説明

複峰性のBブロックを有するABAトリブロックコポリマーの製造方法

本発明は、狭い単峰性の分子量分布を有するAブロックと、複峰性の分子量分布を有するBブロックとを有する(メタ)アクリレートベースのABAトリブロックコポリマーを製造するための制御された重合法、ならびに接着剤またはシーラント中での結合剤としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭い単峰性の分子量分布を有するAブロックと、複峰性の分子量分布を有するBブロックとを有する(メタ)アクリレートベースのABAトリブロックコポリマーを製造するための制御された重合法、ならびにたとえば接着剤またはシーラント中での結合剤としてのその使用に関する。
【0002】
定義された組成、鎖長、分子量分布等を有するテーラーメードコポリマーは1つの幅広い研究分野である。特に勾配ポリマーとブロックコポリマーとが区別されている。これらの材料に関して、種々の適用が考えられる。以下ではそのいくつかを手短に紹介する。ポリマーはたとえばイオン重合法により、または重縮合もしくは重付加により製造することができる。これらの方法では、末端基が官能化された生成物の製造は問題がない。しかしその際、適切な分子量の構築が問題である。
【0003】
遊離基重合法により得られるポリマーは、明らかに1.8を越える分子量分布の指数を示す。つまりこのような分子量分布の場合、必然的に極めて短鎖のポリマーと長鎖のポリマーとが全生成物中に存在する。短鎖のポリマー鎖は、長鎖の成分と比較して溶融液または溶液中で低い粘度を示し、かつポリマーマトリックス中では高い移動度を示す。これは一方ではこのようなポリマーの改善された加工性につながり、他方ではポリマー材料または被覆中のポリマー結合された官能基の利用性の向上につながる。これに対して長鎖の副生成物はポリマー溶融液もしくは溶液の過度の増粘につながる。マトリックス中でのこのようなポリマーの移動もまた明らかに低減される。
【0004】
しかし、遊離基により製造されたこの種の結合剤の欠点は、ポリマー鎖中での官能基のランダムな分布である。さらにラジカル重合法により硬質・軟質・硬質のトリブロック構造も、狭い分子量分布を有する個々のポリマーブロックの適切な合成も不可能である。ブロックポリマーはポリマー鎖中に存在し、個々のブロックの間の境界として定義されるモノマー間の飛躍的な移行を有している。ABブロックポリマーのための慣用の合成法は、モノマーAの制御された重合と、後の時点でのモノマーBの添加である。反応容器への回分式添加による連続的な重合以外に、両方のモノマーを連続的に添加する際に、これらの組成を特定の時点で大きく変更することによっても似たような結果は得られる。リビング重合法または制御された重合法として、アニオン重合または基移動重合以外に、制御されたラジカル重合、たとえばRAFT重合の現代の方法も適切である。ATRP法(atom transfer radical polymerization)は、1990年代にMatyjaszewski教授によって決定的に開発された(Matyjaszewski等、J.Am.Chem.Soc.、1995、117、第5614頁;WO97/18247;Science、1996、272、第866頁)。ATRPは、Mn=10000〜120000g/モルの分子量範囲の狭く分布した(ホモ)ポリマーを提供している。この場合の特別な利点は、分子量が制御可能であることである。リビング重合として、さらに、ポリマー構造、たとえばランダムコポリマーまたはブロックコポリマー構造の適切な構築が可能である。制御されたラジカル法は、特にビニルポリマーの適切な官能化のためにも適切である。特に興味深いのは、鎖の末端(いわゆるテレケリックポリマー)もしくは鎖の末端近くでの官能化である。これに対して、ラジカル重合の場合には、鎖の末端での適切な官能化はほぼ不可能である。定義されたポリマーデザインを有する結合剤は、制御された重合法、たとえば原子移動ラジカル重合の形での重合法により提供することができる。たとえば、官能化されていないBブロックと、官能化された外側のAブロックとを有するABAトリブロックコポリマーが記載されている。EP1475397には、OH基を有するこのようなポリマーが記載されており、WO2007/033887には、オレフィン性のもの、WO2008/012116にはアミン基を有するもの、および未公開のDE102008002016には、シリル基を有するものが記載されている。しかし、これらの文献に記載されているポリマーはすべて明らかに狭い分子量分布を有している。
【0005】
上記の制御された重合法については、適切な幅の分子量分布を有する単独の、もしくは複数のブロックを有するポリマーを製造することができる方法は記載されていない。すでに確立された方法は、オレフィン基によるポリ(メタ)アクリレートの末端基官能化およびその後の該基のヒドロシリル化である。このような方法は、特にEP1024153、EP1085027、およびEP1153942に記載されている。しかしこれは、ブロックコポリマーではなく、生成物の分子量分布は1.6より小さいことが明示されている。複数官能化された外側ブロックを有するポリマーに対するこのような生成物のもう1つの欠点は、片側が官能化されていない生成物が得られる可能性が高いことである。本発明によるポリマーに対してそのつど得られる低い官能化の度合いによって、その後の反応、たとえばシーラント組成物の硬化過程で低い架橋度が生じ、これにより機械的安定性および化学的抵抗性が損なわれる。
【0006】
