複合テープの敷設方法
複合部材および複合部材を形成するための関連する方法を提供する。複合部材が複数の細長いテープ(12)から形成される。各テープが複数の自然な経路セグメント(72a、72g)によって画定される経路(70)に沿って配置され、自然な経路セグメントのそれぞれは隣接セグメントに対して非自然なオフセット角(76)を画定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年10月5日に出願された米国仮特許出願第60/615,895号の利点を主張し、その全体を本願明細書において援用する。
【0002】
発明の背景
1)発明の分野
本発明は複合構造物の製造に関し、より詳細には、起伏のある構成に細長いテープを敷設するかまたは配置して複合構造物を形成するための装置および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2)関連技術の説明
複合部材は、一般的に、マトリクス材に配置される補強材で形成される。たとえば、補強材はグラファイトなど繊維材料であってもよく、マトリクス材は樹脂状ポリマー材料であってもよい。1つの従来の製造方法によると、複数の細長い複合テープを敷設して部材の層を徐々に重ねる(build)ことによって、複合材料が複合部材の所望の形状に配置される。起伏テープ敷設機(CTLM)を使用して複合部材の形状を画定するマンドレルにテープの第1の層を配置することによって、複合部材を形成するための自動操作を開始することができる。CTLMは、ロールまたは他のテープの供給物を含み、これは所望の構成でマンドレル上にテープを案内するテープ配置ヘッドを用いてマンドレル上に送り出される。すなわち、テープ配置ヘッドがマンドレルとヘッドの間に相対運動を与えるので、ヘッドはマンドレルの表面にわたって移動する。ヘッドは通常、マンドレルが完全におおわれるまで定められたパターンでマンドレル上に繰り返された経路を作成し、表面にわたる連続したヘッドの経路によって、さらなるテープの層が重ねられる。圧縮ローラがマンドレルまたはすでに配置されたテープの層にテープを押圧し、テープの多重の層の接着を容易にする。
【0004】
この従来のCTLMは、テープを正確に配置することができ、自動プロセスによって、複合部材を形成することのできる速度を増大することができる。さらに、CTLMは、一般的に、選択されたマンドレルの表面に対応する様々な構成でテープを敷設でき、それによって複合部材を所望の形状に形成する。複雑な起伏の表面を製造するための1つの従来の方法では、自然な経路、すなわち、テープを最小限に圧力を加えるかまたはしわを寄せてテープがそれに沿ってマンドレルに略平坦に配置されることの可能なコースに沿って、第1のテープがマンドレル全体に配置される。起伏のあるマンドレルのために、自然な経路は通常は湾曲している。第1のテープが自然な経路に沿って配置されたあと、後続のテープが第1のテープと類似した方向に、すなわち第1のテープに略平行にマンドレル全体に延びる自然な経路に沿って配置される。しかしながら、マンドレルの複雑な起伏のために、隣接のテープの自然な経路は、それらの全長に沿って平行ではない。通常は、テープは、隣接するテープのいかなる重なり(すなわち、「ラップ」)を避けつつ、できる限り近くに配置されるのは、テープの重なりによって結果として生じる複合部材の強度が低減する可能性があるためである。したがって、自然な経路に沿って配置される隣接のテープの縁部は、その間の空間または「間隙」を画定し、この間隙のサイズはテープの長さに沿って変動可能である。間隙は、結果として生じる複合部材の強度を低減させる可能性もある。場合によっては、結果として生じるラップおよび/または間隙のための強度の低減が、部材を形成するためのCTLMの使用を妨げるのに十分に大きくなり得る。
【0005】
それゆえに、複雑な構成を画定しつつ隣接のテープによって画定されるラップおよび/または間隙を減少させるかまたは最小限に抑え、かつ実質的に配置されたテープにしわを
つくらずにこのことを行うための、テープを配置するための装置および方法が必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、複合部材および関連する複合部材を形成する方法と装置とを提供する。この方法は、複雑な構成を有する複合部材を形成するために複合テープを配置するのに使用されてもよい。この方法は、ラップ、間隙、しわ、および/またはテープの他の所望されない不均一性の発生を低減または最小限に抑えることができる。
【0007】
1実施形態によると、本発明は、複合部材の所望の起伏に形状が対応する起伏表面が、略平行な構成の複数の細長いテープを支持するために設けられる方法を提供する。各テープは、マトリクス材に配置される複数の補強部材を含み、複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って配置される。各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然な角度を画定し、各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するため、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される。通常は、テープは、テープが実質上しわになることなく表面に配置される。
【0008】
表面の起伏を決定し、少なくとも表面の一部にわたる第1の経路を決定し、第1の経路に隣接する第2の経路の各自然な経路セグメントの構成を計算することによって、各経路の構成を決定してもよく、各自然な経路セグメントの第1の端部は隣接セグメントに対するオフセット角を画定するので、各自然な経路セグメントの第2の端部が第1の経路からの所定のオフセット距離を画定し、オフセット距離は所定のオフセット距離間隔内にある。たとえば、各自然な経路セグメントのオフセット角を所定の最大のオフセット角よりも小さくして自然な経路セグメントを計算することができるので、細長いテープがしわ無く配置されるように構成される。さらに、各自然な経路セグメントの第2端部のオフセット距離間隔を最大の所定のオフセット距離間隔よりも小さい目標距離にほぼ等しくして、自然な経路セグメントを計算することができる。
【0009】
より詳細には、第2の経路の自然な経路セグメントうちの第1の経路セグメントの構成は、第2の経路の両側の端部の間の部分的な位置で計算することができ、各連続した経路セグメントの第2の端部が経路セグメントのうちの連続した1つの第1の端部を画定して、第2の経路の連続した自然な経路セグメントの構成は、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントから反対方向に計算されることができる。自然な経路セグメントのうち第1の経路セグメントの構成を計算する前に、第1の経路に隣接する自然な経路の構成を計算してもよく、その間の最小の横の距離を画定する第1の経路に隣接する自然な経路の部分を決定してもよい。したがって、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成は、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を、最小の横の距離を画定する自然な経路の部分に位置が対応する点で計算することを含んでもよい。
【0010】
細長いテープが自動テープ敷設装置の供給ロールから配置され、圧縮装置で起伏表面に押圧されることができる。各テープは複数の部分に配置可能であり、各部分は少なくとも供給されるおよそテープの長さであり、自動テープ敷設装置の供給ロールおよび圧縮装置の間に支持される。
【0011】
別の実施形態によると、本発明はまた、起伏表面を画定するのに略平行な構成で配置される複数の細長いテープを含む複合部材を提供する。各テープは、マトリクス材に配置さ
れる複数の補強部材を含み、複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って配置される。各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然なオフセット角を画定し、各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するので、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される。細長いテープはしわ無く配置されることができる。たとえば、各テープの隣接部分は、約4度以下または約0.5度以下の非自然なオフセット角を画定することができる。通常はテープの長さに応じて、テープは自然な経路セグメントに沿って配置される種々の数の部分を画定することができる。たとえば、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定して、各セグメント(およびそれゆえに、テープのそれぞれ連続的な部分)が約6インチから3フィートまでの間など約3インチから6フィートまでの間の長さを画定することができる。
【0012】
このように本発明を一般的な条件で記載してきたが、次に添付の図面を参照することとする。これらの図面は必ずしも尺度通りに描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、添付の図面参照しつつより完全に以下に説明することとする。本発明のいくつかの実施形態を示すが、すべてを示すものではない。実際にこの発明は多くの異なる形態で実施可能であり、本願明細書において説明される実施形態に制限されるものとして解釈されるべきでない。むしろこれらの実施形態が提供されるので、この開示が適用可能な法的要件を満たすこととなる。同じ数字は全体にわたって同じ要素を表す。
【0014】
次に図面、特に図1を参照する。本発明の1実施形態による、複合部材14を形成する間の細長いテープ12を配置するための装置10が、略図で示されている。装置10は、様々な材料の、種々の構成を有する複合部材14を形成するのに使用可能である。特に、装置10は、マトリクス材に配置される補強材を含む1つ以上の細長いテープ12を配置するのに使用可能である。テープ12は、種々のサイズおよび形状で提供されることができ、通常は、3インチ、6インチまたは12インチの幅を有する長い長方形のストリップである。通常、補強材は複数の繊維状の部材であり、繊維状の部材は、繊維、ストランド、ひもなど織成されたか不織のマット、および、ガラス繊維、金属、鉱物、伝導性または非伝導性のグラファイトまたは炭素、ナイロン、E. I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標であるKevlar(登録商標)などのアラミドなどその他材料等である。各テープ12は通常、マトリクス材を含み、補強部材がその中に配置される。しかしながら、場合によっては、テープ12はマトリクス材なしで形成されてもよく、マトリクス材は別々に配置されてもよい。いずれにせよ、マトリクス材は、熱可塑性プラスチックや熱硬化性重合樹脂など種々の材料を含むことができる。典型的な熱硬化性樹脂は、アリル、アルキドポリエステル、ビスマレイミド(BMI)、エポキシ、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン類(PUR)、ポリ尿素−ホルムアルデヒド、シアン酸塩エステルおよびビニルエステル樹脂を含む。典型的な熱可塑性樹脂は、以下を含む。すなわち、液晶ポリマ(LCP)と;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびポリテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテル(MFA)を含むフッ素樹脂と;Victrex PLC Corporation, Thorntons Cleveleys
Lancashire, UKの商標であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標))を含むケトンを主成分とする樹脂と;ナイロン−6/6、30%のガラス繊維などのポリアミドと;ポリエーテルスルフォン(PES)と;ポリアミドイミド(PAIS)、ポリエチレン(PE)と;ポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリ(フェニレンテレフタラート)を含むポリエステル
熱可塑性プラスチックと;ポリスルホン(PSU)と;ポリ(フェニレンサルファイド)(PPS)とを含む。
【0015】
