説明

複合装置

【課題】 多様なゲーム開発を可能とする等、第1装置で格納したデータを第2装置で利用可能とした複合装置を提供する。
【解決手段】 第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置であって、第1モードで起動した状態で、第1装置に処理対象となったデータを所定の形式に変換させ、当該変換後のデータを共用領域に格納させてから、第1モードに代えて、第2モードで起動する複合装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的に起動される複数のモードを備えた複合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ番組等の録画や音楽再生に用いる装置としてハードディスク装置が注目されている(特許文献1)。ハードディスク装置は、ランダムアクセスが可能で、かつ記憶容量が大きいという特徴を有している。そして、この特徴を活かして、録画等を行いながら、一方で別の部分を再生するなどといった処理が可能であり、テレビ番組視聴や音楽鑑賞の娯楽性を格段に向上できるようにしている。
【特許文献1】特開2002−94916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年では家庭用ゲーム機においても、ゲーム内容の高度化に伴ってハードディスク等の大容量デバイスが要求されることが多くなっている。これらの事情を背景として、テレビ番組録画や音楽再生を実現する第1装置と、家庭用ゲーム機の機能を実現する第2装置とを複合した複合装置が開発されている。
【0004】
この複合装置では、ハードディスクに対して第1装置と第2装置との双方からアクセス可能とすることが好適であるが、それと同時に、第2装置である家庭用ゲーム機では、過去からのゲームソフトウエアの資産をそのまま利用できるようにすることが好ましい。すなわち、第1装置と複合されても、複合される前の家庭用ゲーム機との互換性が維持できるようにしておく必要がある。
【0005】
このように、一方の装置の互換性を維持しつつ、他の装置と複合させた複合装置を実現するためには、第1装置の機能を主として利用する第1モードと、ゲーム機など、第2装置の機能を主として利用する第2モードとを切替え可能とすればよい。
【0006】
しかしながら、例えば第1モードの機能にて録画・録音された映像や楽曲を第2モードのゲームに取込むことができれば、これらを利用したゲームを作ることができ、より多様なゲームの開発を促進できる。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、多様なゲーム開発を可能とする等、第1モードで格納したデータを第2モードの処理で利用可能とした複合装置を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置であって、前記第1モードで起動した状態で、第1装置に処理対象となったデータを所定の形式に変換させ、当該変換後のデータを前記共用領域に格納させてから、第1モードに代えて、第2モードで起動することを特徴としている。
【0009】
また、上記従来例の問題点を解決するための本発明は、第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置の制御方法であって、前記第1モードで起動した状態で、第1装置に処理対象となったデータを所定の形式に変換させ、当該変換後のデータを前記共用領域に格納させてから、第1モードに代えて、第2モードで起動することを特徴としている。
【0010】
さらに上記従来例の問題点を解決するための本発明は、第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置の前記第1装置によって実行されるプログラムであって、当該第1装置に、処理対象となったデータを所定の形式に変換させる手順と、当該変換後のデータを前記共用領域に格納させる手順と、を実行させることを特徴としている。
【0011】