テレケリックポリマーおよびブロック構造以外に、ATRP合成された、たとえばシリル含有の、ランダムな分布と狭い分子量分布を有する(メタ)アクリレートコポリマーは1つの代替案である。このような結合剤の欠点は編み目の狭い架橋である。このような結合剤系もまた、狭い分子量分布に基づいて、系中に含有されているポリマー鎖が特に長い、もしくは特に短いことによる利点を有していない。ATRP以外に、官能化されたポリマー構造を合成するためには、その他の方法も使用される。別の関連する方法を以下では手短に記載する。この場合、本発明との区別は生成物ならびに方法に関しても行われる。特に他の方法に対するATRPの利点がこの場合に明らかになる:
アニオン重合の場合、複峰性が生じうる。しかしこれらの重合法は、特定の官能化を生じることができるにすぎない。ATRPについては、系に関する複峰性の分布が記載されている。しかし、これらのポリマーの複峰性はそのつど、一方ではブロックコポリマーの存在により、および他方では未反応のマクロ開始剤の存在により生じる。従ってこれにより複峰性の同様なポリマーは存在せず、これはブロックコポリマーと、これとは異なった構造のオリゴマーとの混合物である。複峰性の分子量分布を有するポリマーの適切な構築は記載されていない。
【0007】
課題
開発の新たな段階は以下に記載するトリブロックコポリマーである。課題は、官能化されたポリ(メタ)アクリレートからなるABA構造のトリブロックポリマーを合成する方法を提供することであった。その際、該ポリマーは、それ自体が1.6より小さい狭い分子量分布を有するAブロックと、一方では長いポリマー鎖と、他方では短いポリマー鎖とを有する複峰性の分子量分布を有するBブロックとからなるものであるべきである。特に、複峰性の分子量分布を有するそのBブロックが少なくとも1.8の多分散性指数を有し、かつABAトリブロックコポリマーは総じて少なくとも1.8の多分散性指数を有する、このようなBブロックを有しているABAトリブロックコポリマーに対する要求が生じる。その際、ABAトリブロックコポリマーは、組成ACBCAもしくはCABACを有するペンタブロックコポリマーと同視することができる。
【0008】
もう1つの課題は、ABAトリブロックコポリマーもしくは組成ACBCAもしくはCABACのペンタブロックコポリマーを、これらのポリマーがAブロック中のみに官能基を有しているように製造することである。特に本発明の対象は、付加的な官能基を有する適切な不飽和モノマーを組み込むことによりAブロックを適切に官能化するための方法である。
【0009】
従って本発明の課題は特に、1のタイプのブロック中でのみ適切に官能化されており、粘度を低下させる短い鎖と同時に、付着性を改善する長い鎖とを有するブロック構造を有する、接着材料もしくはシーラントのための結合剤を提供することでもある。
【0010】
解決手段
前記課題は、原子移動ラジカル重合(ATRP)に基づいた新規の重合法の提供により解決された。ブロックコポリマーの製造方法であって、1の二官能性開始剤を複数回に分けて重合溶液に添加し、ブロックコポリマーは合計して1.8より大きい多分散性指数を有し、かつブロックタイプBは単独で同様に1.8より大きい多分散性指数を有する、連続的に実施される原子移動ラジカル重合(ATRP)であることを特徴とする方法を提供する。その際、2回の開始による方法によって複峰性の分子量分布を有するポリマーが製造される。ポリマーの、またはポリマーからなる混合物の複峰性の分子量分布とは、本発明によれば、異なった平均分子量MnとMwとを有する、2つの異なった個々の分子量分布からなる全分子量分布であると理解する。その際、両方の分子量分布は、完全に相互に分離されていてもよく、これらが2つの区別可能な最大値を有する限りで重複しているか、これらが全分子量分布においてショルダー部を形成する限りで重複していてもよい。全分子量分布は、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定される。
【0011】
ブロックコポリマーは、連続的な重合法により製造される。これはつまり、たとえばブロックAを合成するためのモノマー混合物を、たとえばブロックBを合成するためのモノマー混合物が少なくとも90%、有利には少なくとも95%反応した重合時間t2の後で初めて系に添加することを意味している。この方法によりBブロックは組成Aのモノマーを含有しておらず、かつAブロックは組成Bのモノマーを全量の10%未満、有利には5%未満のBを含有することが保証される。ブロックの境界はこの定義によれば、添加されるモノマー混合物(この場合はたとえば混合物A)の第一の繰り返し単位が存在する鎖のそのつどの箇所に存在する。95%にすぎない反応率は、残留するモノマーが、特にアクリレートの場合には、第二のモノマー組成物、特にメタクリレートの重合への効率的な移行を可能にするという利点を有している。この方法でブロックコポリマーの収率が明らかに改善される。
【0012】
本発明による方法では、モノマー混合物Bの重合のための開始剤を2つのバッチにして時間をずらして重合溶液に添加する。第一のバッチにより重合が開始され、総じて比較的長い重合時間によって比較的高い分子量を有するポリマー鎖が形成される。所望される分子量に応じて変化しうる時間t1、ただし少なくとも30分、有利には少なくとも60分の時間t1の後に、第二のモノマーバッチを添加する。この第二の開始により、まず比較的低い分子量を有する組成Bのポリマーが形成される。その際、第一の開始剤バッチは全開始剤量の10%〜90%、有利には25%〜75%である。あるいは、開始剤を2より多くのバッチにして添加する方法も可能である。このようにして、組成ABAのブロックコポリマーを連続的に構築するための組成Bのマクロ開始剤が形成される。これらのマクロ開始剤はそれ自体1.8〜3.0、有利には1.9〜2.5の多分散性指数を有する分子量分布を有している。重合時間t2の後、最後にモノマー混合物Aを添加する。重合時間t2は少なくともさらに60分、有利には少なくとも90分である。ATRPの特性によりこの時点で、予め開始されていた組成Bの両方のポリマー種が重合に供され、かつポリマーブロックAが、ATRPのすでに公知の前提の下で構成される。ポリマー鎖のこれらのセグメントはそれ自体、狭い分子量分布を有している。その際、ペンタブロックポリマーの場合にはタイプCまたはDのブロックもまた相応して構成することができる。
