複数画像表示方法
【課題】 同一照度の環境下で使用でき、1つの画面で複数の画像を切り替えられる簡易でコストの安い複数画像表示方法と装置を提供する。
【解決手段】 複数画像表示装置は、第1の画像(表画像)が形成された多数透視基材4と、その後側に配置された、第2の画像(裏画像)が形成された透光材3と、その後側に配置された、点滅可能な光源2と、又は光の通過量を制御できる光源2、を備える。該透光材に光が当たらない時には透視基材4の表画像が表示され、該透光材に光が当たった時には透光材3の裏画像が表示され、両画像が動画的に表示される。
【解決手段】 複数画像表示装置は、第1の画像(表画像)が形成された多数透視基材4と、その後側に配置された、第2の画像(裏画像)が形成された透光材3と、その後側に配置された、点滅可能な光源2と、又は光の通過量を制御できる光源2、を備える。該透光材に光が当たらない時には透視基材4の表画像が表示され、該透光材に光が当たった時には透光材3の裏画像が表示され、両画像が動画的に表示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の点灯・消灯あるいは遮蔽・解放と調光による関連複数画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駅やショッピングセンターの通路などに、背面から光を照射して透光材に描かれた1枚の画像を透過光によって表示する電飾看板が広く普及している。光源としては、蛍光灯、LEDランプ、ELシートなどが一般的である。
【0003】
又、容易に表示画像の変更ができる画像スクロールユニットが、特許文献1に提案されている。このように、複数の画像を並べた透光材、あるいは切れ目の無いエンドレス模様を形成した透光材をスクロールさせてゆく背面に光源を持った装置も公知である。
【0004】
又、見る角度によって違う画像が見えるレンティキュラーレンズを配置したシートも公知である。カマボコ型の微細なレンズが並んでいるのがレンティキュラーレンズで、これを横に配置したシートを用いれば左右の眼は同時に同じ画像を見ることになり切り替え画像やアニメーションの効果が得られ、縦に配置したシートを用いれば立体画像が鑑賞できる。さらには、モーフィング合成用のソフトウェアを使ってコマの画像データを作れば、一つの画像が異なるものに変化していくモーフィング表現もできる。
【0005】
一方、本発明者は、光源の点灯・消灯によって、又は光の遮蔽・解放によって、1つの面に2種類以上の画像を表示する複数画像表示方法及び装置を特許申請(特許文献2)している。光源からの光の有無によって、透光材上に形成した裏画像と、遮光性のある多数穴あるいはスリット材上に形成した表画像の複数画像を切り替え、動きや驚き、楽しさなどを表現させる方法である。表画像を形成したワンウェイビジョン素材のような遮光性多孔基材を光源の上に設置すると、光源からの光が当たらない時には表画像が見え、光が当たった時には、後側から多数穴又は透明縞を通して光が出てくるので、表側は影となり、視覚には暗色としか認識されない。光源と遮光性多孔基材との間に、光を十分透過させ得る透光性基材に形成した画像を挟むと、光が当たった時には遮光性多孔基材の穴を通してこの電飾画像が見える。画像に関連性を待たせ、光の遮蔽・解放を繰り返せば、視覚に異なった画像を連続的に投影し、動きを与える原理である。
【0006】
又、本発明者は、光源の点灯・消灯によって、又は光の遮蔽・解放によって、1つの面に2種類の画像を表示する前記複数画像表示方法及び装置に用いられる画像シートを特許申請(特許文献3)している。半透明又は透明基材の表面に、遮光暗色層、白色層、画像層の3層からなる表画像を開口率25%〜70%で形成し、半透明あるいは透明基材裏側に反転裏画像を形成した画像シートであり、画像を遮光性多孔基材と透光材上に形成して素材を二枚用意するのでなく、光源からの光の有無によって2枚の画像が1つの面で切り替わる効果を、1枚の素材上に二つの画像を形成して可能にしたものである。
【特許文献1】 特許公開2003−114628号
【特許文献2】 特許出願2007−94402号、341651号 国際出願PCT/JP2008/053610号
【特許文献3】 特許出願2008−106204号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の各種従来技術は次のような欠点がある。従来の電飾看板は、画像を美しく表示できるが、1枚の静止画を掲示するもので、画像が切り替わることで注目を集めるような効果を発揮することはできない。
画像スクロールユニットを持つ表示装置は、透光材上の画像を移動可能で注目度は比較的高いが、順次画像を見せるという以上の内容を表現することはできない。
又、レンティキュラーレンズによる手法は画像を切り替えて見せることはできるが、レンティキュラーレンズシートが表示ユニット毎に必要であり、複数の画像を線状に切り取って合成する複雑な作業を必要とし、複数の画像を見るためには、レンティキュラーレンズシートを動かすか、視認者が移動しなければならないなどの制約が付く。
本発明者が特許申請(特許文献2及び3)している複数画像表示方法及び装置は、光源からの光の有無によって、後側の画像を表側画像に換えて表示したり隠したりできるので驚きや楽しさを演出できるが、変化させられる内容量や種類は限定される。残像によって視覚に得られる動作も、スムーズでなく無くコマ落ちのような動作しかさせられなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、二つの異なる素材上の画像が1つの面で切り替わることで、驚きや楽しさを演出させると同時に、異なる素材上の画像が完全に切り替わるのでなく干渉して見える画像表現、干渉度合いの変化を無段階的又は段階的にして画像を別の画像に滑らかに変化させるモーフィングのような表現、スクロールしての切り替え可能画像数の増加、背景の滑らかな変化などを可能にする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は前記目的を達成するために、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットの後方に、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像(表画像)を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートの後方に、点滅可能な光源、又は光の通過量を制御できる光源を配置し、該透光材に光が当たらない時に前記表画像を表示し、該透光材に最高量の光が当たった時に前記裏画像を表示し、該透光材に中間量の光が当たった時に前記表画像と裏画像の干渉画像を表示し、光量を制御して両画像を動画的に表示する複数画像表示方法である。
【0010】
請求項1に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、点滅可能な光源、又は光の通過量を制御できる光源の上側にあるいは前方に、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを設置すると、あるいは透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像(表画像)を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートを設置すると、透光材に光が当たらない時又は表側の画像が見える。
透光材に最高量の光が当たった時には、後側から多数穴又は透明縞を通して光が出てくるので、表側は影となり、視覚には暗色としか認識されない。丁度、暗い室内から明るい屋外を透視した状況と同じになる。光源と透視基材との間に、光を十分透過させ得る透光材に形成した画像を挟むと、光源点灯時には透視基材の多数穴あるいは透明縞を通してこの画像が見える。
光源を点滅、又は光の遮断・開放させる度に、瞬時に視覚に異なった画像を投影させることができる。
透光材に当たる光量を落としておくと、後側から多数穴又は透明縞を通して出てくる光が弱くなるので、切り替えは不完全になる。表画像を完全に消すのでなく、裏画像と干渉して見せることができる。色の場合は、表画像が黄色、裏画像が青色であれば、緑色の表現ができる。
【0011】
透視基材とは、丸穴などの多数の孔が開いたものだけでなく多数のスリット(縞)が形成されたものを含む。なお、基材の孔やスリットとは、貫通しているものの他に、透明な基材に、多数の円形部やスリット部が透明部として残るように印刷したものも含む。また、透光材とは、透明又は半透明の基材である。半透明の基材には、乳白色半透明基材、白色コート透明基材がある。透視できる孔開き基材、透光材及び光源は、接して(重ねて)配置してもよいし、間を開けて配置してもよい。
さらに、透視基材と透光材は、平面状に限らず、円周面状や円錐面状などに設置してもよい。
また、光源は、点光源、線光源又は面光源のいずれであってもよい。光源の点滅間隔は、表画像と裏画像とが連続して動画的に見える範囲で選択する。一般的には0.25秒〜10秒程度が好ましい。ただし、光源の点灯時間と非点灯時間とは同じである必要はなく、点滅間隔は不規則であってもよい。調光した光源の明るさは、求める干渉度合いによって設定する。干渉度合いを少なくするには、明るさを極端に増すが、逆に極端に減らせば良い。光源の調光は、白熱球なら電圧調節によって、蛍光灯ならインバータトランスを使って、ELシートやLEDランプならソフトウェアPWMなどの一般的手法が採用できる。光源の輝度をそのままに通過量を制御する(調光)なら、通過量制御装置の開き方を加減すればよい。
【0012】
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の複数画像表示方法において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の裏側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、透光材として半透明基材を用いて、第2の画像(裏画像)を半透明基材の裏面に形成したことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0013】
請求項2に係る本発明による作用は次の通りである。2枚の画像シートセットを用いる場合では、第2の画像(裏画像)は透光材の表裏どちらに形成してもよいが、透光材として半透明な基材を採用し、第2の画像(裏画像)をこの半透明基材の裏面に形成すれば視認者側からは画像が見えにくくなり、光が当たらない時に第1の画像(表画像)をより鮮明に視認させられ好ましい。なお、透光材の裏面に形成される第2の画像(裏画像)は、正像でなく、常に反転ミラー画像とし、視認者側から正像に見えるように形成する。
【0014】
請求項3に係る本発明は、請求項1又は2に記載の複数画像表示方法において、光源の調光工程、又は光の通過量の制御工程において、輝度、又は通過光量を連続的にあるいは段階的に変化させることで、前記表画像と前記裏画像の干渉度合いを連続的にあるいは段階的に変化させることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0015】
請求項3に係る本発明による作用は次の通りである。光源の中間輝度設定後の点灯なら表示されていた表画像は瞬時に設定干渉画像に変化するが、点灯時に輝度を連続的にあるいは段階的に変化させれば、画像の干渉度合いを徐々に大きくしたり小さくしたりできる。
【0016】
請求項4に係る本発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、光源を点滅させる代わりに、継続点灯する光源から発せられる光の通過量を制御することによって表示画像を変化させる手段として、前記透光材と光源の間に設置する複数小片に分割された開閉式遮蔽材から成るシャッター装置を採用したことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0017】
請求項4に係る本発明による作用は次の通りである。継続点灯する光源から発せられる光の繰り返し遮蔽・開放装置として複数小片から成るシャッター装置を採用することで、画像全体を覆う大型シャッターを移動するような装置に比較し、画像の高速切り替えを可能にする。また、点滅ができない蓄光材のような光源、さらには点滅反応の遅い、あるいは点滅による寿命短縮も著しい蛍光灯などにまで光源の選択幅を広げることができる。さらには、シャッターの開き方を加減すれば、光源の明るさを変えずに透光材に当たる光量を増減でき、これを調光手段とすれば、電気的調光装置を省略できる。なお、シャッター装置は前記透光材と光源の間で、開いた複数小片の影が画像に当たらない程度まで十分画像から離れた位置に設置する。
【0018】
前記複数小片の開閉式遮蔽材は、遮光性ある多列スリット入りの多孔材を複数枚重ねて光源の前に配置したものでもよい。スリットの重なり具合をスライド移動させて調整すれば、透光材に当る光量を増減できる。シャッターを2枚の多孔材で構成する例なら、多孔材のスリット(光の通過口)幅は50%以下にする。スリット幅が4mm、遮光部幅6mmの場合は、二枚のスリット部を完全に重ねれば、4mm幅のスリットから光が通過し、スリット部中央と遮光部中央を合わせれば遮光部幅の方が広いので光は完全に遮蔽される。この二つの位置の中間なら、中間の光量が透過する。重ねる多孔材の数を増やして1枚当たりの必要遮光幅を狭めて行けば、スリットからの透過光量は増大できる。例えば3枚なら、多孔材のスリット幅は60%にできる。スリット幅が6mm、遮光部幅4mmの場合は、3枚のスリット部を完全に重ねれば、6mm幅のスリットから光が通過し、遮光部4mmをつなぎ合わせれば12mmになるので、遮光部幅の方がスリットピッチ10mmより広いので光を完全に遮蔽できる。
【0019】
請求項5に係る本発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、光源からの光が前記裏画像に当たる時にも表示し続けたい前記表画像の中の部分画像がある場合に、2枚の画像シートセットを用いる方法では、該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像又は前記裏画像の表面又は裏面に貼り付けるか、あるいは該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある暗色素材を表画像裏面又は裏画像の表面又は裏面に貼り付けたことを特徴とし、1枚の画像シートを用いる方法では、該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像の上側(透光材の表側)に貼り付けるか、あるいは、該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある素材を、裏画像の上側(透光材の裏側)に貼り付けるか、あるいは、表画像の該部分画像だけを開口部の無い完全画像に形成するか、あるいは、表画像の該部分画像の領域だけ開口部を遮光暗色層で埋めるか、あるいは、裏画像の該部分画像だけを暗色べた画像に形成することを特徴とする複数画像表示方法である。
【0020】
請求項5に係る本発明による作用は、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも、前記部分画像を、半透明な電飾画像としてでなく不透明素材の上の画像として視認させることである。すなわち、2枚の画像シートセットを用いる方法では、透視部の無い遮光素材に、透視基材上の部分画像と同一画像を印刷して切り取り、その表面かその裏面に貼り付けて遮光する。表面に貼る時には部分画像裏側が、裏面に貼る時には部分画像表側が接着面になる。これにより、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも、透視基材上の部分画像を表示し続けることができる。画像でなく、同一形状で同一サイズの暗色切り取り遮光素材を透視基材裏面、又は透光材表面か裏面に貼り付けても同様な作用が得られる。また、透光性基材上の部分画像をべたに塗りつぶしてもよい。
1枚の画像シートを用いる方法では、透視部の無い遮光素材に、前記部分画像の孔の無い完全画像を印刷して切り取って表画像の上に貼り付けるか、あるいは、前記部分画像だけを完全部分画像に形成して遮光する。これにより、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも、前記部分画像を表示し続けることができる。画像でなく、同一形状で同一サイズの切り取り遮光素材を、裏画像の上に貼り付けるか、あるいは部分画像の領域だけ前記表画像開口部を遮光暗色層で埋めることでも同様な作用が得られる。
光の明るさを落として干渉画像を表示する時には、前記部分画像だけは完全な画像として見せることができる。
【0021】
請求項6に係る本発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0022】
請求項6に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、裏画像を形成した前記透光材を光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材上に形成した画像を順次見せることができる。スクロール装置としては、透光材フィルム両端に配置する二組のローラをコントローラでモーター制御するなどの例が挙げられる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。これらの動きに対して、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を用意すれば、静止している表部分画像が裏背景画像に対して移動しているように見せることも可能になる。スクロール開始前、停止後、又はスクロール途中で光源を消灯又は光を遮蔽すれば裏画像が消えて表画像が現われたり、光の強さを変化させれば画像の干渉程度が変化するので、表現幅が広がる。
画像が平面でなく、例えば円筒状に形成されている場合は、透光材フィルム両端に配置したローラで巻き取るのでなく、円筒状に繋いで回転させてもよい。
【0023】
請求項7に係る本発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0024】
請求項7に係る本発明による作用は次の通りである。
すなわち、光源点灯中又は光の開放中に、透光材全面に光を当てるのでなく部分的に当て、その光をスクロールすることで、表画像に現われる透光材上の部分画像が流れるように変化する。さらに、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を用意すれば、静止している表部分画像が、流れるように変化する裏背景画像に対して反対方向へ移動しているように見せることが可能になる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。部分的に当てる光の強さは、部分全体で均一でなく場所によって異なる分布にしても良い。スクロール開始前、停止後、又はスクロール途中で光源を消灯又は光を遮蔽すれば裏部分画像が消えて表画像が現われるので、表現幅が広がる。
【0025】
請求項8に係る本発明は、請求項7に記載の複数画像表示方法において、前記透光材に当たる光源の部分光のスクロールを、前記透光材と光源、又は前記透視基材と透光材の間に置いた開口部を持つ部分遮光素材のスクロールによって行うことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0026】
請求項8に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、
光を部分的に前記透光材に当て部分光のスクロールを行う手法は、光源としてLEDランプを透光材の真下に並べ、プログラム制御でランプを順次選んで点灯・消灯・調光させる手法でも良い。この手法は自由度は高いが、コストは高くなる。これに代え、前記透光材と光源、又は前記透視基材と透光材の間に、開口部を持つ部分遮光素材を配置してスクロールさせれば、プログラム制御無しに、光が当った透光材画像の見える部分を流れるように移動させられる。すなわち、低コストで同様な効果が得られる。又、部分遮光素材の遮光度合いを全面均一でなく場所によって変化させれば、透光材上の画像だけでなく、表画像との干渉画像を含んだ画像の流れも作り出せる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。配置した部分遮光素材の一部に画像部全面を照射できる光の完全開放面を設けておけば、その場所で停止させることで、透光材上の裏画像を完全に見せることもできる。複数基材のスクロールができる装置では、透光材をスクロールさせ画像全体を順次見せる時は、この場所を選んで置く。
