説明

複合構造物形成システム及び形成方法

【課題】 エアロゾルの微粒子濃度を安定させることができる複合構造物形成システム及び形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材に衝突させて前記微粒子の構成材料からなる構造物と前記基材との複合構造物を形成する複合構造物形成システムであって、前記微粒子を収容する収容機構と、前記微粒子をガス中に分散させてエアロゾルを形成するエアロゾル化機構と、前記収容機構から前記エアロゾル化機構に前記微粒子を供給する供給機構と、前記エアロゾル化機構に前記ガスを供給するガス供給機構と、前記エアロゾルを前記基材に向けて噴射する吐出口と、前記エアロゾル中の前記微粒子の濃度を定量化する定量化機構と、を備えたことを特徴とする複合構造物形成システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合構造物形成システム及び形成方法に関し、より詳細には、脆性材料の微粒子をガス中に分散させた「エアロゾル」を基材に吹き付け、微粒子の構成材料からなる構造物を基材上に形成させる複合構造物形成システム及び形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面に脆性材料の構造物を形成させる方法として、「エアロゾルデポジション法」がある(例えば、特許文献1及び特許文献2)。これは、脆性材料を含む微粒子をガス中に分散させた「エアロゾル」をノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子に変形や破砕を起させしめてこれらを接合させ、基材上に微粒子の構成材料からなる膜状構造物をダイレクトに形成させる方法である。この方法によれば、特に加熱手段などを必要とせず、常温で膜状構造物が形成が可能であり、焼成体と同等以上の機械的強度を有する膜状構造物を得ることができる。また、微粒子を衝突させる条件や微粒子の形状、組成などを制御することにより、膜状構造物の密度や機械強度、電気特性などを多様に変化させることが可能である。
【特許文献1】特許第3348154号公報
【特許文献2】特開2000−212766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアロゾルデポジション法により膜状構造物を形成する際には、エアロゾルに含まれる微粒子の濃度を制御することが重要である。例えば、微粒子の濃度が変化すると、膜状構造物の膜厚が目的値からずれるという問題が生ずる。
また、大面積の基材上に膜状構造物を形成する場合、エアロゾルを噴出するノズルを基材に対向させつつ、これらを相対的に移動させることにより、ノズルよりも大面積の膜状構造物を形成する必要がある。この場合に、ノズルから噴出されるエアロゾルの微粒子濃度が変動すると、基材上に形成される膜状構造物の膜厚が不均一になってしまう。
【0004】
また、特にエアロゾルの濃度に突発的(極端)な変動がある場合では、膜状構造物の内部に欠陥が導入されたり、表面粗さが大きくなるなど、膜質が不均一となるといった不具合も生ずることがある。従って、長時間に亘る安定性のみならず、短い時間間隔においてもエアロゾル中の微粒子の濃度を安定させることが望ましい。
【0005】
実際にエアロゾルデポジションを実施すると、例えば、湿度や化学的な安定性などの点で粉体(微粒子)の状態が経時的に変化したり、あるいは粉体の充填残量に応じてエアロゾルの供給能力が変動するなど様々な要因により、エアロゾルの濃度が短期的あるいは長期的に変動することもある。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、エアロゾルの微粒子濃度を安定させることができる複合構造物形成システム及び形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材に衝突させて前記微粒子の構成材料からなる構造物と前記基材との複合構造物を形成する複合構造物形成システムであって、
前記微粒子を収容する収容機構と、
前記微粒子をガス中に分散させてエアロゾルを形成するエアロゾル化機構と、
前記収容機構から前記エアロゾル化機構に前記微粒子を供給する供給機構と、
前記エアロゾル化機構に前記ガスを供給するガス供給機構と、
前記エアロゾルを前記基材に向けて噴射する吐出口と、
前記エアロゾル中の前記微粒子の濃度を定量化する定量化機構と、
を備えたことを特徴とする複合構造物形成システムが提供される。
【0008】
上記構成によれば、定量化機構を設けることにより、エアロゾルに含有される微粒子の濃度を安定させることができる複合構造物形成システムを提供することができる。
【0009】
ここで、「定量化機構」とは、単位時間あたりに供給されるエアロゾル中の微粒子の濃度を調節し、所定の濃度を継続維持させる働きをする機構である。定量性を決定するための単位時間は、要求される構造物の精度によって適宜設定することができ、数10秒オーダー以下(10〜50秒以下)の単位時間で定量性を維持するものであってもよく、より好ましくは、数秒オーダー(1〜5秒以下)程度の単位時間で定量性を維持するものであってもよい。
【0010】
ここで、前記ガス供給機構は、加圧されたガスを供給するものとすれば、エアロゾル化機構におけるエアロゾルの生成を確実且つ容易に実施でき、さらに吐出口から噴射させるエアロゾルの流速も高くすることにより高速で基材に衝突させて構造物を確実に形成することができる。
【0011】
また、前記吐出口と前記基材とを収容する構造物作製室と、前記構造物作製室の内部空間を大気圧よりも減圧状態に維持可能とした排気手段と、をさらに備えたものとすれば、吐出口の上流側と構造物作製室との間に使用ずる差圧によりエアロゾルを加速させ高速で基材に衝突させることにより構造物を確実に形成することができる。また、余剰の微粒子を構造物作製室内に閉じこめて回収することも可能となり、周囲への飛散などの問題を解消できる。
【0012】
また、前記エアロゾルに含有される前記微粒子の濃度を検知する計量機構をさらに備えたものとすれば、エアロゾルの濃度を検知しその結果に基づき各種の制御が可能となる。
【0013】
例えば、前記計量機構により検知された情報に基づき前記定量化機構を制御するものとすれば、エアロゾルの濃度を所定値に維持でき、膜厚や膜質を均一化することができる。
【0014】
またここで、前記計量機構は、前記エアロゾル化機構または前記エアロゾル化機構と前記定量化機構との間に設けられたものすれば、いわゆるフィードフォワード制御が可能となり、膜厚や膜質の均一性が高くなる。
【0015】
また、前記定量化機構は、前記エアロゾルを通過させる流路の抵抗を変化させる流路抵抗可変手段を有するものとすれば、エアロゾルの流路の抵抗を変化させることにより、エアロゾルの濃度の定量化を確実且つ容易に実施できる。
【0016】
ここで、前記計量機構により検知された情報に基づき前記流路抵抗可変手段を制御するものとすれば、エアロゾルの濃度を確実且つ容易に所定値に維持することができる。
また、前記定量化機構は、前記流路抵抗可変手段の下流側において希釈用ガスを添加するガス導入口をさらに有するものとすれば、エアロゾルの定量化を確実且つ容易に実施できる。
ここで、前記計量機構により検知された情報に基づき前記ガス導入口から添加される前記希釈用ガスの量を制御するものとすれば、エアロゾルの濃度を確実且つ容易に所定値に維持することができる。
また、前記定量化機構は、前記流路抵抗可変手段の上流側において、前記エアロゾルの少なくとも一部を前記流路抵抗可変手段の前記流路とは異なる流路に排出させる排出口をさらに有するものとすれば、エアロゾルの定量化を確実且つ容易に実施できる。
ここで、前記計量機構により検知された情報に基づき前記排出口から排出される前記エアロゾルの量を制御するものとすれば、エアロゾルの濃度を確実且つ容易に所定値に維持することができる。
