説明

複合要素の製造方法及び、複合要素

(i)1mm〜20mmの金属、合成樹脂又は無機材料、
(ii)5mm〜300mmの合成樹脂、
(iii)1mm〜20mmの金属、
の層構造を有する複合要素の製造方法において、
(ii)の製造用の液体状出発成分を、上部層(i)と、下部層(iii)との間に形成された空間に、開口部(v)から導入(充填)し、及び、液体状出発成分によって排除される空気を、下部層(iii)の開口部(iv)から排出する(但し、開口部(iv)の周縁部には、壁(x)が固定され、該壁(x)の上部縁は、上部層(i)の表面から0mm〜6mmの距離にまで近づけられ、壁(x)と層(i)の表面との間には、開口部が残され、且つ該開口部からは、排除される空気が排出可能である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の層構造、
(i)1mm〜20mm、好ましくは2mm〜10mm、特に好ましくは3mm〜10mm、特に5mm〜10mmの金属、合成樹脂又は無機材料、
(ii)5mm〜300mm、好ましくは10mm〜100mm、特に好ましくは10mm〜60mm、特に10mm〜30mmの合成樹脂(plastic)、好ましくはポリイソシアネート付加重合体、特に好ましくはポリウレタン、
(iii)1mm〜20mm、好ましくは2mm〜10mm、特に好ましくは3mm〜10mm、特に5mm〜10mmの金属、
を有する複合要素の製造方法に関する。
【0002】
更に、本発明は、本発明に従って得ることができる複合要素を含んだ船の構成要素、特に好ましくは、船壁、又は特に、船のデッキ、好ましくは、油槽船(オイルタンカー)、又は客船、油田掘削装置(船)又は平底船、のもの、又は橋(船橋:bridge)又は橋の構成要素、又は構造物に関する。層(i)、(ii)、及び(iii)のために記載された長さは、それぞれの層の厚さに対応する。
【背景技術】
【0003】
船の構造物、例えば、船の胴体部(船体)、及び船倉デッキ、船橋、屋根、又は高層建築物については、外力(external force)による相当の負荷に耐えることができる構造部分を使用する必要がある。これらの必要性のため、このような構造部分は、通常、金属又は適切な幾何学形状又は適切な筋かいによって補強された金属桁(girder)で構成されている。このため、油槽船の胴体部は、高い安全基準に基づき、通常、内部胴体部と外部胴体部で構成されており、各胴体部は、厚さが15mmの鋼製であり、これらは、長さが約2mの鋼製筋かい(steel bracing)によって互いに結合されている。これらの鋼板は、相当な力を受けることとなるので、外部と内部の両方の鋼製カバー(胴体部)は、溶接された補強要素で補強されている。必要とされる鋼材が大量であることと、製造が、時間のかかる、重労働のものになることの両方が、これら従来の構造部分にとって不利な点になる。更に、このような構造部分は、相当な重量になり、このために船の積載トン数が低くなり、及び必要な燃料が多くなる。更に、これら鋼材に基づいた従来の構造要素は、非常に徹底した管理(保守)が必要である。この理由は、外部表面及び、外部と内部カバーの間の鋼材部分を、腐食から定期的に保護しなければならいからである。
【0004】
金属と合成樹脂(plastic)の結合を含むSPS要素(サンドイッチ−プレート−システム)が、鋼材構造物の代用物として公知である。合成樹脂が、2層の金属層に粘着する結果として、公知の鋼材構造物に対して極めて有利な点を有する複合要素が得られる。このようなSPS要素は、刊行物、特許文献1(US6050208)、特許文献2(US5778813)、特許文献3(DE−A19825083)、特許文献4(DE−A19825085)、特許文献5(DE−A19825084)、特許文献6(DE−A19825087)、及び特許文献7(DE−A19835727)に記載されている。
【0005】
対応する複合要素を、実存する構造物又は建造物内で製造しなければならない場合、SPS要素が特に必要とされる。構造上の必要性のために、対応する複合要素を以下のもの、すなわち、合成樹脂層(ii)を製造するための特定の液体状出発材料を、実質的に水平に向けられた層(i)と層(iii)とによって形成された空間に、下部から充填すること、から製造することを実質的に有利な点として良い。これは、例えば、構造物の下部を、次の方法で修理する場合に該当する。すなわち、該方法は、別の層(層(iii))を構造物の(層(i)の)下部側に固定し、該固定は、層(i)と層(iii)との間に(ii)を充填する空間を残して行ない、そして層(i)(すなわち構造物)を損傷することなく、(i)と(iii)との間に(ii)を充填するものである。
