複合材からなる積層体の製造において粒状不活性材料と樹脂バインダとを混合する装置
【課題】粒状不活性材料とバインダとの混合処理を最適化することにより、凝集物の均一性を確保することが可能な装置を提供する。
【解決手段】回転する筒状のマンドレル4に、マンドレルの表面に付着した内側層2と、外側層3と、粒状不活性材料を樹脂バインダと融合させて形成された均質凝集物からなる中間層5,6とを有する管状製品を形成するために、粒状不活性材料を樹脂バインダと混合する装置であって、粒状不活性材料を供給するダクト及び排出口17,18に接続されたフィーダ機構12,13と、フィーダ機構の排出口から供給された粒状不活性材料を受け取る取入口21,22を有した混合機構23,24と、混合機構内に樹脂バインダを供給する接続部48,49とで構成される少なくとも1つの混合ラインを備え、混合機構は、均質凝集物を形成して内側層上に付着させることにより中間層を形成する。
【解決手段】回転する筒状のマンドレル4に、マンドレルの表面に付着した内側層2と、外側層3と、粒状不活性材料を樹脂バインダと融合させて形成された均質凝集物からなる中間層5,6とを有する管状製品を形成するために、粒状不活性材料を樹脂バインダと混合する装置であって、粒状不活性材料を供給するダクト及び排出口17,18に接続されたフィーダ機構12,13と、フィーダ機構の排出口から供給された粒状不活性材料を受け取る取入口21,22を有した混合機構23,24と、混合機構内に樹脂バインダを供給する接続部48,49とで構成される少なくとも1つの混合ラインを備え、混合機構は、均質凝集物を形成して内側層上に付着させることにより中間層を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材からなる積層体、特に管状の積層体の製造において粒状不活性材料と樹脂結合材とを混合する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管状の積層体は、樹脂が含浸された主としてグラスファイバなどの構造繊維を巻き付けて得られる複数の層により構成されたものが知られている。一般的に、積層体の内側層と外側層とは、樹脂(バインダ)と粒状不活性材料(通常は砂)との混合物で構成される中間層によって分離されている。
このような積層体は、回転するマンドレルに以下のような層を巻き付けることにより製造される。
【0003】
−浸漬や接触により、或いは引力やスプレーを用い、樹脂(バインダ)が含浸された構造繊維(一般的にガラス製)の束からなる内側層、
−引力により付着した樹脂(バインダ)が含浸された粒状不活性材料(一般的に砂)の中間層、及び
−通常は内側層と同様の手法を用い、樹脂(バインダ)が含浸された構造繊維(一般的にガラス製)の付加的な束からなる外側層。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】管状製品を製造するシステムに組み込まれた混合装置の側面図である。
【図2】本発明に係る装置の垂直面に沿った部分断面を示す側面図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿った断面を示す平面図である。
【図4】図2中のIV−IV線に沿った断面を示す平面図である。
【図5】本発明に係る装置のモータ駆動機構を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図中、混合装置は全般的に符号1によって示されており、実質的に2つの混合ラインの組み合わせによって構成されている。これら混合ラインは、通常は砂が用いられる粒状不活性材料に、通常は樹脂が用いられるバインダを十分に混合することによって形成された凝集物を流動させることができるようになっている。
2つのラインで流動する凝集物は、通常はグラスファイバが用いられる構造繊維に、通常は樹脂が用いられるバインダを含浸して形成された2つの層2,3(図1)の間に導入され、水平軸線Aの周りにBの方向に回転する筒状のマンドレル4に螺旋状に巻き付けられる。これにより、層2が内張層となると共に層3が外周層となり、混合装置によって供給された凝集物が中間層を形成した管状の製品が形成される。中間層は、管状製品を強固なものとするようになっており、本実施形態においては混合ラインによって分配された1対の層5,6を積層して形成されている。
【0012】