また本発明の一態様に係る記録媒体は、第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置によって実行されるプログラム群を格納するものであって、当該プログラム群に、前記第1モードで起動した状態で実行され、処理対象となったデータを所定の形式に変換させる手順と、当該変換後のデータを前記共用領域に格納させる手順と、を、前記第1装置に実行させる第1プログラムと、前記第2モードで起動した状態で実行され、前記共用領域に格納された変換後のデータに基づく所定処理を、前記第2装置に実行させる第2プログラムと、を含むことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、テレビ番組録画・再生や音楽の録音・再生等を行う第1装置と、家庭用ゲーム機としての機能を実現する第2装置とを複合した例について述べる。本実施の形態の複合装置では、起動のモードとして第1モードと第2モードとを選択できるようになっている。ここで第1モードにて起動された場合は、主として映像や音楽の録画・録音、又は再生を行う装置として機能し、第2モードに起動された場合は、主として家庭用ゲーム機として機能する。
【0013】
本発明の実施の形態に係る複合装置は、図1に示すように、第1装置部10と、第2装置部20と、共用部30と、ハードディスク40と、通信部50とを、含んで構成されている。これらは一つの筐体内に収納されていてもよい。ここで、第1装置部10と共用部30とは、第1のバスB1によって相互に接続されている。また、第2装置部20は、第2のバスB2を備えており、この第2のバスB2は、共用部30の第3のバスB3に対して相互に通信可能に接続されている。
【0014】
また、第1装置部10は、放送受信部11と、オーディオビデオ(AV)信号処理部12と、セレクタ13と、符号化部14と、第1記憶部15と、第1制御部16とを含む。第2装置部20は、光ディスクドライブ21と、光ディスクコントローラ22と、起動ROM23と、第2制御部24と、描画処理部25と、表示画像出力部26と、合成部27と、バス接続部28とを含む。
【0015】
さらに共用部30は、通信インタフェース部31と、第1バッファ32と、第2バッファ33と、セレクタ34と、暗号化部35と、レジスタ36と、共有レジスタ37と、共有バッファ38と、ブリッジ部39とを含む。
【0016】
ここでハードディスク40は、図2に概要を示すように、共用領域と、専用領域とを含む。ハードディスク40に対しては、第1装置部10を介してデータの読み出しや書き込みがなされる。すなわち第1装置部10は、第2装置部20からのデータの読み出し、書き込みの要求(アクセス要求)を受けて、当該要求に応じてハードディスク40に対するデータの読書きの処理を行う。また、この第1装置部10は、第2装置部20から共用領域へのアクセス要求に対しては、当該要求に応じた処理を行うが、専用領域へのアクセスがあった場合は、当該アクセスには応答しない(アクセスを禁止する)。具体的に、ハードディスク40におけるこれらの領域は、ハードディスク40にパーティションを設定することによって実現できる。
【0017】
第1装置部10の放送受信部11は、アンテナに到来した信号から、ユーザの選局操作に応じて選択した放送局の信号を選択的に受信し、AV信号処理部12に出力する。なお、ユーザの選局操作は、図示しない操作部によって行われる。当該選局操作の内容は、例えば、第2装置部20の第2制御部24に入力され、共用部30と、第1のバスB1とを介して第1制御部16と放送受信部11に入力されるようになっている。
【0018】
AV信号処理部12は、放送受信部11から入力された放送局の信号の入力を受けて、その映像信号及び音声信号を再生してセレクタ13に出力する。また、このAV信号処理部12は、第1のバスB1から入力される映像データに基づいて映像信号及び音声信号を再生し、セレクタ13に出力する。
【0019】
セレクタ13は、第1制御部16から入力される選択信号に基づいて、AV信号処理部12から入力される信号を、符号化部14に出力するか否かを定める。また、このセレクタ13は、第1制御部16から入力される選択信号に基づいて、AV信号処理部12から入力される信号を、第2装置部20の合成部27に出力するか否かを定める。
【0020】
具体的に、テレビ放送番組をDVDに録画する場合は、映像信号等を符号化する必要のため、セレクタ13を制御して、AV信号処理部12から入力される信号が符号化部14に出力されるようにする。また、DVDやハードディスク40に記録された映像や音楽を再生する場合は、セレクタ13を制御してAV信号処理部12から入力される信号が第2装置部20の合成部27に出力されるようにする。
【0021】
符号化部14は、入力される映像や音声の信号を、例えばMPEG(Motion Picture Experts Group)の規格に準拠したデータに符号化して共用部30のブリッジ部39に出力する。