また、前記エアロゾルに含まれる前記微粒子を解砕する解砕機構をさらに備えたものすれば、エアロゾル中に含まれる凝集粒や粗大粒などを解砕して粒径を揃えることが可能となる。
【0017】
また、前記エアロゾルに含まれる前記微粒子の粒度を選別する分級機構をさらに備えたものとすれば、より均一な粒子を含むエアロゾルが得られ膜厚や膜質の均一性をさらに高めた構造物を形成できる。
また、前記エアロゾルの流束を加速させる加速機構と、前記エアロゾルの流束を均一化させる整流機構の少なくともいずれかをさらに備えたものとすれば、均一やエアロゾルのビームを形成し、またエアロゾルを高速で基材に衝突させることができる。
【0018】
また、前記吐出口と前記基材との相対的な位置関係を変化させる走査機構をさらに備えたものとすれば、大面積にわたり均一な構造物を形成することが可能となる。
【0019】
一方、本発明の他の一態様によれば、
微粒子をガス中に分散させてエアロゾルを形成する工程と、
前記エアロゾル中の前記微粒子の濃度を定量化する工程と、
前記定量化された前記エアロゾルを基材に向けて噴射することにより前記微粒子の構成材料からなる構造物と前記基材との複合構造物を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする複合構造物形成方法が提供される。
【0020】
上記構成によれば、定量化機構を設けることにより、エアロゾルに含有される微粒子の濃度を安定させることができる複合構造物形成方法を提供することができる。
【0021】
なお、本願明細書において「微粒子」とは、緻密質粒子である場合は、粒度分布測定や走査型電子顕微鏡などにより同定される平均粒径が50マイクロメータ以下のものをいう。
【0022】
また、本願明細書において「エアロゾル」とは、ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらを含む混合ガスなどのガス中に前述の微粒子を分散させたものであり、これら微粒子が単独でガス中に分散している状態と、これら微粒子が凝集した凝集粒がガス中に分散した状態を含む。エアロゾルのガス圧力と温度は任意であるが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を摂氏20度に換算した場合に、吐出口から噴射される時点において0.0003mL/L〜0.06mL/Lの範囲内であることが構造物の形成にとって望ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、定量化機構を設けることにより、吐出口から噴射されるエアロゾル中の微粒子の濃度を制御し、基材上に形成される膜状構造物の膜厚や膜質を確実に制御できる。この場合、エアロゾル中の微粒子濃度を終始一定に維持することにより、膜状構造物の堆積速度を一定にして正確な厚みの膜状構造物を形成できる。
【0024】
また、本発明によれば、定量化機構により定量すると、大面積に亘り、均一な膜状構造物を形成することができる。すなわち、吐出口と基材とを相対的に走査させて大面積の基材の表面に膜状構造物を堆積する場合でも、エアロゾル中の微粒子濃度を一定に維持すれば、大面積に亘り膜厚や膜質を均一にできる。
【0025】
またさらに、本発明によれば、定量化機構により定量する過程において余剰となった微粒子を収容機構に戻すことも可能となる。この場合、微粒子(粉体)の利用効率を上げて、長時間に亘る連続的な成膜が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる複合構造物の形成システムの全体構成を例示する模式図である。すなわち、同図は、エアロゾルデポジション装置の構成を例示する概念図である。
【0027】
本具体例のエアロゾルデポジション装置は、収容機構1と、供給機構2と、ガス供給機構3と、エアロゾル化機構4と、定量化機構5と、吐出口6と、を有する。収容機構1には、エアロゾルを形成するための粉体が収容される。供給機構2は、収容機構1に収容された粉体を、後段のエアロゾル化機構4に供給する。エアロゾル化機構4には、ガス供給機構3が接続されている。また、エアロゾル化機構4の後段には、エアロゾルの微粒子濃度を制御する定量化機構5が設けられている。後に詳述するように、定量化機構5には、希釈用ガスの導入管508やエアロゾル排出用の1次排出管512などを適宜設けることができる。定量化機構5の後段には吐出口6が接続され、定量化機構5により定量化されたエアロゾルが、基材7に向けて噴射される。
【0028】
収容機構1には、予め乾燥・粉砕処理された例えば酸化アルミニウム粉末などの粉体が充填されており、供給機構2の回転動作などによってエアロゾル化機構4へと微量ずつ供給される。エアロゾル化機構4にはガス供給機構3によってヘリウムなどのガスが導入され、供給された粉体はここでエアロゾル化される。生成されたエアロゾルはガスの流れに乗って定量化機構5へと搬送され、例えば、導入管508から希釈用ガスを添加することにより、エアロゾルの濃度が調節される。また、後に詳述するように、例えば、定量化機構5にはある程度過剰にエアロゾルを供給し、その一部を1次排出管512から排出させながら微粒子の濃度を調節するようにしてもよい。定量化機構5によって定量化されたエアロゾルは、吐出口6から基材7に向けて噴射され、基材7上に原料微粒子からなる膜状構造物が形成される。すなわち、基材7とその上に形成された膜状構造物と、からなる複合構造物が形成される。この時、ガス供給機構3から加圧ガスを供給すると、ガス流によりエアロゾルが形成されやすく、また基材7に向けて十分な速度でエアロゾルを噴射させることができる。
【0029】
エアロゾルデポジションのプロセスは、通常は常温で実施され、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち摂氏数100度以下で膜状構造物の形成が可能であるところにひとつの特徴がある。
【0030】
また、収容機構1に収容される粉体を構成する微粒子は、セラミックスや半導体などの脆性材料を主体とし、同一材質の微粒子を単独であるいは粒径の異なる微粒子を混合させて用いることができるほか、異種の脆性材料微粒子を混合させたり、複合させて用いることが可能である。また、金属材料や有機物材料などの微粒子を脆性材料微粒子に混合したり、脆性材料微粒子の表面にコーティングさせて用いることも可能である。これらの場合でも、膜状構造物形成の主となるものは、脆性材料である。
【0031】
この手法によって形成される複合構造物において、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、複合構造物の膜状構造物の部分は、その結晶粒子サイズが原料微粒子のそれに比べて小さい多結晶体であり、その結晶は実質的に結晶配向性がない場合が多い。また、脆性材料結晶同士の界面には、ガラス層からなる粒界層が実質的に存在しない。また多くの場合、複合構造物の膜状構造物部分は、基材7の表面に食い込む「アンカー層」を形成する。このアンカー層が形成されている膜状構造物は、基材7に対して極めて高い強度で強固に付着して形成される。
【0032】
エアロゾルデポジション法により形成される膜状構造物は、微粒子同士が圧力によりパッキングされ物理的な付着で形態を保っている状態のいわゆる「圧粉体」とは明らかに異なり、十分な強度を保有している。
【0033】
