説明

複層シートおよびエンドレスベルト

【課題】耐屈曲性、耐熱性、非粘着性、が優れた複層シート及びこの複層シートからなるエンドレスベルトの提供。
【解決手段】フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層と、複数の延伸されたフッ素樹脂シートが積層されてなるフッ素樹脂層とを有する複層シートであって、前記のフッ素樹脂層が、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように、各々のフッ素樹脂シートが積層されたものであることを特徴とする複層シート、及びエンドレスベルト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐屈曲性、耐熱性、非粘着性に優れた複層シートおよびエンドレスベルトに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、例えば、食品、工業関連に用いることができる耐屈曲性、非粘着性、耐熱性が優れた複層シートおよびこの複層シートからなるエンドレスベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、耐熱性及び引張強度等に優れた耐熱性繊維織布に、耐熱性や非粘着性に優れた耐熱性樹脂を複層した耐熱性複層シートが知られており、これら耐熱性複層シートは食品、工業関連の耐熱性非粘着性シートや耐熱性非粘着性搬送ベルト等として使用されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
前記耐熱性複層シートに用いられる耐熱性繊維織布としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維等を平織、綾織り等とした織布が用いられている。
【0004】
また、前記耐熱性複層シートに用いられる耐熱性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等のフッ素樹脂が用いられている。
【0005】
前記耐熱性複層シートを耐屈曲性が重要なトラフベルトへ使用したところ、耐熱性繊維織布がガラス繊維の耐熱性複層シートでは耐屈曲性が弱く、屈曲部が早期に破れて損傷してしまう問題が生じた。
【0006】
そこで、従来、ガラス繊維よりも耐屈曲性に優れるアラミド繊維の耐熱性複層シートを使用したところ、ガラス繊維よりも屈曲部から破れ難くなった。
【0007】
更に、アラミド繊維よりも耐屈曲性に優れるガラス繊維の太さ2.5〜4.0μmのガラス繊維フィラメント収束体を経緯糸に使用した織布を使用したトラフベルト(特開平7−284370号公報(特許文献1))が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−284370号公報(特許第号3371032号)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】本多産業株式会社発行、フッ素樹脂製コンベアベルトカタログ「ホンダフローベルト」「マックスライナーベルト」「ホンダフローフアブリック」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等のフッ素樹脂は、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、非粘着性、低摩擦係数、及び、電気的性質等のユニークな特性を有しているが、溶融粘度が1010〜11Pa・s(380℃)と高い為に、一般的な成形加工方法である溶融成形加工法を適用することができないとの欠点があることが知られている。
【0011】
従って、前記耐熱性繊維織布と耐熱性樹脂とを複層化させるためには、溶融成形加工することが容易でない為に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)粒子の水性懸濁液に耐熱性繊維織布を含浸し付着させて、乾燥した後、焼成することにより製造されている。
【0012】
そのため、前記耐熱性複層シートの表面は、前記のアラミド繊維、ガラス繊維の太さ2.5〜4.0μmのガラス繊維フィラメント収束体を経緯糸に使用した織布であっても耐熱性繊維織布の織状態及び表面状態が影響して表面には細孔が多数形成されたものとなる。
【0013】
それ故、耐屈曲性が重要なトラフベルトに使用すると表面のポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)層の細孔からの破れ、耐熱性繊維織布の露出、耐熱性繊維織布の破れの順に損傷していくことから、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)層表面の細孔の軽減およびポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)層の強化が課題である。
【0014】
従って、かかる課題を改善する方法として、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のスカイブドフィルムまたはシートを前記耐熱性複層シートの表面や、端部にコの字型に包み込み積層する方法が提案されている。
【0015】
しかしながら、スカイブドフィルムまたはシートは前記耐熱性複層シートに比べ細孔は少ないものの、補強基材が入っていないため、積層時に縮み易くまた、ミシン加工などにより穴が開いた時に破れ易い問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、前記の事情を考慮し、検討したものであって、食品、工業関連用の耐屈曲性が重要なトラフベルトに適した耐屈曲性、耐熱性、非粘着性に優れた複層シートおよびエンドレスベルトを提供することである。
【0017】
本発明者は、前記問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、耐熱性複層シート表面の細孔が形成し難く、更に表面層が強化され、耐屈曲性が重要なトラフベルトに使用した場合においても、表面層のフッ素樹脂が破れ難くなり、使用寿命が向上できる本発明の耐屈曲性、耐熱性、非粘着性に優れた複層シートを見出した。
【0018】
すなわち、本発明による複層シートは、フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層と、複数の延伸されたフッ素樹脂シートが積層されてなるフッ素樹脂層とを有する複層シートであって、前記のフッ素樹脂層が、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように、各々のフッ素樹脂シートが積層されたものであること、を特徴とする。
