説明

複合操作型スイッチ

【課題】押圧操作されて機能する押圧スイッチ部と回転操作されて機能する回転スイッチ部とをあわせ持つ複合操作型スイッチに関し、各固定接点などの配設が簡素で、固定接点用の材料幅を抑えて使用材料の効率化を図った複合操作型スイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチケース21の第1凹部21Aに配された押圧スイッチ部用の内部固定接点としての中央固定接点22、第1外側固定接点23A、第2外側固定接点24の各々と接続された端子22A,23C,24Aがスイッチケース21の側壁から外方へ相互に平行に3本が1組となって左右で2組延出され、回転スイッチ部用の周辺固定接点としての第1、第2信号接点25,26およびそれらに接続された各端子25A,26Aがスイッチケース21の後方に配設された構成のものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧操作されて機能する押圧スイッチ部と回転操作されて機能する回転スイッチ部とをあわせ持つ複合操作型スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の多機能化対応、また手元操作の集中化を図るため、複数のスイッチ機能を備える複合操作型スイッチが要望されており、例えば、デジタルカメラのシャッター部と、撮影モード選択部またはズーム操作部が組み合わされたものが知られている。
【0003】
このような従来の複合操作型スイッチについて、図6〜図9を用いて以下に説明する。
【0004】
図6は従来の複合操作型スイッチの分解斜視図、図7は図6のP−P断面図、図8は図6のQ−Q断面図、図9はスイッチケースの平面図であり、同図において、1は上方開口の凹部を有したスイッチケースで、凹部の中央部に押圧スイッチ部用の固定接点2を備え、その押圧スイッチ部用の固定接点2の外周部位置に回転スイッチ部用の固定接点3を備えており、それら固定接点2,3それぞれに接続された端子4がスイッチケース1の外方に延設されている。
【0005】
そして、押圧スイッチ部用の固定接点2は、中央に中央固定接点2Aとその外側に第1外側固定接点2B、さらにその外側に第2外側固定接点2Cが配設されて構成されており、回転スイッチ部用の固定接点3は、上記第2外側固定接点2Cより外側で同心円周方向にそれぞれ所定中心角度で複数箇所に配設された周辺固定接点3A〜3Eで構成されている。
【0006】
5は上方凸形の円形ドーム状をした第1可動接点で、その外周部から2つの係止部5Aが対向する位置に延設され、その係止部5Aには上方へ突出した折曲部が設けられている。この第1可動接点5の円形ドーム状の外周部下端が上記スイッチケース1の第1外側固定接点2B上に常接載置されて、ドーム状の中央部下面が中央固定接点2Aから離れて対面している。
【0007】
6は上記第1可動接点5の上方に間隔を有して配置された上方凸形の円形ドーム状をした第2可動接点で、その下面は、下方の上記第1可動接点5のドーム状の中央部上面と対面しており、上記円形ドーム状部分の外周部から四方に延設された脚部6Aのうちの1つが上記第2外側固定接点2C上に常接載置されている。
【0008】
7は上記第2可動接点6の上方に位置され、上記第1、第2可動接点5,6およびそれらに対応する中央固定接点2A、第1、第2外側固定接点2B,2Cで構成される押圧スイッチ部を覆っている絶縁シートである。
【0009】
9は環状部9Aの下面に摺動子8を備え、その環状部9Aから上記スイッチケース1の開口した前方に操作部9Bを突出させて配置された回転体で、操作部9Bに対する左右方向への回転操作で上記摺動子8の4つの接触部8Aが上記周辺固定接点3A〜3E上を摺動し、上記複数の周辺固定接点3A〜3Eの対応するものの間を接離させる構成となっている。
【0010】
10は中央孔10Aを有し、上記回転体9の上方への移動を規制してスイッチケース1の上面に取り付けられたカバーである。
【0011】
以上のように従来の複合操作型スイッチは構成されており、次にその動作を説明する。
