダルシリカ(2)(商品名:スノーテックスST−XS;シアーズ法による平均粒子径4〜6nm;固形分濃度20重量%;溶媒:水;日産化学工業株式会社製)200g、液体媒体である水1400gを混合し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、コロイダルシリカ塗布液(A)を調製した。該塗布液(A)におけるシリカ(1)とシリカ(2)の合計体積を100%とするとき、シリカ(1)の割合は80%、シリカ(2)の割合は20%である。
該塗布液(A)を、基材上にグラビアロールを用いて13回塗布した。その後、60℃で乾燥して溶媒を除去し、支持体上にシリカ粒子膜を形成し、積層体(1)を得た。
【0030】
[実施例1]
フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(和光純薬工業株式会社製)2gを、前記参考例で得た積層体(1)上にスポイトで滴下し、表面に残留した液体をキムタオル(商品名;クレシア株式会社製)を100往復させ拭取り、反射率を測定した。液体供給前の積層体(1)の反射率測定結果で観測された、250、360、700nm付近の粒子膜内部の粒子の規則的配列による反射ピークが消失していることを確認した。また、液体供給前と粒子膜の硬度は変わらず、透明性は向上した。
【0031】
【表1】

【0032】
[参考例2]
トリアセチルセルロースフィルム(厚み:80μm)を支持体として用いた。コロイダルシリカ(3)(商品名:スノーテックスST−ZL;BET比表面積法による平均粒子径70nm;固形分濃度40wt%;溶媒:水;日産化学工業株式会社製)400g、コロイダルシリカ(2)(商品名:スノーテックスST−XS;シアーズ法による平均粒子径4〜6nm;固形分濃度20重量%;溶媒:水;日産化学工業株式会社製)200g、液体媒体である水1400gを混合し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、コロイダルシリカ塗布液(B)を調製した。該塗布液(B)におけるシリカ(3)とシリカ(2)の合計体積を100%とするとき、シリカ(3)の割合は80%、シリカ(2)の割合は20%である。
該塗布液(B)を、基材上にグラビアロールを用いて10回塗布した。その後、60℃で乾燥して溶媒を除去し、支持体上にシリカ粒子膜を形成し、積層体(2)を得た。積層体(2)の粒子膜の表面抵抗率は表2の通りであった。
【0033】
[参考例3]
1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(メルク株式会社製)2.5gと水2.5gを混合し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート水溶液を調整した。該水溶液2gを、トリアセチルセルロースフィルム(厚み:80μm)上にバーコータを用いて塗布した。その後、23℃で24時間乾燥し、表面抵抗率を測定した。表面抵抗率は表2の通りであった。
【0034】
[実施例2]
1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(メルク株式会社製)2.5gと水2.5gを混合し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート水溶液を調整した。該水溶液2gを、前記参考例2で得た積層体(2)上にバーコータを用いて塗布した。1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートの塗布量はシリカ粒子1gに対し0.2gである。その後、23℃で24時間乾燥し、表面抵抗率を測定した。表面抵抗率は表2の通りであった。粒子膜間に導電性の機能性液体が保持され、参考例2および3よりも高い導電性を持つ機能性粒子膜が得られた。
【0035】
【表2】

【0036】
[参考例4]
コロイダルシリカ塗布液(B)に1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを混合し、マグネチックスターラーを用いて攪拌し、コロイダルシリカ塗布液(C)を調製した。1−エチル−2−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートの添加量はシリカ粒子1gに対し0.3gである。該塗布液(C)を、トリアセチルセルロースフィルム(厚み:80μm)にグラビアロールを用いて塗布したところ、支持体上で固形分が塊状となり、粒子膜を形成することができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】シリカ粒子膜(参考例1)および複合シリカ粒子膜(実施例)の反射率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子間の空隙に液体が保持されてなる複合シリカ粒子膜の製造方法であって、
シリカが溶媒にコロイド状に分散されてなるコロイダルシリカ塗布液を支持体上に塗布し、塗布膜を形成する工程、
前記塗布膜から溶媒を除去してシリカ粒子膜を作製する工程、
前記シリカ粒子膜を形成するシリカ粒子間の空隙に液体を供給し、前記液体を保持させる工程
からなる複合シリカ粒子膜の製造方法。
【請求項2】
前記コロイダルシリカの粒子径(Da)が1〜1000nmである請求項1に記載の複合粒子膜の製造方法。
【請求項3】
前記液体の粘度が200Pa・s以下である請求項1または2に記載の複合粒子膜の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−272741(P2008−272741A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83303(P2008−83303)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】