説明

複数のスプレーエミッタを備えているナノスプレーイオン源

【課題】 エーロゾルの噴霧生成に空気圧の助けを必要としないイオン源を提供する。
【解決手段】 本発明はイオン源は、(a)イオンを生成するための第1のイオンスプレーエミッタと、(b)前記第1のイオンスプレーエミッタに隣接して、前記第1のイオンスプレーエミッタからイオンを受容するように設計されている開口を備えている導管と、(c)前記導管に隣接して、前記第1のイオンスプレーエミッタからのイオンを前記毛細管の前記開口に向けて方向付ける第1の電極と、(d)イオンを前記導管に方向付ける導管電極とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
質量分析計は、分子をイオン化し、さらに、その質量(m)と電荷(z)の比(m/z)に基づいて分子を分類及び同定するように機能する。このプロセスにおける2つの重要な構成要素として、イオンを発生するイオン源と、イオンを分類する質量分析器が挙げられる。質量分析計では、いくつかの異なる形式のイオン源を利用することができる。各イオン源は、特定の利点を備えており、異なる化合物群での使用に適している。異なる形式の質量分析器も利用される。それぞれ、必要とされる情報の種類に応じた利点及び欠点を有する。
【0002】
この10年間にわたる液体クロマトグラフィ/質量分析(LC/MS)の進歩の大部分は、検体分子をイオン化し、移動相から結果生じるイオンを分離する新規のイオン源及び技法の開発にあった。
【0003】
これまでのやり方は、極めて限られた数の化合物に対してのみ成功している。API(大気圧イオン化)技法の導入によって、LC/MSを利用してうまく分析することができる化合物の数が大幅に増大した。この技法では、まず、検体分子が大気圧でイオン化される。次に、検体イオンが、中性分子から空間的及び静電気的に分離される。一般的なAPI技法には、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、大気圧光イオン化(APPI)及び脱離イオン化が含まれる。これらの技法のそれぞれが、特定の利点及び欠点を備えている。
【0004】
エレクトロスプレーイオン化は、部分的に化学に依存しており、検体が質量分析計に到達する前に、溶液中に検体イオンを発生する技法である。溶離液が、強い静電界及び加熱乾燥ガスの存在する大気圧の室内に噴霧される。静電界によって、溶離液及び検体分子が帯電する。加熱乾燥ガスによって、小滴中の溶媒が気化する。小滴の収縮につれて、小適中の電荷濃度が増大する。最終的に、同様の電荷を備えたイオン間の反発力が、凝集力を超え、イオンが気相中に放出(脱離)される。イオンは、吸引されて、毛細管又は試料採取オリフィスを通過し、質量分析器に送り込まれる。イオンが小滴から放出される時間とイオンが質量分析器に到達する時間の間に、いくつかの気相反応、大部分はプロトン移動及び電荷交換が生じる可能性もある。
【0005】
エレクトロスプレーは、とりわけ、蛋白質、オリゴヌクレオチド、ペプチド等のような大きな巨大生体分子の分析に有用である。この技法は、ベンゾジアゼピン及び硫酸化抱合体のような極性分子の分析にも役立つ可能性がある。効果的に分析することができる他の化合物として、イオン化塩及び有機染料が含まれる。
【0006】
巨大分子は、2つ以上の電荷を獲得する場合が多い。典型的なLC/MS装置の質量範囲(又は、より正確には質量電荷比)が3000 m/zほどであっても、複数回帯電させることによって、200,000 uもの大きさの分子の分析を可能にする利点が得られる。巨大分子が多くの電荷を獲得する場合、逆重畳積分(デコンヴォリューション)と呼ばれる数学的なプロセスを利用して、検体の実際の分子量を求めることが可能である。
【0007】
大気圧で実施される第2の一般的な技法は、大気圧化学イオン化(APCI)である。APCIの場合、LC溶離液が、大気圧で、加熱された気化器(一般に250〜400 ℃)によって噴霧される。熱によって、液体が気化し、結果生じる気相の溶媒分子が、コロナ放電で生じる電子によってイオン化される。次に、溶媒イオンは、化学反応(化学イオン化)によって電荷を検体分子に移動させる。検体イオンが、毛細管又は試料採取オリフィスを通過して、質量分析器に入り込む。APCIには、いくつかの重要な利点がある。この技法は、広範囲にわたる極性分子又は無極性分子に適用可能である。この技法では、エレクトロスプレーのように、多数回にわたる帯電が生じることは稀であり、したがって、1500 u未満の分子に適用するのにとりわけ有用である。これらの理由及び高温の必要性から、APCIは、熱的に不安定である可能性のある巨大生体分子に対して、エレクトロスプレーほど有用な技法ではない。検体が、通常、無極性で、疎水性の度合いが高いことから、順相クロマトグラフィについては、APCIは、エレクトロスプレーよりも多く用いられる。
【0008】
LC/MSに関する大気圧光イオン化は、比較的新しい技法である。APCIの場合のように、気化器によってLC溶離液が気相に変換される。放電ランプによって、狭いイオン化エネルギー範囲の光子が発生する。エネルギー範囲は、できるだけ多くの検体分子をイオン化し、同時に、溶媒分子のイオン化を最小限に抑えるように、慎重に選択される。結果生じるイオンは、毛細管又は試料採取オリフィスを通過して、質量分析器に入り込む。APPIは、一般にAPCIによって分析されるのと同じ化合物の多くに適用可能である。APPIは、APCIの感度が低下する場合がある2つの用途、すなわち、無極性の度合いの高い化合物及び低い流量(毎分100 μl未満)といった用途においてとりわけ有望である。いかなる場合でも、検体(単数又は複数)の性質及び分離状態は、エレクトロスプレー、APCI、APPIのうちどのイオン化技法が最良の結果を生じるかに強く影響する。最も効果的な技法を予測することは、常に容易なことではない。
