説明

複合包装体

【課題】自立性を有し、且つ内容物が残滓し難い包装体を提供する。
【解決手段】 基材層61と熱接着性樹脂層63とを含む積層フィルムを対向させて縁部をシールして内容物を封入する収納部28と、収納部28に連接し外方に突出するノズル29とを有する包装袋20と、包装袋20を収納保持する外装カートン30とで構成される複合包装体10であって、ノズル29を外装カートン30上部に設けられた開口部37から外部に突出させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状又はゲル状の流動物を包装する複合包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は詰め替え用の包装袋であり、液状又はゲル状の流動物を包装袋で密封する場合、内面側に熱接着性樹脂層が積層された積層フィルムを用いる。積層フィルムは縁部で対向する熱接着性樹脂層を接合して収納部を形成する。収納部には内容物を充填した後、充填口をシールして内容物を密封する。詰替え用の包装袋下部には底面が設けられ、自立性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−184725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような包装形態において、自立性を持たせるために包装袋に一定のこしがある硬質性の積層フィルムを用いる。一方、包装袋に残る内容物をできるだけ少なくするために包装袋を端部から折り畳んで内容物を注出口に絞り出すことがある。しかし、硬質性の積層フィルムは折り曲げ難い。このため、包装袋内面に付着した内容物を全て排出できず包装袋端部に内容物が残滓し易いことが問題となっていた。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み、自立性を有し、且つ内容物が残滓し難い複合包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを含む軟質性の積層フィルムを対向させて縁部をシールして内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズルとを有する包装袋と、前記包装袋を収納保持する自立可能な外装カートンとで構成される複合包装体であって、前記ノズルを前記外装カートン上部に設けられた開口部から外部に突出させることを特徴としている。
【0007】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記包装袋底部と前記外装カートン底部とを固定することを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記ノズルの両側において前記収納部の縁部から上方に突出する保持部と前記外装カートン上部とを固定することを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺と前記底辺が交差する角部を斜めにシールすることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺と前記底辺が交差する角部を円弧状にシールすることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記収納部は前記ノズルとの連接部に近づくにつれ内径が小さくなることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記開口部を前記ノズル内に内容物の流路が形成可能な所定幅に形成したことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンの略水平方向に折罫が設けられることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記複合包装体を倒立させた状態で支持可能な支持部を備える蓋体を有し、前記蓋体は前記外装カートンに設けられた開口部と導通する筒状の取出口を有し、前記取出口の内周面には詰め替え容器の注入口と螺合可能なネジ部が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、外装カートンに自立性を持たせることにより、単独では自立しない軟質性の包装袋を外装カートンと共に自立させることができる。軟質性の包装袋は外装カートンの上から包装袋を押さえて内容物を容易に注出することができる。軟質性の包装袋を外装カートン内に収納保持することで包装袋を外部の衝撃から保護することができる。包装袋のノズルは外装カートンに設けられた開口部から外部に突出しており、ノズルから容易に内容物を注出することができる。また、外装カートンから包装袋を取り出し、包装袋から内容物を直接絞り出すことができる。これにより、包装袋内の内容物をいっそう残滓させることなく使い切ることができる。取り出した包装袋と外装カートンは分別して廃棄することができる。
【0016】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の複合包装体において、包装袋底部と外装カートン底部とを固定することにより、ノズルを下方に向けて複合包装体を傾けたときに包装袋底部に溜まった内容物の自重によって包装袋が皺になったり折れ曲がるのを防ぐことができる。これにより、ノズルから円滑に内容物を注出することができる。