【0012】
まず押圧スイッチ部の動作としては、カバー10の中央孔10A上方から絶縁シート7を介して第2可動接点6に押下力を加えると、第2可動接点6のドーム状部分が弾性反転してその下面が第1可動接点5の上面に接触する。それにより、第1可動接点5、第2可動接点6を介して、第1外側固定接点2Bと第2外側固定接点2Cとが導通する。そして、その状態からさらに押下すると、第1可動接点5のドーム状部分が弾性反転して、その下面が中央固定接点2Aに接触し、第1外側固定接点2B、第2外側固定接点2Cそして中央固定接点2Aが相互に導通した状態となる。
【0013】
そして、この状態から押下力を解除すると、第1可動接点5が元のドーム状に自己復元して、中央固定接点2Aが電気的に独立状態となり、続いて第2可動接点6が元のドーム状に自己復元して、第1外側固定接点2Bと第2外側固定接点2Cとの間も電気的に独立状態となって、元の図7、図8に示す状態に戻る。
【0014】
次に、回転スイッチ部の動作について簡単に説明すると、回転体9のスイッチケース1から前方に突出した操作部9Bを右方向に回転操作すると、環状部9A下面に備えられた摺動子8の4つの接触部8Aの接触位置が変わって、まずは周辺固定接点3A,3B間のみが導通され、その状態からさらに右方向に操作部9Bを回転操作すると、周辺固定接点3A,3C間のみが導通される。
【0015】
回転体9の操作部9Bを左方向に回転操作すると、摺動子8の4つの接触部8Aの接触位置が変わって、まずは周辺固定接点3A,3D間のみが導通され、さらに左方向に操作部9Bを回転操作すると、周辺固定接点3A,3E間のみが導通されるものであった。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2008−177098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら上記従来の複合操作型スイッチにおいては、回転スイッチ部用の周辺固定接点3A〜3Eの配置が複雑で相互の位置精度も必要であり、かつ各固定接点2,3がスイッチケース1全面にわたって広く配設されているため幅広な材料幅のものにより形成する必要があるという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、各固定接点などの配設状態が簡素で、固定接点用の材料幅を抑えて使用材料の効率化を図った複合操作型スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0020】
本発明の請求項1に記載の発明は、上面に備えた凹部が円状壁部により内側の第1凹部と外側の第2凹部とに仕切られ、上記第1凹部の内底面に押圧スイッチ部用の複数の内部固定接点と上記第2凹部の内底面に回転スイッチ部用の複数の周辺固定接点が配設されたスイッチケースと、上記第1凹部内に配された可動接点と、上記円状壁部上面に配された絶縁フィルム製のカバーシートと、下面に上記複数の周辺固定接点上を摺動する摺動子を備えて上記円状壁部に回転可能に組み合わされた環状部とその一端から上記スイッチケースの前方に操作部を突出させた回転体と、この回転体の上方から上記スイッチケースの第2凹部上面を塞ぐように取り付けられたカバーとからなり、上記押圧スイッチ部用の複数の内部固定接点が、上記円状壁部内の中央に位置した中央固定接点とその中央固定接点を間にして所定距離離された第1外側固定接点と第2外側固定接点で構成され、それら各固定接点からの引出し部分が上記スイッチケースの外方に向けてそれぞれが一組となって同じ方向に導出されていることを特徴とする複合操作型スイッチとしたものであり、押圧スイッチ部用の内部固定接点および回転スイッチ部用の各周辺固定接点の配設状態などが簡素なものにでき、固定接点用の材料幅を小さくして使用材料の効率化を図った複合操作型スイッチを提供できるという作用を有する。