説明

複合包装体

【課題】製造コストを削減しながら、開封後の内部への外気侵入を防止する複合包装体を提供する。
【解決手段】基材層と熱接着性樹脂層とを含む積層体を対向させて縁部を接合して内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズル29とを有する包装袋20と、包装袋20を収納保持する外装カートン30とで構成される複合包装体10であって、包装袋20のノズル29を外装カートン30に設けられた開口部37周縁に連接され開口部37の内部方向に折り曲げられた一対のフラップ31a、31bによりノズル29を挟持し、ノズル29の両側において収納部28の縁部から上方に突出する保持部26a、27aと外装カートン30上部とを固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状又はゲル状の流動物を包装する複合包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液状又はゲル状の流動物を包装袋で密封する場合、内面側に熱接着性樹脂層が積層された積層フィルムを用いる。積層フィルムは縁部で対向する熱接着性樹脂層を接合して収納部を形成する。収納部に内容物を充填した後、充填口をシールして内容物を密封する。また、包装袋の端縁のシール部に開封用の切り込み(ノッチ)を予め形成する。これにより、開封用ノッチから積層フィルムを引き裂くことで内容物を取り出すことができる。
【0003】
このような包装形態において、開封により包装袋の一端が開口した後、外気が包装袋内部に侵入する。このため、包装袋内に醤油などの液体調味料を封入した場合、開封後内容物が酸化して品質劣化することが問題となっていた。特許文献1では取出口に逆止弁を設けた包装袋が開示されている。これにより、逆止弁が外気の侵入を防止し、包装袋の開封後も内容物の鮮度を保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−159087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の包装袋によると、重なり合う2枚のプラスチックフィルムからなる逆止弁ノズルを包装袋内部に備える。取出口近傍は包装袋と逆止弁ノズルの二重構造をとる。このため、構造が複雑化して製造コストが増加する問題があった。また、塗料等一定の粘性を有する内容物を大容量で密封する場合、2枚のプラスチックフィルムのみでは外気の侵入を抑えきれないとともに円滑に内容物を注出できないおそれがあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、製造コストを削減しながら、開封後の内部への外気侵入を防止する複合包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを含む軟質性の積層体を対向させて縁部を接合して内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズルとを有する包装袋と、前記包装袋を収納保持する自立可能な外装カートンとで構成される複合包装体であって、前記ノズルを前記外装カートン上部に設けられた開口部から外部に突出させ、前記開口部周縁に連接され前記開口部の内部方向に折り曲げられた一対のフラップにより前記ノズルを挟持し、前記ノズルの両側において前記収納部の縁部から上方に突出する保持部と前記外装カートン上部とを固定したことを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記収納部は前記ノズルとの連接部に近づくにつれ内径が小さくなることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記収納部の縁部は一対の側辺を有し、一対の前記側辺上端から前記連接部にかけて斜辺が形成され、前記斜辺の幅は前記連接部に近づくにつれ小さくなることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記側辺上端と前記斜辺との交差部を円弧状にシールすることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺下端と前記底辺が交差する角部を斜めにシールすることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺下端と前記底辺が交差する角部を円弧状にシールすることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンの略水平方向に折罫が設けられることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記外装カートンに前記包装袋を露出する開口窓が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の構成によれば、軟質性の積層体を対向させて包装袋を形成することにより、ノズル内面に付着した内容物の表面張力により対向する積層体が接着する。これにより、ノズルの流路が閉塞し、収納部に外気が侵入するのを防ぐことができる。また、外装カートンに設けられたフラップが包装袋のノズルを挟持するため、フラップの挟持部分において対向する積層体がより安定して密着する。したがって、包装袋に別途逆止弁を設けなくても、十分な逆止弁機能を付与することができる。これにより、包装袋の構造を簡易化して複合包装体全体の製造コストを削減することができる。また、外装カートンに自立性を持たせることにより、単独では自立しない軟質性の包装袋を外装カートンと共に自立させることができる。また、軟質性の包装袋を外装カートン内に収納保持することで包装袋を外部の衝撃から保護することができる。包装袋のノズルは外装カートンに設けられた開口部から外部に突出しており、ノズルから容易に内容物を注出することができる。このとき、ノズルの両側において収納部の縁部から上方に突出する保持部を外装カートンの上端と固定することにより、ノズルの両側が固定されてノズルの流路が安定的に確保される。したがって、収納部からノズルへ導通する流路が包装袋の皺や折れ曲がりにより塞がるのを防ぐことができる。また、粘性の高い内容物を収納した場合でも内容物を円滑に注出することができる。
