説明

複合容器

【課題】プラスチック容器の外周に紙スリーブを固定するのに接着材を使用することなく容易に固定することが可能であり、廃棄の際に分別を容易に行うことができ、しかも簡単な構成によって断熱性に優れた複合容器を提供する。
【解決手段】プラスチック容器2の外周に別体の紙スリーブ3を巻装してなる複合容器1であって、プラスチック容器2の外周下部にて内側に凹んだ凹部4が形成され、該凹部4に紙スリーブ3の下端に沿って内側向きに形成されたカール部5を嵌合することによって該紙スリーブ5をプラスチック容器2の外周に固定したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器の外周に別体の紙スリーブを巻装してなる複合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙製カップは断熱性に劣るため、熱い飲み物やインスタントラーメン等のような熱湯を注ぐ使用方法には不向きであった。このため、紙製カップの外周にもう一枚の紙製シールを巻くことによって断熱性を良くすることも実施されてきたが、製造が面倒であり、コストアップになるという不都合があった。また、紙製カップは、成形時に微細なピンホールを生じるおそれがあり、空気や内容物が漏れたりするという欠点を有していた。
【0003】
このような紙製カップの欠点を補うために、従来から薄厚のプラスチック容器を使用することが行われているが、プラスチック容器の外周に美麗な印刷を施すのは困難であった。このため、グラビア印刷等を施した紙製外装をプラスチック容器の外周に設ける等の方法が採用されている。
【0004】
その例として、特許文献1には、断熱性を良好にした断熱容器の構成として、図8に示すように、上方開口縁にフランジ33を有する胴部側壁31と底板32とからなる逆円錐台形状のプラスチック容器本体30に対して、下端部に内向きカール部34が形成され、かつ胴部側壁31に内方向に突出する水平リブ35が形成されると共に、逆円錐台形状の紙製の筒状体36を内向きカール部34と水平リブ35がプラスチック容器本体30の胴部側壁31に当接するように嵌挿して断熱空間Aを有する断熱容器37とした構成が開示されている。
【0005】
ところが、このような構成において、紙製の筒状体36をプラスチック容器本体30の外周に固定するには、筒状体36がプラスチック容器本体30の外側面に当接する少なくとも一か所で接着を行う必要があるため、このような接着工程が必要になると、製造コストが高くなり、製造スピードが落ちるという問題があった。
【0006】
また、接着材を使用した容器の場合、電子レンジ等を用いて加熱をした時、接着材が溶け出して糊臭がするほか、衛生的にも優れないという問題があった。さらに、プラスチック容器本体の外周に紙製の筒状体を接着した構造においては、廃棄の際に分別を行うことが困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2000−7057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、プラスチック容器の外周に紙スリーブを固定するのに接着材を使用することなく容易に固定することが可能であり、廃棄の際に分別を容易に行うことができ、しかも簡単な構成によって断熱性に優れた複合容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載した複合容器は、プラスチック容器の外周に別体の紙スリーブを巻装してなる複合容器であって、前記プラスチック容器の外周下部にて内側に凹んだ凹部が形成され、該凹部に前記紙スリーブの下端に沿って内側向きに形成されたカール部を嵌合することによって該紙スリーブを前記プラスチック容器の外周に固定したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明における請求項2に記載した複合容器は、請求項1において、前記プラスチック容器の外周上部に外側に突出した段部が形成され、該段部の外周に前記紙スリーブの上端を係止した状態に巻装したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明における請求項3に記載した複合容器は、請求項1又は2において、前記紙スリーブは表面がラミネート被覆された展開形状の端部を加熱することにより互いに接合して前記プラスチック容器の外周を巻装する形状とされたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明における請求項4に記載した複合容器は、請求項1、2又は3において、前記プラスチック容器はシート成形によって形成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明における請求項5に記載した複合容器は、請求項1、2、3又は4において、前記プラスチック容器の表面に文字又は図形等を表示すると共に、前記紙スリーブに離脱自在の窓部を形成した構成とし、該窓部を離脱することにより前記プラスチック容器の表示を露呈するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