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、スイッチケースに、第1凹部内の空気をその外方と連通させるための空気流通手段を備えさせたことを特徴とするものであり、押圧スイッチ部の操作時には可動接点の弾性反転と自己復元に伴いドーム状部分下方の空気の圧縮等が発生するが、当該構成であれば、第1凹部内外での空気の流通に伴ってその空気の圧縮等による抵抗の軽減が図れて押圧スイッチ部の動作感触が良好なものにできるという作用を有する。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、第2凹部に、スイッチケースの前方に突出した操作部が当接する仕切壁を回転動作範囲の両側に設け、その仕切壁の上面にカバー下面が当接状態になされたことを特徴とするものであり、操作部の回転止めが強固になされるものにでき、回転スイッチ部用の周辺固定接点部分の防塵も図れたものに構成できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によれば、各固定接点などの配設状態が簡素なものにできるため、固定接点用の材料幅を抑えて使用材料の効率化を図った複合操作型スイッチを提供することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0025】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による複合操作型スイッチの外観図、図2は同分解斜視図、図3は図1のR−R断面図である。同図において、21は絶縁樹脂製のスイッチケースであり、中央部に上方開口の第1凹部21Aを備えた円状壁部21Cが設けられ、その円状壁部21Cを囲んでその外周位置に上方開口の第2凹部21Bが円環状に設けられている。上記円状壁部21Cの上面には、第1凹部21Aと第2凹部21B間を連通する溝部21Dが形成されているが、それ以外の上面位置は平面に形成されている。その溝部21Dの位置は、後述する回転体31の操作部31Bが突出する方向とは逆の後方側に設けられている。
【0026】
そして、図4に示すように、上記第1凹部21A内底面の中央には中央固定接点22が配され、その中央固定接点22を挟んで点対称となる前後位置には第2外側固定接点24、補助固定接点23Bがそれぞれ突設されている。第2外側固定接点24と補助固定接点23Bとは、同じ高さで突設されている。また、その補助固定接点23Bと繋がって第1凹部21A内底面の隅の2ヶ所に、内底面と同一平面上で露呈した第1外側固定接点23Aが設けられており、それらで押圧スイッチ部用の内部固定接点としてなる各固定接点22,23A,23B,24が構成されている。なお、本実施の形態では第1外側固定接点23Aを2ヶ所に設けたものとしたが、それは少なくとも1ヶ所設けてあれば良く、上述したように複数箇所とすることで接触信頼性の向上が図れる。
【0027】
そして、中央固定接点22に繋がってスイッチケース21の左右方向の側壁から外方の2ヶ所に端子22Aが延出され、同様に第2外側固定接点24に繋がってスイッチケース21の左右方向の側壁から外方の2ヵ所に端子24Aが延出され、さらに補助固定接点23B、第1外側固定接点23Aと繋がってスイッチケース21の左右方向の側壁から外方の2ヶ所に端子23Cが延出されており、これらは、それぞれ左右方向で平行な直線状で引き出されている。つまり、中央固定接点22、第1外側固定接点23A、第2外側固定接点24の各々と接続された端子22A,23C,24Aはスイッチケース21の側壁から外方へ3本が1組となって左右で2組延出されている。
【0028】
また、回転スイッチ部用として、円状壁部21C外周位置に設けられた円環状の第2凹部21B内底面には複数の周辺固定接点が配設されている。複数の周辺固定接点は、スイッチケース21の後方側の位置に配設されており、コモン固定接点27、第1信号接点25そして第2信号接点26から構成されている。
【0029】