【0016】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の複合包装体において、収納部はノズルとの連接部に近づくにつれ内径が小さくなるため、内容物を収納部からノズルへ円滑に導くことができる。
【0017】
本発明の第3の構成によれば、上記第2の構成の複合包装体において、収納部の縁部は一対の側辺を有し、一対の側辺上端からノズルの下端にかけて斜辺が形成されているため、内容物は収納部から斜辺に沿ってノズルへ導かれる。このとき、斜辺の幅がノズル下端に近づくにつれ小さくなるため、両斜辺が漏斗の機能を果たす。したがって、ノズル先端を下方に向けた倒立状態において内容物を速やかにノズルに向かって導くことができ、内容物を円滑に注出することができる。
【0018】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の複合包装体において、側辺上端と斜辺との交差部を円弧状にシールすることにより、内容物を収納部からノズルへより円滑に導くことができる。
【0019】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1の構成〜第4の構成のいずれかの複合包装体において、収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、側辺と底辺が交差する角部を斜めにシールすることにより収納袋の両側下部に内容物が残滓するのを防止することができる。
【0020】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1の構成〜第4の構成のいずれかの複合包装体において、収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、側辺と底辺が交差する角部を円弧状にシールすることにより収納袋の両側下部に内容物が残滓するのを防止することができる。
【0021】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1の構成〜第6の構成のいずれかの複合包装体において、外装カートンの略水平方向に折罫を設けることにより、折罫に沿って外装カートンが折れ曲がり易くなる。これにより、外装カートンの上から包装袋を挟んで内容物を押し出す際、内容物を容易に押出すことができる。
【0022】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1の構成〜第7の構成のいずれかの複合包装袋において、外装カートンに包装袋を露出する開口窓を設けることにより、使用者が内容物の残量を開口窓から確認することができる。また、開口窓から包装袋を指で押して内容物を押出すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る複合包装体の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る複合包装体におけるノズル付近の部分拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する包装袋の平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する外装カートンの展開図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる包装袋の層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の実施形態に係る複合包装体の斜視図であり、図2は本発明の実施形態に係る複合包装体におけるノズル付近の拡大図であり、図3は本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する包装袋の平面図である。
【0025】
複合包装体10は外装カートン30内に軟質性の包装袋20を収納保持して構成される。外装カートン30は前面板102と後面板101と側面板107、108とオートボトム形式の底板とからなる(図4参照)。外装カートン30の上縁には開口部37が設けられ、開口部37周縁には一対の対向するフラップ31a、31bが連接されている。一対のフラップ31a、31bは折罫に沿って開口部37内部に折り込まれている。このとき、外装カートン30は所定の坪量を有する板紙で構成されており、フラップ31a、31bには折り込む前の形状に戻ろうとする復元力が働く。これにより、一対のフラップ31a、31bには先端同士が当接する方向に力が働く。開口部37から外部に突出するノズル29の流路29aはフラップ31a、31bにより挟持されている。
【0026】
包装袋20は基材層61と熱接着性樹脂層63を含む軟質性の積層フィルム60(図5参照)により構成される。積層フィルム60の熱接着性樹脂層63を対向させて周縁部を所定幅でヒートシールすることにより内容物を収納する収納部28が形成される。包装袋20は、一対の側辺23、24と、側辺23、24の下端でこれらに交差する底辺25を有する。側辺23、24の上端は斜辺26、27と交差しており、斜辺26、27の上端は連接部29cにおいてノズル29と連接する。斜辺26、27の幅は連接部29に近づくにつれ小さくなる。これにより、ノズル29を下方に向けた包装袋20の倒立状態において斜辺26、27が漏斗の機能を果たす。このとき、内容物を速やかに収納部28からノズル29に向かって導くことができる。
【0027】
斜辺26、27には斜辺26、27から外方に突出する保持部26a、27aが設けられている。保持部26a、27aの上端には突起部26b、27bが設けられている。保持部26a、27aは上部糊代片105a、105bにより外装カートン30上端に固定される。これにより、包装袋20は両肩が吊り上げられた状態で外装カートン内において自立する。したがって、複合包装体10を傾けてノズル29から内容物を注出する際、ノズル29の位置が安定し、収納部28からノズル29へ内容物が円滑に流れる。なお、突起部26b、27bにより保持部26a、27aと上部糊代片105a、105bとを安定して接着することができる。
【0028】
