説明

複層ガラスおよびそれに用いる複層ガラス用スペーサー

【課題】 本発明は、市販のホットメルトアプリケーターで射出できガラス板間に容易に成形される乾燥剤を混練させてなる溶融粘度の低い樹脂製の複層ガラス用スペーサーを使用し、剛性の高い複層ガラスを提供することを目的とする。
【解決手段】 複数のガラス板が周縁部に配設されているスペーサーを介して隔置され、ガラス板間に内部空間が形成されてなる複層ガラスであって、スペーサーが、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる熱可塑性共重合体エラストマーからなる乾燥剤を混練した複層ガラス用スペーサーであることを特徴とする複層ガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複層ガラスおよびそれに用いる複層ガラス用スペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーに優れ快適な住環境をつくるため、住宅、非住宅等の建築、自動車、車両、船舶および航空機等の輸送、冷凍庫、冷凍ショーケースおよび恒温恒湿槽等の設備機器分野等における窓部に、複層ガラスが使われ急速に普及している。複層ガラスは、2枚以上のガラス板の周縁部にスペーサーを挟み込むことによってガラス板を隔置したものであり、ガラス板とスペーサーとで囲まれた内部空間があるため断熱性能を有する。
【0003】
例えば、中空部に乾燥剤を充填した金属製スペーサーを用いた複層ガラスは、住宅用窓ガラスとして広く普及しており、特許文献1等で知られている。
【0004】
図3は、中空部に乾燥剤を充填した金属製スペーサーを用いた複層ガラスの周縁部の概略断面図である。
【0005】
図3に示すように、複層ガラスをなす一対のガラス板G1、G2に挟み込む金属製スペーサーS1は、金属製の筒状中空体であり、中空部に乾燥剤1を充填してある。金属製スペーサーS1には、通常、加工しやすいアルミニウム鋼が用いられる。前記金属製スペーサーS1は、1次シール材2により一対のガラス板G1、G2の周縁部に接着固定され、一対のガラスG1、G2板と金属製スペーサーS1のなす凹部には、複層ガラスの形状を保つためおよび内部空間4を封止するために2次シール材3が充填される。1次シール材2または2次シール材3は、ポリサルファイド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはブチルゴム系樹脂が用いられ、一次シール材2、二次シール材3により、一対のガラス板G1、G2と金属製スペーサーS1とが接着一体化し複層ガラスをなす。金属製スペーサーS1を用いた複層ガラスは、その構造材に強靭な金属製スペーサーS1を用いたことにより剛性に優れるが、金属製であるため熱を伝えやすく、内部空間4があり熱が伝わり難い複層ガラスの中央部に比べ、周縁部の断熱性能が低いという問題がある。特に熱伝達係数の大きいアルミニウム等の金属製スペーサーS1を用いた複層ガラスは、金属製スペーサーS1のある複層ガラスの周縁部は熱が伝わり易く、複層ガラス周縁部で結露するという問題がある。
【0006】
一方、複層ガラスの周縁部の断熱性能を向上させることを目的とした複層ガラスに樹脂製スペーサーを用いた複層ガラスがある。樹脂製スペーサーを用いた複層ガラスは、前記金属製スペーサーの替わりに、乾燥剤を含有させたブチルゴムまたはポリイソブチレンを加熱溶融した状態で離間させた複数のガラス板間の周縁部に充填した後に固化させ樹脂製スペーサーとし、更に封止のためのシール材を充填して製造する。金属製スペーサーS1に比較し樹脂製スペーサーは熱伝導率が極めて低いため、樹脂製スペーサーを用いると複層ガラス周縁部の断熱性を向上させるという効果が得られ、また、リサイクルし易い等の長所がある。
【0007】
図4は乾燥剤を混練した樹脂製スペーサーを用いた複層ガラスの周縁部の断面図である。
【0008】
図4に示すように、樹脂製スペーサーS2を用いた複層ガラスは、複数のガラス板G1、G2が内部空間4を形成するように樹脂製スペーサーS2を介して隔置したものであり、通常、ガラス板G1、G2の周縁部と樹脂製スペーサーS2の周縁部とで形成された凹部にシール材5が充填されており、特許文献2等で知られている。
【0009】
特許文献2において、樹脂製スペーサーS2の材料としては、ブチルゴム、ポリイソブチレン、または少なくともポリイソブチレンを一成分とする共重合体を樹脂主成分とする熱可塑性エラストマーに乾燥剤を混練させた物が挙げられ、シール材5の材料として可塑化ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂が挙げられている。