ここで用いられているマンドレル4の構造及びその作動のための手段については、従来から知られている形式のものであって、簡潔な説明を行うため、その記載を省略する。なお、マンドレル4は、軸線Aの周りの回転運動に軸線Aの方向への前進運動が組み合わされて駆動されることにより、マンドレルが1回転するごとに行われる前進方向の移動距離が螺旋状の巻き付けピッチとなり、この巻き付けピッチによりマンドレルを全て覆う面が得られるように各層が巻き付けられる。
【0013】
装置1は、互いに平行な2つの壁7,8を有した筐体を備えており、これら壁7,8は水平な連結面9によって補強されている(図4)。壁7,8の両側端部にはそれぞれ円形の開口が形成され、互いに平行な2つの管状部材10,11が、これら開口に挿通されて壁7,8に固定されている。管状部材10,11は、中間層5を形成するために用いられる粒状不活性材料を供給するための2つのスクリューフィーダ機構12,13の外殻を構成している。不活性材料は、粒状不活性材料の収納容器に接続された共通の供給パイプ16からフォーク状に分岐した各分配管14,15(図5)を介してフィーダ機構12,13内に供給される。
【0014】
フィーダ機構12,13の外殻10,11の下側領域には排出口17,18が設けられており、分配管14,15から供給されてフィーダ機構12,13のスクリューフィーダ19,20により送られた粒状不活性材料が、下方に位置する2つの混合機構23,24(図2及び図3)の取り込み口21,22に向けて、これら排出口17,18から供給されるようになっている。混合機構23,24では、バインダとの混合が行われ、マンドレル4に中間層5を形成するための凝集物の混練が完了する。
【0015】
2つのスクリューフィーダ機構12,13の駆動を行うため、シャフト25,26にはスクリューフィーダ19,20が装着されている部分よりも小径の部分がそれぞれ設けられており、外殻10,11の外側にあるスクリューフィーダ機構12,13の部分は、全般的に符号27で示されるモータ駆動機構に接続されている(図4)。このモータ駆動機構は、1対の壁部29,30を有した箱状構造体28を備えており、これら壁部29,30は、壁7に直角にしっかりと固定されると共に、壁7と平行な2つのプレート31,32にその前端部がしっかりと固定されている。プレート31,32は、プレート32から片持ち状態で突設されたフランジ33により連結されており、フランジ33はリブ34と共に、プレート31に平行で平坦な細長いプレート(以下ストリップという)35を支持している。
【0016】
プレート31及びストリップ35には2つの支持部材36,37(図4及び図5)が取り付けられており、スクリューフィーダ19のシャフト25を回転可能に支持する軸受がそれぞれの支持部材36,37に設けられている。
外殻10の外側にあるシャフト25の部分には、摩擦クラッチ機構38が設けられており、プーリ39が摩擦クラッチ機構38に組み付けられると共に、プーリ39の外周には歯付きベルト40が噛み合う歯が設けられている。摩擦クラッチ38は、スクリューフィーダ19の駆動及び停止をそれぞれ行う際にプーリ39とシャフト25との結合及び切断を可能とするため、液圧式駆動部材を備えている。
【0017】
ループ状のベルト40は、ギヤ付きモータ42の出力軸26aに固定された第2プーリ41に掛け渡されており、ギヤ付きモータ42はフランジによって壁部30に片持ち状態で結合されている。ギヤ付きモータ42の作動により、スクリューフィーダ20が直接的に駆動されると共に、プーリ41、ベルト40、プーリ39及び摩擦クラッチ機構38からなる伝達機構を用いてスクリューフィーダ19の回転駆動が行われる。プレート32には、ベルトテンションローラ43(図4及び図5)が片持ち状態で固定されており、ベルト40の飛び越しを防止して、混合機構23,24への不活性材料の均一な投入を確保するようにしている。
【0018】
混合機構23,24は、上述のフィーダ機構12,13と構造的に類似している。図3に詳しく示されているように符号44,45は、フィーダ機構12,13の下方にフィーダ12,13機構と平行に配設されたスクリューフィーダ46,47が内部で回転する筒状の外殻を示している。壁8の下流側の外殻44,45には、フィーダ機構12,13によって搬送された粒状不活性材料に混合される樹脂バインダ及び触媒を外殻44,45内に導入するための接続部48,49(図1及び図2)が設けられている。
【0019】
2つの混合機構23,24は、中間層5,6を形成する凝集物の適正かつ均一な混練を確保するため、フィーダ機構12,13に比べてかなりの長さを有している。外殻44,45は、外殻10,11と同様にして壁7,8に支持されており、固定部材50,51を用いて壁7,8に固定されている。固定部材50,51はどのような形式のものでも良いが、スクリューフィーダ46,47の迅速な分解を可能として、混合機構の検査や必要な清掃作業を行うことができるようにしている。