エアロゾルデポジション法において、飛来してきた脆性材料微粒子が基材7の上で破砕・変形を起していることは、原料として用いる脆性材料微粒子と、形成された脆性材料構造物の結晶子サイズとをX線回折法などで測定することにより確認できる。すなわち、エアロゾルデポジション法で形成された膜状構造物の結晶子サイズは、原料微粒子の結晶子サイズよりも小さい。微粒子が破砕や変形をすることで形成される「ずれ面」や「破面」には、もともとの微粒子の内部に存在し別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となった「新生面」が形成される。表面エネルギーが高く活性なこの新生面が、隣接した脆性材料微粒子の表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基材7の表面と接合することにより膜状構造物が形成されるものと考えられる。
【0034】
また、エアロゾル中の微粒子の表面に水酸基がほどよく存在する場合は、微粒子の衝突時に微粒子同士や微粒子と構造物との間に生じる局部のずれ応力などにより、メカノケミカルな酸塩基脱水反応が起き、これら同士が接合するということも考えられる。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、これらの現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆性材料からなる膜状構造物が成長するものと考えられる。
【0035】
そして、本実施形態によれば、定量化機構5を設けることにより、吐出口6から噴射されるエアロゾル中の微粒子の濃度を制御し、基材7上に形成される膜状構造物の膜厚や膜質を確実に制御できる。この場合、エアロゾル中の微粒子濃度を終始一定に維持することにより、膜状構造物の堆積速度を一定にして正確な厚みの膜状構造物を形成できる。また、膜質も均質にできる。
【0036】
またさらに、図2に矢印Rで例示した如く、定量化機構5により定量する過程において余剰となった微粒子を1次排出管512を介して取り出して収容機構1に戻すことも可能となる。このようにすれば、微粒子(粉体)の利用効率を上げて、長時間に亘る連続的な成膜が可能となる。
本発明において設ける定量化機構5をはじめとする各要素の構造の詳細については、後に具体例を参照しつつ説明する。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第2の具体例を表す模式図である。図3以降の図面に関しては、前出の図面に表したものと同様の要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本具体例においては、構造物作製室8が設けられ、吐出口6の少なくとも先端部と基材7とが、構造物作製室8の中に配置されている。構造物作製室8の内部空間は、排気機構9によって減圧状態が維持可能とされている。排気機構9としては、例えば、ロータリーポンプなどを用いることができ、構造物作製室8の内部を大気圧よりも低い減圧雰囲気に維持できる。
【0038】
定量化機構5によって定量化されたエアロゾルは、吐出口6から基材7に向けて噴射され、基材7上には原料微粒子からなる膜状構造物が形成される。この時、構造物作製室8内が負圧環境にあるために、エアロゾルは圧力差により加速されて基材7に衝突する。その結果として、強固な膜状構造物を形成することができる。また、構造物作製室8を減圧状態に維持することにより、エアロゾルが基材7に衝突して形成される「新生面」がより長い時間、活性状態を維持でき、膜状構造物の緻密性や強度を上げることが可能となる。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第3の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、エアロゾル化機構4から搬送管10を介して定量化機構5へエアロゾルが搬出される。また、定量化機構5の先には加速機構11が設けられ、さらにその先には整流機構12を介して吐出口6が設けられている。
加速機構11においては、流路径に差を設けることにより得られるジェット気流や圧縮効果などを利用して、エアロゾルの流速が加速される。また、整流機構12においては、エアロゾルを等方拡散させたり、撹拌させることにより、微粒子濃度を均一にすることができる。すなわち、均一な濃度のエアロゾルのビームを得ることができる。これら要素のうちで、少なくとも吐出口6は、構造物作製室8の内側に配置されている。
【0040】
また、構造物作製室8の中には、支持走査機構13に支持された基材7が配置される。支持走査機構13は、基材7を支持し、吐出口6に対する基材7の相対的な位置関係をXYZθ方向の少なくともいずれかに適宜相対変位させる役割を有する。すなわち、支持走査機構13により基材7を適宜走査しつつエアロゾルを吹き付けることにより、吐出口6から噴射されるエアロゾルのビームサイズよりも大面積の基材7の表面に膜状構造物を堆積できる。そして、定量化機構5でエアロゾルの濃度を定量することにより、大面積に亘り均一な膜状構造物を形成することができる。すなわち、吐出口6と基材7とを相対的に走査させて大面積の基材7の表面に膜状構造物を堆積する場合において、エアロゾル中の微粒子濃度を一定に維持すれば、大面積に亘り膜厚や膜質を均一にできる。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第4の具体例を表す模式図である。
【0042】
本具体例においては、吐出口6が支持走査機構17により支持され、XYZθの少なくともいずれかの方向に移動可能とされている。すなわち、基材7に対して吐出口6を相対的に変位させつつエアロゾルを噴射させることにより、基材7上に大面積に亘り均一な膜状構造物を形成できる。なおこの場合、例えば、定量化機構5と加速機構11との間に、変形可能な配管18を設けることにより、支持走査機構17による吐出口6の変位を吸収させることができる。つまり、定量化機構5や構造物作製室8などを静止させた状態のままで、吐出口6を支持走査機構17により移動させることができる。変形可能な配管18としては、例えば、ゴムなどの弾性材料からなる配管や、ベローズ(じゃばら)などの配管を用いることができる。
【0043】
図6は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第5の具体例を表す模式図である。
本具体例においても、定量化機構5により定量化されたエアロゾルは、加速機構11、整流機構12を介して吐出口6から基材7に向けて噴射される。基材7は、支持走査機構13の上に支持され、XYZθ方向の少なくともいずれかに適宜変位させながら膜状構造物を形成できる。
さらに、本具体例においては、吐出口6と基材7との間に、エアロゾルの濃度を計量する計量機構14が配置されている。計量機構14は、吐出口6から噴射されるエアロゾルに含まれる微粒子の濃度を検知する。
構造物作製室8内に計量機構14を設けることにより吐出後のエアロゾルの濃度の揺らぎや経時変化に関する情報を検知して、定量化機構5にフィードバックすることで、エアロゾルの濃度や噴出速度などの安定化を図ることができる。その結果として、均一な膜厚で均一な膜質の膜状構造物を形成できる。なお、計量機構14を構造物作製室8の内部に設ける代わりに、例えば、定量化機構5と加速機構11との間に設けても、同様のフィードバック制御が可能である。
【0044】
図7は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第6の具体例を表す模式図である。
【0045】
本具体例においては、エアロゾル化機構4の内部にエアロゾルの濃度を計量する計量機構14が設けられている。すなわち、定量化機構5に導入される前のエアロゾルの濃度を検知して、その結果を定量化機構5へとフィードフォワードし濃度を調節することによって、基材7に対して安定した濃度のエアロゾルを供給することができる。なお、計量機構14をエアロゾル化機構4の内部に設ける代わりに、例えば、搬送管10に設けても、同様のフィードフォワード制御が可能である。
【0046】
図8は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第7の具体例を表す模式図である。