【0010】
しかしながら、乾燥剤を含有させたブチルゴムまたはポリイソブチレン樹脂を用いた樹脂製スペーサーS2を用いた複層ガラスに、金属製スペーサーS1を用いた複層ガラスと同等の剛性を持たせるためには、使用するブチルゴムまたはポリイソブチレン樹脂に溶融粘度が大きい分子鎖の長い物を使用せざるを得ず、乾燥剤を混練させたブチルゴムまたはポリイソブチレンを加熱溶融させてガラス板G1、G2間にノズルより射出しつつ、樹脂製スペーサーS2に成形する際には、高い射出圧力を得るため専用の成形機を必要とするという問題があった。また、充填のため離間させたままで、複数のガラス板G1、G2を移動させる装置を要し、装置が複雑高価であるという問題があった。前記装置は、特許文献3または特許文献4等にて知られている。
【特許文献1】特開昭59−45149号公報
【特許文献2】特開平9−77536号公報
【特許文献3】特開平7−17748号公報、
【特許文献4】特開平11−236250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、市販のホットメルトアプリケーターで射出できガラス板間に容易に成形される乾燥剤を混練させてなる溶融粘度の低い樹脂製スペーサーを使用し、剛性の高い複層ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来の樹脂製スペーサーに使用したブチルゴムまたはポリイソブチレンの溶融粘度に比べて、本発明の複層ガラスに用いる熱可塑性共重合エラストマーは溶融粘度が低く、市販のホットメルトアプリケーターで容易に射出されるが、硬化後に優れた剛性が得られる。
【0013】
即ち、本発明は、複数のガラス板が周縁部に配設されているスペーサーを介して隔置され、ガラス板間に内部空間が形成されてなる複層ガラスであって、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の1から選ばれる熱可塑性共重合体エラストマーを成分とするホットメルト接着剤にゼオライトを混練した複層ガラス用スペーサーを用いたことを特徴とする複層ガラスである。
【0014】
更に、本発明は、熱可塑性共重合エラストマーからなる前記複層ガラス用スペーサーが、乾燥剤としてのゼオライトを混練させてなり、前記複層ガラス用スペーサーの重量に対するゼオライトの含有率が10.0重量%以上、40.0重量%以下であることを特徴とする上記の複層ガラスである。
【0015】
更に、本発明は、前記複層ガラス用スペーサーに、補強材を挿入したことを特徴とする上記の複層ガラスである。
【0016】
また、本発明の複層ガラスの強度を、向上させるには、ガラス板間の前記複層ガラス用スペーサーに、金属棒、スパイラル状の針金、コの字状金属等の剛性が高い補強材を内在させる。補強材は間隔保持部材としての役割を果たし、複層ガラスの作製がより簡便になる。
【0017】
更に、本発明は、前記補強材が金属棒、スパイラル状の針金またはコの字状金属であることを特徴とする上記の複層ガラスである。
【0018】
更に、本発明は、前記複層ガラス用スペーサーの外周部とガラス板周縁部とがなす凹部に、ホットメルトタイプあるいは反応型ホットメルトタイプのブチルゴム系シール材を充填したことを特徴とする上記の複層ガラスである。
【0019】
更に、本発明は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる熱可塑性共重合体エラストマーを成分とするホットメルト接着剤にゼオライトを混練したことを特徴とする複層ガラス用スペーサーである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によって、周縁部の断熱性が優れた樹脂製スペーサーとしての複層ガラス用スペーサーを用いた剛性の高い複層ガラスが、市販のホットメルトアプリケーターを用いて容易に作製される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施例を、図を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明による複層ガラスの、周縁部の断面図である。
【0023】