さらに以下に考察されるように、テープ12は、複合部材14の所望の構成を画定するために配置されることができる。特に、テープ12は、種々のサイズおよび形状の部材を形成するために配置されることができる。たとえば、図2に示す複合部材14は、航空機の翼である。別の実施形態において、複合部材14は、他のエーロフォイル、航空機のボディパネル、航空宇宙ビークルおよび構造物のための他の部材、自動車、船舶用車両または他の車両の構造部材などとして使用可能である。場合によっては、複合部材14は、複雑なジオメトリーを画定することができる。たとえば、多重の軸を中心として湾曲している1つ以上の起伏が、屈曲部、開口部または他の不規則な形状などを画定する。
【0016】
装置10は、複合部材14の所望の形状に対応する構成で細長いテープ12を配置するために使用されるテープ配置ヘッドを概ね画定することができる。たとえば、図1に示すように、装置10は、マンドレル16、すなわち、ついでテープ12およびそれゆえに複合部材14に与えられる起伏表面18を有する工具上に細長いテープ12を配置することができる。さまざまなマンドレルが使用可能であり、マンドレル16が様々な起伏を画定できることが理解される。特に、マンドレル16の表面18は、隣接するテープ間で生じるラップや間隙無く長方形のテープを配置することがその上では困難であるか不可能であろう複雑な起伏を画定することができる。また、本願明細書においてテープ12がマンドレル16「の上に」配置できると概して記載されているが、テープ12の第1の層をマンドレル16の上に直接配置してもよく、後続の層を前の層の上に配置してもよいことが理解される。
【0017】
装置10は、1つ以上の細長いテープ12の供給物を含み、供給物は送り出され起伏表面18上に配置される。たとえば、テープ12が、装置10に取り付けられるスプール22に支持されるロール20などのディスペンサで供給されることができる。場合によっては、ディスペンサは、マンドレル16に同時に配置されるように多重のテープ12を提供する多重ロールまたは他の供給装置を含んでもよい。あるいは、単一のテープ12が1つ以上の部分に配置されてもよい。たとえば、単一のテープ12がマンドレル16に連続して配置される多重の部分に切断されてもよく、または、単一のテープ12は切断されることなく連続的に単一の部分としてマンドレル16に配置されてもよい。すなわち、本願明細書において述べられている「複数のテープ」または「多重のテープ」は、複数の隣接する細長い部分を画定するテープの単一の部分として配置されることができる。
【0018】
図1に示す実施形態において、ロール20を支持するスプール22が回転可能に取り付けられるので、テープ12がそこから送り出されることができる。テープ12が、ロール20から、マンドレル16上のテープ12の配置を制御する配置ガイドまで供給される。配置ガイドは図示しているような回転可能に取り付けられるローラ24であってもよいので、ローラ24がマンドレル16とともにころがり接触しながら、装置10がマンドレル16の表面18にわたって移動可能となる。したがって、装置10は、ローラ24を介してマンドレル16に概ね向かう方向の力を加えることができるので、圧縮ローラ24がテープ12上に圧力をかけ、圧縮領域でマンドレル16を押圧する。ローラ24はまた、取付け台27によって調節可能に取付け可能であり、取付け台27は装置10の残り部に対して調整できるので、ローラ24がテープ12およびマンドレル16に様々な圧力を加えることができ、そうでない場合にはテープ12の配置を制御することができる。圧縮ローラ24が表されているが、圧縮シューまたはプレス機など他のタイプの圧縮装置が利用されてもよい。
【0019】
装置10は、駆動アセンブリ26によってマンドレル16に対して移動する。このこと
を概略的に図1に示す。駆動アセンブリ26は、空圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータ、電気モータまたは電気サーボ、および/または、チェーン機構、歯車機構またはシャフトドライブ機構など、種々の駆動装置を含むことができる。マンドレル16の表面18にわたりテープ12を配置するためにマンドレル16に対して装置10の所望の相対的な配置を達成するのに、駆動アセンブリ26が装置10またはマンドレル16を移動するよう構成されることができる。通常は、テープ12の1つ以上の部分を各経路に配置して、装置10がマンドレル16の表面18に沿って多重の経路内を略線形に移動する。たとえば、装置10は、マンドレル16の第1の端部28から反対端30まで移動して1つ以上のテープ12を配置することができ、ついで第1の端部28に戻り、前の経路に配置されたこれらのテープ12に隣接するさらなるテープ12を配置するために同じ方向で別の経路を開始することができる。あるいは、装置10は、位置および/または方向を各経路間で調整して、マンドレル16のまわりの連続する経路に1つ以上のテープ12を巻きつけることができるので、テープ12が隣接部分に配置される。
【0020】
装置10はまた、種々の他の構成要素を含んでもよい。たとえば、ローラ32は、装置10を通してテープ12を案内するのに使用可能である。任意の数のローラ32、34が設けられてもよく、場合によっては、テープ12の運動を制御するために、いくつかまたはすべてのローラ32、34が、モータまたは他のアクチュエータによって駆動されてもよい。さらに、装置10は、通常は、テープ12および/またはマンドレル16を加熱するための加熱装置36を含む。この加熱装置36は、レーザ、レーザーダイオードアレイ、高温ガストーチ、電熱器、などであってもよい。加熱装置36は、通常は十分なエネルギを供給し、一度圧縮力を受けたテープ12が下にあるテープ12に接着することができるようになる。
【0021】
加熱装置36は、アレイを形成する多重のレーザダイオードなど多重の独立した加熱要素を含んでもよい。各加熱要素は他のレーザダイオードから独立した方法でエネルギ源に連結されることができるので、各加熱要素トの動作電力は他の加熱要素とは無関係に制御可能である。このような加熱装置は、2002年9月17日に発行され本出願の譲受人に譲渡された「自動化配置の間に複合材料を加熱し複合材料の温度を制御するための方法(Method for Heating and Controlling Temperature of Composite Material During Automated Placement)」と題されるホームズらの米国特許番号第6,451,152号にさらに記載されており、その全体を引用によって本願明細書に援用する。さらに、米国特許第6,451,152号に記載するように、マンドレル16に配置される前および/または後で、テープ12によって画定可能な特定の領域またはゾーンを加熱するためにそれぞれが構成されるように、個々の加熱要素が配置されることができる。したがって、加熱要素のうちの1つ以上の動作電力を変更することによって、テープ12のうちの特定の1つまたはテープ12のうちの特定の領域の加熱が、他のテープ12の加熱とは無関係に制御されることができる。ゾーンの均一でない加熱が望ましくなり得るのは、たとえば、テープ12が同一のサイズでない場合や、または同一材料でできていない場合、そしてその結果、配置するためのテープの最適温度を得るのに異なるエネルギ量を必要とする場合である。また、マンドレル16のジオメトリーのため、異なる量の加熱が望ましくなり得る。
【0022】
加熱装置36が、加熱装置36を制御するために構成されるコントローラ40と、電気的に接続されてもよい。コントローラ40は、たとえば点検、速度制御、温度および速度の検出、欠陥のマーキングなどに一体化された機能など他の機能を果たすこともできる。たとえば、装置10は、カメラ、温度センサ、予め配置された検出器、タックモニタリング装置、およびテープ12を監視するためのその他を含む点検システム42を有していてもよい。さらに、装置10は、複合部材14の欠陥または他の指定された部分をマークす
るためのマーキング装置を含んでもよい。
【0023】
それぞれの細長いテープ12は、複数の自然な経路セグメントによって画定される変形経路50に沿って配置されることができる。「自然な経路」という用語は、測地的曲線、すなわち、その測地的曲率があらゆる点でゼロと等しいために表面に対して局所的に直線である曲線を意味する。測地的曲率は、表面上にある曲線のコンテキストに画定されることのできる特別な種類の曲率である。曲線を平面におくと、その曲線が表面に接触する各点では接平面と呼ばれる平面が構成されることができ、この平面は表面上の隣接した点の群に対して最も平坦に近いものである。もし、与点において、その点で接平面に対して垂直に突出する(すなわち見られる)ときに曲線が直線に見える場合、その時曲線はその点においてゼロの測地的曲率を有する。測地的曲線(または自然な経路)は、あらゆる点でその長さに沿ってこの特性を有する。表面上に2つの異なった点を与えられると、それらの間の最も短い経路が測地的曲線である。
【0024】
本発明による各変形経路50は、セグメントが接合する点で非自然なオフセット角を画定する複数の自然な経路セグメントを含む。すなわち、変形経路50の各セグメントが、自然な経路を画定する。しかしながら、変形経路が2つの隣接セグメントが接合する点で接平面に対して垂直に突出する場合、ついで、突出したセグメントは、その突出した点ではゼロでないオフセット角を画定する。したがって、変形経路は、隣接セグメントが接合する点でゼロに等しい測地的曲率を有さず、それゆえに、自然な経路でない。
【0025】
したがって、テープ12を本発明の変形経路50に沿って配置して、各テープ12は複数の連続的な部分を画定し、各部分は自然な経路セグメントのうちの1つに対応する。各経路50の各セグメント、したがって各テープ12の各部分は、線形であってもよく、または非線形であってもよい。たとえば、表面の平面部分にわたる自然な経路は線形である。しかしながら、起伏のあるマンドレル16にわたる自然な経路は非線形であり、表面18の構成に応じて1つ以上の寸法に関する曲率を画定することができる。
【0026】
複合部材14を形成するための各テープ12の経路50を決定する1つの方法を、図4から図8に示す。図4は、参照番号12aによって個々に示すテープ12のうちの第1のテープの中心線52aに対応する第1の経路50aを示す。複合部材14を形成するために最初に起伏表面18に配置されるテープは、通常は、マンドレル16の長手方向の端部28、30の間にマンドレル16の横の端部29、31の間の位置で延びる自然な経路に沿って配置される。たとえば図3に示すように、任意の他のテープ12の前に第1のテープ12aがマンドレル16に配置されることができ、自然な経路に沿って配置される。後続のテープ12は、第1のテープ12aに概して平行に第1のテープ12aの両側に配置される。明確に示す目的のために、第1のテープ12aの中心線52aを図3に示す。図3に示すように、第1のテープ12aの中心線は、3次元曲線、すなわち多重の平行でない軸を中心として湾曲する線を画定する。
【0027】
再び図4を参照する。経路50aの実際の構成が図3に示すようにテープ12aの中心線52aに対応するように湾曲しもよいが、明確に図示するために、第1のテープ12aの経路50aは(テープの中心線52aに対応して)直線の構成で図示されている。第1の経路50aは、自然な経路、すなわち、最初に起伏表面18に配置されることになるテープ12の経路50であってもよい。あるいは、図4に示す第1の経路50aは、以下に記載される方法によって計算されるセグメント化された経路であってもよい。すなわち、「第1の経路」および「第1のテープ」という用語は、前述のテープを述べる便宜のために以下に使用される。このテープは、経路50aがそのために計算されていて、参照のために第1の経路50aに後続する隣接の第2の経路54の構成を計算するのに使用されていて、それに沿って第2のテープが第1のテープ12aに隣接して配置されることになっ
ている。テープ12は、種々の経時的な順番で表面18に配置されることができる。さらに、図4から図8は実際のテープ12を示していない。実際に、図4から図8は、テープ12の経路50の決定を表し、テープ12のうちのいくつかまたはすべてがマンドレル16に配置される前に経路50を決定することができる。たとえば、テープ12の経路50は数値によって決定されることができるので、ついで、計算された経路50にしたがってテープ12を配置さすることができる。
【0028】
