説明

複合包装体

【課題】製造コストを削減しながら、開封後の内部への外気侵入を防止し、内容物の漏れを防止する複合包装体を提供する。
【解決手段】基材層と熱接着性樹脂層とを含む積層体を対向させて縁部を接合して内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズル29とを有する包装袋20と、包装袋20を収納保持する外装カートン30とで構成される複合包装体10であって、包装袋20のノズル29を外装カートン30に設けられた開口部37から外部に突出させ、開口部37周縁に開口部37の内部方向に折り曲げられた一対のフラップ31を連接して流出路27を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状又はゲル状の流動物を包装する複合包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液状又はゲル状の流動物を包装袋で密封する場合、内面側に熱接着性樹脂層が積層された積層フィルムを用いる。積層フィルムは縁部で対向する熱接着性樹脂層を接合して収納部を形成する。収納部に内容物を充填した後、充填口をシールして内容物を密封する。また、包装袋の端縁のシール部に開封用の切り込み(ノッチ)を予め形成する。これにより、開封用ノッチから積層フィルムを引き裂くことで内容物を取り出すことができる。
【0003】
このような包装形態において、開封により包装袋の一端が開口した後、外気が包装袋内部に侵入する。このため、包装袋内に醤油などの液体調味料を封入した場合、開封後内容物が酸化して品質劣化することが問題となっていた。特許文献1では取出口に逆止弁を設けた包装袋が開示されている。これにより、逆止弁が外気の侵入を防止し、包装袋の開封後も内容物の鮮度を保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−159087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装袋によると、重なり合う2枚のプラスチックフィルムからなる逆止弁ノズルを包装袋内部に備える。取出口近傍は包装袋と逆止弁ノズルの二重構造をとる。このため、構造が複雑化して製造コストが増加する問題があった。また、2枚のプラスチックフィルムのみでは外気の侵入を抑えきれない虞があるとともに、包装袋が転倒した場合に取出口から内容物が漏れ出すことがあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、製造コストを削減しながら、開封後の内部への外気侵入を防止し、内容物の漏れを防止する複合包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを含む積層体を対向させて縁部を接合して内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズルとを有する包装袋と、前記包装袋を収納保持する外装カートンとで構成される複合包装体であって、前記ノズルを前記外装カートンに設けられた開口部から外部に突出させ、前記開口部周縁に連接され前記開口部の内部方向に折り曲げられた一対のフラップにより前記ノズルと前記収納部を連絡する流出路を挟持したことを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンの上端と前記包装袋の上端とを固定し、前記外装カートン内で前記包装袋を吊り上げ保持することを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記開口部の下部で前記ノズル下部を支持することを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンの略水平方向に折罫が設けられることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンに前記包装袋を露出する開口窓が設けられることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンの底面が上方に湾曲し、前記包装袋下部を支持することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンの底面から前記外装カートン内部に起立する起立部が形成され、前記起立部が前記包装袋下部を支持することを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記起立部が2箇所設けられ、前記起立部が前記包装袋の両側下部をそれぞれ支持することを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンの底面の一部を切り抜いて前記外装カートンを自立させるフラップを設けたことを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートン下部を支持する台座を有し、前記台座上部から上方に突出する突起部と前記外装カートンの底面に設けられた孔部が嵌合することを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記突起部が前記孔部を貫通して前記包装袋下部を支持することを特徴している。
