説明

複合膜

【課題】新規な複合膜に関し、疎水性多孔質膜の片面に透湿性樹脂層を積層してなる複合膜であって、透湿性樹脂層は補強用多孔質膜に含まれることを特徴とする複合膜であり、特に水蒸気分離特性に優れた性能を有する複合膜を提供する。
【解決手段】予め透湿性樹脂を含む液を補強用多孔質膜に塗布または含浸し、塗布または含浸した液から溶剤を洗浄、乾燥等により除去した後に、疎水性多孔質膜と熱圧着する方法で製造した疎水性多孔質膜の片面に透湿性樹脂の層を積層してなる複合膜であって、透湿性樹脂の層は補強用多孔質膜に含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複合膜に関し、詳しくは、疎水性多孔質膜の片面に透湿性樹脂層を積層してなる複合膜であって、該透湿性樹脂層は補強用多孔質膜に含まれることを特徴とする、複合膜であり、特に水蒸気分離特性に優れた性能を有する複合膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年深刻化してきている干ばつ、砂漠化、水環境の悪化などに伴い、これまで以上に水処理技術が重要になってきており、分離膜利用技術が幅広く利用されて来ている。海水淡水化については、逆浸透法の技術進歩による信頼性の向上やコストダウンが進み、逆浸透膜を用いた淡水化プロセスが採用され、水資源が極端に少ない中東地域やカリブ諸島や地中海エリアなどで多数の逆浸透法海水淡水化プラントが建設、稼働するに至っている。
【0003】
一方、海水から淡水を得る技術としては、蒸発法と同じく、熱を駆動力とし、膜を介して淡水を得る、膜蒸留法というプロセスが提案、検討されている。
【0004】
膜蒸留法は、一般に多孔質疎水性膜の性質を利用した膜分離法である(特許文献1)。図1を参照しつつ、膜蒸留法の仕組みを説明する。この多孔質疎水性膜の一方の面に高温一次水(海水などの溶液)を、この膜のもう一方の面に低温の淡水(純水)を接触させると、膜が疎水性であるために、一次水が膜面で阻止され、一次水は(液体として)膜を透過することができない。一方、気体は多孔質である膜内を透過することができるため、高温一次水から蒸発してくる水蒸気を膜内で透過させ、透過した水蒸気を低温部で凝縮させることによって、一次水(溶液)から水だけを分離することが可能である。すなわち、膜蒸留法は、膜を介して一方に高温供給水を流し、膜のもう一方に冷却面を設けることにより、生じる温度差に基づく蒸気圧差を蒸気透過のドライビングフォースとする。膜蒸留法は、高温供給水が揮発成分を含む場合、その揮発成分が透過しやすいという課題はあるが、不揮発性の溶質分離性能は極めて高く、例えば、不揮発性の塩分が溶質の主体である海水からは、高純度の淡水を得ることができる。
【0005】
膜蒸留法は、基本原理としては蒸発法と同じであるが、蒸発法に比べて、以下のように様々な利点が挙げられる。
・膜の形状に自由度が大きく、装置の形の制限が小さい。
・膜の充填率を高くすることにより、装置体積の小型化が可能。
・蒸気圧差に基づくため、沸点以下の比較的低温での利用の可能性があり、排熱を利用したり、温度の異なる水源を利用したりすることができれば、エネルギー的なメリットが大きい。
・溶液と透過水が直接接触しないので、逆浸透法のような浸透圧を考慮する必要が少なく、動力費は非常に低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−57205号公報
【特許文献2】特開昭59−203602号公報
【特許文献3】特開2010−5515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、膜蒸留法における最も大きな課題は、膜表面が汚れると、水蒸気の蒸発面が汚れによって閉塞するばかりでなく、膜の疎水性が失われ、最後には供給水が多孔質疎水性膜に侵入し、冷却側(透過側)に漏れだしてくる危険性があるという本質的な問題を抱えている。
【0008】
この問題を解決するために、多孔質疎水性膜の表面に親水性樹脂膜を載せて複合膜化(特許文献2)する方法が提案されている。
【0009】
しかし、この方法では、親水性樹脂膜が一次水と接触する際に膨潤するため、強度が低下し、一次水の流速によって摩耗したり、膜に亀裂が入る、ピンホールがあくなどの問題がある。
【0010】
この親水性樹脂膜の使用時の強度低下の問題を解決するために、親水性樹脂膜の表面にも疎水性多孔質膜を配置し、疎水性多孔質膜によって親水性樹脂膜を挟み込む方法(特許文献3)が提案されている。
【0011】
この方法では、親水性樹脂層は直接一次水には接触せず、また、親水性樹脂層の表面が疎水性多孔質膜により補強される効果もあり、複合膜の耐久性は向上できるが、原水に親水性樹脂層が直接接触していないため、水蒸気の透過速度が十分でない場合があるという問題があった。