第1のテープ12aに近接して配置されることになっている個々に参照番号12bによって示す第2のテープ12のための第2の経路50bを決定するために、第2の経路50bの第1の点(または開始点)54は、第1のテープ12aの経路50aから横方向の距離で画成される。具体的には、第1の点54は、通常は第1のテープ12aの経路50aから横方向に、テープ12の幅とほぼ等しい距離で配置される。したがって、第1のテープ12aを第1の経路50aに沿って配置し、第2のテープ12bを第2の経路50bに沿って配置して、テープ12a、12bの横の縁部56は相互に近接する。テープ12a、12bの中心線52a、52bは、テープ12の幅よりもわずかに離されてもよく、テープ12の間に小さな間隙を設ける。具体的には、第1の点54はテープ12の幅よりわずかに横方向にずれていてもよいので、テープが12a、12bがその間の所定のオフセット距離間隔内にあるオフセット距離を画定する。所定のオフセット距離間隔は、最小のオフセット距離、最大のオフセット距離、および、最小と最大の距離の間にある目標(または所望の)オフセット距離によって画定されることができる。
【0029】
ついで、概して表面18の端部28、30のうちの1つに向かう方向にある第2の経路50bの構成が、複数の自然な経路セグメント58a、58b、58cにおいて決定される。図6に示すように、第1のセグメント58aが第1の点54から延びる。すなわち、第1のセグメント58aの第1の端部が第1の点54によって画定され、その反対側のセグメント58aの第2の端部が、所定のオフセット距離間隔内の距離で第1の経路50aから横方向にも配置される後続の点によって画定される。図7および図8に示すように、各セグメント58a、58b、58cの第2の点は、同じ経路50に沿った連続したセグメント58a、58b、58cの第1の点である。各セグメント58a、58b、58cの構成は、反復処理を使用して決定することができる。この処理では、各セグメント58a、58b、58cが均一であるか固定されたセグメント長を有し、各セグメント58a、58b、58cの第2端部(セグメント58a、58b、58cの中心線50bによって画定されるように)が、第1の経路50aから所定のオフセット距離間隔内で保持されるように、各セグメント58a、58b、58cの第2の端部が計算される。さらに、所定のオフセット距離間隔内でもあるそれらの長さに沿って間隙を画定するように、第1および第2のテープ12a、12bを作製することができる。たとえば、セグメント58a、58b、58cのそれぞれの1つの第2の端部は、図5に示すように、第1の経路50aから横方向に配置される座標位置に目標のオフセット距離で最初に設定することができる。ついで、セグメント58a、58b、58cの起伏(したがって、対応するテープの部分)が決定されるので、セグメント58a、58b、58cが第1および第2の点の間で表面18に沿って自然な経路に追従する。起伏表面上の2つの点の間にある自然な経路の構成は、表面18にしたがってテープ12の構成を数学的にモデル化することなどによって、種々の既知の方法を使用して決定されてもよい。第1および第2のテープ12a、12b間の間隙は、セグメント58a、58b、58cの全長に沿って決定される。間隙が間隔の外にある場合、すなわち最小のオフセット距離よりも小さいか、または最大のオフセット距離よりも大きい場合、ついで、セグメント58a、58b、58cの方向はわずかに変形する(図6)。すなわち、セグメント58a、58b、58cは、第1の点54からわずかに異なる角度で延びるように作製される。セグメントはわずかに異なる角度で第1の点から延びるが、セグメント58a、58b、58cは、自然な経路をその端部の間になお画定することとなる。セグメント58a、58b、58cの向きは、通常は最
小限に変形されるので、セグメント58a、58b、58cの全体の横の縁部56は、第1のテープ12aで所定のオフセット距離間隔内の間隙を画定する。
【0030】
したがって、第2の経路50bの第1のセグメント58aの構成が決定されたあと、第1のセグメント58aから起伏表面18の端部30に向かって延びる連続したセグメント58b、58cの構成が、図8に示すように経時的な方法で同様に決定される。さらに、第2の経路50bの構成は、図8に示すように、第1の点(開始点)54から起伏表面18の反対端28に向かう方向に同様に決定され、セグメント58d、58e、58fを含む。各経路50は、任意の数のセグメントを含むことができ、したがって、各テープは任意の数の対応する連続的な部分を画定することができる。集合的に参照符号58によって示される各セグメントは自然な経路を画定し、セグメント58は、経路50にしたがって配置されるテープ12の中心線52によって、第1および第2のテープ12a、12bの横の縁部56がその間の所定のオフセット距離間隔内の間隙を画定するように画定される。最大および最小の間隔の数値は、結果として生じる複合部材14の特性、複合部材14の要件および表面18の起伏度に関する間隙およびラップの影響によって決定されてもよい。場合によっては、間隔の最小値は、ゼロまたは小さな負値でさえあってもよい。
【0031】
すべての経路の構成は、テープ12のいくつかまたはすべてが起伏表面18に配置される前に決定されてもよい。すなわち、経路50の構成を決定する前述の方法が理論的にまたは数値によって行われてもよく、ついで、テープ12がそれに応じて配置されてもよい。たとえば、計算された経路50の構成が、電子的に装置10のメモリ44に保存されることができ、ついで、テープ12は、それぞれの経路50の算出された構成にしたがって装置10によって配置されることができる。
【0032】
複合部材14を製造する1つの方法によると、起伏表面18の起伏はモデル化され、数値によって、たとえばマンドレル16の起伏表面18上の点の代表的な複数の座標データ数値としてコンピュータ装置に保存される。コンピュータソフトウェアプログラムの命令にしたがって動作するコンピュータなどプログラム可能な論理デバイスが、経路50の構成を計算するのに使用可能であり、経路50の構成は、複合部材14の製造において後に使用するために保存可能である。たとえば、経路50の構成は、経路50を画定する複数の座標データ点として保存可能である。経路50を示す座標データ点は、コンピュータのデータベースまたは別の電子機器の記憶装置に保存可能である。その後、たとえばデータベースに保存したデータ点は、複合テープ12を配置して複合部材14を形成するために装置10の運動を制御するのに使用可能である。たとえば、データ点は、装置10の運動の特徴である命令を生成するのに使用可能であり、これらの命令はメモリ44に保存可能であるか、そうでない場合は、複合部材14を製造する間に装置10を制御するために備えることができる。
【0033】
上述の通り、それぞれの経路50のそれぞれのセグメント58が、各セグメント58の両側の端部の点の間に延びる自然な経路を画定する。しかしながら、各経路50のセグメント58は、共に自然な経路を画定しない。すなわち、セグメント58は、非自然な角度で接合される。したがって、各テープ12は複数の部分として配置されることができ、各部分は長さおよび位置がセグメント58のうちの1つに対応している。各テープ12は、連続的に部分を画定する。すなわち、各テープ12は、その端部の間を中断または切れ目なく連続性があり均一となることができ、テープ12の端部間に複数の部分を含む。しかしながら、それぞれ一対の隣接部分の間で、各テープ12が非自然な角度を画定し、そこでテープ12が自然な経路からわずかに分岐する。したがって、通常はテープ12が結果としてしわになるのに十分な圧力を加えられないのは隣接セグメント(したがって、テープ部分)が配置される角度の差異が後述するように通常は比較的小さいためであるが、各テープ12はこの角度でわずかに圧力を加えられることができる。
【0034】
非自然な角度の数値は、各経路50の各セグメント58の構成を決定した結果である。各非自然な角度は、起伏表面18上の同じ点を通って延びる自然な経路に生ずるであろう角度からわずかにずれている角度によって外れる。そうでない場合には起伏表面18上の同じ点で自然な経路によって画定されるであろう自然な角度に対する各非自然な角度のオフセットの量は、最大のオフセット角に制限されることができる。セグメント(したがって、テープ部分)の間の最大のオフセット角は、テープ12がそれに一致することとなる起伏、テープ12の物理的特性、装置10の構成などで影響を受けてもよい。たとえば、最大のオフセット角は、テープ12の幅、厚さおよび剛性と、タッキングの量またはテープ12の粘着性、したがってテープ12が下位層に十分に接着する方法と、装置10の圧縮装置の幾何学的構成などで影響を受けてもよい。通常は、隣接セグメント58(したがって、テープ部分)の間の最大のオフセット角は、約3度または4度未満であり、より一般的には0.5度未満である。場合によっては、隣接セグメント(したがって、テープ部分)58の間の最大のオフセット角は、約0.1度未満または0.001度未満でさえある。
【0035】
各テープ12は、任意の数の非自然な角度と、その間にある任意の数のセグメント58(したがって、テープ部分)とを画定することができる。たとえば、多数の角度および経路は、各テープの各経路の長さ、テープの経路の複雑さ、自然な経路から、または、隣接するテープの経路からのテープの最大の所望のずれ、およびテープの材料の物理的特性によって、決定されることができる。本発明の典型的な1実施形態において、各テープの各連続的な部分は、約3インチから6フィートまでの間の長さ、たとえば約6インチから3フィートまでの間の長さを有する。したがって、1実施形態において、18フィートの長さを有するテープ12は、約3個と72個の間の連続的な部分(したがって、連続的な部分の間に約2個と71個の間の非自然な角度間)を有することができ、または、約6個と36個の間の連続的な部分(したがって、連続的な部分の間に約5個と35個の間の非自然な角度間)を有することができる。しかしながら、特定の構成を達成するために必要に応じて、異なるテープは異なる数の部分(したがって、セグメント58)と非自然な角度とを画定することができることが理解される。
【0036】
図4から図8を参照しつつ記載されているように、テープ12の経路50は、開始点54から起伏表面18の端部28、30の間に決定され、開始点54から反対方向に外方に計算される。開始点54は、それぞれの経路50の中間点であってもよい。特に、各経路50の出発点54の位置は、すでに計算された経路50の中間点によって決定されてもよい。あるいは、開始点54は、中間点以外、たとえば起伏表面18の端部28、30のうちの1つにより近くに、または起伏表面18の一端28、30にさえ配置されることができるので、ついで、経路50が単一の方向に沿って反対端28、30に向かって決定されることができる。
【0037】
1実施形態において、開始点54は、経路50の部分に近接して配置され、ここではセグメント58(したがって、テープ部分)間の角度を変形することなくテープ12が重なり合う可能性がある。すなわち、第2の経路50bのための自然な経路セグメント58が決定される前に、自然な経路は第1の経路50aに隣接して決定されてもよい。通常は、自然な経路は、第1の経路50aに対して正確に平行ではない。したがって、2つの経路50a、50bの間の横の距離は、経路50a、50bに沿って変動する。すなわち、経路50a、50bの1つ以上の部分で、2つの経路50a、50bが最小の横の距離を画定する。第2の経路50bの構成を計算するための開始点54は、最小の横の距離が画定される自然な経路の部分に起伏表面18上の位置が対応する点に配置されることができる。換言すれば、第2の経路50bの経路を計算するための開始点54は、第2のテープ12bが自然な経路に沿って配置される場合に、テープ50a、50bの重なりがおそらく
生ずるであろう表面の部分に対応することができる。このような開始点の使用によって、各経路50の連続したセグメント58間に過度のオフセット角を使用せずに、結果として最小のラップおよび間隙が生じ得ることが考えられる。いずれにせよ、テープ12は、2つの端部28、30の間を繰り返し移動して各経路にテープ12のうちの1つ以上を敷設する装置10によって、起伏表面18の一端28、30から他端28、30まで連続的に配置されることができる。
【0038】
図9から図11は、テープ12の経路50のセグメント58間の非自然な角度の調整の効果を示す。具体的には、図9は、起伏表面18にわたる自然または測地的な経路を示す。図10は、少なくともいくつかの隣接するセグメント58が非自然な角度を画定する、図9の自然な経路と本発明によって決定された変形経路50と複数の自然な経路セグメント58から形成される経路との比較を示す。具体的には、図9の自然な経路60は、8つの点64aから64hによって画定される7つのセグメント62aから62gを含む。経路60の隣接セグメント62aから62gの間の6つの点64bから64gで、経路60は自然な角度を画定する。同様に、7つのセグメント72aから72gを有する本発明による変形経路70が、点74aから74hを備えて図10に示される。しかしながら、第2のおよび第3のセグメント72bおよび72cの間の角度は非自然な角度である。すなわち、角度が自然な角度からオフセット角76によって変形され、したがって、セグメント72b、72cの経路が自然な経路から変形する。実際に、角度が比較的わずかに変形することによって、経路70の構成にかなり影響を与える可能性があることが示されている。したがって、隣接テープ12間の間隙および/またはラップが、最小限に抑えられ、除去され、そうでない場合には最適化されることができる。この点に関しては、図10に示すオフセット角76が、説明のために一般に利用されるものよりもいくぶんより大きくなるように示されていることに注意されたい。
