説明

複数種類の電磁バルブユニットの共通コネクタの誤組防止構造

【課題】比較的簡単な構成で、複数種類の電磁バルブユニットの共通コネクタの誤組を防止する。
【解決手段】複数台の電磁バルブ21,22が共通基台14に取付け可能に構成され、電磁バルブからワイヤハーネス21a,21b,22a,22bが配索され、更に複数の端子を有する共通コネクタ16がワイヤハーネスの先端に接続される。共通基台に取付けられる電磁バルブの種類又は個数に応じて複数の端子へのワイヤハーネスの接続位置を変更するように構成される。また複数の端子のうち2端子間の通電の有無を複数箇所検査することにより共通コネクタの誤組を防止するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機等に用いられる複数種類の電磁バルブユニットの共通コネクタの誤組を防止する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、予め正常に配線した標準配線にならって配線を行うことにより配線路を作り、標準配線と配線路の末端を短絡するとともに、標準配線と配線路の先端をそれぞれ検出部の論理積回路に接続し、更に検査信号を直接論理積回路に加えるとともに、標準配線の先端から配線路を経て論理積回路に加えて、配線路の配線の良否を検査するように構成された配線自動検査装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この配線自動検査装置では、各論理積回路にそれぞれ記憶装置が接続され、記憶装置の出力側がコネクタを経て同一の制御部の直流電源に接続され、各標準配線の先端がコネクタを経て1個の走査器にそれぞれ接続される。また論理積回路が3個のリレーで構成され、そのうちの1個のリレーが記憶装置に共用され、その自己保持接点と表示ランプリレーのブレーク接点と表示ランプにコンデンサが並列に接続される。
【0003】
このように構成された配線自動検査装置では、配線路の配線が正常であって不良個所がなければ、論理積回路から出力されて記憶装置の表示ランプが消灯することにより、配線路が正常であることが記憶される。また配線路に断線の不良個所があれば、論理積回路から出力されずに記憶装置の表示ランプが点灯することにより、配線路に不良個所のあることが記憶される。更に配線路に誤配線があった場合には、誤配線のあった検出部の論理積回路が動作せずに、記憶装置の表示ランプが点灯することにより、配線路に不良個所のあることが記憶される。このように、標準配線と配線路の先端を接続する各検出部の記憶装置の表示ランプを点灯することにより、不良個所の存在を表示するので、不良個所の存在する場所を簡単に判別できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭49−41756号公報(請求項1、明細書第2欄第36行〜第3欄第10行、明細書第3欄第42行〜第4欄第24行、明細書第5欄第14行〜第5欄第17行、第2図〜第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示された配線自動検査装置では、予め標準配線を作製するとともに、比較的構成の複雑な論理積回路を必要とするため、装置を作製するのに多くの工数と部品を必要とする問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、比較的簡単な構成で、複数種類の電磁バルブユニットの共通コネクタの誤組を防止できる、複数種類の電磁バルブユニットの共通コネクタの誤組防止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、図1に示すように、複数台の電磁バルブ21,22を取付け可能な共通基台14と、電磁バルブ21,22から配索されるワイヤハーネス21a,21b,22a,22bと、ワイヤハーネス21a,21b,22a,22bの先端に接続され複数の端子16a〜16dを有する共通コネクタ16とをそれぞれ備えた複数種類の電磁バルブユニットであって、共通基台14に取付けられる電磁バルブ21,22の種類又は個数に応じて複数の端子16a〜16dへのワイヤハーネス21a,21b,22a,22bの接続位置を変更するように構成され、複数の端子16a〜16dのうち2端子間の通電の有無を複数箇所検査することにより共通コネクタ16の誤組を防止するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、共通基台14に2台の電磁バルブ21,22を取付け可能に構成され、共通コネクタ16が第1〜第4端子16a〜16dを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に図1に示すように、2台の電磁バルブが常開の電磁バルブ21又は常閉の電磁バルブ22のいずれか一方又は双方であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の観点の誤組防止構造では、複数種類の電磁バルブユニットが存在する場合、共通基台に取付けられる電磁バルブの種類又は個数に応じて複数の端子へのワイヤハーネスの接続位置を変更したので、各電磁バルブユニットの共通コネクタの複数の端子における2端子間の通電の有無を複数箇所それぞれ検査して確認する。この結果、共通コネクタの2端子間の通電の有無を複数箇所検査することにより、複数種類の電磁バルブユニットの仕様を見分けることができる。従って、各電磁バルブユニットの共通コネクタに対応する電力供給用のコネクタを確実に接続することができるので、共通コネクタの誤組を防止できる。