【0012】
そこで本発明は、前述したような問題点を解決するためになされたものであり、耐久性および透湿性がともに優れた、複合膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明により以下が提供される。
【0014】
(1)疎水性多孔質膜の片面に透湿性樹脂の層を積層してなる複合膜であって、該透湿性樹脂の層は補強用多孔質膜に含まれることを特徴とする、複合膜。
【0015】
(2)該透湿性樹脂の層が該補強用多孔質膜の上表面から露出していることを特徴とする、(1)に記載の複合膜。
【0016】
(3)該透湿性樹脂の層が該補強用多孔質膜の下面から露出していることを特徴とする、(1)または(2)に記載の複合膜。
【0017】
(4)該補強用多孔質膜の下面から露出した該透湿性樹脂の層の少なくとも一部が、該疎水性多孔質膜内に入り込んでいるが、該疎水性多孔質膜の下面から露出していないことを特徴とする、(3)に記載の複合膜。
【0018】
(5)該透湿性樹脂の層の厚みが25μm以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0019】
(6)該透湿性樹脂の層の厚みが10μm以下であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0020】
(7)該透湿性樹脂の層の厚みが5μm以下であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0021】
(8)該透湿性樹脂が、以下の耐水性試験前後の樹脂の体積変化から求まる膨潤度が2倍以上且つ20倍以下の膨潤性を示し、
膨潤度=耐水性試験後の樹脂の体積/耐水性試験前の樹脂の体積
耐水性試験:温度120℃、水蒸気圧0.23MPaの環境下に樹脂を24時間放置し、次いで温度25℃の水に15分間浸漬すること、
を特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0022】
(9)該透湿性樹脂がポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール共重合体、フッ素系イオン交換樹脂、繰り返し単位にプロトン性親水性基を有する樹脂、繰り返し単位に非プロトン性親水性基を有する樹脂のいずれかであることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0023】
(10)該透湿性樹脂がフッ素系イオン交換樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタンのいずれかであることを特徴とする、(1)〜(9)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0024】
(11)該補強用多孔質膜が、延伸PTFE膜であることを特徴とする、(1)〜(10)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0025】
(12)通気性補強材を、該疎水性多孔質膜の該透湿性樹脂の層が積層されている面と逆の面に積層していることを特徴とする、(1)〜(11)のいずれか1つに記載の複合膜。
【0026】
(13)該通気性補強材が織布、不織布、ネットのいずれかであることを特徴とする、(12)に記載の複合膜。
【0027】
(14)水蒸気分離膜として使用することを特徴とする、(1)〜(13)のいずれか1つに記載の複合膜。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】膜蒸留の仕組みを説明する概略図である。
【図2】本発明の複合膜の一例を示す概略断面図である。
【図3】(a)は補強用多孔質膜で補強された透湿性樹脂の層の概略断面図であり、(b)はさらに疎水性多孔質膜を備えた複合膜の概略断面図である。
【図4】水分量調整モジュールの一例を示す概略斜視断面図である。
【図5】耐久試験装置の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(i)複合膜
以下、図を参照しつつ、本発明の複合膜について詳細に説明する。
【0030】
図2は、本発明の複合膜の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、本発明の複合膜では、疎水性多孔質膜の片面に透湿性樹脂の層(機能層)が積層され、さらに、透湿性樹脂の層が補強用多孔質膜に含まれている。
【0031】