【0013】
本発明のもう1つの利点はさらに、再結合が妨げられることである。たとえばこの方法により、特に高い分子量の形成を抑制することができる。このようなポリマー成分は、溶液粘度もしくは溶融粘度の過剰な上昇に貢献しうる。むしろ本発明により製造される、複峰性の分布を有するポリマーは、類似の構造の、それ自体それぞれ狭く、かつ単峰性の分布を有する2種類のポリマーからなる。それにもかかわらず、本発明により製造された全てのポリマーの多分散性指数は1.8より大きい。本発明によれば、分子量の質量平均と数平均との商である多分散性指数は、分子量分布の不均一性に関する尺度として記載される。分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によりPMMA標準液に対して測定される。
【0014】
本発明のもう1つの実施態様は、複峰性の分子量分布を有するABA、CABAC、ACBCAもしくはCDBDCブロックコポリマー中のAブロックもしくはDブロックの適切な官能化である。この課題は、個々のAブロックもしくはDブロック中に少なくとも1、および最大で4の官能基を有するブロックコポリマーの製造法であって、モノマー混合物AもしくはDが、官能化された(メタ)アクリレートと、付加的な官能基を有していない(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリレートの混合物の群から選択されるモノマーとを含有する組成物からなることを特徴とする製造法により解決された。これに対してモノマー混合物BおよびCは、付加的な官能基を有していない(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリレート混合物のみからなる。この場合、これらの組成物は、官能基を有していないモノマー混合物Aの割合と同一であっても、異なっていてもよい。特に少なくとも1、および最大で2の官能基を有する本発明によるブロックコポリマーも個々のAブロック中で製造することができることが判明した。ブロックAのコポリマーにも、ブロックBもしくはCのコポリマーにも、(メタ)アクリレートの基に数えられない、ATRP重合可能なモノマーを0〜50質量%添加することができる。Cブロックは、基本組成がAブロックに相応するが、官能基を有するモノマーを含有していないポリマーブロックである。Dブロックは、一方では基本組成においてBブロックに相応するが、Cブロックには相応せず、かつ他方では官能性の成分を含有するポリマーブロックである。
【0015】
従来技術に記載されている、たとえば組成物中でシリル末端結合剤を使用する方法と比較して、本発明による生成物中では、比較的高い官能化度により、より良好な架橋性を得ることができる。さらに、末端セグメント(ここではブロックA)における反応基の分布によって、編み目が狭すぎる架橋は排除される。末端セグメントとは、全ポリマー鎖のそれぞれ最大で25質量%、および有利には最大で10質量%、および特に有利には最大で5質量%の鎖部分を意味する。
【0016】
Aブロック中に含有されている前記の官能基は、ATRPにより共重合可能なモノマーの選択によって制限されている。
【0017】
以下の列記は発明を説明するための例にすぎず、発明を何らかの方法で限定するためのものではない。たとえばAブロックは付加的なOH基を有していてもよい。このために適切な、ヒドロキシ官能化された(メタ)アクリレートは有利には直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の、2〜36個の炭素原子を有するジオールのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、たとえば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチルモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、特に有利には2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。アミン基はたとえば2−ジメチルアミノエチル−メタクリレート(DMAEMA)、2−ジエチルアミノエチル−メタクリレート(DEAEMA)、2−t−ブチルアミノエチル−メタクリレート(t−BAEMA)、2−ジメチルアミノエチル−アクリレート(DMAEA)、2−ジエチルアミノエチル−アクリレート(DEAEA)、2−t−ブチルアミノエチル−アクリレート(t−BAEA)、3−ジメチルアミノプロピル−メタクリルアミド(DMAPMA)および3−ジメチルアミノプロピル−アクリルアミド(DMAPA)の共重合により製造可能である。アリル基を有するポリマーはたとえばアリル(メタ)アクリレートの共重合により実現することができる。エポキシ基を有するポリマーは、グリシジル(メタ)アクリレートの共重合により得られる。酸基は、t−ブチル(メタ)アクリレートの共重合と、その後のけん化もしくは熱によるイソブテンの分離より実現することができる。(メタ)アクリレート結合したシリル基の例は、−SiCl3、−SiMeCl2、−SiMe2Cl、−Si(OMe)3、−SiMe(OMe)2、−SiMe2(OMe)、−Si(OPh)3、−SiMe(OPh)2、−SiMe2(OPh)、−Si(OEt)3、−SiMe(OEt)2、−SiMe2(OEt)、−Si(OPr)3、−SiMe(OPr)2、−SiMe2(OPr)、−SiEt(OMe)2、−SiEtMe(OMe)、−SiEt2(OMe)、−SiPh(OMe)2、−SiPhMe(OMe)、−SiPh2(OMe)、−SiMe(OC(O)Me)2、−SiMe2(OC(O)Me)、−SiMe(O−N=CMe22または−SiMe2(O−N=CMe2)が挙げられる。その際、Meという略号はメチル基を表し、Phはフェニル基、Etはエチル基およびPrはイソ−プロピル基もしくはn−プロピル基を表す。市場で入手可能なモノマーは、たとえばEvonik Degussa GmbH社のDynasylan(登録商標)MEMOである。これは、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。