【0039】
図11は、図10の経路へのさらなる変形を示す。図11の変形経路80は、7つの点84aから84gによって画定される6つのセグメント82aから82fを含む。特に、変形経路80は、図10に示す経路70の第3の点74c、すなわち、図10に示す図9の自然な経路60からの経路70のずれの第1の点を省略する。いかなる特定の理論にも制限されることを意図としないが、考えられるのは、第1の変形経路が最初に自然な経路から外れる1つ以上の点の省略することによって、変形経路の平滑度を改良することができ、それによって、テープ12の応力、テープ12間のしわ、および/またはラップや間隙がおそらく低減することである。図12は、起伏表面18に配置されるテープ90を示し、テープ90は部分92aから92fを画定し、部分92aから92fのそれぞれは図11の経路80の経路セグメント82aから82fに対応する。
【0040】
経路50、70、80のセグメント58、72aから72g、82aから82f、したがってテープ12の部分は、種々の長さを有することができる。本発明の1実施形態において、それぞれのセグメント58は、テープ12とローラ24の供給ロール20または他の圧縮装置の間の距離と少なくともほぼ同じ長さである、すなわち、そのために、装置10内のロール20から送り出される任意のテープ12が、各テープ12の方向がそれぞれの経路によって画定される後続の非自然な角度で修正される前に、マンドレル16上に配置されることができる。あるいは、テープ12がローラ32または他の支持構造物などによってロール20および圧縮装置の間に支持される場合、各セグメント(したがって、テープ12の各対応する部分)が、少なくとも圧縮装置とロール20または他の支持構造物の間の少なくともおよそ距離である長さを有することができる。たとえば、1実施形態において、各セグメントは、少なくとも約30インチの長さを有する。
【0041】
各テープ12は、通常はその長さに沿って均一幅を有する、すなわち、そのために、各テープの横の縁部56が線形であり互いに平行である。しかしながら、場合によっては、
縁部56の一方または両方が非線形であり、および/または、縁部が非平行であってもよい。たとえば、各テープ12の縁部56のうちの1つが、敷設操作の前か間に切り取られることができる。このような方法で、テープ12はさらに加工物の種々の起伏に適応し、および/または、テープ12間のラップまたは間隙を減少するのに適合可能となる。テープ12を切り離すかまたは切断するための装置および方法は、2005年3月24日に出願され、「複合テープの輪郭を切断するための装置および方法(Apparatus and Method for Composite Tape Profile Cutting)」と題する、米国特許第11/088288号にさらに記載されており、その全体を引用によって本願明細書に援用する。
【0042】
この発明が関する本発明の多くの変形および他の実施形態は、前述の説明および関連する図面に示される教示の助けをかりて当業者に考えられるであろう。それゆえに、本発明は、開示されている特定の実施形態に制限されるべきではなく、変形および他の実施形態は添付の請求の範囲に含まれることが意図されると理解すべきである。特定の用語が本願明細書において利用されているが、それらは、一般的な記述の意味でのみ使用され、制限する目的のために使用されていない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の1実施形態による、複合部材を形成する間の細長いテープを配置するための装置を略図で示す正面図である。
【図2】本発明の1実施形態によって形成された複合部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態による製造する間の複合部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図5】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図6】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図7】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図8】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図10】本発明の別の実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図11】本発明の別の実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図12】図11の経路に沿って配置される複合テープを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年10月5日に出願された米国仮特許出願第60/615,895号の利点を主張し、その全体を本願明細書において援用する。
【0002】
発明の背景
1)発明の分野
本発明は複合構造物の製造に関し、より詳細には、起伏のある構成に細長いテープを敷設するかまたは配置して複合構造物を形成するための装置および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2)関連技術の説明
複合部材は、一般的に、マトリクス材に配置される補強材で形成される。たとえば、補強材はグラファイトなど繊維材料であってもよく、マトリクス材は樹脂状ポリマー材料であってもよい。1つの従来の製造方法によると、複数の細長い複合テープを敷設して部材の層を徐々に重ねる(build)ことによって、複合材料が複合部材の所望の形状に配置される。起伏テープ敷設機(CTLM)を使用して複合部材の形状を画定するマンドレルにテープの第1の層を配置することによって、複合部材を形成するための自動操作を開始することができる。CTLMは、ロールまたは他のテープの供給物を含み、これは所望の構成でマンドレル上にテープを案内するテープ配置ヘッドを用いてマンドレル上に送り出される。すなわち、テープ配置ヘッドがマンドレルとヘッドの間に相対運動を与えるので、ヘッドはマンドレルの表面にわたって移動する。ヘッドは通常、マンドレルが完全におおわれるまで定められたパターンでマンドレル上に繰り返された経路を作成し、表面にわたる連続したヘッドの経路によって、さらなるテープの層が重ねられる。圧縮ローラがマンドレルまたはすでに配置されたテープの層にテープを押圧し、テープの多重の層の接着を容易にする。
【0004】
この従来のCTLMは、テープを正確に配置することができ、自動プロセスによって、複合部材を形成することのできる速度を増大することができる。さらに、CTLMは、一般的に、選択されたマンドレルの表面に対応する様々な構成でテープを敷設でき、それによって複合部材を所望の形状に形成する。複雑な起伏の表面を製造するための1つの従来の方法では、自然な経路、すなわち、テープを最小限に圧力を加えるかまたはしわを寄せてテープがそれに沿ってマンドレルに略平坦に配置されることの可能なコースに沿って、第1のテープがマンドレル全体に配置される。起伏のあるマンドレルのために、自然な経路は通常は湾曲している。第1のテープが自然な経路に沿って配置されたあと、後続のテープが第1のテープと類似した方向に、すなわち第1のテープに略平行にマンドレル全体に延びる自然な経路に沿って配置される。しかしながら、マンドレルの複雑な起伏のために、隣接のテープの自然な経路は、それらの全長に沿って平行ではない。通常は、テープは、隣接するテープのいかなる重なり(すなわち、「ラップ」)を避けつつ、できる限り近くに配置されるのは、テープの重なりによって結果として生じる複合部材の強度が低減する可能性があるためである。したがって、自然な経路に沿って配置される隣接のテープの縁部は、その間の空間または「間隙」を画定し、この間隙のサイズはテープの長さに沿って変動可能である。間隙は、結果として生じる複合部材の強度を低減させる可能性もある。場合によっては、結果として生じるラップおよび/または間隙のための強度の低減が、部材を形成するためのCTLMの使用を妨げるのに十分に大きくなり得る。
【0005】
それゆえに、複雑な構成を画定しつつ隣接のテープによって画定されるラップおよび/または間隙を減少させるかまたは最小限に抑え、かつ実質的に配置されたテープにしわを
つくらずにこのことを行うための、テープを配置するための装置および方法が必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明は、複合部材および関連する複合部材を形成する方法と装置とを提供する。この方法は、複雑な構成を有する複合部材を形成するために複合テープを配置するのに使用されてもよい。この方法は、ラップ、間隙、しわ、および/またはテープの他の所望されない不均一性の発生を低減または最小限に抑えることができる。
【0007】
1実施形態によると、本発明は、複合部材の所望の起伏に形状が対応する起伏表面が、略平行な構成の複数の細長いテープを支持するために設けられる方法を提供する。各テープは、マトリクス材に配置される複数の補強部材を含み、複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って配置される。各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然な角度を画定し、各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するため、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される。通常は、テープは、テープが実質上しわになることなく表面に配置される。
【0008】
表面の起伏を決定し、少なくとも表面の一部にわたる第1の経路を決定し、第1の経路に隣接する第2の経路の各自然な経路セグメントの構成を計算することによって、各経路の構成を決定してもよく、各自然な経路セグメントの第1の端部は隣接セグメントに対するオフセット角を画定するので、各自然な経路セグメントの第2の端部が第1の経路からの所定のオフセット距離を画定し、オフセット距離は所定のオフセット距離間隔内にある。たとえば、各自然な経路セグメントのオフセット角を所定の最大のオフセット角よりも小さくして自然な経路セグメントを計算することができるので、細長いテープがしわ無く配置されるように構成される。さらに、各自然な経路セグメントの第2端部のオフセット距離間隔を最大の所定のオフセット距離間隔よりも小さい目標距離にほぼ等しくして、自然な経路セグメントを計算することができる。
【0009】
より詳細には、第2の経路の自然な経路セグメントうちの第1の経路セグメントの構成は、第2の経路の両側の端部の間の部分的な位置で計算することができ、各連続した経路セグメントの第2の端部が経路セグメントのうちの連続した1つの第1の端部を画定して、第2の経路の連続した自然な経路セグメントの構成は、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントから反対方向に計算されることができる。自然な経路セグメントのうち第1の経路セグメントの構成を計算する前に、第1の経路に隣接する自然な経路の構成を計算してもよく、その間の最小の横の距離を画定する第1の経路に隣接する自然な経路の部分を決定してもよい。したがって、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成は、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を、最小の横の距離を画定する自然な経路の部分に位置が対応する点で計算することを含んでもよい。
【0010】
細長いテープが自動テープ敷設装置の供給ロールから配置され、圧縮装置で起伏表面に押圧されることができる。各テープは複数の部分に配置可能であり、各部分は少なくとも供給されるおよそテープの長さであり、自動テープ敷設装置の供給ロールおよび圧縮装置の間に支持される。
【0011】
別の実施形態によると、本発明はまた、起伏表面を画定するのに略平行な構成で配置される複数の細長いテープを含む複合部材を提供する。各テープは、マトリクス材に配置さ
