説明

複数のコーティングを有する医薬剤形

【課題】本発明は、ヒトまたは下等動物への投与により、胃腸管において治療活性剤の望ましい部位の送達を維持する医薬組成物およびこれを下等動物へ投与する方法に関する。
【解決手段】本発明はヒトまたは下等動物の経口投与用固体単位剤形の医薬組成物に関し、この組成物は、a.安全且つ有効な量の治療用活性物質;b.ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、及びこれらの混合物から成る群より選択される内部コーティング層;並びにc.腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティング材を備える外部コーティング層;を含み、内部コーティング層が外部コーティング層と同じではなく;内部コーティング層がポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1である時、外部コーティング層はポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、またはポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2の混合物ではなく;内部コーティング層と外部コーティング層とがいずれの治療用活性物質も含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤、製造、または包装時のコーティングの破損に対する耐久性が向上した、治療活性剤を含有する新しい単位剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの従来技術の参照文献において、胃腸管下部、特に大腸または結腸への治療薬の送達利点が教示されている。これらの参照文献では、この送達効果を達成する剤形を配合する難しさを説明している。例えば、双方ともローズ(Rhodes)らに1996年7月30日に発行された特許文献1および2(米国特許第5,541,170号及び第5,541,171号では、結腸または直腸の疾患を治療するために、薬理用活性物質、特に5−アミノサリチル酸の大腸への送達について記載している。ケルム(Kelm)らに1997年11月11日に発行された特許文献3(米国特許第5,686,105号)では、少なくとも一層の内部コーティング層と一層の外部コーティング層とを有するコーティングシステムを含む治療活性剤の結腸への送達について記載している。内部コーティング層はpH約5〜約6.3の水性媒質で溶解し始める腸溶性ポリマーであり、外部コーティング層はpH約6.8〜7.2の水性媒質で溶解し始める腸溶性ポリマーである。イマティノ(Iamartino)らに1992年12月15日に発行された特許文献4(米国特許第5,171,580号)では、胃腸管下部、大腸、及び特に結腸に放出される活性物質を有し、溶解性が異なる三層の保護層でコーティングされた活性剤のコアを含む医薬品を開示している。この参照文献では、胃腸管下部、特に結腸に治療活性物質をより特異的且つ確実に用意することに焦点を当てており、このような用意は三層の保護層に加えて結腸に選択的効果を有するという利益によって達成される。別の従来技術の参照文献でも、結腸への治療活性剤の送達利益に焦点を当てている。これらの参照文献には、ケルム(Kelm)らに1997年11月11日に発行された特許文献5(米国特許第5,686,106号);ケルム(Kelm)らに1999年6月22日に発行された特許文献6(米国特許第5,914,132号);デイヴィス(Davis)らに1990年3月20日に発行された特許文献7(米国特許第4,910,021号);ゼイトーン(Zeitoun)らに1984年2月21日に発行された特許文献8(米国特許第4,432,966号);オカヤマ(Okayama)らに1997年8月5日に発行された特許文献9(米国特許第5,654,004号);カルカンチ(Calcanchi)らに1999年5月4日に発行された特許文献10(米国特許第5,900,252号);シャー(Shah)らに1996年1月9日に発行された特許文献11(米国特許第5,482,718号);ジャージェンズ(Jurgens)らに1994年5月31日に発行された特許文献12(米国特許第5,316,772号);デイヴィス(Davies)らに1987年6月10日に公開された特許文献13(欧州特許第225,189号);及びカーン(Khan)らの薬剤開発及び産業薬学(非特許文献1(Drug Development and Industrial Pharmacy)26(5)、549〜554、(2000年))が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,541,170号明細書
【特許文献2】米国特許第5,541,171号明細書
【特許文献3】米国特許第5,686,105号明細書
【特許文献4】米国特許第5,171,580号明細書
【特許文献5】米国特許第5,686,106号明細書
【特許文献6】米国特許第5,914,132号明細書
【特許文献7】米国特許第4,910,021号明細書
【特許文献8】米国特許第4,432,966号明細書
【特許文献9】米国特許第5,654,004号明細書
【特許文献10】米国特許第5,900,252号明細書
【特許文献11】米国特許第5,482,718号明細書
【特許文献12】米国特許第5,316,772号明細書
【特許文献13】欧州特許第225,189号明細書
【特許文献14】米国特許第4,412,992号明細書
【特許文献15】米国特許第4,552,899号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Drug Development and Industrial Pharmacy)26(5)、549〜 54、(2000年)
【非特許文献2】Colonic Drug Absorption and Metabolism、M. Mackay 及び E. Tomlinson 著、P. R. Bieck 編集、Marcel Dekker, Inc.、ニューヨーク、バーゼル、香港、137〜158(1993年)
【非特許文献3】Remington's Pharmaceutical Sciences;マック出版社(Mack Publishing Co.)(第19版、1995年)