【0017】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成又は第2の構成の複合包装体において、ノズルの両側において収納部の縁部から上方に突出する保持部を外装カートンの上端と固定することにより、ノズルの両側が固定されてノズルの流路が安定的に確保される。これにより、収納部からノズルへ導通する流路が包装袋の皺や折れ曲がりにより塞がるのを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1の構成〜第3の構成のいずれかの複合包装体において、収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、側辺と底辺が交差する角部を斜めにシールすることにより収納袋の両側下部に内容物が残滓するのを防止することができる。
【0019】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1の構成〜第3の構成のいずれかの複合包装体において、収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、側辺と底辺が交差する角部を円弧状にシールすることにより収納袋の両側下部に内容物が残滓するのを防止することができる。
【0020】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1の構成〜第5の構成のいずれかの複合包装体において、収納部はノズルとの連接部に近づくにつれ内径が小さくなることにより、収納部からノズルへ導通する流路へ円滑に内容物が流れる。
【0021】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1の構成〜第6の構成のいずれかの複合包装体において、開口部をノズル内に内容物の流路が形成可能な所定幅に形成することにより、ノズルから内容物を円滑に注出することができる。
【0022】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1の構成〜第7の構成のいずれかの複合包装体において、外装カートンの略水平方向に折罫を設けることにより、折罫に沿って外装カートンが折れ曲がり易くなる。これにより、外装カートンの上から包装袋を挟んで内容物を押し出す際、内容物を容易に押出すことができる。
【0023】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1の構成〜第8の構成のいずれかの複合包装袋において、内周面にネジ部が設けられた取出口を詰め替え容器の注入口に螺合することにより、蓋体を詰め替え容器に固定して取付けることができる。また、取出口は外装カートンの開口部と導通するため、ノズルを蓋体の取出口から詰め替え容器の注入口へ差し込むことができる。蓋体の支持部は複合包装体を倒立させた状態で支持可能であるため、複合包装体を倒立状態にして放置することができる。倒立状態において内容物は重力によりノズルから詰め替え容器へ落下流入する。したがって、複合包装体を手で把持する必要がなく内容物を簡易に詰め替え容器へ充填することができる。また、内容物の流出を早めるために蓋体で支持される外装カートンを手で絞りだすことができる。このとき、ノズルは蓋体を介して詰め替え容器内に差し込まれた状態で保持されている。したがって、ノズルが詰め替え容器から外れて内容物がこぼれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る複合包装体の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る複合包装体におけるノズル付近の部分拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する包装袋の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する外装カートンの展開図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる蓋体の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る複合包装体の上端に蓋体を取り付けた状態の斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る複合包装体を倒立状態にして蓋体を介して詰め替え容器に取り付ける方法を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る複合包装体を倒立状態にして蓋体を介して詰め替え容器に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる包装袋の層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の実施形態に係る複合包装体の斜視図であり、図2は本発明の実施形態に係る複合包装体におけるノズル付近の拡大図であり、図3は本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する包装袋の平面図である。
【0026】
複合包装体10は外装カートン30内に軟質性の包装袋20を収納保持して構成される。外装カートン30は前面板102と後面板101と側面板107、108とオートボトム形式の底板とからなる(図4参照)。外装カートン30の上縁には開口部37が設けられ、ノズル29が開口部37から外方に突出している。
【0027】
