説明

複合機能性粉体及び該粉体を含有する化粧料

【課題】基体となっている粉体が持っていた好ましい性格はそのままにとどめ、或いは、更に発展させつつ、新たな機能を付加するような化粧料用粉体の改変技術を提供する。
【解決手段】少なくとも2種の異なる表面処理を為された粉体であって、該異なる表面処理は、それぞれが異なる粉体部位に独立して為されている粉体。また、独立した表面処理を為された部位の数と、粉体の表面処理の種類の数が等しいことが好ましく、少なくとも2種の異なる表面処理として、1)親油性処理又は撥水性処理と、2)親水性処理又は皮膚親和性処理とを構成に含むことが更に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機能性粉体、即ち、少なくとも2種の異なる表面処理を為された粉体であって、該異なる表面処理は、それぞれが異なる粉体部位に独立して為されている粉体、及び、該複合機能性粉体を含有してなる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メークアップ化粧料など、光学効果を利用した化粧料において、該光学効果を担う粉体は、化粧料成分として重要な要素となっていると共に、該光学効果を担う粉体上の特性をコントロールすることは化粧料においては重要な技術要素となっている。かかる特性コントロール技術の一つに粉体の表面処理技術が存し、かかる表面処理としては、例えば、ハイドロジェンメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンなどの焼き付け処理、パーフロロシラン処理、シランカップリング処理、脂肪酸金属石けん処理、燐脂質被覆処理、ヒドロキシアパタイト処理、ポリエチレンなどのポリアルキレン被覆処理、N−アシルアミノ酸塩被覆処理などの親油性処理乃至は疎水性処理や、ポリリン酸塩、メタリン酸塩被覆処理、ヒアルロン酸塩被覆処理、アルブミンなどタンパク被覆処理、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン被覆処理、ポリメタクリルリジン被覆処理、ポリアクリル酸塩被覆処理、アクリレーツクロスポリマー処理、ポリグルコシルエチルメタクリレート被覆処理、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体被覆処理等の親水性又は皮膚親和性処理が好適に例示できる。この様な処理により、粉体の光学的効果や物理化学的性状を種々変化させることができることが明らかにされている。
【0003】
その反面、この様な表面処理を行うことにより、元々粉体が有していた好ましい性格も改変され、失うことが少なくなかった。例えば、親油性処理或いは撥水性処理を行うことにより、耐水性は向上し、化粧持ちは改善されるが、その反面、化粧料と皮膚のなじみの減衰、化粧料の皮膚上での移動によって生じる、化粧膜の不均一化による化粧効果の減衰など、新たな課題も浮かび上がってきている。更に、表面処理による分散バイトの親和性の低下による製造上での色むらなどの発生なども見逃せない課題となっている。即ち、基体となっている粉体が持っていた好ましい性格はそのままにとどめ、或いは、更に発展させつつ、新たな機能を付加するような化粧料用粉体の改変技術が望まれていたと言える。この様な化粧料用粉体の改変技術としては、粉体の反面で分けて2種の処理を独立して行うことが考えられるが、この様な技術はまだ実施されていない。
【0004】
一方、粉体の表面に異なった少なくとも二種の処理を行う技術としては、アルキレンオキシド誘導体とシリコーンポリマーとで二層に表面処理を施す方法(例えば、特許文献1を参照)、皮膚親和性処理と、吸油性処理とを同時に行う方法など(例えば、特許文献2を参照)が知られているが、独立した部分にそれぞれ異なった表面処理を行うような技術は知られていなかったし、この様な多種の表面処理を行うことにより得られる効果についても何ら知見が存しなかった。