本発明の複合膜は、透湿性樹脂の層が補強用多孔質膜で補強されていることにより、外部材と接触したときの表面耐久性に優れている。したがって、磨耗したり、亀裂が入ったり、ピンホールを生じたりすることがない。磨耗、亀裂、ピンホール等が生じると、ガスバリア性が低下し、そこから気体や液体が透過する。磨耗、亀裂、ピンホール等を防止して、ガスバリア性を確保するためには、透湿性樹脂の層の厚み全体を厚く形成しなければならず、その場合透湿性が低下してしまう。しかし、本発明の複合膜は、表面耐久性に優れているため、透湿性樹脂の層を薄くでき、したがって透湿性も高い。
【0032】
透湿性樹脂の層は、補強用多孔質膜の上表面から露出することもできる。これにより、複合膜を気体や液体に含まれる水を選択的に透過させるための分離膜(水分量調整モジュール用分離膜)、例えば膜蒸留用の膜として用いたときに、透湿性樹脂が一次水に直接接触することができ、優れた透湿性能が実現できる。特許文献3は、疎水性多孔質膜によって樹脂膜を挟み込む方法を提案しており、原水に直接接触することができない。この点で、本発明の複合膜の透湿性能は、特許文献3のものより、一層向上する。
【0033】
透湿性樹脂の層は、該補強用多孔質膜の下面から露出することもできる。この透湿性樹脂の層の露出した部分は、補強用多孔質膜および疎水性多孔質膜と接して存在する。透湿性樹脂が、不織布等の繊維径の比較的大きな材料と接している場合には、不織布の繊維との境界部分に、透湿樹脂液の液溜まりが形成され、透湿樹脂の厚みが不均一となることがある。この厚みが不均一である場合、厚みの比較的薄い部分でピンホールが生じやすいという懸念がある。その場合、ピンホールを防ぐために、透湿性樹脂の層の厚みを全体的に厚くするなどの対応がされてきた。本発明では、透湿性樹脂が多孔質膜と接しており、多孔質膜の表面の凹凸(孔径)は、不織布等の繊維径に比べて遙かに小さいので、透湿樹脂液の液溜まりを防止できる。そのため透湿樹脂が均一な厚みで存在でき、ピンホールの発生を防ぐことができる。ひいては、透湿性樹脂の層を厚くする必要がないので、高い透湿性を実現できる。
【0034】
透湿性樹脂の層は、疎水性多孔質膜に入り込むことなく、その表面上に形成されていてもよい。また、透湿性樹脂の層の少なくとも一部が疎水性多孔質膜の内部に入り込んでいてもよい。透湿性樹脂の層が疎水性多孔質膜に入り込むと、疎水性多孔質膜内の小孔へのアンカー効果を発揮し、耐久性が向上する。ただし、疎水性多孔質膜の内部に入り込んだ透湿性樹脂の層は、疎水性多孔質膜の下面から露出はしない。すなわち、本発明の複合膜には、全面にわたって疎水性多孔質膜のみで構成される層状部分が存在し、この部分により液体の透過が阻止される。
【0035】
複合膜は、例えば、予め透湿性樹脂を含む液を補強用多孔質膜に塗布または含浸し、塗布または含浸した液から溶剤を洗浄、乾燥等により除去した後に、疎水性多孔質膜と熱圧着する方法などによって製造できる。
【0036】
複合膜は、図2に示すように、通気性補強材を、該疎水性多孔質膜の該透湿性樹脂の層が積層されている面と逆の面に積層していてもよい。また、通気性補強材は、補強用多孔質膜の疎水性多孔質膜が積層されている面と逆の面に積層してもよい。この場合、補強用多孔質膜の上面から露出した親水性樹脂の層を介して、通気性補強材が積層されてもよい。通気性補強材は、例えば、熱融着などによって疎水性多孔質膜、補強用多孔質膜または親水性樹脂の層のいずれか、またはそれらの組み合わせに接着して、積層することができる。通気性補強材を積層することによって、複合膜の強度を高めることができる。
【0037】
以下、複合膜を構成する各膜や層についてより詳細に説明する。
【0038】
(ii)透湿性樹脂の層(機能層)
透湿性樹脂の層の平均厚さは、25μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。平均厚さを薄くすることで、水蒸気の透過性を向上できる。平均厚さは、ピンホールが発生しない限り薄いほど好ましいが、その下限は、例えば、1μm以上(特に2μm以上)である。
【0039】
透湿性樹脂の層の平均厚さtは、複合膜の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、透湿性樹脂の層の断面積Aと透湿性樹脂の層の長さ(幅)Lを求め、下記式に従って算出できる。
平均厚さt=面積A/長さL
【0040】
好ましい透湿樹脂は、耐水性に優れた耐水透湿性樹脂である。耐水性が高いと、高温多湿環境下で使用したときの耐久性(耐高温多湿特性)を高めることができる。また高温多湿環境下での透湿性も高まる。
【0041】
耐水透湿性樹脂の耐水性は、以下の耐水性試験から求まる膨潤度に基づいて評価できる。
【0042】
耐水透湿樹脂の膨潤度は、例えば、20倍以下、好ましくは15倍以下、さらに好ましくは10倍以下である。膨潤度の下限は特に限定されないが、2倍以上(特に5倍以上)であってもよい。
【0043】