【0022】
第1記憶部15は、RAM(Random Access Memory)等のメモリ素子を含んで構成され、第1制御部16によって実行されるプログラムを保持する。また、この第1記憶部15は、第1制御部16の処理において必要となる種々のデータを保持するワークメモリとしても動作する。
【0023】
第1制御部16は、CPU等であり、第1記憶部15に格納されているプログラムに従って動作する。この第1制御部16は、種々のデータをハードディスク40へ記録する処理を行う。本実施の形態では、第2装置部20はハードディスク40に対して直接アクセスできず、第1装置部10を介してアクセスするようにしている。これは、複数の装置間でハードディスクを共有する際に、競合の発生を防止するとともに、第2装置部20である家庭用ゲーム機と、過去の家庭用ゲーム機(ハードディスクアクセス機能を有しないゲーム機)との互換性を維持するためである。
【0024】
また、この第1制御部16は、セレクタ13を制御して映像や音声の信号を符号化させる処理等、第1装置部10を制御する種々の処理を行う。さらに本実施の形態においては、この第1制御部16はさらに、第1モードで起動されている状態において、ハードディスク40に記録されている処理の対象となったデータを所定の形式に変換し、当該変換後のデータをハードディスク40上に設定された共用領域(図2参照)に格納する処理(データ変換処理)を行う。これらの第1制御部16の具体的処理の内容は後に述べる。
【0025】
第2装置部20の光ディスクドライブ21は、例えばDVDドライブである。このDVDドライブは、DVD−R,DVD−RW等、種々のDVD規格の光ディスクに対してデータを書込み可能となっている。また、このDVDドライブは、DVD規格の光ディスクや、CD規格の光ディスク等からデータを読み出すことができるようになっている。このような光ディスクドライブは広く知られているものを採用できる。
【0026】
光ディスクコントローラ22は、光ディスクドライブ21を制御して、データの書き込み、又は読出しを行わせる。本実施の形態では、家庭用ゲーム機としての機能を実現する第2装置部20は、DVD−ROM等に記録されたゲームソフトウエアに基づいて、ゲームの処理を行うことになる。この場合、光ディスクコントローラ22は、ゲームソフトウエアのデータを読出して、当該データを第2制御部24に出力することとなる。また、この光ディスクコントローラ22は、DVDやCD等から読出したデータを、共用部30を介して第1装置部10のAV信号処理部12に出力する。
【0027】
起動ROM23は、第2制御部24によって読出される。この起動ROM23には、家庭用ゲーム機としての第2装置部20を起動し、ゲームプログラムを読み込んで、ゲームを開始するためのプログラム(ブートプログラム)が格納されている。
【0028】
第2制御部24は、CPUを用いて実現できる。第2モードで起動するべき旨の指示を受けると、この第2制御部24は、起動ROM23からブートプログラムを読み出す。そして、当該ブートプログラムに基づいて、光ディスクコントローラ22を制御し、ゲームプログラムを読み出させ、当該読出させたゲームプログラムを実行する。
【0029】
また、この第2制御部24は、第1モードで起動されている間は、第1装置部10側から入力される指示に従って、画面上に表示する画像を生成する処理を行う。さらに第2制御部24は、図示しない操作部から、ユーザの指示操作の内容を受け入れて、当該受け入れた指示操作の内容に基づく所定処理を実行する。これら第2制御部24の具体的な処理内容についても、後に述べる。
【0030】
描画処理部25は、具体的にはGPU(Graphics Processing Unit)等の情報処理素子であり、第2制御部24から入力される指示に従って表示するべき画像を生成し、当該生成した画像を表示画像出力部26に出力する。また、本実施の形態の描画処理部25は、MPEG符号化されたデータの入力を受けて、当該データをデコードして映像・音声データを生成し、表示画像出力部26に出力する。本実施の形態の複合装置では、第1装置部10、第2装置部20の双方とも、操作メニュー等のユーザインタフェイス画面を表示する場合に、この描画処理部25を利用することとなる。
【0031】