【0018】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記突起部が2箇所設けられ、前記突起部が前記包装袋の両側下部をそれぞれ支持することを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートン下部を支持する台座を有し、前記台座の外周から上方に起立する外壁と前記外壁の内側に設けられた内壁と前記内壁の内側から上方に突出する支持部とを有し、前記支持部が頂部と前記頂部から裾野状に広がる傾斜面とを有し、前記外壁と前記内壁の隙間及び前記支持部と前記外壁の隙間で前記外装カートンの下端縁を挟持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の構成によれば、ノズル開封後において外装カートンに設けられたフラップが包装袋のノズルと収納部を連絡する流出路を挟持して、包装袋のノズルを閉口する。これにより、包装袋内部に外気が侵入するのを防ぎ、内容物の酸化を防止することができる。包装袋が転倒した場合、フラップがノズルを閉口しており、内容物が漏れ出すことを防止することができる。また、内容物をノズルから注出する際、包装袋を挟んで内容物を押出せば、流出路を挟持するフラップを内容物が押し返してノズルが開口する。このとき、包装袋内部から外部に内容物を導通させるが、包装袋内部への外気の侵入を遮断しており、フラップが包装袋の逆止弁として機能する。したがって、包装袋側に逆止弁を設ける必要がなく、包装袋の構造を簡易化することができる。これにより、複合包装体全体の製造コストを削減することができる。また、包装袋を外装カートン内に収納保持することで包装袋を外部の衝撃から保護することができる。なお、包装袋のノズルは外装カートンの開口部から外部に突出しており、ノズルから容易に内容物を注出することができる。
【0021】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の複合包装体において、外装カートンの上端と包装袋の上端を固定することにより、外装カートン内で包装袋が内容物の重みで下方に引っ張られる。このとき、包装袋が外装カートン内で一定の形状に保たれ、包装袋の皺や折れ曲がりにより取出口への流出路が塞がれることを防ぐことができる。したがって、取出口から内容物を円滑に注出することができる。
【0022】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の複合包装体において、ノズル下部を開口部の下部で支持することにより、開口部から突出するノズルが安定して保持される。これにより、ノズルから内容物をより円滑に注出することができる。
【0023】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1の構成〜第3の構成のいずれかの複合包装体において、外装カートンの略水平方向に折罫を設けることにより、折罫に沿って外装カートンが折れ曲がり易くなる。これにより、外装カートンの上から包装袋を挟んで内容物を押し出す際、内容物を容易に押出すことができる。
【0024】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1の構成〜第4の構成のいずれかの複合包装袋において、外装カートンに包装袋を露出する開口窓を設けることにより、使用者が内容物の残量を開口窓から確認することができる。また、開口窓から包装袋を指で押して内容物を押出すこともできる。
【0025】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1の構成〜第5の構成のいずれかの複合包装袋において、外装カートン内で包装袋を安定して保持することができる。
【0026】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1の構成〜第6の構成のいずれかの複合包装袋において、外装カートンの底面から外装カートン内部に起立する起立部が包装袋下部を支持することにより、包装袋下部の形状を所定形状に保つことができる。
【0027】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第7の構成の複合包装袋において、起立部が包装袋の両側下部をそれぞれ支持することにより、内容物が残滓し易い包装袋の両側下部が垂れ下がるのを防ぐことができる。これにより、側端下部に内容物が残滓するのを防ぐことができる。
【0028】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1の構成〜第6の構成のいずれかの複合包装袋において、外装カートンの底面の一部を切り抜いて外装カートンを自立させるフラップを設けることにより、製造コストを抑えながら外装カートンを自立させることができる。
【0029】
また、本発明の第10の構成によれば、上記第1の構成〜第8の構成のいずれかの複合包装袋において、台座上部から上方に突出する突起部と外装カートン下部に設けられた孔部を嵌合して固定することにより、外装カートンを台座の上に安定して自立させることができる。
【0030】
また、本発明の第11の構成によれば、上記第10の構成の複合包装袋において、突起部が孔部を貫通して包装袋下部を支持することにより、包装袋下部の形状を所定形状に保つことができる。
【0031】
また、本発明の第12の構成によれば、上記第11の構成の複合包装袋において、突起部が包装袋の両端下部をそれぞれ支持することにより、内容物が残滓し易い包装袋の両側下部が垂れ下がるのを防ぐことができる。これにより、側端下部に内容物が残滓するのを防ぐことができる。
【0032】