耐水性試験:温度120℃、水蒸気圧0.23MPaの環境下に樹脂を24時間放置し、次いで温度25℃の水に15分間浸漬する。試験前後の樹脂の体積変化を測定し、下記式に基づいて膨潤度を算出する。
膨潤度=耐水性試験後の樹脂の体積/耐水性試験前の樹脂の体積
【0044】
透湿性樹脂の具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール、ウレタン、ビニルアルコール共重合体(エチレン−ビニルアルコール共重合体、テトラフルオロエチレン−ビニルアルコール共重合体)、フッ素系イオン交換樹脂(デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」、旭硝子株式会社製「フレミオン(登録商標)」など)、ジビニルベンゼンスルホン酸共重合体、ジビニルベンゼンカルボン酸共重合体などのイオン交換樹脂などの繰り返し単位にプロトン性親水性基を有する樹脂(プロトン性親水性樹脂)、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピリジン、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ピロリドンなどの繰り返し単位に非プロトン性親水性基を有する樹脂(非プロトン性親水性樹脂)などが挙げられる。
【0045】
また前記透湿性樹脂は、三次元架橋構造を形成していてもよい。三次元架橋型透湿性樹脂には、前記プロトン性親水性樹脂の架橋体、前記非プロトン性親水性樹脂の架橋体などが挙げられる。三次元架橋型透湿性樹脂は、耐水性に優れている。
【0046】
前記透湿性樹脂(三次元架橋型透湿性樹脂を含む)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。好ましい透湿性樹脂は、ポリビニルアルコールの架橋体(例えば、グルタルアルデヒドとHClとの混合液による架橋体、ホルムアルデヒドによる架橋体、ブロックドイソシアネートによる架橋体など)、ポリウレタンの架橋体(例えば、両末端にヒドロキシ基をもつポリエーテルやポリエステルと、芳香族ジアミンや多価アルコールとによる架橋体など)、フッ素系イオン交換樹脂である。ポリビニルアルコールの架橋体は、耐水性に優れているだけでなく、塗布操作が容易であって、透湿樹脂層の薄膜化を容易に達成できる。ポリウレタンの架橋体は、耐水性に優れているだけでなく、耐摩耗性、耐酸化性、耐油性、耐老化性にも優れる。フッ素系イオン交換樹脂は、耐熱性・耐薬品性に優れるため、高温・高湿下や、酸・アルカリなどが存在する系などで耐久性が高く、より過酷な環境下での使用に適している。
【0047】
(iii)補強用多孔質膜
【0048】
透湿性樹脂の層は、補強用多孔質膜に含まれており、これにより補強されている。このような透湿性樹脂の層を備えた複合膜の一例を図3に図示する。図3(a)は、補強用多孔質膜で補強された透湿性樹脂の層の概略断面図であり、図3(b)は、この透湿性樹脂の層を備えた複合膜の概略断面図である。図3(b)の複合膜は、補強用多孔質膜全体に透湿性樹脂を含む液を塗布または含浸させた後、補強用多孔質膜の片面を疎水性多孔質膜でカバーし、次いで溶剤を除去することによって製造できる。または、疎水性多孔質膜の片面に、透湿性樹脂を含む液を塗布または含浸させた後、その塗布または含浸させた面を補強用多孔質膜でカバーし、次いで溶剤を除去することによっても製造できる。さらに、補強用多孔質膜の上面側に、透湿性樹脂を含む液を塗布または含浸させてもよい。
【0049】
なお補強用多孔質膜としては、後述する疎水性多孔質膜と同様のものが使用できる。補強用多孔質膜の厚さは、所望の均一な透湿性樹脂の層の厚さを得られるように、適宜調整することができる。
【0050】
(iv)疎水性多孔質膜
【0051】
疎水性多孔質膜は、複合膜の一部を構成し、複合膜に疎水性をもたらしつつ通気性を維持する。疎水性多孔質膜は、疎水性と通気性を有する限り該疎水性多孔質膜を構成する樹脂の種類は特に限定されない。具体的には、耐熱性や耐腐食性を有するものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン類;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリエステル;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂等が使用出来る。
【0052】