【0006】
【特許文献1】US6050208
【特許文献2】US5778813
【特許文献3】DE−A19825083
【特許文献4】DE−A19825085
【特許文献5】DE−A19825084
【特許文献6】DE−A19825087
【特許文献7】DE−A19835727
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、冒頭に述べた複合要素を製造するための方法を開発することにある。そして、この方法は、層(i)と(iii)の間の、(ii)が充填されるべき空間が上部側から接近できない(上部側が開放されていない)複合要素を製造可能とするもので、層(ii)が層(i)と(iii)に粘着して結合されていることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、(ii)の製造用の液体状出発成分を、実質的に水平に向けられた上部層(i)と、実質的に水平に向けられた下部層(iii)との間に形成され、及び好ましくは、側面が密閉されている空間に、下部層(iii)の少なくとも1個の開口部(v)から導入(充填)し、及び、液体状出発成分によって排除される空気を、下部層(iii)の少なくとも1個の別の開口部(iv)から排出する、
(但し、開口部の周縁部には、壁、好ましくは管(x)が固定され、該壁の上部縁は、層(ii)が面する上部層(i)の表面から0mm〜6mm、好ましくは0.2mm〜6mm、特に好ましくは0.2〜3mmの距離にまで近づけられ、壁(x)と層(ii)が面する層(i)の表面との間には、開口部が残され、且つ該開口部からは、排除される空気が排出可能である)
ことにより達成される。
【0009】
本発明に従う方法は、空間を(ii)の製造用の出発材料で、下側から充填することが可能であり、そして、更に、上部層を損傷することなく、排除空気を排出可能であるという事項において、特徴づけられる。層(i)と層(iii)の間の空間、好ましくは、液状出発成分が流出してしまうことを妨げるように側面が密閉された空間が、(ii)の製造用の液状出発成分で満たされた場合、排除される空気は、好ましい(preferred)管から流れ出て、その空間は、液状出発成分が好ましい管から出てくるまで液状出発成分によって満たされる。しかしながら、上層(i)と好ましい管の上部縁との間の狭い間隙により、液状成分が上層(i)の下面にすでに接触している時にだけ、その管を通して空間から液状成分(液体状成分)があふれ出る。
【0010】
(ii)によって上述の空間が完全に満たされると、すなわち、好ましい管を通して空気が流出した後、開口部(iv)と(v)を例えば、ねじ止め等の手段によって閉塞することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、及び(x)の、本発明に従う配置構成の例が、図1に示されている。
【0012】
管であることが好ましい壁(x)の上部縁から上層(i)の下面までの距離は、種々に変化させても良い。その上部縁の一部が、上層(i)の下面に当接することさえ許容される。本質的に重要なことは、(i)と(iii)との間で満たされる空間の外部へ、液状出発材料によって排除される空気を排出することができる開口部が、壁(x)と層(i)の間に残されるということである。本発明に従えば、上縁部と層(i)の距離が小さいために、空間を下側から排気することが可能である。すなわち、上層(i)が損傷することを避けることが可能であり、それにもかかわらず、空間を層(ii)の製造用の液体状出発成分で完全に満たすこと、すなわち、液体状出発成分が層(i)と接触するまで空間を満たすことができる。
【0013】