現在化粧料分野で知られている処理としては、ジメチコン、ハイドロジェンメチルポリシロキサンなどのシリコーン類の焼き付け処理、トリアルキルメトキシシラン、パーフルオロアルキルジメチルメトキシシランなどのシランカップリング剤を用いたシランカップリング処理、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩による被覆処理、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属石鹸による被覆処理、アシルグルタミン酸アルミニウムなどのアシル化アミノ酸誘導体による被覆処理、レシチン乃至はその金属塩などによる被覆処理、親水性有機ケイ素誘導体処理、グルコシルオキシエチル(メタ)アクリル酸のポリマー乃至はコポリマーによる被覆処理、ポリメタクリロイル−L−リジンによる被覆処理、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマー乃至はコポリマーによる被覆処理、硫酸化トレハロース、海藻抽出物、種子粘質物、液粘質物、果実粘質物、穀物蛋白、動物性ペプチド、ムコ多糖類、セルロース系水溶性高分子、デンプン系水溶性高分子、微生物産生粘性物質、グアーガム系水溶性高分子、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選択される1種乃至は2種以上による被覆処理等が例示できる。(例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−35906号公報
【特許文献2】特開2004−315378号公報
【特許文献3】特開2003−261411号公報
【特許文献4】特開2005−247720号公報
【特許文献5】特開2008−94756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、基体となっている粉体が持っていた好ましい性格はそのままにとどめ、或いは、更に発展させつつ、新たな機能を付加するような化粧料用粉体の改変技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、基体となっている粉体が持っていた好ましい性格はそのままにとどめ、或いは、更に発展させつつ、新たな機能を付加するような化粧料用粉体の改変技術を求め、鋭意研究努力を重ねた結果、化粧料用粉体表面に独立して、異なる2種以上の処理を施すことにより、この様な改変がなし得ることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>少なくとも2種の異なる表面処理を為された粉体であって、該異なる表面処理は、それぞれが異なる粉体部位に独立して為されていることを特徴とする、粉体。
<2>独立した表面処理を為された部位の数と、粉体の表面処理の種類の数が等しいことを特徴とする<1>に記載の粉体。
<3>少なくとも2種の異なる表面処理として、1)親油性処理又は撥水性処理と、2)親水性処理又は皮膚親和性処理とを構成に含むことを特徴とする、<1>又は<2>に記載の粉体。
<4>前記粉体は、板状粉体であることを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の粉体
<5>独立した異なる表面処理部位は、板状粉体の表面と裏面であることを特徴とする、<4>に記載の粉体。
<6><1>〜<5>何れか1項に記載の粉体を含有してなる化粧料。
<7>全表面の30%以上が表面処理されている表面処理粉体において、表面に連続した全表面積の10〜70%に相当する部分が表面処理をされていない状態で残存している箇所を有する部分を有する部分表面処理粉体。
<8>前記表面処理は、親油性処理、撥水性処理、親水性処理、皮膚親和性処理から選択されるものであることを特徴とする、<7>に記載の部分表面処理粉体。
<9>前記部分表面処理粉体において、表面処理部分は連続した領域を形成していることを特徴とする、<7>又は<8>に記載の部分表面処理粉体。
<10><7>〜<9>何れか1項に記載の部分表面処理粉体に、施されている表面処理とは異なる表面処理を施すことを特徴とする、<1>〜<5>何れか1項に記載の粉体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基体となっている粉体が持っていた好ましい性格はそのままにとどめ、或いは、更に発展させつつ、新たな機能を付加するような化粧料用粉体の改変技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1>本発明の粉体