好ましい疎水性多孔質膜は、フッ素樹脂製多孔質膜である。フッ素樹脂は、耐熱性および耐腐食性が優れ、且つ臨界表面張力が極めて低い、すなわち疎水性(撥水性)が高い。特に好ましい疎水性多孔質膜は、延伸されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の多孔質膜(以下、「ePTFE膜」、「延伸多孔質PTFE膜」などと称することがある)である。ePTFE膜は、極めて微細な孔を形成でき、表面の平滑性を高めることができるため、透湿樹脂層を容易に薄く均一に形成できる。また、ePTFE膜は、空孔率を高くすることが可能であり、得られる複合膜の透湿性を高くできる。さらに、ePTFE膜は、極めて優れた疎水性を備えており、このため、得られる複合膜は確実に液体の浸透を阻止することができる。
【0053】
疎水性多孔質膜と透湿性樹脂の層を積層加工する際は、熱融着により積層加工してもよいが、疎水性多孔質膜の耐熱性が透湿性樹脂の耐熱性を下回ると、融着加工が困難になる。そのため耐熱性に優れた素材を疎水性多孔質膜に使用すれば、透湿性樹脂の層との融着加工が容易となり、また透湿性樹脂の材質選択の自由度が大きくなる。
【0054】
ePTFE膜は、PTFEのファインパウダーを成形助剤と混合して得られるペーストを成形し、該成形体から成形助剤を除去した後、高温高速度で延伸し、さらに必要に応じて焼成することにより得られる。その詳細は、例えば特公昭51−18991号公報に記載されている。なお、延伸は、1軸延伸であってもよいし、2軸延伸であってもよい。1軸延伸多孔質PTFEフィルムは、ミクロ的には延伸方向と略直交する細い島状のノード(折り畳み結晶)が存在し、このノード間を繋ぐようなすだれ状のフィブリル(前記折り畳み結晶が延伸により溶けて引き出された直鎖状の分子束)が延伸方向に配向している点に特徴がある。一方、2軸延伸多孔質PTFEフィルムは、フィブリルが放射状に拡がり、フィブリルを繋ぐノードが島状に点在してフィブリルとノードとで分画された空間が多数存在するクモの巣状の繊維質構造となっている点にミクロ的な特徴がある。2軸延伸多孔質PTFEフィルムは、1軸延伸多孔質PTFEフィルムよりも広幅化が容易であり、縦方向・横方向の物性バランスに優れ、単位面積あたりの生産コストが安くなるため、特に好適に用いられる。
【0055】
疎水性多孔質膜の最大孔径は、例えば、15μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。最大孔径が大きすぎると、複合膜の製造時に透湿性樹脂を含む混合液を塗布または含浸させたときに、この透湿性樹脂が疎水性多孔質膜の細孔内に入り込み易くなるため、透湿性樹脂の層の形成が困難となる場合がある。最大孔径が小さくなるほど、透湿樹脂層の均一化が容易になり、ピンホールの発生を抑制することができる。ePTFE膜の最大孔径は延伸倍率等によって適宜制御できる。
【0056】
前記最大孔径は、イソプロパノールを用いたバブルポイント法(JISK3832)に従ってバブルポイント値を求め、下記式によって決定できる。
d=4γIPAcosθ/PB
(式中、dは最大孔径、γIPAはイソプロパノールの表面張力、θはイソプロパノールと疎水性多孔質膜の接触角(但し、疎水性多孔質膜がIPAで濡れている場合は、cosθ=1)、PBはバブルポイント値を示す)
【0057】
なお、疎水性多孔質膜の平均孔径が小さくなりすぎると、疎水性多孔質膜の通気性、ひいては透湿性が低下し、複合膜の透湿能力が低下する。したがって、疎水性多孔質膜の平均細孔径は、例えば、0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上である。
【0058】
平均孔径は、細孔分布(細孔径に対する容積分布)から求めた値である。すなわち多孔質膜の全ての細孔を円筒形と仮定して細孔分布を測定し、細孔容積の中間値に対応する細孔径を平均孔径として求めた。なお本明細書において、疎水性多孔質膜の平均細孔径は、コールターエレクトロニクス社のコールターポロメーターを使用して平均孔径を求めた。
【0059】
疎水性多孔質膜の空孔率は前記平均孔径に応じて適宜設定できるが、例えば、40%以上(好ましくは50%以上)である。また前記空孔率は、例えば、98%以下(好ましくは90%以下)程度である。なお、ePTFE膜の空孔率は、上記平均細孔径と同様、延伸倍率等によって適宜調整できる。
【0060】
疎水性多孔質膜の空孔率は、疎水性多孔質膜の質量Wと、空孔を含む見かけの体積Vとを測定することによって求まる嵩密度D(D=W/V:単位はg/cm)と、全く空孔が形成されていないときの密度Dstandard(PTFE樹脂の場合は2.2g/cm)を用い、下記式に基づいて算出できる。なお、体積Vを算出する際の疎水性多孔質膜の厚みは、ダイヤルシックネスゲージで測定した(テクロック社製「SM−1201」を用い、本体バネ荷重以外の荷重をかけない状態で測定した)平均厚みによる。
空孔率(%)=[1−(D/Dstandard)]×100
【0061】