【0018】
官能化のために使用されるモノマーが重合し、その際、架橋反応が起こらないことは有利である。
【0019】
(メタ)アクリレートという記載方法は、(メタ)アクリル酸のエステルを表し、ここではメタクリレート、たとえばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート等も、アクリレート、たとえばメチルアクリレート、エチルアクリレート等も、ならびに両者の混合物も表す。ブロックA中にもブロックB中にも重合されるモノマーは、(メタ)アクリレート、たとえば1〜40個の炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状もしくは脂環式アルコールのアルキル(メタ)アクリレート、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、たとえばそれぞれ非置換であるか、または1〜4回置換されたアリール基を有するベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート、その他の芳香族置換された(メタ)アクリレート、たとえばナフチル(メタ)アクリレート、5〜80個の炭素原子を有するエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらの混合物のモノ(メタ)アクリレート、たとえばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシ(m)エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選択されている。
【0020】
前記の(メタ)アクリレート以外に、重合すべき組成物は、前記の(メタ)アクリレートと、およびATRPにより共重合可能な、さらなる不飽和モノマーを含有していてもよい。これには特に1−アルケン、たとえば1−ヘキセン、1−ヘプテン、分枝鎖状のアルケン、たとえばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、アクリルニトリル、ビニルエステル、たとえば酢酸ビニル、スチレン、ビニル基にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、たとえばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環に1もしくは複数のアルキル置換基を有する置換されたスチレン、たとえばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、たとえばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン、複素環式化合物、たとえば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよびイソプレニルエーテル、マレイン酸誘導体、たとえば無水マレイン酸、マレイミド、メチルマレイミドおよびジエン、たとえばジビニルベンゼン、ならびにAブロック中でそれぞれヒドロキシ官能化された、および/またはアミノ官能化された、および/またはメルカプト官能化された化合物が含まれる。さらにこれらのコポリマーは、該コポリマーが、1の置換基中にヒドロキシ官能基および/またはアミノ官能基および/またはメルカプト官能基を有するように製造してもよい。このようなモノマーは、たとえばビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、水素化ビニルチアゾール、および水素化ビニルオキサゾールである。特に有利には、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、スチレンまたはアクリロニトリルは、Aブロックおよび/またはBブロックと共重合される。この方法は、任意のハロゲン不含の溶剤中で実施することができる。有利にはトルエン、キシレン、H2O、酢酸エステル、有利には酢酸ビニル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ケトン、有利にはエチルメチルケトン、アセトン、エーテル、脂肪族化合物、有利にはペンタン、ヘキサン、バイオディーゼル、あるいはまた可塑剤、たとえば低分子量のプロピレングリコールまたはフタル酸エステルである。組成ABAのブロックコポリマーは、連続的な重合により製造される。溶液重合以外に、ATRPは、乳化重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合、懸濁重合または塊状重合として実施することもできる。重合は、標準圧力、減圧または過圧で実施することができる。重合温度も重要ではない。しかし温度は一般に−20℃〜200℃、有利には0℃〜130℃、および特に有利には50℃〜120℃の範囲である。有利には本発明によるポリマーは、5000g/モル〜100000g/モル、特に有利には7500g/モル〜50000g/モル、およびとりわけ有利には30000g/モル以下の数平均分子量を有する。
【0021】