本発明の粉体は、化粧料用粉体として好適な粉体であって、少なくとも2種の異なる表面処理を為された粉体であり、該異なる表面処理は、それぞれが異なる粉体部位に独立して為されていることを特徴とする。即ち、本発明の粉体においては、その表面の一定面積に同一且つ唯一種の表面処理が為されており、該部位とは異なる部位に同様に一定面積に前記表面処理とは異なる表面処理が為されている状況を有することを特徴とする。
【0010】
かかる表面処理の種類は2種類以上であり、2種類以上であれば特段の限定はないが、各1種の表面処理が、その表面処理に由来する特性を発現できる程度の面積に為されていることを必要条件とし、具体的には、粉体全表面積の10%以上に同一表面処理が為されていることが必要であり、且つ、該表面処理は唯1種の表面処理であることが必要である。粉体全体では、この様な条件を満たす2種の異なった表面処理が存することが必要条件となる。表面処理の種類が3種以上の場合には2種が前記の条件を充足していれば本発明の技術範囲に属する。好ましい形態としては、同じ部位に二種以上の種類の表面処理が行われることを排除した、独立した表面処理粉体を為された部位の数と、粉体の表面処理の種類の数が等しい特性を有する形態である。これにより混合処理が排除され、表面の性質は表面処理の性質の和として把握、コントロールできる。
【0011】
この様な本発明の粉体の基体となるべき粉体としては、化粧料用のものであれば対象とすることができ、例えば、ガラスフレーク、タルク、セリサイト、マイカ、チタンマイカ、チタンセリサイトなどの板状粉体、球状シリカ、球状炭酸カルシウム、球状炭酸マグネシウム、中空或いは中実構造のメタクリル酸メチルポリマー粉体などのアクリル樹脂粉体等の球状粉体、窒化ホウ素、硫酸バリウム、アエロジル等の無定形粉体、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、群青、紺青或いはこれらの複合体などの顔料類などが好適に例示できる。これらの内、特に好適なのものは、表面処理のコントロールの行いやすい、板状粉体或いは球状粉体であり、中でも表面処理の効果が明確に発現しやすい板状粉体が特に基体の粉体として好ましい。前記板状粉体としては、扁平性の高いものが表面処理をより効果的に粉体物性に反映できることから好ましく、具体的にはアスペクト比が10以上のもの、より具体的にはアスペクト比が10〜20のもの、特に好ましくは12〜16のものが例示できる。
【0012】
かかる基体に施すべき2種以上の表面処理としては、ジメチコン、ハイドロジェンメチルポリシロキサンなどのシリコーン類の焼き付け処理、トリアルキルメトキシシラン、パーフルオロアルキルジメチルメトキシシランなどのシランカップリング剤を用いたシランカップリング処理、パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩による被覆処理、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属石鹸による被覆処理、アシルグルタミン酸アルミニウムなどのアシル化アミノ酸誘導体による被覆処理、レシチン乃至はその金属塩などによる被覆処理、ヒアルロン酸ジメチルシランジオール、乳酸モノメチルシラントリオール、及びメチルシラノールトリPEG−8−グリセリルココエート等の親水性有機ケイ素誘導体処理、グルコシルオキシエチル(メタ)アクリル酸のポリマー乃至はコポリマーによる被覆処理、ポリメタクリロイル−L−リジンによる被覆処理、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマー乃至はコポリマーによる被覆処理、硫酸化トレハロース、海藻抽出物、種子粘質物、液粘質物、果実粘質物、穀物蛋白、動物性ペプチド、ムコ多糖類、セルロース系水溶性高分子、デンプン系水溶性高分子、微生物産生粘性物質、グアーガム系水溶性高分子、アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレンイミン、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンから選択される1種乃至は2種以上による被覆処理等から選択される2種以上が好ましく例示でき、より好ましくは、ハイドロジェンメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンなどの焼き付け処理、パーフロロシラン処理、シランカップリング処理等の疎水化処理、脂肪酸金属石けん処