本発明の複層ガラスにおいて、図1に示すように、2枚以上のガラス板G1、G2を複層ガラス用スペーサーS3を介して対向させて配置する。該複層ガラス用スペーサーS3には、主成分として、熱可塑性共重合体エラストマーを用いる。本発明で用いられる熱可塑性共重合体エラストマーは、加熱溶融温度、200℃以下の条件で、剪断速度が10S-1以上、104-1以下に対して、溶融粘度が10Pa・S以上、105Pa・S以下、即ち、102ポイズ以上、106ポイズ以下であり、80℃以上、230℃以下の加熱溶融温度域で、ポリプロピレンと同等に成形される、従来、樹脂製の複層ガラス用スペーサーに用いられてきたブチルゴム、ポリイソブチレンに比較して、加熱溶融粘度が低く射出成形が容易で成形後硬化したときの剛性が高い熱可塑性共重合エラストマーである。加熱溶融温度、融点以上、200℃の条件で、剪断速度、10S-1以上、104-1以下に対して、溶融粘度が10Pa・Sより低いと成形し難く、105Pa・Sより高いと射出圧力が高くなりすぎ射出し難くなる。
【0024】
このような、熱可塑性共重合体エラストマーには、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体以外に、スチレン−ブチレン―スチレンブロック共重合体、スチレン―イソプレン―スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0025】
180℃以上、230℃以下の加熱溶融温度域で、ポリプロピレンと同様に成形されるものには、スチレン−プロピレン系ゴム、アクリルゴムがあるが、本発明で用いられる熱可塑性共重合エラストマーは成形加工が容易なことに加え、熱可塑性であるため、物性や成形加工が容易なことが損なわれることなく再使用可能であり、硬化後は、加硫ゴムに匹敵するゴム弾性があり、圧縮永久歪がなく、優れた反発弾性を有する等の優れた剛性が得られる。加えて、紫外線に対して耐性があり、酸化され難い等の様々な長所を有し、本発明の複層ガラスの複層ガラス用スペーサーS3として用いるに極めて好適な材料である。
【0026】
このような熱可塑性共重合体エラストマーを主成分とするホットメルト接着剤が、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体として、米国のシェルケミカルより、商品名、Kraton−Gが市販され、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体としては、日本ゼオン株式会社より、商品名、クインタックSISが市販され、乾燥剤であるゼオライトを混練した後、複層ガラス用スペーサーの形状に成形して、本発明の複層ガラスに好適に使用される。
【0027】
本発明の複層ガラスにおいて、熱可塑性共重合エラストマーを成分とするホットメルト接着剤に乾燥剤を加え、加熱溶融下で混練した後、市販のアプリケーターでガラス板間に射出成形し複層ガラス用スペーサーS3とする。ガラス板G1、G2間に射出成形する際は、例えば、吸着パッドにてガラス板G1、G2を所定の間隔に保持するか、ガラス板G1、G2の間に予め間隔保持部材を挿入固着した後、ガラス板G1、G2間の周縁端部に射出する。乾燥剤には、ゼオライトが使用される。
【0028】
本発明の複層ガラスにおいて、熱可塑性共重合エラストマーに乾燥剤であるゼオライトを加え、更に、粘着性付与剤、軟化剤、充填材を用い加熱、混練した後、市販のアプリケーターでガラス板間に射出成形し複層ガラス用スペーサーS3とすることが好ましい。
【0029】
前記粘着性付与剤には、加熱溶融下で混練し易くするものであり、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンおよび水添ロジン系樹脂、石油樹脂および水添加石油樹脂が挙げられ、単独または混合させて使用される。
【0030】
また、前記軟化剤には、ワックス類、中・低分子量ポリオレフィン、非晶性ポリオレフィンが挙げられ、単独または混合させて使用される。
【0031】
また、前記充填材は、複層ガラス用スペーサーS3の剛性を向上させるものであり、タルク、クレー、シリカ、炭カル、酸化チタン等の接着剤に使用する一般的な充填材が使用される。
【0032】
本発明の複層ガラスの強度を、更に、向上させるには、ガラス板G1、G3間の複層ガラス用スペーサーS3の形成部に、金属棒、スパイラル状の針金またはコの字状金属等の剛性が高い補強材を内在させることが好ましい。補強材は間隔保持部材としての役割を果たし、複層ガラスの作製がより簡便になる。補強材を、前述のガラス板G1、G2の間に予めを挿入固着した後、補強材を内在させるように、ガラス板G1、G2間の周縁端部に複層ガラス用スペーサーS3を射出形成する。本発明の複層ガラスにおいて、複層ガラス用スペーサーS3の溶融粘度が低いので、射出成形時に容易に補強材は複層ガラス用スペーサーS3に埋設され内在される。