また、連接部29cの両側を保持部26a、27aで固定することで、ノズル29の流路29aが開口した状態で保持される。これにより、流路29aが包装袋20の皺や折れ曲がりにより塞がるのを防止することができる。また、粘性の高い内容物を収納した場合でも内容物を円滑に注出することができる。
【0029】
側辺23、24の下端と底辺25が交差する角部は斜めにヒートシールされている。これにより、収納袋20の両側下部に内容物が残滓するのを防止することができる。なお、角部を円弧状にシールしても同様の効果が得られる。また、包装体20のシール部において、内容物の充填口となる底辺25を除き各辺の交差部を円弧状にヒートシールすることが好ましい。これにより、内容物がノズル29へ円滑に導かれる。
【0030】
ノズル29の外周縁はヒートシールされて、収納部28と連絡する流路29aが形成される。ノズル29の両側上部には開封手段としてノッチ29bが設けられている。ノッチ29bからノズル29を水平方向きに引き裂くと、流路29aが開封されてノズル29の先端が開口する。なお、流路29aはノズル29先端に近づくにつれ内径が小さくなる。これにより、内容物をノズル29先端から円滑に注出することができる。開封手段はノッチ29bに加えて開封方向にハーフカットライン又はレーザカットラインを設けてもよい。
【0031】
包装袋20周縁のヒートシール幅はシール強度を確保するため1.5〜3.5mmが好ましい。ただし、内容物の充填口となる底辺25及びノズル29先端のノッチ29近傍はこの限りでない。ヒートシール領域はヒートシール工程におけるシワの発生を防止するため、所定幅に統一してヒートシールすることが好ましい。このため、保持部26a、27a及び包装袋20の側辺23、24下部には未シール領域20aを設ける。また、ヒートシール部の破れを防止するためにヒートシール領域の外周に2.0〜5.0mm幅の未シール領域を設けてもよい。
【0032】
本実施形態によると、軟質性の積層フィルム60を対向させて包装袋20を形成することにより、ノズル29内面に付着した内容物の表面張力により、対向する軟質性の積層フィルム60が安定して接着する。これにより、ノズル29の流路29aが閉塞し、収納部28に外気が侵入するのを防ぐことができる。また、外装カートン30に設けられたフラップ31a、31bが包装袋20のノズル29を挟持するため、ノズル29の挟持部分において対向する積層フィルム60がより安定して密着する。
【0033】
ノズル20先端から内容物を注出する際、外装カートン30を傾けながら外装カートン30の上から包装袋20を手で挟む。これにより、内容物が流路29a方向へ押し出され、流路29aを挟持するフラップ31a、31bの先端を復元力に抗して外向きに押し返す。このとき、流路29aが開放されて内容物がノズル29先端から注出される。
【0034】
したがって、包装袋20に別途逆止弁を設けなくても、十分な逆止弁機能を付与することができる。これにより、包装袋20の構造を簡易化して複合包装体10全体の製造コストを削減することができる。なお、フラップ31a、31bはノズル29の挟持部分において対向する積層フィルム60が接着するのを補助する程度に挟持すればよい。したがって、フラップ31a、31bでノズル20の流路29aを完全に閉塞する必要はない。フラップ31a、31bの挟持力が強すぎるとノズル29の流路29aが塞がり、円滑に内容物が流出しない。
【0035】
また、包装袋20を外装カートン30内に収納保持することで軟質性の包装袋20を外部の衝撃から保護することができる。また、外装カートン30に自立性を持たせることにより、単独では自立しない軟質性の包装袋20を外装カートン30と共に自立させることができる。
【0036】
図4は本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する外装カートンの展開図である。外装カートン30は後面板101と前面板102と側面板107、108と底面板103、104とフラップ31a、31bと上部糊代片105a、105bと側部糊代片106とが折罫201、202、203、204、205、206、231a、231b、207a、207bを介して連接する。後面板101、側面板108、前面板102、側面板107を折罫204、203、202、201に沿って折り返し、側部糊代片106を後面板101と貼着する。これにより、外装カートン30の胴体が形成される。
【0037】
後面板101、前面板102、側面板107、108の下部には底面板103、104、ボトムフラップ111、112が折罫205、206、211、212を介して連接される。底面板103、104には折れ片113、114が折れ線213、214を介して連接される。底面板103、104、ボトムフラップ111、112、を組み合わせ、折れ片113、114をボトムフラップ112、111に貼着することにより、外装カートン30にオートボトム形式の底板が形成される。
【0038】
上方が開口する外装カートン30の胴体にはノズル29を上方に向けて包装袋20を収納する。また、側面板107、108上部に形成された折畳線221a、221b、221c、221d、222a、222b、222c、222dに沿って側面板107、108上部を外装カートン30の内側へ折り畳む。その後、上部糊代片105a、105bを折罫207a、207bに沿って保持部26a、27aとともに折り曲げて後面板101に貼着する。これにより、外装カートン30上縁が閉口され、包装袋20が外装カートン30内に保持される。このとき、一対のフラップ31a、31bを折罫231a、231bに沿って筒状体内部に折り込む。これにより、上部糊代片105a、105bが設けられていない外装カートン30上縁上には開口部37が形成される。開口部37からノズル29を突出させたときノズル29は一対のフラップ31a、31bにより挟持される。
【0039】
外装カートン30の後面板101には折罫204に直交する水平方向に折罫230が設けられている。これにより、折罫230より上の部分を指で挟むと、折罫230に沿って後面板101が容易に折れ曲がる。したがって、外装カート30の上から包装袋20を挟んで内容物を容易に押出すことができる。なお、水平方向に形成される折罫230は罫線201、202、203、204を跨いで前面板102、側面板107、108に設けてもよい。また折罫230が途中で分断されていてもよい。