理、燐脂質被覆処理、ポリエチレンなどのポリアルキレン被覆処理、N−アシルアミノ酸塩被覆処理等の親油化処理、ポリリン酸塩、メタリン酸塩被覆処理、ヒアルロン酸塩被覆処理、ポリアクリル酸塩被覆処理等の親水化処理、アルブミンなどタンパク被覆処理、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン被覆処理、ポリメタクリルリジン被覆処理、ポリグルコシルエチルメタクリレート被覆処理、メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体被覆処理等の皮膚親和性処理等から選択される2種以上が好適に例示できる。この様な表面処理は、表面処理の全質量で表面処理粉体全質量の1〜20質量%になるように行うことが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。それぞれの表面処理の量は全表面処理質量に表面処理の面積比を乗じたものとすることが好ましい。
【0013】
本発明の表面処理粉体において、1種の表面処理が為されるべき、粉体全表面積の10%以上の部分の設定としては、連続した表面であることが好ましく、表面処理の数で等分した面積であることが好ましい。具体的には、2種の処理であれば50%ずつの表面処理が好ましく、3種の処理であれば33%ずつの表面処理が好ましい。
【0014】
また、この様に面積と部位とを特定して表面処理を行うに際して、表面処理技術上からは、2種の処理を片方ずつずつ行うことが好ましい。即ち、粉体の全表面の連続した1部分を表面処理し、表面処理を行っていない部分が残存する部分表面処理粉体を調整し、しかる後に残存する部分に前記表面処理とは異なる表面処理を行うことにより、本発明の粉体を製造することができる。この様な本発明の粉体の中間原料となる部分表面処理粉体においては、全表面の30%以上、より好ましくは50%前後が、前記表面処理の何れかの表面処理手段で表面処理されていることが好ましく、3種以上の表面処理が施す場合も存することに鑑みれば、全表面積の10〜70%が未処理の状態で残存していることが好ましい。尚、本発明の部分表面処理粉体は、本発明の粉体に加工することなく化粧料に含有させることも可能である。
【0015】
この様な部分表面処理粉体の製造方法としては、例えば、次に示す方法が好ましく例示できる。
(1)未処理の粉体を水などの媒体に分散させ、高粘度の流動組成物となし、これを平面上に均一に延展させて薄層を形成させて、加温処理等により媒体を揮散させ、これに親油性乃至は疎水性表面処理剤を噴霧するなどして、約半面を処理し、加熱などの固定化処理を施し、部分表面処理を作成し、これを水−ブタノールに投じて振り、水に分散した層を除くなどして、未処理粉体を取り除き、界面に配向した粉体を集め、水、エタノールで順次洗い、乾燥させて部分表面処理粉体を得る。これに前の表面処理に用いた処理剤と異なる処理剤を、前記表面処理部分とは、なじみの少ない媒体に溶解させて処理を行い、本発明の粉体を得る。
(2)基体として、加湿による璧開性を有する粉体を選択し、璧開途中の段階で、疎水化処理、親油化処理乃至は撥水化処理を行い、加湿璧開を行い、乾燥後疎水化処理、親油化処理乃至は撥水化処理を行い、加水璧開処理を行う。この作業を繰り返し、所望の粒度の部分表面処理粉体を得、(1)同様にこれを単離して、未処理表面に前記表面処理とは異なる表面処理を施す。
(3)流動層造粒により、細粒を作成し、流動させながら処理剤を噴霧して表面処理を行い、これをバンタムミキサーで壊砕し、表面処理面を有する粉体のみを前記と同様に集めて部分表面処理粉体を得、これに前記表面処理とは異なる表面処理を施し、本発明の粉体を得る。
(4)親水性処理剤を含む水溶液内包ポリメタクリ酸メチル球状粉体をコアセルべーション法によって作成し、球体の表面を疎水化処理した後、凍結乾燥に付し、球体の内壁を親水化処理した中空球状アクリル樹脂粉体を得る。
この様な処理は単一成分の粉体に行うこともできるし、複数の粉体の混合物である粉体組成物に行うこともできる。
【0016】