【0047】
本具体例においては、エアロゾル化機構4の後段に解砕機構15及び分級機構16が設けられ、搬送管10を介して定量化機構5が配置されている。解砕機構15は、エアロゾルに含まれる粗大粒や微粒子の凝集体などを破壊し、粒子サイズを小さくする役割を有する。一方、分級機構16は、エアロゾルに含まれる微粒子のうちで所定の範囲の粒径のもののみを選別する役割を有する。
エアロゾル化機構4において生成されたエアロゾルは、解砕機構15に導入され、エアロゾル中に含まれる凝集粒などは解砕機構15によって解砕される。そして、一部の解砕不十分な粗大粒子などは分級機構16によって取り除かれ、より均一な粒子を含むエアロゾルのみが後工程である定量化機構5へと搬送される。
【0048】
本具体例によれば、解砕機構15と分級機構16とを設けることにより微粒子径が所定の範囲内に調整されたエアロゾルを基材7に噴射することができ、膜厚や膜質の均一性をさらに高めた膜状構造物を形成できる。
また、本具体例においては、計量機構14を構造物作製室8内に設け、定量化機構5をフィードバック制御することにより、吐出口6から噴射されるエアロゾルの流量や濃度をさらに精密に制御できる。
【0049】
図9は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第8の具体例を表す模式図である。
【0050】
本具体例においても、解砕機構15と分級機構16とが設けられ、微粒子径が所定の範囲内に調整されたエアロゾルを基材7に噴射することができる。
また、計量機構14が構造物作製室8内に設けられ、吐出口6から噴射されたエアロゾルの濃度を計量機構14により計測して定量化機構5にフィードバックすることができる。
【0051】
図10は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第9の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、複数のエアロゾル発生ユニットASGが並列に設けられ、それぞれから定量化機構5にエアロゾルが供給される。これらエアロゾル発生ユニットASGのそれぞれは、図1乃至図9に関して前述したように、収容機構1と、供給機構2と、ガス供給機構3と、エアロゾル化機構4と、が設けられている。それぞれのエアロゾル発生ユニットASGは、異種材料のエアロゾルを発生するようにしてもよく、同種材料のエアロゾルを発生するようにしてもよい。異種材料のエアロゾルを発生するようにした場合には、これらを混合することにより、複数の材料からなるエアロゾルを生成し、これを基材7に噴射することにより、膜状構造物の組成を制御できる。
【0052】
また、複数のエアロゾル発生ユニットASGが同種材料のエアロゾルを発生するようにした場合は、収容機構1に粉体を充填することなく長時間に亘ってエアロゾルを供給できる。この場合、複数のエアロゾル発生ユニットASGのそれぞれから同時にエアロゾルを供給するようにしてもよく、順次切り替えてエアロゾルを供給するようにしてもよい。
【0053】
また、本具体例においても、定量化機構5を設けることにより、エアロゾル中の微粒子の濃度を制御し、基材7上に形成される膜状構造物の膜厚や膜質を確実に制御できる。なお、本具体例においても、図6に関して前述したように、計量機構14を構造物作製室8の中に設け、吐出口6から噴射されるエアロゾルの濃度を計測して定量化機構5にフィードバックするようにしてもよい。
【0054】
図11は、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第10の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、複数のエアロゾル発生ユニットASGが並列に設けられ、それぞれに定量化機構5が設けられている。すなわち、エアロゾル発生ユニットASGのそれぞれについて定量が可能とされている。このようにすれば、例えば、複数の材料微粒子からなるエアロゾルを混合して所定の組成の膜状構造物を形成する場合に、エアロゾルの混合比を高い精度で制御できる。その結果として、膜状構造物の組成を精密に制御できる。
【0055】
なお、本具体例においても、図7に関して前述したように、エアロゾル発生ユニットASGに設けられたエアロゾル化機構4に計量機構14を設けてもよい。このようにすれば、エアロゾル発生ユニットASGにおけるエアロゾルの濃度を計測して定量化機構にフィードフォワードできるので、より精密な制御が可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の全体構成について10個の具体例を挙げて説明した。以下、これらエアロゾルデポジション装置を構成する各要素について具体例を挙げて説明する。
図12は、エアロゾル発生ユニットASGの構造を例示する模式図である。すなわち、エアロゾル発生ユニットASGは、収容機構1、供給機構2、ガス供給機構3、エアロゾル化機構4などからなる。収容機構1の内部には、例えば酸化アルミニウムなどの微粒子の粉体が収容されている。収容機構1に隣接するエアロゾル化機構4には、ガス供給機構3が接続され、ヘリウムなどのガスが導入される。収容機構1とエアロゾル化機構4とは、例えば回転体201を介して隔てられている。回転体201上には、例えば、図示しないV字溝が一条あるいは複数条形成されている。そして、収容機構1に収容されている粉体は、その自重でこのV溝に充填され、回転体201が回転することで隣室のエアロゾル化機構4へと供給されるようにすることができる。供給された粉体は、ガス供給機構3により噴射されたガスによって舞い上がり、エアロゾルが生成される。このようにして生成されたエアロゾルは、搬送管10を介して搬出されて後工程へと導出される。なお、エアロゾル発生ユニットASGを構成する各要素のさらに具体的な構造については、後に具体例を参照しつつ詳述する。
【0057】
次に、本発明のエアロゾルデポジション装置に設けることができる定量化機構5について説明する。
【0058】
図13は、定量化機構5の構造を例示する模式図である。
すなわち、定量化機構5は、定量化室502の中に可変絞り機構504を設けた構造とすることができる。可変絞り504は、エアロゾルを通過させる流路の抵抗を変化させる流路抵抗可変手段として作用する。可変絞り機構504の1次側には、搬入管506が接続され、エアロゾル発生ユニットASGからエアロゾルが供給される。また、可変絞り機構504の2次側には、ガス導入管508が接続され、ガス供給機構3から希釈用のガスが供給される。また、可変絞り機構504の2次側には、排出管510が接続され、定量されたエアロゾルが構造物作製室8に向けて供給される。
【0059】
図14は、可変絞り機構504の平面構造を例示する模式図である。
すなわち、可変絞り機構504は、相対的な配置関係が可変とされた複数の絞り板504Sを有する。そして、これら絞り板504Sにより形成される開口504Aのサイズが可変とされている。なお、絞り板504Sの形状やサイズ、数、配置関係などは図14に例示したものに限定されず、その他各種の変型例を同様に用いることができる。要は、エアロゾルが通過する開口504Aのサイズあるいはコンダクタンスが可変とされていればよい。
【0060】
本発明によれば、このような可変絞り機構504を設けた定量化機構5を採用することにより、エアロゾルの濃度を所定の範囲に制御し、高い精度及び再現性で基材の表面に膜状構造物を形成することができる。
【0061】
図15及び図16は、定量化機構5を用いた制御の方法を例示する模式図である。