【0027】
請求項9に係る本発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、第1の画像(表画像)を形成した透視基材と、第2の画像(裏画像)を形成した透光材をその後側に配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0028】
請求項9に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、表画像を形成した前記透視基材を、光源消灯中又は光の遮蔽中にスクロールすることで、透視基材上に形成した画像を順次見せることができる。さらに、光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材に形成した裏画像を背景として、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を移動させることができる。スクロール装置としては、透視基材フィルム両端に配置する二組のローラをコントローラを用いてモーター制御するなどの例が挙げられる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。スクロール開始前、停止後、又はスクロール途中で光源を消灯又は光を遮蔽すれば裏画像が消えて表画像が現われたり、光の強さを変化させれば画像の干渉程度が変化するので、表現幅が広がる。透視基材だけで無く、透光材や部分光を組合わせてスクロールすれば、表現幅はさらに広がる。
【0029】
請求項10に係る本発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、前記透視基材と前記透光材との間に、画像の無い半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)を挿入することを特徴とする複数画像表示方法である。
【0030】
請求項10に係る本発明による作用は、光源非点灯時あるいは光の遮蔽時に、透光材上の画像が、多数穴あるいは縞状透視部から見えて、透視基材上の画像と干渉して見苦しい場合がある。このような場合に、画像を形成した透光材と透視基材の間に、画像の無いメッシュ基材あるいは画像の無い半透明基材を挿入することで、透光材上の画像を見えにくくして、上あるいは前に配置された透視基材上の画像をより鮮明に見えるようにする。
【0031】
請求項11に係る本発明は、請求項10記載の複数画像表示方法において、前記画像の無い半透明フィルターが、透明度を落とすための網模様、点模様、あるいは線模様を形成した透明フィルムであることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0032】
請求項11に係る本発明による作用は、完全に不透明なメッシュ基材と同じ遮光性能を有するような、網模様、点模様、あるいは線模様をインク膜厚の薄い印刷のような手法で形成するのは困難である。しかしながら、印刷インクで網模様を形成すれば、透光材上の画像を非点灯時にあるいは光の遮蔽時に見え難くするという効果は得られる
【0033】
この請求項11に係る本発明において、画像の無いメッシュ基材あるいは画像の無い半透明基材挿入を上回る利点の1つは、網模様、点模様、あるいは線模様の濃度あるいは密集度を変えられることである。メッシュ基材や半透明基材は、部分的に挿入すると、それらがある所と無い所の境界で基材端面が認識され易い。一方、印刷インクで形成する網模様、点模様、あるいは線模様なら、0%か100%かの有か無でなく、50%とかの中間濃度も容易に表現できる。さらに、グラデーション表現を採れば、濃度差境界線は視認できなくなる。
【0034】
利点の2つ目は、画像の中の色彩、濃度、形状に応じて、網模様、点模様、あるいは線模様の形状と濃度を変えられることである。透光材上の画像をより見え難くしたい部分は、模様の濃度を高めれば良い。色彩も変えた方が透光材上の画像をより見え難くする効果がある場合は、模様の色も変更できる。
【0035】
請求項12に係る本発明は、請求項10又は11に記載の複数画像表示方法において、前記透明度を落とすために形成した模様が、金属光沢を有する及び/又は無彩色であることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0036】
請求項12に係る本発明による作用は、画像の無いメッシュ材あるいは半透光材、あるいは、透視度を落とすための各種模様は、彩度のある色であってもよいが、それらが複数画像の色相を変化させる。これに対して、これらを無彩色とすることにより、明度が下がるだけで色相は変化しない。さらに、金属光沢のある色とすることにより、画像の無いメッシュ材あるいは半透光材、あるいは、透視度を落とすための各種模様が反射して、透光材上の画像をより見えにくくすることができる。網模様、点模様、あるいは線模様は、転写箔、又は、エッチング金属膜で形成できる。
【0037】
請求項13に係る本発明は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、前記透視基材の表側に、画像の無いメッシュ材又は半透光材を配置し、周囲照度が高い場所でも、前記光源点灯時に、又は光源の光を開放時に前記第2の画像(裏画像)を明瞭に見せることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0038】
請求項13に係る本発明による作用は、透視基材上画像の上あるいは前方にメッシュ材あるいは半透光材を配置することで、光が当たっても周囲照度が高い場所では見え難い透光材上の画像を、より明瞭に視認せることができる。メッシュ材あるいは半透光材の配置によって透視性基材の画像に影が当たったようになり、透光材の画像の認識が容易になるからである。一方で、光源非点灯時あるいは光源からの光を遮蔽している時に、透視基材上の画像はわずかに見え難くなるが、可視光透過率が40%以上の範囲でメッシュ基材あるいは半透明基材を選べば全体として認識に問題無い範囲を得られる。なお、画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材は、無彩色であることが好ましい
【0039】
請求項14に係る本発明は、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、その後方に配置された光源とを備える複数画像表示装置であって、前記光源が点滅と調光可能であり、前記光源非点灯時には前記表画像が表示され、前記光源最高輝度点灯時には前記裏画像が表示され、中間輝度での点灯時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0040】
請求項14に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、画像を形成した透光性基材と多数穴あるいは縞状透視基材の2枚の画像シートセットを、又は二種類の画像を形成した1枚の透光性基材を光源の上側に、あるいは外側に重ねて収納して、光源を点滅させるか、継続点灯する光源の光を繰り返し遮蔽と開放することで複数画像を素早く切り換えられ、両画像が動画的に表示される。又、明るさを調整することで両画像の干渉画像を見せたりする表示装置を提供する。
【0041】
請求項15に係る本発明は、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、その後側に配置された光源と、前記光源の前方に配置された開閉式遮蔽材と、を備え、該遮蔽材閉時には前記表画像を表示し、該遮蔽材開時には前記裏画像を表示し、該遮蔽材中間解放時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0042】
請求項15に係る本発明による作用は、継続点灯する光源を用いた装置でも、前記透光材と前記光源との間に配置された開閉式遮蔽材を備え、該遮蔽材閉時には前記表画像を表示し、該遮蔽材開時には前記裏画像を表示させることを特徴とする。
【0043】
請求項16に係る本発明は、請求項14又は15に記載の複数画像表示装置において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0044】
請求項16に係る本発明による作用は、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、前記透光材を光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材上に形成した画像を表画像の背景として順次見せることができる。また、市販の画像シートを回転するディスプレイ器具を活用して本装置を構築することも可能とする。
【0045】
請求項17の発明によれば、請求項14〜16のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0046】
請求項17に係る本発明による作用は、請求項15〜17にのいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロールすることで、透光材をスクロールしなくても背景に移動感を与えることができる。
【0047】
請求項18の発明によれば、請求項14〜17のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0048】
請求項18に係る本発明による作用は、請求項14〜17のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透視基材をスクロールすることで、透視基材上の表画像を順次見せたり、光が当たっても視認できる部分表画像を背景裏画像に対して、移動させることができる。
【発明の効果】
【0049】
請求項1〜3の発明によれば、光学的な処理(光源の点灯と消灯動作、又は光源からの光の遮蔽と解放操作、および光量調整)だけで、頻繁な2種類の画像の高速で切り替えと一つの画像が異なるものに変化していくモーフィング表現のような干渉画像を表示できるので、注目度の高い装置を提供できる。高価な機械的駆動装置を省略でき、1枚の大型画像を移動させる従来の装置に比べて、薄く軽くコンパクトになる。各部材は安価になる。画像が描かれた透光材や透視基材を脱着する交換作業も簡略化・短時間化できる。モーフィング表現でも、レンティキュラーシステムにおける画像切り替えのために必要な特殊レンズシートや、あるいは視認者が動かない場合に必要になる画像駆動装置も不要である。さらには、光源としてELフィルムなど薄い面状発光体を採用すれば、3個又は2個の部材を重ねても厚みが非常に薄くなると同時に耐荷重性も高くなる。このため、床広告用保護敷物として使用すれば、高い注目度を集めることができる。また、これらの部材は湾曲可能であるため、円柱側面、車両外装面、窓ガラス面にも設置できることは言うまでも無い。また、収納物(枠)に入れずに3種の部材を敷いたり、吊り下げての使用も可能である。
【0050】
請求項4の発明によれば、開閉式遮蔽部材を備え、これにより光源からの光の照射と遮蔽とを行うので、光源として蛍光灯を採用できるという利点がある。したがって、既に市場に多く設置されている既存の蛍光灯光源式電飾盤に、本発明を適用できることができる。また、光源として点滅できない蓄光材のような光源も使用できる。
【0051】
請求項5の発明によれば、光源からの光が透光材に当たった時にも表示し続けたい透視基材上の部分画像を遮光性を有する基材に描き、これを透視基材(孔開き材、スリット材)又は透光材(透光材)に貼り付けるなどにより、部分画像が、多数穴や縞状透視部から出てくる光の影響を受けにくくしたので、以下の効果が得られる。透視基材上に描かれた画像は、光が透光材に当たった時には、多数穴や縞状透視部から出てくる光の影響で、見えにくくなる。もしくは、薄く見える。しかし、透視基材上に描かれた画像の一部を、遮光性を有する基材に描き、これを透視基材に貼り付ければ、光源点灯時にも見ることができる。これにより、設置場所周囲の光によって得られる部分画像の深い陰影の落ち着いた見え方が維持され、透光材上の電飾画像を背景にした濃度領域の広い全体画像表現が得られる。電飾画像を背景にした部分画像は、見る者に遠近感も与えることができる。また、透光材に当たる光の明るさを落とせば、干渉画像の中で部分画像部のみ完全画像としてみることができる。部分画像部は、穿孔した特殊な素材でなく、市販の安価な印刷用基材に形成できる。
【0052】
請求6の発明によれば、前記裏画像を形成した前記透光材をスクロール可能としたことで、本発明の複数画像表示方法の表現幅が広がり、多彩な内容、物語性を提供できる。すなわち、裏画像を形成した前記透光材を光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材に形成した画像を順次見せるだけでなく、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を配置すれば、スクロール画像をその背景とした表現が可能になる。例えば、車窓から風景が見える画像例で言えば、車窓と人物を部分画像として常に固定して見え続ける画像とし、窓から見える風景画像をスクロールすれば、電車に乗っているような感覚を提供できる。風景を止めれば電車が停止し、光の強さを弱めれば透視基材上の車窓部分の画像と透光材上の停止画像との干渉画像が見える。ここで、光源の消灯又は光を遮断すれば、透視基材上の車窓部分の完全画像が見える。これを駅構内の画像とすれば、電車が駅で停車しているように見せることができる。一方、透視基材上の車窓部分を暗い色合いに形成しておけば、最高照度で昼の風景画像をスクロールすれば、昼の風景の移動となるが、光の強さを少し落としてスクロールすれば夕方の風景の移動、さらに光の強さを落とせば夜の風景の移動表現ができる。
他の例で、ジェット機が飛行する例を挙げる。光が背後から当たった状態で、背景である上空から見た地上画像を透光材上に形成してスクロールすれば、透視基材上の部分画像として配置されたジェット機は、スクロール方向と逆方向へ移動しているように見える。又、繰り返される斜め線模様を形成してスクロールした時にスクロール方向と直角方向へ画像が流れているように見える例が、床屋のシンボル・回転サインポールなどに見られる。同様な斜め線模様を背景としてジェット機画像を表画像に残せば、ジェット機がスクロール方向と直角方向へ移動しているように見える。
【0053】
請求項7の発明によれば、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことで、本発明の複数画像表示方法の表現幅が広がり、動きに多様性を与えることができる。すなわち、前記透光材に光源からの光が部分的に当たるようにして、その部分光をスクロールすることで、透光材に形成した画像を流れるように次々に見せるだけでなく、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を透視基材上の表画像に配置することで、部分画像を部分光スクロール方向と逆方向へ移動しているように見せられる。
【0054】
請求項8の発明によれば、前記透光材に当たる部分光のスクロールを前記透光材と光源の間に置いた遮光素材のスクロールによって行うことで、光源をプログラムコントロールする手法と比較し大幅なコストダウンができる。光源のプログラムコントロールほどの自由度は無いが、部分光の形を変えるには遮光素材の光の透過口の形を変えれば済む。遮光素材の光の透過口は穴を開けるか、透明素材で形成する。遮光部に多数の穴又はスリットを設けて、光源の調光と同様な効果を出すことも可能である。
【0055】
請求項9の発明によれば、前記裏画像を形成した前記透視基材をスクロール可能としたことで、本発明の複数画像表示方法の表現幅が広がり、多彩な内容、物語性を提供できる。すなわち、前記透視基材に形成した表画像を順次見せるだけでなく、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を配置して、光源点灯中又は光の開放中に透視基材をスクロールすれば、裏画像を背景としての部分画像移動が可能になる。例えば、車窓から風景が見える画像例で言えば、車窓と人物を移動する部分画像として、窓から見える風景画像が固定画像になる。電車が通り過ぎるような感覚を提供できる。これを1種類の物語表現とすると、部分表画像と風景裏画像を交互にスクロールと停止をさせれば、移動感を与える物語種類を増やすことができる。光の強さを弱めての干渉画像表現、光源の消灯又は光の遮断による画像変化幅などは請求項7に記した発明の効果と同様である。
【0056】
部分光スクロールとの組み合わせ例も挙げる。表画像である車窓から見える風景を夜景として暗くする。光源の前に挿入するスクロール可能な前記部分遮光素材の完全開放面を選んで光を通過させれば、前記透光材の裏画像を背景とした車窓(表部分画像)が見える。透光材裏画像を青空の景色とすれば、昼の電車移動感を与えられる。次に、前記透光材の裏画像スクロールを継続し、雷模様を形成した前記部分遮光素材はやや遅めにスクロールさせながら光源の点灯と消灯を繰り返せば、雷の落ちる夜景の中を電車が移動しているように見せられる。
【0058】
請求項10の発明によれば、透視基材と透光材との間に、画像が描かれていない半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)を挿入したので、以下の効果が得られる。すなわち、上下の基材間に挿入された画像の無い半透明フィルターが、下側画像の見え方を制限し、2つの画像の干渉を弱める。そのため、ワンセットの画像の色彩や濃淡組み合わせの自由度が広がり、複数画像の設置場所の制約が小さくなる。また、透視部材の透視部の開口率の大きい透視基材を使用できるようになる。例えば、開口率が50%では第2画像が見えやすいので、開口率を40%程度とする必要がある。しかし、このような基材を挿入することにより、開口率が50%でも使用可能となる。
【0059】
請求項11の発明によれば、透明フィルムに、透視度を落として、上下2つの画像の干渉を弱める働きをする模様を描いたので、下側画像の見え方を場所毎の部分画像に応じたレベルで制限できる。さらに、密度の異なる模様が接する部分の境目を目立たなくでき、ワンセットの画像の色彩や濃淡組み合わせ自由度がさらに広がる。さらに、透明又は半透明基材に模様を描けば、安く取り扱いの簡単な基材が得られる。
【0060】
請求項12の発明によれば、画像のないメッシュ基材、半透光材又は透明フィルムに描かれた模様が金属光沢を持つこととしたので、第2画像をより見え難くすることができる。
【0061】
請求項13の発明によれば、透視基材の表側に、画像のないメッシュ基材又は半透光材を配置したので、透視基材の画像に影が当たったようになり、透光材の画像をより見えやすくできる。このため、周囲照度が高い場所に設置しても、光源点灯時の透光材上の画像を明瞭に見せることができる。これにより、本発明の複数画像表示物の設置可能環境範囲を広げることができる。又、昼間のような照度の高い時間帯にも使用できることになる。
【0062】
請求項14の発明によれば、表画像と裏画像を形成した透光材を、または表画像を形成した透視基材と裏画像を形成した透光材の2枚の画像シートセットを、光源に重ねて一体に収納することでコンパクト化される、持ち運びが容易になる。画像の位置関係も維持される。また、光源の点滅回路と、明るさを調節できる調光装置だけで、様々な画像切り替えのできる装置は低価格で有用である。
【0063】
請求項15の発明によれば、継続点灯する光源であっても、該光源の前方に開閉式遮蔽材を配置することで、本発明の複数画像表現が既存の電飾ディスプレイで実現できる。光源の点滅回路と、明るさを調節する調光装置を代替でき有用である。
【0064】
請求項16の発明によれば、裏画像がスクロールされるような長尺素材になるので、様々な画像種類を裏画像として準備でき、表画像を形成した透視基材に対して裏画像をスクロールすることで表裏画像間で幅広い表現を可能とする。