疎水性多孔質膜の通気度(JISP8117:1998)は、例えば、500sec以下、好ましくは10sec以下である。通気度の値が大きすぎると、複合膜の透湿性が低くなり、得られる複合膜の透湿性が不充分となる。また複合膜を熱交換膜や膜蒸留用の膜として使用したときに、熱交換能力の低下や分離効率の低下が生じる。なお、通気度はガーレー数を意味する。ガーレー数とは、100cmの空気が1平方インチ(642mm)当たりの面積を流れるのに要する時間である。本明細書において、特に断りのない限り、通気度は旭精工社製王研式透気度測定器「KG1(商品名)」を用いて測定したものである。
【0062】
疎水性多孔質膜の厚みは特に限定されないが、例えば、100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。厚くなりすぎると複合膜の透湿能力が低下し、膜蒸留用の膜として使用したときに、熱交換能力の低下や分離効率の低下が生じる。但し、薄くなりすぎるとガスバリア性が低下し、液体や塩が透過してしまったり、また、加工性を損なったりする。よって疎水性多孔質膜の厚さは、例えば、5μm以上、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
【0063】
上述した様に、本発明では、疎水性多孔質膜と、補強用多孔質膜によって補強された透湿性樹脂の層とを複合化する。多孔質膜の表面の凹凸(孔径)は、不織布の繊維径に比べて遙かに小さく、透湿樹脂液の液溜まりを防ぐことができる。これにより、透湿性樹脂の層を薄く均一にし、ひいては高耐久性にしている。また、疎水性多孔質膜自体が、複合膜全体を補強している。
【0064】
(v)通気性補強材
【0065】
通気性補強材は、通常、繊維状の樹脂で形成されている。繊維状の樹脂を使用することによって、通気性と強度とを兼ね備えた補強材を簡便に製造できる。繊維状樹脂によって形成される通気性補強材は、織布、編布、不織布(例えば、サーマルボンド方式、スパンボンド方式などの製法によって形成された不織布など)、ネットのいずれであってもよい。特に好ましい通気性補強材は、不織布である。
【0066】
(vi)用途
【0067】
本発明の複合膜は、ガスバリア性が高く、透湿度も高い。そのため気体や液体に含まれる水蒸気を選択的に透過させるための分離膜(水分量調整モジュール用分離膜)として有利に使用でき、例えば、パーベーパレーション膜[例えば海水淡水化や水と他の液体(エタノールなどのアルコールなど)を分離するための膜]、除湿膜、加湿膜などとして使用できる。
【0068】
なお前記水分量調整モジュールでは、複合膜の透水性樹脂の層側の面に水を供給する側の流体(脱水される側の流体を含む)が流され、複合膜の他方の面に水を受け取る側の流体(脱水する側の流体を含む)が流され、これら給水側の流体と受水側の流体とが混ざらないように流路制御されている。好ましい水分量調整モジュールは、平膜スタック型モジュールであり、給水側流体と受水側流体は向流方向に流される。
【0069】
水分透過モジュールでは、複合膜が積み重ねられており、この積み重ねられた複合膜はスペーサーなどによって所定間隔で隔てられている。例えば、図4に示されるような、複合膜10および波形のスペーサー50を積層する態様がある。複合膜の両側に間隙が形成されることによって、この間隙を流体流路として使用でき、この両側の流体間で水分を交換することで、水分調整ができる。
【0070】
また本発明の複合膜は、透湿性樹脂として耐水透湿性樹脂を使用することによって、高温多湿下でも、ガスバリア性と透湿性を高めることができる。そのため高温多湿ガスから水蒸気を選択的に透過させる為の分離膜(例えば燃料電池電極の排ガス(特に空気極側の排ガス)に含まれる水蒸気を燃料極又は空気極(特に燃料極)に供給するガスの加湿に使用するための加湿膜)としても有利に使用できる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0072】
(複合膜の調製) 実施例1
補強用多孔質膜として、ePTFE膜(ジャパンゴアテックス株式会社製、平均厚さ4μm、平均孔径0.3μm、最大孔径0.5μm、空孔率80%、ガーレー数0.9秒、引張強度MD1.0N、TD1.2N)を用意した。
疎水性多孔質膜として、ePTFE膜(ジャパンゴアテックス株式会社製、平均厚さ40μm、平均孔径0.2μm、最大孔径0.4μm、空孔率86%、ガーレー数5.4秒、引張強度MD1.2N、TD1.8N)を用意した。
透湿性樹脂溶液として、フッ素系イオン交換樹脂(旭硝子株式会社製「フレミオン(商品名)」、固形分9%エタノール溶媒(EtOH/HO=50/50))を用意した。
透湿性樹脂を、補強用多孔質膜の両面から、含浸させた。含浸と同時に、疎水性多孔質膜を、補強用多孔質膜の片面に載せ貼り合わせた。塗布した透湿性樹脂を130℃で1分間乾燥させた。