二官能性の開始剤として、RO2C−CHX−(CH2n−CHX−CO2R、RO2C−C(CH3)X−(CH2n−C(CH3)X−CO2R、RO2C−CX2−(CH2n−CX2−CO2R、RC(O)−CHX−(CH2n−CHX−C(O)R、RC(O)−C(CH3)X−(CH2n−C(CH)3X−C(O)R、RC(O)−CX2−(CH2n−CX2−C(O)R、XCH2−CO2−(CH2n−OC(O)CH2X、CH3CHX−CO2−(CH2n−OC(O)CHXCH3、(CH32CX−CO2−(CH2n−OC(O)CX(CH32、X2CH−CO2−(CH2n−OC(O)CHX2、CH3CX2−CO2−(CH2n−OC(O)CX2CH3、XCH2C(O)C(O)CH2X、CH3CHXC(O)C(O)C(O)CHXCH3、XC(CH32C(O)C(O)CX(CH32、X2CHC(O)C(O)CHX2、CH3CX2C(O)C(O)CX2CH3、XCH2−C(O)−CH2X、CH3−CHX−C(O)−CHX−CH3、CX(CH32−C(O)−CX(CH32、X2CH−C(O)−CHX2、C65−CHX−(CH2n−CHX−C65、C65−CX2−(CH2n−CX2−C65、C65−CX2−(CH2n−CX2−C65、o−、m−もしくはp−XCH2−Ph−CH2X、o−、m−もしくはp−CH3CHX−Ph−CHXCH3、o−、m−もしくはp−(CH32CX−Ph−CX(CH32、o−、m−もしくはp−CH3CX2−Ph−CX2CH3、o−、m−もしくはp−X2CH−Ph−CHX2、o−、m−もしくはp−XCH2−CO2−Ph−OC(O)CH2X、o−、m−もしくはp−CH3CHX−CO2−Ph−OC(O)CHXCH3、o−、m−もしくはp−(CH32CX−CO2−Ph−OC(O)CX(CH32、CH3CX2−CO2−Ph−OC(O)CX2CH3、o−、m−もしくはp−X2CH−CO2−Ph−OC(O)CHX2またはo−、m−もしくはp−XSO2−Ph−SO2X(式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表し、Phはフェニレン(C64)を表し、Rは1〜20個の炭素原子を有する脂肪族基を表し、該基は線状、分枝鎖状もしくは環式の構造であってもよく、飽和、もしくは不飽和、もしくはポリ不飽和であってもよく、かつ1もしくは複数の芳香族を有していてもよく、あるいはまた芳香族を有さず、かつnは0〜20の数である)を使用することができる。有利には1,4−ブタンジオール−ジ−(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)、1,2−エチレングリコール−ジ−(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)、2,5−ジブロモ−アジピン酸−ジ−エチルエステルまたは2,3−ジブロモ−マレイン酸−ジ−エチルエステルを使用する。開始剤対モノマーの比から、全てのモノマーが反応した場合の後の分子量が生じる。
【0022】
ATRPのための触媒は、Chem.Rev.2001、101、2921に記載されている。主として銅錯体が記載されているが、しかし特に鉄、ロジウム、白金、ルテニウムまたはニッケルの化合物も使用される。一般に、開始剤もしくは移動可能な原子基を有するポリマー鎖によりレドックスサイクルを形成することができる全ての遷移金属化合物を使用することができる。銅はこのためにたとえば、Cu2O、CuBr、CuCl、CuI、CuN3、CuSCN、CuCN、CuNO2、CuNO3、CuBF4、Cu(CH3COO)またはCu(CF3COO)から出発して系に添加することができる。
【0023】
記載のATRPの1の代替案は、その変法である。いわゆるリバースATRPでは、酸化数がより高い化合物、たとえばCuBr2、CuCl2、CuO、CrCl3、Fe23またはFeBr3を使用することができる。これらの場合、反応は古典的なラジカル形成剤、たとえばAIBNによって開始することができる。この場合、遷移金属化合物がまず還元される。というのも、遷移金属化合物は、古典的なラジカル形成剤から発生するラジカルと反応するからである。このリバースATRPは、特にWangおよびMatyjaszewskiによって、Macromolekules(1995)、第28巻、第7572頁に記載されている。
【0024】
リバースATRPの1の変法は、酸化数がゼロの金属を付加的に使用することである。より高い酸化数の遷移金属との予測される均等化反応によって反応速度が促進される。この方法はWO98/40415に詳細に記載されている。遷移金属対二官能性の開始剤のモル比は一般に0.02:1〜1〜20:1の範囲、有利には0.02:1〜6:1の範囲、および特に有利には0.2:1〜4:1の範囲であるが、このモル比はこれによって限定されるべきではない。有機溶剤中での金属の溶解性を高め、かつ同時に安定した、およびこれにより重合不活性の有機金属化合物の形成を回避するために、リガンドを系に添加する。リガンドは付加的に、移動可能な原子基の遷移金属化合物による引き抜き反応を緩和する。公知のリガンドの列挙は、たとえばWO97/18247、WO97/47661またはWO98/40415に記載されている。配位成分は、リガンドとして使用される化合物の、多くの場合、1もしくは複数の窒素原子、酸素原子、リン原子および/または硫黄原子を有している。特に有利であるのはこの場合、窒素含有化合物である。とりわけ有利であるのは、窒素含有キレートリガンドである。例として、2,2′−ビピリジン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリス(2−アミノエチル)アミン(TREN)、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンまたは1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンが挙げられる。