【0020】
外殻44,45の排出口には、それぞれ対応するリール55から取り出したリボン54をガイドして巻き付けるための2つの曲げ部材52,53(図1、図2及び図3)が設けられている。リボン54は、例えば織布や不織布などの浸透性のある素材からなり、バインダを含浸させることができると共に、製品の層2及び層3への凝集物の付着を促進することができるようになっている。曲げ部材52,53のそれぞれは、スクリュー46,47のそれぞれの軸線方向に配置されて凝集物を吐出するノズル56を有した漏斗状のシュートによって構成されている。曲げ部材52,53は、その下面において牽引により摺動するリボン54の側端部を長手方向に沿って上方に折り曲げることにより、2つの混合機構23,24のノズル56から排出される凝集物をリボン54でくるむ。
【0021】
フィーダ機構12,13と同様に、スクリューフィーダ46,47のシャフト57,58も、符号59で示されるモータ駆動機構(図3)に接続された小径部分を有する。シャフト57は、プレート31及び第2ストリップ62に固定された支持部材60,61において、軸受により回転可能となっており、第2ストリップ62はストリップ35の下方にあってストリップ35と同一平面上に配置されている。シャフト57には摩擦クラッチ機構63が設けられており、歯付きプーリ64が摩擦クラッチ機構63に組み付けられると共に、歯付きプーリ64に歯付きベルト65が噛合している。
【0022】
摩擦クラッチ機構63は、上述したフィーダ機構12の摩擦クラッチ機構38と同様にして駆動されるようになっており、シャフト57、即ちスクリューフィーダ46に対してプーリ64の連結及び切断を可能とする流体式駆動部材を備えている。ループ状のベルト65は第2プーリ66に掛け渡されており、プレート32に片持ち状態で固定されたベルトテンションローラ67(図5)を用いて張力が与えられている。プーリ66は、箱状構造体28の壁部30にフランジを介して片持ち状態で取り付けられたギヤ付きモータ69の出力軸68に固定されている。出力軸68は、スクリューフィーダ47のシャフト58に接続されており、ストリップ35と同一平面上のストリップ62に固定された支持部材70に組み込まれている軸受によって支持されている。
【0023】
本発明により装置の作動については、これまでの説明により全て明らかではあるが、以下の通りとなる。供給パイプ16及び分配管14,15から排出口17,18及び取入口21,22を経て供給された粒状不活性材料は、フィーダ機構12,13内に搬送された後、スクリューフィーダ19,20によって一定の流量で混合機構23,24内に移送され、接続部48,49から供給された樹脂バインダ及び触媒が付加される。
【0024】
スクリューフィーダ46,47が行う混合動作により、凝集物が吐出ノズル56に向けて移動するにつれて、次第に均一な凝集物が形成されていく。ノズル56から凝集物が排出されると、曲げ部材52,53の下方にガイドされてチューブ状に成形されたリボン54によって凝集物がくるまれることにより、ペースト状の粘度を有した凝集物の筒状ビードが2つ形成される。これらの筒状ビードは、マンドレル4を軸線方向へ移動させながらマンドレル4の周面に装着されていくことにより、予め形成されている層2を均一に覆う層5,6を形成しながら、連続的な張力のもとでマンドレル4の周囲に巻き付けられていく。
【0025】
以上のように、上述した混合装置は前記の狙い及び目的を達成することが明らかとなった。
特に、ギヤ付きモータ42,69の速度を調整すれば、不活性材料及び凝集物の流動を調整することが可能である。同時に、従来から用いられているポンピング機構によりバインダ及び触媒の流動を調整すれば、バインダの無駄な消費や不足をなくして、凝集物の成分の比率を最適化し、安定した特性を確保することが可能となる。
【0026】
上述した混合装置の重要な特徴の1つは、フィーダ機構12及び混合機構23をそれぞれ駆動状態と非駆動状態とにすることが可能な摩擦クラッチ機構38,63によって得られるものであり、このような摩擦クラッチ機構38,63を設けることにより、単一もしくは2つの凝集物のビードを供給して、ある厚さ或いはその2倍の厚さの中間層5,6を得ることができる。
【0027】