【0009】
上述のこれらの技法はそれぞれ、異なる機構で分子をイオン化する。あいにく、これらの技法のどれも、試料イオン発生の汎用の技法ではない。汎用のイオン化技法の欠如は、潜在的な利点とみなすことが可能な場合も何度かあったが、広く異なる試料の迅速な分析を担う分析者にとって重大な欠点がある。極めて制限された時間及び分析すべき広範囲にわたる多数の試料に直面した分析者は、単一の技法及び1組の条件で、できるだけ多種類の試料をイオン化することが可能なイオン源に関心がある。あいにく、そのようなAPIイオン源技法は得られていない。
【0010】
陽イオン検出と陰イオン検出との迅速な切換えを利用して、試料イオン化範囲を改善しようとする試みがなされてきた。正極性/負極性を迅速に切換えると、いかなるAPI技法によっても検出される化合物の割合を高めることになる。しかしながら、それによって、より汎用性のあるAPIイオン発生が必要になる。さらに、エレクトロスプレープロセスを改善するため、複数のエミッタを備えているイオン源も設計されている。これらの装置に関する問題は、コストが高くなる可能性のある空気圧の助けを必要とする場合が多いという点にある。
【0011】
最近になって、エミッタ、チャンバ及び毛細管の寸法をナノレベルまで縮小できるという進歩があった。例えば、効率がよく、極めて有効な、極少スプレー噴射をなすように、ナノスプレー装置が開発された。この水準、レベル及び量になると、イオンの生成及び流れの特性が極めて異なるものになる。しかしながら、今日まで、このような装置は、他の汚染溶媒、検体又は移動相分子から荷電小滴を効率よく分離する上において非効率的であった。時には、これらの分子が、最終スペクトル及び計測器の感度に影響を及ぼす可能性もある。
【0012】
したがって、エーロゾルの噴霧生成に空気圧の助けを必要としないイオン源を設けることが望ましい。さらに、最終スペクトルに悪影響を及ぼすイオンの再循環が起きないようにするイオン源を設けることも望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、汚染種の生成を最小限に抑えて、効率のよいイオン収集をもたらすイオン源の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
空気圧を利用しない非空気圧イオン生成のための質量分析計システムは、イオンを生成するための第1の非空気圧イオンスプレーエミッタと、このイオンスプレーエミッタに隣接して、イオンスプレーエミッタからイオンを受容するように設計されている開口を備える導管と、イオンスプレーエミッタから導管の開口に向けてイオンを方向付けるための第1の電極と、イオンを導管に送り込むための導管電極とを含む非空気圧ナノスプレーイオン源、及び導管より下流にあって、非空気圧ナノスプレーイオン源によって生じるイオンを検出するための検出器を含む。
【0015】
また本発明によれば、イオンを生成するための第1の非空気圧イオンスプレーエミッタと、イオンスプレーエミッタに隣接して、イオンスプレーエミッタからイオンを受容するように設計されている開口を備える導管と、イオンスプレーエミッタから毛細管の開口に向けてイオンを方向付けるための第1の電極と、イオンを導管に方向付けるための導管電極とを含む非空気圧ナノスプレーイオン源が提供される。
【0016】
また本発明によれば、非空気圧ナノスプレーイオン源においてイオンを生成し、収集する方法が提供される。この方法は、イオンスプレーエミッタからイオンを生成し、電極によって第1の電界を生じさせてイオンを導管に向けて方向付け、導管電極によって第2の電界を生じさせてイオンを導管内で収集することを含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明は質量分析計で使用される装置及び方法に関する。本発明は、非空気圧ナノスプレーイオン源を含む非空気圧イオン生成のための質量分析計システムを提供する。ナノスプレーイオン源は、イオンを生成する第1の非空気圧イオンスプレーエミッタと、このイオンスプレーエミッタからのイオンを受容するように設計されている開口を有し、このイオンスプレーエミッタに隣接する導管と、毛細管の開口に向けてイオンスプレーエミッタからのイオンを方向付ける第1の電極と、導管内にイオンを方向付ける導管電極とを有し、非空気圧ナノスプレーイオン源により生成されたイオンを検出するための、毛細管より下流の検出器を含む。
【0018】
また本発明は、イオンを生成する第1の非空気圧イオンスプレーエミッタと、イオンスプレーエミッタからのイオンを受容するように設計されている開口を有し、このイオンスプレーエミッタに隣接する導管と、導管の開口に向けてイオンスプレーエミッタからのイオンを方向付ける第1の電極と、導管内にイオンを方向付ける導管電極とからなる非空気圧ナノスプレーイオン源を提供する。
【0019】
また本発明は、ナノスプレーイオン源を利用してイオンを形成するための方法を開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明について、さらに添付の図面に関連して以下に詳述する。
【0021】