また、本発明の第13の構成によれば、上記第1の構成〜第5の構成のいずれかの複合包装袋において、台座の外周から上方に起立する外壁と外壁の内側に設けられた内壁の隙間及びと内壁の内側から上方に突出する支持部と外壁の隙間で外装カートンの下端縁を挟持することにより台座と外装カートンを固定することができる。このとき、支持部の頂部で包装袋の下部中央が支持され、頂部から裾野状に広がる傾斜面により包装袋の両側下部が支持される。これにより、包装袋の両側下部は内容物の重みで傾斜面に沿って垂れ下がるが、必要以上に垂れ下がることはない。したがって、包装袋下部は一定の形状に保たれ、両側下部に内容物が残滓するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る複合包装体の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る複合包装体における取出口付近の部分拡大図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る複合包装体における包装袋の平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る複合包装体における外装カートンの展開図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る複合包装体における外装カートンの下部近傍を示す部分拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る複合包装体に用いる台座の斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る複合包装体に用いる台座の上面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る複合包装体に台座を取り付けた状態における台座付近の部分拡大図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る複合包装体の外装カートンの変形例を示す下面図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る複合包装体における外装カートンの下部近傍を示す部分拡大図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る複合包装体の外装カートンの変形例を示す下面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る複合包装体における外装カートンの展開図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る複合包装体に用いる台座の斜視図である。
【図14】は本発明の第2実施形態に係る複合包装体に用いる台座の上面図である。
【図15】図14のX−Y線における断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る複合包装体に台座を取り付けた状態における台座付近の部分拡大図である。
【図17】本発明の実施形態に係る包装袋を構成する積層フィルムの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1実施形態]
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の第1実施形態に係る複合包装体の斜視図であり、図2は本発明の第1実施形態に係る複合包装体における取出口付近の拡大図であり、図3は本発明の第1実施形態に係る複合包装体における包装袋の平面図である。
【0035】
複合包装体10は外装カートン30内に包装袋20を収納保持して構成される。外装カートン30は前面板102と後面板101と底面板103、104とからなり(図4参照)、底面板103、104は二重に重なり底面33を形成している。前面板102と後面板101を連接する側辺36上方には開口部37が設けられ、開口部37周縁には一対の台形状フラップ31が連接されている。一対のフラップ31は折罫に沿って開口部37内部に折り込まれている。このとき、外装カートン30は所定の坪量を有する板紙で構成されており、フラップ31には折り込む前の形状に戻ろうとする復元力が働く。これにより、一対のフラップ31には先端同士が当接する方向に力が働く。
【0036】
包装袋20は基材層51と熱接着性樹脂層53を含む軟質性積層フィルム50(図17参照)により構成される。積層フィルム50の熱接着性樹脂層53を対向させて周縁部をヒートシールしてすることにより内容物を収納する収納部28が形成される。包装袋20は、一対の側辺23、24と、これらに交差する頂辺22及び底辺25を有している。また、側辺23上方には側辺23から外部に突出するノズル29が設けられている。
【0037】
ノズル29の外周縁はヒートシールされて、収納部28と連絡する流出路27が形成される。ノズル29下部には開封手段としてノッチ26が設けられている。ノッチ11からノズル29を上方に引き裂くと、流出路27が開封されて取出口21が開口する。なお、流出路27は取出口21に近づくにつれ内径が小さくなる。これにより、内容物を取出口21から円滑に注出することができる。開封手段はノッチ26に加えて開封方向にハーフカットライン又はレーザカットラインを設けてもよい。
【0038】
外装カートン30に包装袋20を収納したとき、ノズル29が開口部37から突出する。このとき、ノズル29は開口部37内側に折り込まれた一対のフラップ31の間を通る。このため、一対のフラップ31の先端によりノズル29が挟持され、流出路29が遮断される。
【0039】
外装カートン30がスタンディング状態にあるとき、一対のフラップ31がノズル29を挟持しており、外気が流出路29を通り収納部28へ侵入するのを防ぐ。これにより、包装袋20の開封後、内容物の鮮度を保つことができる。また、外装カートン30が転倒した場合、一対のフラップ31がノズル29を挟持しており、外部に内容物が漏れ出すのを防ぐことができる。