【0011】
本発明の第2の観点の誤組防止構造では、共通基台に2台の電磁バルブを取付け可能に構成し、例えば3種類の電磁バルブユニットが存在する場合、共通基台に取付けられる電磁バルブの種類又は個数に応じて第1〜第4端子へのワイヤハーネスの接続位置を変更したので、各電磁バルブユニットの共通コネクタにおける2端子間の通電の有無を2箇所それぞれ検査して確認する。この結果、共通コネクタの2端子間の通電の有無を2箇所検査することにより、3種類の電磁バルブユニットの仕様を見分けることができる。従って、各電磁バルブユニットの共通コネクタに対応する電力供給用のコネクタを確実に接続することができるので、共通コネクタの誤組を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明実施形態の電磁バルブユニットの共通コネクタの誤組防止構造を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、電磁バルブユニット11〜13は、2台の電磁バルブ21,22を取付け可能な共通基台14と、電磁バルブ21,22から配索されるワイヤハーネス21a,21b,22a,22bと、ワイヤハーネス21a,21b,22a,22bの先端に接続され第1〜第4端子16a〜16dを有する共通コネクタ16とをそれぞれ備える。共通基台14には第1及び第2取付部14a,14bが設けられ、電磁バルブは常開の第1電磁バルブ21と常閉の第2電磁バルブ22とからなる。共通基台14の第1取付部14aには、第1又は第2電磁バルブ21,22のいずれか一方を取付け可能に構成され、共通基台14の第2取付部14bには、第1又は第2電磁バルブ21,22のいずれか一方を取付け可能に構成される。但し、共通基台14の第1又は第2取付部14a,14bのいずれか一方には電磁バルブ21,22が取付けられない場合もある。
【0014】
この実施の形態では、共通基台14に取付けられる電磁バルブ21,22の種類又は個数によって3種類の第1〜第3電磁バルブユニット11〜13が設けられる。これらの電磁バルブユニット11〜13は車両の変速機17のシフトロッド等(図示せず)を駆動するために用いられる圧縮エアの流れを変更するように構成される。第1電磁バルブユニット11は、共通基台14と、共通基台14の第1取付部14aに取付けられた常開の第1電磁バルブ21と、共通基台14の第2取付部14bに取付けられた常閉の第2電磁バルブ22と、第1電磁バルブ21の一対のワイヤハーネス21a,21bが第1及び第3端子16a,16cにそれぞれ接続されかつ第2電磁バルブ22の一対のワイヤハーネス22a,22bが第2及び第4端子16b,16dにそれぞれ接続された共通コネクタ16とを備える(図1(a))。また第2電磁バルブユニット12は、共通基台14と、共通基台14の第1取付部14aに取付けられた常開の第1電磁バルブ21と、第1電磁バルブ21の一対のワイヤハーネス21a,21bが第1及び第3端子16a,16cにそれぞれ接続された共通コネクタ16とを備える(図1(b))。ここで、第2電磁バルブユニット12の共通基台14の第2取付部14bには第1及び第2電磁バルブ21,22のいずれも取付けられていない。更に第3電磁バルブユニット13は、共通基台14と、共通基台14の第1及び第2取付部14a,14bにそれぞれ取付けられた一対の常開の第1電磁バルブ21,21と、第1取付部14aに取付けられた第1電磁バルブ21の一対のワイヤハーネス21a,21bが第1及び第2端子16a,16bにそれぞれ接続されかつ第2取付部14bに取付けられた第1電磁バルブ21の一対のワイヤハーネス21a,21bが第3及び第4端子16c,16dにそれぞれ接続された共通コネクタ16とを備える(図1(c))。上記のように第1〜第3電磁バルブユニット11〜13では、共通基台14に取付けられる電磁バルブ21,22の種類又は個数に応じて第1〜第4端子16a〜16dへのワイヤハーネス21a,21b,22a,22bの接続位置を変更するように構成される。
【0015】
一方、共通コネクタ16の第1〜第4端子16a〜16dのうち2端子間の通電の有無を2箇所それぞれ検出する検査装置23は、検査用バッテリ24と、2個の第1及び第2検査用ランプ31,32と、共通コネクタ16に接続可能に構成され第1〜第4検査用端子26a〜26dを有する検査用コネクタ26とを備える。第1検査用ランプ31が検査用バッテリ24に接続されて第1検査回路41が構成され、第2検査用ランプ32が検査用バッテリ24に接続されて第2検査回路42が構成される。第1検査回路41の一部が開放され、これらの開放端が第1及び第3検査用端子26a,26cにそれぞれ接続される。また第2検査回路42の一部が開放され、これらの開放端が第2及び第4検査用端子26b,26dにそれぞれ接続される。更に第1検査用端子26aは第1端子16aに接続され、第2検査用端子26bは第2端子16bに接続され、第3検査用端子26cは第3端子16cに接続され、第4検査用端子26dは第4端子16dに接続される。