個々の成分の選択および組合せの貴重な示唆は、当業者はWO98/40415に見ることができる。これらのリガンドは現場で金属化合物と共に配位化合物を形成することができるか、またはこれらはまず配位化合物として製造され、引き続き反応混合物に添加することができる。リガンド(L)対遷移金属の比率は、リガンドの配位座の数と、遷移金属(M)の配位数とに依存する。このモル比は、一般に100:1〜0.1:1の範囲、有利には6:1〜0.1:1、および特に有利には3:1〜1:1の範囲であるが、これによって限定されるべきではない。ATRPが終了した後で、遷移金属化合物を適切な硫黄化合物の添加によって沈殿させることができる。たとえばメルカプタンの添加によって、鎖末端のハロゲン原子が、ハロゲン化水素の発生下に置換される。ハロゲン化水素、たとえばHBrは、遷移金属に配位しているリガンドLにおいてプロトン化されてアンモニウムハロゲン化物となる。この過程によって遷移金属−リガンド錯体は、クエンチングされ、「裸の」金属が沈殿する。引き続き、簡単な濾過によりポリマー溶液を容易に精製することができる。前記の硫黄化合物は、有利にはSH基を有する化合物である。特に有利にはこの硫黄化合物は、ラジカル重合から公知の調節剤、たとえばエチルヘキシルメルカプタンまたはn−ドデシルメルカプタンである。
【0025】
これらの生成物に関しては幅広い適用分野が存在する。適用例の選択は本発明によるポリマーの使用を制限するために適切なものではない。これらの例示は単に、記載のポリマーの幅広い使用の可能性をピックアップして示すためのものにすぎない。有利には組成ABA、ACBCA、CABACもしくはCDBDCの反応基を有するブロックコポリマーを、湿分硬化性架橋のためのプレポリマーとして使用することができる。該プレポリマーは、任意のポリマーによって架橋することができる。本発明により、個々のAブロックもしくはDブロック中で4個以下のシリル基を有する組成ABA、ACBCA、CDBDCもしくはCABACのブロックコポリマーは有利には、シーラント、反応性溶融接着剤または接着材料中で使用される。特に車両、船舶、コンテナ、機械装置および航空機の建築の分野における、ならびにエレクトロニクス分野における、および家庭用器機の製造の際のシーラント中で使用される。他の有利な適用分野は、建築分野、ヒートシールの分野または組み立て用接着剤のためのシーラントである。
【0026】
しかし、本発明により製造される材料の可能な適用は、シーラントのための結合剤、または他の種類の官能性を導入するための中間体としてのみではない。EP1510550ではたとえば特にアクリレート粒子およびポリウレタンからなる被覆組成物が記載されている。本発明によるポリマーは、相応する調製物中で加工特性および架橋特性の改善につながる。考えられる適用はたとえば粉体塗料用調製物である。
【0027】
新規の結合剤によって、たとえば上記の適用のための架橋性の一成分エラストマーおよび二成分エラストマーを製造することができる。調製物の慣用の別の成分は、結合剤、溶剤、充填剤、顔料、可塑剤、安定化添加剤、水捕捉剤、定着剤、チキソトロープ剤、架橋触媒、増粘剤(粘着性付与剤)などである。粘度を低下させるためには、溶剤、たとえば芳香族炭化水素、たとえばトルエン、キシレン等、エステル、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セルロース等、ケトン、たとえばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等を使用することができる。溶剤はすでにラジカル重合の過程で添加することができる。たとえば相応するポリウレタンのための調製物中でのヒドロシリル化結合剤のための架橋触媒は、慣用の有機スズ、鉛、水銀およびビスマスの触媒、たとえばジブチルスズジラウレート(たとえばBNT Chemicals GmbH)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジケトネート(たとえばAcima/Rohm+Haas社のMetatin740)、ジブチルスズジマレエート、スズナフテネート等である。有機スズ化合物の反応生成物、たとえばジブチルスズジラウレートとケイ酸エステル(たとえばDYNASIL Aおよび40)との反応生成物を、架橋触媒として使用することもできる。その他に、チタン酸エステル(たとえばチタン酸テトラブチル、チタン酸テトラプロピル等)、ジルコン酸エステル(たとえばジルコン酸テトラブチル等)、アミン(たとえばブチルアミン、ジエタノールアミン、オクチルアミン、モルホリン、1,3−ジアザビシクロ[5.4.6]ウンデセン−7(DBU)等)もしくはこれらのカルボン酸塩、低分子量ポリアミド、アミノオルガノシラン、スルホン酸誘導体およびこれらの混合物を使用することもできる。
【0028】
ブロックコポリマーの利点は、無色であることと、製造した製品ににおいがないことである。
【0029】
本発明のもう1つの利点はさらに、それぞれの官能化されたポリマーブロック中の官能基の数が限定されていることである。結合剤中で官能基の割合が高いと、場合により早すぎるゲル化、または少なくとも溶液粘度もしくは溶融粘度の付加的な上昇につながる。
【0030】
鎖末端セグメント中の反応性基の数が高いことによって、シリル基の反応はより確実であり、かつ編み目の狭いエラストマーへの架橋は明らかにより迅速に進行する。架橋密度を、もしくは架橋した最終生成物の特性を適切に制御することは、末端セグメント中の官能基の分布によって改善される。以下に記載の実施例は、本発明をよりよく説明するためのものであるが、しかし、本発明をここに開示されている特徴に限定するためにふさわしいものではない。
【0031】
実施例