【0040】
取出口21から内容物を注出する際、外装カートン30を傾けながら外装カートン30の上から包装袋20を手で挟む。これにより、内容物が流出路29方向へ押し出され、流出路29を挟持するフラップ31の先端を復元力に抗して外向きに押し返す。このとき、流出路29が開放され、内容物が取出口21から注出される。
【0041】
本実施形態によると、外装カートン30に形成された一対のフラップ31は、収納部28から外部に内容物を導通させるが、収納部28への外気の侵入を遮断する。このため、包装袋20の逆止弁として機能する。これにより、包装袋20側に逆止弁を設ける必要がなく、包装袋20の構造を簡易化することができる。したがって、複合包装体10全体の製造コストを削減することができる。また、包装袋20を外装カートン30内に収納することにより、包装袋20の耐衝撃性を高めることができる。また、外装カートン30に自立性を持たせることにより、単独では自立しない軟質性の包装袋20を外装カートン30と共に自立させることができる。
【0042】
図4は本発明の第1実施形態に係る複合包装体における外装カートンの展開図である。外装カートン30は後面板101と前面板102と底面板103、104と上部糊代片105と側部糊代片106とが折罫201、202、203、204、205を介して連接する。後面板101及び前面板102には折罫301、302を介して一対のフラップ31がそれぞれ連接する。後面板101を折罫201に沿って折り返し、前面板102と重ねて側部糊代片106と貼着する。これにより、上部及び下部が開口する筒状体が形成される。なお、一対のフラップ31は先端が切り離されるとともに、台形状に切り抜かれている。
【0043】
開口する筒状体下部から包装袋20を収納するとともに、ノズル29をフラップ31の間から筒状体外部に引き出す。包装袋20の頂辺22は上部糊代片105とともに折罫205に沿って折り返して後面板101に貼着する。これにより、包装袋20が外装カートン30内に固定保持される。一対のフラップ31は折罫301、302に沿って筒状体内部に折り込む。これにより、側辺36上に開口部37が形成される。なお、ノズル29下部を開口部37の下部で支持することにより、開口部37から突出する取出口21が安定して保持される。これにより、取出口21から内容物を円滑に注出することができる。
【0044】
底面板103、104は折罫203、204に沿って順に折り返すことにより底面33が形成される。底面板103には孔103a、103bが設けられ、底面板104には孔104a、104bが設けられる。底面板103、104をそれぞれ折り返すと孔103aと104aが重なり、孔103bと104bが重なる。これにより、底面33に孔部35a、35bが形成される。
【0045】
底面板103、104の下端は後面板101、前面板102の両側端からそれぞれ下方に向かって湾曲して形成されている。また、折罫203、204は後面板101、前面板102の両側端からそれぞれ上方に向かって湾曲している。
【0046】
図5は本発明の第1実施形態に係る複合包装体における外装カートンの下部近傍を示す部分拡大図である。底面板103、104を折罫203、204に沿って折り返したときに形成される底面33は上方に湾曲する。底面33の湾曲する面は包装袋20の底辺25の中央部近傍を支持する。包装袋20の頂辺22は後面板101に貼着されており、底辺25の中央部近傍を支持することにより、包装袋20を外装カートン30内で安定して保持することができる。
【0047】
外装カートン30の前面板102及び後面板101には開口窓34が形成される。これにより、使用者が開口窓34から内容物の残量を確認することができる。また、内容物の注出時、開口窓34から包装袋20を直接指で押さえて内容物を押出すこともできる。
【0048】
図4に戻って、外装カートン30の前面板102及び後面板101には折罫201、202に直交するとともに、折罫201、202をまたぐ折罫206が設けられている。これにより、折罫206より上の部分を指で挟むと、折罫206に沿って前面板102と後面板101が容易に折れ曲がる。したがって、外装カート30の上から包装袋20を挟んで内容物を容易に押出すことができる。なお、水平方向に形成される折罫206は折罫201、202をまたいでいればよく途中で分断されていてもよい。
【0049】
図6は本発明の第1実施形態に係る複合包装体に用いる台座の斜視図であり、図7は本発明の第1実施形態に係る複合包装体に用いる台座の上面図であり、図8は本発明の第1実施形態に係る複合包装体に台座を取り付けた状態における台座付近の部分拡大図である。台座40の上面には上方に突出する円筒状の突起部41a、41bを有し、突起部41a、41bの外側には支持壁42a、42bを有する。突起部41a、41bは孔部35a、35bと嵌合し、支持壁42a、42bは外装カートン30の外周を支持する。これにより、外装カートン30と台座40を安定して固定することができる。
【0050】
孔部35a、35bは外装カートン30の側辺36の近傍であって、底面板33の短手方向に並列して設けられる。これにより、外装カートン30に台座40を装着したとき、外装カートン30の側辺38の下端が接地する。このとき、台座40と側辺38の下端が支点となり外装カートン30が安定して自立する。
【0051】