上述した装置のもう1つの利点は、マンドレル4が配置される高さとは異なる高さ、特にマンドレル4の上方となる位置に設置可能である点にあり、これにより凝集物を簡単にマンドレル4に付着させることが可能となると共に、凹凸の調整を行うことが可能なへらやその他の部材を用いた凝集物の供給が可能となる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材からなる積層体、特に管状の積層体の製造において粒状不活性材料と樹脂結合材とを混合する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管状の積層体は、樹脂が含浸された主としてグラスファイバなどの構造繊維を巻き付けて得られる複数の層により構成されたものが知られている。一般的に、積層体の内側層と外側層とは、樹脂(バインダ)と粒状不活性材料(通常は砂)との混合物で構成される中間層によって分離されている。
このような積層体は、回転するマンドレルに以下のような層を巻き付けることにより製造される。
【0003】
−浸漬や接触により、或いは引力やスプレーを用い、樹脂(バインダ)が含浸された構造繊維(一般的にガラス製)の束からなる内側層、
−引力により付着した樹脂(バインダ)が含浸された粒状不活性材料(一般的に砂)の中間層、及び
−通常は内側層と同様の手法を用い、樹脂(バインダ)が含浸された構造繊維(一般的にガラス製)の付加的な束からなる外側層。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】管状製品を製造するシステムに組み込まれた混合装置の側面図である。
【図2】本発明に係る装置の垂直面に沿った部分断面を示す側面図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿った断面を示す平面図である。
【図4】図2中のIV−IV線に沿った断面を示す平面図である。
【図5】本発明に係る装置のモータ駆動機構を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図中、混合装置は全般的に符号1によって示されており、実質的に2つの混合ラインの組み合わせによって構成されている。これら混合ラインは、通常は砂が用いられる粒状不活性材料に、通常は樹脂が用いられるバインダを十分に混合することによって形成された凝集物を流動させることができるようになっている。
2つのラインで流動する凝集物は、通常はグラスファイバが用いられる構造繊維に、通常は樹脂が用いられるバインダを含浸して形成された2つの層2,3(図1)の間に導入され、水平軸線Aの周りにBの方向に回転する筒状のマンドレル4に螺旋状に巻き付けられる。これにより、層2が内張層となると共に層3が外周層となり、混合装置によって供給された凝集物が中間層を形成した管状の製品が形成される。中間層は、管状製品を強固なものとするようになっており、本実施形態においては混合ラインによって分配された1対の層5,6を積層して形成されている。
【0012】
ここで用いられているマンドレル4の構造及びその作動のための手段については、従来から知られている形式のものであって、簡潔な説明を行うため、その記載を省略する。なお、マンドレル4は、軸線Aの周りの回転運動に軸線Aの方向への前進運動が組み合わされて駆動されることにより、マンドレルが1回転するごとに行われる前進方向の移動距離が螺旋状の巻き付けピッチとなり、この巻き付けピッチによりマンドレルを全て覆う面が得られるように各層が巻き付けられる。
【0013】
装置1は、互いに平行な2つの壁7,8を有した筐体を備えており、これら壁7,8は水平な連結面9によって補強されている(図4)。壁7,8の両側端部にはそれぞれ円形の開口が形成され、互いに平行な2つの管状部材10,11が、これら開口に挿通されて壁7,8に固定されている。管状部材10,11は、中間層5を形成するために用いられる粒状不活性材料を供給するための2つのスクリューフィーダ機構12,13の外殻を構成している。不活性材料は、粒状不活性材料の収納容器に接続された共通の供給パイプ16からフォーク状に分岐した各分配管14,15(図5)を介してフィーダ機構12,13内に供給される。
【0014】
フィーダ機構12,13の外殻10,11の下側領域には排出口17,18が設けられており、分配管14,15から供給されてフィーダ機構12,13のスクリューフィーダ19,20により送られた粒状不活性材料が、下方に位置する2つの混合機構23,24(図2及び図3)の取り込み口21,22に向けて、これら排出口17,18から供給されるようになっている。混合機構23,24では、バインダとの混合が行われ、マンドレル4に中間層5を形成するための凝集物の混練が完了する。
【0015】