すなわち、排出管510から排出されたエアロゾルの濃度や流量は、計量機構14により計測できる。この計測の結果に基づき、エアロゾル発生ユニットASG、可変絞り機構504、希釈用のガス供給機構3の少なくともいずれかを適宜制御することにより、エアロゾルの濃度を所定の範囲に制御できる。このように、計量機構14によるフィードバック制御を可能とすれば、エアロゾル発生ユニットASGの定量性が悪くても、濃度や流量が制御されたエアロゾルを得ることができる。
【0062】
より詳細に説明すると、本具体例の定量化機構5の場合、排出管510から出力されるエアロゾルの流量は、搬入管506から供給されるエアロゾルの流量と、ガス導入管508から導入される希釈用のガスの流量と、の和である。従って、主に、エアロゾル発生ユニットASGから搬入管506に供給するエアロゾルの流量と、ガス供給機構3からガス導入管508に導入する希釈用ガスの流量と、を制御することにより、エアロゾルの流量と濃度が決定されることとなる。従って、図15に例示した如く、後段に設けた計量機構14の計測値に基づき、これら搬入管506に供給するエアロゾルの流量と、ガス導入管508に導入するガスの流量とをフィードバック制御することができる。
【0063】
ただしこの場合に、エアロゾル発生ユニットASGから搬入管506に供給するエアロゾルの流量を制御する代わりに、図16に例示した如く、可変絞り504を制御することによっても、後段に供給されるエアロゾルの濃度を制御することが可能である。例えば、エアロゾル発生ユニットASGの出力流量を一定とする代わりに、圧力を一定とした条件で運転させた場合、可変絞り機構504を制御することにより、エアロゾルの流路の圧力損失が変化するので供給流量を変えることができる。つまり、ガス導入管508から導入される希釈用ガスとの混合バランスを制御することができ、エアロゾルの濃度を調節できる。
【0064】
次に、定量化機構5の第2の具体例について説明する。
図17は、定量化機構5の第2の具体例を表す模式図である。
本具体例においても、定量化機構5は、定量化室502の中に可変絞り機構504が設けられた構造を有する。ただし、可変絞り機構504の1次側には、搬入管506とともに、1次排出管512が接続され、可変絞り機構504の1次側からエアロゾルを排出可能とされている。
【0065】
この場合、排出管510から出力されるエアロゾルの流量は、搬入管506から供給されるエアロゾルの流量と、ガス導入管508から導入される希釈用ガスの流量と、の和から、1次排出管512からのエアロゾルの流出量を差し引いた値となる。従って、主に、エアロゾル発生ユニットASGから搬入管506に供給するエアロゾルの流量と、ガス供給機構3からガス導入管508に導入するガスの流量と、1次排出管512からの流出量と、を適宜制御することにより、エアロゾルの流量と濃度が決定されることとなる。
このような1次排出管512を設けると、以下に説明するように、エアロゾルの定量制御の自由度が広がる。
【0066】
図18乃至図20は、本具体例の定量化機構5を用いた場合の制御の方法を例示する模式図である。
まず、定量化機構5の後段に設けた計量機構14による計測値に基づき、図18に例示した如く、搬入管506に供給するエアロゾルの流量と、ガス導入管508に導入する希釈用ガスの流量とをフィードバック制御することができる。例えば、計量機構14における濃度の計測値が低い時には、ガス導入管508から導入する希釈用ガスに対して搬入管506から供給するエアロゾルのバランスを高くすればよい。
次に、図19に例示した如く、可変絞り機構504と、ガス導入管508に導入する希釈用ガスの流量と、をフィードバック制御してもよい。例えば、計量機構14における濃度の計測値が低い時には、可変絞り機構504の開口を拡げることにより、ガス導入管508から導入する希釈用ガスに対して搬入管506から供給するエアロゾルのバランスを高くすればよい。この制御モードは、図16に関して前述したように、エアロゾル発生ユニットASGを圧力一定の条件で運転させた場合などに適用可能である。
【0067】
またさらに、図20に例示した如く、1次排出管512からの流出量と、ガス導入管508に導入する希釈用ガスの流量と、をフィードバック制御してもよい。例えば、計量機構14における濃度の計測値が低い時には、ガス導入管508から導入する希釈用ガスの導入量と、1次排出管512から流出するエアロゾルの流出量と、の少なくともいずれかを下げればよい。この制御モードは、エアロゾル発生ユニットASGを流量一定あるいは圧力一定のいずれの条件で運転させた場合にも適用できる。
【0068】
以上説明したように、本発明によれば、定量化機構5を設けることにより、エアロゾルの濃度を精密に制御でき、基材7の上に形成する膜状構造物の厚みや膜質を精密に制御することが可能となる。
【0069】
以上、本発明の定量化機構5を用いた制御の方法について説明した。
次に、本発明の定量化機構5の他の具体例について説明する。
図21は、定量化機構5の第3の具体例を表す模式図である。
すなわち、本具体例においては、可変絞り機構504の1次側に、複数の搬入管506が接続されている。これは例えば、図10に関して前述したように複数のエアロゾル発生ユニットASGを並列に接続する場合に好適な具体例である。
この場合、図22にも例示したように、複数のエアロゾル発生ユニットASGから供給されるエアロゾルを定量し、ひとつの吐出口6から噴射させることができる。
【0070】
図23は、定量化機構の第4の具体例を表す模式図である。
すなわち、本具体例においても、可変絞り機構504の1次側に、複数の搬入管506が接続されている。そして、本具体例においては、可変絞り機構504の2次側にも、複数の排出管510が接続されている。これは、例えば、図24に例示した如く複数の吐出口6を設けた装置に用いて好適な具体例である。
図25は、定量化機構の第5の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、可変絞り機構504の1次側に、計量機構が設けられている。後に詳述するように、本発明において設ける計量機構は、例えば、レーザ1402と、その光をモニタする受光器1404などにより構成されている。例えば、エアロゾルにレーザ1402からの光を照射し、その透過光量あるいは反射光量をモニタすることにより、エアロゾルの濃度を計量できる。その結果に基づき、例えば可変絞り機構504の開口を制御できる。
本具体例の場合、制御する可変絞り機構504の1次側に計量機構を設けているので、いわゆるフィードフォワード制御が可能である。つまり、可変絞り機構504の一次側でエアロゾルの濃度を計測し、その計測値に基づいて、所定の濃度が得られるように可変絞り機構504の開口の開度を制御することができる。
【0071】
図26は、定量化機構の第6の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、可変絞り機構504の2次側に、計量機構として、レーザ1402と、その光をモニタする受光器1404などが設けられている。このように、可変絞り機構504の2次側においてエアロゾルの濃度を計量してもよい。この場合、この計量の結果に基づき、可変絞り機構504をフィードバック制御することが可能となる。つまり、可変絞り機構504の2次側でエアロゾルの濃度を計測し、その計測値が所定の値になるように可変絞り機構504の開口の開度を制御することができる。
【0072】
以上、本発明において用いることができる定量化機構5について説明した。
【0073】
次に、本発明のエアロゾルデポジション装置を構成する他の要素について詳述する。
まず、エアロゾル発生ユニットASGについて説明する。
図27は、エアロゾル発生ユニットASGの具体的な構造を例示する模式図である。
