複数ポスト構造
複合多層構造を有するマイクロメカニカルデバイス、およびデバイスを形成するための手法を開示する。上記方法は、ポスト構造アセンブリを形成する方法であって、第1の基板を第2の基板に結合することであって、該結合することは、結合層を用いずに達成される、ことと、該第2の基板をパターニングすることであって、該パターニングすることは、該第2の基板の材料の第1の部分、および該第2の基板の材料の第2の部分を残して、該第2の基板の第1の部分と第2の部分との間の材料を除去し、該第1の部分は、複数の構造を形成し、該第2の部分は、複数の開口部をその中に有する一体構造であるアセンブリを形成する、ことと、該第2の基板の第2の部分を該第1の基板から分離することであって、該第2の部分は、該構造を含まない、こととを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロメカニカル構造(MEMS)デバイスの半導体処理に関する。MEMSデバイスには、流体エジェクタ、加速度計、センサ、マイクロホン、フィルタ、光変調器、および他の当該のデバイスのような、複数の機能を果たす広範囲にわたるデバイスが挙げられる。デバイスは、一般的に、2、3〜数百マイクロメートルのサイズのスケールである。MEMSデバイスは、壁、膜、アーム、および機構間の通路およびトレンチのような、種々のジオメトリの三次元機構を有するマイクロメカニカル部分を含む。エッチング、研削、研磨、結合、および被着のような半導体処理技術を用いて、異なる特性、材料、または物理的特性を有する複数の層を備えた複合構造を形成することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
複合多層構造を有するマイクロメカニカルデバイスは、本願明細書に記載された手法を用いて形成することができる。
【0003】
概して、一側面では、本発明は、ポスト構造アセンブリを形成する方法を開示する。第1の基板は、第2の基板に結合され、該結合は、結合層を用いずに達成される。第2の基板はパターニングされ、該パターニングすることは、第2の基板の材料の第1の部分、および第2の基板の材料の第2の部分を残して、第2の基板の第1の部分と第2の部分との間の材料を除去し、第1の部分は、複数の構造を形成し、第2の部分は、複数の開口部をその中に有する一体構造であるアセンブリを形成する。第2の基板の第2の部分は第1の基板から分離されるが、第2の部分は構造を含まない。
【0004】
本発明の実装は、以下の機構のうちの1つ以上を含むことができる。2つの基板は、シリコンを含むことができる。第2の基板は厚さを有することができ、第2の基板のパターニングすることは、第2の基板の厚さを通って延在する1つ以上のスルーホールをパターニングすることを含むことができる。パターニングすることは、ディープ反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching)によって行うことができる。2つのシリコン基板は、互いに融着させることができる。第1の基板および構造が恒久的に互いに結合されるように、アセンブリをアニールすることができる。アニールすることは、構造と第1の基板との間に、実質的に酸化物を含まないアセンブリを形成することができる。第3の基板は、構造の上面に結合することができる。第3の基板は、構造の上面にアニールすることができる。第3の基板を結合することは、1つ以上の開口部または凹部がその中に形成された基板を、構造の上面に結合することを含むことができる。複数の構造をパターニングすることは、円形のポスト、多角形のポスト、中空のポスト、または少なくとも1つの湾曲した側部を備えた形状である断面を有するポストのような、複数のポストをパターニングすることを含むことができる。
【0005】
第1の基板および第2の基板のような複数の基板は、互いに融着させることができる。融着は、シリコン基板がアニールされていない場合に、安定した、さらには一時的な結合を提供することができる。融着の一時的な性質によって、第1の基板内に機構を形成することができ、該機構とベース基板とが恒久的に結合される前に、第1の基板の部分を除去することができる。第1の基板は、処理中に、第2の基板を保護することができる。第1の基板によって覆われた第2の基板の領域は、エッチングプロセス中に、第2の基板がエッチング液と接触しないようにすることができる。2つの基板を分離したときに、覆われていた第2の基板のプロファイルは、エッチングプロセス中に覆われていた部分と、エッチングプロセス前の部分とにおいて略同じである。
【0006】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の添付図面および説明に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
種々の図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0008】
モノリシック構造および精密に形成された機構を有するマイクロメカニカルデバイスは、種々の手法を用いて形成することができる。機構の精密さにより、マイクロメカニカルデバイス内に含まれる各構造の所望の挙動をもたらし得る。種々のマイクロメカニカルデバイスは、下記に記載したものと同じ、または類似した手法を用いて形成することができる。
【0009】
図1を参照すると、複数のポスト構造120を備えたベース基板110のアセンブリが示されている。ポスト構造120およびベース基板110は、元素シリコン、酸化シリコン、または二酸化シリコンのような、シリコンを含む材料で形成される。いくつかの実装例では、ベース基板110およびポスト構造120は、純シリコン、すなわち結晶シリコンで形成される。ポスト構造120およびベース基板110は、ポスト構造120およびベース基板110を形成する材料とは異なる材料の層が、ポスト構造120とベース基板110との間にほとんどまたは全く存在しないように、同じ材料から形成することができ、また、互いに集積化することができる。別様には、アセンブリのシリコン部分の間に、酸化シリコンまたは二酸化シリコンの層を配置することができる。ポスト構造120は、固体とするか、または中空コアを有することができる。下記に詳述するように、構造の上から見たときに、ポスト構造を、円形、矩形のような事実上あらゆるジオメトリのものとするか、またはポストを、事実上あらゆる所望の断面形状を有するものとすることができる。
【0010】
個々の構造は、高さの関数として、略均一の断面寸法を有することができる。別様には、構造は、ベース基板110から離れた部分と比較して、ベース基板110に近い部分が異なる形状を有することができる(例えば、構造は、その上部よりも基部を広くすることができる)。構造は、略均一の高さを有することができる。
【0011】