れる複数の補強部材を含み、複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って配置される。各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然なオフセット角を画定し、各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するので、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される。細長いテープはしわ無く配置されることができる。たとえば、各テープの隣接部分は、約4度以下または約0.5度以下の非自然なオフセット角を画定することができる。通常はテープの長さに応じて、テープは自然な経路セグメントに沿って配置される種々の数の部分を画定することができる。たとえば、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定して、各セグメント(およびそれゆえに、テープのそれぞれ連続的な部分)が約6インチから3フィートまでの間など約3インチから6フィートまでの間の長さを画定することができる。
【0012】
このように本発明を一般的な条件で記載してきたが、次に添付の図面を参照することとする。これらの図面は必ずしも尺度通りに描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、添付の図面参照しつつより完全に以下に説明することとする。本発明のいくつかの実施形態を示すが、すべてを示すものではない。実際にこの発明は多くの異なる形態で実施可能であり、本願明細書において説明される実施形態に制限されるものとして解釈されるべきでない。むしろこれらの実施形態が提供されるので、この開示が適用可能な法的要件を満たすこととなる。同じ数字は全体にわたって同じ要素を表す。
【0014】
次に図面、特に図1を参照する。本発明の1実施形態による、複合部材14を形成する間の細長いテープ12を配置するための装置10が、略図で示されている。装置10は、様々な材料の、種々の構成を有する複合部材14を形成するのに使用可能である。特に、装置10は、マトリクス材に配置される補強材を含む1つ以上の細長いテープ12を配置するのに使用可能である。テープ12は、種々のサイズおよび形状で提供されることができ、通常は、3インチ、6インチまたは12インチの幅を有する長い長方形のストリップである。通常、補強材は複数の繊維状の部材であり、繊維状の部材は、繊維、ストランド、ひもなど織成されたか不織のマット、および、ガラス繊維、金属、鉱物、伝導性または非伝導性のグラファイトまたは炭素、ナイロン、E. I. du Pont de Nemours and Companyの登録商標であるKevlar(登録商標)などのアラミドなどその他材料等である。各テープ12は通常、マトリクス材を含み、補強部材がその中に配置される。しかしながら、場合によっては、テープ12はマトリクス材なしで形成されてもよく、マトリクス材は別々に配置されてもよい。いずれにせよ、マトリクス材は、熱可塑性プラスチックや熱硬化性重合樹脂など種々の材料を含むことができる。典型的な熱硬化性樹脂は、アリル、アルキドポリエステル、ビスマレイミド(BMI)、エポキシ、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリウレタン類(PUR)、ポリ尿素−ホルムアルデヒド、シアン酸塩エステルおよびビニルエステル樹脂を含む。典型的な熱可塑性樹脂は、以下を含む。すなわち、液晶ポリマ(LCP)と;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびポリテトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテル(MFA)を含むフッ素樹脂と;Victrex PLC Corporation, Thorntons Cleveleys
Lancashire, UKの商標であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK(登録商標))を含むケトンを主成分とする樹脂と;ナイロン−6/6、30%のガラス繊維などのポリアミドと;ポリエーテルスルフォン(PES)と;ポリアミドイミド(PAIS)、ポリエチレン(PE)と;ポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリ(フェニレンテレフタラート)を含むポリエステル
熱可塑性プラスチックと;ポリスルホン(PSU)と;ポリ(フェニレンサルファイド)(PPS)とを含む。
【0015】
さらに以下に考察されるように、テープ12は、複合部材14の所望の構成を画定するために配置されることができる。特に、テープ12は、種々のサイズおよび形状の部材を形成するために配置されることができる。たとえば、図2に示す複合部材14は、航空機の翼である。別の実施形態において、複合部材14は、他のエーロフォイル、航空機のボディパネル、航空宇宙ビークルおよび構造物のための他の部材、自動車、船舶用車両または他の車両の構造部材などとして使用可能である。場合によっては、複合部材14は、複雑なジオメトリーを画定することができる。たとえば、多重の軸を中心として湾曲している1つ以上の起伏が、屈曲部、開口部または他の不規則な形状などを画定する。
【0016】
装置10は、複合部材14の所望の形状に対応する構成で細長いテープ12を配置するために使用されるテープ配置ヘッドを概ね画定することができる。たとえば、図1に示すように、装置10は、マンドレル16、すなわち、ついでテープ12およびそれゆえに複合部材14に与えられる起伏表面18を有する工具上に細長いテープ12を配置することができる。さまざまなマンドレルが使用可能であり、マンドレル16が様々な起伏を画定できることが理解される。特に、マンドレル16の表面18は、隣接するテープ間で生じるラップや間隙無く長方形のテープを配置することがその上では困難であるか不可能であろう複雑な起伏を画定することができる。また、本願明細書においてテープ12がマンドレル16「の上に」配置できると概して記載されているが、テープ12の第1の層をマンドレル16の上に直接配置してもよく、後続の層を前の層の上に配置してもよいことが理解される。
【0017】
装置10は、1つ以上の細長いテープ12の供給物を含み、供給物は送り出され起伏表面18上に配置される。たとえば、テープ12が、装置10に取り付けられるスプール22に支持されるロール20などのディスペンサで供給されることができる。場合によっては、ディスペンサは、マンドレル16に同時に配置されるように多重のテープ12を提供する多重ロールまたは他の供給装置を含んでもよい。あるいは、単一のテープ12が1つ以上の部分に配置されてもよい。たとえば、単一のテープ12がマンドレル16に連続して配置される多重の部分に切断されてもよく、または、単一のテープ12は切断されることなく連続的に単一の部分としてマンドレル16に配置されてもよい。すなわち、本願明細書において述べられている「複数のテープ」または「多重のテープ」は、複数の隣接する細長い部分を画定するテープの単一の部分として配置されることができる。
【0018】
図1に示す実施形態において、ロール20を支持するスプール22が回転可能に取り付けられるので、テープ12がそこから送り出されることができる。テープ12が、ロール20から、マンドレル16上のテープ12の配置を制御する配置ガイドまで供給される。配置ガイドは図示しているような回転可能に取り付けられるローラ24であってもよいので、ローラ24がマンドレル16とともにころがり接触しながら、装置10がマンドレル16の表面18にわたって移動可能となる。したがって、装置10は、ローラ24を介してマンドレル16に概ね向かう方向の力を加えることができるので、圧縮ローラ24がテープ12上に圧力をかけ、圧縮領域でマンドレル16を押圧する。ローラ24はまた、取付け台27によって調節可能に取付け可能であり、取付け台27は装置10の残り部に対して調整できるので、ローラ24がテープ12およびマンドレル16に様々な圧力を加えることができ、そうでない場合にはテープ12の配置を制御することができる。圧縮ローラ24が表されているが、圧縮シューまたはプレス機など他のタイプの圧縮装置が利用されてもよい。
【0019】
装置10は、駆動アセンブリ26によってマンドレル16に対して移動する。このこと
を概略的に図1に示す。駆動アセンブリ26は、空圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータ、電気モータまたは電気サーボ、および/または、チェーン機構、歯車機構またはシャフトドライブ機構など、種々の駆動装置を含むことができる。マンドレル16の表面18にわたりテープ12を配置するためにマンドレル16に対して装置10の所望の相対的な配置を達成するのに、駆動アセンブリ26が装置10またはマンドレル16を移動するよう構成されることができる。通常は、テープ12の1つ以上の部分を各経路に配置して、装置10がマンドレル16の表面18に沿って多重の経路内を略線形に移動する。たとえば、装置10は、マンドレル16の第1の端部28から反対端30まで移動して1つ以上のテープ12を配置することができ、ついで第1の端部28に戻り、前の経路に配置されたこれらのテープ12に隣接するさらなるテープ12を配置するために同じ方向で別の経路を開始することができる。あるいは、装置10は、位置および/または方向を各経路間で調整して、マンドレル16のまわりの連続する経路に1つ以上のテープ12を巻きつけることができるので、テープ12が隣接部分に配置される。
【0020】
装置10はまた、種々の他の構成要素を含んでもよい。たとえば、ローラ32は、装置10を通してテープ12を案内するのに使用可能である。任意の数のローラ32、34が設けられてもよく、場合によっては、テープ12の運動を制御するために、いくつかまたはすべてのローラ32、34が、モータまたは他のアクチュエータによって駆動されてもよい。さらに、装置10は、通常は、テープ12および/またはマンドレル16を加熱するための加熱装置36を含む。この加熱装置36は、レーザ、レーザーダイオードアレイ、高温ガストーチ、電熱器、などであってもよい。加熱装置36は、通常は十分なエネルギを供給し、一度圧縮力を受けたテープ12が下にあるテープ12に接着することができるようになる。
【0021】
加熱装置36は、アレイを形成する多重のレーザダイオードなど多重の独立した加熱要素を含んでもよい。各加熱要素は他のレーザダイオードから独立した方法でエネルギ源に連結されることができるので、各加熱要素トの動作電力は他の加熱要素とは無関係に制御可能である。このような加熱装置は、2002年9月17日に発行され本出願の譲受人に譲渡された「自動化配置の間に複合材料を加熱し複合材料の温度を制御するための方法(Method for Heating and Controlling Temperature of Composite Material During Automated Placement)」と題されるホームズらの米国特許番号第6,451,152号にさらに記載されており、その全体を引用によって本願明細書に援用する。さらに、米国特許第6,451,152号に記載するように、マンドレル16に配置される前および/または後で、テープ12によって画定可能な特定の領域またはゾーンを加熱するためにそれぞれが構成されるように、個々の加熱要素が配置されることができる。したがって、加熱要素のうちの1つ以上の動作電力を変更することによって、テープ12のうちの特定の1つまたはテープ12のうちの特定の領域の加熱が、他のテープ12の加熱とは無関係に制御されることができる。ゾーンの均一でない加熱が望ましくなり得るのは、たとえば、テープ12が同一のサイズでない場合や、または同一材料でできていない場合、そしてその結果、配置するためのテープの最適温度を得るのに異なるエネルギ量を必要とする場合である。また、マンドレル16のジオメトリーのため、異なる量の加熱が望ましくなり得る。
【0022】
加熱装置36が、加熱装置36を制御するために構成されるコントローラ40と、電気的に接続されてもよい。コントローラ40は、たとえば点検、速度制御、温度および速度の検出、欠陥のマーキングなどに一体化された機能など他の機能を果たすこともできる。たとえば、装置10は、カメラ、温度センサ、予め配置された検出器、タックモニタリング装置、およびテープ12を監視するためのその他を含む点検システム42を有していてもよい。さらに、装置10は、複合部材14の欠陥または他の指定された部分をマークす
るためのマーキング装置を含んでもよい。
【0023】