本具体例においては、供給機構2としての役割を有する回転テーブル201の上に、収容機構1を構成する収容室101と、エアロゾル化機構4を構成するエアロゾル化室401とが設けられている。収容室101の中には粉体30が収容され、その内部空間は、排気ポンプなどによって適宜減圧状態とされている。回転テーブル201の水平な上面には円環状の溝203が形成され、収容室101とエアロゾル化室401とを結ぶ循環式の搬送コンベアとして作用する。すなわち、収容室101内の粉体30は、粉体30の自重や機械的動作、例えば特開平5−239627のように攪拌体を使用したり、収容室101に振動を与えるなどの手段を利用して、回転テーブル201上に設けられた溝203の中へと供給される。
そして溝203内の粉体30は、回転テーブル201の回転によってエアロゾル化室401に送られ、ここでエアロゾルが生成される。溝203の大きさを変更したり駆動手段にて回転速度を変更したりすることによって、粉体輸送量を調節することが可能である。
【0074】
図28は、本具体例におけるエアロゾル化機構の構造を例示する一部断面図である。
また、図29は、図28のA−A線断面図である。
【0075】
本具体例のエアロゾル化室401は、ジョイント405を介してガス供給機構3と接続され、ガス供給機構3から供給される搬送ガスを溝203内に落とし込まれた粉体30へ吹き付けるためのガス導入口403と、溝203内で押し込められた粉体30を解して掻き出すための粉体解砕ピン402と、エアロゾル導出口404を備えている。このエアロゾル導出口404は、ジョイント406から構造物作製室8を経由して排気機構9と接続され、排気機構9及び搬送ガスが排出されるときに発生する吸引力によってエアロゾル化した粉体30を吸い出す。粉体解砕ピン402の径は、図29に表したように溝203の幅よりも小さく、粉体解砕ピン402と溝203の側面との間には隙間が形成されるようにしてもよい。この隙間を介してガス導入口403からの空気がエアロゾル導出口404方向へと流れる。
粉体解砕ピン402は、溝203と同等の形状のものを使用して溝203内に固着した粉体30をすべて掻き出すようにしてもよい。また、粉体解砕ピン402自体を可動式にして掻き出し効果を高めることができる。例えば、粉体解砕ピン402を圧電素子に取り付けて電圧を与えて振動させると効率よく掻き出しできる。また、粉体解砕ピン402をエアロゾル化室401本体に固定するのではなく可動式にして、粉体解砕ピン402にモータや錘やバネなどを付け、常に溝203の底面に粉体解砕ピン402の先端が必ず接触するようにすると、粉体30を溝203に残すことなく解し掻き出すことが可能となる。
【0076】
また、図28に表した具体例の場合には、粉体30の移動方向に対して、一番目にエアロゾル導出口404が配置され、次に粉体解砕ピン402が配置され、最後にガス導入口403を配置されているが、これらの配置の順番は本具体例に限定されない。例えば、ガス導入口403をエアロゾル導出口404よりも上流側に配置した場合には、固着した粉体がエアロゾル導出口404に入り込むおそれがないが、多少の粉体がエアロゾル導出口404よりも下流側に流れ、逆に図示のようにガス導入口403をエアロゾル導出口404よりも下流側に配置した場合には、若干の固着した粉体がエアロゾル導出口404に入り込むおそれがあるが、粉体がエアロゾル導出口404よりも下流側に流れてしまう無駄がない。
図30は、エアロゾル発生ユニットASGのさらに他の具体例を表す模式図である。
本具体例においては、収容室101の下部に供給機構としての供給管210が接続され、鉛直下方に設けられたエアロゾル化室401に連結されている。また、供給管210の取り付け部の近傍に振動発生手段212が設けられ、粉体30の重力による供給管210への落下排出を促進可能としている。
【0077】
エアロゾル化室401には、ガス供給機構3からガスが供給され、このガス流に粉体30が混入することによりエアロゾルが生成される。生成されたエアロゾルは、搬送管10を介して構造物作製室8に供給される。また、エアロゾル化室401は、揺動機構412により振動あるいは揺動が加えられ、粉体30のエアロゾル化が促進可能とされている。なお、供給管210をゴムなどの弾性体あるいは軟質体により形成すれば、揺動機構412による振動あるいは揺動を収容室101に伝えないようにすることも可能である。
【0078】
図31及び図32は、エアロゾル発生ユニットASGのさらに他の具体例を表す模式図である。
これら具体例においては、収容室101の下方に回転式の搬送手段217が設けられている。この搬送手段217は、略らせん状あるいはスクリュー状の搬送部を有し、これが回転することによって収容室101に収容されている粉体30を供給管216を介してエアロゾル化室401に供給する。エアロゾル化室401には、ガス供給機構3からガスが供給され、粉体30がこのガス流に混合されることによりエアロゾルが生成される。
【0079】
なお、図31に例示した如く、搬送手段217により搬送された粉体30が、その下を流れるガス流に落下することによりエアロゾルが形成されるようにしてもよく、または、図32に例示した如く、搬送手段217により搬送された粉体30が、下から上に向けて吹き上がるガス流に乗ってエアロゾルが生成されるようにしてもよい。
【0080】
図33は、エアロゾル発生ユニットASGのさらに他の具体例を表す模式図である。
この具体例においては、収容室101の下方に搬送管218が設けられている。搬送管218は、エアロゾル化室401に接続され、ガス供給管416と合流する。この場合、エアロゾル化室401における搬送管218の開口径とガス供給管416の開口径のサイズおよびこれら開口の配置を適宜調整すると、搬送管218の開口において、ガス供給管416から噴出するジェット流が形成される。すなわち、搬送管218の開口がジェット流によりスクリーンされた状態となり、エアロゾル化室401と収容室101の圧力を実質的に遮断できる。つまり、構造物作製室8を減圧状態に維持したまま、収容室101を大気圧に開放して粉体30を補充できる。
【0081】
以上、本発明において用いることができるエアロゾル発生ユニットの構造について、具体例を挙げて説明した。
次に、本発明において用いることができる解砕機構15について説明する。
【0082】
図34は、解砕機構15の構造を例示する模式図である。
すなわち、解砕機構15は、エアロゾルを噴出するノズル1502と、その前方に設けられた衝撃板1504と、を有する。ノズル1502から噴出されたエアロゾルに含まれる粉体30は、衝撃板1504に衝突した時に、衝撃力を受ける。この衝撃力により、凝集した微粒子が分解したり、粗大な微粒子が破壊されて微細な微粒子に分裂する。本発明においては、特に、図32や図30に関して前述したように、粉体を圧粉体30Pに形成することがあり、このような場合に、微粒子の凝集体がエアロゾルに含まれることがある。このような場合に、解砕機構15を用いることが有効である。
【0083】
また、衝撃板1504を回転させ、その回転による衝突点の運動ベクトルが、エアロゾルの噴射の運動ベクトルと略対向するようにすると、微粒子に対する衝撃力を増加でき効果的である。
【0084】
図35は、解砕機構の第2の具体例を表す模式図である。
すなわち、エアロゾルの流路に、流路径の大きい箇所1506と小さい箇所1508とを交互に設ける。このようにすると、流路径の小さい箇所1508においてはガスが圧縮され、流路径の大きい箇所1506においてはガスが膨張する。このような圧縮と膨張とを繰り返すと、エアロゾルに含まれる微粒子あるいは粉体に剪断力が作用する。この剪断力により、凝集した微粒子が分解したり、粗大な微粒子が破壊されて微細な微粒子に分裂する。
【0085】
次に、分級機構16について説明する。
図36は、本発明において用いることができる分級機構の構造を例示する模式図である。
【0086】