表示画像出力部26は、描画処理部25が出力する映像・音声データを、テレビ受像機側で受入可能な映像・音声信号に変換して出力する。具体的には、描画処理部25が出力する画像データを、RGB又はコンポジットの信号に変換して出力する。合成部27は、表示画像出力部26が出力する映像信号と、セレクタ13が出力する映像信号とを合成(スーパーインポーズ)して出力する。また、表示画像出力部26とセレクタ13がそれぞれ出力する音声信号を合成(ミックス)して出力する。この合成部27が出力する信号は、テレビ受像機などに入力され、テレビ受像機の画面に映し出され、又はテレビ受像機などのスピーカーによって鳴動される。
【0032】
バス接続部28は、第2バスB2と第3バスB3との間に接続されている。このバス接続部28は、第2装置部20側から共用部30へのデータを中継する。また、このバス接続部28は、共用部30から第2装置部20へのデータを中継する。
【0033】
共用部30の通信インタフェース部31は、通信部50に接続されている。この通信インタフェース部31は、通信部50にて受信されたデータを第3バスB3を介して出力する。また、この通信インタフェース部31は、通信部50を介して送信するべきデータを第3バスB3を介して受け入れて、当該受け入れたデータを通信部50に出力する。
【0034】
第1バッファ32は、第1制御部16との間で入出力するデータを保持するDMA(Direct Memory Access)バッファである。第2バッファ33は、第2制御部24との間で入出力するデータを保持するDMA(Direct Memory Access)バッファである。セレクタ34は、第1制御部16から入力される信号によって制御される。このセレクタ34は、第1バッファ32と、第2バッファ33とのいずれか一方を、暗号化部35に接続する。
【0035】
暗号化部35は、セレクタ34を介して入力されるデータを暗号化してハードディスク40に格納する。また、この暗号化部35は、ハードディスク40から読出したデータを復号してセレクタ34に出力する。つまりこの暗号化部35は、セレクタ34を介して第1バッファ32に接続されているときに、ハードディスク40に対してデータを書き込む場合は、第1バッファ32に格納されているデータを暗号化してハードディスク40に格納する。また、ハードディスク40からデータを読み出す場合は、ハードディスク40から読出したデータを復号して第1バッファ32に格納する。同様に、暗号化部35がセレクタ34を介して第2バッファ33に接続されているときに、ハードディスク40に対してデータを書き込む場合は、第2バッファ33に格納されているデータを暗号化してハードディスク40に格納する。また、ハードディスク40からデータを読み出す場合は、ハードディスク40から読出したデータを復号して第2バッファ33に格納する。
【0036】
レジスタ36は、第2制御部24がハードディスク40にアクセスする際のコマンドやコントロールデータを書き込むためのレジスタである。具体的にハードディスク40がIDE(Integrated Device Electronics)の方式(例えばいわゆるATA等の規格)で接続されている場合、このレジスタ36は、IDEレジスタの一種として動作する。ハードディスク40へのアクセスする際には、このレジスタ36に対して書き込みや読出しのためのコマンドや、データの書き込み/読出し速度を表すコントロールデータ等を書き込んでおく。
【0037】
既に述べたように、本実施の形態では第1装置部10側のみがハードディスク40に直接、アクセスできるようにしている。つまり、本実施の形態では、第1装置部10の第1制御部16が、このレジスタ36に格納された内容を参照して、第2装置部20側からハードディスク40への書込み/読出し要求を、ハードディスク40内のIDEレジスタへと転送する。なお、ハードディスク40は、内部のIDEレジスタに格納されるコマンド及びコントロールデータに従って、データの書込み/読出しを行っている。
【0038】
共有レジスタ37と共有バッファ38とは、第1装置部10と第2装置部20との間でデータを授受する際に利用される。例えば第2制御部24は、操作部(不図示)から入力される指示操作の内容を表す情報を、この共有バッファ38に格納する。そして第1制御部16が共有バッファ38から当該情報を読み出して、指示操作を受け入れるようになっている。
【0039】
ブリッジ部39は、第1制御部16から入力される選択制御信号に基づいて、符号化部14が出力するデータを、第1バスB1と、第3バスB3とのいずれか一方に転送する。
【0040】
通信部50は、例えばモデム、又はネットワークカードであり、通信インタフェース部31から入力されるデータを変調するなどして、ネットワークを介して送信する。また、この通信部50は、ネットワークを介して受信されるデータを復調するなどして、通信インタフェース部31に出力する。