図2および16を参照すると、ポスト構造を備えた基板は、下述するように形成される(方法300)。ベース基板110は、構造基板130に融着またはシリコン−シリコン結合される(ステップ310)。基板110、130は、例えば真空結合機を使用して、互いに結合することができる。任意選択で、基板がシリコン基板である場合は、結合する前に、基板からあらゆる酸化物層を剥離することができる。融着は、2つのシリコン表面間にVan der Waals結合を生じさせるものであり、平坦で、高度に研磨された清浄な2つのシリコン表面を、2つのシリコン層間に中間層を存在させずに結合するときに生じさせることができる。融着は、酸化物とシリコンとの間、または酸化物層間に生じさせることができる。融着させる2つの素子を調製するには、ベース基板110および構造基板130の両方を、RCA洗浄等によって洗浄する。疎水性基板処理のような他の方法を用いて、シリコン−シリコン結合する基板を調製することができる。ベース基板110および構造基板130上のあらゆる酸化物は、任意選択で、緩衝フッ化水素酸エッチング(BOE)によって除去することができる。ベース基板110および構造基板130は、次いで、互いに結合されて基材アセンブリ150を形成する。2つの基板は、下記に詳述するように、分離させることができるように互いに結合される。
【0012】
構造の位置が定められる(ステップ320)。ポジ型フォトレジストのようなフォトレジストは、酸化物層(図示せず)上等の、構造基板130の表面上へスピンコートすることができる。フォトレジストは、ソフトベークして、クロムマスクを介して露光させることができる。クロムマスクは、所望のポスト位置およびジオメトリの輪郭を有する。フォトレジストは、現像およびパターニングされて、ポスト構造の位置を定めたマスクを形成する。エッチングすべき領域は、ポスト構造をちょうど囲む領域とすることができる。除去すべき全ての領域、すなわちポスト構造を形成しない構造基板130の全ての部分を除去する必要はない。したがって、エッチングによって除去すべき領域は、所望のポスト構造周辺のドーナツ形状の領域とすることができ、ドーナツの内側は、ポスト構造の外側の断面形状を画定する。ドーナツの内側は必ずしも円形ではない点に留意されたい。除去すべき構造基板130の領域の幅は、構造基板130の残部からポスト構造120を分離するのに十分な幅があればよい。除去領域の幅を広くすることで、下述する基板の除去ことを容易にすることができる。各ポスト構造120周辺の除去領域を広くすることで、構造基板130がベース構造110から除去されているときに、構造基板130がポスト構造120を除去してしまう可能性を減じることができる。しかし、構造基板130の全てが、エッチングによって除去されるわけではない。
【0013】
ポストは、等方性または異方性エッチングを用いて形成することができる。エッチングされている結晶表面構造のタイプに基づいて、ポストまたは他の構造は、垂直壁、テーパのついた壁、または湾曲した壁を有することができる。例えば、<100>表面配向シリコン基板のエッチングは、テーパの付いた壁を備えた矩形の構造を形成することができる。<110>表面配向シリコン基板の等方性エッチングは、基板表面に対して垂直な壁を有する構造を形成することができる。
【0014】
図3を参照すると、構造基板130がエッチングされる(ステップ330)。酸化物基板またはシリコン基板上のあらゆる自生の酸化物層は、除去するか、または誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP RIE)によってエッチングすることができる。構造基板130がシリコンで形成されている場合は、あらゆる自生の酸化物層を除去した後に、シリコン層をエッチングする。シリコンプロセスエッチングの一例は、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)による等方性ドライエッチングであり、プラズマを用いてシリコンを選択的にエッチングして、略垂直な側壁を備えた機構を形成する。Boschプロセスとして知られている反応性イオンエッチング手法は、Laermor他の米国特許第5,501,893号に述べられており、参照することによりその内容全体が本願明細書に組み込まれる。ディープシリコン反応性イオンエッチング装置は、Surface Technology Systems社(Redwood City,CA,Alcatel,Piano,TexasまたはUnaxis,Switzerland)より入手可能であり、反応性イオンエッチングは、Innovative Micro Technology社(Santa Barbara、CA)を含む、エッチングベンダによって行うことができる。直径が略一定の深い機構を掘るその能力から、ディープ反応性イオンエッチングを用いる。エッチングは、プラズマおよびSF6およびC4F8のようなガスとともに真空チャンバ内で行われる。一実装例では、基板の背面が冷却される。基板内の欠陥は、エッチングプロセス中に発生する熱によって生じる場合がある。ヘリウムのような冷却剤を使用して、基板を冷却することができる。シリコン基板と冷却剤との間の金属層は、エッチングプロセスによって発生した熱を、効率的に冷却剤に伝えることができ、また、冷却剤が真空チャンバ内に漏れ出して真空を損なわないようにすることができる。
【0015】
構造基板130は、Bosch DRIEを使用してエッチングを行って、ポスト構造120を画定することができる。レジストは、基板120から剥離することができ、基材アセンブリ150は、ピラニア洗浄およびRCA洗浄することができる。
【0016】
図4を参照すると、基材アセンブリ150の上面図は、エッチング後に、構造基板130のポスト構造ではない部分140によって囲まれたポスト構造120を示す。各ポスト構造120の周囲の構造基板130が、エッチングによって除去されたベース基板110を確認することができる。
【0017】
構造基板130のポスト構造ではない部分140は、ベース基板110から除去される(ステップ340)。互いに融着させたが、アニールしていないシリコンまたは酸化シリコン基板は、2つの基板の間に分離部材を緩やかに押し込むことによって分離することができる。Van der Waals結合は、特に分離を十分ゆっくりと行えば、基板に損傷を与えずに十分に分離させ易いものである。
【0018】
図5および6を参照すると、米国仮特許出願第60/621,507号(2004年10月21日出願)に記載されているように、機械デバイス200は、ベース基板110から構造基板130を分離することができる。デバイス200は、上下に作動させることができる基板支持体210を含むことができる。1つ以上の分離ユニット230を使用して、基板を分離することができる。デバイスが2つ以上の分離ユニット230を含む場合、ユニットは、基板支持体210の周囲に等しい角度間隔で離間させることができる。分離ユニット230は、分離部材220(例、刃状の突起)を含むことができる。分離部材220は、分離部材220が2つの基板の間に圧力を印加したときに、分離部材220が2つの部分に分離させて、2つの基板の間に入ることができるように、十分に薄い縁部を有することができる。分離部材220は、2つの基板を分離させるのに十分な圧力を印加したときに破壊されない、十分に硬い材料で形成される。分離部材220は、略均一の厚さを有するか、または、より薄い縁部までテーパを付けることができる。一実装例では、分離部材220は、鋭利な前縁を有する金属製の薄い刃(例、カミソリの刃)で形成される。
【0019】
各分離ユニット230は、分離部材220を固定するための保持部材(例、クランプ)を含むことができる。分離ユニット230は、基板支持体210の表面に垂直な中心軸に対して、内方および外方へ独立して半径方向に作動させることができる。各分離ユニット230は、支持体レール240に沿って分離ユニットを駆動するモータ250によって作動させることができる。各分離ユニット230は、分離部材220によって印加された圧力を測定するセンサも収容することができる。各モータ250およびセンサは、コントローラ260(例、プログラムされたコンピュータ)に接続することができる。