コモン固定接点27は、押圧スイッチ部用の上記第1外側固定接点23Aからスイッチケース21の左右の側壁から延出された端子23Cに至る中間位置で、上記第2凹部21Bと交差する位置の内底面の2ヶ所に内底面と同一平面で露呈している。すなわち、コモン固定接点27と第1外側固定接点23Aとは同一部材で構成されており、その端子23Cも共用されている。そして、2ヶ所の上記コモン固定接点27に挟まれた後方側となる上記第2凹部21Bの内底面には、半径方向に亘って続くと共に円状壁部21C外周に沿って周方向に配された略L字状の第1信号接点25と、その第1信号接点25の周方向に配された部分に対し、さらに間隔をあけた外周側位置に配された略矩形状の第2信号接点26のそれぞれが所定の角度範囲で設けられており、これらコモン固定接点27、第1信号接点25、第2信号接点26からなる周辺固定接点は、スイッチケース21の前後方向の中心線に線対称で2組配設されている。そして、第1信号接点25、第2信号接点26とそれぞれ接続された端子25A,26Aは、スイッチケース21後方から外方へ延出されている。
【0030】
このように、押圧スイッチ部用の内部固定接点22,23A,23B,24およびそれに接続された各端子22A,23C,24Aは、スイッチケース21の中央部において所定前後幅内に配置され、回転スイッチ部用の周辺固定接点25,26,27は後方にまとめて配設され、周辺固定接点25,26に接続された各端子25A,26Aはスイッチケース21の後方に延出させた構成としているため、スイッチケース21内の配設位置関係が簡素で、それら各固定接点を形成するための材料幅も従来に比べて幅小にでき、使用材料を削減して効率化を図ることができる。
【0031】
そして、上記第1凹部21A内には、中央貫通孔を有して上方に膨らんだドーム状の円環部28Aとその円環部28Aの外縁から斜め下方に延出した4つの脚部28Bを等角位置に備えた弾性金属薄板からなる第1可動接点28が収容されている。第1凹部21Aは、この第1可動接点28の外形と上面視相似形状に形成されており、円環部28Aの外形に対応する壁部の内径は円環部28Aの外径より僅かに大きく形成されている。
【0032】
この第1凹部21A内に収容された状態で、第1可動接点28の2つの脚部28B下端は第1凹部21Aの隅に設けられた2ヶ所の第1外側固定接点23A上に当接載置されており、補助固定接点23Bと第2外側固定接点24は上記円環部28Aの下方に隙間を有して対面している。
【0033】
29は下方開口の円形ドーム状に膨らんだ弾性金属薄板からなる第2可動接点で、上記第1可動接点28の円環部28A上に載置されて配され、そのドーム状の頂点部下面は、上記第1可動接点28の中央貫通孔を介して上記中央固定接点22と間隔をあけて対面状態となっている。なお、第2可動接点29の外径は円環部28Aの外径より僅かに小径に設定されており、円環部28A上で組み合わせズレが生じても第1凹部21Aの壁部に第2可動接点29の外周端が当接してそのズレが規制される構成になっている。
【0034】
ここに、上記第1可動接点28の円環部28Aが押下されてドーム状部分が弾性反転する押下力は、上記第2可動接点29のドーム状部分が弾性反転する押下力より小さく設定している。
【0035】
そして、30は可撓性を有した絶縁フィルム製の円形のカバーシートで、図示しない下面の粘着層により第2可動接点29の上面を粘着保持すると共にその粘着層で円状壁部21Cの上面に貼り付けられて固定されており、第1凹部21A上はカバーシート30で覆われている。
【0036】
31は環状部31Aの一端からスイッチケース21の前方に向けて操作部31Bを突出させて配された絶縁樹脂製の回転体で、環状部31Aの内面は上記円状壁部21Cの外周側面に回転可能に外嵌されている。上記環状部31Aの下面には、略円弧状の摺動子32が固定されており、上記摺動子32は、略円弧状の両端部がそれぞれ二股に分かれた接触部32A,32Bとなり、その接触部32A,32Bは、図4に黒丸で示すように回転操作されていない通常状態で第2凹部21Bの内底面の上記コモン固定接点27と第1信号接点25との間の絶縁樹脂上にそれぞれ位置している。
【0037】
33は中央部が凹形状になされ、その凹形状の中心部分に貫通孔33Aを有したカバーで、上記回転体31の上方への移動を規制するようにスイッチケース21上面に固定されている。上記貫通孔33Aからは上記カバーシート30が露呈している。