【非特許文献4】Modern Pharmaceutics;第7巻、第9及び10章、バンカーアンドローデス(Banker & Rhodes)(1979年)
【非特許文献5】Pharmaceutical Dosage Forms);錠剤(Tablets)(1981年)
【非特許文献6】Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms;第2版(1976年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の従来技術の参照文献では、経口単位剤形の調剤、製造、または包装時に発生することがあるコーティングの破損の問題または可能性については記載されていない。コーティングが破損すると、治療活性剤は胃腸管の望ましい領域に確実に、あるいは安定して送達されなくなることがある。これらの破損は単位剤形の早すぎる裂開または放出に関連がある場合がある。実際に、コーティングの破損は、より多くの容量または濃度の治療活性剤を使用した結果、平均より大きく、あるいは重くなった単位剤形において特に問題になることがある。
【0006】
従って、本発明は、特に大きな単位剤形または重い単位剤形についてコーティングの破損の影響または負の効果を最小限にする、ヒトまたは下等動物の経口投与用固体単位剤形に関する。これらの負の効果を減らすことにより、このような組成物は胃腸管において治療活性剤の望ましい部位の送達を維持する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はヒトまたは下等動物の経口投与用固体単位剤形の医薬組成物に関し、該組成物は:
a.安全且つ有効な量の治療用活性物質;
b.ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、及びこれらの混合物から成る群より選択される内部コーティング層、並びに
c.腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティング材を備える外部コーティング層;
を含み、
内部コーティング層が外部コーティング層と同じではなく;内部コーティング層がポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1である時、外部コーティング層はポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、またはポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2との混合物ではなく;内部コーティング層と外部コーティング層とが治療用活性物質を含まない。
【0008】
別の実施形態では、本発明はヒトまたは下等動物の経口投与用固体単位剤形の医薬組成物に関し、この医薬組成物は、
a.安全且つ有効量の治療用活性物質;
b.ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2を含む内部コーティング層;並びに
c.腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティング材を備える外部コーティング層;
を含み、
内部コーティング層が外部コーティング層と同じではない。本発明は更に、上記の組成物をヒトまたは下等動物への投与を通じ、胃腸管においてコーティングの破損の影響を減らすことにより、治療活性剤の望ましい部位の送達を維持する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用する「安全且つ有効な量」という用語は、適切な医学的良識の範囲内で、治療状態に著しく良好な変化をもたらすには十分であるが、重篤な副作用を(妥当な利益/危険率で)避けるには十分に少ない、本組成物の治療用活性物質またはその他の構成成分の量を意味する。本組成物の治療用活性物質またはその他の構成成分の安全且つ有効な量は、特定の治療状態、治療患者の年齢及び身体的状態、状態の程度、治療期間、現在の治療の性質、選択される活性剤及び要因などによって変化する。
【0010】
(治療用活性物質)
本発明の方法及び組成物は、治療用活性物質の安全且つ有効な量を含む。ある実施形態において、本発明の剤形に組み入れるのに適した治療活性剤は、結腸の治療に治療用利益を有する活性剤である。これらの活性剤には結腸の疾病の治療に有用な治療活性剤が含まれ、結腸の疾病には、例えば、便秘、下痢、過敏性腸症候群(IBS)、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎、癌、突発性直腸炎、治療活性剤の全身吸収が不要且つ望ましくない感染、及びその他の結腸または直腸の疾病または異常などが含まれる。これらの治療活性剤には、ピコスルフェート及びセンナシド(sennaside)などの便秘治療用活性物質及び緩下剤、ロペラミドなどの止瀉剤、サリチル酸塩、インドメタシン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム5−アミノサリチル酸(または、製薬上許容できるこれらの塩またはエステル)などの非ステロイド系抗炎症薬、チャン(Chan)に1983年11月1日に発行された特許文献14(米国特許第4,412,992号)に開示されているバルサラザイド(balsalazide)及びその剤形、並びにサンシャイン(Sunshine) らに1985年11月12日に発行された特許文献15(米国特許第4,552,899号)に開示されているNSAIDS、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロン、メタスルホ安息香酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、及び吉草酸ベクロメタゾンなどのステロイド、デキストラメサゾン(dextramethazone)などの糖質コルチコイド、抗菌剤または抗寄生虫剤(特にメトトレキサートなどの嫌気性微生物に対して有効な薬剤)、5−アミノサリチル化合物、4−アミノサリチル化合物、スルファサラジン、ベンザラジン(benzalazine)、エリスロマイシン、クロロキン、ヨードクロルヒドロキシキン、ジヨードヒドロキシキン、ネオマイシン及びテトラサイクリン、シクロスポリンAなどの免疫抑制剤、癌治療用化学療法剤、シサプリド、ハッカ油、及びその他の駆風精油などの胃腸刺激剤及び運動促進剤、コレスチラミンなどの過剰な胆汁酸を除去する活性物質が含まれる。上記の参照文献は、参照として本明細書に完全な形で組み込まれている。