本発明に従う壁(x)は、所望の形状の壁で良い。従って、その壁は(壁は(ii)の製造用の液状出発物質が、層(iii)と壁の間から流出することが無いように、開口(iv)に堅く結合されていることが好ましいが)、円形、楕円形、又は、多角形状の断面形状を有する場合がある。壁(x)は、好ましくは、管であり、特に好ましくは、開口(iv)に押し込まれ、その後、開口(iv)の周縁部に堅く結合される管であり、管は、好ましくは層(iii)に溶接される。特に、好ましくは、その壁は、開口部(iv)にねじ止めされる管でも良い。このねじ止めは、例えば、開口部(iv)内にてねじ山を有する(iii)の端部に、対応するねじ山を側面に有する管をねじ込んで行うものである。
【0014】
開口部(iv)は、好ましくは、円形の基部(底面)を有し、8mm〜30mmの直径、好ましくは、10mm〜25mmの直径を有する。
【0015】
通常、その方法は、その高さ位置(evolution)を作成した後に、層(i)と(iii)が固定され、そして、(i)と(iii)の間の空間が(ii)の製造用の液体状出発成分で満たされるという様式で行われる。層(i)と層(iii)の間に存在し、(ii)の製造用の液状出発成分で満たされるべき空間は、(ii)の製造用の出発成分でその空間を満たすことに役立つ開口部(v)を除いて、望ましくない液状出発成分の流出を防止できるように閉塞されることが好ましい。そして、その後、(ii)の製造用の液状出発物質が、その空間を満たすように当該空間内に導入される。上述の閉塞は、一般的に知られた方法、例えば、層(i)と層(iii)の間で、側端部を粘着結合、又は溶接することにより達成することができる。上層(i)は、好ましくは実存する(すでに存在する)構造物の下部側に該当することが好適である。これは、層(iii)が、特に好ましくは、層(ii)の厚さを決定することになる距離をとって、層(i)として存在する構造物の下面に固定され、そして、特に好ましくは(i)と(iii)の間の空間の側端部が閉塞される、すなわち、層(ii)を形成する空間が閉塞されることを意味する。
【0016】
層(ii)は、一般的に知られている合成樹脂を含んで良く、そして、(ii)は、好ましくは、ポリイソシアネート付加重合体(polyadduct)に基づくものである。これらのポリイソシアネート付加重合体、その調合方法及び原料については、一般的に知られており、広く文献に記載されている。通常、ポリイソシアネート付加重合体は、液体状出発材料である(a)イソシアネートと、(b)イソシアネートに対して反応性を示す成分とを反応させることで製造される。合成樹脂を製造するための出発成分は、好ましくは、(i)と(iii)との間の満たされるべき空間に、液体状態(liquid form)で導入される。層(i)、(ii)及び(iii)を含む複合要素の製造は、先行技術について冒頭に記載したように、一般的に知られ、広く文献に記載されている。
【0017】
本発明に従う複合要素は、好ましくは、0.2m〜5m、好ましくは0.5m〜3mの幅と、0.5m〜10m、好ましくは1m〜5mの長さを有する。
【0018】
(ii)の製造用の出発材料は、好ましくは、(i)と(ii)の間の、満たされるべき空間に1回の操作で、中断されることなく継続的に導入される。(ii)の製造用の出発材料は、特に好ましくは、例えば、高圧装置を使用して、一個以上の混合ヘッド(mixing heads)を介して、空間に導入され、空間は例えば満たされる。
【0019】
通常、層(i)と(iii)は、(i)と(iii)の間の空間を液体で満たすために、流出端を固定するように作用し得るという特性は有していない。「流出端(outflow end)」という用語は、それによって液体が充填される通常の手段、例えば、タンクノズル、ホース端、混合ヘッド、静的ミキサー(static mixers)等を含む。流出端は、好ましくは混合ヘッドである。そのような混合ヘッドは、一般的に知られており、そして例えば、ポリエチレンシステム(ポリエチレン系)のための通常の計量手段と関連して市販されている。好ましくは混合ヘッドである流出端の固定は、好ましくは、以下のように行うことができる。すなわち、流出端の固定は、好ましくは、運搬手段の流出端、又は運搬手段の流出端のホルダーを、少なくとも3箇所で、好ましくは3〜6箇所で、特に好ましくは4又は5箇所で、層(i)に固定(ねじ止め)し、そして好ましくは密閉する。液体は、好ましくは、(i)及び/又は(iii)にある少なくとも一つの開口部(v)を通して、(i)と(iii)との間の空間に導入される。
【0020】