【0020】
2つの基板110、130を分離するために、コントローラ260は、モータ250が分離ユニット230を内方へ移動させることを引き起こす。基材アセンブリは、一次表面280と、薄い側部270とを有する。分離ユニット230は、結合された基板の薄い側部270に垂直な方向に、かつ一次表面280に平行な方向に移動する。分離ユニット230は、印加された圧力が閾値を超えたことをセンサが検出するまで移動する。センサが閾値圧力を検出したときに、センサは、分離ユニット230の内方への移動を停止するように、モータ250に命令することができる。2つの基板110、130が互いに分離され始めると、分離ユニットによって印加された圧力が下がる。センサが、圧力が閾値圧力を下回ったことを検出したときに、コントローラ260は、閾値が再び検出されるまで、または分離ユニット230が最も遠くまで内方に移動されるまで、分離ユニット230を再び内方へ移動させるように、モータ250に命令することができる。複数の分離ユニット230を有するデバイスの場合、分離ユニット230は、順次に、または互いに一度に移動させることができる。分離は、ポスト構造120が損傷しないように、所定の位置で内方への移動を停止するようにプログラムすることができる。機構が基板の中央に設置されている場合、犠牲基板の周辺部の除去は、基板の分離に対して十分なものである。
【0021】
動作に際し、2つの結合された基板は、基板支持体210上に配置される。基板支持体210は、上昇した位置とすることができる。一実装例では、基板110、130は、分離プロセスの少なくとも一部の間、基板支持体210と接触しない。分離ユニット230は、基板の方へ移動される。分離部材220が、2つの基板110、130の間の界面と整列するまで、分離ユニット230を上向きまたは下向きに作動させるか、または基板支持体210を上向きまたは下向きに作動させることができる。分離ユニット230は、閾値圧力が検出されるまで内方へ移動される。検出された圧力が閾値圧力に等しくなるか、またはこれを超えたとき、分離ユニット230の内方への移動が停止される。基板が分離され始め、圧力が閾値以下に下がったときに、分離部材220は、圧力が閾値圧力に達するまで、再び内方へ付勢される。基板支持体210が分離ユニット230の内方への進行を妨げた場合、基板支持体210を下ろすことができる。分離ユニット230が、ポスト構造120のような、ベース基板110から分離すべきでない構造に達するまで、プロセスが継続される。分離ユニットは、ポストが位置すべき場所で停止するようにプログラムすることができる。代替的に、レバーのようなデバイス、またはカメラで、分離プロセスをいつ停止させるべきかを検出することができる。モニタに接続された赤外線カメラにより、基板110、130の結合領域の縁部を明らかにすることができる。赤外線カメラは、基板110、130の結合領域の縁部を明らかにする。オペレータまたはプログラムされたコンピュータは、カメラ画像からポストの位置を判断することができ、コントローラに分離プロセスを停止させることができる。
【0022】
図7を参照すると、ベース基板110から除去されている構造基板130の断面が示されており、基板の分離は、外縁部から始まり、基板の中央に向かって移動する。分離部材220の移動は、分離部材220がポスト120に達する前に停止される。図8を参照すると、いくつかの実装例では、ポスト間の領域内において、いかなる不要な構造基板130も、ベース基板110から物理的に分離する必要が無いように、エッチングこと(ステップ330)でポスト間から構造基板130の全てが除去される。一部の構造基板130は、縁部領域内に残すことができる。いくつかの実装例では、基板は、いかなるポストも分離部材220によって損傷を受けないように、少なくとも部分的に手で分離される。
【0023】
図9および10を参照すると、構造基板130の除去は、ベース基板110に残存するポスト構造120だけを残す。
【0024】
図11を参照すると、ベース基板110およびポスト構造120が、互いに結合およびアニールされて、恒久的に融着される(ステップ350)。アニール化は、約1050℃〜1100℃で行うことができる。融着の利点は、ベース基板110とポスト構造120との間に、いかなる付加層も形成されないことである。融着後、結合が完了したときに、2つの層の間にいかなる輪郭線も生じさせないように、2つの層を1つの一体層にさせる。したがって、ポスト構造120およびベース基板110がシリコンで形成されている場合は、結合されたアセンブリは、アセンブリ内部に実質的に酸化物層を含まないものとすることができる。
【0025】
図12を参照すると、第3の基板160は、ポスト構造120の露出端部に融着させることができる(ステップ360)。第3の基板160は、ポストの上面にアニールすることもできる。
【0026】
ポスト構造に加えて、上述の手法を用いて、他の構造を形成することができる。図13を参照すると、層のうちの1つ以上に設置されたポスト構造を備えた複数の層を形成することができる。図14を参照すると、円形のポストの代わりに、螺旋640、環420、多角形520、または湾曲形状620を形成することができる。図15を参照すると、上述の方法によって、迷路または他の複合多層構造のような、複雑な三次元構造を形成することができる。基板には、更なる処理を行うことができる。ポリシリコンまたは金属抵抗のようなヒータを、基板内に埋め込むことができる。センサまたは計測用の抵抗も、基板内に埋め込むことができる。
【0027】
上述の方法を用いて形成したポスト構造アセンブリは、液体等のためのフィルタとして使用することができる。ポスト構造の間隔およびジオメトリは、粘度、必要なフィルタリングレベル、フィルタを通過する流体の必要な流量、および他の因子のような、流体特性によって定めることができる。アセンブリは、光学用途に使用することができる。ポスト構造は、均一の高さを有する、すなわち、構造のそれぞれが、略同じ高さを有することができる。ポスト構造アセンブリは、半導体構造内に集積化することができる。更なる処理ことは、アセンブリが、半導体構造に適切なものとなるように、ポスト構造アセンブリを成形または追加することができる。
【0028】
ポスト構造の、またはウエハの表面から延在する他のタイプの構造の、上述の手法を用いた形成により、多数の機構のうちの1つを備えたデバイスを得ることができる。ベース構造はエッチングされていないので、ポスト構造がその上にある基部の厚さを均一にすることができる。さらに、ベース基板の表面は、ポスト構造間で非常に平坦なプロファイルにすることができる。基板内に機構をエッチングするときに、エッチングの底部は、制御が困難になる場合があり、平坦ではない表面が得られる場合がある。上述の方法によって、構造基板上のポスト間の領域の一部はエッチング液と接触しない。構造基板は、これらの領域がエッチングされないようにすることができる。したがって、ベース基板のこれらの領域は、エッチングプロセスの前後で略同じままとすることができる。
【0029】