【0038】
次に、以上のように構成された複合操作型スイッチの動作を説明する。
【0039】
まず押圧スイッチ部の動作は、カバー33の貫通孔33Aに露出したカバーシート30を介して第2可動接点29のドーム状頂点部に押下力を加えると、第2可動接点29を介して第1可動接点28の円環部28Aに押下力が加わる。その押下力が所定の力を超えると、第1可動接点28の脚部28Bが撓みながら円環部28Aがクリック感を伴って弾性反転して、円環部28A下面が下方に対面した第2外側固定接点24、補助固定接点23Bに接触し、第1可動接点28を介して第1外側固定接点23A、補助固定接点23B、第2外側固定接点24の間が電気的に導通する。
【0040】
なお、円環部28A下方に対面する補助固定接点23Bは、第1可動接点28の脚部28Bの2つが第1凹部24A隅部に配された2ヶ所の第1外側固定接点23Aに常接載置されているので、電気的には不要であるが、円環部28Aの弾性反転動作後の第2外側固定接点24との接触安定性の維持などを図るために有用なものであり、補助固定接点23Bを設けておくことが好ましい。
【0041】
そして、押下力をさらに加えていくと、第1可動接点28が弾性反転した状態で次に第2可動接点29がクリック感を伴って弾性反転し、そのドーム状頂点部の下面が下方に対面している中央固定接点22に接触する。これにより、第1可動接点28、第2可動接点29を介して、中央固定接点22、第1外側固定接点23A、補助固定接点23Bそして第2外側固定接点24のすべてが電気的に導通する。
【0042】
次に、加えていた押下力を解除すると、まず第2可動接点29がクリック感を伴って元のドーム状に自己復元し、第1外側固定接点23A、補助固定接点23Bおよび第2外側固定接点24に対して中央固定接点22が電気的に独立状態となる。そして続いて、第1可動接点28の脚部28Bの撓みが元に戻りながらクリック感を伴って円環部28Aが元の上方に膨らんだドーム状に自己復元して、円環部28Aが第2外側固定接点24、補助固定接点23Bから離れて、第1外側固定接点23Aおよび補助固定接点23Bに対して第2外側固定接点24が電気的に独立状態に戻る。
【0043】
この2段階でスイッチング動作する押圧スイッチ部は、例えば第1可動接点28によるスイッチ動作がデジタルカメラ等のピント合わせ機能に割り当てられ、第2可動接点29によるスイッチ操作がシャッター機能に割り当てられるなどして用いることができるものである。
【0044】
ここに、その押圧スイッチ部の動作において、第1可動接点28や第2可動接点29が弾性反転したり自己復元する際には、ドーム状の下方部分の空気が瞬間的に圧縮等されたりするが、当該構成では、円状壁部21Cの上面に第1凹部21Aと第2凹部21Bを連通する溝部21Dを設けているので、空気の流通が確保されて上記圧縮などによる圧力の抵抗が軽減され、動作感触が良好に得られるものにできる。
【0045】
次に回転スイッチ部の動作を説明する。
【0046】
図1に示すように、回転体31のスイッチケース21から前方に突出した操作部31Bが前方中央に位置した通常状態では、回転体31の円環部31A下面に固定された摺動子32の接触部32A,32Bは、図4の黒丸で示すように、それぞれコモン固定接点27と第1信号接点25との間の絶縁樹脂上に位置している。この状態から、回転体31の操作部31Bを左方向に回転操作すると、まず、図4の黒丸に近い側の白丸で示すように、環状部31A下面に備えられた摺動子32の一端の接触部32Aが絶縁樹脂上から第1信号接点25上に移動し、他端の接触部32Bが絶縁樹脂上からコモン固定接点27上に移動する。これにより、コモン固定接点27と第1信号接点25との間が電気的に導通し、第1スイッチが機能する。
【0047】
そして、さらに同じ方向に回転操作すると、図4の黒丸から遠い側の次の白丸で示すように、一端の接触部32Aの二股となった片方は第1信号接点25上を摺動移動し、残りの片方が第1信号接点25上から第2信号接点26上に移動し、他端の接触部32Bは引き続きコモン固定接点27上を摺動移動して、コモン固定接点27、第1信号接点25、第2信号接点26の間が電気的に導通状態となって、第2スイッチが機能する。