図9は第1実施形態に係る複合包装体の外装カートンの変形例を示す下面図であり、図10は本発明の第1実施形態に係る複合包装体における外装カートンの下部近傍を示す部分拡大図である。図9及び図10に示すように、底面33に湾曲若しくは屈曲する切れ込み線34a、34bを設けてもよい。切れ込み線34a、34bに囲まれる起立部33a、33bは折罫36a、36bに沿って外装カートン30内側へ折り込まれる。これにより、外装カートン30内部で起立部33a、33bが上方に起立し、起立部33a、33bは包装袋20の底辺25を支持する。
【0052】
また、底面33が上方に湾曲して包装袋20の底辺25の中央部近傍を支持する場合、起立部33a、33bを外装カートン30の側辺36、38近傍に設けることが好ましい。これにより、底面33に沿って湾曲する包装袋20の両端下部を支持することができる。
このとき、包装袋20下部は一定の形状に保たれ、包装袋20の両側下部に内容物が残滓するのを防ぐことができる。
【0053】
なお、図11は第1実施形態に係る複合包装体の外装カートンの他の変形例を示す下面図である。図11に示すように、外装カートン30の底面板103、104を切り抜いて自立用フラップ39a、39bを形成してもよい。自立用フラップ39a、39bを底面板33から下方に起立させることにより、自立用フラップ39a、39bの先端が接地して外装カートン30を自立させることができる。これにより、台座40を設ける製造コストを省くことができる。
【0054】
[第2実施形態]
図12は本発明の第2実施形態に係る複合包装体における外装カートンの展開図である。なお、図1〜図11に示す第1実施形態の複合包装体と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
本実施形態の外装カートン30は底面板を有さない。外装カートン30は後面板101と前面板102と上部糊代片105と側部糊代片106とが折罫201、202、205を介して連接する。包装袋20の頂辺22を上部糊代片105とともに折罫205に沿って折り返して後面板101に貼着したとき、包装袋20は吊り上げられた状態で保持される。
【0056】
図13は本発明の第2実施形態に係る複合包装体に用いる台座の斜視図であり、図14は本発明の第2実施形態に係る複合包装体に用いる台座の上面図であり、図15は図14のX−Y線における断面図である。台座40は外装カートン30下方の開口部と略同一形状の平面板である。台座40の周縁には外装カートン30の開口径より若干大きい内径を有する外壁44が上方に起立している。外壁44の内側には内壁45a、45bが上方に起立している。内壁45a、45bの内側には台座40上面から上方に突出する支持部46が設けられている。支持部46は平面状の頂部46aと頂部46aから裾野状に広がる傾斜面46bを有する。支持部46は傾斜面46bの一部が外壁44と近接するように設けられている。
【0057】
外壁44に近接する傾斜面46bと外壁44の隙間及び内壁45a、45bと外壁44の隙間の幅は外装カートン30を構成する板紙の厚みより小さい。これらの隙間に外装カートン30を挿入することにより、傾斜面46b、外壁44、内壁45a、45bで外装カートン30が挟持される。このとき、台座40上面の両端側にホットメルト接着剤で形成されるホットメルト接着部47a、47bを設けてもよい。これにより、外装カートン30と台座40がホットメルト接着部47a、47bを介してより安定的に固定される。
【0058】
図16は本発明の第2実施形態に係る複合包装体に台座を取り付けた状態における台座付近の部分拡大図である。外装カートン30を台座40に固定して外装カートン30を自立させると、開口する外装カートン30下部に支持部46が挿入される。支持部46の頂部46aは外装カートン30内で吊り上げられた包装袋20の底辺25を支持する。このとき、底辺25の中央部が頂部46aで支持され、底辺25の両端部は傾斜面46bにより支持される。包装袋20の両側下部は内容物の重みで傾斜面46bに沿って緩やかに垂れ下がるが、所定の高さ以上に垂れ下がることはない。したがって、包装袋20下部は一定の形状に保たれ、包装袋20の両側下部に内容物が残滓するのを防ぐことができる。
【0059】
外装カートン30は坪量が300g〜500g/の板紙を用いることにより、一定の
耐衝撃性及び自立性を付与することができる。また、包装袋20の大きさに応じて外装カートン30に用いる板紙の坪量を変えることができる。板紙の表面及び裏面にポリエチレン樹脂を有する坪量が140g〜400g/のポリエチレンコート紙を用いてもよい。
これにより、湿気が多い場所に本実施形態にかかる複合包装体10を置く場合、外装カートン30に耐水性を付与することができる。また、包装袋20を外装カートン30内に収納して、包装袋20の頂辺22を外装カートン30の頂辺と貼着する際、ヒートシールにより貼着することができる。
【0060】
図17は、本発明の実施形態に係る包装袋を構成する積層フィルムの一例を示す断面図である。積層フィルム50は、最外層である基材層51と最内層である熱接着性樹脂層53を順次積層した積層体である。基材層51と熱接着性樹脂層53の間にはドライラミネート層52が形成されている。
【0061】
基材51は、包装袋20が物理的及び化学的に過酷な条件におかれる場合、包装袋20に高い密封性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0062】
基材層51としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
【0063】