明における請求項6に記載した複合容器は、請求項1、2、3又は4において、前記プラスチック容器の外周が円形を有すると共に該プラスチック容器の外周下部に設けられた前記凹部が連続的に形成され、該プラスチックの表面に文字又は図形等を表示すると共に、前記紙スリーブに前記プラスチック容器の表示を露呈する窓部を形成し、前記紙スリーブを前記プラスチック容器の外周に沿って回動することにより、前記紙スリーブの窓部から前記プラスチック容器の表示を露呈したり、隠蔽したりすることを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明における請求項7に記載した複合容器は、請求項1、2、3、4又は5において、前記プラスチック容器の外周下部に設けられた凹部が間欠的に形成され、該凹部に適合する形状を有して前記紙スリーブの下端にカール部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の複合容器は、プラスチック容器の外周に別体の紙スリーブを巻装した構成を有するものであり、その構成要素となるプラスチック容器と紙スリーブとは夫々別体に構成されたものであるため、予め紙スリーブの表面に精緻で美麗な印刷を施すことが可能である。
【0016】
また、紙スリーブの表面にラミネート被覆を施した端部を加熱することによって熱溶融した溶融部を紙スリーブの他端に熱溶着することにより、紙スリーブを逆円錐台形状等の所定の形状に形成することが可能である。
【0017】
さらに、本発明による紙スリーブの下端にはカール部が形成され、このカール部をプラスチック容器の外周下部に形成された凹部に嵌合することによって該紙スリーブをプラスチック容器の外周に固定することが可能となる。
【0018】
このような本発明の複合容器においては、上記のようにプラスチック容器の凹部に紙スリーブのカール部が嵌合された後はロック状態となるため、紙スリーブはプラスチック容器から容易に外れることがない。ただし、この複合容器を廃棄する際には、プラスチック容器の底部を上方へ押し上げることによって、紙スリーブのカール部がプラスチック容器の凹部から容易に離脱するため、紙スリーブをプラスチック容器から容易に取り外すことが可能であり、ゴミの分別作業も容易に行うことが可能となる。
【0019】
また、プラスチック容器の外周下部に周状に凹部を形成したことによって強度がアップし、また紙スリーブにカール部が形成されているため、紙スリーブの強度もアップし、さらに紙スリーブのカール部がプラスチック容器の凹部に嵌合されたことによって、紙スリーブを巻装したプラスチック容器全体の強度がアップするという利点を有する。
【0020】
さらに、プラスチック容器の外周と紙スリーブとの間に形成された空隙によって空気層が形成され、紙スリーブに断熱効果を発揮することができ、お茶、コーヒー、スープ、ラーメン等のように熱湯を使用するような高温度の内容物を収容する食品容器としての利用が可能となる。
【0021】
また、本発明の複合容器は、一切の接着材を使用することなく構成することが可能であるため、電子レンジ等による加熱の際に糊臭がせず、接着材の溶け出しがなく、衛生的な使用が可能となる。
【0022】
また、プラスチック容器と紙スリーブとが別体に構成されたことによって、夫々を別の業者、別の工場、または別の工程で製造することが可能となる。これによって、内容物を収容したプラスチック容器をレトルト殺菌してから、プラスチック容器の外周に紙スリーブを付設することが可能となるため、紙スリーブがレトルト殺菌の影響を受けることがなく、綺麗な状態でプラスチック容器の外装として付設することが可能となる。
【0023】
また、プラスチック容器と紙スリーブとが別体に構成されたことによって、プラスチック容器と紙スリーブとを別々にスタッキングすることができ、収納スペースを取ることがなく、また、販売店等でプラスチック容器と紙スリーブとを合体させる際にも能率のよい作業性を確保することが可能となる。
【0024】
さらに、プラスチック容器と紙スリーブとが別体に構成されたことによって、プラスチック容器は同一であるが、その外周に異なる印刷を施した紙スリーブを巻装するというように、紙スリーブの印刷内容を季節ごとに変更させるというような使用方法も可能となる。
【0025】
また、本発明の複合容器において、プラスチック容器をシート成形によって形成することにより、生産性を高め、コストダウンを図ることが可能となる。
【0026】
また、本発明の複合容器において、プラスチック容器の表面に文字又は図形等を表示すると共に、紙スリーブに離脱自在の窓部を形成したことによって、該窓部を離脱することによりプラスチック容器の表示を露呈することが可能となる。このような構成においては、紙スリーブの窓部とプラスチック容器の特定の表示とを位置的に一致させておき、紙スリーブの窓部を離脱することによって開口した箇所にプラスチック容器の特定の表示が露呈する構成としてもよいし、紙スリーブを回動することによって窓部の開口からプラスチック容器の特定の表示を露呈するようにしてもよい。
【0027】