【0019】
また、本発明によるエンドレスベルトは、上記の複層シートから形成されたベルト状物の環状体からなること、を特徴とする。
【0020】
また、本発明によるもう一つのエンドレスベルトは、(イ)複数の延伸されたフッ素樹脂シートからなり、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように積層されたフッ素樹脂層が、(ロ)フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層から形成されたベルト状物の環状体の片面または両面に、あるいは当該ベルト状物の環状体の側面をコの字状に包み込むように、形成されてなること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明による複層シートは、フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層と、複数の延伸されたフッ素樹脂シートが積層されてなるフッ素樹脂層とを有する複層シートであって、前記のフッ素樹脂層が、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように、各々のフッ素樹脂シートが積層されたものであることから、耐熱性複層シート表面の細孔が形成し難く、更に表面層が強化されるので、食品、工業関連用のトラフベルト用に使用した場合においても表面層のフッ素樹脂が破れ難くなるため、トラフベルトの特徴である、トラフ形状が損なわれることなく、またフッ素樹脂製搬送ベルトの特徴である非粘着性も損なわれることなく、使用寿命が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による複層シートの構造を示す断面図。
【図2】本発明によるエンドレスベルトの構造を示す断面図。
【図3】本発明によるエンドレスベルトの構造を示す断面図。
【図4】本発明によるエンドレスベルトの構造を示す断面図。
【図5】本発明によるエンドレスベルトの構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による複層シートは、フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層と、複数の延伸されたフッ素樹脂シートが積層されてなるフッ素樹脂層とを有する複層シートであって、前記のフッ素樹脂層が、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように、各々のフッ素樹脂シートが積層されたものであることを特徴とする。
【0024】
このような本発明による複層シートの好ましい具体例としては、例えば図1に記載されたものを挙げることができる。
【0025】
図1に示される本発明による複層シート1は、フッ素樹脂2aと耐熱性繊維織布2bからなる1層の複合材層2と、複数の延伸されたフッ素樹脂シートが積層されてなるフッ素樹脂層3とを有する複層シートであって、前記のフッ素樹脂層3が、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように、各々のフッ素樹脂シートが積層されたものである。
【0026】
図2〜図5は、本発明によるエンドレスベルト10の好ましい具体例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0027】
<複合材層>
本発明による複層シートにおける複合材層は、フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなるものである。
【0028】
本発明におけるフッ素樹脂としては、限定するものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)からなる群から選ばれた耐熱性樹脂が挙げられる。この中では、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0029】
本発明において、前記耐熱性繊維織布としては、限定するものではないが、ガラス繊維、アラミド繊維が挙げられる。耐熱性繊維織布の厚さは、一般的に30〜1000μm、特に30〜700μmが好ましい。
【0030】
このような複合材層は、好ましくは、例えば、前記のフッ素樹脂の粒子の水性懸濁液に前記の耐熱性繊維織布を含浸させ、乾燥した後、焼成することによって形成することができる。水性懸濁液を調製する際の溶媒としては、例えば水、特に純水、が好ましい。水性懸濁液中のフッ素樹脂の粒子の量は、溶媒100質量部に対して20〜60質量部、特に30〜60質量部が好ましい。
【0031】
本発明における複合材層は、フッ素樹脂が耐熱性繊維織布の内部にまで充分浸透し、かつ耐熱性繊維織布の表面がフッ素樹脂に覆われていることが好ましい。従って、フッ素樹脂の使用量は、耐熱性繊維織布とフッ素樹脂との総量を100質量部として、30〜70質量部、特に40〜60質量部、が好ましい。
【0032】
<表面層>
本発明による複層シートは、フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層と、複数の延伸されたフッ素樹脂シートが積層されてなるフッ素樹脂層とを有する複層シートである。
【0033】
前記、フッ素樹脂シートの積層位置は、前記複合材層の全面、屈曲する一部分、端部をコの字型に包み込み積層することが出来るが、この限りではなく、具体的用途や目的等によって適宜定めることができる。これによって、必要に応じた屈曲性の向上及び端部の毛羽立ち抑制を図ることができる。
【0034】
本発明において、フッ素樹脂はポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
【0035】
表面層の厚さは、本発明による複層シートおよびエンドレスベルトの具体的用途や目的等によって適宜定めることができる。
【0036】
前記フッ素樹脂シートの表面層の厚さは80〜1700μmが好ましく、特に80〜230μmが特に好ましい。
【0037】
前記フッ素樹脂フィルムまたはシートとしては、市販されている「Textiles coated international Inc社製LFPTMCROSS FILM」の使用が最適である。
【0038】
<エンドレスベルト>
本発明によるエンドレスベルトは、上記の本発明による複層シートから形成されたベルト状物の環状体からなること、を特徴とする。エンドレスベルトの幅、長さ等は、エンドレスベルトの具体的用途に応じて適宜定めることができる。
図2〜図5は、本発明によるエンドレスベルトの好ましい具体例を示すものである。