通気性補強材として、ポリエステル繊維(ユニチカファイバー株式会社製「メルティ(商品名)」、2.2dtex)を用いたサーマルボンド不織布(シンワ株式会社製「9820F(商品名)」)を用意した。通気性補強材を疎水性多孔質膜の透湿性樹脂を塗布した面とは反対の面に熱融着し(500kPaの荷重をかけながら150°Cで3分間)、実施例1の不織布付複合膜を形成した。
【0073】
比較例1
補強用多孔質膜を使用しなかったことを除いて、実施例1と同様にして複合膜を形成した。
【0074】
(評価)
実施例1および比較例1の複合膜の、透湿度、機械的強度、ならびに耐久性について評価を行った。以下に、それぞれの評価方法および評価結果について詳述する。
【0075】
(1)透湿度
得られた不織布付複合膜の室温透湿性(JISL1099B−1法に依る)を測定した。測定結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
この結果から、補強層の有無による透湿性への影響はほぼ無いことが分かった。
【0078】
(2)機械的強度
補強用多孔質膜の有無が透湿性樹脂の層(機能層)の機械的強度に与える影響を評価した。疎水性多孔質膜、通気性補強材による機械的強度向上の影響を除くために、実施例1および比較例1の不織布付複合膜から、疎水性多孔質膜、通気性補強材を除いたものを試料として用意した。引っ張り試験機にて、常温条件での環境温湿度(23℃、50%RH)又は高温多湿条件での環境温湿度(60℃、100%RH)において、初期チャック間距離:80mm、試験片形状:10mm幅矩形、引張速度200mm/minにて測定を行った。引っ張り強度が最大になった時点での強度及び試料が破断した時点での伸度を求めた。また、弾性率は伸度が2%の時点での値を用いた。結果を表2に示す。
【0079】
【表2】

【0080】
この結果から、補強用多孔質膜を有することにより、機械的強度が大幅に向上することが分かった。すなわち、透湿性樹脂の層(機能層)が補強用多孔質膜に含まれることにより、耐久性が大幅に向上した。
【0081】
注目すべきことに、高温多湿条件において、補強用多孔質膜を有するものの機械的強度が向上している。本発明の複合膜を、水分量調整モジュール用分離膜、例えば、除湿膜、加湿膜、パーベーパレーション膜として実際に使用する場合、高温多湿条件であることが予想される。すなわち、実際の使用条件に近い高温多湿条件において、本発明の複合膜の機械的強度が高いことが示された。
【0082】
(3)耐久性
図5に示す耐久試験装置を用いて、実施例1および比較例1の不織布付複合膜の耐久性を試験した。耐久試験装置において、不織布付複合膜を配置し、水を注入し、そして試験用粉体を10wt%で水中に分散させた。耐久試験装置は、Airをバブリングすることができ、これにより試験用粉体を14日間攪拌させた。攪拌された試験用粉体は、耐久試験装置に配置した不織布付複合膜と接触した。耐久試験前後の不織布付複合膜について、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)による分析を行った。(FT−IRの測定装置:PerkinElmer社製Spectrum100、測定条件(ATR法により4000-400cm-1範囲で測定を実施。))
なお、試験用粉体の組成は、SiOが95%であり、Fe、Al、TiOおよびMgOの強熱減量が5%以下であった。試験用粉体の粒子密度は、2.6−2.7g/cmであった。粒径分布は、表3に示したとおりであり、表中のオーバーサイズ(%)とは、全粉体(粒子)に対して、指示されている粒径よりも大きな粒径の粉体(粒子)の割合を意味する。例えば、全粉体に対して、粒径が45μmより大きな粉体の割合は100%であり、粒径が75μmより大きな粉体の割合はおよそ90%である。したがって、45〜75μmの粉体の割合は、およそ10%(100−90)である。また、粒径が106μmより大きな粉体の割合はおよそ80%であり、したがって粒径が75〜106μmの粉体の割合は、およそ10%(90−80)である。
【0083】
【表3】

【0084】
不織布付複合膜について耐久試験前後でFT−IR分析を行った。不織布付き複合膜は、実施例1の補強層ありのものと、比較例1の補強層なしのものを用いた。補強なしのものは、耐久前後のFT−IRチャート上でピーク高さの変化が見られた。特に、500cm−1付近の谷が耐久後に大きくなっている、および1000cm−1付近の谷が小さくなっているなどの変化が見られた。補強ありのものは、耐久前後のFT−IR上でピークの変化がほとんど見られなかった。すなわち、補強無しの複合膜の表面は、耐久前後で変化したと考えられるが、補強ありの複合膜の表面は、耐久前後でほとんど変化しなかったと考えられる。
【0085】