さらに、上記の構成の別態様として、プラスチック容器の外周が円形を有すると共に該プラスチック容器の外周下部に設けられた凹部が連続的に形成された構成とし、該プラスチックの表面に文字又は図形等を表示すると共に、紙スリーブにプラスチック容器の表示を露呈する窓部を形成し、紙スリーブをプラスチック容器の外周に沿って回動することにより、紙スリーブの窓部からプラスチック容器の表示を露呈したり、隠蔽したりする構成としてもよい。
【0028】
このようにして、紙スリーブ3の窓部11をプラスチック容器2の表面の特定の表示に合わせることにより、この特定の表示を露呈して外部から目視できるようにしたり、この特定の表示を隠して他の表示を露呈したりすることが可能となり、単に内容物の収納を可能とした容器ではなく、何等かの娯楽性を加えたり、表示方法やデザイン等を工夫した容器とすることが可能となる。
【0029】
さらに、本発明の複合容器において、プラスチック容器の外周下部に設けられた凹部が間欠的に形成され、該凹部に適合する形状を有して紙スリーブの下端にカール部が形成されたことによって、プラスチック容器の外周に紙スリーブを巻装する際の位置決めとすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0031】
本発明の複合容器1は、図1に示すように、プラスチック容器2の外周に別体の紙スリーブ3を巻装してなる複合容器1であって、プラスチック容器2の外周下部にて内側に凹んだ凹部4が形成され、該凹部4に紙スリーブ3の下端に沿って内側向きに形成されたカール部5を嵌合することによって該紙スリーブ3をプラスチック容器2の外周に固定したものである。
【0032】
このような構成について詳細に述べると、本発明による複合容器1は、図2に示すように、別体に構成されたプラスチック容器2と紙スリーブ3とを図1に示すように合体したものである。
【0033】
本実施例におけるプラスチック容器2の形状は、一例として、底部6と、逆円錐台形状をなす胴部7と、その胴部7の上端にて外周に突出されてなるフランジ部8とを有する。そのような構成要素のうち、プラスチック容器2の胴部7は、プラスチック容器2の外周下部にて周状に内側に凹んだ凹部4が形成されてなるものである。この凹部4は、図4(a)又は(b)に示すように、断面半円弧の周溝形状4aとしてもよいし、図4(c)に示すように断面矩形の周溝形状4bとしてもよい。さらに、本実施例においては、図1、図2等に示すように、プラスチック容器2の外周上部に外側に突出した段部9を形成した構成としている。
【0034】
なお、プラスチック容器2の材料は、食品用として知られている周知の種々のプラスチック材料を内容物や用途に応じて選択すればよいものであって、本発明においては特定の素材に限定されるものではない。ただし、製造コストや軽量化の面から薄厚とするのが好ましく、そのために問題となる強度面の弱体化に関しては、後述するように、紙スリーブ3を合体させることによって増強するようにしている。
【0035】
また、上記のプラスチック容器2をシート成形によって形成することにより、生産性を高め、コストダウンを図ることが可能となる。
【0036】
一方、プラスチック容器2の外周に巻装する紙スリーブ3は、上記のプラスチック容器2が逆円錐台形状に形成されたことに対応して、その胴部7の外周を均等に巻装することができるように、3(a)に示すように、上辺3aと下辺3bとが円弧形を有する扇形の展開形状に形成され、その表面には高分子フィルム等によるラミネート被覆10が施されている。なお、本発明による紙スリーブ3はプラスチック容器2と別体に構成されているため、紙製品に対する印刷の容易性を利用して、予め、紙スリーブ3の表面に精緻で美麗な印刷を施すことが可能である。
【0037】
さらに、紙スリーブ3の下端に沿って内側向き(紙スリーブ3の裏側へ凸となるよう)にカール部5が形成されている。このカール部5は、図4(a)又は(b)に示すように、紙スリーブ3の下端を断面円形に巻回した形状でもよいし、図4(c)に示すように紙スリーブ3の下端を断面矩形に巻回した形状でもよい。
【0038】
また、図3(a)に示すように、紙スリーブ3の表面に施したラミネート被覆10の一端を加熱することによって溶融部3cを形成すると共に、図3(b)に示すようにプラスチック容器2の形状に対応して逆円錐台形状に湾曲した紙スリーブ3の他端に溶融部3cを重ねて溶着することにより、図3(c)に示すように、紙スリーブ3の形状を逆円錐台形状に固定した構成とすることができる。
【0039】
そして、上記のように別体に形成されたプラスチック容器2と紙スリーブ3とを合体するには、図2に示すように、紙スリーブ3の広口側をプラスチック容器2の底部6へと挿入し、図1に示すように、プラスチック容器2の段部9の外周に紙スリーブ3の上端を係止した状態に巻装すると共に、プラスチック容器2の外周下部の凹部4に紙スリーブ3のカール部5を嵌合することによって、紙スリーブ3をプラスチック容器2の外周に固定する。
【0040】
このようにプラスチック容器2の外周に紙スリーブ3を固定する作業は容易であり、上記のようにプラスチック容器2の凹部4に紙スリーブ3のカール部5が嵌合された後はロック状態となるため、紙スリーブ3はプラスチック容器2から容易に外れることがない。
【0041】