【0033】
また、前記乾燥剤としては、ゼオライトを使用する。複層ガラス用スペーサーS3の全重量に対するゼオライトの含有率は、10.0重量%より少ない場合は、初期露点性能を満たすことが困難となり、40.0重量%を越えると複層ガラス用スペーサーS3として必要な弾性性能が不十分となるため、10.0重量以上、40.0重量%以下であることが好ましい。ゼオライトは、合成ゼオライト系吸着剤が、例えば、東ソー株式会社より、商品名、ゼオラムとして市販されており、型番3A、4Aが本発明の複層ガラスに好適に使用される。
【0034】
尚、複層ガラス用スペーサーS3を黒色に着色する際は、着色剤として、複層ガラス用スペーサーS3の全重量に対して、1.0wt%以下のカーボンブラックを添加すればよい。
【0035】
複層ガラス用スペーサーS3とガラス板G1、G2周縁端部で形成されるコ字状の部分は、ホットメルトタイプあるいは反応型ホットメルトタイプのブチルゴム系シール材でシール6されることが望ましい。該シール6は、複層ガラスに形成されている中空層4への透湿を防ぐばかりでなく、複層ガラスが強固に一体化されると共に、ガラス板G1、G2の端部の保護に対して重要である。ホットメルトタイプのブチルゴム系シール材として、横浜ゴム株式会社製、品番、M155およびM144、米国Delchem株式会社製、品番、D−2000、米国PRC−Desoto株式会社製、品番、PRC−595、米国BOSTIK株式会社製、品番、BOSTIK9190等が挙げられ、本発明の複層ガラスに使用される。
【0036】
本発明による複層ガラスに用いるガラス板には、フロート法によるガラス板、熱線吸収ガラス板、ガラス板の表面に薄膜が形成されている熱線反射ガラス板など、ガラス板および合せガラス等のそれらの加工品、また、樹脂をコートしたガラス板や樹脂フィルムを積層したガラス板等を用いることができる。更に、ガラス板の代わりに透明な板状の樹脂を用いてもよい。
【実施例】
【0037】
実施例1
スチレン−イソプレン−スチレン共重合体としての、日本ゼオン株式会社製、商品名、クインタック3433N、20重量部、粘着性付与剤としての、荒川化学工業株式会社製、商品名、アルコンP120、40重量部、軟化剤としての、三井化学株式会社製、 商品名、HW800P、20重量部、乾燥剤としてのゼオライト、東ソー株式会社製、商品名、ゼオラムA−4、20重量部、黒色着色剤量としての0.5重量部のカーボンブラックを用意し、加圧ニーダーで加熱混練した。その後、市販のホットメルトアプリケーターであるメルト技研株式会社製アプリケーター、型式、M017内(以後、アプリケーターM017と略する。)のタンクに投入し、190℃に加熱溶融した。次いで、前記アプリケーターM017に接続しているガンホース内を搬送させ、ガンホースに取り付けたノズルから、吸着パットを用い12mm間隔に平行に支持した板厚、3mm、大きさ、300mm×300mmである2枚のガラス板G1、G2の間壁に射出し、図1および図2に示す、複層ガラス用スペーサーS3に成形した。図2は、本発明の複層ガラスの平面図である。
【0038】
次いで、前期アプリケーターM017内のタンクに、ホットメルトタイプのブチルゴム系シール材として、横浜ゴム株式会社製、品番、M155を投入し、190℃に加熱溶融した。
【0039】
2枚のガラス板G1、G2端部と複層ガラス用スペーサーS3がなすこの字型凹部に、190℃に加熱溶融した前記ホットメルトブチルを、前記アプリケーターM017に接続しているガンホース内を搬送させ、ガンホースに取り付けたノズルから射出し、複層ガラス外周部を封止しシール6とした。
【0040】
初期露点性能(製造1日後)を評価するため、JIS R 3209(1998)に準拠し、露点を測定したところ、1日経過後、−55℃であり、良好な初期露点性能であり、JIS R 3209(1998)が要求する、初期露点が、−35より低いことに合格した。
実施例2
スチレンーエチレンーブチレンースチレンブロック共重合体としての、シェルケミカル製、商品名、Krayton G−1726、40重量部、粘着性付与剤としての、トーネックス株式会社製、商品名、ECR1401、60重量部、軟化剤としての、宇部興産株式会社製、商品名、UT2780、30重量部、乾燥剤としてのゼオライト、東ソー株式会社製、商品名、ゼオラムA−4、30重量部、黒色着色剤としての0.5重量部のカーボンブラックを用意し、加圧ニーダーで加熱混錬した。その後、実施例1で用いたのと同様のアプリケーターM186内のタンクに投入し、200℃に加熱溶融した。次いで、前記アプリケーターM186に接続しているガンホース内を搬送させ、ガンホースに取り付けたノズルから射出し、実施例1に記載したのと同様の方法で複層ガラス用スペーサーS3を成型した。