基板を互いに一時的に結合し、基板のうちの1つを処理し、基板を分離させることにより、基板は、蒸着プロセスを用いて達成することが困難な複合多層構造の形成を可能にすることができる。蒸着プロセスでは、被着させるべき層の下に支持基板を存在させなければならない場合がある。支持基板が、層の間に挟まれている場合(最終的なデバイスに望まれる)は、支持基板を取り外せるようにしなければならない。一時的な層は、必ずしもデバイスの他の部分に悪影響を与えない様式で除去できるとは限らない。上述の本方法は、一時的な支持基板の必要性を排除することができる。さらに、他の材料の層をその中に埋め込まずに単一の材料で形成された、三次元モノリシック構造を形成することができる。例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の層を含む構造を、本願明細書に記載した手法を用いて形成することができる。互いに積層させた基板のうちの1つ以上を処理して、凹部、スルーホール、または構造を追加することができる。複数の層を有する基板の処理は、2つの異なる材料の界面において、またはその周辺でのアンダーカットのような、不適当な影響をもたらす場合がある。これらの方法は、これらの不適当な影響も排除することができる。
【0030】
本発明の複数の実施形態を説明した。それでもなお、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、種々の変形を行うことができるものと理解されよう。例えば、ベース基板は、構造基板に結合する前にエッチングすることができる。ベース基板のエッチングは、デバイスの複数の層間に通路を形成することができる。加えて、シリコン以外の材料を使用して構造を形成することができる。したがって、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、基板およびポストのアセンブリの側断面図である。
【図2】図2は、2つ基板のアセンブリの側断面図である。
【図3】図3は、1つの基板がエッチングされたアセンブリの側断面図である。
【図4】図4は、基板のアセンブリの平面図である。
【図5】図5は、機械式結合基板分離デバイスの上面図である。
【図6】図6は、機械式結合基板分離デバイスの側断面図である。
【図7】図7は、2つの基板が分離されている断面図である。
【図8】図8は、エッチングされたアセンブリの平面図である。
【図9】図9は、エッチングされて分離されたアセンブリの平面図である。
【図10】図10および図11は、ポストを備えた基板のアセンブリの側断面図である。
【図11】図10および図11は、ポストを備えた基板のアセンブリの側断面図である。
【図12】図12および図13は、基板間のポストのアセンブリの側断面図である。
【図13】図12および図13は、基板間のポストのアセンブリの側断面図である。
【図14】図14は、基板および種々のポスト形状のアセンブリの上面図である。
【図15】図15は、内部層を備えた三次元構造の斜視図である。
【図16】図16は、構造の形成を記述したフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロメカニカル構造(MEMS)デバイスの半導体処理に関する。MEMSデバイスには、流体エジェクタ、加速度計、センサ、マイクロホン、フィルタ、光変調器、および他の当該のデバイスのような、複数の機能を果たす広範囲にわたるデバイスが挙げられる。デバイスは、一般的に、2、3〜数百マイクロメートルのサイズのスケールである。MEMSデバイスは、壁、膜、アーム、および機構間の通路およびトレンチのような、種々のジオメトリの三次元機構を有するマイクロメカニカル部分を含む。エッチング、研削、研磨、結合、および被着のような半導体処理技術を用いて、異なる特性、材料、または物理的特性を有する複数の層を備えた複合構造を形成することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
複合多層構造を有するマイクロメカニカルデバイスは、本願明細書に記載された手法を用いて形成することができる。
【0003】
概して、一側面では、本発明は、ポスト構造アセンブリを形成する方法を開示する。第1の基板は、第2の基板に結合され、該結合は、結合層を用いずに達成される。第2の基板はパターニングされ、該パターニングすることは、第2の基板の材料の第1の部分、および第2の基板の材料の第2の部分を残して、第2の基板の第1の部分と第2の部分との間の材料を除去し、第1の部分は、複数の構造を形成し、第2の部分は、複数の開口部をその中に有する一体構造であるアセンブリを形成する。第2の基板の第2の部分は第1の基板から分離されるが、第2の部分は構造を含まない。
【0004】
本発明の実装は、以下の機構のうちの1つ以上を含むことができる。2つの基板は、シリコンを含むことができる。第2の基板は厚さを有することができ、第2の基板のパターニングすることは、第2の基板の厚さを通って延在する1つ以上のスルーホールをパターニングすることを含むことができる。パターニングすることは、ディープ反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching)によって行うことができる。2つのシリコン基板は、互いに融着させることができる。第1の基板および構造が恒久的に互いに結合されるように、アセンブリをアニールすることができる。アニールすることは、構造と第1の基板との間に、実質的に酸化物を含まないアセンブリを形成することができる。第3の基板は、構造の上面に結合することができる。第3の基板は、構造の上面にアニールすることができる。第3の基板を結合することは、1つ以上の開口部または凹部がその中に形成された基板を、構造の上面に結合することを含むことができる。複数の構造をパターニングすることは、円形のポスト、多角形のポスト、中空のポスト、または少なくとも1つの湾曲した側部を備えた形状である断面を有するポストのような、複数のポストをパターニングすることを含むことができる。
【0005】
第1の基板および第2の基板のような複数の基板は、互いに融着させることができる。融着は、シリコン基板がアニールされていない場合に、安定した、さらには一時的な結合を提供することができる。融着の一時的な性質によって、第1の基板内に機構を形成することができ、該機構とベース基板とが恒久的に結合される前に、第1の基板の部分を除去することができる。第1の基板は、処理中に、第2の基板を保護することができる。第1の基板によって覆われた第2の基板の領域は、エッチングプロセス中に、第2の基板がエッチング液と接触しないようにすることができる。2つの基板を分離したときに、覆われていた第2の基板のプロファイルは、エッチングプロセス中に覆われていた部分と、エッチングプロセス前の部分とにおいて略同じである。
【0006】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、以下の添付図面および説明に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
種々の図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【0008】