斯くして得られた本発明の表面処理粉体は、異なる物性を有する面を有するので、二種以上の表面処理を混合して施した場合と異なり、同時に二種の特性に対して干渉しあうことなく対応することができる。例えば、次に列挙するような性質を具現化できる。皮膚親和性処理面と疎水化処理面とを有する本発明の粉体は、疎水性の表面特性により汗などの化粧崩れ要素に抵抗しながら、皮膚と皮膚親和性処理特性に由来する親和性のために、この面を皮膚に配向して密着し、皮膚保護効果や保湿効果を発現する。撥水性処理面と親水性処理面とを有する本発明の粉体は撥水性面が水分を含む皮膚面に配向しないため、皮膚の水分と撥水面の反発によって粉体が水分のある皮膚上を滑る現象を抑制することができる。真珠様光沢を有する粉体に面ごとに独立した2種の表面処理を行うと、表面特性の差によって化粧料組成物中で面を配向して分布するため、パールがきれいに配向し、パール感を顕著に発現できる。外壁の表面が疎水化処理され、中空内壁が親水化された中空アクリル樹脂粉体は、汗などによる化粧崩れを防ぎつつ、汗を中空内部に汗を保持し、化粧崩れを防ぐと共に、粉体による乾燥感の発現を防ぐことができる。斯くの如く本発明の粉体は化粧料に好適な性質を有するため、化粧料用の原料として好適である。この様な効果を発現するためには、本発明の粉体を化粧料に含有させる場合、化粧料全量に対して0.1〜50質量%含有させることが好ましく、1〜30質量%含有させることがより好ましい。
【0017】
<2>本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記本発明の粉体を含有することを特徴とする。本発明の化粧料においては、本発明の粉体は、前記本発明の粉体の効果を奏する量を含有されることが好ましい。本発明の化粧料としては、光学効果を期待する化粧料であって、粉体成分を含有する化粧料が好適に例示できる。具体的には、粉末化粧料、粉体固形化粧料、オイルゲル化粧料、乳化化粧料、水分散化粧料などが好適に例示できる。機能的な分類としては、メークアップ化粧料、中でも、下地料、ファンデーション、リップカラー、フェースパウダー、チークカラー、アイカラー、ハイライト、紫外線防護化粧料などが好適に例示できる。
【0018】
本発明の化粧料においては、前記の成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を含有することができる。かかる成分としては、本発明の粉体に分類されない粉体を始め、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。これらの内、特に好ましい成分としては、温感効果を増強できるトウガラシエキスが例示でき、好ましい含有量としては、0.01〜0.05質量%が例示できる。かかる成分は多すぎると刺激感を呈する場合が存し、少なすぎると効果を奏しない場合が存する。又、含有することが好ましくない成分としてはブチルパラベンなどのパラベン類が例示できるし、温感付与効果を損なう要因となる水分含有量は、水分の配合を控えて、出来る限り少なくすることが好ましい。具体的には1質量%以下が好ましく例示できる。本発明の化粧料は、かかる必須成分、任意成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0019】
以下に、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加える。
【実施例1】
【0020】
<製造例>
セリサイト(アスペクト比12.5)100gに水50mLを加えてよく混練りし、薄層クロマトグラフィー用アプリケータを用い、ガラス板状に厚さ100μmで延展した。100℃で24時間乾燥後、5gのジメチルラウリルメトキシシランを50mLの石油エーテルに溶解させて均一に噴霧し、40℃で1時間送風乾燥後200℃で4時間焼き付けた。室温まで冷却後、粉体を掻き取り、粉砕した後、水300mLとブタノール300mLとの混合液に加え、液液抽出を行い、水相を粉体が分散されたまま捨て、粉体を含有したままの水−ブタノール乳化層を取り、濾過し、エタノールで洗浄して粉体を集めた。この結果、シリル化処理面を有するセリサイト(部分表面処理粉体1)が34g得られた。このセリサイトは親水面も有し、シリル化処理面は半面であることが判明した。シリル化処理はATR−IRの1100cm−1の吸収により確認した。
【0021】
部分表面処理粉体1を10g秤とり、0.5gのヒアルロン酸ジメチルシランジオールを3gの水に溶かしたものと混練りし、これを乾燥させ、バンタムミキサーで壊砕し、本発明の粉体である粉体1を得た。
【0022】