図2に示される本発明によるエンドレスベルトは、複層シートのベルト状物の一方の端部の周辺域に他方の端部が重ね合わされ、両端部が接合されたものであり、図3に示される本発明によるエンドレスベルトは、複層シートのベルト状物の二つの端部をその端部断面にて接合されたものであり、図4に示される本発明によるエンドレスベルトは、複層シートのベルト状物の二つの端部の双方を同一の連結用シートに重ね合わされ接合されたものであり、図5に示される本発明によるエンドレスベルトは、図3に示されるエンドレスベルトが2本重ね合わされ接合された構造を有するものである。
【0039】
本発明によるエンドレスベルトは、前記フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層から形成されたベルト状物を用途に応じた所望の幅、長さの環状体にしたものに、前記フッ素樹脂フィルムまたはシートを前記環状体の複合材層の全面、屈曲する一部分、端部をコの字型に包み込み積層することが出来るが、この限りではなく、具体的用途や目的等によって適宜定めることができる。これによって、必要に応じた屈曲性の向上及び端部の毛羽立ち抑制を図ることができる。
【実施例】
【0040】
<実施例1>
(1)フッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材を使用した複層シート
まず、フッ素樹脂とアラミド繊維の複合材を得るため、連続塗工装置で平織のアラミド繊維織布(厚み250μm)をフッ素樹脂(PTFE)の水性懸濁液に含浸し付着させて、80℃で乾燥した後、380℃の温度で焼成して、フッ素樹脂(PTFE)とアラミド繊維織布の複合材(厚み350μm)を得た。
【0041】
次に、前記のフッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材(厚み350μm)の表面に市販の多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルム((厚み80μm)(Textiles coated international Inc社製「LFPTMCROSS FILM」(商品名)))を配置し、380℃の温度で圧着し、フッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材の両面に多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルム層を形成した複層シート(厚み510μm)を得た(図1)。
【0042】
<実施例2>
(2)フッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材を使用した複層シート
まず、フッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材を得るため、連続塗工装置で平織のガラス繊維織布(厚み250μm)をフッ素樹脂(PTFE)の水性懸濁液に含浸し付着させて、80℃で乾燥した後、380℃の温度で焼成して、フッ素樹脂(PTFE)とガラス繊維織布の複合材(厚み350μm)を得た。
【0043】
次に、前記のフッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材(厚み350μm)の表面に市販の多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルム((厚み80μm)(Textiles coated international Inc社製「LFPTMCROSS FILM」(商品名)))を配置し、380℃の温度で圧着し、フッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材の両面に多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルム層を形成した複層シート(厚み510μm)を得た(図1)。
【0044】
<実施例3>
(3)実施例1の複層シートを使用したエンドレスベルト
実施例1の複層シート(厚み510μm)を裁断し、エンドレスになるよう配置し、加熱プレス機で380℃の温度で熱融着して、エンドレスベルトを得た(図2)。
【0045】
<実施例4>
(4)実施例2の複層シートを使用したエンドレスベルト
実施例2の複層シート(厚み510μm)を裁断し、エンドレスになるよう配置し、加熱プレス機で380℃の温度で熱融着して、エンドレスベルトを得た(図2)。
【0046】
<実施例5>
(5)実施例1の複合材のエンドレスベルトにフッ素樹脂フィルムを複層したエンドレスベルト
実施例1のフッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材(厚み350μm)を、実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにし、その表面の折り曲がる部分のみに長さ方向に帯状に多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルム((厚み80μm)(Textiles coated international Inc社製「LFPTMCROSS FILM」(商品名)))を配置し、380℃の温度で圧着し、エンドレスベルトを得た。
【0047】
<実施例6>
(6)実施例2の複合材のエンドレスベルトにフッ素樹脂フィルムを複層したエンドレスベルト
実施例2のフッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材(厚み350μm)を、実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにし、その表面の折り曲がる部分のみに長さ方向に帯状に多方向積層フッ素樹脂フィルム(PTFE)((厚み80μm)(Textiles coated international Inc社製「LFPTMCROSS FILM」(商品名)))を配置し、380℃の温度で圧着し、エンドレスベルトを得た。
【0048】
<実施例7>
(7)実施例1の複合材のエンドレスベルトの両端部にフッ素樹脂フィルムを複層したエンドレスベルト
実施例1のフッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材(厚み350μm)を、実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにし、その両端部の長さ方向に多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルム((厚み80μm)(Textiles coated international Inc社製「LFPTMCROSS FILM」(商品名)))をコの字状に包み込み配置し、380℃の温度で圧着し、エンドレスベルトを得た。