モノリシック構造および精密に形成された機構を有するマイクロメカニカルデバイスは、種々の手法を用いて形成することができる。機構の精密さにより、マイクロメカニカルデバイス内に含まれる各構造の所望の挙動をもたらし得る。種々のマイクロメカニカルデバイスは、下記に記載したものと同じ、または類似した手法を用いて形成することができる。
【0009】
図1を参照すると、複数のポスト構造120を備えたベース基板110のアセンブリが示されている。ポスト構造120およびベース基板110は、元素シリコン、酸化シリコン、または二酸化シリコンのような、シリコンを含む材料で形成される。いくつかの実装例では、ベース基板110およびポスト構造120は、純シリコン、すなわち結晶シリコンで形成される。ポスト構造120およびベース基板110は、ポスト構造120およびベース基板110を形成する材料とは異なる材料の層が、ポスト構造120とベース基板110との間にほとんどまたは全く存在しないように、同じ材料から形成することができ、また、互いに集積化することができる。別様には、アセンブリのシリコン部分の間に、酸化シリコンまたは二酸化シリコンの層を配置することができる。ポスト構造120は、固体とするか、または中空コアを有することができる。下記に詳述するように、構造の上から見たときに、ポスト構造を、円形、矩形のような事実上あらゆるジオメトリのものとするか、またはポストを、事実上あらゆる所望の断面形状を有するものとすることができる。
【0010】
個々の構造は、高さの関数として、略均一の断面寸法を有することができる。別様には、構造は、ベース基板110から離れた部分と比較して、ベース基板110に近い部分が異なる形状を有することができる(例えば、構造は、その上部よりも基部を広くすることができる)。構造は、略均一の高さを有することができる。
【0011】
図2および16を参照すると、ポスト構造を備えた基板は、下述するように形成される(方法300)。ベース基板110は、構造基板130に融着またはシリコン−シリコン結合される(ステップ310)。基板110、130は、例えば真空結合機を使用して、互いに結合することができる。任意選択で、基板がシリコン基板である場合は、結合する前に、基板からあらゆる酸化物層を剥離することができる。融着は、2つのシリコン表面間にVan der Waals結合を生じさせるものであり、平坦で、高度に研磨された清浄な2つのシリコン表面を、2つのシリコン層間に中間層を存在させずに結合するときに生じさせることができる。融着は、酸化物とシリコンとの間、または酸化物層間に生じさせることができる。融着させる2つの素子を調製するには、ベース基板110および構造基板130の両方を、RCA洗浄等によって洗浄する。疎水性基板処理のような他の方法を用いて、シリコン−シリコン結合する基板を調製することができる。ベース基板110および構造基板130上のあらゆる酸化物は、任意選択で、緩衝フッ化水素酸エッチング(BOE)によって除去することができる。ベース基板110および構造基板130は、次いで、互いに結合されて基材アセンブリ150を形成する。2つの基板は、下記に詳述するように、分離させることができるように互いに結合される。
【0012】
構造の位置が定められる(ステップ320)。ポジ型フォトレジストのようなフォトレジストは、酸化物層(図示せず)上等の、構造基板130の表面上へスピンコートすることができる。フォトレジストは、ソフトベークして、クロムマスクを介して露光させることができる。クロムマスクは、所望のポスト位置およびジオメトリの輪郭を有する。フォトレジストは、現像およびパターニングされて、ポスト構造の位置を定めたマスクを形成する。エッチングすべき領域は、ポスト構造をちょうど囲む領域とすることができる。除去すべき全ての領域、すなわちポスト構造を形成しない構造基板130の全ての部分を除去する必要はない。したがって、エッチングによって除去すべき領域は、所望のポスト構造周辺のドーナツ形状の領域とすることができ、ドーナツの内側は、ポスト構造の外側の断面形状を画定する。ドーナツの内側は必ずしも円形ではない点に留意されたい。除去すべき構造基板130の領域の幅は、構造基板130の残部からポスト構造120を分離するのに十分な幅があればよい。除去領域の幅を広くすることで、下述する基板の除去ことを容易にすることができる。各ポスト構造120周辺の除去領域を広くすることで、構造基板130がベース構造110から除去されているときに、構造基板130がポスト構造120を除去してしまう可能性を減じることができる。しかし、構造基板130の全てが、エッチングによって除去されるわけではない。
【0013】
ポストは、等方性または異方性エッチングを用いて形成することができる。エッチングされている結晶表面構造のタイプに基づいて、ポストまたは他の構造は、垂直壁、テーパのついた壁、または湾曲した壁を有することができる。例えば、<100>表面配向シリコン基板のエッチングは、テーパの付いた壁を備えた矩形の構造を形成することができる。<110>表面配向シリコン基板の等方性エッチングは、基板表面に対して垂直な壁を有する構造を形成することができる。
【0014】
図3を参照すると、構造基板130がエッチングされる(ステップ330)。酸化物基板またはシリコン基板上のあらゆる自生の酸化物層は、除去するか、または誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP RIE)によってエッチングすることができる。構造基板130がシリコンで形成されている場合は、あらゆる自生の酸化物層を除去した後に、シリコン層をエッチングする。シリコンプロセスエッチングの一例は、ディープ反応性イオンエッチング(DRIE)による等方性ドライエッチングであり、プラズマを用いてシリコンを選択的にエッチングして、略垂直な側壁を備えた機構を形成する。Boschプロセスとして知られている反応性イオンエッチング手法は、Laermor他の米国特許第5,501,893号に述べられており、参照することによりその内容全体が本願明細書に組み込まれる。ディープシリコン反応性イオンエッチング装置は、Surface Technology Systems社(Redwood City,CA,Alcatel,Piano,TexasまたはUnaxis,Switzerland)より入手可能であり、反応性イオンエッチングは、Innovative Micro Technology社(Santa Barbara、CA)を含む、エッチングベンダによって行うことができる。直径が略一定の深い機構を掘るその能力から、ディープ反応性イオンエッチングを用いる。エッチングは、プラズマおよびSF6およびC4F8のようなガスとともに真空チャンバ内で行われる。一実装例では、基板の背面が冷却される。基板内の欠陥は、エッチングプロセス中に発生する熱によって生じる場合がある。ヘリウムのような冷却剤を使用して、基板を冷却することができる。シリコン基板と冷却剤との間の金属層は、エッチングプロセスによって発生した熱を、効率的に冷却剤に伝えることができ、また、冷却剤が真空チャンバ内に漏れ出して真空を損なわないようにすることができる。
【0015】
構造基板130は、Bosch DRIEを使用してエッチングを行って、ポスト構造120を画定することができる。レジストは、基板120から剥離することができ、基材アセンブリ150は、ピラニア洗浄およびRCA洗浄することができる。
【0016】