【0048】
つまり、回転スイッチ部は一方側の方向に向けての回転操作によって、第1スイッチとしてコモン固定接点27と第1信号接点25が導通し、第2スイッチとしてコモン固定接点27と第1、第2信号接点25,26が導通する2段階にスイッチングする構成になっている。なお、第2スイッチが機能した状態で回転体31の操作部31Bはスイッチケース21の前方開口端に当接して回転止めがなされる。
【0049】
そして、操作部31Bを元の通常状態位置に戻す間の動作は、上述の逆の順になるのみであるので、説明は省略する。
【0050】
また、通常状態位置から操作部31Bを右方向に回転させた場合も、コモン固定接点27や第1信号接点25と第2信号接点26を対とした配設位置関係がスイッチケース21の前後方向の中心線に対して線対称位置に配設されているため、同様の接離動作となる。
【0051】
以上に説明したように、本実施の形態による回転スイッチ部用の第1スイッチと第2スイッチは、摺動子32の接触部32A,32Bの二股となった片方が常に第1信号接点25の周方向に配された部分の上を摺動している状態で、残りの片方が第1信号接点25上から絶縁樹脂部分を経て第2信号接点26上に至る構成のものとしている。
【0052】
これは、例えばデジタルカメラ等のズーム操作を2段階で働くように構成した際に、第1スイッチでゆっくりズームが機能し、第2スイッチが機能するとズームスピードが速く機能するなどに用いることができ、第1スイッチと第2スイッチとの動作間にオフ状態が発生しないので使い勝手も良好なものとなる。
【0053】
以上のように本実施の形態によるものは、スイッチケース21に配設された押圧スイッチ部用の中央固定接点22に対し、補助固定接点23Bや第1外側固定接点23Aをその後方位置に配設し、また第2外側固定接点24をその前方位置に配設し、それらからの各引出し部分をそれぞれ左右に向けて直線状で相互に平行に延出させて端子22A,23C,24Aを導出させた構成としている。この配置状態であれば、スイッチケース21の後方側の位置に回転スイッチ部用の第1信号接点25、第2信号接点26およびそれらと繋がる端子25A,26Aをまとめて配設して構成できる。このため、それら各固定接点や端子の配設状態が簡素で、各固定接点を形成するために用いる材料幅も従来のものよりも細幅なものにでき、使用材料の削減や効率化を図りつつ複合操作型スイッチを構成することができる。さらに上述したように、コモン固定接点27を第1外側固定接点23A等と共用化すると、より構成面での簡素化が図られたものとして実現することができる。さらには、回転スイッチ部用の固定接点がまとまった領域内で配設されたものにできるため、それに対応する摺動子32もコンパクトな形状のもので済み、これも高品質で安価なものとする際に寄与するようにできる。
【0054】
なお、図5の別形態のスイッチケースの平面図に示すように、第1信号接点35と第2信号接点36を個々に所定角度で放射状に配設して構成しても良い。例えば、デジタルカメラ等の撮影モード切替用に用いて、第1スイッチと第2スイッチとの間でオフ状態が生じても支障のない場合であれば、このような信号接点35,36の構成とすればよい。
【0055】
さらに、図5に示したスイッチケース41には、第2凹部41B内の前方位置に仕切壁42を2ヶ所設けている。この仕切壁42は、スイッチケース41の前方に突出する操作部31Bの回転動作範囲の両側終端位置に対応して設けられており、その上面は、カバー33下面が当接状態になるようにスイッチケース41の上面と同一平面になされている。
【0056】
これにより、操作部31Bが回転動作範囲の終端に位置した際に仕切壁42側面に当接することで回転止め面積が広くなり強固なものにできる。さらに、カバー33が取り付けられて第2凹部41B上面を塞ぐことができるため、第2凹部41B内底面に設けられた周辺固定接点を防塵することができる。なお、この仕切壁を設ける思想は、前述した図1の構成のものにも適用することができる。