【0041】
本実施の形態の複合装置は、以上の構成を含んでなり、次のように動作する。また、各動作に応じて、第1、第2の制御部16,24の動作が異なるので、以下にそれぞれの場合に応じて説明する。
【0042】
まず、第1モードで起動された状態での動作について説明する。第1モードでは、第2装置部20は、ユーザの指示操作を第1装置部10に伝達し、また第1装置部10からの要求に応じてインタフェースの画面を生成して表示する処理を実行する。また、第1装置部10は、テレビ映像などをハードディスク40に録画するなどの処理を実行する。
【0043】
第1制御部16は、AV信号処理部12が出力する信号を、符号化部14と、合成部27との双方に出力するよう、セレクタ13を制御する。また、この第1制御部16は、ブリッジ部39に対して符号化部14が出力するデータを第1バスB1に出力するよう、選択制御信号を出力する。これにより放送受信部11によって受信され、AV信号処理部12が出力する映像・音声信号は、符号化部14によって符号化されてMPEGのデータとなり、ブリッジ部39を介して第1バスB1に出力される。このデータは、さらに第1バッファ32によって保持される。
【0044】
第1制御部16は、ハードディスク40に内蔵されているIDEレジスタに対して書込み要求を格納し、セレクタ34を第1バッファ32に接続させる。これにより第1バッファ32に保持されたデータが、暗号化部35によって暗号化され、ハードディスク40に記録される。なお、第1制御部16は、このMPEG符号化されたデータを、ハードディスク40のパーティションのうち、専用領域に書き込ませる。
【0045】
なお、この状態において、第2制御部24は、ユーザの指示操作を受けて、第1装置部10側に伝達する処理、並びに、第1装置部10側からの指示に応じて、画面上にユーザインタフェイス画面を描画する処理を行っている。
【0046】
次に、本実施の形態の複合装置において、CDからデータを取り込み、ハードディスク40に記録する処理について説明する。このような処理は、いわゆるリッピング処理として広く知られているものである。この動作においても、第1装置部10が主として動作する(つまり、第1装置が起動された状態にある)。
【0047】
第1制御部16は、第2装置部20の第2制御部24との間でユーザの指示操作の内容や、光ディスクコントローラ22に対する指示、さらには光ディスクコントローラ22が出力するデータ等、種々の情報をやり取りする。具体的に、第1制御部16は、第2制御部24に対して(共有バッファ38を介して)光ディスクコントローラ22にデータを読出させるよう指示する。第2制御部24は、光ディスクコントローラ22に対してデータの読出しを指示し、光ディスクコントローラ22が当該指示に応じて、光ディスクドライブ21を駆動して、セットされている光ディスク(ここではCD)から音声データを読み出して、第2制御部24に出力する。第2制御部24は、この音声データを共有バッファ38を介して第1制御部16に転送する。
【0048】
第1制御部16は、転送された音声データをAV信号処理部12に出力して音声信号を生成させ、セレクタ13を制御して、当該生成させた音声信号を符号化部14に出力させる。符号化部14では、この音声信号をMPEG符号化(いわゆるMP3化)して、MP3データを生成する。なお、ここではMP3に符号化する例について述べるが、これに限られるものではない。
【0049】
符号化部14が出力するMP3データは、ブリッジ部39を介して第1バスB1に出力される。このMP3データは、さらに第1バッファ32によって保持される。
【0050】
第1制御部16は、ハードディスク40に内蔵されているIDEレジスタに対して書込み要求を格納し、セレクタ34を第1バッファ32に接続させる。これにより第1バッファ32に保持されたMP3データが、暗号化部35によって暗号化され、ハードディスク40に記録される。なお、第1制御部16は、このMP3データを、ハードディスク40のパーティションのうち、専用領域に書き込ませる。この際、第1制御部16は、このMP3データのファイル名を、ランダムに、或いはネットワークを介してCDDB(CD Database)等から取得される曲名情報を参照して決定する。
【0051】
さらに、第1制御部16は、ハードディスク40の専用領域に格納されているデータ、つまり、映像や音声を含むMPEGデータや、オーディオのCDから取り込んだMP3データを用いたゲームを開始するべき旨の指示操作(専用領域内データを利用するゲームの開始指示)をユーザから受けて、次の処理を開始する。