補強なしの複合膜の表面の変化について調べるために、補強なしの複合膜およびePTFE単体のFT−IRチャートを比較した。補強なし複合膜は、耐久後に、500cm−1付近の谷が大きくなっていた。これは、ePTFEの500cm−1付近の谷とよく似ていた。このことから、補強されていない機能層(透湿性樹脂の層)が、耐久試験により減耗し、機能層の下にある疎水性多孔質膜(ePTFE膜)が露出してきたと考えられる。また、補強なし複合膜は、耐久後に、1000cm−1付近の谷が小さくなっていた。ePTFEは、1000cm−1付近で平坦なチャートを示し、ピークを示していない。このことから、1000cm−1付近で見られる谷は、機能層(透湿性樹脂の層)の材料に起因するものと考えられ、それが耐久試験により減耗し、1000cm−1付近で見られる谷が小さくなったと考えられる。
【0086】
これらの結果から、補強なしの複合膜は耐久試験によって機能層(透湿性樹脂の層)が減耗し、機能層の下にある疎水性多孔質膜(ePTFE膜)が露出してきたと考えられる。一方、補強ありの複合膜では耐久試験後もほとんど表面成分の変化が見られなかった、すなわち、機能層(透湿性樹脂の層)が減耗することなく、健全な状態を維持したと考えられる。
【符号の説明】
【0087】
10 複合膜
50 スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性多孔質膜の片面に透湿性樹脂の層を積層してなる複合膜であって、該透湿性樹脂の層は補強用多孔質膜に含まれることを特徴とする、複合膜。
【請求項2】
該透湿性樹脂の層が該補強用多孔質膜の上表面から露出していることを特徴とする、請求項1に記載の複合膜。
【請求項3】
該透湿性樹脂の層が該補強用多孔質膜の下面から露出していることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合膜。
【請求項4】
該補強用多孔質膜の下面から露出した該透湿性樹脂の層の少なくとも一部が、該疎水性多孔質膜内に入り込んでいるが、該疎水性多孔質膜の下面から露出していないことを特徴とする、請求項3に記載の複合膜。
【請求項5】
該透湿性樹脂の層の厚みが25μm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項6】
該透湿性樹脂の層の厚みが10μm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項7】
該透湿性樹脂の層の厚みが5μm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項8】
該透湿性樹脂が、以下の耐水性試験前後の樹脂の体積変化から求まる膨潤度が2倍以上且つ20倍以下の膨潤性を示し、
膨潤度=耐水性試験後の樹脂の体積/耐水性試験前の樹脂の体積
耐水性試験:温度120℃、水蒸気圧0.23MPaの環境下に樹脂を24時間放置し、次いで温度25℃の水に15分間浸漬すること、
を特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項9】
該透湿性樹脂がポリスチレンスルホン酸、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール共重合体、フッ素系イオン交換樹脂、繰り返し単位にプロトン性親水性基を有する樹脂、繰り返し単位に非プロトン性親水性基を有する樹脂のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項10】
該透湿性樹脂がフッ素系イオン交換樹脂、ポリビニルアルコール、ポリウレタンのいずれかであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項11】
該補強用多孔質膜が、延伸PTFE膜であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項12】
通気性補強材を、該疎水性多孔質膜の該透湿性樹脂の層が積層されている面と逆の面に積層していることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合膜。
【請求項13】
該通気性補強材が織布、不織布、ネットのいずれかであることを特徴とする、請求項12に記載の複合膜。
【請求項14】
水蒸気分離膜として使用することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−206062(P2012−206062A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75382(P2011−75382)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000107387)日本ゴア株式会社 (121)
【Fターム(参考)】