ノズル29の下端は連接部29cにおいて収納部28と連接している。収納部28は連接部29cの両側から上方に突出する保持部26a、27aを有する。保持部26a、27aは上部糊代片105a、105bにより外装カートン30上端に固定される。これにより、包装袋20は両肩が吊り上げられた状態で外装カートン内において自立する。また、包装袋20底部と外装カートン30底部とが固定されている。したがって、複合包装体10を傾けてノズル29から内容物を注出する際、収納部28からノズル29へ内容物が円滑に流れる。
【0028】
また、連接部29cの両側を保持部26a、27aで固定して、連接部29cが開口した状態を保持する。これにより、連接部29c及びノズル29の流路29aが包装袋20の皺や折れ曲がりにより塞がるのを防止することができる。
【0029】
包装袋20は基材層61と熱接着性樹脂層63を含む軟質性の積層フィルム60(図9参照)により構成される。積層フィルム60の熱接着性樹脂層63を対向させて周縁部を所定幅でヒートシールすることにより内容物を収納する収納部28が形成される。包装袋20は、一対の側辺23、24と、側辺23、24の下端でこれらに交差する底辺25を有する。側辺23、24の上端は斜辺26、27と交差しており、斜辺26、27の上端は連接部29cにおいてノズル29と連接する。斜辺26、27には斜辺26、27から突出する保持部26a、27aが設けられている。保持部26a、27aの上端には突起部26b、27bが設けられている。突起部26b、27bにより保持部26a、27aと上部糊代片105a、105bをより安定して接着することができる。なお、包装袋20は保持部26a、27aを設けなくてもよい。この場合、包装袋20底部と外装カートン30底部とを固定することにより、ノズル29から内容物を注出することができる。
【0030】
側辺23、24の下端と底辺25が交差する角部は斜めにヒートシールされている。これにより、収納袋20の両側下部に内容物が残滓するのを防止することができる。なお、角部を円弧状にシールしても同様の効果が得られる。また、包装体20のシール部において、内容物の充填口となる底辺25を除き各辺の交差部を円弧状にヒートシールすることが好ましい。これにより、内容物がノズル29へいっそう円滑に導かれる。
【0031】
ノズル29の外周縁はヒートシールされて、収納部28と連絡する流路29aが形成される。ノズル29の両側上部には開封手段としてノッチ29bが設けられている。ノッチ29bからノズル29を水平方向きに引き裂くと、流路29aが開封されてノズル29の先端が開口する。なお、流路29aはノズル29先端に近づくにつれ内径が小さくなる。これにより、内容物を取出口から円滑に注出することができる。開封手段はノッチ29bに加えて開封方向にハーフカットライン又はレーザカットラインを設けてもよい。
【0032】
包装袋20周縁のヒートシール幅はシール強度を確保するため1.0〜3.5mmが好ましい。ただし、内容物の充填口となる底辺25及びノズル29先端のノッチ29近傍はこの限りでない。ヒートシール領域はヒートシール工程におけるシワの発生を防止するため、所定幅に統一してヒートシールすることが好ましい。このため、保持部26a、27a及び包装袋20の側辺23、24下部には未シール領域20aを設ける。なお、側辺23、24の下端と底辺25が交差する角部を斜め又は円弧状にカットして包装袋20の側辺23、24下部に設けられた未シール領域20aを取り除いてもよい。また、ヒートシール部の破れを防止するためにヒートシール領域の外周に2.0〜5.0mm幅の未シール領域を設けてもよい。
【0033】
本実施形態によると、外装カートン30の上から包装袋20を押さえてノズル29から内容物を容易に注出することができる。また、包装袋20を外装カートン30内に収納保持することで軟質性の包装袋20を外部の衝撃から保護することができる。また、外装カートン30に自立性を持たせることにより、単独では自立しない軟質性の包装袋20を外装カートン30と共に自立させることができる。また、外装カートン30から包装袋20を取り出し、包装袋20から内容物を直接絞り出すことができる。これにより、包装袋20の内面に付着した内容物を残滓させることなく最後まで取り出すことができる。
【0034】
図4は本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する外装カートンの展開図である。外装カートン30は後面板101と前面板102と側面板107、108と底面板103、104と上部糊代片105a、105bと側部糊代片106とが折罫201、202、203、204、205、206、207a、207bを介して連接する。後面板101、側面板108、前面板102、側面板107を折罫204、203、202、201に沿って折り返し、側部糊代片106を後面板101と貼着する。これにより、外装カートン30の胴体が形成される。
【0035】
後面板101、前面板102、側面板107、108の下部には底面板103、104、ボトムフラップ111、112が折罫205、206、211、212を介して連接される。底面板103、104には折れ片113、114が折れ線213、214を介して連接される。底面板103、104、ボトムフラップ111、112、を組み合わせ、折れ片113、114をボトムフラップ112、111に貼着することにより、外装カートン30にオートボトム形式の底板が形成される。
【0036】