【0011】
特定の治療活性剤、特にペプチド及びタンパク質は、胃や小腸で内腔分解を受ける。結腸では内腔酵素活性が低いため、結腸はこのような化合物にとって好ましい吸収部位である場合がある。結腸薬の吸収及び代謝(非特許文献2(Colonic Drug Absorption and Metabolism、M. Mackay 及び E. Tomlinson 著、P. R. Bieck 編集、Marcel Dekker, Inc.、ニューヨーク、バーゼル、香港、137〜158(1993年))。結腸で放出される時、改善された全身性の生物学的利益を示すことができるペプチド及びタンパク質には、カルシトニン、インスリン、及びヒト成長ホルモンが含まれる。ある場合には、ペプチドまたはタンパク質は巨大分子の吸収を高めるシステムと共に処方されることがある(結腸薬の吸収及び代謝(非特許文献2(Colonic Drug Absorption and Metabolism、M. Mackay 及び E. Tomlinson 著、P. R. Bieck 編集、Marcel Dekker, Inc.、ニューヨーク、バーゼル、香港、137〜158、(1993年)))。
【0012】
治療用活性物質は、好適な単位用量で固体剤形中に存在する。これらの用量は当業者には既知であろう。ある実施形態では、活性物質は用量範囲が約400mg〜約1.5g/錠の5−アミノサリチル酸またはこれらの製薬上許容できる塩またはエステルであり、別の実施形態では用量範囲が約700mg/錠〜約900mg/錠である。
治療用活性物質は、当業者に既知の技術を使用して、薬剤の物理化学的特性及びその薬力学に調和した方法で、本明細書に記載する複数の基材の1つに組み込まれることがある。
【0013】
(内部及び外部コーティング層)
ある実施形態では、本発明のコーティング層は本発明の治療用活性物質をいずれも含まない。更に、本明細書で記載する「コーティング層」とは、固体単位剤形全体の完全な包含またはコーティングを意味する(治療用活性物質のコーティングされた微結晶球体、コーティングされたペレット、コーティングされた小球、コーティングされた微粒子または粒子、またはコーティングされた顆粒を含まない)。
【0014】
(内部コーティング層)
内部コーティング層は、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、及びこれらの混合物から成る群より選択される。一般に、内部コーティング層は望まれる好ましい送達部位に基づいて選択され、約20μm〜約120μmの最小コーティング厚を得るように単位剤形のコアに適用される。コーティング厚は単位剤形の実際の大きさに依存するが、ある実施形態では、内部コーティング層の最小コーティング厚は約20μm〜約50μmである。
【0015】
ある実施形態では、内部コーティング層は、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)S)、または水性媒質においてユードラジット(Eudragit)(登録商標)Sと同じpH放出特性を有するその他の腸溶性ポリマー素材を含む。ローム・テック(Rohm Tech)からのユードラジット(Eudragit)(登録商標)Sは、平均分子量が約135,000、遊離カルボキシル基対エステル基の比が約1:2のメタクリル酸及びメチルメタクリレートに由来する陰イオン性コポリマーである。ある実施形態では、内部コーティング層はユードラジット(Eudragit)(登録商標)Sと同じ水性pH放出特性を有するいずれか他のポリマーである。
【0016】
(外部コーティング層)
外部コーティング層は腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティング材を含み、外部コーティング層は内部コーティング層とは異なる。一般に、内部コーティング層がポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)L)である時、外部コーティング層はポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)S)、またはポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2の混合物ではない。外部コーティング材は、出荷時の破損から内部コーティング層を保護し、内部コーティング層に先立って胃腸管で溶解または除去されるいずれかのコーティング材であり得る。外部コーティング層は、腸溶性ポリマー材またはフィルムコーティング材の単層コーティングまたは多層コーティングである。別の実施形態では、単位剤形は単層の外部コーティング層を有する。また別の実施形態では、外部コーティング層は陰イオン性コポリマーである。ある実施形態では、外部コーティングは、水性媒質においてユードラジット(Eudragit)(登録商標)Sと同じ放出pHを有する腸溶性ポリマーまたはこれらの混合物を含むことはできない。内部コーティング層がポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2である時、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2が別の腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティング材と混合されていて、混合物の放出pHが水性媒質でポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)S)のみの放出pHより低い場合、外部コーティング層はポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)S)しか含むことができない。
【0017】
別の実施形態では、外部コーティング層はpH約7未満の水性媒質で溶解し始める腸溶性ポリマー材であり、更に別の実施形態ではpH約6.8未満の水性媒質で溶解し始める腸溶性ポリマー材である。一般に、外部コーティング層は約10μm〜約200μmの最小厚を得るように単位剤形のコアに適用され、別の実施形態では外部コーティング層は約30μm〜約150μmである。
【0018】