【0052】
つまり第1制御部16は、光ディスクドライブ21にセットされた光ディスク(DVD−ROMなど)や、記憶部15に格納されている、専用領域内データを利用するゲームの起動処理用プログラム(第1プログラム)を読み出し、当該第1プログラムの処理を開始する。
【0053】
この処理では、図3に示すように、まず、処理対象となるデータの候補を専用領域から読出して、その一覧を画面に表示させる(S1)。具体的に、MP3データを利用するゲームの場合、専用領域に格納されているMP3データのファイル名一覧を生成し、当該一覧から、処理対象となるデータを選択するためのメニュー画面を表示するよう、第2制御部24に対して指示する。
【0054】
ユーザが、表示されたメニュー画面から処理対象となるデータを選択して、選択を完了した旨の指示操作を行うまで待機し(S2)、選択が完了したときには、選択されたデータを処理対象として、次の処理を行う。選択されたデータのうち、未だ注目データとして処理していない(未処理の)データの一つを、注目データとして(S3)、当該注目データを予め定められたデータ形式に変換する(データ変換処理;S4)。ここで、予め定めたデータ形式とは、例えばMP3データの場合、ADPCM形式など、同種のデータにおける別の符号化の結果であってもよい。また映像のデータの場合、動画像のうちの一つのコマ(例えばユーザに選択させればよい)を静止画として変換したデータであってもよい。
【0055】
第1制御部16は、当該変換後のデータをハードディスク40の共用領域に格納し(S5)、選択されたデータのうち、注目データとして処理していない(未処理の)データがまだあるかを調べる(S6)。ここで、未処理のデータがまだあれば(Yesならば)、処理S3に戻って処理を続ける。また、処理S6において、未処理のデータがなければ(Noならば)、次に第2モードで起動するための処理を行って(S7)、処理を終了する。
【0056】
なお、第1制御部16は、処理S5にて共用領域に格納したデータについて、その管理情報を保持したデータベースを生成し、共用領域に格納してもよい。具体的にこのデータベースは、CDDBやCD自体等から得られる情報として、曲名、アーティスト名、アルバム名、ジャンル、演奏時間などを保持したものである。
【0057】
第1制御部16は、処理S1において専用領域の一覧を表示させるにあたり、このデータベースを参照して、既に変換して共用領域に格納したデータと同一のデータについては、一覧から除去する。これにより重複して変換されることを防止するのである。また、第1制御部16は、データベースに保持されているデータの一覧(例えば曲名の一覧)を表示してもよい。この際、当該データの一覧から、共用領域内のデータの削除指示を受け入れるようにしてもよい。
【0058】
なお、ここで専用領域に格納されているデータと、共用領域に格納されているデータとの同一性の判断は、それぞれの曲名や、アーティスト名を比較して行われる。
【0059】
また処理S7における第2モードを起動するための処理は、具体的には、割り込みを発生させて複合装置自体をリセットするとともに、第2制御部24に対してブートプログラムを実行させる処理等を意味する。
【0060】
第2モードでの起動が行われると、第2制御部24は、ブートプログラムを実行し、光ディスクドライブ21にセットされている光ディスク内に格納されているゲームの本体プログラム(第2プログラム)を読み出す。ここで、この第2プログラムが、ハードディスク40の共用領域に格納されたデータを利用するプログラムである場合、第2制御部24は、例えば次のように動作する。
【0061】
本実施の形態において、上記第1プログラム及び第2プログラムは、一つの記録媒体(例えば一枚の光ディスク)に格納しておいてもよい。このようにすることで、再起動の際にディスクを入れ替えるなどの作業が不要となり、利便性を向上できる。このために、記録媒体上で第2装置部20のブートプログラムにより、例えば特定の位置(セクタ等)から記録されているデータをプログラムとして読み込むのであれば、当該特定の位置に第2プログラムを格納しておく。
【0062】