上方が開口する外装カートン30の胴体には包装袋20をノズル29を上方に向けて収納する。また、側面板107、108上部に形成された折畳線221a、221b、221c、221d、222a、222b、222c、222dに沿って側面板107、108上部を外装カートン30の内側へ折り畳む。その後、上部糊代片105a、105bを折罫207a、207bに沿って保持部26a、27aとともに折り曲げて後面板101に貼着する。これにより、外装カートン30上縁が閉口され、包装袋20が外装カートン30内に保持される。上部糊代片105a、105bが設けられていない外装カートン30上縁上には開口部37が形成され、ノズル29が突出する。なお、包装袋20底部と外装カートン30の底板とをホットメルト接着剤により固定してもよい。
【0037】
後面板101の上縁中央部には切欠き部37aが設けられている。これにより、開口部37が所定幅で開き、ノズル29内に内容物の流路29aが確保される。したがって、開口部37の幅が狭く後面板101と前面板102の上縁でノズル29が挟持され流路29aが塞がるのを防ぐことができる。なお、切欠き部37aは前面板102の上縁中央部に設けてもよい。
【0038】
外装カートン30の後面板101には折罫204に直交する水平方向に折罫230が設けられている。これにより、折罫230より上の部分を指で挟むと、折罫230に沿って後面板101が容易に折れ曲がる。したがって、外装カート30の上から包装袋20を挟んで内容物を容易に押出すことができる。なお、水平方向に形成される折罫230は罫線201、202、203、204を跨いで前面板102、側面板107、108に設けてもよい。また折罫230が途中で分断されていてもよい。
【0039】
外装カートン30の前面板102には開口窓102aが設けられている。これにより、使用者が開口窓102aから内容物の残量を確認することができる。また、内容物の注出時、開口窓102aから包装袋20を直接指で押さえて内容物を押出すこともできる。
【0040】
図5は本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる蓋体の斜視図であり、図6は本発明の実施形態に係る複合包装体の上端に蓋体を取り付けた状態の斜視図である。蓋体40は外装カートン30の上端を覆うように上方に湾曲する支持部43を有する。湾曲する支持部43の頂部中央近傍には筒状の取出口41が上方に起立して支持部43を開口している。取出口41の内周には雌ネジ部42が設けられている。蓋体40は複合包装体10を自立させた状態で外装カートン30上端に被せて装着することができる。このとき、ノズル29は外装カートン30の外面と蓋体40により挟持される。これにより、ノズル29の流路29aが支持部43で押さえられ閉塞する。したがって、収納部28に外気が侵入するのを防ぐことができる。
【0041】
図7は本発明の実施形態に係る複合包装体を倒立状態にして蓋体を介して詰め替え容器に取り付ける方法を示す分解斜視図であり、図8は本発明の実施形態に係る複合包装体を倒立状態にして蓋体を介して詰め替え容器に取り付けた状態を示す斜視図である。蓋体40は取出口41を下方に向けて流入口51を備える詰め替え容器50に取り付けることができる。流入口51は詰め替え容器50の上面から上方に起立する。流入口51の外径は取出口41の内径より若干小さい。流入口51の外周には取出口41の雌ネジ部42と螺合可能な雄ネジ部52を有する。流出口51に取出口41を挿入して雌ネジ部42と雄ネジ部52を螺合することにより蓋体40と詰め替え容器50とが固定される。
【0042】
蓋体40の取出口41を下方に向けたとき、湾曲する支持部43は倒立させた外装カートン30上部を支持する。これにより、複合包装体10は蓋体40を介して倒立状態で詰め替え容器50上方に設置することができる。このとき、複合包装体10を手で把持しなくても倒立状態を維持することができる。
【0043】
蓋体40の取出口41は外装カートン30の開口部37と位置合わせすることにより、取出口41と開口部37とが導通する。これにより、ノズル29を取出口41から詰め替え容器の注入口51へ差し込むことができる。倒立状態において内容物は重力によりノズル29から詰め替え容器50へ落下流入する。したがって、複合包装体10を手で把持する必要がなく放置した状態で内容物を簡易に詰め替え容器50へ充填することができる。
【0044】
なお、内容物の流出を早めるために蓋体40で支持される外装カートン30を手で絞りだすこともできる。このとき、ノズル29は蓋体40を介して詰め替え容器内50に差し込まれた状態で保持される。これにより、ノズル29が詰め替え容器50から外れて内容物が外にこぼれるのを防ぐことができる。
【0045】
また、包装袋20は側辺23、24上端から斜辺26、27が形成されており、包装袋20を倒立させた状態において、斜辺26、27の幅が下方に行くにつれて小さくなる。これにより斜辺26、27が漏斗の機能を果たし、倒立状態において内容物が速やかにノズル29に向かって導かれる。このため、詰め替え作業を迅速に行うことができる。なお包装袋20底部と外装カートン30底部とを固定することにより、包装袋20底部に溜まった内容物の自重によって斜辺26、27が皺になったり折れ曲がるのを防ぐことができる。
【0046】
外装カートン30は坪量が300g〜500g/m2の板紙を用いることにより、一定の耐衝撃性及び自立性を付与することができる。また、包装袋20の大きさに応じて外装カートン30に用いる板紙の坪量を変えることができる。板紙の表面及び裏面にポリエチレン樹脂を有する坪量が140g〜400g/m2のポリエチレンコート紙を用いてもよい。これにより、湿気が多い場所に本実施形態にかかる複合包装体10を置く場合、外装カートン30に耐水性を付与することができる。
【0047】