すなわち、分級機構として、エアロゾルの流路にバッフル1602、1604を適宜配置することができる。同図において、下方は鉛直下方に対応する。鉛直下方からエアロゾルを供給すると、バッフル1602、1604により屈曲した流路が形成される。この時、質量が小さい微粒子は、屈曲した流路に沿って分級機構16を通過し、後段に供給される。ところが、質量が大きい微粒子の凝集体や粗大な粒子などは慣性力が強く働くために直進しやすく、バッフル1602、1604に衝突する確率が高くなる。これら粒子がバッフル1602、1604に衝突すると、運動エネルギーに損失が生じ、重力によって下方に落下したり、また、衝突の衝撃によって微細粒子に分解あるいは分裂する。下方に落下した粒子は分級機構16を通過することなく、また、分解あるいは分裂した微細な微粒子はエアロゾルの流れに乗って分級機構16を通過し、後段に供給される。
【0087】
すなわち、このようなバッフル1602、1604を設けることにより、微粒子の凝集体や粗大な粒子などを分離して微細な粒子のみを取り出すことができる。また、バッフル1602、1604の位置をそれぞれ制御することで分級精度も調整することができる。
【0088】
次に、加速機構11について説明する。
図37及び図38は、加速機構の構造を例示する模式図である。
すなわち、加速機構11としては、図37に表したように、流路径の狭い部分1102と、流路径の広い部分1104とを設けることにより形成されるジェット気流を利用することができる。
【0089】
また、図38に表したように、流路1106を徐々に狭めることにより得られる圧縮効果を利用してもよい。
【0090】
次に、整流機構12について説明する。
図39及び図40は、整流機構の構造を例示する模式図である。
すなわち、整流機構12としては、図36に表したように、流路1202の径を徐々に広げることによるエアロゾルの等方拡散効果を利用することができる。
【0091】
また、図40に表したように、流路に障害物1204を適宜設けることによりエアロゾルを撹拌し、均一な流れを得ることもできる。
【0092】
次に、計量機構14について説明する。
図41は、本発明において用いることができる計量機構を例示する模式図である。
図25及び図26に関して前述したように、本発明において設ける計量機構14は、例えば、レーザ1402と、その光をモニタする受光器1404などにより構成できる。例えば、エアロゾルにレーザ1402からの光を照射し、その透過量をモニタすることにより、エアロゾルの濃度を計量できる。
【0093】
また、図42に例示した如く、レーザなどの投光手段1402からエアロゾルに光を照射し、その反射光をCCDなどの受光器1404によりモニタしてもよい。
【0094】
また、図43に表したように、センサ1406を設け、ここに到達するエアロゾルの微粒子濃度を機械的あるいは電気的に計量してもよい。例えば、センサ1406として高感度の圧電素子を用い、エアロゾルが衝突する際の衝撃力を計量することによりその濃度を計量可能である。また、センサ1406として、水晶振動子を用い、その表面に堆積した膜状構造物の重量による振動数の変動に基づいてエアロゾルの濃度を計量することも可能である。
【0095】
またさらに、図44に例示した如く、所定の体積のエアロゾルをサンプリングし、その重量を重量測定手段1408よりモニタすることによっても、エアロゾルの濃度を計量可能である。
【0096】
次に、支持走査機構13、17について説明する。
図45及び図46は、本発明において用いることができる支持走査機構を例示する模式図である。
本発明においては、支持走査機構13、17を用いることにより、基材7と吐出口6とをXYZθの少なくともいずれかの方向に相対的に移動させることが可能である。このようにすれば、大面積の基材7の表面に均一な厚み及び膜質の膜状構造物を形成できる。また、特に、Z方向に移動させることにより、吐出口6と基材7との相対距離を調整すれば、膜状構造物の堆積速度を容易に調節できる。
【0097】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
例えば、本発明において使用される粉体は酸化アルミニウムだけでなく、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化珪素、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等の酸化物の他、窒化物、ホウ化物、炭化物、フッ化物などの脆性材料、脆性材料を主成分とした金属や樹脂との複合材料等でも良い。
【0098】
本発明において使用される搬送ガスは窒素、酸素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスの他、メタン、エタン、エチレン、アセチレンなどの有機ガス、また、フッ素ガスなどの腐食性のあるガス等でも良く、これらの必要に応じてこれらの混合ガスを使用しても良い。
【0099】
その他、本発明のエアロゾルデポジション装置及び方法に関して当業者が適宜設計変更して採用したものも、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施の形態にかかる複合構造物の形成システムの全体構成を例示する模式図である。
【図2】定量化機構5により定量する過程において余剰となった微粒子を収容機構1に戻すシステムを例示する模式図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第2の具体例を表す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第3の具体例を表す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第4の具体例を表す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第5の具体例を表す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第6の具体例を表す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第7の具体例を表す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第8の具体例を表す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第9の具体例を表す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかるエアロゾルデポジション装置の第10の具体例を表す模式図である。
【図12】エアロゾル発生ユニットASGの構造を例示する模式図である。
【図13】定量化機構5の構造を例示する模式図である。
【図14】可変絞り機構504の平面構造を例示する模式図である。
【図15】定量化機構5を用いた制御の方法を例示する模式図である。
【図16】定量化機構5を用いた制御の方法を例示する模式図である。
【図17】定量化機構5の第2の具体例を表す模式図である。
【図18】本具体例の定量化機構5を用いた場合の制御の方法を例示する模式図である。
【図19】本具体例の定量化機構5を用いた場合の制御の方法を例示する模式図である。
【図20】本具体例の定量化機構5を用いた場合の制御の方法を例示する模式図である。
【図21】定量化機構5の第3の具体例を表す模式図である。
【図22】複数のエアロゾル発生ユニットASGから供給されるエアロゾルを定量し、ひとつの吐出口6から噴射させるシステムを例示する模式図である。
【図23】定量化機構の第4の具体例を表す模式図である。
【図24】複数の吐出口6を設けたシステムを例示する模式図である。
【図25】定量化機構の第5の具体例を表す模式図である。
【図26】定量化機構の第6の具体例を表す模式図である。
【図27】エアロゾル発生ユニットASGの具体的な構造を例示する模式図である。
【図28】エアロゾル化機構の構造を例示する一部断面図である。