(i)と(iii)の間の空間の充填を、通常の搬送手段、例えば、連続的に、例えば、高圧及び低圧機械、好ましくは、高圧機械等によって行うことができる。充填は、内部で出発成分が混合される1個以上の混合ヘッド、好ましくは1個の混合ヘッドを介した高圧機械によって、単一操作で、又は複数操作で、好ましくは噴射法(injection process)で行われる。「単一の噴射法で」とは、(i)と(ii)の間の、例えば、(ii)の製造用の出発材料による空間の充填は、該充填が終わる前には中断されないことを意味する。従って、出発材料は、好ましくは、加圧下において一回で導入される。これは、特に、その液体が反応で硬化する反応性の混合物である時に適用される。従って、出発材料は、高圧装置を使用し、一個以上の混合ヘッド、好ましくは一個の混合ヘッドを介して導入されることが好ましい。(i)と(iii)が鉛直又は、水平のどちらになるように配置されていても、(i)と(iii)の間の空間の充填を行うことができる。
【0021】
層(i)と(iii)は、好ましくは、本発明に従う厚さを有する通常の金属板の状態、例えば、鉄、鋼、銅及び/又は、アルミ板の状態で使用される。鋼と鉄が好ましい。上層(i)は、好ましくは、構造物の下面であり得る。この下面(下面側)、すなわち、層(i)は、無機材料、例えば、石、モルタル、レンダー(render)、セメント又は、好ましくは、コンクリート、又は金属で製造されて良い。
【0022】
(i)と(iii)は、双方とも本発明に従う複合要素の製造において使用するために、例えば、下塗り、地塗り、通常の合成樹脂での塗装及び/又はコーティング等の方法でコーティング(被覆)されても良い。好ましくは(i)と(iii)が、コーティングされず、特に好ましくは、例えば、周知の砂吹き機によって磨かれた状態で使用されることが好ましい。
【0023】
開口部(v)(複数個所の場合を含む)は、0.5〜5cmの直径を有する、(iii)に設けられた穴であることが好ましい。
【0024】
(ii)の製造用の出発材料により、(i)と(iii)の間で満たされる空間が、(i)と(iii)との間の全体の空間である必要はない。(i)と(iii)は、双方とも端部で(ii)から突出することができる。すなわち、(i)と(iii)の部分的な領域で、(i)の(ii)を介した(iii)と接着が行われる。例えば、出発材料によって充填する前に、(i)と(iii)との間の空間を以下のように密閉して良い。すなわち、シール(密閉)が、(i)と(iii)との間に存在し、そして(i)及び/又は(iii)の端部が突出するように上記密閉することができる。
【0025】
(ii)の製造用の成分の送出量を、充填する空間の体積の関数として変化させても良い。(ii)の均一な硬化を確実にするために、その送出量と搬送手段は、満たされるべき空間が、(ii)の製造用の成分によって0.5〜20分で満たされるように選択されることが好ましい。好ましくは、ピストン計量器、特に好ましくは、軸ピストン計量器を有する低圧機械、又は特に、高圧機械を使用することが好ましく、貯蔵容器は、好ましくは攪拌器を備え、及び好ましくは温度安定性(thermostatable)であり、及び好ましくは、貯蔵容器−攪拌ヘッド−貯蔵容器循環が存在し、生産量(output)は、好ましくは0.1〜3.0kg/secである。
【0026】
(ii)の製造用の液体は、好ましくは、(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性を示す成分を含有する。従って、層(ii)は、好ましくは、ポリイソシアネート付加重合体を含む。本明細書では、「出発材料」又は、「出発成分」という表現は、特に、(a)イソシアネートと、(b)イソシアネートに対して反応性を示す成分を意味すると理解されるべきである。しかし、適切な場合、及びこれらが使用される場合には、(c)気体、(d)触媒、(e)助剤及び/又は、(f)発泡剤も意味すると理解されるべきである。
【0027】
(ii)を得るための(a)と(b)の反応は、1〜50体積%の気体(c)の存在下で行われることが好ましい。ポリマーポリオールは、好ましくは、(b)として使用される。好ましくは、(a)と(b)の反応は、(f)発泡剤の存在下で行われる。
【0028】