セイサイト100gに5gのジメチルラウリルメトキシシランを50mLの石油エーテルに溶解させて均一に噴霧し、40℃で1時間送風乾燥後200℃で4時間焼き付けた。このものと5gのヒアルロン酸ジメチルシランジオールを30gの水に溶かしたものと混練りし、これを凍結乾燥させ、バンタムミキサーで壊砕し、比較例1の粉体を作成した。
【0023】
セイサイト100gに5gのジメチルラウリルメトキシシランを50mLの石油エーテルに溶解させて均一に噴霧し、40℃で1時間送風乾燥後200℃で4時間焼き付け、これをバンタムミキサーで壊砕し、比較例2の粉体を得た。
【0024】
セイサイト100gに5gのヒアルロン酸ジメチルシランジオールを30gの水に溶かしたものと混練りし、これを凍結乾燥させ、バンタムミキサーで壊砕し、比較例3の粉体を作成した。
【0025】
<試験例1>
上腕内側部に2cm×4cmの部位を5つ設け、ウレタンチップを用いて、粉体1、比較例1〜3及び原料のセリサイトを塗布し、測色を行った。40℃の送風乾燥室に20分滞在してもらい、退室後10分に再度測色し、送風処置の前の色との色差を求めた。40℃送風条件は、通常の40℃無風条件に比して、風による物理的刺激因子も加わるため、化粧崩れ条件としては非常に過酷なものとなる。送風条件は、5mの距離からの扇風機による送風とした。結果を表1に示す。これより本発明の処理は未処理、単一処理、重層処理に比して優れた化粧持ち特性を有していることが判る。
【0026】
【表1】

【実施例2】
【0027】
ヒアルロン酸ジメチルシランジオールをポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに代えて同様に処理し粉体2を作成した。試験例1に従った評価では色差(ΔE)は0.27であった。
【実施例3】
【0028】
ヒアルロン酸ジメチルシランジオールをポリメタクリルリジンに代えて同様に処理し粉体3を作成した。試験例1に従った評価では色差(ΔE)は0.24であった。
【実施例4】
【0029】
ジメチルラウリルメトキシシランをジメチル−3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチルメトキシシランに代え、ヒアルロン酸ジメチルシランジオールをポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルに代えて同様に処理し粉体3を作成した。試験例1に従った評価では色差(ΔE)は0.18であった。
【実施例5】
【0030】
下記に表2示す粉体類をフローコーターに仕込み、水100mLを噴霧しながら、40℃で送風し、流動層造粒を行った。40℃で1時間送風乾燥後、ハイドロジェンメチルポリシロキサン5gを塩化メチレンに溶解させて噴霧し、40℃で1時間乾燥後、200℃で12時間焼き付けを行い、バンタムミキサーで粉砕した後、水300mLとブタノール300mLとの混合液に加え、液液抽出を行い、水相を粉体が分散されたまま捨て、粉体を含有したままの水−ブタノール乳化層を取り、濾過し、エタノールで洗浄して粉体を集めた。この結果、シリル化処理面を有する粉体組成物(部分表面処理粉体2)が34g得られた。この粉体は親水面も有し、シリル化処理面は半面であることが判明した。シリル化処理はATR−IRの1100cm−1の吸収により確認した。
この部分表面処理粉体2を10g秤とり、0.5gのヒアルロン酸ジメチルシランジオールを3gの水に溶かしたものと混練りし、これを乾燥させ、バンタムミキサーで壊砕し、本発明の粉体である粉体5を得た。このものは試験例1の評価で色差(ΔE)は0.29であり、化粧持ち向上効果が同様に認められた。
【0031】
【表2】

【実施例6】
【0032】
マイカの原石を加水条件下で璧開、壊砕し、平均粒径400μmの小片に加工した。この加工小片100gをロータリーキルンに仕込み、2gのハイドロジェンメチルポリシロキサンを塩化メチレン100mlに溶かして噴霧しながら、温度250℃で焼き付けを行った。 焼き付け時間は4時間とし、冷却後水200mlを加えて、ロールミルで処理し、平均粒径170μmの大きさに壊砕した。これを再びロータリーキルンに戻し、2gのハイドロジェンメチルポリシロキサンを塩化メチレン100mlに溶かして噴霧しながら、温度250℃で焼き付けを行った。焼き付け時間は4時間とし、冷却後水200mlを加えて、ロールミルで処理し、平均粒径93μmの大きさに壊砕し、本発明の部分表面処理粉体3を得た。この部分表面処理粉体3を10g秤とり、0.5gのヒアルロン酸ジメチルシランジオールを3gの水に溶かしたものと混練りし、これを乾燥させ、バンタムミキサーで壊砕し、本発明の粉体である粉体6を得た。このものは試験例1の評価で色差(ΔE)は0.34であり、化粧持ち向上効果が同様に認められた。