2つのスクリューフィーダ機構12,13の駆動を行うため、シャフト25,26にはスクリューフィーダ19,20が装着されている部分よりも小径の部分がそれぞれ設けられており、外殻10,11の外側にあるスクリューフィーダ機構12,13の部分は、全般的に符号27で示されるモータ駆動機構に接続されている(図4)。このモータ駆動機構は、1対の壁部29,30を有した箱状構造体28を備えており、これら壁部29,30は、壁7に直角にしっかりと固定されると共に、壁7と平行な2つのプレート31,32にその前端部がしっかりと固定されている。プレート31,32は、プレート32から片持ち状態で突設されたフランジ33により連結されており、フランジ33はリブ34と共に、プレート31に平行で平坦な細長いプレート(以下ストリップという)35を支持している。
【0016】
プレート31及びストリップ35には2つの支持部材36,37(図4及び図5)が取り付けられており、スクリューフィーダ19のシャフト25を回転可能に支持する軸受がそれぞれの支持部材36,37に設けられている。
外殻10の外側にあるシャフト25の部分には、摩擦クラッチ機構38が設けられており、プーリ39が摩擦クラッチ機構38に組み付けられると共に、プーリ39の外周には歯付きベルト40が噛み合う歯が設けられている。摩擦クラッチ38は、スクリューフィーダ19の駆動及び停止をそれぞれ行う際にプーリ39とシャフト25との結合及び切断を可能とするため、液圧式駆動部材を備えている。
【0017】
ループ状のベルト40は、ギヤ付きモータ42の出力軸26aに固定された第2プーリ41に掛け渡されており、ギヤ付きモータ42はフランジによって壁部30に片持ち状態で結合されている。ギヤ付きモータ42の作動により、スクリューフィーダ20が直接的に駆動されると共に、プーリ41、ベルト40、プーリ39及び摩擦クラッチ機構38からなる伝達機構を用いてスクリューフィーダ19の回転駆動が行われる。プレート32には、ベルトテンションローラ43(図4及び図5)が片持ち状態で固定されており、ベルト40の飛び越しを防止して、混合機構23,24への不活性材料の均一な投入を確保するようにしている。
【0018】
混合機構23,24は、上述のフィーダ機構12,13と構造的に類似している。図3に詳しく示されているように符号44,45は、フィーダ機構12,13の下方にフィーダ12,13機構と平行に配設されたスクリューフィーダ46,47が内部で回転する筒状の外殻を示している。壁8の下流側の外殻44,45には、フィーダ機構12,13によって搬送された粒状不活性材料に混合される樹脂バインダ及び触媒を外殻44,45内に導入するための接続部48,49(図1及び図2)が設けられている。
【0019】
2つの混合機構23,24は、中間層5,6を形成する凝集物の適正かつ均一な混練を確保するため、フィーダ機構12,13に比べてかなりの長さを有している。外殻44,45は、外殻10,11と同様にして壁7,8に支持されており、固定部材50,51を用いて壁7,8に固定されている。固定部材50,51はどのような形式のものでも良いが、スクリューフィーダ46,47の迅速な分解を可能として、混合機構の検査や必要な清掃作業を行うことができるようにしている。
【0020】
外殻44,45の排出口には、それぞれ対応するリール55から取り出したリボン54をガイドして巻き付けるための2つの曲げ部材52,53(図1、図2及び図3)が設けられている。リボン54は、例えば織布や不織布などの浸透性のある素材からなり、バインダを含浸させることができると共に、製品の層2及び層3への凝集物の付着を促進することができるようになっている。曲げ部材52,53のそれぞれは、スクリュー46,47のそれぞれの軸線方向に配置されて凝集物を吐出するノズル56を有した漏斗状のシュートによって構成されている。曲げ部材52,53は、その下面において牽引により摺動するリボン54の側端部を長手方向に沿って上方に折り曲げることにより、2つの混合機構23,24のノズル56から排出される凝集物をリボン54でくるむ。
【0021】
フィーダ機構12,13と同様に、スクリューフィーダ46,47のシャフト57,58も、符号59で示されるモータ駆動機構(図3)に接続された小径部分を有する。シャフト57は、プレート31及び第2ストリップ62に固定された支持部材60,61において、軸受により回転可能となっており、第2ストリップ62はストリップ35の下方にあってストリップ35と同一平面上に配置されている。シャフト57には摩擦クラッチ機構63が設けられており、歯付きプーリ64が摩擦クラッチ機構63に組み付けられると共に、歯付きプーリ64に歯付きベルト65が噛合している。