ポリイソシアネート付加重合体の製造のための出発成分は、通常、0〜100℃、好ましくは、20〜60℃の温度で混合され、そして上述のように、(i)と(iii)の間の空間に導入される。攪拌器又は、攪拌スクリューを用いて、混合を機械的に行うことができる。しかし、好ましくは、高圧機械の場合には原則として通常のものである向流法によって行うことが好ましく、該向流法では、A成分噴流と、B成分噴流が、各場合において、混合ヘッドで高圧で合流し、そして混合するが、それぞれの成分の噴流を分割するようにすることも可能である。反応温度、すなわち、反応が起こる温度は、材料の厚さに依存しており、通常、>20℃であり、好ましくは、50〜150℃である。
【0029】
本発明に従って製造された複合要素のポリイソシアネート付加重合体(ii)は、好ましくは、温度が−45〜+50℃の範囲で、>275MPaの弾性係数(DIN 53457に従う)、>4MPaの(i)と(iii)への粘着力(DIN 53530に従う)、−45〜+50℃の範囲で、>30%の伸び率(DIN 53504に従う)、>20MPaの引張強度(DIN 53504に従う)、及び、>20MPaの圧縮強度(DIN 53421に従う)を有する。
【0030】
本発明に従う複合要素の製造は、所定の手順で製造され、該手順では、ポリイソシアネート付加重合体(ii)が、(a)イソシアネートと(b)イソシアネートに対して反応性を示す成分とを反応させることによって製造され、該反応は、任意に、発泡剤(f)、ポリイソシアネート付加重合体に対して1〜50体積%の、少なくとも1種のガス(c)、(d)触媒、及び/又は(e)助剤の存在下に行われ、(ii)は好ましくは(i)と(iii)に粘着するものである。ここで、上記ポリイソシアネート付加重合体(ii)は、通常、ポリウレタンであり、ポリウレタンは、任意に尿素構造物(urea structure)及び/又はイソシヌレート構造物(isocyanurate structure)を含んで良いものである。このようなポリイソシアネート付加重合体(ii)の製法は、広く公知の文献に記載されている。
【0031】
複合要素の製造の前に、(i)と(iii)の表面を、研磨(cleaning)し、及び表面の粗さを増加させるために、砂又は、鋼球、好ましくは、コランダム又は、黄鉄鉱で噴射仕上げすることができる。この噴射仕上げを、例えば、高圧で噴射材をその表面に衝突させるという通常の方法によって行うことができる。このような処置を行うための好適な装置は、市販されている。
【0032】
(a)と(b)の反応の後に(ii)と接触する(i)と(iii)の表面の処置は、実質的に(ii)の(i)と(iii)への接着を改善するという結果に導く。噴射仕上げは、(i)と(iii)の間の空間へ(ii)の製造用の成分を導入する前に直接的に行うことが好ましい。(ii)が接着する(i)と(iii)の表面は、例えば、チリ、ゴミ、油、グリース又は、一般的に離型剤として知られる有機物、及び/又は、無機物が存在しないことが好ましい。
【0033】
本発明に従う方法において、出発材料(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)は、以下に例示される。
【0034】
適当なイソシアネート(a)は、それ自身公知である脂肪族、脂環式、アラリファティック(araliphatic)及び/又は芳香族イソシアネート、好ましくは、任意に、公知の方法でビウレット化及び/又はイソシアネート化されたジイソシアネートである。以下に具体的な例を挙げると、ドデカン1,12‐ジイソシアネート、2−エチルテトラメチレン1,4−ジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、リジンエステルジイソシアネート(LSI)、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、シクロヘキサン1,3−及び/又は、1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエン2,4及び2,6−ジイソシアネート及び対応する異性体の混合物、ジシクロヘキシルメチレン4,4'−、2,2'−、及び2,4'−ジイソシアネート及び対応する異性体混合物、1−イソシアネート3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン(IPDI)、トルエン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン4,4−、2,4−及び/又は2,2−ジイソシアネート(MDI)、等のアルキレン基に炭素原子を4〜12個もつアルキレンジイソシアネート、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート及び/又は、上記イソシアネートの少なくとも2つを含む混合物である。