図4を参照すると、基材アセンブリ150の上面図は、エッチング後に、構造基板130のポスト構造ではない部分140によって囲まれたポスト構造120を示す。各ポスト構造120の周囲の構造基板130が、エッチングによって除去されたベース基板110を確認することができる。
【0017】
構造基板130のポスト構造ではない部分140は、ベース基板110から除去される(ステップ340)。互いに融着させたが、アニールしていないシリコンまたは酸化シリコン基板は、2つの基板の間に分離部材を緩やかに押し込むことによって分離することができる。Van der Waals結合は、特に分離を十分ゆっくりと行えば、基板に損傷を与えずに十分に分離させ易いものである。
【0018】
図5および6を参照すると、米国仮特許出願第60/621,507号(2004年10月21日出願)に記載されているように、機械デバイス200は、ベース基板110から構造基板130を分離することができる。デバイス200は、上下に作動させることができる基板支持体210を含むことができる。1つ以上の分離ユニット230を使用して、基板を分離することができる。デバイスが2つ以上の分離ユニット230を含む場合、ユニットは、基板支持体210の周囲に等しい角度間隔で離間させることができる。分離ユニット230は、分離部材220(例、刃状の突起)を含むことができる。分離部材220は、分離部材220が2つの基板の間に圧力を印加したときに、分離部材220が2つの部分に分離させて、2つの基板の間に入ることができるように、十分に薄い縁部を有することができる。分離部材220は、2つの基板を分離させるのに十分な圧力を印加したときに破壊されない、十分に硬い材料で形成される。分離部材220は、略均一の厚さを有するか、または、より薄い縁部までテーパを付けることができる。一実装例では、分離部材220は、鋭利な前縁を有する金属製の薄い刃(例、カミソリの刃)で形成される。
【0019】
各分離ユニット230は、分離部材220を固定するための保持部材(例、クランプ)を含むことができる。分離ユニット230は、基板支持体210の表面に垂直な中心軸に対して、内方および外方へ独立して半径方向に作動させることができる。各分離ユニット230は、支持体レール240に沿って分離ユニットを駆動するモータ250によって作動させることができる。各分離ユニット230は、分離部材220によって印加された圧力を測定するセンサも収容することができる。各モータ250およびセンサは、コントローラ260(例、プログラムされたコンピュータ)に接続することができる。
【0020】
2つの基板110、130を分離するために、コントローラ260は、モータ250が分離ユニット230を内方へ移動させることを引き起こす。基材アセンブリは、一次表面280と、薄い側部270とを有する。分離ユニット230は、結合された基板の薄い側部270に垂直な方向に、かつ一次表面280に平行な方向に移動する。分離ユニット230は、印加された圧力が閾値を超えたことをセンサが検出するまで移動する。センサが閾値圧力を検出したときに、センサは、分離ユニット230の内方への移動を停止するように、モータ250に命令することができる。2つの基板110、130が互いに分離され始めると、分離ユニットによって印加された圧力が下がる。センサが、圧力が閾値圧力を下回ったことを検出したときに、コントローラ260は、閾値が再び検出されるまで、または分離ユニット230が最も遠くまで内方に移動されるまで、分離ユニット230を再び内方へ移動させるように、モータ250に命令することができる。複数の分離ユニット230を有するデバイスの場合、分離ユニット230は、順次に、または互いに一度に移動させることができる。分離は、ポスト構造120が損傷しないように、所定の位置で内方への移動を停止するようにプログラムすることができる。機構が基板の中央に設置されている場合、犠牲基板の周辺部の除去は、基板の分離に対して十分なものである。
【0021】
動作に際し、2つの結合された基板は、基板支持体210上に配置される。基板支持体210は、上昇した位置とすることができる。一実装例では、基板110、130は、分離プロセスの少なくとも一部の間、基板支持体210と接触しない。分離ユニット230は、基板の方へ移動される。分離部材220が、2つの基板110、130の間の界面と整列するまで、分離ユニット230を上向きまたは下向きに作動させるか、または基板支持体210を上向きまたは下向きに作動させることができる。分離ユニット230は、閾値圧力が検出されるまで内方へ移動される。検出された圧力が閾値圧力に等しくなるか、またはこれを超えたとき、分離ユニット230の内方への移動が停止される。基板が分離され始め、圧力が閾値以下に下がったときに、分離部材220は、圧力が閾値圧力に達するまで、再び内方へ付勢される。基板支持体210が分離ユニット230の内方への進行を妨げた場合、基板支持体210を下ろすことができる。分離ユニット230が、ポスト構造120のような、ベース基板110から分離すべきでない構造に達するまで、プロセスが継続される。分離ユニットは、ポストが位置すべき場所で停止するようにプログラムすることができる。代替的に、レバーのようなデバイス、またはカメラで、分離プロセスをいつ停止させるべきかを検出することができる。モニタに接続された赤外線カメラにより、基板110、130の結合領域の縁部を明らかにすることができる。赤外線カメラは、基板110、130の結合領域の縁部を明らかにする。オペレータまたはプログラムされたコンピュータは、カメラ画像からポストの位置を判断することができ、コントローラに分離プロセスを停止させることができる。
【0022】
図7を参照すると、ベース基板110から除去されている構造基板130の断面が示されており、基板の分離は、外縁部から始まり、基板の中央に向かって移動する。分離部材220の移動は、分離部材220がポスト120に達する前に停止される。図8を参照すると、いくつかの実装例では、ポスト間の領域内において、いかなる不要な構造基板130も、ベース基板110から物理的に分離する必要が無いように、エッチングこと(ステップ330)でポスト間から構造基板130の全てが除去される。一部の構造基板130は、縁部領域内に残すことができる。いくつかの実装例では、基板は、いかなるポストも分離部材220によって損傷を受けないように、少なくとも部分的に手で分離される。
【0023】
図9および10を参照すると、構造基板130の除去は、ベース基板110に残存するポスト構造120だけを残す。
【0024】
図11を参照すると、ベース基板110およびポスト構造120が、互いに結合およびアニールされて、恒久的に融着される(ステップ350)。アニール化は、約1050℃〜1100℃で行うことができる。融着の利点は、ベース基板110とポスト構造120との間に、いかなる付加層も形成されないことである。融着後、結合が完了したときに、2つの層の間にいかなる輪郭線も生じさせないように、2つの層を1つの一体層にさせる。したがって、ポスト構造120およびベース基板110がシリコンで形成されている場合は、結合されたアセンブリは、アセンブリ内部に実質的に酸化物層を含まないものとすることができる。
【0025】
図12を参照すると、第3の基板160は、ポスト構造120の露出端部に融着させることができる(ステップ360)。第3の基板160は、ポストの上面にアニールすることもできる。
【0026】