【0016】
このように構成された共通コネクタ16の誤組防止構造では、図1(a)に示すように、第1電磁バルブユニット11の共通コネクタ16に検査装置23の検査用コネクタ26を接続すると、検査装置23の第1検査回路41に第1電磁バルブ21の一対のワイヤハーネス21a,21bが接続されるので、第1検査用ランプ31が点灯し、検査装置23の第2検査回路42に第2電磁バルブ22の一対のワイヤハーネス22a,22bが接続されるので、第2検査用ランプ32が点灯する。また図1(b)に示すように、第2電磁バルブユニット12の共通コネクタ16に検査装置23の検査用コネクタ26を接続すると、検査装置23の第1検査回路41に第1電磁バルブ21の一対のワイヤハーネス21a,21bが接続されるので、第1検査用ランプ31は点灯するけれども、検査装置23の第2検査回路42の第2及び第4検査用端子26b,26d間が開放されているので、第2検査用ランプ32は消灯した状態に保たれる。更に図1(c)に示すように、第3電磁バルブユニット13の共通コネクタ16に検査装置23の検査用コネクタ26を接続すると、検査装置23の第1検査回路41に一対の第1電磁バルブ21,21の一方のワイヤハーネス21a,21aがそれぞれ接続されるので、第1検査用ランプ31が消灯した状態に保たれ、検査装置23の第2検査回路42に一対の第1電磁バルブ21,21の他方のワイヤハーネス21b,21bがそれぞれ接続されるので、第2検査用ランプ32が消灯した状態に保たれる。この結果、共通コネクタ16の第1〜第4端子16a〜16dのうち2端子間の通電の有無を2箇所検査することにより、3種類の第1〜第3電磁バルブユニット11〜13の仕様を見分けることができる。従って、各電磁バルブユニット11〜13の共通コネクタ16に対応する電力供給用のコネクタ(図示せず)を確実に接続することができるので、共通コネクタ16の誤組を防止できる。
【0017】
なお、上記実施の形態では、共通基台に2台の電磁バルブを取付け可能に構成し、共通コネクタが4つの端子を有するように構成したが、共通基台に3台又は4台以上の電磁バルブを取付け可能に構成し、共通コネクタが6つの端子又は8つ以上の端子を有するように構成してもよい。また、上記実施の形態では、常開の電磁バルブと常閉の電磁バルブの2種類の電磁バルブを共通基台に取付け可能に構成したが、3種類又は4種類以上の電磁バルブを共通基台に取付け可能に構成してもよい。ここで、常開の電磁バルブや常閉の電磁バルブ以外の電磁バルブとしては、3方2位置切換えの電磁バルブや流量調整用の電磁バルブ等が挙げられる。更に、上記実施の形態では、検査用バッテリ、検査用ランプ及び検査用コネクタを備えた検査装置により共通コネクタの2端子間の通電の有無を検査したが、テスターにより共通コネクタの2端子間の通電の有無を検査してもよい。
【符号の説明】
【0018】
11 第1電磁バルブユニット
12 第2電磁バルブユニット
13 第3電磁バルブユニット
14 共通基台
16 共通コネクタ
16a〜16d 第1〜第4端子
21 第1電磁バルブ
22 第2電磁バルブ
21a,21b,22a,22b ワイヤハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の電磁バルブ(21,22)を取付け可能な共通基台(14)と、
前記電磁バルブ(21,22)から配索されるワイヤハーネス(21a,21b,22a,22b)と、
前記ワイヤハーネス(21a,21b,22a,22b)の先端に接続され複数の端子(16a〜16d)を有する共通コネクタ(16)とをそれぞれ備えた複数種類の電磁バルブユニットであって、
前記共通基台(14)に取付けられる前記電磁バルブ(21,22)の種類又は個数に応じて前記複数の端子(16a〜16d)への前記ワイヤハーネス(21a,21b,22a,22b)の接続位置を変更するように構成され、
前記複数の端子(16a〜16d)のうち2端子間の通電の有無を複数箇所検査することにより前記共通コネクタ(16)の誤組を防止するように構成された
ことを特徴とする共通コネクタの誤組防止構造。
【請求項2】
前記共通基台(14)に2台の電磁バルブ(21,22)を取付け可能に構成され、前記共通コネクタ(16)が第1〜第4端子(16a〜16d)を有する請求項1記載の共通コネクタの誤組防止構造。
【請求項3】
前記2台の電磁バルブが常開の電磁バルブ(21)又は常閉の電磁バルブ(22)のいずれか一方又は双方である請求項2記載の共通コネクタの誤組防止構造。

【図1】
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【公開番号】特開2012−2668(P2012−2668A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137985(P2010−137985)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】