ある実施形態では、外部コーティング層は、フィルムコーティング、セルロース誘導体、セルロースエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低粘度ヒドロキシプロピルセルロース、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルナウバ蝋などの蝋または蝋様物質、脂肪族アルコール、硬化植物油、ゼイン、セラック、スクロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、オオバコ殻粉末、ポリメタクリレート、陰イオン性ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1との混合物、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースプロピオネートフタレート、セルロースアセテートマレアート、ポリビニルアルコールフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)1:1、及びこれらの適合性のある混合物から成る群より選択される。
【0019】
別の実施形態では、外部コーティング層は、セルロース誘導体、セルロースエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低粘度ヒドロキシプロピルセルロース、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、脂肪族アルコール、硬化植物油、ゼイン、セラック、スクロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、オオバコ殻粉末、ポリメタクリレート、陰イオン性ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1との混合物、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースプロピオネートフタレート、セルロースアセテートマレアート、ポリビニルアルコールフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)1:1、及びこれらの適合性のある混合物から成る群より選択される。
【0020】
更に別の実施例では、外部コーティング層は、陰イオン性ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1との混合物、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースプロピオネートフタレート、セルロースアセテートマレアート、ポリビニルアルコールフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)1:1、及びこれらの適合性のある混合物から成る群より選択される。
【0021】
別の実施形態では、外部コーティング層は、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)L)とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)S)との混合物の単層であり、その混合比は約1:10〜約1:10、好ましくは約1:5〜約1:3、更に好ましくは約2:3である。コーティング厚は単位剤形の実際の大きさに依存するが、ある実施形態では外部コーティング層の最小コーティング厚は約10〜約50μm、別の実施形態では約20〜約40μmである。
【0022】
別の実施形態では、外部コーティング層はpH約5〜約6.3の水性媒質で溶解し始める腸溶性ポリマーの単層コーティングであり、更に別の実施形態ではpH約5〜約6、また別の実施形態ではpH約5〜約5.5の水性媒質で溶解し始める腸溶性ポリマーの単層コーティングである。
【0023】
ある実施形態では、外部コーティング層の機能は、処方調剤、製造、及び包装時の内部コーティング層の破損を防止または最小限にすることであり、内部コーティング層の機能は、胃腸管において治療活性物質の望ましい部位への放出を維持することである。例えば、内部コーティングがポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2(ユードラジット(Eudragit)(登録商標)S)である時、特許文献1および2(米国特許第5,541,170号及び第5,541,171号(Rhodesら))などに記載されているように、本発明は望ましい放出部位を維持する。これらの特許は参照として本明細書に完全な形で組み込まれている。
【0024】
ある実施形態では、全コーティング厚(内部及び外部コーティング層の合計)は約5mg/cm2〜約40mg/cm2であり、別の実施形態では約10mg/cm2〜約15mg/cm2である。
【0025】
外部コーティング層の具体的な実施例は次の通りである。
ローム・テック(Rohm Tech)のユードラジット(Eudragit)(登録商標)Lは、平均分子量が約135,000、遊離カルボキシル基対エステル基の比が約1:1のメタクリル酸及びメチルメタクリレートに由来する陰イオン性コポリマーである;
ユードラジット(Eudragit)(登録商標)L30Dは、水性アクリル樹脂の分散物、つまり平均分子量が約250,000、遊離カルボキシル基対エステル基の比が約1:1のメタクリル酸及びエチルアクリレートに由来する陰イオン性コポリマーである(乾燥ラッカー物質30%w/wを含む水性分散物として供給される);
ユードラジット(Eudragit)(登録商標)L100−55は、平均分子量が約100,000以上、遊離カルボキシル基対エステル基の比が約1:1のメタクリル酸及びエチルアクリレートに由来する陰イオン性コポリマーである;
セルロースアセテートフタレート(CAP(登録商標))は、イーストマン・ケミカル(Eastman Chemical)から入手できる;
セルロースアセテートトリメリテート(CAT(登録商標))は、イーストマン・ケミカル(Eastman Chemical)から入手できる;
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(USP/NFタイプ220824)HPMCP50(登録商標)及び(USP/NFタイプ200731)HPMCP55(登録商標)は、シンエツ・ケミカル(Shin Etsu Chemical)から入手できる;