【0065】
請求項17の発明によれば、請求項14〜16にのいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことで表裏画像間で幅広い表現を可能とする。
【0066】
請求項18の発明によれば、請求項14〜17にいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、第1の画像(表画像)を形成した透視基材と、第2の画像(裏画像)を形成した透光材をその後側に配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透視基材をスクロールすることで表裏画像間で幅広い表現を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0067】
次に、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
【0068】
図1は、本発明の第1の実施の形態(請求項1〜3の発明)において、第1の画像(表画像)シートと第2の画像(裏画像)シートの2枚の画像シートセットを設置した複数画像表示装置例の構成を説明する分解斜視図である。図2は、図1の複数画像表示装置における請求項2の場合の画像シートと光源の側面図である。図3は、本発明に用いられる第1の画像(表画像)と第2の画像(裏画像)を1枚のシートに形成した複数画像表示用の画像シート構成を説明する側面図である。
【0069】
複数画像表示装置は、面光源以外の光源(蛍光灯やハロゲンランプなど)を使用した場合には、透視基材4や透明材3を円筒状や円錐状にすることができる。
【0070】
図1に示すように、この複数画像表示装置は、枠1を有し、この枠1と透明カバー5との間に、広告物と光源が収納される。広告物は、枠1の側から順に重ねられた、透光材3と、多数の円形の孔4aが開けられた透視基材(スリット材)4とから成り、それらの下(枠1側)に点滅できる光源2が差し込まれる。図2に示すように、透視基材4の表面には、第1の画像P1(表画像)が描かれており、第2の画像PA(裏画像)は透光材の表裏どちらに形成してもよいが、本例では半透明な透光材との組み合わせでより好ましい裏面に描かれている。なお、透視基材4は、孔ではなく多数のスリットが開けられたものでもよい。また、透光材3は透明または半透明な基材である。
【0071】
光源2の非点灯時には、透視基材4に描かれた表画像P1が見える。光源2を点灯させると、図2の一点鎖線で示すように、光源2から透光材3と透視基材4の孔4aを通して光が出てくる。このため、透視基材4の表側は影となり、視覚には暗色としか映らない。そして、図2の破線で示すように、透視基材4の孔4aを通して透光材3に描かれた裏画像PAが見える。このように、光源2を点滅させることにより、瞬時に2種類の画像を表示することができる。光源2の点滅間隔は、画像の内容によって変化するが、表画像P1と裏画像PAとが連続して見える範囲内で選択する。一般的には、0.25秒〜10秒が好ましい。
【0072】
また、光源2の点灯時に、輝度調整を行えば、透視基材4に描かれた表画像P1と透光材3に描かれた裏画像PAの干渉画像を観察できる。すなわち、最高輝度の時には裏画像PAが見えるが、輝度を下げて行くと表画像P1が徐々に現れてくる。透視基材4の開口度や光源によって異なるが、明るさが一定レベル以下になると、完全に切り替わって表画像P1のみを視認できる。人物の画像が狼の画像に次第に変化するようなモーフィング変化を楽しませることができる。
【0073】
図3に示される画像シートは、図1に示す透光材3と透視基材(スリット材)4の機能を1枚のシートに形成したものである。光の透過する多数の円形孔4aの機能は、この例では、非画像部と透光材で代行される。透光材3の一方の面に、3層からなる不透明な第1の画像P1(表画像)が形成される。3層の構成は、最上層の画像層P1a、中間層の白色層P1b、最下層の遮光暗色層P1cからなる。遮光暗色層P1cは、透光材3の表面に密着している。透光材3の他方の面には、第2の画像PA(裏画像)が反転したミラー画像として形成される。開口部の開口率の範囲は概ね25%〜70%である。望ましい範囲は30%〜50%である。透光材3の基材としては、乳白色半透明基材、白コート透明基材、透明基材などが使用できる。なお、白色層P1bが十分な遮光性を有する場合は、最下層の遮光暗色層P1cは省略できる。光源2の非点灯時には、透光材3の表面に描かれた表画像P1が見え、点灯中は図3の一点鎖線で示すように、光源2から透光材3の孔4aを通して光が出てくる。このため、表側は影となり、視覚には暗色としか映らない。そして、図3の破線で示すように、孔4aを通して透光材3に描かれた裏画像PAが見える。
【0074】
図4は、本発明の第2の実施形態(請求項4の発明)に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。図5は、図4のシャッターとして、スリット入り多孔材を複数枚重ねた開閉式遮蔽材を用いた複数画像表示を説明する側面図である。
【0075】
この例の複数画像表示装置は、図1の複数画像表示装置とほぼ同じ構成であるが、光源2として点滅させ易い光源以外の光源を使用した点で異なる。点滅させ易い光源以外の光源とは、例えば、点滅ができない蓄光材のような光源や、点滅反応の遅いあるいは点滅による寿命短縮が著しい蛍光灯などである。
【0076】
図4の例においては、光源2と透光材3との間に、開閉可能なシャッター6(開閉式遮蔽材)を備える。シャッター6は、例えば、開閉可能な多数の細長い遮蔽小片7からなる。このシャッター6を開閉することにより、継続点灯する光源2を使用しても、光の点灯と消灯とを繰り返すことができる。このような遮蔽小片7は移動ストロークが小さいので、高速切り換えが可能になる。遮蔽小片7の形状は細長い形状に限定されず、魚の鱗のような小片を前後左右に並べたようなものでも良い。遮蔽小片7の開き方を加減すれば、通過する光量が調節され、電気的な調光装置が省略できる。開き方の加減で遮蔽小片7の影が透光材3に当たる問題は、遮蔽小片7の枚数を増やして一枚の幅を狭くする(例えば図の6枚を8枚にする)か、透光材3からの距離を広げれば解決できる。
【0077】
図5の例においては、図4の開閉可能なシャッター6(開閉式遮蔽材)を、遮光性ある多列スリット入り多孔基材を3枚(6a、6b、6c)重ねて構成する。すなわち、三枚を相対的移動させ、それぞれのスリット開放部分を遮蔽部分で覆うようにすれば光の遮断ができ、3枚の遮蔽部分を完全に重ねればスリットから最大光量が透過できる。
移動ストロークが小さいので高速切り換えが可能になり、遮蔽部分13の重なり量を加減すれば、通過する光量が調節され電気的な調光装置が省略できる効果は同様である。開き方の加減で遮蔽部分の影が透光材3に当たる問題の解決策は図4のシャッター6と同様である。
複数枚重ねて光源の前に配置する前記遮光性多列スリット入り多孔基材は、光が漏れないよう薄い方が良いが、一方で、長いスリットを並べて連続形成しても基材の形が崩れない性質が求められるので、アルミなどの金属薄膜で遮光部を形成した透明フィルムが適している。
シャッター6を二枚のフィルムで構成する場合は、スリット入り多孔基材(6a、6c)の遮光層を向かい合わせて使用する。三枚の場合は、図に示すように中間に加える6bは片面に遮蔽層を形成しても良いが、表裏両側に遮光層を形成したものが光の回折に対して有利である。
【0078】
図6は、本発明の第3の実施の形態(請求項5の発明)に係る複数画像表示方法を説明する側面図である。この例の複数画像表示装置は、図1の装置と同様の構成であるが、透光材に光が当たる・当たらないに関わらず、透視基材4に描かれた画像P1の一部の画像(部分画像)P10を常時表示するためのものである。逆に言い方をすると、画像PAの一部の画像(部分画像)を透光材に光が当たった時に表示するためのものである。図7は、図3に示す画像シートを用いて、請求項5の発明効果を得るための方法を説明する側面図である。
【0079】
表画像と裏画像から成る2枚の画像シートセットを用いる図6の例においては、
部分画像P10を、透視基材4と別の、遮光性を有する基材15に描き、その基材15を透視基材4の部分画像P10位置の表又は裏に接着剤を介して貼り付ける。透光材に光が当たらない時には、透視基材4に描かれた画像P1と、基材15上の部分画像P10を見ることができる。そして、光が当たっても、基材15は遮光性を有しているので、光源の光が通過せず、基材15上の画像P10を見ることができる。したがって、透光材に光が当たった時には、透光材3上の画像PAとともに、画像P10を見ることができる。なお、この部分画像P10と同じ形状の暗色べた画像を、透視基材4の部分画像P10位置の裏面、もしくは、透光材3の表面又は裏面に貼り付けてもよい。また、透光材3の画像の中の部分画像P10を暗色べたに塗りつぶしてもよい。
【0080】
表画像と裏画像を形成した1枚の画像シートを用いる場合においても、部分画像P10を遮光性を有する基材15に描き、その基材15を、部分画像P10位置の表に接着剤を介して貼り付けるか、部分画像P10と同系上のべた画像を部分画像P10位置の裏に貼り付けるかすることで、光源点灯時には、透光材3上の画像PAとともに、基材15上の画像P10を見ることができるのは同様である。
【0081】
図7の例は、表画像と裏画像を形成した1枚の画像シートを用いる場合の、請求項5の発明効果を得るもう一つの方法を説明するための側面図である。遮光性を有する基材15を貼り付けるのでなく、画像形成時に部分画像P10部のみを孔無しに形成する。すなわち、部分画像P10部のみ完全画像で三層を形成(図7B)するか、三層の最下層である遮光暗色層P10cを部分画像P10部のみ完全画像で形成する(図7A)。部分画像の三層は、最上層部分画像層P10a、中間白色層P10b、最下層遮光暗色層P10cからなる。透光材に光が当たらない時には、透光材3上に描かれた画像P1と部分画像P10を見ることができる。そして、光が当たっても、最下層遮光暗色層P10cが遮光性を有しているので、光源の光が通過せず、透光材3上の画像P10を見ることができる。したがって、光源点灯時には、透光材3上の画像PAとともに、画像P10を見ることができる。
【0082】
図8は、本発明の第4の実施の形態(請求項6の発明)に係る透光材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。この例の複数画像表示装置は、画像P1の描かれた透光材3を上下にスクロール可能とするためのものである。
【0083】
この複数画像表示装置は、広告物と光源が収納される枠1を有し、表側に透明カバー5に保護された透視基材4と、内部にLEDランプ2aを上下両端に配列した導光板2bから成る光源2と、これらの中間にスクロール可能な透光材3とを収納している。透光材3のスクロールは、上下の巻き取り・巻き出し用ローラー7に連結したモーターで行われる。なお、本例は、長尺透光材を巻き取り・巻き出ししてスクロールするためのものだが、透光材をループ上に結合して回しても良い。透光材に光が当たらない時には、透視基材4に描かれた画像P1及び部分画像P10を見ることができ、光が当たると、透光材3上の画像PAを背景として画像P10が見える。したがって、光源点灯時に透光材3上の画像PAをスクロールすれば。画像P10はその反対方向へ移動して行くように見せられる。
【0084】
図9は、本発明の第5の実施の形態(請求項7及び8の発明)に係る透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。本例の複数画像表示装置では、開口部を持つ部分遮光素材10のスクロールによって部分光のスクロールが行われる。
【0085】
この複数画像表示装置は、枠1の画像設置部に、表側から順に、透明カバー5、透視基材4、透光材3が重ねてセットされ、その後方にスクロール可能な部分遮光素材10と、最後方に光源2(LEDランプ2aを上下両端に配列した導光板2b)を収納している。
部分遮光素材10の開口部は四角形、円形、星型など様々な形が採れる。スクロールは、上下の巻き取り・巻き出し用ローラー7に連結したモーターで行われる。なお、本例は、長尺部分遮光素材を巻き取り・巻き出しして光源からの部分光をスクロールするためのものだが、部分遮光素材をループ上に結合して回しても良い。
【0086】
透光材に光が当たらない時には、透視基材4に描かれた画像P1及び部分画像P10を見ることができ、光が当たった時に、部分遮光素材10の光の完全開放部分を巻き出して停止させ、透光材3上の画像PAに合わせておけば、画像PAを背景として画像P10が見える(図9A)。次に、部分遮光素材10のスクロールを開始して、光を部分透過させた形を移動すれば、画像P10はその反対方向へ移動して行くように見せられる(図9B)。
【0087】
図10は、本発明の第6の実施の形態(請求項9の発明)に係る透視基材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。この例の複数画像表示装置は、画像P1を形成した透視基材4を上下にスクロール可能とするためのものである。
【0088】
この複数画像表示装置は、画像を保護する透明カバー5が枠1表側に固定され、
その後側に上下に多数の表画像P1が形成されたスクロール可能な透視基材4が配置され、更にその後側に裏画像PAが形成された透光材3が配置され、最後方に光源2(LEDランプ2aを上下両端に配列した導光板2b)を収納している。透視基材4のスクロールは、上下の巻き取り・巻き出し用ローラー7に連結したモーターで行われる。なお、本例は、透視基材4を巻き取り・巻き出ししてスクロールするためのものだが、透視基材4をループ上に結合して回しても良い。
【0089】
透光材に光が当たらない時に透視基材4をスクロールすれば、表画像P1を順次見せることができ、光が当たると表画像P1は見えなくなるが、透光材3上の画像PAを背景として透視基材4上の部分画像P10を移動できる。
【0090】
前述では、透視基材の孔部(スリット、透視部)は、多数の孔や、多列の長方形孔が貫通しているものであった。しかし、透視基材として、透明フィルムに、多数の円形部やスリット部が透明なまま残るように印刷したものを使用してもよい。いずれの場合も、孔部(スリット、透視部)の開口率の範囲は概ね25%〜70%である。望ましい範囲は30%〜50%である。
また、図1で示した、2種類の画像を表示する装置においては、透視基材の裏側に接着性を持たせて、透明材(透光性基材)に貼り付けてもよい。
【0091】
透光材としては、ポリエステルやビニールなどの半透明あるいは透明樹脂フィルムを使用できる。下側に配置する光源の明るさが低いと透明材上の画像の見え方が弱まるので、透明樹脂フィルム採用が好ましい。光源が十分に明るければ半透明樹脂フィルムも使用できる。採りうる厚み範囲の概ね20〜500μm、望ましい厚み範囲の25〜200μmである。
【0092】
面光源としては、複数の蛍光灯を並べたもの、LED光を出射面全体に広げる導光板、光ファイバを並べた平面発光面、プラズマディスプレイも使用可能だが、厚み、価格、重量、使用場所範囲などから考えると発光数値800〜3000ルクスのEL発光フィルム又は1500ルクス以上のLED導光板が好ましい。図2に示したシャッターを使用する場合は、蓄光フィルムのような点滅のできないもの、蛍光灯、蓄光体光源、白熱電球、ハロゲン電球、水銀灯を含むアーク放電灯など、多様な光源が利用可能になる。
【0093】
2種類の画像を表示させる装置の場合、透視基材、透光材及び光源は、必ずしも密着させる必要は無い。各部材間に空間があっても本発明の効果は得られるので、枠に収納せず、例えば近距離空間に垂れ下げてもよい。従って、各部材間に、摩耗防止の目的で透明なガラス板や樹脂板が介在してもよい。
【0094】
このような、透視基材と透光材間、又は、透光材と光源間に種々の目的(画質向上、摩耗防止)で挿入させる部材について説明する。
【0095】
図11は、請求項10〜13に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。この例では、透視基材4と透光材3との間に、メッシュ材又は半透明材11を挿入する。
【0096】
光源非点灯時に、透光材3上に描かれた画像PAが、透視基材4の孔4aから見えて、透視基材4上に描かれた画像P1と干渉して見難い場合がある。このような場合、透視基材4と透光材3との間に、半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)11を挿入すると、透光材3上の画像PAが見えにくくなり、透視基材上の画像4aが鮮明に見える。
【0097】
なお、半透明フィルター11は、無彩色であることが好ましく、さらには、金属光沢を有する無彩色であることが好ましい。半透明フィルター11として、網模様、点模様または線模様を形成した透明又は半透明基材を使用する場合は、金属光沢を有する無彩色模様を箔転写などの方法で形成することが好ましい。メッシュ材は、細い金属線や繊維が格子状に編まれたものである。金属線は遮光性を有しているので、前述の透光材3上の画像PAを見えにくくするという効果が高い。
【0098】
なお、網模様とは、上下方向及び左右方向に交差する線からなる格子模様のことである。点模様とは、各種印刷方式の網点のようなドット模様であり、円形や4角形だけでなく形状は限定されない。線模様としては、印刷方式網点の中の砂目模様が一例として挙げられる。インクジェット印刷の場合は、誤差拡散方式による砂目模様がよく知られている。採用する網点の細かさは、透視基材に形成された多孔ピッチ精度に影響を受ける。多孔ピッチ精度が高まるほど、網点の細かさも高める必要がある。一般のワンウェイビジョンフィルムを用いると、穴径は1.5mm〜2mm程度で多孔ピッチが2mm〜3mm程度なので、この場合は各模様とも1インチ10線〜20線程度の細かさでも十分使用できる。
網点の細かさが高過ぎて大きな問題になることは無い。
【0099】
さらに、模様が形成された透明又は半透明基材は、模様の濃度あるいは密集度を変化させることができるので、以下に示すように、メッシュ材や半透明材よりも有利な点がある。メッシュ材や半透明材を部分的に挿入すると、これらが存在する部分と存在しない部分の境界に、これら挿入材の端面が認識されやすい。一方、模様が形成された透明又は半透明基材の場合、中間濃度を採って境界をぼかすことができるので、模様の切れ目が視認できなくなる。また、転写などの方法で金属箔模様を形成すれば、金網などより扱いやすい金属光沢を有する挿入材を得ることができる。
【0100】
さらに、画像の色彩、濃度、形状に応じて模様の形状と濃度を変えることができる。透光材上の画像をより見えにくくしたい場合は、この画像の部分に対応する模様の濃度を高めればよい。色彩を変えたほうが透光材上の画像を見えにくくする効果がある場合は、模様の色彩を変える。
【0101】
また、図11の想像線で示すように、別のメッシュ材又は半透明材12を、透視基材4の前方に配置することもできる(請求項13に係る発明)。このメッシュ材又は半透光材12は、無彩色であることが好ましい。周囲の照度が高い場所では、光源点灯時に透光材3上の画像が見えにくい場合がある。そこで、メッシュ材又は半透明材12を、透視基材4の前方に配置すると、透視基材4上の表画像P1を影が当たった場所に置いたようになり、点灯時に透光材3上の裏画像PAが見えやすくなるためである。なお、光源非点灯時には、透視基材4上の画像がやや見えにくくなるが、画像が見える程度にメッシュ材の開度や半透光材の濃度を選択すればよい。
【実施例】
【0102】
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0103】
(実施例1)
孔径1.5mm、開口率50%の紙質ワンウェイビジョンシート「PanoRamaVision」(商標、ContinentalGrafix社製)に表画像をインクジェットによりプリントして透視基材を準備した。また、厚さ100μmの透明ポリエステルフィルム「キモアートシリーズ・透明PET」(商標、きもと社製)に裏画像をインクジェットによりプリントして透光材を準備した。透視基材の下方に透光材を配置し、さらにその下に厚さが0.6mmで明るさ1000ルクスのELシート「FlexLit」(商標、MASCOT TECHNOLOGY社製)を敷いた。これらを、床広告保護敷物「フロアウィンド」(商標、FloorWindo International社製)の中に収納した。ELシートを消灯すると、ワンウェイビジョンシート上の表画像が見え、点灯させると透明ポリエステルフィルム上の裏画像が見えた。次に調光装置を用いてELシートの明るさを600〜700ルクスに落とすと表画像が見え出し、300〜400ルクスでは裏画像の方が強く見えるようになった。