更に、エステル、尿素、アロファネート、カルボジイミド、ウレトジオーネ(uretdione)及び/又はウレタン基を含むジ−及び/又はポリイソシアネートは、本発明に従う方法で使用して良い。好ましくは、2,4−、2,2−及び/又は4,4−MDI及び/又は、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートが使用され、特に好ましくは、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート及び少なくとも1種のMDI異性体を含む混合物が使用される。
【0035】
(b)イソシアネートに対して反応性を示す成分としては、例えば以下の化合物が可能である。すなわち、イソシアネートに対して反応性を示す基ヒドロキシル基、チオール基及び/又は、第1及び/又は第2アミノ基を有し、及び通常、分子量が60〜10000g/molである、例えば、ポリマーポリオール、ポリエチルポリアルコール、ポリエステルポリアルコール、ポリチオエーテルポリオールから成る群から選ばれるポリオール、ヒドロキシル基を有するポリアセテート、及びヒドロキシル基を有する脂肪族ポリカルボネート、又は上述したポリオールの少なくとも2種類の混合物である。これらの成分は、通常、イソシアネートに対して2〜6の官能価(functionality)を有し、及び400〜8000の分子量を有し、及び当業者に一般的に知られている。
【0036】
例えば、空気、二酸化炭素、窒素、ヘリウム及び/又は、ネオン等の1バールの圧力で−50℃よりも低い沸点を持つ一般的に知られた成分は、(ii)を製造するための成分(c)として使用することができる。空気の使用が好適である。成分(c)は、成分(a)に対して、特に好ましくは、成分(a)と成分(b)に対して、不活性であることが好ましく、すなわち、成分(c)は、好ましくは、(a)及び/又は(b)に対して反応性がほとんど検出できない、好ましくは、完全に検出できないものである。気体(c)の使用は、発泡ポリウレタンを製造するための従来の発泡剤の使用とは、根本的に異なる。従来の発泡剤(f)は、液体の状態(又は、気体状の物理的(physical)な発泡剤の場合、所定の割合以下でポリオール成分に可溶性である。)で使用され、そして熱が発生する結果、反応の間に蒸発するか、又は、水の場合、イソシアネート基と反応することによって二酸化炭素の発生を誘発するが、成分(c)は、好ましくは、本発明において、例えば、ポリオール成分内で、エアロゾルとして気体の状態で使用される。
【0037】
イソシアネートと、イソシアネートに反応性を示す成分との反応速度を大きく向上させる公知の成分は、触媒(d)として使用することができ、触媒(d)は、好ましくは、イソシアネートに反応性を示す成分の合計使用量に対して、0.001〜15質量%、特に、0.05〜6質量%の量で使用される。
【0038】
適切であれば、ポリイソシアネート付加重合体(ii)の製造のための反応混合物に(e)助剤を投入することもできる。例えば、充填剤、表面活性剤、染料、顔料、防炎剤、加水分解安定剤、制カビ剤、制菌性物質、及び気泡安定剤(フォーム安定剤)が挙げられる。
【0039】