ポリビニルアセテートフタレート(PVAP(登録商標))は、カラコン(Colorcon)から入手できる;
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS(登録商標))は、シンエツ・ケミカル(Shin Etsu Chemical)からされている;ヒドロキシプロピルセルロース(クルーセル(Klucel)(登録商標))。
【0026】
コーティング材の弾性を高めるために、本発明のコーティング材は可塑剤も含むことが好ましい。適切な可塑剤には、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート(ミズーリ州セントルイスモンサント(Monsanto, St. Louis, Missouri)のサンティサイザー(Santicizer)(登録商標)B−16)、トリアセチン、ヒマシ油、及びクエン酸エステルが含まれる;別の実施形態では、可塑剤はフタル酸ジブチル、クエン酸トリブチル、またはクエン酸トリエチルである。これらの可塑剤の含有量は、コーティングプロセスを容易にし、より良い物理的安定性を有する均一なコーティングフィルムを得られる量である。一般にコーティング材は、腸溶性ポリマーの重量で約0%〜約50%、好ましくは約2%〜約25%、更に好ましくは約10%〜約20%の可塑剤を含む。更に、コーティングプロセスを容易にするために、コーティング材は不活性固体微粒子も含むことが可能である。好ましい不活性固体微粒子には、タルク及び二酸化チタンが含まれる。
【0027】
任意の可塑剤、任意の不活性固体微粒子、及びこれらの濃度、コーティング処方の種類(溶媒、アンモニア水溶液、または水性分散物)、及びその方法は、当業者に既知の基準に従って、使用する特定の腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティングと、使用する剤形の種類に基づいて選択される。コーティング層に使用する溶媒は有機溶媒でも水性溶媒でも可能である。ある実施形態では、コーティング層を得るためにコーティング材の水性分散物を使用する。
【0028】
(剤形及びその製造方法)
固体単位剤形は治療用活性物質の安全且つ有効な量を含有する。「固体単位剤形」という用語は、好ましくは液体ではなく、飲み込まれることを意図し、コーティングされるために十分に画定された形を有するいずれかの剤形を意味する。固体単位剤形は、硬カプセル剤、軟カプセル剤、または圧縮錠剤から成る群より選択することも可能である。ある実施形態では、本発明の固体剤形は、いずれかの大きさまたは形状の軟ゼラチンカプセル剤、硬ゼラチンカプセル剤、及び圧縮錠剤から成る群より選択される。ある実施形態では、本発明の単位剤形は全重量が約550mg〜約1.5gの単位剤形を含み、別の実施形態では全重量が約600mg〜約1.2g、更に別の実施形態では全重量が約750mg〜約1gの単位剤形を含む。
【0029】
ある実施形態では、単位剤形は球形または楕円形の軟質弾性ゼラチンカプセル剤である。軟質弾性ゼラチンカプセル剤には、軟ゼラチンカプセルと適合性のある好適な分散媒で懸濁した治療用活性物質が充填される。
更に別の実施形態では、単位剤形は硬カプセル剤(つまり、デンプンまたはゼラチン製の硬カプセル剤)であり、例えば、カプセルゲル(Capsulgel)(サウスカロライナ州グリーンウッド(Greenwood, SC))からのキャピル(Capill)(登録商標)などのデンプンカプセルである。このカプセルは、カプセルの長軸の長さが約10mm未満であり、カプセルの短軸直径の約1.5倍以下である。カプセルには、上述したように固形状の治療用活性物質を充填するか、あるいはカプセル壁と適合性のある好適な分散媒で溶解または懸濁した治療用活性物質を充填することができる。
別の実施形態では、単位剤形は球形または楕円形の圧縮錠剤である。錠剤は固形状の治療用活性物質を含み、従来の装置及び方法を使用して圧縮される。
【0030】
本発明の組成物は、治療用活性物質に加えて、一般に製薬上許容できる賦形剤も含む。本明細書で使用する「賦形剤」という用語は、患者への投与に好適な1以上の適合性のある固体または液体の充填希釈剤またはカプセル充填物質を意味する。本明細書で使用する「適合性のある」という用語は、通常の使用状況下で組成物の薬学的有効性を実質的に減少させる相互作用がなく、組成物の構成成分が活性物質と且つ相互に混ざり合うことができることを意味する。製薬上許容できる賦形剤とは、当然のことながら、純度が十分に高く、毒性が十分に低く、治療患者への投与に好適なものでなければならない。賦形剤は、治療用活性物質は剤形へ組み入れられることを容易にし、治療用活性物質の剤形からの放出を加減し、治療用活性物質を安定化し、あるいは治療用活性物質の吸収を高めるように機能することが可能である。賦形剤は、使用目的に合った処方に使用される濃度において安全でなければならない。治療用活性物質と賦形剤の処方は、当業者に既知の基準に従って、望ましい放出率、安定性、吸収性を達成し、剤形の製造を容易にするように選択される。
【0031】
薬学上許容できる賦形剤またはその構成成分の例としては、乳糖、ブドウ糖、及びショ糖などの糖類;重量で約1%〜約8%、別の実施形態では重量で約2%〜約4%のコーンスターチ、馬鈴薯デンプン、及びグリコール酸ナトリウムデンプンなどのデンプン類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウムなどの固体潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツオイル、綿実油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油、及びカカオ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール類;アルギニン酸;トゥイーンズ(Tweens)(登録商標)などの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;芳香剤;賦形剤;打錠剤;安定剤;酸化防止剤;保存剤;発熱性物質非含有水;等張生理食塩水;及びリン酸緩衝液が挙げられる。賦形剤は、レミントンの薬学(非特許文献3(Remington's Pharmaceutical Sciences;マック出版社(Mack Publishing Co.)(第19版、1995年));現代製剤学(非特許文献4(Modern Pharmaceutics;第7巻、第9及び10章、バンカーアンドローデス(Banker & Rhodes)(1979年));リーバーマン(Lieberman)らの医薬剤形(非特許文献5(Pharmaceutical Dosage Forms);錠剤(Tablets)(1981年));及びアンセル(Ansel)の医薬剤形入門(非特許文献6(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms;第2版(1976年))に記載されている。賦形剤の選択は、味、価格、及び貯蔵性などの二次的な考察に依存しており、本発明の目的にとって重要ではなく、当業者には容易に決定され得る。