【0104】
(実施例2)
UV硬化型顔料インクを搭載したスーパーワイドフォーマットプリンタVUTEK QS2000(商標、イー・エフ・アイ社製)を用いて、188μm厚みの透明ポリエステルフィルム「PET白コート」(商標、サンリュウ社製)と、厚さ188μmの乳白ポリエステルフィルム「U298W」(商標、帝人デュポンフィルム社製)と、片面白色コーティングを施した188μm厚みの透明ポリエステルフィルム「PET白コート」(商標、サンリュウ社製)の3枚のフィルムに表画像をインクジェットプリントで形成した。PET白コートは、白色コーティングを施した側に表画像を形成した。黒色にCMY三色を加えて遮光性を高めた暗色層の上に、白色層、画像層を乗せた3層から成る表画像には、穴径1mmで開口率40%の多孔開口部を持たせた。表画像形成面と反対側(裏面)には多孔開口部の無い反転裏画像を昇華転写印刷で形成した。昇華転写印刷画像は、昇華インク「HANAE−Dタイプ」(商標、サンリュウ社製)をJV−4プリンタ(商標、ミマキエンジニアリング社製)に搭載して、転写紙「HTR−4000」(商標、Coldenhove社製)の上に印刷して乾燥させた後、180℃2分間の熱転写条件によって形成した。完成した画像シートを明るさ2200ルクスのLEDライトパネル「B1−LED−W」(商標、有限会社ルミテクノ社製)に挿入して画像の見え方を確認した。LEDパネル消灯時には、表画像が見えた。透明ポリエステルフィルムの表画像のみ裏面の反転裏画像が干渉して見苦しく見えた。乳白ポリエステルフィルムは厚く、転写浸透画像は表画像側(転写反対面)まで鮮明には見えないので、表裏画像の干渉は気にならない程度だった。一方、白色コーティングを施したポリエステルフィルムは転写浸透画像が透明層に形成されているので、消灯時には白色コーティングを透過しては見えない。表裏画像の干渉は最も少なかった。LEDパネルを点灯させると、裏画像が電飾画像として見えた。3枚のフィルムとも深みのある鮮やかな発色だった。
【0105】
(実施例3)
実施例1で用意した透視基材と透光材を用いて、ELシート非点灯時の透視基材上の表画像の見え方をチェックした。透視基材上の表画像の陰影の濃い部分では、透光材上の裏画像が透視基材の孔部から透けて見え画像が干渉していた。そこで、透視基材と透光材の間に、網目寸法80ミクロンで透視率60%程度の白色あるいは黒色のポリエステル高密度メッシュ布「クロスキャビン」(商標、帝人ネステックス社製)を差込んだ。すると、裏画像が見え難くなり、画像干渉が大幅に改善された。黒色メッシュ布は白色メッシュ布より裏画像を隠す効果がより大きいが、白色メッシュ布はELシート点灯時にその照度をほとんど落とさず、透光材上の裏画像がより見やすかった。この例では、メッシュ布を画像全面に挿入したが、効果の得られる部分だけに挿入してもよい。なお、半透明な黒色あるいは乳白色のフィルムあるいはガラス板を挿入しても、メッシュ布挿入と同様な効果が得られる。
【0106】
(実施例4)
実施例3で使用した高密度メッシュ布「クロスキャビン」を、同布よりも網目寸法のより大きなメッシュ、網目空隙600ミクロンの黒色ポリエステルメッシュ布「クロスキャビンVT」(商標、帝人ネステックス社製)に差し替えた。網目が大きい分だけ裏画像を隠す能力は下がるが、見えにくくする効果は得られた。さらに、このメッシュ布に変えて、メッシュ24番(線径0.25mm、開口率58.6%)と、メッシュ40番(線径0.18mm、開口率51.3%)のステンレスメッシュ金網「ステンレス304平織り金網」(商標、網忠金網社製)を順次挿入して効果を確認した。メッシュ布に比較し、これらの金網の場合は、透視基材の孔部から見える線の金属光沢で入光が反射するので、下側画像の隠蔽効果が最も大きかった。同時に光を吸収せず反射するので、ELシート点灯時には裏画像も明るく見えた。金網と同じような効果を得るために、蒸着やスパッタリングなどの手法で金属を被せたメッシュ布を用いることもできる。
【0107】
(実施例5)
実施例1で使用した各種部材で、以下のようなスポーツジム広告用画像を作成した。先ず、表画像として、ボディビルダーがダンベルを持って腕を下ろしている画像を使用し、裏画像として、ボディビルダーがダンベルを持ち上げている画像を使用した。ELシート光源の点滅を1秒間隔で繰り返すように設定すると、ボディビルダーがダンベルの上げ下げ運動を続けているように見えた。
【0108】
(実施例6)
実施例1で使用した各種部材で、以下のような住宅広告用画像を作成した。表画像として、青空と地面、住宅を描いた画像を使用した。裏画像として、同じ住宅の背後を暗転して空に雷が落ちる画像を使用した。1秒と2秒間隔でELシート光源の点滅を繰り返すと2秒間の静かな風景の後に1秒間嵐が訪れた風景となり、物語性を感じさせられた。住宅と地面部分を、透視基材と同様に透光材に配置すれば電飾画像としてみることができる。しかし、光る雷との間の濃度差は大きくなく、見る者に与えるインパクトは小さい。そこで、住宅と地面部分と同一形の暗色べた印刷画像を、裏画像上に貼り付けると、光源点灯時に、透視基材上の住宅と地面部分が見えた。これは、電飾画像の濃度範囲を超えたもので、見る者に与えるインパクトは少し大きくなるが、黒色べた印刷画像を透過して出てくる光の影響があり本来より薄く見えた。最後に、住宅と地面部分と同じ形の遮光性ある暗色糊付きシートを透視基材の裏側に貼り付けると、光源点灯時に透視基材上の画像が本来の深い濃度で見えた。電飾画像を遠くの背景として、濃度感ある住宅と地面部分はより近距離に見えた。
【0109】
(実施例7)
実施例1で用意した複数画像とELシートを収納した床広告保護敷物「フロアウィンド」を窓の近くの床に置くと、付近の照度が高過ぎてELシート点灯時に裏画像が見え難かった。そこで、透視基材の上に0.5mm厚のスモークカラー塩ビシート「ユニサンデー」(商標、光社製)を置いてみた。淡い茶色味掛かった半透明の板だが色相への影響は気にならず、表画像の見え方も十分保たれ、同時にELシート点灯時に裏画像も見え易くなった。
【0110】
(実施例8)
蛍光灯を光源とする照度5000ルックスの内照パネルを壁面に取り付けた。その前面に、高遮光機能を備えた横型ブラインド「セレーノ25高遮光タイプ(ヒカリスト)」(商標、ニチベイ社製)が被るようブラインド固定用ヘッドボックスを壁に取り付け、ブラインド両サイドと下部の三方枠を暗幕フレームで囲み、光が漏れないようにした。実施例1と同様の透視基材と透光材を重ねて、横型ブラインドの前に垂らした。次に、内照パネルを点灯させて、横型ブラインドのスラット羽根の開閉操作をした。25mm幅のスラット羽根を回転させるだけなので光源の点滅に近い低負荷で高速な繰り返し作動が容易にでき、画像全面に当たる光の遮蔽と開放が素早くできた。その度に、2枚の画像が切り替わって見えた。実施例では光のシャッター装置として一般住宅用の横型ブラインドを用いてスラット羽根開閉操作を紐を引いて手動で行ったが、実際の光のシャッター装置は電動にして、画像の内容によって求められる照射タイミングに合わせた開閉作動をさせればよい。
【0111】
(実施例9)
実施例1で使用した各種部材と、ベルト状に繋いだシートを垂直方向にローリング回転させるバナースタンド「ロールポスター」(商標、Environment & Graphic社)と、LEDライトパネル「B1−LED−W」(商標、有限会社ルミテクノ社製)を用いて、透光材上の裏画像、開口部を持つ部分遮光素材、透視基材上の表画像の三種の基材をスクロール確認した。
先ず、透光材シートをローリングさせた。表画像を形成した透視基材を最前面に設置し、後に裏画像を形成してベルト状に繋いだ透光材シートをバナースタンドで垂らし、発光部を表画像側に向けたLEDライトパネル光源をベルト内側に設置する。光源非点灯時には最前面の表画像が見え、点灯させると裏画像が見えた。光源点灯のまま、上部モーターをONにしてベルトをローリングさせれば裏画像が滑らかに移動した。付属スイッチでモーターをOFFにすれば、裏画像の停止画像が見えた。光源非点灯時に見える表画像の中の遮光性を持つ部分画像として、飛行場で停泊するジェット機を用意すれば、光源を点灯させると、滑走路は無数の小さな家屋が見える上空から見た地上画像を描いた裏画像に変わり、同時にローリングを開始すれば地上はやがて海面に変わった。ベルトが1回転する頃に再び地上画像を準備し、ローリング停止後に光源を消灯すると、ジェット機は滑走路に停止した様に見えた。
【0112】
(実施例10)
次に、円形に開口部を設けた遮光素材を移動して、部分光をローリングさせた。表画像を形成した透視基材と裏画像を形成した透光材を前面に設置し、円形開口部を持つ遮光素材をベルト状に繋いだ部分遮光素材シートをバナースタンドで垂らし、発光部を画像側に向けたLEDライトパネル光源をベルト内側に設置する。透光材裏画像として円形開口部より小さな直径の花火を描き、それ以外の部分に暗色遮光素材を貼り付けると、透視基材上表画像として準備した夜景は、光源点灯時に花火部分のみ消える。逆の言い方をすれば、光の当たる花火部分以外は表示し続けたい部分画像として残る。部分遮光素材上の開口部は花火より大きく、花火位置に合わせて形成する。ローリングして開口部が花火位置に合った時に光源を点灯すれば、夜景に花火がぱっと打ち上げられた表現ができる。ローリングを下方に向かって継続すれば、花火が上から消え出す。この時に、LEDライト自体の輝度を次第に落とせば、花火が夜空に消え入る感じを繊細に表現できる。光源輝度を落として調光する代わりに、暗色遮光素材の開口部上側にスクリーンドットのような多数孔を開け、その度合いを次第に減らしておけば、ローリングが進むに従って透過光が減りやがて完全に消える、調光と同様な効果を得ることができる。
【0113】
(実施例11)
次の例は、最前面に表画像を形成した透視基材をベルト状に繋いでバナースタンドで垂らしスクロールし、裏画像を形成した透光材をセットしたLEDライトパネルをその後方に設置する。透光材裏画像として宇宙空間を描き、表画像には、部分画像として宇宙服を着た人間や宇宙船などを配置する。光源点灯時にベルト状透視基材をスクロールすると、宇宙空間を流されるように人間や宇宙船が下方(又は上方)へ移動する。スクロールを停止した時に消灯すると、突然人間や宇宙船などに広告文を付けた完全な表画像が現われ目を引いた。スクロールを再開する時に、光源の輝度を徐々に高めて最高輝度に達してからスクロールを再開すると、広告文とその背景が宇宙空間の中に消え入る感じで、映画のシーンを見ている感じがした。
【0114】
実施例9から11では、透光材上の裏画像、開口部を持つ部分遮光素材、透視基材上の表画像の三種の基材をそれぞれ単独でスクロールしたが、これらを複合してスクロールすれば更に豊かな表現と注目度アップの効果を上げることができる。又、表画像と裏画像を1枚の画像シートに形成した透光材をスクロールした場合は、表画像と裏画像の自由な差し替えはできないが、スクロール駆動部を1台で、組み合わせた両画像による表現を次々に切り替えできる利点が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の製品は、一方の側からのみ見える情報、広告などのデザインを、一箇所で複数枚数切り替え表示することで、画像に動きを与えて注目度を高めたり、多くの情報を表示したり、その変化を楽しんでもらう用途に用いる。本発明の方法と装置は、床、壁面、柱側面、独立看板、間仕切り、天井、車両外装面、窓ガラス面、広告塔、遊技機盤面、装身具、電気・電子機器などに活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】 本発明の第1の実施の形態(請求項1〜3の発明)に係る複数画像表示装置の構成を説明する分解斜視図である。
【図2】 図1の複数画像表示装置における請求項2の場合の画像シートと光源の側面図である。
【図3】 本発明に用いられる第1の画像(表画像)と第2の画像(裏画像)を1枚のシートに形成した複数画像表示用の画像シート構成を説明する側面図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態(請求項4の発明)に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図5】 図4のシャッターとして、スリット入り多孔材を複数枚重ねた開閉式遮蔽材を用いた複数画像表示を説明する側面図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態(請求項5の発明)に係る複数画像表示方法を説明する側面図である。。
【図7】 表画像と裏画像を形成した1枚の画像シートを用いる場合の、請求項5の発明効果を得るもう一つの方法を説明するための側面図である。
【図8】 本発明の第4の実施の形態(請求項6の発明)に係る透光材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図9】 本発明の第5の実施の形態(請求項7及び8の発明)に係る透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図10】 本発明の第6の実施の形態(請求項9の発明)に係る透視基材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図11】 請求項10〜13に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の点灯・消灯あるいは遮蔽・解放と調光による関連複数画像の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駅やショッピングセンターの通路などに、背面から光を照射して透光材に描かれた1枚の画像を透過光によって表示する電飾看板が広く普及している。光源としては、蛍光灯、LEDランプ、ELシートなどが一般的である。
【0003】
又、容易に表示画像の変更ができる画像スクロールユニットが、特許文献1に提案されている。このように、複数の画像を並べた透光材、あるいは切れ目の無いエンドレス模様を形成した透光材をスクロールさせてゆく背面に光源を持った装置も公知である。
【0004】
又、見る角度によって違う画像が見えるレンティキュラーレンズを配置したシートも公知である。カマボコ型の微細なレンズが並んでいるのがレンティキュラーレンズで、これを横に配置したシートを用いれば左右の眼は同時に同じ画像を見ることになり切り替え画像やアニメーションの効果が得られ、縦に配置したシートを用いれば立体画像が鑑賞できる。さらには、モーフィング合成用のソフトウェアを使ってコマの画像データを作れば、一つの画像が異なるものに変化していくモーフィング表現もできる。
【0005】
一方、本発明者は、光源の点灯・消灯によって、又は光の遮蔽・解放によって、1つの面に2種類以上の画像を表示する複数画像表示方法及び装置を特許申請(特許文献2)している。光源からの光の有無によって、透光材上に形成した裏画像と、遮光性のある多数穴あるいはスリット材上に形成した表画像の複数画像を切り替え、動きや驚き、楽しさなどを表現させる方法である。表画像を形成したワンウェイビジョン素材のような遮光性多孔基材を光源の上に設置すると、光源からの光が当たらない時には表画像が見え、光が当たった時には、後側から多数穴又は透明縞を通して光が出てくるので、表側は影となり、視覚には暗色としか認識されない。光源と遮光性多孔基材との間に、光を十分透過させ得る透光性基材に形成した画像を挟むと、光が当たった時には遮光性多孔基材の穴を通してこの電飾画像が見える。画像に関連性を待たせ、光の遮蔽・解放を繰り返せば、視覚に異なった画像を連続的に投影し、動きを与える原理である。
【0006】
又、本発明者は、光源の点灯・消灯によって、又は光の遮蔽・解放によって、1つの面に2種類の画像を表示する前記複数画像表示方法及び装置に用いられる画像シートを特許申請(特許文献3)している。半透明又は透明基材の表面に、遮光暗色層、白色層、画像層の3層からなる表画像を開口率25%〜70%で形成し、半透明あるいは透明基材裏側に反転裏画像を形成した画像シートであり、画像を遮光性多孔基材と透光材上に形成して素材を二枚用意するのでなく、光源からの光の有無によって2枚の画像が1つの面で切り替わる効果を、1枚の素材上に二つの画像を形成して可能にしたものである。
【特許文献1】 特許公開2003−114628号
【特許文献2】 特許出願2007−94402号、341651号 国際出願PCT/JP2008/053610号
【特許文献3】 特許出願2008−106204号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の各種従来技術は次のような欠点がある。従来の電飾看板は、画像を美しく表示できるが、1枚の静止画を掲示するもので、画像が切り替わることで注目を集めるような効果を発揮することはできない。
画像スクロールユニットを持つ表示装置は、透光材上の画像を移動可能で注目度は比較的高いが、順次画像を見せるという以上の内容を表現することはできない。
又、レンティキュラーレンズによる手法は画像を切り替えて見せることはできるが、レンティキュラーレンズシートが表示ユニット毎に必要であり、複数の画像を線状に切り取って合成する複雑な作業を必要とし、複数の画像を見るためには、レンティキュラーレンズシートを動かすか、視認者が移動しなければならないなどの制約が付く。
本発明者が特許申請(特許文献2及び3)している複数画像表示方法及び装置は、光源からの光の有無によって、後側の画像を表側画像に換えて表示したり隠したりできるので驚きや楽しさを演出できるが、変化させられる内容量や種類は限定される。残像によって視覚に得られる動作も、スムーズでなく無くコマ落ちのような動作しかさせられなかった。
【0008】
従って、本発明の目的は、二つの異なる素材上の画像が1つの面で切り替わることで、驚きや楽しさを演出させると同時に、異なる素材上の画像が完全に切り替わるのでなく干渉して見える画像表現、干渉度合いの変化を無段階的又は段階的にして画像を別の画像に滑らかに変化させるモーフィングのような表現、スクロールしての切り替え可能画像数の増加、背景の滑らかな変化などを可能にする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は前記目的を達成するために、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットの後方に、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像(表画像)を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートの後方に、点滅可能な光源、又は光の通過量を制御できる光源を配置し、該透光材に光が当たらない時に前記表画像を表示し、該透光材に最高量の光が当たった時に前記裏画像を表示し、該透光材に中間量の光が当たった時に前記表画像と裏画像の干渉画像を表示し、光量を制御して両画像を動画的に表示する複数画像表示方法である。
【0010】
請求項1に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、点滅可能な光源、又は光の通過量を制御できる光源の上側にあるいは前方に、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを設置すると、あるいは透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像(表画像)を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートを設置すると、透光材に光が当たらない時又は表側の画像が見える。
透光材に最高量の光が当たった時には、後側から多数穴又は透明縞を通して光が出てくるので、表側は影となり、視覚には暗色としか認識されない。丁度、暗い室内から明るい屋外を透視した状況と同じになる。光源と透視基材との間に、光を十分透過させ得る透光材に形成した画像を挟むと、光源点灯時には透視基材の多数穴あるいは透明縞を通してこの画像が見える。
光源を点滅、又は光の遮断・開放させる度に、瞬時に視覚に異なった画像を投影させることができる。