【0022】
摩擦クラッチ機構63は、上述したフィーダ機構12の摩擦クラッチ機構38と同様にして駆動されるようになっており、シャフト57、即ちスクリューフィーダ46に対してプーリ64の連結及び切断を可能とする流体式駆動部材を備えている。ループ状のベルト65は第2プーリ66に掛け渡されており、プレート32に片持ち状態で固定されたベルトテンションローラ67(図5)を用いて張力が与えられている。プーリ66は、箱状構造体28の壁部30にフランジを介して片持ち状態で取り付けられたギヤ付きモータ69の出力軸68に固定されている。出力軸68は、スクリューフィーダ47のシャフト58に接続されており、ストリップ35と同一平面上のストリップ62に固定された支持部材70に組み込まれている軸受によって支持されている。
【0023】
本発明により装置の作動については、これまでの説明により全て明らかではあるが、以下の通りとなる。供給パイプ16及び分配管14,15から排出口17,18及び取入口21,22を経て供給された粒状不活性材料は、フィーダ機構12,13内に搬送された後、スクリューフィーダ19,20によって一定の流量で混合機構23,24内に移送され、接続部48,49から供給された樹脂バインダ及び触媒が付加される。
【0024】
スクリューフィーダ46,47が行う混合動作により、凝集物が吐出ノズル56に向けて移動するにつれて、次第に均一な凝集物が形成されていく。ノズル56から凝集物が排出されると、曲げ部材52,53の下方にガイドされてチューブ状に成形されたリボン54によって凝集物がくるまれることにより、ペースト状の粘度を有した凝集物の筒状ビードが2つ形成される。これらの筒状ビードは、マンドレル4を軸線方向へ移動させながらマンドレル4の周面に装着されていくことにより、予め形成されている層2を均一に覆う層5,6を形成しながら、連続的な張力のもとでマンドレル4の周囲に巻き付けられていく。
【0025】
以上のように、上述した混合装置は前記の狙い及び目的を達成することが明らかとなった。
特に、ギヤ付きモータ42,69の速度を調整すれば、不活性材料及び凝集物の流動を調整することが可能である。同時に、従来から用いられているポンピング機構によりバインダ及び触媒の流動を調整すれば、バインダの無駄な消費や不足をなくして、凝集物の成分の比率を最適化し、安定した特性を確保することが可能となる。
【0026】
上述した混合装置の重要な特徴の1つは、フィーダ機構12及び混合機構23をそれぞれ駆動状態と非駆動状態とにすることが可能な摩擦クラッチ機構38,63によって得られるものであり、このような摩擦クラッチ機構38,63を設けることにより、単一もしくは2つの凝集物のビードを供給して、ある厚さ或いはその2倍の厚さの中間層5,6を得ることができる。
【0027】
上述した装置のもう1つの利点は、マンドレル4が配置される高さとは異なる高さ、特にマンドレル4の上方となる位置に設置可能である点にあり、これにより凝集物を簡単にマンドレル4に付着させることが可能となると共に、凹凸の調整を行うことが可能なへらやその他の部材を用いた凝集物の供給が可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する筒状のマンドレル(4)に、上記マンドレル(4)の表面に付着した内側層(2)と、外側層(3)と、粒状不活性材料に樹脂バインダを混練して得られた均質凝集物からなる中間層(5,6)とで構成される管状製品を形成するための装置であって、
上記粒状不活性材料を供給するダクト(14,15)と排出口(17,18)とに接続されたフィーダ機構(12,13)を有する少なくとも1つの混合ラインと、
上記均質凝集物を形成して上記内側層(2)上に付着させて上記中間層(5,6)を形成するため、上記粒状不活性材料を上記樹脂バインダと混合する混合機構(23,24)とを備え、
上記混合機構(23,24)は、モータ機構(59)によって駆動されるスクリューフィーダ(46,47)が内部に装備された筒状の外殻(44,45)を備え、
上記外殻(44,45)は、上記粒状不活性材料を受け取るために上記フィーダ機構(12,13)の上記排出口(17,18)に連絡する取入口(21,22)と、上記樹脂バインダを上記外殻(44,45)内に供給するための接続部(48,49)と、上記外殻(44,45)の出口側端部に設けられて上記内側層(2)に上記均質凝集物を付着させるための吐出口を備えた装置において、
上記外殻(44,45)の上記出口側端部に組み付けられ、リボン(54)をガイドして巻き込む曲げ部材(52,53)を更に備え、