第2制御部24は、この第2プログラムの指示に従って、ハードディスク40の共用領域内のデータ(例えばMP3から変換されたADPCMデータ)や管理情報のデータベースを読出して、曲名の一覧を表示し、ユーザの選択を受けて、当該選択されたADPCMデータをそのまま再生したり、再生ピッチを変更して再生したり、複数のADPCMデータの選択を受けて、音声信号をミックスして再生したり(この際、再生ピッチが一致するよう、少なくとも一方の再生ピッチを変更してもよい)、といった処理を行う。
【0063】
この間、第1装置部10の第1制御部16は、例えばテレビ信号に基づいて生成したMPEGデータをハードディスク40に格納する処理を行っていてもよい。
【0064】
本実施の形態の複合装置によると、このように第1装置部10にて処理可能なデータを、第2装置部20にて利用可能とすることで、多様なゲーム開発を可能とする等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る複合装置の一例を表す構成ブロック図である。
【図2】ハードディスク内の領域の例を表す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る複合装置の動作例を表すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0066】
10 第1装置部、11 放送受信部、12 オーディオビジュアル信号処理部、13,34 セレクタ、14 符号化部、15 記憶部、16 第1制御部、20 第2装置部部、21 光ディスクドライブ、22 光ディスクコントローラ、23 ブートROM、24 第2制御部、25 描画処理部、26 表示画像出力部、27 合成部、28 バス接続部、30 共用部、31 通信インタフェース部、32 第1バッファ、33 第2バッファ、35 暗号化部、36 レジスタ、37 共有レジスタ、38 共有バッファ、39 ブリッジ部、40 ハードディスク、50 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、
前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置であって、
前記第1モードで起動した状態で、第1装置に処理対象となったデータを所定の形式に変換させ、当該変換後のデータを前記共用領域に格納させてから、第1モードに代えて、第2モードで起動することを特徴とする複合装置。
【請求項2】
第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、
前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置の制御方法であって、
前記第1モードで起動した状態で、第1装置に処理対象となったデータを所定の形式に変換させ、当該変換後のデータを前記共用領域に格納させてから、第1モードに代えて、第2モードで起動することを特徴とする複合装置の制御方法。
【請求項3】
第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、
前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置の前記第1装置に、
処理対象となったデータを所定の形式に変換させる手順と、
当該変換後のデータを前記共用領域に格納させる手順と、
を実行させることを特徴とする複合装置の制御プログラム。
【請求項4】
第1装置と、第2装置と、前記第1装置と第2装置との双方からアクセス可能に設定されている共用領域を備えた記憶部と、を有し、
前記第2装置が第1装置のインタフェースとして動作する第1モードと、当該第1モードとは異なる第2モードとのいずれかのモードで選択的に起動される複合装置によって実行されるプログラム群であって、
前記第1モードで起動した状態で実行され、処理対象となったデータを所定の形式に変換させる手順と、当該変換後のデータを前記共用領域に格納させる手順と、を、前記第1装置に実行させる第1プログラムと、
前記第2モードで起動した状態で実行され、前記共用領域に格納された変換後のデータに基づく所定処理を、前記第2装置に実行させる第2プログラムと、
を格納したことを特徴とするコンピュータ可読な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−68064(P2006−68064A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251624(P2004−251624)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】