【実施例7】
【0033】
メタクリル酸メチルを1%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液中でコアセルべーション法によって、アゾビスブチロニトリル存在下、重合させ、ヒアルロン酸ナトリウム水溶液内包ポリメチルメタクリレートカプセルを得た。このものを濾別し、40℃で1時間送風乾燥後、10gの内包カプセルに対し、0.2gのジメチル−3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチルメトキシシランを5mLの石油エーテルに溶解させて噴霧し、80℃で6時間反応させた。冷却後−70℃に冷却し、陰圧下24時間凍結乾燥させ、内包された組成物の水分を除去し、中空内を親水化処理して本発明の粉体である、粉体7を得た。
【実施例8】
【0034】
以下の処方に従って、本発明の化粧料を製造した。即ち、処方成分イをヘンシェルミキサーで混合し、0.9mm丸穴スクリーンを装着したバンタムミキサーで壊砕した後、ヘンシェルミキサーに戻し、混合しながら処方成分ロを噴霧し、これを1.1mmヘリングボーンスクリーンを装着したバンタムミキサーで壊砕し、金皿に充填し、加圧成形してファンデーションを得た。このものは試験例1の評価において、色差(ΔE)が0.26である、優れた化粧持ち特性が認められた。
【0035】
【表3】

【実施例9】
【0036】
下記処方に従って、本発明の化粧料を作成した。即ち、処方成分イ、ロを80℃に加温し、イにハを分散した後、攪拌下ロを徐々に加え乳化し、攪拌冷却し、油中水乳化剤型の下地料を得た。このものは汗を保持し、汗による化粧崩れを防ぐ作用に優れていた。
【0037】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の異なる表面処理を為された粉体であって、該異なる表面処理は、それぞれが異なる粉体部位に独立して為されていることを特徴とする、粉体。
【請求項2】
独立した表面処理を為された部位の数と、粉体の表面処理の種類の数が等しいことを特徴とする請求項1に記載の粉体。
【請求項3】
少なくとも2種の異なる表面処理として、1)親油性処理又は撥水性処理と、2)親水性処理又は皮膚親和性処理とを構成に含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉体。
【請求項4】
前記粉体は、板状粉体であることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の粉体
【請求項5】
独立した異なる表面処理部位は、板状粉体の表面と裏面であることを特徴とする、請求項4に記載の粉体。
【請求項6】
請求項1〜5何れか1項に記載の粉体を含有してなる化粧料。
【請求項7】
全表面の30%以上が表面処理されている表面処理粉体において、表面に連続した全表面積の10〜70%に相当する部分が表面処理をされていない状態で残存している箇所を有する部分を有する部分表面処理粉体。
【請求項8】
前記表面処理は、親油性処理、撥水性処理、親水性処理、皮膚親和性処理から選択されるものであることを特徴とする、請求項7に記載の部分表面処理粉体。
【請求項9】
前記部分表面処理粉体において、表面処理部分は連続した領域を形成していることを特徴とする、請求項7又は8に記載の部分表面処理粉体。
【請求項10】
請求項7〜9何れか1項に記載の部分表面処理粉体に、施されている表面処理とは異なる表面処理を施すことを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の粉体の製造方法。

【公開番号】特開2010−265212(P2010−265212A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117676(P2009−117676)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】