【0032】
ある実施形態では、コーティング層でコーティングする前の本発明の剤形はすべて同じ大きさである。大きさが同じであれば、コーティング厚を均一にすることができ、コーティング層の溶出をより一定にすることができる。
【0033】
腸溶性ポリマーは、一般に有機溶媒または水性溶媒の溶液として単位剤形に適用される。分散媒として使用される溶媒は、通常、水、塩化メチレン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル、及びこれらの組み合わせである。溶媒は、主にポリマーの溶解度、蒸発の容易さ、及び溶液の粘性に基づいて選択される。
あるポリマー類は水性システムとしても使用することができる。これらのポリマーには、ユードラジット(Eudragit)(登録商標)L30D(ローム・ハーズGmBH(Rohm-Haas GmBH)(西ドイツ)から市販されているメタクリル酸−エチルアクリレートエステルコポリマー);アクアテリック(Aquateric)(登録商標)(FMCコーポレーション(FMC Corporation)から市販されているセルロースアセテートフタレート含有製品);並びにコーテリック(Coateric)(登録商標)(ペンシルバニア州ウエストポイントのカラコン・インク(Colorcon, Inc.)から市販されているポリビニルアセテートフタレート基材製品)が含まれる。有機溶媒とは異なり、これらの水性システムでは、粘度を上げずに高濃度で調製することができる。また、これらの水性システムでは、引火性、剤形中の残留溶媒の毒性などの有機システムに関連する問題が発生しない。
【0034】
コーティングは、例えば流動床装置、穿孔皿、標準製薬皿、圧縮コーティング、連続または短期スプレー法の使用、または浸漬法などの当業者に既知の方法で実施することができる。例えば、コーティングポリマーの可塑化分散物は、当該技術分野において既知のいずれか好適なスプレー装置を使用してスプレーすることにより、治療活性物質を含むコア錠剤に適用することも可能である。ある実施形態では、固体単位剤形は連続スプレー法によりコーティングされる。ある実施形態では、内部コーティング層の後、内部コーティング層が乾燥または硬化される前に外部コーティング層が適用される。別の実施形態では、外部コーティング層は、内部コーティング層の適用後、直ちに(例えば、数秒以内に)適用される。本発明の固体剤形において光沢仕上げコートが望ましい場合には、最終剤形に少量のポリエチレングリコールを適用することができる。
【実施例】
【0035】
次の実施例は本発明の組成物の典型的な処方を示すが、これらに限定されない。
【0036】
(実施例1)
5−ASA(活性成分)、ラクトース、及びポビドンの湿潤顆粒を、タルク、ステアリン酸マグネシウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、及びコロイド状二酸化珪素と混合する。混合物を標準的な医薬用回転錠剤圧縮機で活性成分800mgを含む約1034mgの錠剤に圧縮する。
【0037】
最初に色素を含まないコーティング処方の一部をコア錠剤に注ぎかけ、次に錠剤にコーティングをスプレーして、乾燥後のコーティングが9.2mg/cm2(約62ミクロン)になるようにユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)Sの内部コーティング層を適用する。錠剤にスプレーするコーティング懸濁液は、乾燥重量で約62%のユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)Sを含み、臨時可塑剤としてフタル酸ジブチルを含むイソプロピルアルコールとアセトンを基材とする。
【0038】
外部コーティングは、内部コーティングの適用直後または内部コーティングの硬化後に適用される。乾燥後のコーティングが4.1mg/cm2(約28ミクロン)になるように、外部コーティング層を錠剤にスプレーする。このコーティング懸濁液は、乾燥重量で約61%のユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びLを3:2の割合で含む。この懸濁液は、臨時可塑剤としてフタル酸ジブチルを含むイソプロピルアルコールとアセトンを基材とする。
【0039】
(実施例2)
5−ASA(活性成分)、ラクトース、及びポビドンの湿潤顆粒を、タルク、ステアリン酸マグネシウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、及びコロイド状二酸化珪素と混合する。混合物を標準的な医薬用回転錠剤圧縮機で活性成分1200mgを含む約1570mgの錠剤に圧縮する。
【0040】
最初に色素を含まないコーティング処方の一部をコア錠剤に注ぎかけ、次に錠剤にコーティングをスプレーして、乾燥後のコーティングが8.8mg/cm2(約60ミクロン)になるようにユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びLの混合物の内部層を適用する。錠剤にスプレーするコーティング懸濁液は、乾燥重量で約61%のユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びLを3:2の割合で含み、臨時可塑剤としてフタル酸ジブチルを含むイソプロピルアルコールとアセトンを基材とする。
【0041】
外部コーティングは、内部コーティングの適用直後または内部コーティングの硬化後に適用する。乾燥後のコーティングが11.9mg/cm2(約80ミクロン)になるように、外部コーティング層を錠剤にスプレーする。この懸濁液は乾燥重量で約38%のユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)Lを含み、臨時可塑剤としてクエン酸トリエチルを含むイソプロピルアルコールとアセトンを基材とする。