透光材に当たる光量を落としておくと、後側から多数穴又は透明縞を通して出てくる光が弱くなるので、切り替えは不完全になる。表画像を完全に消すのでなく、裏画像と干渉して見せることができる。色の場合は、表画像が黄色、裏画像が青色であれば、緑色の表現ができる。
【0011】
透視基材とは、丸穴などの多数の孔が開いたものだけでなく多数のスリット(縞)が形成されたものを含む。なお、基材の孔やスリットとは、貫通しているものの他に、透明な基材に、多数の円形部やスリット部が透明部として残るように印刷したものも含む。また、透光材とは、透明又は半透明の基材である。半透明の基材には、乳白色半透明基材、白色コート透明基材がある。透視できる孔開き基材、透光材及び光源は、接して(重ねて)配置してもよいし、間を開けて配置してもよい。
さらに、透視基材と透光材は、平面状に限らず、円周面状や円錐面状などに設置してもよい。
また、光源は、点光源、線光源又は面光源のいずれであってもよい。光源の点滅間隔は、表画像と裏画像とが連続して動画的に見える範囲で選択する。一般的には0.25秒〜10秒程度が好ましい。ただし、光源の点灯時間と非点灯時間とは同じである必要はなく、点滅間隔は不規則であってもよい。調光した光源の明るさは、求める干渉度合いによって設定する。干渉度合いを少なくするには、明るさを極端に増すが、逆に極端に減らせば良い。光源の調光は、白熱球なら電圧調節によって、蛍光灯ならインバータトランスを使って、ELシートやLEDランプならソフトウェアPWMなどの一般的手法が採用できる。光源の輝度をそのままに通過量を制御する(調光)なら、通過量制御装置の開き方を加減すればよい。
【0012】
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の複数画像表示方法において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の裏側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、透光材として半透明基材を用いて、第2の画像(裏画像)を半透明基材の裏面に形成したことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0013】
請求項2に係る本発明による作用は次の通りである。2枚の画像シートセットを用いる場合では、第2の画像(裏画像)は透光材の表裏どちらに形成してもよいが、透光材として半透明な基材を採用し、第2の画像(裏画像)をこの半透明基材の裏面に形成すれば視認者側からは画像が見えにくくなり、光が当たらない時に第1の画像(表画像)をより鮮明に視認させられ好ましい。なお、透光材の裏面に形成される第2の画像(裏画像)は、正像でなく、常に反転ミラー画像とし、視認者側から正像に見えるように形成する。
【0014】
請求項3に係る本発明は、請求項1又は2に記載の複数画像表示方法において、光源の調光工程、又は光の通過量の制御工程において、輝度、又は通過光量を連続的にあるいは段階的に変化させることで、前記表画像と前記裏画像の干渉度合いを連続的にあるいは段階的に変化させることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0015】
請求項3に係る本発明による作用は次の通りである。光源の中間輝度設定後の点灯なら表示されていた表画像は瞬時に設定干渉画像に変化するが、点灯時に輝度を連続的にあるいは段階的に変化させれば、画像の干渉度合いを徐々に大きくしたり小さくしたりできる。
【0016】
請求項4に係る本発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、光源を点滅させる代わりに、継続点灯する光源から発せられる光の通過量を制御することによって表示画像を変化させる手段として、前記透光材と光源の間に設置する複数小片に分割された開閉式遮蔽材から成るシャッター装置を採用したことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0017】
請求項4に係る本発明による作用は次の通りである。継続点灯する光源から発せられる光の繰り返し遮蔽・開放装置として複数小片から成るシャッター装置を採用することで、画像全体を覆う大型シャッターを移動するような装置に比較し、画像の高速切り替えを可能にする。また、点滅ができない蓄光材のような光源、さらには点滅反応の遅い、あるいは点滅による寿命短縮も著しい蛍光灯などにまで光源の選択幅を広げることができる。さらには、シャッターの開き方を加減すれば、光源の明るさを変えずに透光材に当たる光量を増減でき、これを調光手段とすれば、電気的調光装置を省略できる。なお、シャッター装置は前記透光材と光源の間で、開いた複数小片の影が画像に当たらない程度まで十分画像から離れた位置に設置する。
【0018】
前記複数小片の開閉式遮蔽材は、遮光性ある多列スリット入りの多孔材を複数枚重ねて光源の前に配置したものでもよい。スリットの重なり具合をスライド移動させて調整すれば、透光材に当る光量を増減できる。シャッターを2枚の多孔材で構成する例なら、多孔材のスリット(光の通過口)幅は50%以下にする。スリット幅が4mm、遮光部幅6mmの場合は、二枚のスリット部を完全に重ねれば、4mm幅のスリットから光が通過し、スリット部中央と遮光部中央を合わせれば遮光部幅の方が広いので光は完全に遮蔽される。この二つの位置の中間なら、中間の光量が透過する。重ねる多孔材の数を増やして1枚当たりの必要遮光幅を狭めて行けば、スリットからの透過光量は増大できる。例えば3枚なら、多孔材のスリット幅は60%にできる。スリット幅が6mm、遮光部幅4mmの場合は、3枚のスリット部を完全に重ねれば、6mm幅のスリットから光が通過し、遮光部4mmをつなぎ合わせれば12mmになるので、遮光部幅の方がスリットピッチ10mmより広いので光を完全に遮蔽できる。
【0019】
請求項5に係る本発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、光源からの光が前記裏画像に当たる時にも表示し続けたい前記表画像の中の部分画像がある場合に、2枚の画像シートセットを用いる方法では、該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像又は前記裏画像の表面又は裏面に貼り付けるか、あるいは該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある暗色素材を表画像裏面又は裏画像の表面又は裏面に貼り付けたことを特徴とし、1枚の画像シートを用いる方法では、該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像の上側(透光材の表側)に貼り付けるか、あるいは、該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある素材を、裏画像の上側(透光材の裏側)に貼り付けるか、あるいは、表画像の該部分画像だけを開口部の無い完全画像に形成するか、あるいは、表画像の該部分画像の領域だけ開口部を遮光暗色層で埋めるか、あるいは、裏画像の該部分画像だけを暗色べた画像に形成することを特徴とする複数画像表示方法である。
【0020】
請求項5に係る本発明による作用は、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも、前記部分画像を、半透明な電飾画像としてでなく不透明素材の上の画像として視認させることである。すなわち、2枚の画像シートセットを用いる方法では、透視部の無い遮光素材に、透視基材上の部分画像と同一画像を印刷して切り取り、その表面かその裏面に貼り付けて遮光する。表面に貼る時には部分画像裏側が、裏面に貼る時には部分画像表側が接着面になる。これにより、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも、透視基材上の部分画像を表示し続けることができる。画像でなく、同一形状で同一サイズの暗色切り取り遮光素材を透視基材裏面、又は透光材表面か裏面に貼り付けても同様な作用が得られる。また、透光性基材上の部分画像をべたに塗りつぶしてもよい。
1枚の画像シートを用いる方法では、透視部の無い遮光素材に、前記部分画像の孔の無い完全画像を印刷して切り取って表画像の上に貼り付けるか、あるいは、前記部分画像だけを完全部分画像に形成して遮光する。これにより、光源点灯時あるいは光源からの光を開放している時にも、前記部分画像を表示し続けることができる。画像でなく、同一形状で同一サイズの切り取り遮光素材を、裏画像の上に貼り付けるか、あるいは部分画像の領域だけ前記表画像開口部を遮光暗色層で埋めることでも同様な作用が得られる。
光の明るさを落として干渉画像を表示する時には、前記部分画像だけは完全な画像として見せることができる。
【0021】
請求項6に係る本発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0022】
請求項6に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、裏画像を形成した前記透光材を光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材上に形成した画像を順次見せることができる。スクロール装置としては、透光材フィルム両端に配置する二組のローラをコントローラでモーター制御するなどの例が挙げられる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。これらの動きに対して、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を用意すれば、静止している表部分画像が裏背景画像に対して移動しているように見せることも可能になる。スクロール開始前、停止後、又はスクロール途中で光源を消灯又は光を遮蔽すれば裏画像が消えて表画像が現われたり、光の強さを変化させれば画像の干渉程度が変化するので、表現幅が広がる。
画像が平面でなく、例えば円筒状に形成されている場合は、透光材フィルム両端に配置したローラで巻き取るのでなく、円筒状に繋いで回転させてもよい。
【0023】
請求項7に係る本発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0024】
請求項7に係る本発明による作用は次の通りである。
すなわち、光源点灯中又は光の開放中に、透光材全面に光を当てるのでなく部分的に当て、その光をスクロールすることで、表画像に現われる透光材上の部分画像が流れるように変化する。さらに、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を用意すれば、静止している表部分画像が、流れるように変化する裏背景画像に対して反対方向へ移動しているように見せることが可能になる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。部分的に当てる光の強さは、部分全体で均一でなく場所によって異なる分布にしても良い。スクロール開始前、停止後、又はスクロール途中で光源を消灯又は光を遮蔽すれば裏部分画像が消えて表画像が現われるので、表現幅が広がる。
【0025】
請求項8に係る本発明は、請求項7に記載の複数画像表示方法において、前記透光材に当たる光源の部分光のスクロールを、前記透光材と光源、又は前記透視基材と透光材の間に置いた開口部を持つ部分遮光素材のスクロールによって行うことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0026】
請求項8に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、
光を部分的に前記透光材に当て部分光のスクロールを行う手法は、光源としてLEDランプを透光材の真下に並べ、プログラム制御でランプを順次選んで点灯・消灯・調光させる手法でも良い。この手法は自由度は高いが、コストは高くなる。これに代え、前記透光材と光源、又は前記透視基材と透光材の間に、開口部を持つ部分遮光素材を配置してスクロールさせれば、プログラム制御無しに、光が当った透光材画像の見える部分を流れるように移動させられる。すなわち、低コストで同様な効果が得られる。又、部分遮光素材の遮光度合いを全面均一でなく場所によって変化させれば、透光材上の画像だけでなく、表画像との干渉画像を含んだ画像の流れも作り出せる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。配置した部分遮光素材の一部に画像部全面を照射できる光の完全開放面を設けておけば、その場所で停止させることで、透光材上の裏画像を完全に見せることもできる。複数基材のスクロールができる装置では、透光材をスクロールさせ画像全体を順次見せる時は、この場所を選んで置く。
【0027】
請求項9に係る本発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、第1の画像(表画像)を形成した透視基材と、第2の画像(裏画像)を形成した透光材をその後側に配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法である。
【0028】
請求項9に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、表画像を形成した前記透視基材を、光源消灯中又は光の遮蔽中にスクロールすることで、透視基材上に形成した画像を順次見せることができる。さらに、光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材に形成した裏画像を背景として、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を移動させることができる。スクロール装置としては、透視基材フィルム両端に配置する二組のローラをコントローラを用いてモーター制御するなどの例が挙げられる。スクロール方法は、コマ送りのようなステップ送りのほか、流れるように連続送りしても良い。途中で速度を変えたり、逆方向へスクロール方向を変えても良い。スクロール開始前、停止後、又はスクロール途中で光源を消灯又は光を遮蔽すれば裏画像が消えて表画像が現われたり、光の強さを変化させれば画像の干渉程度が変化するので、表現幅が広がる。透視基材だけで無く、透光材や部分光を組合わせてスクロールすれば、表現幅はさらに広がる。
【0029】
請求項10に係る本発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、前記透視基材と前記透光材との間に、画像の無い半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)を挿入することを特徴とする複数画像表示方法である。
【0030】
請求項10に係る本発明による作用は、光源非点灯時あるいは光の遮蔽時に、透光材上の画像が、多数穴あるいは縞状透視部から見えて、透視基材上の画像と干渉して見苦しい場合がある。このような場合に、画像を形成した透光材と透視基材の間に、画像の無いメッシュ基材あるいは画像の無い半透明基材を挿入することで、透光材上の画像を見えにくくして、上あるいは前に配置された透視基材上の画像をより鮮明に見えるようにする。
【0031】
請求項11に係る本発明は、請求項10記載の複数画像表示方法において、前記画像の無い半透明フィルターが、透明度を落とすための網模様、点模様、あるいは線模様を形成した透明フィルムであることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0032】
請求項11に係る本発明による作用は、完全に不透明なメッシュ基材と同じ遮光性能を有するような、網模様、点模様、あるいは線模様をインク膜厚の薄い印刷のような手法で形成するのは困難である。しかしながら、印刷インクで網模様を形成すれば、透光材上の画像を非点灯時にあるいは光の遮蔽時に見え難くするという効果は得られる
【0033】
この請求項11に係る本発明において、画像の無いメッシュ基材あるいは画像の無い半透明基材挿入を上回る利点の1つは、網模様、点模様、あるいは線模様の濃度あるいは密集度を変えられることである。メッシュ基材や半透明基材は、部分的に挿入すると、それらがある所と無い所の境界で基材端面が認識され易い。一方、印刷インクで形成する網模様、点模様、あるいは線模様なら、0%か100%かの有か無でなく、50%とかの中間濃度も容易に表現できる。さらに、グラデーション表現を採れば、濃度差境界線は視認できなくなる。
【0034】
利点の2つ目は、画像の中の色彩、濃度、形状に応じて、網模様、点模様、あるいは線模様の形状と濃度を変えられることである。透光材上の画像をより見え難くしたい部分は、模様の濃度を高めれば良い。色彩も変えた方が透光材上の画像をより見え難くする効果がある場合は、模様の色も変更できる。
【0035】
請求項12に係る本発明は、請求項10又は11に記載の複数画像表示方法において、前記透明度を落とすために形成した模様が、金属光沢を有する及び/又は無彩色であることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0036】
請求項12に係る本発明による作用は、画像の無いメッシュ材あるいは半透光材、あるいは、透視度を落とすための各種模様は、彩度のある色であってもよいが、それらが複数画像の色相を変化させる。これに対して、これらを無彩色とすることにより、明度が下がるだけで色相は変化しない。さらに、金属光沢のある色とすることにより、画像の無いメッシュ材あるいは半透光材、あるいは、透視度を落とすための各種模様が反射して、透光材上の画像をより見えにくくすることができる。網模様、点模様、あるいは線模様は、転写箔、又は、エッチング金属膜で形成できる。
【0037】
請求項13に係る本発明は、請求項1〜12のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、前記透視基材の表側に、画像の無いメッシュ材又は半透光材を配置し、周囲照度が高い場所でも、前記光源点灯時に、又は光源の光を開放時に前記第2の画像(裏画像)を明瞭に見せることを特徴とする複数画像表示方法である。
【0038】
請求項13に係る本発明による作用は、透視基材上画像の上あるいは前方にメッシュ材あるいは半透光材を配置することで、光が当たっても周囲照度が高い場所では見え難い透光材上の画像を、より明瞭に視認せることができる。メッシュ材あるいは半透光材の配置によって透視性基材の画像に影が当たったようになり、透光材の画像の認識が容易になるからである。一方で、光源非点灯時あるいは光源からの光を遮蔽している時に、透視基材上の画像はわずかに見え難くなるが、可視光透過率が40%以上の範囲でメッシュ基材あるいは半透明基材を選べば全体として認識に問題無い範囲を得られる。なお、画像の無いメッシュ基材あるいは半透明基材は、無彩色であることが好ましい
【0039】
請求項14に係る本発明は、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、その後方に配置された光源とを備える複数画像表示装置であって、前記光源が点滅と調光可能であり、前記光源非点灯時には前記表画像が表示され、前記光源最高輝度点灯時には前記裏画像が表示され、中間輝度での点灯時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0040】
請求項14に係る本発明による作用は次の通りである。すなわち、画像を形成した透光性基材と多数穴あるいは縞状透視基材の2枚の画像シートセットを、又は二種類の画像を形成した1枚の透光性基材を光源の上側に、あるいは外側に重ねて収納して、光源を点滅させるか、継続点灯する光源の光を繰り返し遮蔽と開放することで複数画像を素早く切り換えられ、両画像が動画的に表示される。又、明るさを調整することで両画像の干渉画像を見せたりする表示装置を提供する。
【0041】
請求項15に係る本発明は、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、その後側に配置された光源と、前記光源の前方に配置された開閉式遮蔽材と、を備え、該遮蔽材閉時には前記表画像を表示し、該遮蔽材開時には前記裏画像を表示し、該遮蔽材中間解放時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0042】