【図29】図28のA−A線断面図である。
【図30】エアロゾル発生ユニットASGのさらに他の具体例を表す模式図である。
【図31】エアロゾル発生ユニットASGのさらに他の具体例を表す模式図である。
【図32】エアロゾル発生ユニットASGのさらに他の具体例を表す模式図である。
【図33】エアロゾル発生ユニットASGのさらに他の具体例を表す模式図である。
【図34】解砕機構15の構造を例示する模式図である。
【図35】解砕機構の第2の具体例を表す模式図である。
【図36】本発明において用いることができる分級機構の構造を例示する模式図である。
【図37】加速機構の構造を例示する模式図である。
【図38】加速機構の構造を例示する模式図である。
【図39】整流機構の構造を例示する模式図である。
【図40】整流機構の構造を例示する模式図である。
【図41】本発明において用いることができる計量機構を例示する模式図である。
【図42】レーザなどの投光手段1402からエアロゾルに光を照射し、その反射光をCCDなどの受光器1404によりモニタするシステムを例示する模式図である。
【図43】センサ1406を設け、ここに到達するエアロゾルの微粒子の数を計測するシステムを例示する模式図である。
【図44】エアロゾルの重量をモニタするシステムを例示する模式図である。
【図45】本発明において用いることができる支持走査機構を例示する模式図である。
【図46】本発明において用いることができる支持走査機構を例示する模式図である。
【符号の説明】
【0101】
1 収容機構
2 供給機構
3 ガス供給機構
4 エアロゾル化機構
5 定量化機構
6 吐出口
7 基材
8 構造物作製室
9 排気機構
10 搬送管
11 加速機構
12 整流機構
13 支持走査機構
14 計量機構
15 解砕機構
16 分級機構
17 支持走査機構
18 配管
22 加圧手段
30 粉体
30P 圧粉体
73 溝
74 エアロゾル化室
101 収容室
102 加圧手段
103 圧接体
201 回転テーブル(回転体)
201、203 溝
205 ベルトコンベア
206、207 プーリ
210 供給管
212 振動発生手段
214 圧縮手段
216 供給管
217 搬送手段
218 搬送管
401 エアロゾル化室
402 粉体解砕ピン
403 ガス導入口
404 エアロゾル導出口
405、406 ジョイント
408 圧力遮断手段
409 溝封止部
412 揺動機構
414 解砕手段
416 ガス供給管
502 定量化室
504 可変絞り
504A 開口
504S 板
506 搬入管
508 ガス導入管
510 排出管
512 1次排出管
1106 流路
1202 流路
1204 障害物
1402 レーザ(投光手段)
1404 受光器
1406 センサ
1408 重量測定手段
1502 ノズル
1504 衝撃板
1602 バッフル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基材に衝突させて前記微粒子の構成材料からなる構造物と前記基材との複合構造物を形成する複合構造物形成システムであって、
前記微粒子を収容する収容機構と、
前記微粒子をガス中に分散させてエアロゾルを形成するエアロゾル化機構と、
前記収容機構から前記エアロゾル化機構に前記微粒子を供給する供給機構と、
前記エアロゾル化機構に前記ガスを供給するガス供給機構と、
前記エアロゾルを前記基材に向けて噴射する吐出口と、
前記エアロゾル中の前記微粒子の濃度を定量化する定量化機構と、
を備えたことを特徴とする複合構造物形成システム。
【請求項2】
前記ガス供給機構は、加圧されたガスを供給することを特徴とする請求項1記載の複合構造物形成システム。
【請求項3】
前記吐出口と前記基材とを収容する構造物作製室と、
前記構造物作製室の内部空間を大気圧よりも減圧状態に維持可能とした排気手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の複合構造物形成システム。
【請求項4】
前記エアロゾルに含有される前記微粒子の濃度を検知する計量機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の複合構造物形成システム。
【請求項5】
前記計量機構により検知された情報に基づき前記定量化機構を制御することを特徴とする請求項4記載の複合構造物形成システム。
【請求項6】
前記計量機構は、前記エアロゾル化機構または前記エアロゾル化機構と前記定量化機構との間に設けられたことを特徴とする請求項5記載の複合構造物形成システム。
【請求項7】
前記定量化機構は、前記エアロゾルを通過させる流路の抵抗を変化させる流路抵抗可変手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の複合構造物形成システム。
【請求項8】
前記計量機構により検知された情報に基づき前記流路抵抗可変手段を制御することを特徴とする請求項7記載の複合構造物形成システム。
【請求項9】
前記定量化機構は、前記流路抵抗可変手段の下流側において希釈用ガスを添加するガス導入口をさらに有することを特徴とする請求項7または8に記載の複合構造物形成システム。
【請求項10】
前記計量機構により検知された情報に基づき前記ガス導入口から添加される前記希釈用ガスの量を制御することを特徴とする請求項9記載の複合構造物形成システム。
【請求項11】
前記定量化機構は、前記流路抵抗可変手段の上流側において、前記エアロゾルの少なくとも一部を前記流路抵抗可変手段の前記流路とは異なる流路に排出させる排出口をさらに有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の複合構造物形成システム。
【請求項12】
前記計量機構により検知された情報に基づき前記排出口から排出される前記エアロゾルの量を制御することを特徴とする請求項11記載の複合構造物形成システム。
【請求項13】
前記エアロゾルに含まれる前記微粒子を解砕する解砕機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の複合構造物形成システム。
【請求項14】
前記エアロゾルに含まれる前記微粒子の粒度を選別する分級機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の複合構造物形成システム。
【請求項15】
前記エアロゾルの流束を加速させる加速機構と、前記エアロゾルの流束を均一化させる整流機構の少なくともいずれかをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の複合構造物形成システム。
【請求項16】
前記吐出口と前記基材との相対的な位置関係を変化させる走査機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の複合構造物形成システム。
【請求項17】
微粒子をガス中に分散させてエアロゾルを形成する工程と、
前記エアロゾル中の前記微粒子の濃度を定量化する工程と、
前記定量化された前記エアロゾルを基材に向けて噴射することにより前記微粒子の構成材料からなる構造物と前記基材との複合構造物を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする複合構造物形成方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate


【公開番号】特開2006−82023(P2006−82023A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269869(P2004−269869)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】