上記曲げ部材(52,53)は、上記スクリューフィーダ(46,47)の軸線方向に設けられたノズル(56)を有して上記外殻(44,45)の端部の下流側に配設された漏斗状シュートを備え、
上記漏斗状シュートは、上記樹脂バインダに対して浸透性を有した上記リボン(54)の側端部を長手方向に沿って折り曲げることにより、上記凝集物を上記リボン(54)でくるみ、上記内側層(2)に付着させながら上記マンドレル(4)に巻き付けられるビードを形成するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
上記フィーダ機構(12,13)は、モータ機構(27)によって駆動されるスクリューフィーダ(19,20)を内部に有した筒状の外殻(10,11)を備え、
上記外殻(10,11)は、上記粒状不活性材料を供給するダクト(14,15,16)と、上記フィーダ機構(12,13)の下方に配設された上記混合機構(23,24)内に上記粒状不活性材料を排出する排出口(17,18)とに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記接続部(48,49)は、上記取入口(21,22)の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
上記リボン(54)は、上記樹脂バインダが浸透可能な織布または不織布からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
上記装置は2つのスクリューフィーダ機構(12,13)を備え、
上記スクリューフィーダ機構(12,13)は互いに平行であって、上記混合機構を構成する2つのスクリューミキサ(23,24)の上方にそれぞれ配置されており、
上記フィーダ機構(12,13)及び上記スクリューミキサ(23,24)は、それぞれに設けられた駆動機構(27,59)によって駆動されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
上記駆動機構(27,59)のそれぞれは、
フレーム(27)と、
上記フレーム(27)に取り付けられて出力軸(26a,68)を備え、第1スクリューフィーダ(20,47)を駆動するモータ機構(42,69)と、
上記モータ機構(42,69)の上記出力軸(26a,68)に固定された第1プーリ(41,66)と、
第2スクリューフィーダ(19,47)のシャフト(25,57)に設けられ、上記シャフト(25,57)と同一軸線上に設けられた第2プーリ(39,64)との結合及び切断を行う摩擦クラッチ機構(38,63)と、
ループ状に形成されて上記第1及び第2プーリ(41,66,39,64)に掛け渡された駆動ベルト(40,65)とを備え、
上記摩擦クラッチ機構(38,63)は、上記シャフト(25,57)に対する上記第2プーリ(39,64)の連結及び切断を行う駆動手段によって制御されることにより、上記第2スクリューフィーダ(19,47)の運転及び停止を行うことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項1】
回転する筒状のマンドレル(4)に、上記マンドレル(4)の表面に付着した内側層(2)と、外側層(3)と、粒状不活性材料に樹脂バインダを混練して得られた均質凝集物からなる中間層(5,6)とで構成される管状製品を形成するための装置であって、
上記粒状不活性材料を供給するダクト(14,15)と排出口(17,18)とに接続されたフィーダ機構(12,13)を有する少なくとも1つの混合ラインと、
上記均質凝集物を形成して上記内側層(2)上に付着させて上記中間層(5,6)を形成するため、上記粒状不活性材料を上記樹脂バインダと混合する混合機構(23,24)とを備え、
上記混合機構(23,24)は、モータ機構(59)によって駆動されるスクリューフィーダ(46,47)が内部に装備された筒状の外殻(44,45)を備え、
上記外殻(44,45)は、上記粒状不活性材料を受け取るために上記フィーダ機構(12,13)の上記排出口(17,18)に連絡する取入口(21,22)と、上記樹脂バインダを上記外殻(44,45)内に供給するための接続部(48,49)と、上記外殻(44,45)の出口側端部に設けられて上記内側層(2)に上記均質凝集物を付着させるための吐出口を備えた装置において、
上記外殻(44,45)の上記出口側端部に組み付けられ、リボン(54)をガイドして巻き込む曲げ部材(52,53)を更に備え、