使用される発泡剤(f)は、ポリエチレン化学から一般的に知られている発泡剤で良く、例えば、物理的、及び/又は化学的発泡剤である。このような物理的発泡剤は、一般的に、気圧が1バールで−50℃以上(すなわち、温度でより高い)の沸点を有する。物理的発泡剤の例は、例えばそれぞれ、4〜6個の炭素原子を有する、クロロフルオロカーボン、クロロフルオロヒドロカーボン、フルオロヒドロカーボン、脂肪族ヒドロカーボン(脂肪族炭化水素)、シクロアリファティックヒドロカーボン又は、これらの物質の混合物、例えば、トリクロロフルオロメタン(沸点24℃)、クロロジフルオロメタン(沸点−40.8℃)、ジクロロフルオロメタン(沸点32℃)、クロロジフルオロエタン(沸点−9.2℃)、ジクロロトリフルオロエタン(沸点27.1℃)、テトラフルオロエタン(沸点−26.5℃)、ヘキサフルオロブタン(沸点24.6℃)、イソペンタン(沸点28℃)、n−ペンタン(沸点36℃)、シクロペンタン(沸点49℃)である。適切な化学発泡剤、すなわち、例えば、イソシナネート基との反応で発生する気体状の物質を形成する発泡剤は、例えば、水、水和物水を含む化合物、カルボン酸、第3アルコール、例えば、tert−ブタノール、カルバメート、例えば、公報EP−A1000955、特に、同文献の2ページの5〜31行目、及び、3ページの21〜42行目に記載されたカルバメート、カルボネート、例えば、アンモニウムカーボネート、及び/又は、アンモニウムビカーボネート、及び/又は、グアニジンカルバメートである。水、及び/又は、カルバメートが、発泡剤(f)として使用されることが好ましい。
【0040】
発泡剤(f)は、好ましくは、(ii)が350〜1200Kg/m3の好ましい密度となるために十分な量で使用される。この発泡剤(f)の量は、その技術の当業者に一般的によく知られた単純な所定の実験によって決定され得る。発泡剤(f)は、特に好ましくは、ポリイソシアネート付加重合体の合計量に対して、それぞれ、0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%の量で使用される。
【0041】
(ii)の質量は、(ii)の製造用に使用される成分(a)、(b)及び、適切であれば、(c)、(d)、(e)及び/又は、(f)の質量の定義に対応する。
【0042】
本発明に従うポリイソシアネート付加重合体の製造のために、イソシアネートと、イソシアネートに反応性を示す成分は、以下の量で反応される。すなわち、イソシアネート(a)のNCO基の当量(equivalent)の数の、イソシアネートに対して反応性を示す成分(b)及び任意に(f)の反応性水素原子の合計に対する割合が、0.85〜1.25:1、好ましくは0.95〜1.15:1、及び特に1〜1.05:1となる量である。(ii)が、少なくともいくつかのイソシアヌレートを結合状態で含む場合、NCO基の、反応性水素原子の合計に対する(通常使用される)割合は、1.5〜60:1、好ましくは1.5〜8:1である。
【0043】
ポリイソシアネート付加重合体は、通常、例えば高圧技術や低圧技術を使用して、ワンショット法か、プレポリマー(prepolymer)法によって製造される。
【0044】
2成分法を用い、そして、イソシアネートに対して反応性を示す化合物(b)、任意に発泡剤(f)、及び任意に触媒(d)及び/又は助剤(e)を成分(A)(ポリオール成分)中に混合し、及び好ましくはこれらを、互いに徹底的に混合し、及び成分(B)としてイソシアネート(a)を使用することが特に有利であることがわかった。
【0045】
成分(c)は、(a)、(b)、適切であれば、(f)、(d)及び/又は(e)を含む反応混合物中に供給して良く、及び/又は上述した個々の成分(a)、(b)、(A)及び/又は(B)に供給して良い。(c)と混合される成分は、通常、液体の形態で存在する。その成分は、好ましくは、成分(b)に混合される。
【0046】
対応する成分と(c)との混合は、一般的に知られた方法で行われる。例えば、(c)は、公知の供給方法(loading means) (例えば、空気供給方法、好ましくは圧力下、例えば、加圧された容器から、又は加圧機で加圧した後、例えばノズルを通して、)で対応する成分に供給される。対応する成分と(c)との適切な混合は、通常の液体成分中の(c)の気泡が、0.0001〜10、特に好ましくは、0.0001〜1mmの大きさを持つように行われることが好ましい。
【0047】
(ii)の製造用の反応性混合物における(c)の含有量は、反応性混合物の密度を介し、一般的に知られる計測装置を使用して、高圧装置の戻り配管内で測定しても良い。反応混合物における(c)の含有量を、制御装置により規定(調整)することもできる。好ましくは、この制御装置は、密度に基づいて自動的に上記含有量を規定するものである。その成分の密度は、オンライン(online)で測定されてもよく、機械内での材料の通常の循環の間(循環速度が非常に低い場合であっても)に調整されても良い。