【0049】
<実施例8>
(8)実施例2のフッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材のエンドレスベルトの両端部にフッ素樹脂フィルムを複層したエンドレスベルト
実施例2の複合材(厚み350μm)を、実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにし、その両端部の長さ方向に多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルム((厚み80μm)(Textiles coated international Inc社製「LFPTMCROSS FILM」(商品名)))をコの字状に包み込み配置し、380℃の温度で圧着し、エンドレスベルトを得た。
【0050】
<比較例1>
実施例1と同じ方法で多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルムの代わりにフッ素樹脂(PTFE)スカイブド単体フィルム(厚み80μm)を圧着したが、フッ素樹脂(PTFE)スカイブド単体フィルムの縮みが酷く、エンドレス可能な複層シートが得られなかった。
【0051】
<比較例2>
実施例2と同じ方法で多方向積層フッ素樹脂(PTFE)フィルムの代わりにフッ素樹脂(PTFE)スカイブド単体フィルム(厚み80μm)を圧着したが、フッ素樹脂(PTFE)スカイブド単体フィルムの縮みが酷く、エンドレス可能な複層シートが得られなかった。
【0052】
<比較例3>
実施例1のフッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材(厚み350μm)を実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにした。
【0053】
<比較例4>
実施例2のフッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材(厚み350μm)を実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにした。
【0054】
<比較例5>
実施例1のフッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材(厚み350μm)を、実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにし、その両端部の長さ方向にフッ素樹脂(PTFE)スカイブド単体フィルム(厚み80μm)を実施例7と同じ方法でコの字状に包み込み、エンドレスベルトにした。
【0055】
<比較例6>
実施例2のフッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材(厚み350μm)を、実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにし、その両端部の長さ方向にフッ素樹脂(PTFE)スカイブド単体フィルム(厚み80μm)を実施例8と同じ方法でコの字状に包み込み、エンドレスベルトにした。
【0056】
<比較例7>
実施例1のフッ素樹脂とアラミド繊維織布の複合材(厚み350μm)を実施例3と同じ方法でエンドレスベルトにした両端部に、実施例1と同じ方法で作製した別のフッ素樹脂(PTFE)とアラミド繊維織布の複合材(厚み210μm)をコの字状に包み込みエンドレスベルトにした。
【0057】
<比較例8>
実施例2のフッ素樹脂とガラス繊維織布の複合材(厚み350μm)を実施例4と同じ方法でエンドレスベルトにした両端部に、実施例1と同じ方法で作製した別のフッ素樹脂(PTFE)とアラミド繊維織布の複合材(厚み210μm)をコの字状に包み込みエンドレスベルトにした。
【0058】
[評価]
屈曲試験
前記の実施例3〜6、比較例3〜4によって得られたエンドレスベルトを縦方向に折り目が入るように治具を設けた走行試験機にセットし300,000回屈曲後の外観変化を比較試験した。
試験条件は速度:125m/分、ロール径:φ80mm、試験材料張力:0.5kg/cmとした。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
毛羽立ち試験
前記の実施例7〜8、比較例5〜8によって得られたエンドレスベルトを走行試験機にセットし両端部の1000000回屈曲後の外観変化を比較試験した。
試験条件は速度:40m/分、ロール径:φ20mm、試験材料張力:0.8kg/cmとした。その結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【符号の説明】
【0062】
1 複層シート
2 複合材層
2a フッ素樹脂
2b 耐熱性繊維織布
3 フッ素樹脂積層層
10 エンドレスベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層と、複数の延伸されたフッ素樹脂シートが積層されてなるフッ素樹脂層とを有する複層シートであって、
前記のフッ素樹脂層が、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように、各々のフッ素樹脂シートが積層されたものであることを特徴とする、複層シート。
【請求項2】
請求項1に記載の複層シートから形成されたベルト状物の環状体からなることを特徴とする、エンドレスベルト。
【請求項3】
(イ)複数の延伸されたフッ素樹脂シートからなり、各々のフッ素樹脂シートの延伸方向が異なるように積層されたフッ素樹脂層が、(ロ)フッ素樹脂と耐熱性繊維織布からなる少なくとも1層の複合材層から形成されたベルト状物の環状体の片面または両面に、あるいは当該ベルト状物の環状体の側面をコの字状に包み込むように、形成されてなることを特徴とする、エンドレスベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−28059(P2013−28059A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165276(P2011−165276)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000243331)本多産業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】