上記のフィルムないしシートは、未延伸、1軸ないし2軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。好ましいものとしては、二軸延伸ナイロンフィルムを挙げることができる。その他、着色剤や紫外線吸収剤等の所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性フィルムないしシート等を使用することもできる。また、中間層52の厚さは任意であるが、数μm〜300μm程度の範囲から選択して使用することができる。
【0064】
熱接着性樹脂層53は、熱によって溶融して対向する積層フィルム50を相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。好ましいものとしては、直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。熱接着性樹脂層53の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0065】
ドライラミネート層52は、積層体を構成する基材層51、熱接着性樹脂層53を強固に密着させて層間剥離(デラミネーション)の発生を防止するものである。ドライラミネート層54を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、内容物として液状、ゲル状等の食品や医薬製剤を包装する複合包装体に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 複合包装体
20 包装袋
21 取出口
22 包装袋の頂辺
23、24 包装袋の側辺
25 包装袋の底辺
26 切り欠き部
27 流出路
28 収納部
29 ノズル
30 外装カートン
31 フラップ
33 底面
34 開口窓
35a、35b 孔部
36、38 外装カートンの側辺
39a、39b 自立用フラップ
37 開口部
40 台座
41a、41b 突起部
42a、42b 支持壁
44 外壁
45a、45b 内壁
46 支持部
46a 頂部
46b 傾斜面
47a、47b ホットメルト接着部
50 積層フィルム
51 基材層
52 熱接着性樹脂層
53 ドライラミネート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを含む積層体を対向させて縁部を接合して内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズルとを有する包装袋と、前記包装袋を収納保持する外装カートンとで構成される複合包装体であって、
前記ノズルを前記外装カートンに設けられた開口部から外部に突出させ、前記開口部周縁に連接され前記開口部の内部方向に折り曲げられた一対のフラップにより前記ノズルと前記収納部を連絡する流出路を挟持したことを特徴とする複合包装体。
【請求項2】
前記外装カートンの上端と前記包装袋の上端とを固定し、前記外装カートン内で前記包装袋を吊り上げ保持することを特徴とする請求項1に記載の複合包装体。
【請求項3】
前記開口部の下部で前記ノズル下部を支持することを特徴とする請求項2に記載の複合包装体。
【請求項4】
前記外装カートンの略水平方向に折罫が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項5】
前記外装カートンに前記包装袋を露出する開口窓が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項6】
前記外装カートンの底面が上方に湾曲し、前記包装袋下部を支持することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項7】
前記外装カートンの底面から前記外装カートン内部に起立する起立部が形成され、前記起立部が前記包装袋下部を支持することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項8】
前記起立部が2箇所設けられ、前記起立部が前記包装袋の両側下部をそれぞれ支持することを特徴とする請求項7に記載の複合包装体。
【請求項9】
前記外装カートンの底面の一部を切り抜いて前記外装カートンを自立させるフラップを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項10】
前記外装カートン下部を支持する台座を有し、
前記台座上部から上方に突出する突起部と前記外装カートンの底面に設けられた孔部が嵌合することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項11】
前記突起部が前記孔部を貫通して前記包装袋下部を支持することを特徴とする請求項10に記載の複合包装体。
【請求項12】
前記突起部が2箇所設けられ、前記突起部が前記包装袋の両端下部をそれぞれ支持することを特徴とする請求項11に記載の複合包装体。
【請求項13】
前記外装カートン下部を支持する台座を有し、
前記台座の外周から上方に起立する外壁と前記外壁の内側に設けられた内壁と前記内壁の内側から上方に突出する支持部とを有し、
前記支持部が頂部と前記頂部から裾野状に広がる傾斜面とを有し、前記外壁と前記内壁の隙間及び前記支持部と前記外壁の隙間で前記外装カートンの下端縁を挟持することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の複合包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−158367(P2012−158367A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19764(P2011−19764)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】