本発明について詳述する前に、本明細書及び付属の請求項において使用される限りにおいて、「1つの〜」、「ある〜」、「この〜」といった単数形には、文脈において明確な別段の指示がない限り、複数の指示対象が含まれているという点に留意しなければならない。したがって例えば「1つのエミッタ」に関する言及には、2つ以上の「エミッタ」が含まれている。1つの「エレクトロスプレーイオン源」又は「大気圧イオン源」に関する言及には、2つ以上の「エレクトロスプレーイオン源」又は「大気圧イオン源」が含まれている。本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載において、下記の用語は、以下に示す定義にしたがって使用される。
【0022】
「隣接する」という用語は、近いか、隣にあるか、又は、近接していることを意味する。隣接する何かは、別の構成要素に接触している場合もあれば、他の構成要素を取り囲んでいる(すなわち同心をなす)場合もあれば、他の構成要素から間隔をあけている場合もあれば、あるいは、他の構成要素の一部を含んでいる場合もある。例えば、電極に隣接している「エミッタ」は、電極の隣に間隔をあけて位置する場合もあれば、電極に接触している場合もあれば、電極又は電極の一部を取り囲んでいるか/電極又は電極の一部によって取り囲まれている場合もあれば、電極を含んでいるか又は電極に含まれている場合もあれば、電極に近接する場合もあれば、あるいは、電極の隣にある場合もある。
【0023】
「大気圧イオン源」という用語は、イオン生成技術において既知の一般的な用語を表わしている。さらに、この用語は、周囲温度及び周囲圧力範囲でイオンを生成するイオン源を表わしている。典型的なイオン源には、限定するわけではないが、エレクトロスプレー、APPI及びAPCIイオン源が含まれる。
【0024】
「荷電小滴」又は「荷電小滴形成」という用語は、検体及び/又は溶媒及び/又は移動相の混合物を含む分子の生成を表わしている。
【0025】
「導管」という用語は、イオン又はガスの受容又は輸送に利用可能な、任意のスリーブ、毛細管、輸送装置、ディスペンサ、ノズル、ホース、パイプ、プレート、ピペット、ポート、開口、壁面のオリフィス、コネクタ、管、連結器、コンテナ、ハウジング、構造もしくは装置を表している。
【0026】
「導管電極」という用語は、イオンを導管に送り込むために使用することが可能な電極を表わしている。この電極を利用して、イオンを導管内に収集し、更なる処理を行うことが可能である。
【0027】
「コロナ放電ニードル」という用語は、コロナ放電を生じさせるのに利用することができる任意の導管、ニードル、物体又は装置を表している。
【0028】
「検出器」という用語は、イオンの検出が可能な任意の装置、器具、機械、構成要素又はシステムを表わしている。検出器には、ハードウェア及びソフトウェアが含まれる場合もあれば、含まれない場合もある。質量分析計において、一般的な検出器は、質量分析器を含み、及び/又は、質量分析器に結合されている。
【0029】
「エレクトロスプレーイオン源」という用語は、エレクトロスプレーイオンを生成するためのエミッタ及び関連部品を表わしている。エミッタは、接地電位の場合もあれば、接地電位ではない場合もあり得る。エレクトロスプレーイオン化は、当該技術において周知のところである。
【0030】
「エミッタ」という用語は、液体から小滴又はエーロゾルを発生する技術において既知の任意の装置を表している。
【0031】
「第1の電極」という用語は、イオンを方向付けるため、又は荷電小滴の形成もしくは移動を助けるための電界を増強又は生成するために利用することができる任意の設計又は形状の電極を表わしている。
【0032】
「第2の電極」という用語は、イオンを方向付けるため、又は荷電小滴の形成もしくは移動を助けるための電界を増強又は生成するために利用することができる任意の設計又は形状の電極を表わしている。
【0033】
「第1の電界」、「第2の電界」及び「第3の電界」という用語は、指定の個別電極による全電界への寄与を表わしている。ある特定の電極による全電界への寄与は、その電極の電荷だけ(及び、それらの電荷によって他の電極に誘起される電荷)による電界とみなされる。重畳の原理に基づき、任意の点における全電界は、所定の印加電圧によって存在するその点における電界を、全ての電極の寄与に対する和である。
【0034】
「イオン源」又は「発生源」という用語は、検体イオンを生成する任意の発生源を表わしている。
【0035】
「イオン化領域」という用語は、任意のイオン源と導管との間の領域を表わしている。
【0036】
「分子縦軸(長手軸)」という用語は、噴霧方向において最大のイオン濃度を示す領域を介して描くことが可能な理論上の軸又は線を表わしている。この用語は、導管の軸に対する分子縦軸の関係により採用された。いくつかの事例では、イオン源又はエレクトロスプレーエミッタの縦軸は、導管の縦軸からずらすことも可能である(例えば、それらの軸が直交するが、交差しない場合)。「分子縦軸」という用語は、その利用によって、本発明の広い範囲内にそれらの実施態様を含むように採用された。直交するということは、垂直又は約90度の角度で位置合わせされていることを表わしている。例えば「分子縦軸」を、導管の軸に対して直交させることが可能である。ほぼ直交するという用語は、90度±20度であることを表わしている。しかしながら本発明は、それらの関係に制限されるものではなく、「分子縦軸」と導管の縦軸との間に形成されるさまざまな鋭角及び鈍角を含む。
【0037】