【0041】
次いで、実施例1と同様に、前記アプリケーターM017内のタンクに、ホットメルトタイプのブチルゴム系シール材として、横浜ゴム株式会社製、品番、M155を投入し、190℃に加熱溶融し、2枚のガラス板G1、G2端部と複層ガラス用スペーサーS3がなすこの字型凹部に、190℃に加熱溶融した前記ホットメルトブチルを、アプリケーターM017に接続しているガンホース内を搬送させ、ガンホースに取り付けたノズルから射出し、複層ガラス外周部を封止しシール6とした。
【0042】
初期露点性能(製造1日後)を評価するため、JIS R 3209(1998)に準拠し、露点を測定したところ、1日経過後、−60℃であり、良好な初期露点性能であり、JIS R 3209(1998)が要求する、初期露点が、−35より低いことに合格した。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による複層ガラスの周縁部の断面図である。
【図2】本発明の複層ガラスの平面図である。
【図3】中空の金属製スペーサーに乾燥剤を充填してなるスペーサーを用いて作製される複層ガラスの周縁部の断面図である。
【図4】乾燥剤を混練した複層ガラス用スペーサーとその外側の次シール材による複層ガラス用スペーサーを用いた複層ガラスの周縁部の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
G1、G2 ガラス板
S1 金属製スペーサー
S2 樹脂製スペーサー
S3 複層ガラス用スペーサー
1 乾燥剤
2 一次シール
3 二次シール
4 内部空間
5 シール材
6 シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガラス板が周縁部に配設されているスペーサーを介して隔置され、ガラス板間に内部空間が形成されてなる複層ガラスであって、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる熱可塑性共重合体エラストマーを成分とするホットメルト接着剤にゼオライトを混練した複層ガラス用スペーサーを用いたことを特徴とする複層ガラス。
【請求項2】
熱可塑性共重合体エラストマーからなる前記複層ガラス用スペーサーが、乾燥剤としてのゼオライトを混練させてなり、複層ガラス用スペーサーの重量に対するゼオライトの含有率が10.0重量%以上、40.0重量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複層ガラス。
【請求項3】
前記複層ガラス用スペーサーに、補強材を挿入したことを特徴とする請求項1乃至請求3のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項4】
前記補強材が金属棒、スパイラル状の針金またはコの字状の金属であることを特徴とする請求項3に記載の複層ガラス。
【請求項5】
前記複層ガラス用スペーサーの外周部とガラス板周縁部とがなす凹部に、ホットメルトタイプあるいは反応型ホットメルトタイプのブチルゴム系シール材を充填したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の複層ガラス。
【請求項6】
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体またはスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体から選ばれる熱可塑性共重合体エラストマーを成分とするホットメルト接着剤にゼオライトを混練したことを特徴とする複層ガラス用スペーサー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−21958(P2006−21958A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201788(P2004−201788)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【出願人】(598006473)旭化学合成株式会社 (6)
【Fターム(参考)】