ただし、この複合容器1を廃棄する際には、プラスチック容器2の底部6を上方へ押し上げることによって、底部6周辺の形状が容易に崩れ、紙スリーブ3のカール部5がプラスチック容器2の凹部4に嵌合された状態から容易に離脱するため、紙スリーブ3をプラスチック容器2から取り外す作業が容易となる。
【0042】
また、プラスチック容器2は上端にフランジ部8が形成されているため、プラスチック容器2の上方は比較的強度が大であるが、プラスチック容器2を薄厚に形成すればするほど下方は強度不足となる。しかしながら、プラスチック容器2の外周下部に周状に凹部4が形成されたことによって強度がアップし、また紙スリーブ3にカール部5が形成されたことによって紙スリーブ3の強度もアップし、さらに紙スリーブ3のカール部5がプラスチック容器2の凹部4に嵌合されたことによって、紙スリーブ3を巻装したプラスチック容器2全体の強度がアップする。
【0043】
さらに、上記の構成においては、図1に示すようにプラスチック容器2の外周と紙スリーブ3との間であって、段部9と凹部4との間に空隙Gが形成され、ここが空気層となって、紙スリーブ3に断熱効果を発揮することができる。
【0044】
なお、本発明の複合容器においては、図4(b)、(c)に示すように、プラスチック容器2の外周上部に段部9を形成したことによって、上記のようにプラスチック容器2の外周と紙スリーブ3との間に空隙Gを形成してあるが、図4(a)に示すように、プラスチック容器2の外周上部に段部を形成することなく紙スリーブ3のカール部5をプラスチック容器2の凹部4に嵌合した状態にしても、カール部5の厚みを確保することによって、プラスチック容器2の外周と紙スリーブ3との間に空隙Gを形成することが可能である。
【0045】
このような構成は、プラスチック容器2の外周上部に段部9を形成した構成に比べて、空隙Gが上方において狭く、断熱効果も低下する。従って、このような複合容器は断熱効果がさほど要求されないジャム等の内容物を収納する容器に適用するとよい。
【0046】
また、本発明の複合容器において、図5(a)又は(b)に示すように、プラスチック容器2の表面に文字D1又は図形等を表示すると共に、紙スリーブ3に離脱自在の窓部11を形成することによって、該窓部11を離脱することにより、プラスチック容器2の表示(文字D1又は図形等)を露呈するようにした構成としてもよい。
【0047】
このような構成において、図5(a)に示すように、紙スリーブ3に設けた離脱自在の窓部11としては、所定形状の外周にミシン目12を施し、該ミシン目12に沿って離脱した窓部11によって開口部13を形成し、該開口部13の内部に現れる文字D1等を露呈する構成としてもよい。また、図5(b)に示すように、紙スリーブ3に形成した開口部13の外周に該開口部13よりもやや広い面積のシール11aの外周縁を熱溶着14又は接着材を用いて付着したものを窓部11とし、該窓部11(シール11a)を剥がし取ることによって開口部13の内部に現れる文字D1等を露呈するようにした構成としてもよい。
【0048】
このような構成により、プラスチック容器2の表面に当りくじ、内容物の効能、その他種々の表示内容を表示し、この表示を窓部11で隠した状態にし、窓部11を離脱することによってそれらの表示内容を露呈することが可能となる。また、プラスチック容器2の外周面と紙スリーブ3の窓部11との間に存在する隙間G(図1参照)に薄厚の景品、当りくじや効能を表示した薄厚のシート等(不図示)を挟んでおき、窓部11を離脱することによって取り出す構成としてもよい。
【0049】
さらに他の実施例として、図6(a)〜(c)に示すように、プラスチック容器2の外周が円形を有すると共に該プラスチック容器2の外周下部に設けられた凹部4が連続的に形成された構成とし、さらに紙スリーブ3にプラスチック容器2の特定の表示を露呈する開口窓15を形成した構成としてもよい。このような構成において、プラスチック容器2の表面に施す表示は、プラスチック容器2の表面に文字D1又は図形D2等を表示したシール16を付着したり、プラスチック容器2の表面に文字又は図形D2等の印刷17を施す方法によって実施することが可能である。
【0050】
このような構成により、図6(a)又は(b)に示すようにプラスチック容器2の下方から紙スリーブ3を挿入して、プラスチック容器2の段部9の外周に紙スリーブ3の上端を係止した状態に巻装し、プラスチック容器2の外周下部の凹部4に紙スリーブ3のカール部5を嵌合すると、プラスチック容器2の外周が円形であるため、紙スリーブ3を手等で回動することができ、これによって紙スリーブ3のカール部5はプラスチック容器2の凹部4に嵌合された状態を保って外周方向に回動することができ、それらの表示を露呈したり、隠蔽したりすることが可能となる。
【0051】
なお、図6(a)〜(c)に示す構成においても、プラスチック容器2と紙スリーブ3との間に隙間G(図1参照)が存在するため、この隙間Gに薄厚の景品、当りくじや効能を表示した薄厚のシート等を(不図示)入れておき、紙スリーブ3を回動することによって窓部11から取り出すようにしてもよい。
【0052】