上記曲げ部材(52,53)は、上記スクリューフィーダ(46,47)の軸線方向に設けられたノズル(56)を有して上記外殻(44,45)の端部の下流側に配設された漏斗状シュートを備え、
上記漏斗状シュートは、上記樹脂バインダに対して浸透性を有した上記リボン(54)の側端部を長手方向に沿って折り曲げることにより、上記凝集物を上記リボン(54)でくるみ、上記内側層(2)に付着させながら上記マンドレル(4)に巻き付けられるビードを形成するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
上記フィーダ機構(12,13)は、モータ機構(27)によって駆動されるスクリューフィーダ(19,20)を内部に有した筒状の外殻(10,11)を備え、
上記外殻(10,11)は、上記粒状不活性材料を供給するダクト(14,15,16)と、上記フィーダ機構(12,13)の下方に配設された上記混合機構(23,24)内に上記粒状不活性材料を排出する排出口(17,18)とに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記接続部(48,49)は、上記取入口(21,22)の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
上記リボン(54)は、上記樹脂バインダが浸透可能な織布または不織布からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
上記装置は2つのスクリューフィーダ機構(12,13)を備え、
上記スクリューフィーダ機構(12,13)は互いに平行であって、上記混合機構を構成する2つのスクリューミキサ(23,24)の上方にそれぞれ配置されており、
上記フィーダ機構(12,13)及び上記スクリューミキサ(23,24)は、それぞれに設けられた駆動機構(27,59)によって駆動されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
上記駆動機構(27,59)のそれぞれは、
フレーム(27)と、
上記フレーム(27)に取り付けられて出力軸(26a,68)を備え、第1スクリューフィーダ(20,47)を駆動するモータ機構(42,69)と、
上記モータ機構(42,69)の上記出力軸(26a,68)に固定された第1プーリ(41,66)と、
第2スクリューフィーダ(19,47)のシャフト(25,57)に設けられ、上記シャフト(25,57)と同一軸線上に設けられた第2プーリ(39,64)との結合及び切断を行う摩擦クラッチ機構(38,63)と、
ループ状に形成されて上記第1及び第2プーリ(41,66,39,64)に掛け渡された駆動ベルト(40,65)とを備え、
上記摩擦クラッチ機構(38,63)は、上記シャフト(25,57)に対する上記第2プーリ(39,64)の連結及び切断を行う駆動手段によって制御されることにより、上記第2スクリューフィーダ(19,47)の運転及び停止を行うことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2009−184355(P2009−184355A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26293(P2009−26293)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(509037765)ヴエエンメ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】VEM S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Calzavecchio, 23, 40033 CASALECCHIO DI RENO (Prov. of Bologna), ITALY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(509037765)ヴエエンメ ソシエタ ペル アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】VEM S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Calzavecchio, 23, 40033 CASALECCHIO DI RENO (Prov. of Bologna), ITALY
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]