請求項15に係る本発明による作用は、継続点灯する光源を用いた装置でも、前記透光材と前記光源との間に配置された開閉式遮蔽材を備え、該遮蔽材閉時には前記表画像を表示し、該遮蔽材開時には前記裏画像を表示させることを特徴とする。
【0043】
請求項16に係る本発明は、請求項14又は15に記載の複数画像表示装置において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0044】
請求項16に係る本発明による作用は、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、前記透光材を光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材上に形成した画像を表画像の背景として順次見せることができる。また、市販の画像シートを回転するディスプレイ器具を活用して本装置を構築することも可能とする。
【0045】
請求項17の発明によれば、請求項14〜16のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0046】
請求項17に係る本発明による作用は、請求項15〜17にのいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロールすることで、透光材をスクロールしなくても背景に移動感を与えることができる。
【0047】
請求項18の発明によれば、請求項14〜17のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置を提供する。
【0048】
請求項18に係る本発明による作用は、請求項14〜17のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透視基材をスクロールすることで、透視基材上の表画像を順次見せたり、光が当たっても視認できる部分表画像を背景裏画像に対して、移動させることができる。
【発明の効果】
【0049】
請求項1〜3の発明によれば、光学的な処理(光源の点灯と消灯動作、又は光源からの光の遮蔽と解放操作、および光量調整)だけで、頻繁な2種類の画像の高速で切り替えと一つの画像が異なるものに変化していくモーフィング表現のような干渉画像を表示できるので、注目度の高い装置を提供できる。高価な機械的駆動装置を省略でき、1枚の大型画像を移動させる従来の装置に比べて、薄く軽くコンパクトになる。各部材は安価になる。画像が描かれた透光材や透視基材を脱着する交換作業も簡略化・短時間化できる。モーフィング表現でも、レンティキュラーシステムにおける画像切り替えのために必要な特殊レンズシートや、あるいは視認者が動かない場合に必要になる画像駆動装置も不要である。さらには、光源としてELフィルムなど薄い面状発光体を採用すれば、3個又は2個の部材を重ねても厚みが非常に薄くなると同時に耐荷重性も高くなる。このため、床広告用保護敷物として使用すれば、高い注目度を集めることができる。また、これらの部材は湾曲可能であるため、円柱側面、車両外装面、窓ガラス面にも設置できることは言うまでも無い。また、収納物(枠)に入れずに3種の部材を敷いたり、吊り下げての使用も可能である。
【0050】
請求項4の発明によれば、開閉式遮蔽部材を備え、これにより光源からの光の照射と遮蔽とを行うので、光源として蛍光灯を採用できるという利点がある。したがって、既に市場に多く設置されている既存の蛍光灯光源式電飾盤に、本発明を適用できることができる。また、光源として点滅できない蓄光材のような光源も使用できる。
【0051】
請求項5の発明によれば、光源からの光が透光材に当たった時にも表示し続けたい透視基材上の部分画像を遮光性を有する基材に描き、これを透視基材(孔開き材、スリット材)又は透光材(透光材)に貼り付けるなどにより、部分画像が、多数穴や縞状透視部から出てくる光の影響を受けにくくしたので、以下の効果が得られる。透視基材上に描かれた画像は、光が透光材に当たった時には、多数穴や縞状透視部から出てくる光の影響で、見えにくくなる。もしくは、薄く見える。しかし、透視基材上に描かれた画像の一部を、遮光性を有する基材に描き、これを透視基材に貼り付ければ、光源点灯時にも見ることができる。これにより、設置場所周囲の光によって得られる部分画像の深い陰影の落ち着いた見え方が維持され、透光材上の電飾画像を背景にした濃度領域の広い全体画像表現が得られる。電飾画像を背景にした部分画像は、見る者に遠近感も与えることができる。また、透光材に当たる光の明るさを落とせば、干渉画像の中で部分画像部のみ完全画像としてみることができる。部分画像部は、穿孔した特殊な素材でなく、市販の安価な印刷用基材に形成できる。
【0052】
請求6の発明によれば、前記裏画像を形成した前記透光材をスクロール可能としたことで、本発明の複数画像表示方法の表現幅が広がり、多彩な内容、物語性を提供できる。すなわち、裏画像を形成した前記透光材を光源点灯中又は光の開放中にスクロールすることで、透光材に形成した画像を順次見せるだけでなく、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を配置すれば、スクロール画像をその背景とした表現が可能になる。例えば、車窓から風景が見える画像例で言えば、車窓と人物を部分画像として常に固定して見え続ける画像とし、窓から見える風景画像をスクロールすれば、電車に乗っているような感覚を提供できる。風景を止めれば電車が停止し、光の強さを弱めれば透視基材上の車窓部分の画像と透光材上の停止画像との干渉画像が見える。ここで、光源の消灯又は光を遮断すれば、透視基材上の車窓部分の完全画像が見える。これを駅構内の画像とすれば、電車が駅で停車しているように見せることができる。一方、透視基材上の車窓部分を暗い色合いに形成しておけば、最高照度で昼の風景画像をスクロールすれば、昼の風景の移動となるが、光の強さを少し落としてスクロールすれば夕方の風景の移動、さらに光の強さを落とせば夜の風景の移動表現ができる。
他の例で、ジェット機が飛行する例を挙げる。光が背後から当たった状態で、背景である上空から見た地上画像を透光材上に形成してスクロールすれば、透視基材上の部分画像として配置されたジェット機は、スクロール方向と逆方向へ移動しているように見える。又、繰り返される斜め線模様を形成してスクロールした時にスクロール方向と直角方向へ画像が流れているように見える例が、床屋のシンボル・回転サインポールなどに見られる。同様な斜め線模様を背景としてジェット機画像を表画像に残せば、ジェット機がスクロール方向と直角方向へ移動しているように見える。
【0053】
請求項7の発明によれば、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことで、本発明の複数画像表示方法の表現幅が広がり、動きに多様性を与えることができる。すなわち、前記透光材に光源からの光が部分的に当たるようにして、その部分光をスクロールすることで、透光材に形成した画像を流れるように次々に見せるだけでなく、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を透視基材上の表画像に配置することで、部分画像を部分光スクロール方向と逆方向へ移動しているように見せられる。
【0054】
請求項8の発明によれば、前記透光材に当たる部分光のスクロールを前記透光材と光源の間に置いた遮光素材のスクロールによって行うことで、光源をプログラムコントロールする手法と比較し大幅なコストダウンができる。光源のプログラムコントロールほどの自由度は無いが、部分光の形を変えるには遮光素材の光の透過口の形を変えれば済む。遮光素材の光の透過口は穴を開けるか、透明素材で形成する。遮光部に多数の穴又はスリットを設けて、光源の調光と同様な効果を出すことも可能である。
【0055】
請求項9の発明によれば、前記裏画像を形成した前記透視基材をスクロール可能としたことで、本発明の複数画像表示方法の表現幅が広がり、多彩な内容、物語性を提供できる。すなわち、前記透視基材に形成した表画像を順次見せるだけでなく、請求項5に記したような光が背後から当たっても視認できる部分画像を配置して、光源点灯中又は光の開放中に透視基材をスクロールすれば、裏画像を背景としての部分画像移動が可能になる。例えば、車窓から風景が見える画像例で言えば、車窓と人物を移動する部分画像として、窓から見える風景画像が固定画像になる。電車が通り過ぎるような感覚を提供できる。これを1種類の物語表現とすると、部分表画像と風景裏画像を交互にスクロールと停止をさせれば、移動感を与える物語種類を増やすことができる。光の強さを弱めての干渉画像表現、光源の消灯又は光の遮断による画像変化幅などは請求項7に記した発明の効果と同様である。
【0056】
部分光スクロールとの組み合わせ例も挙げる。表画像である車窓から見える風景を夜景として暗くする。光源の前に挿入するスクロール可能な前記部分遮光素材の完全開放面を選んで光を通過させれば、前記透光材の裏画像を背景とした車窓(表部分画像)が見える。透光材裏画像を青空の景色とすれば、昼の電車移動感を与えられる。次に、前記透光材の裏画像スクロールを継続し、雷模様を形成した前記部分遮光素材はやや遅めにスクロールさせながら光源の点灯と消灯を繰り返せば、雷の落ちる夜景の中を電車が移動しているように見せられる。
【0058】
請求項10の発明によれば、透視基材と透光材との間に、画像が描かれていない半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)を挿入したので、以下の効果が得られる。すなわち、上下の基材間に挿入された画像の無い半透明フィルターが、下側画像の見え方を制限し、2つの画像の干渉を弱める。そのため、ワンセットの画像の色彩や濃淡組み合わせの自由度が広がり、複数画像の設置場所の制約が小さくなる。また、透視部材の透視部の開口率の大きい透視基材を使用できるようになる。例えば、開口率が50%では第2画像が見えやすいので、開口率を40%程度とする必要がある。しかし、このような基材を挿入することにより、開口率が50%でも使用可能となる。
【0059】
請求項11の発明によれば、透明フィルムに、透視度を落として、上下2つの画像の干渉を弱める働きをする模様を描いたので、下側画像の見え方を場所毎の部分画像に応じたレベルで制限できる。さらに、密度の異なる模様が接する部分の境目を目立たなくでき、ワンセットの画像の色彩や濃淡組み合わせ自由度がさらに広がる。さらに、透明又は半透明基材に模様を描けば、安く取り扱いの簡単な基材が得られる。
【0060】
請求項12の発明によれば、画像のないメッシュ基材、半透光材又は透明フィルムに描かれた模様が金属光沢を持つこととしたので、第2画像をより見え難くすることができる。
【0061】
請求項13の発明によれば、透視基材の表側に、画像のないメッシュ基材又は半透光材を配置したので、透視基材の画像に影が当たったようになり、透光材の画像をより見えやすくできる。このため、周囲照度が高い場所に設置しても、光源点灯時の透光材上の画像を明瞭に見せることができる。これにより、本発明の複数画像表示物の設置可能環境範囲を広げることができる。又、昼間のような照度の高い時間帯にも使用できることになる。
【0062】
請求項14の発明によれば、表画像と裏画像を形成した透光材を、または表画像を形成した透視基材と裏画像を形成した透光材の2枚の画像シートセットを、光源に重ねて一体に収納することでコンパクト化される、持ち運びが容易になる。画像の位置関係も維持される。また、光源の点滅回路と、明るさを調節できる調光装置だけで、様々な画像切り替えのできる装置は低価格で有用である。
【0063】
請求項15の発明によれば、継続点灯する光源であっても、該光源の前方に開閉式遮蔽材を配置することで、本発明の複数画像表現が既存の電飾ディスプレイで実現できる。光源の点滅回路と、明るさを調節する調光装置を代替でき有用である。
【0064】
請求項16の発明によれば、裏画像がスクロールされるような長尺素材になるので、様々な画像種類を裏画像として準備でき、表画像を形成した透視基材に対して裏画像をスクロールすることで表裏画像間で幅広い表現を可能とする。
【0065】
請求項17の発明によれば、請求項14〜16にのいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことで表裏画像間で幅広い表現を可能とする。
【0066】
請求項18の発明によれば、請求項14〜17にいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、第1の画像(表画像)を形成した透視基材と、第2の画像(裏画像)を形成した透光材をその後側に配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透視基材をスクロールすることで表裏画像間で幅広い表現を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0067】
次に、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
【0068】
図1は、本発明の第1の実施の形態(請求項1〜3の発明)において、第1の画像(表画像)シートと第2の画像(裏画像)シートの2枚の画像シートセットを設置した複数画像表示装置例の構成を説明する分解斜視図である。図2は、図1の複数画像表示装置における請求項2の場合の画像シートと光源の側面図である。図3は、本発明に用いられる第1の画像(表画像)と第2の画像(裏画像)を1枚のシートに形成した複数画像表示用の画像シート構成を説明する側面図である。
【0069】
複数画像表示装置は、面光源以外の光源(蛍光灯やハロゲンランプなど)を使用した場合には、透視基材4や透明材3を円筒状や円錐状にすることができる。
【0070】
図1に示すように、この複数画像表示装置は、枠1を有し、この枠1と透明カバー5との間に、広告物と光源が収納される。広告物は、枠1の側から順に重ねられた、透光材3と、多数の円形の孔4aが開けられた透視基材(スリット材)4とから成り、それらの下(枠1側)に点滅できる光源2が差し込まれる。図2に示すように、透視基材4の表面には、第1の画像P1(表画像)が描かれており、第2の画像PA(裏画像)は透光材の表裏どちらに形成してもよいが、本例では半透明な透光材との組み合わせでより好ましい裏面に描かれている。なお、透視基材4は、孔ではなく多数のスリットが開けられたものでもよい。また、透光材3は透明または半透明な基材である。
【0071】
光源2の非点灯時には、透視基材4に描かれた表画像P1が見える。光源2を点灯させると、図2の一点鎖線で示すように、光源2から透光材3と透視基材4の孔4aを通して光が出てくる。このため、透視基材4の表側は影となり、視覚には暗色としか映らない。そして、図2の破線で示すように、透視基材4の孔4aを通して透光材3に描かれた裏画像PAが見える。このように、光源2を点滅させることにより、瞬時に2種類の画像を表示することができる。光源2の点滅間隔は、画像の内容によって変化するが、表画像P1と裏画像PAとが連続して見える範囲内で選択する。一般的には、0.25秒〜10秒が好ましい。
【0072】
また、光源2の点灯時に、輝度調整を行えば、透視基材4に描かれた表画像P1と透光材3に描かれた裏画像PAの干渉画像を観察できる。すなわち、最高輝度の時には裏画像PAが見えるが、輝度を下げて行くと表画像P1が徐々に現れてくる。透視基材4の開口度や光源によって異なるが、明るさが一定レベル以下になると、完全に切り替わって表画像P1のみを視認できる。人物の画像が狼の画像に次第に変化するようなモーフィング変化を楽しませることができる。
【0073】
図3に示される画像シートは、図1に示す透光材3と透視基材(スリット材)4の機能を1枚のシートに形成したものである。光の透過する多数の円形孔4aの機能は、この例では、非画像部と透光材で代行される。透光材3の一方の面に、3層からなる不透明な第1の画像P1(表画像)が形成される。3層の構成は、最上層の画像層P1a、中間層の白色層P1b、最下層の遮光暗色層P1cからなる。遮光暗色層P1cは、透光材3の表面に密着している。透光材3の他方の面には、第2の画像PA(裏画像)が反転したミラー画像として形成される。開口部の開口率の範囲は概ね25%〜70%である。望ましい範囲は30%〜50%である。透光材3の基材としては、乳白色半透明基材、白コート透明基材、透明基材などが使用できる。なお、白色層P1bが十分な遮光性を有する場合は、最下層の遮光暗色層P1cは省略できる。光源2の非点灯時には、透光材3の表面に描かれた表画像P1が見え、点灯中は図3の一点鎖線で示すように、光源2から透光材3の孔4aを通して光が出てくる。このため、表側は影となり、視覚には暗色としか映らない。そして、図3の破線で示すように、孔4aを通して透光材3に描かれた裏画像PAが見える。
【0074】
図4は、本発明の第2の実施形態(請求項4の発明)に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。図5は、図4のシャッターとして、スリット入り多孔材を複数枚重ねた開閉式遮蔽材を用いた複数画像表示を説明する側面図である。
【0075】
この例の複数画像表示装置は、図1の複数画像表示装置とほぼ同じ構成であるが、光源2として点滅させ易い光源以外の光源を使用した点で異なる。点滅させ易い光源以外の光源とは、例えば、点滅ができない蓄光材のような光源や、点滅反応の遅いあるいは点滅による寿命短縮が著しい蛍光灯などである。
【0076】
図4の例においては、光源2と透光材3との間に、開閉可能なシャッター6(開閉式遮蔽材)を備える。シャッター6は、例えば、開閉可能な多数の細長い遮蔽小片7からなる。このシャッター6を開閉することにより、継続点灯する光源2を使用しても、光の点灯と消灯とを繰り返すことができる。このような遮蔽小片7は移動ストロークが小さいので、高速切り換えが可能になる。遮蔽小片7の形状は細長い形状に限定されず、魚の鱗のような小片を前後左右に並べたようなものでも良い。遮蔽小片7の開き方を加減すれば、通過する光量が調節され、電気的な調光装置が省略できる。開き方の加減で遮蔽小片7の影が透光材3に当たる問題は、遮蔽小片7の枚数を増やして一枚の幅を狭くする(例えば図の6枚を8枚にする)か、透光材3からの距離を広げれば解決できる。
【0077】
図5の例においては、図4の開閉可能なシャッター6(開閉式遮蔽材)を、遮光性ある多列スリット入り多孔基材を3枚(6a、6b、6c)重ねて構成する。すなわち、三枚を相対的移動させ、それぞれのスリット開放部分を遮蔽部分で覆うようにすれば光の遮断ができ、3枚の遮蔽部分を完全に重ねればスリットから最大光量が透過できる。
移動ストロークが小さいので高速切り換えが可能になり、遮蔽部分13の重なり量を加減すれば、通過する光量が調節され電気的な調光装置が省略できる効果は同様である。開き方の加減で遮蔽部分の影が透光材3に当たる問題の解決策は図4のシャッター6と同様である。
複数枚重ねて光源の前に配置する前記遮光性多列スリット入り多孔基材は、光が漏れないよう薄い方が良いが、一方で、長いスリットを並べて連続形成しても基材の形が崩れない性質が求められるので、アルミなどの金属薄膜で遮光部を形成した透明フィルムが適している。
シャッター6を二枚のフィルムで構成する場合は、スリット入り多孔基材(6a、6c)の遮光層を向かい合わせて使用する。三枚の場合は、図に示すように中間に加える6bは片面に遮蔽層を形成しても良いが、表裏両側に遮光層を形成したものが光の回折に対して有利である。
【0078】
図6は、本発明の第3の実施の形態(請求項5の発明)に係る複数画像表示方法を説明する側面図である。この例の複数画像表示装置は、図1の装置と同様の構成であるが、透光材に光が当たる・当たらないに関わらず、透視基材4に描かれた画像P1の一部の画像(部分画像)P10を常時表示するためのものである。逆に言い方をすると、画像PAの一部の画像(部分画像)を透光材に光が当たった時に表示するためのものである。図7は、図3に示す画像シートを用いて、請求項5の発明効果を得るための方法を説明する側面図である。
【0079】
表画像と裏画像から成る2枚の画像シートセットを用いる図6の例においては、