それぞれの細長いテープ12は、複数の自然な経路セグメントによって画定される変形経路50に沿って配置されることができる。「自然な経路」という用語は、測地的曲線、すなわち、その測地的曲率があらゆる点でゼロと等しいために表面に対して局所的に直線である曲線を意味する。測地的曲率は、表面上にある曲線のコンテキストに画定されることのできる特別な種類の曲率である。曲線を平面におくと、その曲線が表面に接触する各点では接平面と呼ばれる平面が構成されることができ、この平面は表面上の隣接した点の群に対して最も平坦に近いものである。もし、与点において、その点で接平面に対して垂直に突出する(すなわち見られる)ときに曲線が直線に見える場合、その時曲線はその点においてゼロの測地的曲率を有する。測地的曲線(または自然な経路)は、あらゆる点でその長さに沿ってこの特性を有する。表面上に2つの異なった点を与えられると、それらの間の最も短い経路が測地的曲線である。
【0024】
本発明による各変形経路50は、セグメントが接合する点で非自然なオフセット角を画定する複数の自然な経路セグメントを含む。すなわち、変形経路50の各セグメントが、自然な経路を画定する。しかしながら、変形経路が2つの隣接セグメントが接合する点で接平面に対して垂直に突出する場合、ついで、突出したセグメントは、その突出した点ではゼロでないオフセット角を画定する。したがって、変形経路は、隣接セグメントが接合する点でゼロに等しい測地的曲率を有さず、それゆえに、自然な経路でない。
【0025】
したがって、テープ12を本発明の変形経路50に沿って配置して、各テープ12は複数の連続的な部分を画定し、各部分は自然な経路セグメントのうちの1つに対応する。各経路50の各セグメント、したがって各テープ12の各部分は、線形であってもよく、または非線形であってもよい。たとえば、表面の平面部分にわたる自然な経路は線形である。しかしながら、起伏のあるマンドレル16にわたる自然な経路は非線形であり、表面18の構成に応じて1つ以上の寸法に関する曲率を画定することができる。
【0026】
複合部材14を形成するための各テープ12の経路50を決定する1つの方法を、図4から図8に示す。図4は、参照番号12aによって個々に示すテープ12のうちの第1のテープの中心線52aに対応する第1の経路50aを示す。複合部材14を形成するために最初に起伏表面18に配置されるテープは、通常は、マンドレル16の長手方向の端部28、30の間にマンドレル16の横の端部29、31の間の位置で延びる自然な経路に沿って配置される。たとえば図3に示すように、任意の他のテープ12の前に第1のテープ12aがマンドレル16に配置されることができ、自然な経路に沿って配置される。後続のテープ12は、第1のテープ12aに概して平行に第1のテープ12aの両側に配置される。明確に示す目的のために、第1のテープ12aの中心線52aを図3に示す。図3に示すように、第1のテープ12aの中心線は、3次元曲線、すなわち多重の平行でない軸を中心として湾曲する線を画定する。
【0027】
再び図4を参照する。経路50aの実際の構成が図3に示すようにテープ12aの中心線52aに対応するように湾曲しもよいが、明確に図示するために、第1のテープ12aの経路50aは(テープの中心線52aに対応して)直線の構成で図示されている。第1の経路50aは、自然な経路、すなわち、最初に起伏表面18に配置されることになるテープ12の経路50であってもよい。あるいは、図4に示す第1の経路50aは、以下に記載される方法によって計算されるセグメント化された経路であってもよい。すなわち、「第1の経路」および「第1のテープ」という用語は、前述のテープを述べる便宜のために以下に使用される。このテープは、経路50aがそのために計算されていて、参照のために第1の経路50aに後続する隣接の第2の経路54の構成を計算するのに使用されていて、それに沿って第2のテープが第1のテープ12aに隣接して配置されることになっ
ている。テープ12は、種々の経時的な順番で表面18に配置されることができる。さらに、図4から図8は実際のテープ12を示していない。実際に、図4から図8は、テープ12の経路50の決定を表し、テープ12のうちのいくつかまたはすべてがマンドレル16に配置される前に経路50を決定することができる。たとえば、テープ12の経路50は数値によって決定されることができるので、ついで、計算された経路50にしたがってテープ12を配置さすることができる。
【0028】
第1のテープ12aに近接して配置されることになっている個々に参照番号12bによって示す第2のテープ12のための第2の経路50bを決定するために、第2の経路50bの第1の点(または開始点)54は、第1のテープ12aの経路50aから横方向の距離で画成される。具体的には、第1の点54は、通常は第1のテープ12aの経路50aから横方向に、テープ12の幅とほぼ等しい距離で配置される。したがって、第1のテープ12aを第1の経路50aに沿って配置し、第2のテープ12bを第2の経路50bに沿って配置して、テープ12a、12bの横の縁部56は相互に近接する。テープ12a、12bの中心線52a、52bは、テープ12の幅よりもわずかに離されてもよく、テープ12の間に小さな間隙を設ける。具体的には、第1の点54はテープ12の幅よりわずかに横方向にずれていてもよいので、テープが12a、12bがその間の所定のオフセット距離間隔内にあるオフセット距離を画定する。所定のオフセット距離間隔は、最小のオフセット距離、最大のオフセット距離、および、最小と最大の距離の間にある目標(または所望の)オフセット距離によって画定されることができる。
【0029】
ついで、概して表面18の端部28、30のうちの1つに向かう方向にある第2の経路50bの構成が、複数の自然な経路セグメント58a、58b、58cにおいて決定される。図6に示すように、第1のセグメント58aが第1の点54から延びる。すなわち、第1のセグメント58aの第1の端部が第1の点54によって画定され、その反対側のセグメント58aの第2の端部が、所定のオフセット距離間隔内の距離で第1の経路50aから横方向にも配置される後続の点によって画定される。図7および図8に示すように、各セグメント58a、58b、58cの第2の点は、同じ経路50に沿った連続したセグメント58a、58b、58cの第1の点である。各セグメント58a、58b、58cの構成は、反復処理を使用して決定することができる。この処理では、各セグメント58a、58b、58cが均一であるか固定されたセグメント長を有し、各セグメント58a、58b、58cの第2端部(セグメント58a、58b、58cの中心線50bによって画定されるように)が、第1の経路50aから所定のオフセット距離間隔内で保持されるように、各セグメント58a、58b、58cの第2の端部が計算される。さらに、所定のオフセット距離間隔内でもあるそれらの長さに沿って間隙を画定するように、第1および第2のテープ12a、12bを作製することができる。たとえば、セグメント58a、58b、58cのそれぞれの1つの第2の端部は、図5に示すように、第1の経路50aから横方向に配置される座標位置に目標のオフセット距離で最初に設定することができる。ついで、セグメント58a、58b、58cの起伏(したがって、対応するテープの部分)が決定されるので、セグメント58a、58b、58cが第1および第2の点の間で表面18に沿って自然な経路に追従する。起伏表面上の2つの点の間にある自然な経路の構成は、表面18にしたがってテープ12の構成を数学的にモデル化することなどによって、種々の既知の方法を使用して決定されてもよい。第1および第2のテープ12a、12b間の間隙は、セグメント58a、58b、58cの全長に沿って決定される。間隙が間隔の外にある場合、すなわち最小のオフセット距離よりも小さいか、または最大のオフセット距離よりも大きい場合、ついで、セグメント58a、58b、58cの方向はわずかに変形する(図6)。すなわち、セグメント58a、58b、58cは、第1の点54からわずかに異なる角度で延びるように作製される。セグメントはわずかに異なる角度で第1の点から延びるが、セグメント58a、58b、58cは、自然な経路をその端部の間になお画定することとなる。セグメント58a、58b、58cの向きは、通常は最
小限に変形されるので、セグメント58a、58b、58cの全体の横の縁部56は、第1のテープ12aで所定のオフセット距離間隔内の間隙を画定する。
【0030】
したがって、第2の経路50bの第1のセグメント58aの構成が決定されたあと、第1のセグメント58aから起伏表面18の端部30に向かって延びる連続したセグメント58b、58cの構成が、図8に示すように経時的な方法で同様に決定される。さらに、第2の経路50bの構成は、図8に示すように、第1の点(開始点)54から起伏表面18の反対端28に向かう方向に同様に決定され、セグメント58d、58e、58fを含む。各経路50は、任意の数のセグメントを含むことができ、したがって、各テープは任意の数の対応する連続的な部分を画定することができる。集合的に参照符号58によって示される各セグメントは自然な経路を画定し、セグメント58は、経路50にしたがって配置されるテープ12の中心線52によって、第1および第2のテープ12a、12bの横の縁部56がその間の所定のオフセット距離間隔内の間隙を画定するように画定される。最大および最小の間隔の数値は、結果として生じる複合部材14の特性、複合部材14の要件および表面18の起伏度に関する間隙およびラップの影響によって決定されてもよい。場合によっては、間隔の最小値は、ゼロまたは小さな負値でさえあってもよい。
【0031】
すべての経路の構成は、テープ12のいくつかまたはすべてが起伏表面18に配置される前に決定されてもよい。すなわち、経路50の構成を決定する前述の方法が理論的にまたは数値によって行われてもよく、ついで、テープ12がそれに応じて配置されてもよい。たとえば、計算された経路50の構成が、電子的に装置10のメモリ44に保存されることができ、ついで、テープ12は、それぞれの経路50の算出された構成にしたがって装置10によって配置されることができる。
【0032】
複合部材14を製造する1つの方法によると、起伏表面18の起伏はモデル化され、数値によって、たとえばマンドレル16の起伏表面18上の点の代表的な複数の座標データ数値としてコンピュータ装置に保存される。コンピュータソフトウェアプログラムの命令にしたがって動作するコンピュータなどプログラム可能な論理デバイスが、経路50の構成を計算するのに使用可能であり、経路50の構成は、複合部材14の製造において後に使用するために保存可能である。たとえば、経路50の構成は、経路50を画定する複数の座標データ点として保存可能である。経路50を示す座標データ点は、コンピュータのデータベースまたは別の電子機器の記憶装置に保存可能である。その後、たとえばデータベースに保存したデータ点は、複合テープ12を配置して複合部材14を形成するために装置10の運動を制御するのに使用可能である。たとえば、データ点は、装置10の運動の特徴である命令を生成するのに使用可能であり、これらの命令はメモリ44に保存可能であるか、そうでない場合は、複合部材14を製造する間に装置10を制御するために備えることができる。
【0033】
上述の通り、それぞれの経路50のそれぞれのセグメント58が、各セグメント58の両側の端部の点の間に延びる自然な経路を画定する。しかしながら、各経路50のセグメント58は、共に自然な経路を画定しない。すなわち、セグメント58は、非自然な角度で接合される。したがって、各テープ12は複数の部分として配置されることができ、各部分は長さおよび位置がセグメント58のうちの1つに対応している。各テープ12は、連続的に部分を画定する。すなわち、各テープ12は、その端部の間を中断または切れ目なく連続性があり均一となることができ、テープ12の端部間に複数の部分を含む。しかしながら、それぞれ一対の隣接部分の間で、各テープ12が非自然な角度を画定し、そこでテープ12が自然な経路からわずかに分岐する。したがって、通常はテープ12が結果としてしわになるのに十分な圧力を加えられないのは隣接セグメント(したがって、テープ部分)が配置される角度の差異が後述するように通常は比較的小さいためであるが、各テープ12はこの角度でわずかに圧力を加えられることができる。
【0034】
非自然な角度の数値は、各経路50の各セグメント58の構成を決定した結果である。各非自然な角度は、起伏表面18上の同じ点を通って延びる自然な経路に生ずるであろう角度からわずかにずれている角度によって外れる。そうでない場合には起伏表面18上の同じ点で自然な経路によって画定されるであろう自然な角度に対する各非自然な角度のオフセットの量は、最大のオフセット角に制限されることができる。セグメント(したがって、テープ部分)の間の最大のオフセット角は、テープ12がそれに一致することとなる起伏、テープ12の物理的特性、装置10の構成などで影響を受けてもよい。たとえば、最大のオフセット角は、テープ12の幅、厚さおよび剛性と、タッキングの量またはテープ12の粘着性、したがってテープ12が下位層に十分に接着する方法と、装置10の圧縮装置の幾何学的構成などで影響を受けてもよい。通常は、隣接セグメント58(したがって、テープ部分)の間の最大のオフセット角は、約3度または4度未満であり、より一般的には0.5度未満である。場合によっては、隣接セグメント(したがって、テープ部分)58の間の最大のオフセット角は、約0.1度未満または0.001度未満でさえある。