【0042】
(実施例3)
5−ASA(活性成分)、ラクトース、及びポビドンの湿潤顆粒を、タルク、ステアリン酸マグネシウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、及びコロイド状二酸化珪素と混合する。混合物を標準的な医薬用回転錠剤圧縮機で活性成分500mgを含む約690mgの錠剤に圧縮する。
【0043】
最初に色素を含まないコーティング処方の一部をコア錠剤に注ぎかけ、次に錠剤にコーティングをスプレーして、乾燥後のコーティングが15.6mg/cm2(約105ミクロン)になるようにユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)Sの内部コーティング層を適用する。錠剤にスプレーするコーティング懸濁液は、乾燥重量で約62%のユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)Sを含み、臨時可塑剤としてフタル酸ジブチルを含むイソプロピルアルコールとアセトンを基材とする。
【0044】
外部コーティングは、内部コーティングの適用直後または内部コーティングの硬化後に適用される。乾燥後のコーティング厚が約100ミクロンになるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの外部コーティング層を次の処方に従って適用する。
【0045】
【表1】

1ドリクレア(Dri-Klear)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及び二酸化珪素の混合物であり、CHRハンセン(CHR Hansen)により製造されている。
2白色彩度トーン(White Chroma-Tone)は、二酸化チタン及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物であり、CHRハンセン(CHR Hansen)により製造されている。
【0046】
(実施例4)
次の処方でコア錠剤を製造する。
【0047】
【表2】

次の処方のコーティングをスプレーして、約20ミクロンのユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)Sの内部コーティング層をコア錠剤に適用する。
【0048】
【表3】

外部コーティング層をコア錠剤と内部コーティング層に適用する。乾燥後のコーティング厚が約150ミクロンになるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの外部コーティング層を次の処方に従って適用する。
【0049】
【表4】

3ドリクレア(Dri-Klear)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及び二酸化珪素の混合物であり、CHRハンセン(CHR Hansen)により製造されている。
4白色彩度トーン(White Chroma-Tone)は、二酸化チタン及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物であり、CHRハンセン(CHR Hansen)により製造されている。
【0050】
(実施例5)
実施例4に記載したコア錠剤に、乾燥後のコーティングが約70ミクロンになるように、次の処方に従ってユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)L30D−55の水性コーティングの内部層を適用する。
【0051】
【表5】

次に、乾燥後のコーティング厚が約50ミクロンになるように、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの外部コーティング層を次の処方に従って適用する。
【0052】
【表6】

5ドリクレア(Dri-Klear)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルセルロース、及び二酸化珪素の混合物であり、CHRハンセン(CHR Hansen)により製造されている。
6白色彩度トーン(White Chroma-Tone)は、二酸化チタン及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物であり、CHRハンセン(CHR Hansen)により製造されている。
【0053】
(実施例6)
次の処方を軟質または硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0054】
【表7】

次に、カプセルをコーティングする。乾燥後のコーティング厚が約100ミクロンになるように、次の処方のコーティングをスプレーして、ユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)Sの内部コーティング層をカプセルに適用する。
【0055】
【表8】

内部コーティングの適用後、次の処方のコーティングをスプレーして、ユードラジット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びLの混合物の割合が2:3の外部コーティング層を約20ミクロンになるように錠剤に適用する。
【0056】
【表9】

本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び修正が可能であることは、当業者には明らかである。本発明の範囲内にあるこのようなすべての修正形態については、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは下等動物の経口投与用固体単位剤形の医薬組成物であって、前記医薬組成物は:
a.安全且つ有効量の治療用活性物質;
b.ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、及びこれらの混合物から成る群より選択される内部コーティング層;並びに
c.前記内部コーティング層に直接的に適用され、約7未満のPHで水性媒質に溶解し始める腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティング素材を含む外部コーティング層;