「ナノスプレーイオン源」という用語は、イオンを生成するためのエミッタ及び関連部品を表わしている。エミッタは、接地電位の場合もあれば、接地電位ではない場合もあり得る。この用語も、当該技術において周知のナノスプレーイオン化技法を利用して生成されるイオンと同様又は同じ荷電粒子に放電させることが可能な、電極を備える管のような器具又は装置を含むものと広義に解釈すべきである。低液体流量のナノスプレーエミッタは、0.001×10-9〜5000.0×10-9 L/分の範囲の流量を利用する。エミッタ先端のオリフィスの直径は、5.0×10-6〜50.0×10-9メートルの範囲である。
【0038】
「空気圧」という用語は、荷電小滴の形成にガス流の助けを利用することを表わしている。
【0039】
「非空気圧」という用語は、ガス流の助けによる噴霧以外の何らかの方法によって生成される荷電粒子の形成を表わしている。例えば、電界又は磁界を利用して、エミッタ(単数又は複数)による荷電小滴の形成を助けることが可能である。
【0040】
「順次」又は「順次位置合わせ」という用語は、連続して配列されたイオン源の利用を表わしている。イオン源は順々に続いている。これは、線形に位置合わせされていてもよく、またそうでなくてもよい。
【0041】
本発明を、図に関連して説明する。図は、一定の比率で描かれておらず、すなわち一部の寸法は、明瞭に提示するため誇張されている場合もある。
【0042】
図1は、本発明の質量分析計システムの概略的なブロックを示す。本発明を、さまざまな異なる形式の質量分析計及びシステムに使用することができるので、このブロック図は、一定の比率によるものではなく、概略形式で示す。本発明の質量分析計システム1は、イオン源3、輸送システム5及び検出器7を含む。その最も広い意味において、本発明によれば、低試料流量でスペクトルを生じるイオン源がもたらされる。イオン源3は、イオンを放出するさまざまな異なる形式の発生源を含む。例えば、低試料流量のナノスプレーイオン源がある。これらのイオン源は、ナノスケールレベルにおいて異なる物理的及び化学的特性、並びに結果としてのイオン生成機構の相違のため、場合によっては、エレクトロスプレーイオン源とは異なることもあり得る。さらに、ナノスプレーにおいて使用される低流量は、荷電小滴を形成する生成工程においてガスの助けを必要としない場合が多い。したがって、これらの低流量によって、荷電小滴の形成及び収集時に電界又は磁界を印加することが可能になる。
【0043】
次に図1〜2を参照すると、イオン源3は、第1のエミッタ9と、第1のエミッタ9に隣接する第1の電極11からなる。第1のエミッタ9及び第1の電極11は、イオン源3の任意の場所に配置することが可能である。図1は、イオン源3にハウジング6が配置されている選択的な実施形態を示す。ハウジング6は、ファラデー箱又は遮蔽体と同様に設計することができる。この設計では、ハウジング6が電極と同様に機能するように、ハウジング6に単一の電位を印加することが可能である。したがって、この電極を、1つ又はそれ以上のエミッタから検体が放出された後、荷電小滴の形成に利用することができる。これは、システム又はイオン源3の要件ではない。当該技術において既知の他のハウジング、筐体、電極、壁又は装置を使用することができる。
【0044】
図2は、本発明の第2の実施形態の概略的なブロック図を示す。本発明のこの実施態様には、追加の電極及びエミッタを示している。例えば、この図は、第1のエミッタ9、第2のエミッタ10及び第3のイオンエミッタ12を示す。イオンエミッタ9、10及び12のそれぞれを、イオン源3内及びその付近のさまざまな位置に配置することができる。さらに、この図は、さまざまな電極の利用を示す。例えば、この図は、第1の電極11、第2の電極13及び第3の電極15を示す。本発明は、任意の数及び組み合わせの電極及びエミッタを含むことが可能である。この図に示すように、第1の電極11、第2の電極13及び第3の電極15が互いに隣接している点に留意されたい。これは、本発明の要件ではない。電極及びエミッタのそれぞれを、ハウジング6の近くにおいて、さまざまな位置に、さまざまな配向をなすように配置することが可能である。
【0045】
図3は、本発明の一部の側面図を示す。この図は、一定の比率によるものではなく、例示することだけを目的として提示されている。図3は、ナノスプレー構成によるイオン源3を示す。イオン源3は、第1の電極11、第2の電極13、第1のエミッタ9、第2のエミッタ10を含む。また導管電極17を示している。第1の電極は、イオンを移動させ方向付けるための第1の電界を発生する。導管電極17は、イオンを収集して、輸送システム5に方向付ける第2の電界を発生するように設計されている。さらに、輸送システム5はイオンを質量検出器7へ方向付ける(図1〜図3参照)。
【0046】
第1の電極11、第2の電極13及び導管電極17を、ハウジング6内に配置することができる。本発明の他の実施態様では、第1の電極11、第2の電極13及び導管電極17が、ハウジング6を構成することも可能である。本発明のこの実施態様では、ハウジング6全体に単一の電位が印加される。ハウジング6は、導管19に向けてイオンを方向付け、及び/又は導管19からイオンを遮蔽することができる。留意すべきは、ハウジング6が電極のように動作しているとき、第2のエミッタ10からイオンが放出されるが、この場合イオンはハウジング6の底部に向かって進行するという点である。スプレーは、ハウジング6によって、又は導管電極17と第1の電極11及び第2の電極13の組み合わせによって生じる強い電界のために、二分岐する。このプロセスによって、荷電小滴形成の生成工程全体が改善される。さらに、この設計及びプロセスによって、溶媒及び/又は検体及び/又は移動相を含む荷電小滴から気相イオンが分離される。これは、最初に、気相イオンが、エミッタから放出される噴霧から遮蔽されるという事実によって達成される。次に、気相イオンはすぐに収集されるが、荷電小滴は、導管19とは異なる方向に、又はハウジング6の底部に進むので、したがって導管19によって収集されることはない。この結果、計測器の信号対雑音比(S/N比)又は感度全体を低下させるであろう他の汚染荷電小滴のない、気相イオンを収集するための単純で有効なプロセスがもたらされる。