【0035】
各テープ12は、任意の数の非自然な角度と、その間にある任意の数のセグメント58(したがって、テープ部分)とを画定することができる。たとえば、多数の角度および経路は、各テープの各経路の長さ、テープの経路の複雑さ、自然な経路から、または、隣接するテープの経路からのテープの最大の所望のずれ、およびテープの材料の物理的特性によって、決定されることができる。本発明の典型的な1実施形態において、各テープの各連続的な部分は、約3インチから6フィートまでの間の長さ、たとえば約6インチから3フィートまでの間の長さを有する。したがって、1実施形態において、18フィートの長さを有するテープ12は、約3個と72個の間の連続的な部分(したがって、連続的な部分の間に約2個と71個の間の非自然な角度間)を有することができ、または、約6個と36個の間の連続的な部分(したがって、連続的な部分の間に約5個と35個の間の非自然な角度間)を有することができる。しかしながら、特定の構成を達成するために必要に応じて、異なるテープは異なる数の部分(したがって、セグメント58)と非自然な角度とを画定することができることが理解される。
【0036】
図4から図8を参照しつつ記載されているように、テープ12の経路50は、開始点54から起伏表面18の端部28、30の間に決定され、開始点54から反対方向に外方に計算される。開始点54は、それぞれの経路50の中間点であってもよい。特に、各経路50の出発点54の位置は、すでに計算された経路50の中間点によって決定されてもよい。あるいは、開始点54は、中間点以外、たとえば起伏表面18の端部28、30のうちの1つにより近くに、または起伏表面18の一端28、30にさえ配置されることができるので、ついで、経路50が単一の方向に沿って反対端28、30に向かって決定されることができる。
【0037】
1実施形態において、開始点54は、経路50の部分に近接して配置され、ここではセグメント58(したがって、テープ部分)間の角度を変形することなくテープ12が重なり合う可能性がある。すなわち、第2の経路50bのための自然な経路セグメント58が決定される前に、自然な経路は第1の経路50aに隣接して決定されてもよい。通常は、自然な経路は、第1の経路50aに対して正確に平行ではない。したがって、2つの経路50a、50bの間の横の距離は、経路50a、50bに沿って変動する。すなわち、経路50a、50bの1つ以上の部分で、2つの経路50a、50bが最小の横の距離を画定する。第2の経路50bの構成を計算するための開始点54は、最小の横の距離が画定される自然な経路の部分に起伏表面18上の位置が対応する点に配置されることができる。換言すれば、第2の経路50bの経路を計算するための開始点54は、第2のテープ12bが自然な経路に沿って配置される場合に、テープ50a、50bの重なりがおそらく
生ずるであろう表面の部分に対応することができる。このような開始点の使用によって、各経路50の連続したセグメント58間に過度のオフセット角を使用せずに、結果として最小のラップおよび間隙が生じ得ることが考えられる。いずれにせよ、テープ12は、2つの端部28、30の間を繰り返し移動して各経路にテープ12のうちの1つ以上を敷設する装置10によって、起伏表面18の一端28、30から他端28、30まで連続的に配置されることができる。
【0038】
図9から図11は、テープ12の経路50のセグメント58間の非自然な角度の調整の効果を示す。具体的には、図9は、起伏表面18にわたる自然または測地的な経路を示す。図10は、少なくともいくつかの隣接するセグメント58が非自然な角度を画定する、図9の自然な経路と本発明によって決定された変形経路50と複数の自然な経路セグメント58から形成される経路との比較を示す。具体的には、図9の自然な経路60は、8つの点64aから64hによって画定される7つのセグメント62aから62gを含む。経路60の隣接セグメント62aから62gの間の6つの点64bから64gで、経路60は自然な角度を画定する。同様に、7つのセグメント72aから72gを有する本発明による変形経路70が、点74aから74hを備えて図10に示される。しかしながら、第2のおよび第3のセグメント72bおよび72cの間の角度は非自然な角度である。すなわち、角度が自然な角度からオフセット角76によって変形され、したがって、セグメント72b、72cの経路が自然な経路から変形する。実際に、角度が比較的わずかに変形することによって、経路70の構成にかなり影響を与える可能性があることが示されている。したがって、隣接テープ12間の間隙および/またはラップが、最小限に抑えられ、除去され、そうでない場合には最適化されることができる。この点に関しては、図10に示すオフセット角76が、説明のために一般に利用されるものよりもいくぶんより大きくなるように示されていることに注意されたい。
【0039】
図11は、図10の経路へのさらなる変形を示す。図11の変形経路80は、7つの点84aから84gによって画定される6つのセグメント82aから82fを含む。特に、変形経路80は、図10に示す経路70の第3の点74c、すなわち、図10に示す図9の自然な経路60からの経路70のずれの第1の点を省略する。いかなる特定の理論にも制限されることを意図としないが、考えられるのは、第1の変形経路が最初に自然な経路から外れる1つ以上の点の省略することによって、変形経路の平滑度を改良することができ、それによって、テープ12の応力、テープ12間のしわ、および/またはラップや間隙がおそらく低減することである。図12は、起伏表面18に配置されるテープ90を示し、テープ90は部分92aから92fを画定し、部分92aから92fのそれぞれは図11の経路80の経路セグメント82aから82fに対応する。
【0040】
経路50、70、80のセグメント58、72aから72g、82aから82f、したがってテープ12の部分は、種々の長さを有することができる。本発明の1実施形態において、それぞれのセグメント58は、テープ12とローラ24の供給ロール20または他の圧縮装置の間の距離と少なくともほぼ同じ長さである、すなわち、そのために、装置10内のロール20から送り出される任意のテープ12が、各テープ12の方向がそれぞれの経路によって画定される後続の非自然な角度で修正される前に、マンドレル16上に配置されることができる。あるいは、テープ12がローラ32または他の支持構造物などによってロール20および圧縮装置の間に支持される場合、各セグメント(したがって、テープ12の各対応する部分)が、少なくとも圧縮装置とロール20または他の支持構造物の間の少なくともおよそ距離である長さを有することができる。たとえば、1実施形態において、各セグメントは、少なくとも約30インチの長さを有する。
【0041】
各テープ12は、通常はその長さに沿って均一幅を有する、すなわち、そのために、各テープの横の縁部56が線形であり互いに平行である。しかしながら、場合によっては、
縁部56の一方または両方が非線形であり、および/または、縁部が非平行であってもよい。たとえば、各テープ12の縁部56のうちの1つが、敷設操作の前か間に切り取られることができる。このような方法で、テープ12はさらに加工物の種々の起伏に適応し、および/または、テープ12間のラップまたは間隙を減少するのに適合可能となる。テープ12を切り離すかまたは切断するための装置および方法は、2005年3月24日に出願され、「複合テープの輪郭を切断するための装置および方法(Apparatus and Method for Composite Tape Profile Cutting)」と題する、米国特許第11/088288号にさらに記載されており、その全体を引用によって本願明細書に援用する。
【0042】
この発明が関する本発明の多くの変形および他の実施形態は、前述の説明および関連する図面に示される教示の助けをかりて当業者に考えられるであろう。それゆえに、本発明は、開示されている特定の実施形態に制限されるべきではなく、変形および他の実施形態は添付の請求の範囲に含まれることが意図されると理解すべきである。特定の用語が本願明細書において利用されているが、それらは、一般的な記述の意味でのみ使用され、制限する目的のために使用されていない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の1実施形態による、複合部材を形成する間の細長いテープを配置するための装置を略図で示す正面図である。
【図2】本発明の1実施形態によって形成された複合部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態による製造する間の複合部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図5】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図6】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図7】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図8】本発明の1実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図9】本発明の別の実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図10】本発明の別の実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図11】本発明の別の実施形態による、複合部材を形成するために細長いテープがそれに沿って配置される経路を略図で示す平面図である。
【図12】図11の経路に沿って配置される複合テープを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部材を形成する方法であって、方法が、
略平行な構成の複数の細長いテープを支持するために複合部材の所望の起伏に形状が対応する起伏表面を設けることであって、各テープはマトリクス材に配置される複数の補強部材を含む、起伏表面を設けることと、
複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って細長いテープのそれぞれを配置することであって、各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然な角度を画定し、各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するので、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される、細長いテープのそれぞれを配置することと、
を備える、方法。
【請求項2】
表面の起伏を決定することと、
表面の少なくとも一部にわたり第1の経路を決定することと、
第1の経路に隣接する第2の経路の各自然な経路セグメントの構成を計算することであって、第2の経路の各自然な経路セグメントの第2の端部が第1の経路からの所定のオフセット距離を画定し、オフセット距離は所定のオフセット距離間隔内にあるように、第2の経路の各自然な経路セグメントの第1の端部は第2の経路の隣接する自然な経路セグメントに対するオフセット角を画定する、第1の経路の各自然な経路セグメントの構成を計算することと、
によって、各経路の構成を決定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算するステップが、細長いテープがしわ無く配置されるために構成されるように、各自然な経路セグメントのオフセット角を所定の最大のオフセット角よりも小さくして、自然な経路セグメントを計算することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記計算するステップが、各自然な経路セグメントの第2の端部のオフセット距離間隔を最大の所定のオフセット距離間隔よりも小さい目標距離にほぼ等しくして、自然な経路セグメントを計算することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記計算するステップが、