数平均分子量Mnもしくは質量平均分子量Mw、および分子量分布の尺度としての多分散性指数D=Mw/Mnは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフラン中、PMMA標準液に対して測定される。
【0032】
例1
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管および滴下漏斗を備えた二重壁容器中に、N2雰囲気下でモノマー1a(正確な名称および量の記載は第1表を参照のこと)、プロピルアセテート120mL、酸化銅(I)(量は第1表を参照のこと)およびN,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA、量は第1表を参照のこと)を装入した。該溶液を80℃で15分間撹拌した。引き続き、同じ温度で一定量の開始剤1(第1表を参照のこと)1,4−ブタンジオール−ジ−(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)(BDBIB、プロピルアセテート中10mL)を添加した。2時間の反応時間後に、反応溶液に一定量の開始剤2(第1表を参照のこと)1,4−ブタンジオール−ジ−(2−ブロモ−メチルプロピオネート)(BDBIB、プロピルアセテート中10mL)を添加した。さらに1.5時間の重合時間の後で、平均分子量Mnを測定(SECによる)するために試料を取り出し、かつモノマー2aとモノマー3a(正確な名称および量の記載は第1表を参照のこと)からなる混合物を添加した。該混合物をさらに80℃で2時間攪拌し、かつ引き続き3.0gのn−ドデシルメルカプタンの添加により中断した。該溶液をシリカゲルを用いた濾過およびその後の蒸留による揮発性成分の除去により後処理した。平均分子量を最終的にSEC測定により測定した。組み込まれたモノマー3aの割合を1H−NMR測定により定量化した。
【0033】
例2
例1と同様に、モノマー1b、2bおよび3b(正確な名称および量の記載は第1表を参照のこと)を使用した。
【0034】
例3
例1と同様に、モノマー1c、2cおよび3c(正確な名称および量の記載は第1表を参照のこと)を使用した。受け器中ではプロピルアセテート180gを使用した。
【0035】
例4
例1と同様にモノマー1d、2dおよび3d(正確な名称および量の記載は第1表を参照のこと)を使用した。
【0036】
例5
例1と同様にモノマー1e、2eおよび3e(正確な名称および量の記載は第1表を参照のこと)を使用した。
【0037】
【表1】

【0038】
第一の重合段階の分子量分布はそれぞれ複峰性であり、かつ1.8より大きい多分散性指数Dを有している。最終生成物は、相応して大きな、ただし純粋なBブロックと比較した場合にはこれより小さい多分散性指数を有している。この効果は、総じてより高い分子量の結果であるが、しかしAブロックの重合は制御されて進行し、かつブロックはそれ自体狭い分子量分布を有していることを示している。例2における多分散性指数の増大は、高分子量のショルダー部に起因する。これは部分的に行われる鎖の二量化の下でのシリル基の副反応から生じる。
【0039】
溶剤を除去した後に、シリル官能化された生成物を、適切な乾燥剤の添加により安定化することができる。この方法で、分子量がさらに増大することなく良好な貯蔵安定性が保証される。
【0040】
組成ACBCAもしくはCABACのペンタブロックコポリマーへのこの結果の転用は同様に行うことができる。このような狭い分布を有するコポリマーの合成は、たとえば同一出願人による、未公開の特許出願DE102008002016に記載されている。
【0041】
比較例1
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管および滴下漏斗を備えた二重壁容器中に、N2雰囲気下でモノマー1f(正確な名称および量の記載は第2表を参照のこと)、プロピルアセテート125mL、酸化銅(I)0.5gおよびN,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)1.3gを装入した。該溶液を80℃で15分間撹拌した。引き続き、同じ温度で25mLのプロピルアセテート中に溶解した開始剤1,4−ブタンジオール−ジ−(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)(BDBIB、量は第2表を参照のこと)を添加した。3時間の重合時間後に、平均分子量Mnを測定(SECによる)するために試料を取り出し、かつモノマー2fとモノマー3f(正確な名称および量の記載は第2表を参照のこと)からなる混合物を添加した。該混合物を少なくとも95%の予測される反応率が達成されるまで重合させ、かつ2.1gのn−ドデシルメルカプタンの添加により中断した。該溶液をシリカゲルを用いた濾過およびその後の蒸留による揮発性成分の除去により後処理した。平均分子量を最終的にSEC測定により測定した。
【0042】
比較例2
比較例1と同様に、モノマー1g、2gおよび3g(正確な名称および量の記載は第2表を参照のこと)を使用した。
【0043】
比較例3
比較例1と同様に、モノマー1h、2hおよび3h(正確な名称および量の記載は第2表を参照のこと)を使用した。
【0044】
【表2】

【0045】
これらの比較試験は、慣用の添加剤を1のバッチにして添加した場合には、比較的狭く分布した内部のブロックと、1.4より小さい多分散性指数とを有するポリマーが形成されることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に実施される原子移動ラジカル重合(ATRP)によりブロックコポリマーを製造する方法において、二官能性の開始剤を2つのバッチにして重合溶液に添加し、かつ組成ABAのブロックコポリマーが総じて1.8より大きい多分散性指数を有する分子量分布を有することを特徴とする、ブロックコポリマーの製造方法。