部分画像P10を、透視基材4と別の、遮光性を有する基材15に描き、その基材15を透視基材4の部分画像P10位置の表又は裏に接着剤を介して貼り付ける。透光材に光が当たらない時には、透視基材4に描かれた画像P1と、基材15上の部分画像P10を見ることができる。そして、光が当たっても、基材15は遮光性を有しているので、光源の光が通過せず、基材15上の画像P10を見ることができる。したがって、透光材に光が当たった時には、透光材3上の画像PAとともに、画像P10を見ることができる。なお、この部分画像P10と同じ形状の暗色べた画像を、透視基材4の部分画像P10位置の裏面、もしくは、透光材3の表面又は裏面に貼り付けてもよい。また、透光材3の画像の中の部分画像P10を暗色べたに塗りつぶしてもよい。
【0080】
表画像と裏画像を形成した1枚の画像シートを用いる場合においても、部分画像P10を遮光性を有する基材15に描き、その基材15を、部分画像P10位置の表に接着剤を介して貼り付けるか、部分画像P10と同系上のべた画像を部分画像P10位置の裏に貼り付けるかすることで、光源点灯時には、透光材3上の画像PAとともに、基材15上の画像P10を見ることができるのは同様である。
【0081】
図7の例は、表画像と裏画像を形成した1枚の画像シートを用いる場合の、請求項5の発明効果を得るもう一つの方法を説明するための側面図である。遮光性を有する基材15を貼り付けるのでなく、画像形成時に部分画像P10部のみを孔無しに形成する。すなわち、部分画像P10部のみ完全画像で三層を形成(図7B)するか、三層の最下層である遮光暗色層P10cを部分画像P10部のみ完全画像で形成する(図7A)。部分画像の三層は、最上層部分画像層P10a、中間白色層P10b、最下層遮光暗色層P10cからなる。透光材に光が当たらない時には、透光材3上に描かれた画像P1と部分画像P10を見ることができる。そして、光が当たっても、最下層遮光暗色層P10cが遮光性を有しているので、光源の光が通過せず、透光材3上の画像P10を見ることができる。したがって、光源点灯時には、透光材3上の画像PAとともに、画像P10を見ることができる。
【0082】
図8は、本発明の第4の実施の形態(請求項6の発明)に係る透光材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。この例の複数画像表示装置は、画像P1の描かれた透光材3を上下にスクロール可能とするためのものである。
【0083】
この複数画像表示装置は、広告物と光源が収納される枠1を有し、表側に透明カバー5に保護された透視基材4と、内部にLEDランプ2aを上下両端に配列した導光板2bから成る光源2と、これらの中間にスクロール可能な透光材3とを収納している。透光材3のスクロールは、上下の巻き取り・巻き出し用ローラー7に連結したモーターで行われる。なお、本例は、長尺透光材を巻き取り・巻き出ししてスクロールするためのものだが、透光材をループ上に結合して回しても良い。透光材に光が当たらない時には、透視基材4に描かれた画像P1及び部分画像P10を見ることができ、光が当たると、透光材3上の画像PAを背景として画像P10が見える。したがって、光源点灯時に透光材3上の画像PAをスクロールすれば。画像P10はその反対方向へ移動して行くように見せられる。
【0084】
図9は、本発明の第5の実施の形態(請求項7及び8の発明)に係る透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。本例の複数画像表示装置では、開口部を持つ部分遮光素材10のスクロールによって部分光のスクロールが行われる。
【0085】
この複数画像表示装置は、枠1の画像設置部に、表側から順に、透明カバー5、透視基材4、透光材3が重ねてセットされ、その後方にスクロール可能な部分遮光素材10と、最後方に光源2(LEDランプ2aを上下両端に配列した導光板2b)を収納している。
部分遮光素材10の開口部は四角形、円形、星型など様々な形が採れる。スクロールは、上下の巻き取り・巻き出し用ローラー7に連結したモーターで行われる。なお、本例は、長尺部分遮光素材を巻き取り・巻き出しして光源からの部分光をスクロールするためのものだが、部分遮光素材をループ上に結合して回しても良い。
【0086】
透光材に光が当たらない時には、透視基材4に描かれた画像P1及び部分画像P10を見ることができ、光が当たった時に、部分遮光素材10の光の完全開放部分を巻き出して停止させ、透光材3上の画像PAに合わせておけば、画像PAを背景として画像P10が見える(図9A)。次に、部分遮光素材10のスクロールを開始して、光を部分透過させた形を移動すれば、画像P10はその反対方向へ移動して行くように見せられる(図9B)。
【0087】
図10は、本発明の第6の実施の形態(請求項9の発明)に係る透視基材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。この例の複数画像表示装置は、画像P1を形成した透視基材4を上下にスクロール可能とするためのものである。
【0088】
この複数画像表示装置は、画像を保護する透明カバー5が枠1表側に固定され、
その後側に上下に多数の表画像P1が形成されたスクロール可能な透視基材4が配置され、更にその後側に裏画像PAが形成された透光材3が配置され、最後方に光源2(LEDランプ2aを上下両端に配列した導光板2b)を収納している。透視基材4のスクロールは、上下の巻き取り・巻き出し用ローラー7に連結したモーターで行われる。なお、本例は、透視基材4を巻き取り・巻き出ししてスクロールするためのものだが、透視基材4をループ上に結合して回しても良い。
【0089】
透光材に光が当たらない時に透視基材4をスクロールすれば、表画像P1を順次見せることができ、光が当たると表画像P1は見えなくなるが、透光材3上の画像PAを背景として透視基材4上の部分画像P10を移動できる。
【0090】
前述では、透視基材の孔部(スリット、透視部)は、多数の孔や、多列の長方形孔が貫通しているものであった。しかし、透視基材として、透明フィルムに、多数の円形部やスリット部が透明なまま残るように印刷したものを使用してもよい。いずれの場合も、孔部(スリット、透視部)の開口率の範囲は概ね25%〜70%である。望ましい範囲は30%〜50%である。
また、図1で示した、2種類の画像を表示する装置においては、透視基材の裏側に接着性を持たせて、透明材(透光性基材)に貼り付けてもよい。
【0091】
透光材としては、ポリエステルやビニールなどの半透明あるいは透明樹脂フィルムを使用できる。下側に配置する光源の明るさが低いと透明材上の画像の見え方が弱まるので、透明樹脂フィルム採用が好ましい。光源が十分に明るければ半透明樹脂フィルムも使用できる。採りうる厚み範囲の概ね20〜500μm、望ましい厚み範囲の25〜200μmである。
【0092】
面光源としては、複数の蛍光灯を並べたもの、LED光を出射面全体に広げる導光板、光ファイバを並べた平面発光面、プラズマディスプレイも使用可能だが、厚み、価格、重量、使用場所範囲などから考えると発光数値800〜3000ルクスのEL発光フィルム又は1500ルクス以上のLED導光板が好ましい。図2に示したシャッターを使用する場合は、蓄光フィルムのような点滅のできないもの、蛍光灯、蓄光体光源、白熱電球、ハロゲン電球、水銀灯を含むアーク放電灯など、多様な光源が利用可能になる。
【0093】
2種類の画像を表示させる装置の場合、透視基材、透光材及び光源は、必ずしも密着させる必要は無い。各部材間に空間があっても本発明の効果は得られるので、枠に収納せず、例えば近距離空間に垂れ下げてもよい。従って、各部材間に、摩耗防止の目的で透明なガラス板や樹脂板が介在してもよい。
【0094】
このような、透視基材と透光材間、又は、透光材と光源間に種々の目的(画質向上、摩耗防止)で挿入させる部材について説明する。
【0095】
図11は、請求項10〜13に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。この例では、透視基材4と透光材3との間に、メッシュ材又は半透明材11を挿入する。
【0096】
光源非点灯時に、透光材3上に描かれた画像PAが、透視基材4の孔4aから見えて、透視基材4上に描かれた画像P1と干渉して見難い場合がある。このような場合、透視基材4と透光材3との間に、半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)11を挿入すると、透光材3上の画像PAが見えにくくなり、透視基材上の画像4aが鮮明に見える。
【0097】
なお、半透明フィルター11は、無彩色であることが好ましく、さらには、金属光沢を有する無彩色であることが好ましい。半透明フィルター11として、網模様、点模様または線模様を形成した透明又は半透明基材を使用する場合は、金属光沢を有する無彩色模様を箔転写などの方法で形成することが好ましい。メッシュ材は、細い金属線や繊維が格子状に編まれたものである。金属線は遮光性を有しているので、前述の透光材3上の画像PAを見えにくくするという効果が高い。
【0098】
なお、網模様とは、上下方向及び左右方向に交差する線からなる格子模様のことである。点模様とは、各種印刷方式の網点のようなドット模様であり、円形や4角形だけでなく形状は限定されない。線模様としては、印刷方式網点の中の砂目模様が一例として挙げられる。インクジェット印刷の場合は、誤差拡散方式による砂目模様がよく知られている。採用する網点の細かさは、透視基材に形成された多孔ピッチ精度に影響を受ける。多孔ピッチ精度が高まるほど、網点の細かさも高める必要がある。一般のワンウェイビジョンフィルムを用いると、穴径は1.5mm〜2mm程度で多孔ピッチが2mm〜3mm程度なので、この場合は各模様とも1インチ10線〜20線程度の細かさでも十分使用できる。
網点の細かさが高過ぎて大きな問題になることは無い。
【0099】
さらに、模様が形成された透明又は半透明基材は、模様の濃度あるいは密集度を変化させることができるので、以下に示すように、メッシュ材や半透明材よりも有利な点がある。メッシュ材や半透明材を部分的に挿入すると、これらが存在する部分と存在しない部分の境界に、これら挿入材の端面が認識されやすい。一方、模様が形成された透明又は半透明基材の場合、中間濃度を採って境界をぼかすことができるので、模様の切れ目が視認できなくなる。また、転写などの方法で金属箔模様を形成すれば、金網などより扱いやすい金属光沢を有する挿入材を得ることができる。
【0100】
さらに、画像の色彩、濃度、形状に応じて模様の形状と濃度を変えることができる。透光材上の画像をより見えにくくしたい場合は、この画像の部分に対応する模様の濃度を高めればよい。色彩を変えたほうが透光材上の画像を見えにくくする効果がある場合は、模様の色彩を変える。
【0101】
また、図11の想像線で示すように、別のメッシュ材又は半透明材12を、透視基材4の前方に配置することもできる(請求項13に係る発明)。このメッシュ材又は半透光材12は、無彩色であることが好ましい。周囲の照度が高い場所では、光源点灯時に透光材3上の画像が見えにくい場合がある。そこで、メッシュ材又は半透明材12を、透視基材4の前方に配置すると、透視基材4上の表画像P1を影が当たった場所に置いたようになり、点灯時に透光材3上の裏画像PAが見えやすくなるためである。なお、光源非点灯時には、透視基材4上の画像がやや見えにくくなるが、画像が見える程度にメッシュ材の開度や半透光材の濃度を選択すればよい。
【実施例】
【0102】
次に、本発明の具体的な実施例を説明する。
【0103】
(実施例1)
孔径1.5mm、開口率50%の紙質ワンウェイビジョンシート「PanoRamaVision」(商標、ContinentalGrafix社製)に表画像をインクジェットによりプリントして透視基材を準備した。また、厚さ100μmの透明ポリエステルフィルム「キモアートシリーズ・透明PET」(商標、きもと社製)に裏画像をインクジェットによりプリントして透光材を準備した。透視基材の下方に透光材を配置し、さらにその下に厚さが0.6mmで明るさ1000ルクスのELシート「FlexLit」(商標、MASCOT TECHNOLOGY社製)を敷いた。これらを、床広告保護敷物「フロアウィンド」(商標、FloorWindo International社製)の中に収納した。ELシートを消灯すると、ワンウェイビジョンシート上の表画像が見え、点灯させると透明ポリエステルフィルム上の裏画像が見えた。次に調光装置を用いてELシートの明るさを600〜700ルクスに落とすと表画像が見え出し、300〜400ルクスでは裏画像の方が強く見えるようになった。
【0104】
(実施例2)
UV硬化型顔料インクを搭載したスーパーワイドフォーマットプリンタVUTEK QS2000(商標、イー・エフ・アイ社製)を用いて、188μm厚みの透明ポリエステルフィルム「PET白コート」(商標、サンリュウ社製)と、厚さ188μmの乳白ポリエステルフィルム「U298W」(商標、帝人デュポンフィルム社製)と、片面白色コーティングを施した188μm厚みの透明ポリエステルフィルム「PET白コート」(商標、サンリュウ社製)の3枚のフィルムに表画像をインクジェットプリントで形成した。PET白コートは、白色コーティングを施した側に表画像を形成した。黒色にCMY三色を加えて遮光性を高めた暗色層の上に、白色層、画像層を乗せた3層から成る表画像には、穴径1mmで開口率40%の多孔開口部を持たせた。表画像形成面と反対側(裏面)には多孔開口部の無い反転裏画像を昇華転写印刷で形成した。昇華転写印刷画像は、昇華インク「HANAE−Dタイプ」(商標、サンリュウ社製)をJV−4プリンタ(商標、ミマキエンジニアリング社製)に搭載して、転写紙「HTR−4000」(商標、Coldenhove社製)の上に印刷して乾燥させた後、180℃2分間の熱転写条件によって形成した。完成した画像シートを明るさ2200ルクスのLEDライトパネル「B1−LED−W」(商標、有限会社ルミテクノ社製)に挿入して画像の見え方を確認した。LEDパネル消灯時には、表画像が見えた。透明ポリエステルフィルムの表画像のみ裏面の反転裏画像が干渉して見苦しく見えた。乳白ポリエステルフィルムは厚く、転写浸透画像は表画像側(転写反対面)まで鮮明には見えないので、表裏画像の干渉は気にならない程度だった。一方、白色コーティングを施したポリエステルフィルムは転写浸透画像が透明層に形成されているので、消灯時には白色コーティングを透過しては見えない。表裏画像の干渉は最も少なかった。LEDパネルを点灯させると、裏画像が電飾画像として見えた。3枚のフィルムとも深みのある鮮やかな発色だった。
【0105】
(実施例3)
実施例1で用意した透視基材と透光材を用いて、ELシート非点灯時の透視基材上の表画像の見え方をチェックした。透視基材上の表画像の陰影の濃い部分では、透光材上の裏画像が透視基材の孔部から透けて見え画像が干渉していた。そこで、透視基材と透光材の間に、網目寸法80ミクロンで透視率60%程度の白色あるいは黒色のポリエステル高密度メッシュ布「クロスキャビン」(商標、帝人ネステックス社製)を差込んだ。すると、裏画像が見え難くなり、画像干渉が大幅に改善された。黒色メッシュ布は白色メッシュ布より裏画像を隠す効果がより大きいが、白色メッシュ布はELシート点灯時にその照度をほとんど落とさず、透光材上の裏画像がより見やすかった。この例では、メッシュ布を画像全面に挿入したが、効果の得られる部分だけに挿入してもよい。なお、半透明な黒色あるいは乳白色のフィルムあるいはガラス板を挿入しても、メッシュ布挿入と同様な効果が得られる。
【0106】
(実施例4)
実施例3で使用した高密度メッシュ布「クロスキャビン」を、同布よりも網目寸法のより大きなメッシュ、網目空隙600ミクロンの黒色ポリエステルメッシュ布「クロスキャビンVT」(商標、帝人ネステックス社製)に差し替えた。網目が大きい分だけ裏画像を隠す能力は下がるが、見えにくくする効果は得られた。さらに、このメッシュ布に変えて、メッシュ24番(線径0.25mm、開口率58.6%)と、メッシュ40番(線径0.18mm、開口率51.3%)のステンレスメッシュ金網「ステンレス304平織り金網」(商標、網忠金網社製)を順次挿入して効果を確認した。メッシュ布に比較し、これらの金網の場合は、透視基材の孔部から見える線の金属光沢で入光が反射するので、下側画像の隠蔽効果が最も大きかった。同時に光を吸収せず反射するので、ELシート点灯時には裏画像も明るく見えた。金網と同じような効果を得るために、蒸着やスパッタリングなどの手法で金属を被せたメッシュ布を用いることもできる。
【0107】
(実施例5)
実施例1で使用した各種部材で、以下のようなスポーツジム広告用画像を作成した。先ず、表画像として、ボディビルダーがダンベルを持って腕を下ろしている画像を使用し、裏画像として、ボディビルダーがダンベルを持ち上げている画像を使用した。ELシート光源の点滅を1秒間隔で繰り返すように設定すると、ボディビルダーがダンベルの上げ下げ運動を続けているように見えた。
【0108】
(実施例6)
実施例1で使用した各種部材で、以下のような住宅広告用画像を作成した。表画像として、青空と地面、住宅を描いた画像を使用した。裏画像として、同じ住宅の背後を暗転して空に雷が落ちる画像を使用した。1秒と2秒間隔でELシート光源の点滅を繰り返すと2秒間の静かな風景の後に1秒間嵐が訪れた風景となり、物語性を感じさせられた。住宅と地面部分を、透視基材と同様に透光材に配置すれば電飾画像としてみることができる。しかし、光る雷との間の濃度差は大きくなく、見る者に与えるインパクトは小さい。そこで、住宅と地面部分と同一形の暗色べた印刷画像を、裏画像上に貼り付けると、光源点灯時に、透視基材上の住宅と地面部分が見えた。これは、電飾画像の濃度範囲を超えたもので、見る者に与えるインパクトは少し大きくなるが、黒色べた印刷画像を透過して出てくる光の影響があり本来より薄く見えた。最後に、住宅と地面部分と同じ形の遮光性ある暗色糊付きシートを透視基材の裏側に貼り付けると、光源点灯時に透視基材上の画像が本来の深い濃度で見えた。電飾画像を遠くの背景として、濃度感ある住宅と地面部分はより近距離に見えた。
【0109】
(実施例7)
実施例1で用意した複数画像とELシートを収納した床広告保護敷物「フロアウィンド」を窓の近くの床に置くと、付近の照度が高過ぎてELシート点灯時に裏画像が見え難かった。そこで、透視基材の上に0.5mm厚のスモークカラー塩ビシート「ユニサンデー」(商標、光社製)を置いてみた。淡い茶色味掛かった半透明の板だが色相への影響は気にならず、表画像の見え方も十分保たれ、同時にELシート点灯時に裏画像も見え易くなった。
【0110】
(実施例8)
蛍光灯を光源とする照度5000ルックスの内照パネルを壁面に取り付けた。その前面に、高遮光機能を備えた横型ブラインド「セレーノ25高遮光タイプ(ヒカリスト)」(商標、ニチベイ社製)が被るようブラインド固定用ヘッドボックスを壁に取り付け、ブラインド両サイドと下部の三方枠を暗幕フレームで囲み、光が漏れないようにした。実施例1と同様の透視基材と透光材を重ねて、横型ブラインドの前に垂らした。次に、内照パネルを点灯させて、横型ブラインドのスラット羽根の開閉操作をした。25mm幅のスラット羽根を回転させるだけなので光源の点滅に近い低負荷で高速な繰り返し作動が容易にでき、画像全面に当たる光の遮蔽と開放が素早くできた。その度に、2枚の画像が切り替わって見えた。実施例では光のシャッター装置として一般住宅用の横型ブラインドを用いてスラット羽根開閉操作を紐を引いて手動で行ったが、実際の光のシャッター装置は電動にして、画像の内容によって求められる照射タイミングに合わせた開閉作動をさせればよい。
【0111】
(実施例9)
実施例1で使用した各種部材と、ベルト状に繋いだシートを垂直方向にローリング回転させるバナースタンド「ロールポスター」(商標、Environment & Graphic社)と、LEDライトパネル「B1−LED−W」(商標、有限会社ルミテクノ社製)を用いて、透光材上の裏画像、開口部を持つ部分遮光素材、透視基材上の表画像の三種の基材をスクロール確認した。
先ず、透光材シートをローリングさせた。表画像を形成した透視基材を最前面に設置し、後に裏画像を形成してベルト状に繋いだ透光材シートをバナースタンドで垂らし、発光部を表画像側に向けたLEDライトパネル光源をベルト内側に設置する。光源非点灯時には最前面の表画像が見え、点灯させると裏画像が見えた。光源点灯のまま、上部モーターをONにしてベルトをローリングさせれば裏画像が滑らかに移動した。付属スイッチでモーターをOFFにすれば、裏画像の停止画像が見えた。光源非点灯時に見える表画像の中の遮光性を持つ部分画像として、飛行場で停泊するジェット機を用意すれば、光源を点灯させると、滑走路は無数の小さな家屋が見える上空から見た地上画像を描いた裏画像に変わり、同時にローリングを開始すれば地上はやがて海面に変わった。ベルトが1回転する頃に再び地上画像を準備し、ローリング停止後に光源を消灯すると、ジェット機は滑走路に停止した様に見えた。
