説明

複合配線基板の製造方法

【課題】封止樹脂の充填が簡単で生産性に優れる複合配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の配線基板1と、第1の配線基板1の上面に接合された第2の配線基板2と、第2の配線基板2の上面に接合された第3の配線基板3とを備え、第1の配線基板1と第2の配線基板2との間および第2の配線基板2と第3の配線基板3との間が封止樹脂5により充填されて成る複合配線基板であって、第2の配線基板2の上面または第3の配線基板3の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間にかけて封止樹脂5の流路4が形成されており、この流路4を通して第2の配線基板2の上面または第3の配線基板3の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間に封止樹脂5を流して封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の電子部品を搭載する配線基板を複数積み重ねて成る複合配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示すように、例えば半導体素子等の電子部品E1を搭載する第1の配線基板21と、この第1の配線基板21の上面に電子部品E1を囲繞する開口部22aを有して接合された枠状の第2の配線基板22と、この第2の配線基板22の上面に開口部22aを塞ぐように接合された第3の配線基板23とから成る複合配線基板30が知られている。このように第1および第3の配線基板21,23を第2の配線基板22を介して積み重ねて接続することにより、電子部品の高密度実装が可能となる。
【0003】
このような複合配線基板30においては、第1の配線基板21と第2の配線基板22との間、および第2の配線基板22と第3の配線基板23との間が半田ボールBにより互いに電気的に接続されているとともに、これらの間に熱硬化性樹脂から成る封止樹脂24が充填されている。このように、第1の配線基板21と第2の配線基板22との間、および第2の配線基板22と第3の配線基板23との間が封止樹脂24で充填されることにより第1の配線基板21と第3の配線基板23とで塞がれた第2の配線基板22の開口部22a内が気密に封止される。
【0004】
なお、このような複合配線基板30において、第1の配線基板21と第2の配線基板22との間、および第2の配線基板22と第3の配線基板23との間を封止樹脂24で充填するには、第1の配線基板21と第2の配線基板22との間、および第2の配線基板22と第3の配線基板23との間にそれぞれ別々に液状の封止樹脂24を流し込み、それを紫外線硬化や熱硬化させる方法が採用されていた。
【0005】
しかしながら、このように第1の配線基板21と第2の配線基板22との間、および第2の配線基板22と第3の配線基板23との間にそれぞれ別々に液状の封止樹脂24を流し込み、それを紫外線硬化や熱硬化させる方法では、封止樹脂24の充填が煩雑であり複合配線基板30の生産性が低いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−210954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その課題は、封止樹脂の充填が簡単で生産性に優れる複合配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の複合配線基板の製造方法は、上面中央部に電子部品を搭載する第1の配線基板と、前記電子部品を囲繞する開口部を有して前記第1の配線基板の上面に半田バンプを介して接合された第2の配線基板と、該第2の配線基板の上面に前記開口部を覆うように半田バンプを介して接合された第3の配線基板とを備え、前記第1の配線基板と第2の配線基板との間および前記第2の配線基板と第3の配線基板との間が封止樹脂により充填されて成る複合配線基板であって、前記第2の配線基板の上面または前記第3の配線基板の上面から前記第2の配線基板と第3の配線基板との間および前記第1の配線基板と第2の配線基板との間にかけて前記封止樹脂の流路が形成されており、該流路を通して前記第2の配線基板の上面または前記第3の配線基板の上面から前記第2の配線基板と第3の配線基板との間および前記第1の配線基板と第2の配線基板との間に前記封止樹脂を流して封止することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の複合配線基板の製造方法においては、第2の配線基板の上面または第3の配線基板の上面から第2の配線基板と第3の配線基板との間および第1の配線基板と第2の配線基板との間にかけて封止樹脂の流路が形成されており、該流路を通して第2の配線基板の上面または第3の配線基板の上面から第2の配線基板と第3の配線基板との間および第1の配線基板と第2の配線基板との間に封止樹脂を流して封止することから、封止樹脂の充填が簡単で生産性に優れる複合配線基板の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の複合配線基板の製造方法の実施形態の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の複合配線基板の製造方法の実施形態の別の例を示す概略断面図である。
【図3】図3は、従来の複合配線基板を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の複合配線基板の実施形態の一例を添付の図を基に説明する。図1(a),(b)は、本発明の複合配線基板の製造方法の実施形態の一例を説明するための概略断面図であり、図中、1は第1の配線基板、2は第2の配線基板、3は第3の配線基板であり、主としてこれらで本例の複合配線基板10が形成されている。
【0012】
第1の配線基板1は、例えばビルドアップ法により形成された高密度多層配線基板であり、その上面に電子部品E1が搭載されている。この第1の配線基板1の上面から下面にかけては、図示しない配線導体が配設されている。