【0048】
本発明によって得られる複合要素は、大きな力に耐えうる構成要素、例えば、船の建造物の構成部分、例えば、船の胴体部(船体)の構成部分、例えば、外側及び内側の外板を有する二重底の構成部分と、船倉デッキ、船倉の隔壁、ローディングフラップ(loading flaps)又は、建造物において、例えば、船橋、又は、船の建造物(housebuilding)、特に、多層のブロックにおける構造要素を要求する分野において特に使用される。
【0049】
本発明に従う複合要素は、ポリエチレンフォーム及び/又は、硬質ポリイソシアヌレートフォームを核として含み、及び通常、熱的な絶縁に使用される従来のサンドイッチ(sandwich)要素と混同されるべきではない。このような、公知のサンドイッチ要素は、機械的負荷容量(mechanical load capacity)が比較的低いために、上述した適用には適切ではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の複合要素を説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
(i) 上層
(ii) 層
(iii) 下層
(iv) 開口
(v) 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の層構造、
(i)1mm〜20mmの金属、合成樹脂又は無機材料、
(ii)5mm〜300mmの合成樹脂、
(iii)1mm〜20mmの金属、
を有する複合要素の製造方法において、
(ii)の製造用の液体状出発成分を、実質的に水平に向けられた上部層(i)と、実質的に水平に向けられた下部層(iii)との間に形成された空間に、下部層(iii)の少なくとも1個の開口部(v)から導入(充填)し、及び、液体状出発成分によって排除される空気を、下部層(iii)の少なくとも1個の別の開口部(iv)から排出する、
(但し、開口部(iv)の周縁部には、壁(x)が固定され、該壁(x)の上部縁は、層(ii)が面する上部層(i)の表面から0mm〜6mmの距離にまで近づけられ、
壁(x)と層(ii)が面する層(i)の表面との間には、開口部が残され、且つ該開口部からは、排除される空気が排出可能である)
ことを特徴とする複合要素の製造方法。
【請求項2】
層(i)が、実存する構造物の下部側に該当することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記壁が管であり、該管は、開口部(iv)に押し込まれた後、開口部(iv)の周縁部に堅く結合されていることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記管が、層(iii)に溶接されていることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記管が、開口部(iv)にねじ込まれる管であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
開口部(iv)が、8mm〜30mmの直径を有していることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
(ii)が、液体状出発材料である(a)イソシアネートと、(b)イソシアネートに対して反応性を示す成分とを反応させて得られるポリイソシアネート付加重合体であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法によって得られる複合要素。

【図1】
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【公表番号】特表2008−501543(P2008−501543A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513834(P2007−513834)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005834
【国際公開番号】WO2005/118284
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】