ポスト構造に加えて、上述の手法を用いて、他の構造を形成することができる。図13を参照すると、層のうちの1つ以上に設置されたポスト構造を備えた複数の層を形成することができる。図14を参照すると、円形のポストの代わりに、螺旋640、環420、多角形520、または湾曲形状620を形成することができる。図15を参照すると、上述の方法によって、迷路または他の複合多層構造のような、複雑な三次元構造を形成することができる。基板には、更なる処理を行うことができる。ポリシリコンまたは金属抵抗のようなヒータを、基板内に埋め込むことができる。センサまたは計測用の抵抗も、基板内に埋め込むことができる。
【0027】
上述の方法を用いて形成したポスト構造アセンブリは、液体等のためのフィルタとして使用することができる。ポスト構造の間隔およびジオメトリは、粘度、必要なフィルタリングレベル、フィルタを通過する流体の必要な流量、および他の因子のような、流体特性によって定めることができる。アセンブリは、光学用途に使用することができる。ポスト構造は、均一の高さを有する、すなわち、構造のそれぞれが、略同じ高さを有することができる。ポスト構造アセンブリは、半導体構造内に集積化することができる。更なる処理ことは、アセンブリが、半導体構造に適切なものとなるように、ポスト構造アセンブリを成形または追加することができる。
【0028】
ポスト構造の、またはウエハの表面から延在する他のタイプの構造の、上述の手法を用いた形成により、多数の機構のうちの1つを備えたデバイスを得ることができる。ベース構造はエッチングされていないので、ポスト構造がその上にある基部の厚さを均一にすることができる。さらに、ベース基板の表面は、ポスト構造間で非常に平坦なプロファイルにすることができる。基板内に機構をエッチングするときに、エッチングの底部は、制御が困難になる場合があり、平坦ではない表面が得られる場合がある。上述の方法によって、構造基板上のポスト間の領域の一部はエッチング液と接触しない。構造基板は、これらの領域がエッチングされないようにすることができる。したがって、ベース基板のこれらの領域は、エッチングプロセスの前後で略同じままとすることができる。
【0029】
基板を互いに一時的に結合し、基板のうちの1つを処理し、基板を分離させることにより、基板は、蒸着プロセスを用いて達成することが困難な複合多層構造の形成を可能にすることができる。蒸着プロセスでは、被着させるべき層の下に支持基板を存在させなければならない場合がある。支持基板が、層の間に挟まれている場合(最終的なデバイスに望まれる)は、支持基板を取り外せるようにしなければならない。一時的な層は、必ずしもデバイスの他の部分に悪影響を与えない様式で除去できるとは限らない。上述の本方法は、一時的な支持基板の必要性を排除することができる。さらに、他の材料の層をその中に埋め込まずに単一の材料で形成された、三次元モノリシック構造を形成することができる。例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の層を含む構造を、本願明細書に記載した手法を用いて形成することができる。互いに積層させた基板のうちの1つ以上を処理して、凹部、スルーホール、または構造を追加することができる。複数の層を有する基板の処理は、2つの異なる材料の界面において、またはその周辺でのアンダーカットのような、不適当な影響をもたらす場合がある。これらの方法は、これらの不適当な影響も排除することができる。
【0030】
本発明の複数の実施形態を説明した。それでもなお、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、種々の変形を行うことができるものと理解されよう。例えば、ベース基板は、構造基板に結合する前にエッチングすることができる。ベース基板のエッチングは、デバイスの複数の層間に通路を形成することができる。加えて、シリコン以外の材料を使用して構造を形成することができる。したがって、他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、基板およびポストのアセンブリの側断面図である。
【図2】図2は、2つ基板のアセンブリの側断面図である。
【図3】図3は、1つの基板がエッチングされたアセンブリの側断面図である。
【図4】図4は、基板のアセンブリの平面図である。
【図5】図5は、機械式結合基板分離デバイスの上面図である。
【図6】図6は、機械式結合基板分離デバイスの側断面図である。
【図7】図7は、2つの基板が分離されている断面図である。
【図8】図8は、エッチングされたアセンブリの平面図である。
【図9】図9は、エッチングされて分離されたアセンブリの平面図である。
【図10】図10および図11は、ポストを備えた基板のアセンブリの側断面図である。
【図11】図10および図11は、ポストを備えた基板のアセンブリの側断面図である。
【図12】図12および図13は、基板間のポストのアセンブリの側断面図である。
【図13】図12および図13は、基板間のポストのアセンブリの側断面図である。
【図14】図14は、基板および種々のポスト形状のアセンブリの上面図である。
【図15】図15は、内部層を備えた三次元構造の斜視図である。
【図16】図16は、構造の形成を記述したフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポスト構造アセンブリを形成する方法であって、
第1の基板を第2の基板に結合することであって、該結合することは、結合層を用いずに達成される、ことと、
該第2の基板をパターニングすることであって、該パターニングすることは、該第2の基板の材料の第1の部分、および該第2の基板の材料の第2の部分を残して、該第2の基板の第1の部分と第2の部分との間の材料を除去し、該第1の部分は、複数の構造を形成し、該第2の部分は、複数の開口部をその中に有する一体構造であるアセンブリを形成する、ことと、
該第2の基板の第2の部分を該第1の基板から分離することであって、該第2の部分は、該構造を含まない、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の基板を第2の基板に結合することは、シリコンを含む2つの基板を互いに結合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の基板は厚さを有し、前記第2の基板をパターニングすることは、該第2の基板の厚さを介して延在する1つ以上のスルーホールをパターニングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の基板をパターニングすることは、ディープ反応性イオンエッチングを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基板を前記第2の基板に結合することは、2つのシリコン基板を互いに結合することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記2つのシリコン基板を互いに結合することは、融着を形成することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基板および前記構造が恒久的に互いに結合されるように、前記アセンブリをアニールすることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記アセンブリをアニールすることは、前記構造と前記第1の基板との間