【0047】
本発明に2つ以上のエミッタを使用することができる。第1のエミッタ9、第2のエミッタ10及び第3のイオンエミッタ12を、ハウジング6内のどこにでも配置することが可能である。各エミッタは、低流量のイオンをイオン領域22内に放出するように設計されている。エミッタは、本体部分14と、エミッタ先端16からなる。図3において、第1のエミッタ9及び第2のエミッタ10は、互いに向かい合って配置されている。また、それらのエミッタは、第1の電極11及び第2の電極13に隣接している。導管電極17は、導管19の一部を構成する場合もあり、導管から独立している場合もある。導管電極17はさまざまな異なる先端を備える。例えば、場合によっては、導管電極17の先端を、鈍くすることも、又は鋭くすることもできる。いずれにせよ、導管電極17を、導管19へのイオン収集を助けるように設計することが可能である。導管電極17は、第3の電界を発生するように設計された電圧源(図には示されていない電圧源)に接続されている。導管電極17は、検出器7による検出に備えて、導管19にイオンを引き込むための第3の電界を発生する。
【0048】
図3は、イオン源3内において隣接位置に配置されている第1の電極11及び第2の電極13を示す。図3において、また、それらの電極は、第1のエミッタ9及び第2のエミッタ10に隣接し、導管電極17と向かい合うように配置されている。この図にのみ、1対の電極を示す。しかしながら、本発明には、いくつかの、すなわち複数の電極を使用することが可能である。
【0049】
図4は、本発明によって生じる典型的な等電位線を示す側面図を示す。留意すべきは、1つ又はそれ以上のエミッタから導管19に向かって流れるイオンが放出されると、その流れは、第1の電極11、第2の電極13及び導管電極17によって生じる電界によって促進されるという点である。電極のそれぞれに、異なる電位を印加することが可能である。しかしながら、第1の電極11及び第2の電極13が導管電極17に接続されると、単一のハウジングが形成される。この単一のハウジング6に単一の電位を印加すると、1つ又はそれ以上のイオンエミッタからのイオンの形成及び収集を促進することが可能になる。さらに、ハウジング6は、イオンが導管19に取り込まれない場合には、イオンが、イオン化領域22(図3及び図4参照)から出て、導管電極17のさまざまな位置で収集されるか、又は位置30まで循環させられて、再循環によって、エーロゾルを汚染する可能性がなくなるように設計されている。場合によっては、これらは、望ましくないイオンか、又はユーザにとって関心のない特定の質量電荷比のイオンということもある。この結果、装置の全体の感度が改善される。
【0050】
図5〜図7は、本発明のさまざまな実施態様を示す。特に、エミッタ及び電極が、さまざまな位置に、及びさまざまな配向をなすように配置されている。本発明では、さまざまな数の電極を利用することが可能である。
【0051】
さらに図1〜図6を参照して、構成要素に関するより詳細な説明が必要であろう。
【0052】
第1の電極11には、任意の数の材料及び構成要素が含まれる。例えば、電極11は、ガリウム、窒化チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、セシウム、ゲルマニウム、金、鉄、鉛、イリジウム、インジウム、プラチナ、錫、銀、シリコン、又はこれらの材料の組み合わせ又は合金のような電極に一般に利用される金属材料を含む。この電極には、イオンを方向付けするための電界の生成において、伝導性の任意の数の形状及び寸法が含まれる。電界の寸法、大きさ及び位置は、当該技術者の要求に応じて変更又は設計することもできる。第1の電極11は、第1の電界を生成するように設計されている。この電界は、イオンを導管電極17に向けて方向付けるように設計されている。この設計では、この電極に対して、イオン源3に利用される他の電極と比較して同様の電位を加えることもできるし、又は異なる電位を加えることもできる。
【0053】
第2の電極13及び図面に表現されない他に開示される電極にも、任意の数の材料及び構成要素が含まれる。例えば、第2の電極13は、ガリウム、窒化チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、セシウム、ゲルマニウム、金、鉄、鉛、イリジウム、インジウム、プラチナ、錫、銀、シリコン、又はこれらの材料の組み合わせ又は合金のような電極に一般に利用される金属材料を含む。この電極には、イオンを方向付けするための電界生成において、伝導性の任意の数の形状及び寸法が含まれる。電界の寸法、大きさ及び位置は、当該技術者の要求に応じて変更又は設計することもできる。第2の電極13は、第2の電界を生成するように設計されている。この電界は、やはり、イオンを導管電極17に向けて方向付けるように設計されている。前述のように、この電極には、第1の電極11と同じ電位を印加することもできるし、又はこの電極及び他の電極とは異なる電位を印加することもできる。電極にハウジング6の一部が含まれる場合、単一の電極として機能するように、ハウジング全体に単一の電位を印加することができる。