【0057】
なお、以上には、回転スイッチ部の周辺接点部分における二種類の構成事例を説明したが、上記以外の配置構成のものであってもよい。また、片側で2段階以上にスイッチングする構成などにしてもよい。さらに、押圧スイッチ部の内部固定接点の配置位置や可動接点側を含んだ押圧スイッチ部の全体構成も上述したもののみに限定されることもない。そして、使用用途においても上述した以外の各種電子機器に用いるなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明による複合操作型スイッチは、各固定接点などの配設状態が簡素で、かつ固定接点用の材料幅を抑え、使用材料を削減して効率化を図ったものを提供することができるという特徴を有し、押圧操作されて機能する押圧スイッチ部と回転操作されて機能する回転スイッチ部とをあわせ持つ電子機器の操作部用等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施の形態による複合操作型スイッチの外観図
【図2】同分解斜視図
【図3】図1のR−R断面図
【図4】同スイッチケースの平面図
【図5】別形態のスイッチケースの平面図
【図6】従来の複合操作型スイッチの分解斜視図
【図7】図6のP−P断面図
【図8】図6のQ−Q断面図
【図9】同スイッチケースの平面図
【符号の説明】
【0060】
21,41 スイッチケース
21A 第1凹部
21B,41B 第2凹部
21C 円状壁部
21D 溝部
22 中央固定接点
22A,23C,24A,25A,26A 端子
23A 第1外側固定接点
23B 補助固定接点
24 第2外側固定接点
25,35 第1信号接点
26,36 第2信号接点
27 コモン固定接点
28 第1可動接点
28A 円環部
28B 脚部
29 第2可動接点
30 カバーシート
31 回転体
31A 環状部
31B 操作部
32 摺動子
32A,32B 接触部
33 カバー
33A 貫通孔
42 仕切壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に備えた凹部が円状壁部により内側の第1凹部と外側の第2凹部とに仕切られ、上記第1凹部の内底面に押圧スイッチ部用の複数の内部固定接点と上記第2凹部の内底面に回転スイッチ部用の複数の周辺固定接点が配設されたスイッチケースと、上記第1凹部内に配された可動接点と、上記円状壁部上面に配された絶縁フィルム製のカバーシートと、下面に上記複数の周辺固定接点上を摺動する摺動子を備えて上記円状壁部に回転可能に組み合わされた環状部とその一端から上記スイッチケースの前方に操作部を突出させた回転体と、この回転体の上方から上記スイッチケースの第2凹部上面を塞ぐように取り付けられたカバーとからなり、上記押圧スイッチ部用の複数の内部固定接点が、上記円状壁部内の中央に位置した中央固定接点とその中央固定接点を間にして所定距離離された第1外側固定接点と第2外側固定接点で構成され、それら各固定接点からの引出し部分が上記スイッチケースの外方に向けてそれぞれが一組となって同じ方向に導出されていることを特徴とする複合操作型スイッチ。
【請求項2】
スイッチケースに、第1凹部内の空気をその外方と連通させるための空気流通手段を備えさせたことを特徴とする請求項1記載の複合操作型スイッチ。
【請求項3】
第2凹部に、スイッチケースの前方に突出した操作部が当接する仕切壁を回転動作範囲の両側に設け、その仕切壁の上面にカバー下面が当接状態になされたことを特徴とする請求項1記載の複合操作型スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−123362(P2010−123362A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295218(P2008−295218)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】