【0112】
(実施例10)
次に、円形に開口部を設けた遮光素材を移動して、部分光をローリングさせた。表画像を形成した透視基材と裏画像を形成した透光材を前面に設置し、円形開口部を持つ遮光素材をベルト状に繋いだ部分遮光素材シートをバナースタンドで垂らし、発光部を画像側に向けたLEDライトパネル光源をベルト内側に設置する。透光材裏画像として円形開口部より小さな直径の花火を描き、それ以外の部分に暗色遮光素材を貼り付けると、透視基材上表画像として準備した夜景は、光源点灯時に花火部分のみ消える。逆の言い方をすれば、光の当たる花火部分以外は表示し続けたい部分画像として残る。部分遮光素材上の開口部は花火より大きく、花火位置に合わせて形成する。ローリングして開口部が花火位置に合った時に光源を点灯すれば、夜景に花火がぱっと打ち上げられた表現ができる。ローリングを下方に向かって継続すれば、花火が上から消え出す。この時に、LEDライト自体の輝度を次第に落とせば、花火が夜空に消え入る感じを繊細に表現できる。光源輝度を落として調光する代わりに、暗色遮光素材の開口部上側にスクリーンドットのような多数孔を開け、その度合いを次第に減らしておけば、ローリングが進むに従って透過光が減りやがて完全に消える、調光と同様な効果を得ることができる。
【0113】
(実施例11)
次の例は、最前面に表画像を形成した透視基材をベルト状に繋いでバナースタンドで垂らしスクロールし、裏画像を形成した透光材をセットしたLEDライトパネルをその後方に設置する。透光材裏画像として宇宙空間を描き、表画像には、部分画像として宇宙服を着た人間や宇宙船などを配置する。光源点灯時にベルト状透視基材をスクロールすると、宇宙空間を流されるように人間や宇宙船が下方(又は上方)へ移動する。スクロールを停止した時に消灯すると、突然人間や宇宙船などに広告文を付けた完全な表画像が現われ目を引いた。スクロールを再開する時に、光源の輝度を徐々に高めて最高輝度に達してからスクロールを再開すると、広告文とその背景が宇宙空間の中に消え入る感じで、映画のシーンを見ている感じがした。
【0114】
実施例9から11では、透光材上の裏画像、開口部を持つ部分遮光素材、透視基材上の表画像の三種の基材をそれぞれ単独でスクロールしたが、これらを複合してスクロールすれば更に豊かな表現と注目度アップの効果を上げることができる。又、表画像と裏画像を1枚の画像シートに形成した透光材をスクロールした場合は、表画像と裏画像の自由な差し替えはできないが、スクロール駆動部を1台で、組み合わせた両画像による表現を次々に切り替えできる利点が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の製品は、一方の側からのみ見える情報、広告などのデザインを、一箇所で複数枚数切り替え表示することで、画像に動きを与えて注目度を高めたり、多くの情報を表示したり、その変化を楽しんでもらう用途に用いる。本発明の方法と装置は、床、壁面、柱側面、独立看板、間仕切り、天井、車両外装面、窓ガラス面、広告塔、遊技機盤面、装身具、電気・電子機器などに活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】 本発明の第1の実施の形態(請求項1〜3の発明)に係る複数画像表示装置の構成を説明する分解斜視図である。
【図2】 図1の複数画像表示装置における請求項2の場合の画像シートと光源の側面図である。
【図3】 本発明に用いられる第1の画像(表画像)と第2の画像(裏画像)を1枚のシートに形成した複数画像表示用の画像シート構成を説明する側面図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態(請求項4の発明)に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図5】 図4のシャッターとして、スリット入り多孔材を複数枚重ねた開閉式遮蔽材を用いた複数画像表示を説明する側面図である。
【図6】 本発明の第3の実施の形態(請求項5の発明)に係る複数画像表示方法を説明する側面図である。。
【図7】 表画像と裏画像を形成した1枚の画像シートを用いる場合の、請求項5の発明効果を得るもう一つの方法を説明するための側面図である。
【図8】 本発明の第4の実施の形態(請求項6の発明)に係る透光材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図9】 本発明の第5の実施の形態(請求項7及び8の発明)に係る透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図10】 本発明の第6の実施の形態(請求項9の発明)に係る透視基材をスクロール可能とした複数画像表示装置を説明する側面図である。
【図11】 請求項10〜13に係る複数画像表示装置を説明する側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットの後方に、
あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像(表画像)を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートの後方に、
点滅可能な光源、又は光の通過量を制御できる光源を配置し、
該透光材に光が当たらない時に前記表画像を表示し、
該透光材に最高量の光が当たった時に前記裏画像を表示し、
該透光材に中間量の光が当たった時に前記表画像と裏画像の干渉画像を表示し、
光量を制御して両画像を動画的に表示する複数画像表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の複数画像表示方法において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の裏側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
透光材として半透明基材を用いて、第2の画像(裏画像)を半透明基材の裏面に形成したことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複数画像表示方法において、
光源の調光工程、又は光の通過量の制御工程において、
輝度、又は通過光量を連続的にあるいは段階的に変化させることで、
前記表画像と前記裏画像の干渉度合いを連続的にあるいは段階的に変化させることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
光源を点滅させる代わりに、継続点灯する光源から発せられる光の通過量を制御することによって表示画像を変化させる手段として、
前記透光材と光源の間に設置する複数小片に分割された開閉式遮蔽材から成るシャッター装置を採用したことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
光源からの光が前記裏画像に当たる時にも表示し続けたい前記表画像の中の部分画像がある場合に、
2枚の画像シートセットを用いる方法では、
該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像又は前記裏画像の表面又は裏面に貼り付けるか、
あるいは該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある暗色素材を表画像裏面又は裏画像の表面又は裏面に貼り付けた
ことを特徴とし、
1枚の画像シートを用いる方法では、
該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像の上側(透光材の表側)に貼り付けるか、
あるいは、該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある素材を、裏画像の上側(透光材の裏側)に貼り付けるか、
あるいは、表画像の該部分画像だけを開口部の無い完全画像に形成するか、
あるいは、表画像の該部分画像の領域だけ開口部を遮光暗色層で埋めるか、
あるいは、裏画像の該部分画像だけを暗色べた画像に形成する
ことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の裏側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項8】
請求項7に記載の複数画像表示方法において、
前記透光材に当たる光源の部分光のスクロールを、前記透光材と光源、又は前記透視基材と透光材の間に置いた開口部を持つ部分遮光素材のスクロールによって行うことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
第1の画像(表画像)を形成した透視基材と、第2の画像(裏画像)を形成した透光材をその後側に配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
該透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
前記透視基材と前記透光材との間に、画像の無い半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)を挿入することを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項11】
請求項10記載の複数画像表示方法において、
前記画像の無い半透明フィルターが、透明度を落とすための網模様、点模様、あるいは線模様を形成した透明フィルムであることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の複数画像表示方法において、前記透明度を落とすために形成した模様が、金属光沢を有する及び/又は無彩色であることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
前記透視基材の表側に、画像の無いメッシュ材又は半透光材を配置し、周囲照度が高い場所でも、前記光源点灯時に、又は光源の光を開放時に前記第2の画像(裏画像)を明瞭に見せることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項14】
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、
あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、
その後方に配置された光源と、
を備える複数画像表示装置であって、
前記光源が点滅と調光可能であり、
前記光源非点灯時には前記表画像が表示され、
前記光源最高輝度点灯時には前記裏画像が表示され、
中間輝度での点灯時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、
これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項15】
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、
その後側に配置された光源と、
前記光源の前方に配置された開閉式遮蔽材と、
を備え、
該遮蔽材閉時には前記表画像を表示し、該遮蔽材開時には前記裏画像を表示し、該遮蔽材中間解放時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、
これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の複数画像表示装置において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、
前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項18】
請求項14〜17にのいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項1】
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットの後方に、
あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像(表画像)を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートの後方に、
点滅可能な光源、又は光の通過量を制御できる光源を配置し、
該透光材に光が当たらない時に前記表画像を表示し、
該透光材に最高量の光が当たった時に前記裏画像を表示し、
該透光材に中間量の光が当たった時に前記表画像と裏画像の干渉画像を表示し、
光量を制御して両画像を動画的に表示する複数画像表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の複数画像表示方法において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の裏側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
透光材として半透明基材を用いて、第2の画像(裏画像)を半透明基材の裏面に形成したことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の複数画像表示方法において、
光源の調光工程、又は光の通過量の制御工程において、
輝度、又は通過光量を連続的にあるいは段階的に変化させることで、
前記表画像と前記裏画像の干渉度合いを連続的にあるいは段階的に変化させることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
光源を点滅させる代わりに、継続点灯する光源から発せられる光の通過量を制御することによって表示画像を変化させる手段として、
前記透光材と光源の間に設置する複数小片に分割された開閉式遮蔽材から成るシャッター装置を採用したことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
光源からの光が前記裏画像に当たる時にも表示し続けたい前記表画像の中の部分画像がある場合に、
2枚の画像シートセットを用いる方法では、
該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像又は前記裏画像の表面又は裏面に貼り付けるか、
あるいは該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある暗色素材を表画像裏面又は裏画像の表面又は裏面に貼り付けた
ことを特徴とし、
1枚の画像シートを用いる方法では、
該部分画像と同一画像を穴の無い遮光性ある基材に形成して前記表画像の上側(透光材の表側)に貼り付けるか、
あるいは、該部分画像と同一形状の穴の無い遮光性ある素材を、裏画像の上側(透光材の裏側)に貼り付けるか、
あるいは、表画像の該部分画像だけを開口部の無い完全画像に形成するか、
あるいは、表画像の該部分画像の領域だけ開口部を遮光暗色層で埋めるか、
あるいは、裏画像の該部分画像だけを暗色べた画像に形成する
ことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の裏側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項8】
請求項7に記載の複数画像表示方法において、
前記透光材に当たる光源の部分光のスクロールを、前記透光材と光源、又は前記透視基材と透光材の間に置いた開口部を持つ部分遮光素材のスクロールによって行うことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
第1の画像(表画像)を形成した透視基材と、第2の画像(裏画像)を形成した透光材をその後側に配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
該透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
前記透視基材と前記透光材との間に、画像の無い半透明フィルター(メッシュ材又は半透明材)を挿入することを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項11】
請求項10記載の複数画像表示方法において、
前記画像の無い半透明フィルターが、透明度を落とすための網模様、点模様、あるいは線模様を形成した透明フィルムであることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の複数画像表示方法において、前記透明度を落とすために形成した模様が、金属光沢を有する及び/又は無彩色であることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の複数画像表示方法において、
前記透視基材の表側に、画像の無いメッシュ材又は半透光材を配置し、周囲照度が高い場所でも、前記光源点灯時に、又は光源の光を開放時に前記第2の画像(裏画像)を明瞭に見せることを特徴とする複数画像表示方法。
【請求項14】
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、
あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、
その後方に配置された光源と、
を備える複数画像表示装置であって、
前記光源が点滅と調光可能であり、
前記光源非点灯時には前記表画像が表示され、
前記光源最高輝度点灯時には前記裏画像が表示され、
中間輝度での点灯時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、
これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項15】
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットと、あるいは、透光材の片面に遮光性を待たせた第1の多孔画像を形成してその裏面に第2の画像(裏画像)を形成した1枚の画像シートと、
その後側に配置された光源と、
前記光源の前方に配置された開閉式遮蔽材と、
を備え、
該遮蔽材閉時には前記表画像を表示し、該遮蔽材開時には前記裏画像を表示し、該遮蔽材中間解放時には前記表裏画像の干渉画像が表示され、
これにより両画像が動画的に表示されることを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の複数画像表示装置において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、
該透光材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、
前記透光材に当たる光源の部分光をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置。
【請求項18】
請求項14〜17にのいずれか1項に記載の複数画像表示装置において、
透視基材に形成した第1の画像(表画像)の後側に透光材に形成した第2の画像(裏画像)を配置した2枚の画像シートセットを用いる場合に、該透視基材をスクロール可能としたことを特徴とする複数画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−271482(P2009−271482A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141639(P2008−141639)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(502398492)株式会社サンリュウ (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(502398492)株式会社サンリュウ (5)
【Fターム(参考)】
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