【0013】
第2の配線基板2も第1の配線基板1と同様に例えばビルドアップ法により形成された高密度多層配線基板であり、第1の配線基板1に搭載された電子部品E1を囲繞する開口部2aを有している。そしてその下面が第1の配線基板1に接合されており、その上面が第3の配線基板3に接合されている。第2の配線基板2の上面から下面にかけては、第1の配線基板1と同様に図示しない配線導体が配設されている。
【0014】
第3の配線基板3も第1の配線基板1や第2の配線基板2と同様に例えばビルドアップ法により形成された高密度多層配線基板であり、第2の配線基板2の上面に開口部2aを塞ぐようにして接合されている。またその上面に電子部品E2が搭載されている。この第3の配線基板3においても、その上面から下面にかけて図示しない配線導体が配設されている。
【0015】
そして、これらの第1の配線基板1と第2の配線基板2との間および、第2の配線基板2と第3の配線基板3との間が半田ボールBを介して接合されることにより互いに固定されるとともに電気的に接続されている。
【0016】
なお、本例の複合配線基板10においては、第2の配線基板2の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間にかけて封止樹脂の流路4が形成されている。流路4は、例えば幅が200μm、深さが30μmの溝から成り、配線基板2の上面外周部から開口部2aの内壁を介して第1の配線基板1と第2の配線基板3との間にかけて形成されている。
【0017】
そして、液状の熱硬化性樹脂から成る封止樹脂5をノズルNから第2の配線基板2の上面の流路4に吐出させることにより、液状の封止樹脂5がその表面張力の作用により流路4を伝って第2の配線基板2の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間にかけて浸入していき、第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間が液状の封止樹脂5により満たされる。そしてこの状態で封止樹脂5を紫外線硬化や熱硬化させれば、第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間が硬化された封止樹脂5により封止される。
【0018】
このように、本例の複合配線基板の製造方法によれば、第2の配線基板2の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間にかけて封止樹脂の流路4が形成されており、この流路4を通して第2の配線基板2の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間に封止樹脂5を流して封止することから、封止樹脂5の充填が簡単で生産性に優れる複合配線基板10の製造方法を提供することができる。
【0019】
なお、本発明は上述の実施形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能であり、例えば図2(a),(b)に示すように、第3の配線基板3の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間にかけて貫通孔から成る封止樹脂の流路4を形成してもよい。この場合も、この流路4を通して第3の配線基板2の上面から第2の配線基板2と第3の配線基板3との間および第1の配線基板1と第2の配線基板2との間に封止樹脂5を流して封止することから、封止樹脂5の充填が簡単で生産性に優れる複合配線基板20の製造方法を提供することができる。なお、流路4を形成する貫通孔の直径は200〜1500μmの範囲が好ましい。
【0020】
さらに、上述の実施形態例では流路4を溝または貫通孔により形成したが、流路4は溝と貫通孔とを組み合わせたものであってもよい。またさらに、溝に代えて凸条からなる流路4を設けてもよい。さらにまた、第1の配線基板1の上面に第1の配線基板1と第2の配線基板2との間から第1の配線基板1と電子部品E1との間に導出する流路を設けてもよい。この場合、第1の配線基板1と電子部品E1との間も同時に封止できる。
【符号の説明】
【0021】
1 第1の配線基板
2 第2の配線基板
2a 第2の配線基板の開口部
3 第3の配線基板
4 流路
5 封止樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面中央部に電子部品を搭載する第1の配線基板と、前記電子部品を囲繞する開口部を有して前記第1の配線基板の上面に半田バンプを介して接合された第2の配線基板と、該第2の配線基板の上面に前記開口部を覆うように半田バンプを介して接合された第3の配線基板とを備え、前記第1の配線基板と第2の配線基板との間および前記第2の配線基板と第3の配線基板との間が封止樹脂により充填されて成る複合配線基板であって、前記第2の配線基板の上面または前記第3の配線基板の上面から前記第2の配線基板と第3の配線基板との間および前記第1の配線基板と第2の配線基板との間にかけて前記封止樹脂の流路が形成されており、該流路を通して前記第2の配線基板の上面または前記第3の配線基板の上面から前記第2の配線基板と第3の配線基板との間および前記第1の配線基板と第2の配線基板との間に前記封止樹脂を流して封止することを特徴とする複合配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記流路が溝および貫通孔および凸条のうちの少なくとも一つにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の複合配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−212832(P2012−212832A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78693(P2011−78693)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(304024898)京セラSLCテクノロジー株式会社 (213)
【Fターム(参考)】