【0054】
留意すべきは、導管電極17の方向へのイオンの方向付けが、第1の電極11によって生じる第1の電界及び第2の電極13によって生じる第2の電界の位置決め、配向及び組み合わせによるという点である。図4は、全電界に対応する等電位線を示す。上述のように、ハウジング6を単一の電極として利用して、イオンを生成し、分離し、収集することが可能である。
【0055】
第1のエミッタ9及び第2のエミッタ13は、本体部分14及び先端16からなる。本体部分14及び先端16を、同様の材料から構成することもでき、又は異なる材料から構成することもできる。それらの部分は、イオン生成技術において既知のさまざまな材料からなる。このような材料は、疎水性材料又は他の同様の材料を含む。それらの部分は、これらの材料を含むこともできるし、又はこのような材料で被覆することもできる。電極の他の形状及び設計は、本発明の範囲内にある。エミッタは、低流量でイオンを生成するように設計されている。これらの流量は、本発明の電極で利用するのに有効である。エミッタは、当該技術において公知であり、説明されている種々の材料及び形状からなる。例えば、エミッタは、金属、プラスチック、ポリカーボネート等のような材料を含む。イオンの生成、分離及び収集を可能とするのは、電界と組み合わせられたエミッタからの液体の低流量である。図において、エミッタ9及び13のそれぞれには、分子縦軸21及び21’が含まれ、この軸に沿ってイオンが放出される。
【0056】
導管電極17は導管19の一部を含む。導管電極17は、図に示すように、第3の電界を生成するように設計されている。さらに導管電極17は、イオン化領域20を加熱するため、熱伝導性であるように設計することができる。導管19は、電極の全長に沿って延び、導管電極17を通る中心軸23を備えている。最後に、導管19と同様の他の導管を本発明に利用することが可能である。例えば、他の導管は、形成されるイオンの収集のため、ハウジング6又はイオン源3の全体にわたってどこにでも配置することができる。
【0057】
次に図4〜図6を参照すると、エミッタ及び電極が、導管19に対していくつかの配向をなすように、いくつかの位置に配置されている。例えば、第1のエミッタ9又は第2のエミッタ13の分子軸21もしくは21’を、導管19の中心軸23に対してさまざまな角度で配置することが可能である。いくつかの角度には、0〜10度、10〜30度、30〜90度、90〜180度及び180〜360度が含まれている。実施態様によっては、第1のエミッタ9の分子軸21、又は第2のエミッタ13(又は他のエミッタ)の分子軸21’を、導管19の中心軸23に対して直交するように配置することも可能である。図3は、導管19の中心軸23に対して直交して配置されている第2のエミッタ13を示す。
【0058】
本発明の装置について説明してきたが、さらに本発明の方法について順序を追って説明する。次に図3を参照すると、本発明の方法が最も明瞭に例示されている。第1の電極11及び第2の電極13が、1つ又はそれ以上の電圧源(図に示されていない)に電気的に接続されている。電圧源が、電極の周囲に電界を発生させ、イオンを方向付ける。同じであるか又は異なる電圧源が、それぞれの電極に電気的に接続されている。
【0059】
第1の電極11は、第1の電界を生成するように配置及び設計されている。図には、電位を示し、この電位によって、イオンは規定の方向に方向付けられる。例えば、図のイオンは、第1のエミッタ9及び/又は第2のエミッタ13から生成され、第1の電極11及び導管電極17によって導管19に向かって方向付けられる。
【0060】
第2の電極13は、第1の電極11の周囲の電界と同様の第2の電界を生成する。各場合において、第1のエミッタ9及び第2のエミッタ10から生じるイオンは、入口電極17及び導管19の開口(図4には示していない)に引き寄せられるように設計されている。例えば、イオンは、第1のエミッタ9又は第2のエミッタ10から生成される。次に、電界によって、イオンが導管電極17に引き寄せられる。導管電極17は、イオンを導管19に引き込む第3の電界を発生する。イオンが導管19に引き込まれない場合、イオンは、脱出して、ハウジング6の外の領域30に移動する。ハウジング6は、検出器7による収集及びそれに続く検出に備えて、所望のイオンを導管19に向けて方向付ける電界内に望ましくないイオンが再循環して、戻るのを阻止する。
【0061】
生成及びイオン収集プロセスに影響するのは、電極、エミッタ及び導管電極の配置、及びエミッタからのイオンの流量である。これらの構成要素は極めて近接しており、かつ流量が低いので、ガス又はガス流に助けられる噴霧を利用する必要がない。換言すれば、極めて効率のよいイオン生成、分離及び収集をもたらす非空気圧システムが実現される。他の構成要素、ガス吸い込み口等は不要である。言うまでもないが、本発明の説明を、その特定の実施態様に関連して行ってきたが、以上の説明及び付随する例は、本発明の範囲の例証を意図したものであって、限定を意図したものではない。本発明の関連技術の技術者には、本発明の範囲内における他の態様、利点及び修正が明らかであろう。
【0062】
本明細書において後述の及び前述の全ての特許、特許出願及び刊行物は、参照することによって、その内容を全て本明細書に取り入れることとする。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の質量分析計システムの概略的なブロック図である。