【0040】
外装カートン30の前面板102には開口窓102aが設けられている。これにより、使用者が開口窓102aから内容物の残量を確認することができる。また、内容物の注出時、開口窓102aから包装袋20を直接指で押さえて内容物を押出すこともできる。
【0041】
外装カートン30は坪量が300g〜500g/m2の板紙を用いることにより、一定の耐衝撃性及び自立性を付与することができる。また、包装袋20の大きさに応じて外装カートン30に用いる板紙の坪量を変えることができる。板紙の表面及び裏面にポリエチレン樹脂を有する坪量が140g〜400g/m2のポリエチレンコート紙を用いてもよい。これにより、湿気が多い場所に本実施形態にかかる複合包装体10を置く場合、外装カートン30に耐水性を付与することができる。
【0042】
図5は、本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる包装袋の層構成を示す断面図である。包装袋20を構成する軟質性の積層フィルム60は、最外層である基材層61と最内層である熱接着性樹脂層63を順次積層して構成される。基材層61と熱接着性樹脂層63の間にはドライラミネート層62が形成されている。
【0043】
基材層61は、包装袋20が物理的及び化学的に過酷な条件におかれる場合、包装袋20に高い密封性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0044】
基材層61としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
【0045】
上記のフィルムないしシートは、未延伸、1軸ないし2軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。好ましいものとしては、二軸延伸ナイロンフィルムを挙げることができる。その他、着色剤や紫外線吸収剤等の所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性フィルムないしシート等を使用することもできる。数μm〜300μm程度の範囲から選択して使用することができる。
【0046】
熱接着性樹脂層63は、熱によって溶融して対向する積層フィルム60を相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。好ましいものとしては、直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。熱接着性樹脂層63の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0047】
ドライラミネート層62は、積層フィルムを構成する基材層61、熱接着性樹脂層63を強固に密着させて層間剥離(デラミネーション)の発生を防止するものである。ドライラミネート層62を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、内容物として液状、ゲル状等の食品や日用品、医薬製剤を包装する複合包装体に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 複合包装体
20 包装袋
23、24 側辺
25 底辺
26、27 斜辺
26a、27a 保持部
26b、27b 突起部
28 収納部
29 ノズル
29a 流路
29b ノッチ
29c 連接部
30 外装カートン
31a、31b フラップ
37 開口部
60 積層フィルム
61 基材層
62 熱接着性樹脂層
63 ドライラミネート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層と最内層である熱接着性樹脂層とを含む軟質性の積層体を対向させて縁部を接合して内容物を封入する収納部と、前記収納部に連接し外方に突出するノズルとを有する包装袋と、前記包装袋を収納保持する自立可能な外装カートンとで構成される複合包装体であって、
前記ノズルを前記外装カートン上部に設けられた開口部から外部に突出させ、前記開口部周縁に連接され前記開口部の内部方向に折り曲げられた一対のフラップにより前記ノズルを挟持し、前記ノズルの両側において前記収納部の縁部から上方に突出する保持部と前記外装カートン上部とを固定したことを特徴とする複合包装体。
【請求項2】
前記収納部は前記ノズルとの連接部に近づくにつれ内径が小さくなることを特徴とする請求項1に記載の複合包装体。
【請求項3】
前記収納部の縁部は一対の側辺を有し、一対の前記側辺上端から前記連接部にかけて斜辺が形成され、前記斜辺の幅は前記連接部に近づくにつれ小さくなることを特徴とする請求項2に記載の複合包装体。
【請求項4】
前記側辺上端と前記斜辺との交差部を円弧状にシールすることを特徴とする請求項3に記載の複合包装体。
【請求項5】
前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺下端と前記底辺が交差する角部を斜めにシールすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項6】
前記収納部の縁部は一対の側辺と底辺を有し、前記側辺下端と前記底辺が交差する角部を円弧状にシールすることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項7】
前記外装カートンの略水平方向に折罫が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項8】
前記外装カートンに前記包装袋を露出する開口窓が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の複合包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−188125(P2012−188125A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51165(P2011−51165)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】