第2の経路の自然な経路セグメントうちの第1の経路セグメントの構成を第2の経路の両側の端部の間の部分的な点で計算することと、
第2の経路の連続した自然な経路セグメントの構成を自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントから反対方向に計算することであって、各連続した経路セグメントの第2の端部が経路セグメントのうちの連続した1つの第1の端部を画定する、連続した自然な経路セグメントの構成を計算することと、
を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を計算する前記ステップの前に、第1の経路に隣接する自然な経路の構成を決定することと、
その間の最小の横の距離を画定する第1の経路に隣接する自然な経路の部分を決定することと、
をさらに備え、
自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を計算する前記ステップが、最小の横の距離を画定する自然な経路の部分に位置が対応する点で、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を計算することを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記配置するステップが、細長いテープを自動テープ敷設装置の供給ロールから配置し、かつ圧縮装置で起伏表面にテープを押圧することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記配置するステップが、各テープを複数の部分に配置することを備え、各テープの各部分は自動テープ敷設装置の供給ロールと圧縮装置の間に支持されるテープの少なくともほぼその長さである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記配置するステップが、テープを実質的にテープのしわのない表面に配置することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記配置するステップが各細長いテープを配置することを備え、テープの隣接部分が約4度未満であるオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記配置するステップが各細長いテープを配置することを備え、隣接部分が約0.5度未満であるオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記配置するステップが、連続的な部分のそれぞれが約3インチから6フィートまでの間の長さを画定するように各細長いテープを配置することを備え、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記配置するステップが、連続的な部分のそれぞれが約6インチから3フィートまでの間の長さを画定するように各細長いテープを配置することを備え、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1の処理によって形成される複合部材。
【請求項15】
起伏表面を画定する複合部材であって、部材が、
起伏表面を画定するのに略平行な構成で配置される複数の細長いテープであって、各テープはマトリクス材に配置される複数の補強部材を含む、複数の細長いテープを備え、
細長いテープのそれぞれが複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って配置され、各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然なオフセット角を画定し、かつ各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するため、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される、複合部材。
【請求項16】
細長いテープがしわ無く配置される、請求項15に記載の複合部材。
【請求項17】
各テープの隣接部分が約4度以下の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【請求項18】
各テープの隣接部分が約0.5度以下の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【請求項19】
各テープの連続的な部分のそれぞれが約3インチから6フィートまでの間の長さを画定し、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【請求項20】
各テープの連続的な部分のそれぞれが約6インチから3フィートまでの間の長さを画定し、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【請求項1】
複合部材を形成する方法であって、方法が、
略平行な構成の複数の細長いテープを支持するために複合部材の所望の起伏に形状が対応する起伏表面を設けることであって、各テープはマトリクス材に配置される複数の補強部材を含む、起伏表面を設けることと、
複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って細長いテープのそれぞれを配置することであって、各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然な角度を画定し、各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するので、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される、細長いテープのそれぞれを配置することと、
を備える、方法。
【請求項2】
表面の起伏を決定することと、
表面の少なくとも一部にわたり第1の経路を決定することと、
第1の経路に隣接する第2の経路の各自然な経路セグメントの構成を計算することであって、第2の経路の各自然な経路セグメントの第2の端部が第1の経路からの所定のオフセット距離を画定し、オフセット距離は所定のオフセット距離間隔内にあるように、第2の経路の各自然な経路セグメントの第1の端部は第2の経路の隣接する自然な経路セグメントに対するオフセット角を画定する、第1の経路の各自然な経路セグメントの構成を計算することと、
によって、各経路の構成を決定することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算するステップが、細長いテープがしわ無く配置されるために構成されるように、各自然な経路セグメントのオフセット角を所定の最大のオフセット角よりも小さくして、自然な経路セグメントを計算することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記計算するステップが、各自然な経路セグメントの第2の端部のオフセット距離間隔を最大の所定のオフセット距離間隔よりも小さい目標距離にほぼ等しくして、自然な経路セグメントを計算することを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記計算するステップが、
第2の経路の自然な経路セグメントうちの第1の経路セグメントの構成を第2の経路の両側の端部の間の部分的な点で計算することと、
第2の経路の連続した自然な経路セグメントの構成を自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントから反対方向に計算することであって、各連続した経路セグメントの第2の端部が経路セグメントのうちの連続した1つの第1の端部を画定する、連続した自然な経路セグメントの構成を計算することと、
を備える、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を計算する前記ステップの前に、第1の経路に隣接する自然な経路の構成を決定することと、
その間の最小の横の距離を画定する第1の経路に隣接する自然な経路の部分を決定することと、
をさらに備え、
自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を計算する前記ステップが、最小の横の距離を画定する自然な経路の部分に位置が対応する点で、自然な経路セグメントのうちの第1の経路セグメントの構成を計算することを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記配置するステップが、細長いテープを自動テープ敷設装置の供給ロールから配置し、かつ圧縮装置で起伏表面にテープを押圧することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記配置するステップが、各テープを複数の部分に配置することを備え、各テープの各部分は自動テープ敷設装置の供給ロールと圧縮装置の間に支持されるテープの少なくともほぼその長さである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記配置するステップが、テープを実質的にテープのしわのない表面に配置することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記配置するステップが各細長いテープを配置することを備え、テープの隣接部分が約4度未満であるオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記配置するステップが各細長いテープを配置することを備え、隣接部分が約0.5度未満であるオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記配置するステップが、連続的な部分のそれぞれが約3インチから6フィートまでの間の長さを画定するように各細長いテープを配置することを備え、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記配置するステップが、連続的な部分のそれぞれが約6インチから3フィートまでの間の長さを画定するように各細長いテープを配置することを備え、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1の処理によって形成される複合部材。
【請求項15】
起伏表面を画定する複合部材であって、部材が、
起伏表面を画定するのに略平行な構成で配置される複数の細長いテープであって、各テープはマトリクス材に配置される複数の補強部材を含む、複数の細長いテープを備え、
細長いテープのそれぞれが複数の自然な経路セグメントによって画定される経路に沿って配置され、各セグメントは経路の隣接セグメントに対して非自然なオフセット角を画定し、かつ各テープは自然な経路セグメントに対応する複数の連続的な部分を画定するため、各細長いテープの横の縁部がテープのうちの隣接する1つから所定のオフセット距離間隔内で配置される、複合部材。
【請求項16】
細長いテープがしわ無く配置される、請求項15に記載の複合部材。
【請求項17】
各テープの隣接部分が約4度以下の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【請求項18】
各テープの隣接部分が約0.5度以下の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【請求項19】
各テープの連続的な部分のそれぞれが約3インチから6フィートまでの間の長さを画定し、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【請求項20】
各テープの連続的な部分のそれぞれが約6インチから3フィートまでの間の長さを画定し、各テープの隣接部分がその間の非自然なオフセット角を画定する、請求項15に記載の複合部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−515665(P2008−515665A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535726(P2007−535726)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/035445
【国際公開番号】WO2006/041768
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/035445
【国際公開番号】WO2006/041768
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
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