に、実質的に酸化物を含まないアセンブリを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第3の基板を前記構造の上面に結合することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の基板を前記構造の上面にアニールすることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の基板を結合することは、1つ以上の開口部がその中に形成された基板を、前記構造の上面に結合することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第3の基板を結合することは、1つ以上の凹部がその中に形成された基板を、前記構造の上面に結合することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数のポストをパターニングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数の円形のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数の円錐形のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の構造をパターニングすることは、それぞれが多角形である複数のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の構造をパターニングすることは、少なくとも1つの湾曲した側部を備えた形状である断面を有する複数のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数の中空ポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項1】
ポスト構造アセンブリを形成する方法であって、
第1の基板を第2の基板に結合することであって、該結合することは、結合層を用いずに達成される、ことと、
該第2の基板をパターニングすることであって、該パターニングすることは、該第2の基板の材料の第1の部分、および該第2の基板の材料の第2の部分を残して、該第2の基板の第1の部分と第2の部分との間の材料を除去し、該第1の部分は、複数の構造を形成し、該第2の部分は、複数の開口部をその中に有する一体構造であるアセンブリを形成する、ことと、
該第2の基板の第2の部分を該第1の基板から分離することであって、該第2の部分は、該構造を含まない、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の基板を第2の基板に結合することは、シリコンを含む2つの基板を互いに結合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の基板は厚さを有し、前記第2の基板をパターニングすることは、該第2の基板の厚さを介して延在する1つ以上のスルーホールをパターニングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の基板をパターニングすることは、ディープ反応性イオンエッチングを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基板を前記第2の基板に結合することは、2つのシリコン基板を互いに結合することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記2つのシリコン基板を互いに結合することは、融着を形成することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基板および前記構造が恒久的に互いに結合されるように、前記アセンブリをアニールすることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記アセンブリをアニールすることは、前記構造と前記第1の基板との間に、実質的に酸化物を含まないアセンブリを形成する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第3の基板を前記構造の上面に結合することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の基板を前記構造の上面にアニールすることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の基板を結合することは、1つ以上の開口部がその中に形成された基板を、前記構造の上面に結合することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第3の基板を結合することは、1つ以上の凹部がその中に形成された基板を、前記構造の上面に結合することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数のポストをパターニングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数の円形のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数の円錐形のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の構造をパターニングすることは、それぞれが多角形である複数のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の構造をパターニングすることは、少なくとも1つの湾曲した側部を備えた形状である断面を有する複数のポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の構造をパターニングすることは、複数の中空ポストをパターニングすることを含む、請求項13に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2009−537340(P2009−537340A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511214(P2009−511214)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/068990
【国際公開番号】WO2007/134330
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(502122794)フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド (73)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/068990
【国際公開番号】WO2007/134330
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(502122794)フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド (73)
【Fターム(参考)】
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