【請求項2】
ブロックAが1.6より小さい多分散性指数を有する単峰性の分子量分布を有するコポリマーであり、ブロックBが1.8より大きい多分散性指数を有する複峰性の分子量分布を有するコポリマーであり、その際、モノマーは(メタ)アクリレートであるか、または(メタ)アクリレートの混合物であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の組成ABAを有するブロックコポリマーの製造方法。
【請求項3】
ブロックAおよびCがそれぞれ1.6より小さい多分散性指数を有する単峰性の分子量分布を有するコポリマーブロックであり、その際、モノマーは(メタ)アクリレートからなるか、または(メタ)アクリレートの混合物からなっていてもよく、かつブロックC中では別の官能基を有するモノマーを使用しないことを特徴とする、組成ACBCAまたはCABACを有する請求項1または2記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項4】
開始剤を2つのバッチにして、時間的に相互に別々に添加し、かつ第一の開始剤バッチは全開始剤量の10%〜90%、有利には25%〜75%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項5】
第二の開始剤バッチを、第一の開始剤バッチの少なくとも30分後、有利には少なくとも60分後であって、かつモノマー混合物BもしくはCの添加の少なくとも60分前、有利には少なくとも90分前に重合溶液に添加することを特徴とする、請求項4記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項6】
ブロックコポリマーの個々のAブロックが少なくとも1および最大で4、有利には少なくとも1および最大で2の官能基を有する組成を有していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項7】
Aブロックに、不飽和のラジカル重合可能な基と、ヒドロキシ基、アミン基、アリル基、シリル基またはエポキシ基から選択される第二の官能基を共重合することを特徴とする、請求項6記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項8】
個々のAブロックが、それぞれABAブロックコポリマーの全質量の25%未満、有利にはそれぞれ10%未満であることを特徴とする、請求項2または3のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項9】
1もしくは複数のブロックが、付加的にビニルエステル、ビニルエーテル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、スチレン、アクリロニトリルまたは他の、ATRPにより重合可能なモノマーを含有していることを特徴とする、請求項1記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項10】
ブロックコポリマーが、5000g/モル〜100000g/モル、有利には7500g/モル〜50000g/モルを有することを特徴とする、請求項1記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項11】
重合後にメルカプタンまたはチオール基含有化合物を添加することによりATRP触媒を沈殿させ、かつ濾過により重合溶液から分離することを特徴とする、請求項1記載のブロックコポリマーの製造方法。
【請求項12】
1.6より小さい多分散性指数を有する単峰性の分子量分布を有するブロックAと、1.8より大きい多分散性指数を有する複峰性の分子量分布を有するブロックBとを有し、その際、モノマーは、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリレートの混合物から選択される、請求項2から11までのいずれか1項記載の方法により得られるABAトリブロックコポリマー。
【請求項13】
ブロックAおよびCが、それぞれ1.6より小さい多分散性指数を有する単峰性の分子量分布を有し、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリレートの混合物の群から選択されるモノマーを含有するコポリマーであり、ブロックBが、1.8より大きい多分散性指数を有する複峰性の分子量分布を有し、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリレートの混合物を含有するコポリマーであり、かつブロックコポリマーが総じて1.8より大きい多分散性指数を有することを特徴とする、請求項3記載の方法により製造された、組成ACBCAまたはBACABを有するペンタブロックコポリマー。
【請求項14】
溶融接着剤、流動性接着剤、感圧接着剤、弾性シーラント、被覆剤または発泡材料前駆体を製造するための、請求項12または13記載のポリマーの使用。
【請求項15】
ヒートシール材料を製造するための請求項12または13記載のブロックコポリマーの使用。
【請求項16】
請求項12または13記載のブロックコポリマーであって、反応性の官能基を有するブロックコポリマーの、架橋可能な組成中での使用。

【公表番号】特表2012−508313(P2012−508313A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535947(P2011−535947)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062933
【国際公開番号】WO2010/054898
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】