図9は、本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる包装袋の層構成を示す断面図である。包装袋20を構成する軟質性の積層フィルム60は、最外層である基材層61と最内層である熱接着性樹脂層63を順次積層して構成される。基材層61と熱接着性樹脂層63の間にはドライラミネート層62が形成されている。
【0048】
基材層61は、包装袋20が物理的及び化学的に過酷な条件におかれる場合、包装袋20に高い密封性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0049】
基材層61としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
【0050】
上記のフィルムないしシートは、未延伸、1軸ないし2軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。好ましいものとしては、二軸延伸ナイロンフィルムを挙げることができる。その他、着色剤や紫外線吸収剤等の所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性フィルムないしシート等を使用することもできる。数μm〜300μm程度の範囲から選択して使用することができる。
【0051】
熱接着性樹脂層63は、熱によって溶融して対向する積層フィルム60を相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。好ましいものとしては、直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。熱接着性樹脂層63の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0052】
ドライラミネート層62は、積層フィルムを構成する基材層61、熱接着性樹脂層63を強固に密着させて層間剥離(デラミネーション)の発生を防止するものである。ドライラミネート層62を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、詰め替え用の内容物として液状、ゲル状の日用品や医薬製剤を包装する複合包装体に利用可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 複合包装体
20 包装袋
23、24 側辺
25 底辺
26、27 斜辺
26a、27a 保持部
26b、27b 突起部
28 収納部
29 ノズル
29a 流路
29b ノッチ
29c 連接部
30 外装カートン
37 開口部
37a 切欠き部
40 蓋体
41 取出口
42 雌ネジ部
50 詰め替え容器
51 流入口
52 雄ネジ部
60 積層フィルム
61 基材層
62 熱接着性樹脂層
63 ドライラミネート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを含む軟質性の積層フィルムを対向させて縁部をシールして内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズルとを有する包装袋と、前記包装袋を収納保持する自立可能な外装カートンとで構成される複合包装体であって、前記ノズルを前記外装カートン上部に設けられた開口部から外部に突出させることを特徴とする複合包装体。
【請求項2】
前記包装袋底部と前記外装カートン底部とを固定することを特徴とする請求項1に記載の複合包装体。
【請求項3】
前記ノズルの両側において前記収納部の縁部から上方に突出する保持部と前記外装カートン上部とを固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合包装体。
【請求項4】
前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺と前記底辺が交差する角部を斜めにシールすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項5】
前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺と前記底辺が交差する角部を円弧状にシールすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項6】
前記収納部は前記ノズルとの連接部に近づくにつれ内径が小さくなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項7】
前記開口部を前記ノズル内に内容物の流路が形成可能な所定幅に形成したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項8】
前記外装カートンの略水平方向に折罫が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項9】
前記複合包装体を倒立させた状態で支持可能な支持部を備える蓋体を有し、前記蓋体は前記外装カートンに設けられた開口部と導通する筒状の取出口を有し、前記取出口の内周面には詰め替え容器の注入口と螺合可能なネジ部が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の複合包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−166839(P2012−166839A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30915(P2011−30915)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】