さらに、他の実施例として、図7に示すように、プラスチック容器2の外周下部に間欠的な形状の凹部18を形成すると共に、紙スリーブ3の下端に設けた間欠的なカール部19を上記の凹部18に適合する形状とすることによって、プラスチック容器2の外周に紙スリーブ3を巻装する際の位置決めとすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の複合容器は、プラスチック容器の外周に別体の紙スリーブを巻装した複合容器であって、プラスチック容器の外周に紙スリーブを固定するのに接着材を使用することなく容易に固定することが可能であり、廃棄の際に分別を容易に行うことができ、しかも断熱性に優れた複合容器として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による複合容器を示す図であり、左半分が断面図であり、右半分が外観図である。
【図2】本発明による複合容器を構成するプラスチック容器と紙スリーブとを合体する前の両者を分離した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明における紙スリーブを示す図であり、(a)は紙スリーブの展開図、(b)は紙スリーブの湾曲状態を示す部分破断図、(c)は紙スリーブの端部同士を熱溶着により固定した状態を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明による複合容器の種々の形態を示す胴部の断面図である。
【図5】(a)、(b)は、本発明において紙スリーブに窓部を形成した実施例を示す図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明において紙スリーブに窓部を形成した他の実施例を示す図である。
【図7】本発明によるさらに他の実施例の複合容器を示す図である。
【図8】特許文献1の断熱容器に関する部分断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 複合容器
2 プラスチック容器
3 紙スリーブ
3a 上辺
3b 下辺
3c 溶融部
4 凹部
4a 断面半円弧の周溝形状
4b 断面矩形の周溝形状
5 カール部
6 底部
7 胴部
8 フランジ部
9 段部
10 ラミネート被覆
11 窓部
12 ミシン目
13 開口部
11a シール
14 熱溶着
15 開口窓
16 シール
17 印刷
18 凹部
19 カール部
G 空隙
D1 文字
D2 図形





【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック容器の外周に別体の紙スリーブを巻装してなる複合容器であって、前記プラスチック容器の外周下部にて内側に凹んだ凹部が形成され、該凹部に前記紙スリーブの下端に沿って内側向きに形成されたカール部を嵌合することによって該紙スリーブを前記プラスチック容器の外周に付設したことを特徴とする複合容器。
【請求項2】
前記プラスチック容器の外周上部に外側に突出した段部が形成され、該段部の外周に前記紙スリーブの上端を係止した状態に巻装したことを特徴とする請求項1記載の複合容器。
【請求項3】
前記紙スリーブは表面がラミネート被覆された展開形状の端部を加熱することにより互いに接合して前記プラスチック容器の外周を巻装する形状とされたことを特徴とする請求項1又は2記載の複合容器。
【請求項4】
前記プラスチック容器はシート成形によって形成されたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の複合容器。
【請求項5】
前記プラスチック容器の表面に文字又は図形等を表示すると共に、前記紙スリーブに離脱自在の窓部を形成した構成とし、該窓部を離脱することにより前記プラスチック容器の表示を露呈するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の複合容器。
【請求項6】
前記プラスチック容器の外周が円形を有すると共に該プラスチック容器の外周下部に設けられた前記凹部が連続的に形成され、該プラスチックの表面に文字又は図形等を表示すると共に、前記紙スリーブに前記プラスチック容器の表示を露呈する窓部を形成し、前記紙スリーブを前記プラスチック容器の外周に沿って回動することにより、前記紙スリーブの窓部から前記プラスチック容器の表示を露呈したり、隠蔽したりすることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の複合容器。
【請求項7】
前記プラスチック容器の外周下部に設けられた凹部が間欠的に形成され、該凹部に適合する形状を有して前記紙スリーブの下端にカール部が形成されたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の複合容器。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−191180(P2007−191180A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10100(P2006−10100)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】