を含み、
内部コーティング層が、外部コーティング層と同じではなく;
内部コーティング層が、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1であるとき、外部コーティング層はポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、またはポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2との混合物ではなく;かつ、
内部コーティング層と外部コーティング層とが治療用活性物質を含まない医薬組成物。
【請求項2】
前記内部コーティング層が、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヒトまたは下等動物の経口投与用固体単位剤形の医薬組成物であって、前記医薬組成物は、
a.安全且つ有効量の治療用活性物質;
b.ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2を含む内部コーティング層;及び
c.前記内部コーティング層に直接的に適用され、約7未満のPHで水性媒質に溶解し始める腸溶性ポリマーまたはフィルムコーティング素材を含む外部コーティング層;
を含み、
内部コーティング層が、外部コーティング層と同じではない医薬組成物。
【請求項4】
前記外部コーティング層は、ポリメタクリレート、陰イオン性ポリメタクリレート、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1との混合物、ポリビニルアセテートフタレート、ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)1:1、およびこれらの適合性のある混合物から成る群より選択される腸溶性ポリマーであり;好ましくは、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2とポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1との混合物である、請求項1または3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記外部コーティング層は、セルロースエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低粘度ヒドロキシプロピルセルロース、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ろう、カルナウバろう、脂肪族アルコール、硬化植物油、ゼイン、セラック、スクロース、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、デキストリン、オオバコ殻粉末、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースプロピオネートフタレート、セルロースアセテートマレアート、ポリビニルアルコールフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート、及びこれらの適合性のある混合物から成る群から選択されるフィルムコーティング素材である、請求項1または3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記治療用活性物質が、緩下剤、止瀉剤、非ステロイド系抗炎症剤、5−アミノサリチル酸、糖質コルチコイド、抗菌剤、免疫抑制剤、化学療法剤または抗癌剤、ペプチド、タンパク質、心血管作動薬、向精神薬、H2遮断薬、抗喘息薬、及び抗ヒスタミン剤から成る群より選択され、好ましくは治療用活性物質が非ステロイド系抗炎症剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記治療用活性物質が5−アミノサリチル酸である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記5−アミノサリチル酸が、固体単位剤形当たり約700mg〜約900mgの量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記内部コーティング層と前記外部コーティング層とを合わせた全コーティング厚が、5mg/cm〜40mg/cm、好ましくは10mg/cm〜15mg/cmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記外部コーティング層は、10μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μm、より好ましくは20μm〜40μmの最小厚を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記固体単位剤形の全重量が600mg〜1200mgである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記固体剤形が圧縮錠剤である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記固体剤形は連続スプレー法によりコーティングされ、内部コーティング層の後ではあるが内部コーティング層が乾燥または硬化される前に、外部コーティング層が適用される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を経口投与することによって、所望の送達部位に治療用活性物質を安定して確実に送達および放出する方法。

【公開番号】特開2012−107058(P2012−107058A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40514(P2012−40514)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2003−546859(P2003−546859)の分割
【原出願日】平成13年11月23日(2001.11.23)
【出願人】(312000848)ワーナー チルコット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】