【図2】第2の質量分析計システムの概略的なブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施態様を示す側面図である。
【図4】磁力線を付加した側面図である。
【図5】本発明の第2の実施態様を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施態様を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施態様を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 質量分析計システム
3 イオン源
5 輸送システム
6 ハウジング
7 検出器
9 第1のエミッタ
10 第2のエミッタ
11 第1の電極
12 第3のイオンエミッタ
13 第2の電極
15 第3の電極
17 導管電極
19 導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)イオンを生成するための第1のイオンスプレーエミッタと、
(b)前記第1のイオンスプレーエミッタに隣接して、前記第1のイオンスプレーエミッタからイオンを受容するように設計されている開口を備えている導管と、
(c)前記導管に隣接して、前記第1のイオンスプレーエミッタからのイオンを前記毛細管の前記開口に向けて方向付ける第1の電極と、
(d)イオンを前記導管に方向付ける導管電極と
を備えている非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項2】
さらに、前記第1のイオンスプレーエミッタに隣接した第2のイオンスプレーエミッタを含むことを特徴とする請求項1に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項3】
さらに、第1の電極に隣接した第2の電極を含むことを特徴とする請求項1に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項4】
前記第1のイオンスプレーエミッタが分子軸を含むことを特徴とする請求項1に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項5】
前記導管が中心縦軸を含むことを特徴とする請求項1に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項6】
前記導管が中心縦軸を含むことを特徴とする請求項4に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項7】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して直交するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項8】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して実質上直交するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項9】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して10〜30度の角度をなすことを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項10】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して30〜60度の角度をなすことを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項11】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して60〜90度の角度をなすことを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項12】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して90〜180度の角度をなすことを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項13】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して180〜360度の角度をなすことを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項14】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して0〜360度の角度をなすことを特徴とする請求項6に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項15】
前記ナノスプレーイオン源が、1.33×103Pa(10トル)〜2.27×105Pa(2000トル)の範囲の圧力に維持されることを特徴とする請求項1に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項16】
(a)非空気圧ナノスプレーイオン源と、この非空気圧ナノスプレーイオン源が、
(i)イオンを生成するための第1のイオンスプレーエミッタ、
(ii)前記第1のイオンスプレーエミッタに隣接して、前記第1のイオンスプレーエミッタからイオンを受容するように設計されている開口を備えている導管、
(iii)前記第1のイオンスプレーエミッタからのイオンを前記導管に向けて方向付ける第1の電極、
(iv)前記導管にイオンを方向付ける導管電極を備え、
(b)前記毛細管から下流にあって、前記非空気圧ナノスプレーイオン源によって生成されたイオンを検出する検出器と
を備えている非空気圧イオン生成用質量分析計システム。
【請求項17】
さらに、前記第1のイオンスプレーエミッタに隣接した第2のイオンスプレーエミッタを含むことを特徴とする請求項16に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項18】
さらに、前記第1の電極に隣接した第2の電極を含むことを特徴とする請求項16に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項19】
前記第1のイオンスプレーエミッタが、さらに分子軸を含むことを特徴とする請求項16に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項20】
前記導管電極が中心縦軸を含むことを特徴とする請求項16に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項21】
前記導管電極が中心縦軸を含むことを特徴とする請求項20に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項22】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して直交するように配置されていることを特徴とする請求項21に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項23】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して実質上直交するように配置されていることを特徴とする請求項22に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項24】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して10〜30度の角度をなすことを特徴とする請求項22に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項25】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して30〜60度の角度をなすことを特徴とする請求項22に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項26】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して60〜90度の角度をなすことを特徴とする請求項22に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項27】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して90〜180度の角度をなすことを特徴とする請求項22に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項28】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して180〜360度の角度をなすことを特徴とする請求項22に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項29】
前記第1のイオンスプレーエミッタの前記分子軸が、前記導管の前記中心縦軸に対して0〜360度の角度をなすことを特徴とする請求項22に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項30】
前記ナノスプレーイオン源が、1.33×103Pa(10トル)〜2.67×105Pa(2000トル)の範囲の圧力に維持されることを特徴とする請求項16に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項31】
(a)イオンを生成するための第1のイオンスプレーエミッタと、
(b)イオンを方向付けるためのハウジングと、
(c)生成されて、前記ハウジングによって方向付けられたイオンを受容するための導管と
を備える非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項32】
前記ハウジングに単一の電位が印加されることを特徴とする請求項31に記載の非空気圧ナノスプレーイオン源。
【請求項33】
非空気圧ナノスプレーイオン源においてイオンを生成するための方法であって、
(a)ナノスプレーエミッタからイオンを生成し、
(b)電極で第1の電界を生成し、イオンを導管に向けて方向付け、
(c)導管電極で第2の電界を生成し、イオンを前記導管内に収集することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−261116(P2006−261116A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70455(P2006−70455)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】