規則的に間隔をおいて配置されたマイクロ細孔を有する微粒子フィルタを製造するためのデバイスおよび方法
様々な実施形態は、規則的に間隔をおいて配置される細孔を有する微孔性の微粒子フィルタを製作するためのデバイスおよび方法を開示しており、そこでは、シート膜基板がマスクを通すことによって高エネルギー粒子の放射に曝露され、損傷した領域が適切な現像剤の中で除去される。必要とされる被写界深度は、回折を最小化するための高エネルギー粒子と、適切に小さな直径を有する高エネルギー粒子の供給源とを用いることによって達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明者)
John C. Wolfe (テキサス州、ヒューストン)
Paul Ruchhoeft (テキサス州、ヒューストン)
(政府の後援)
本発明は、NSF賞ECS−0404308に基づいて、部分的に政府の支援によってなされた。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、規則的に間隔をおいて配置されたマイクロ細孔の高密度アレイを有する膜と、マクロポーラス(macroporous)支持体とを備える微粒子フィルタを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.背景技術の説明)
リソグラフィー装置またはデバイスは、所望のパターンを基板上に、通常膜基板などの基板のターゲット部分の上に付与するマシンである。例えば、リソグラフィーデバイスは、集積回路(IC)の製造において用いられ得る。その例において、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスは、ICの個々の層の上に形成される回路パターンを生成するために用いられ得る。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェハ)上のターゲット部分(例えば、1つまたはいくつかのダイ(die)の部分を備える)の上に転送され得る。パターンの転送は、一般に、基板上に提供された放射線感応性(radiation−sensitive)材料(レジスト)層の上への画像の結像化を介して行われる。一般に、単一の基板は、連続してパターニングされる隣接のターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィー装置は、いわゆるステッパーを含み、そこでは、各ターゲット部分が、全体のパターンをターゲット部分の上に同時に曝露することによって照射され、そしていわゆるスキャナを含み、そこでは、各ターゲット部分が、放射線ビームを通して所与の方向(「走査」方向)にパターンを走査する一方で、同時にこの方向と同方向または反対方向に基板を走査することによって、照射される。パターンを基板上に押すことによって、パターニングデバイスから基板にパターンを転送することもまた可能である。
【0004】
極めて小さな直径の小さい直線的スルーホールを有する膜フィルタの形成と、そのような多孔性体および/または微孔性膜を作る方法とは周知である。微孔性膜は、ガラス、水晶またはポリマー膜の中に粒子の経路に対応する欠陥の連鎖を生成する粒子によって生成され得る。これらの欠陥は、それらのまわりの領域を様々な化学薬剤に対して非常に敏感にする。これらの薬剤への比較的短い継続時間の露出は、細孔を様々な位置に生成することを可能にする。より長い露出は、細孔の数を増大させることを可能にする。従って、様々な従来技術のプロセスにおいて、化学腐食またはエッチングの継続時間は、生成される細孔の直径(すなわち、フィルタの濾過特性)の制御を容易にする。
【0005】
様々な方法は、細孔またはホールを提供するために、実質的にまっすぐな経路に沿った照射損傷と損傷した材料の化学的な除去との組み合わせを含み、すなわち、エッチングによって除去される放射線損傷材料の痕跡を生成するために、固体を重い高エネルギー粒子と衝突させることと、膜内にイオン化痕跡を形成し、適切なエッチング溶液への曝露によって除去することと、より大きい細孔サイズの範囲を作るために、イオン痕跡を広げることを可能にする2段階エッチング処理などとの組み合わせを含む。一般に、細孔は、バックフラッシング(back flushing)を助けるために円錐形の形状を有するように構築されてきた。
【0006】
しかしながら、しばしば、開示されたように構築されたフィルタは、他のフィルタ技術に比べて、単位面積あたりの高いまたはより高い特定の流動抵抗に悩まされてきた。その結果として、特定の濾過流動を達成するために、低い抵抗のフィルタよりも大きい面積および/またはより高い差動圧力が必要である。この問題に対する一解決策は、より薄いフィルタ膜が同じ濾過圧力に耐えることを可能にする、微孔性フィルタ膜用のマクロポーラス支持体の使用であった。流動抵抗が厚さの低減に比例して低減されることが観察されている。同様に、非特許文献1は、フィルタ膜を形成するための、エッチングされた細孔の規則的なアレイの使用を開示する。これは、イオン化痕跡によって形成されたランダムなアレイによって可能となるよりも高い細孔密度を可能にする。なぜならば、フィルタの選択性を損なう、細孔がオーバーラップする可能性を取り除くからである。流動抵抗は、細孔密度の増加に反比例して低減される。主として、支持体を有するフィルタは、平坦な固体の基板上に形成されており、それによって、少なくとも平坦な基板の追加的材料費と、付随する固有の変動を有する複数の製作プロセスステップと、多数の小さな別々の膜を互いに接合またはタイル張りすることによる大きな面積の膜の製作とを有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Keping Han、Wendong Xu、Ariel Ruiz、Paul Ruchhoeft、およびShankar Chellam、「Fabrication and Characterization of Polymeric Microfiltration Membranes using Aperture Array Lithography」、Journal of Membrane Science、Vol.249 Issues 1−2、pages 193−206 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、連続プロセスでフィルタ膜を生成することを通してプロセスの変動を最小化すること、増大および/または高められた細孔密度を有するフィルタ膜を生成すること、堅牢な支持体を必要性としないフィルタ膜を生成することなどのうちの少なくとも1つを達成することは、フィルタ膜を生成する当該分野に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明の様々な実施形態は、概して、微孔性フィルタ膜を製作するリソグラフィー曝露デバイスに関し、該デバイスは、膜基板を、少なくとも1つの高エネルギー粒子を備えるビームに曝露するための手段と、該膜基板を運搬するための手段と、該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクとを備え、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、マスクを通って伝導される。
【0010】
さらなる実施形態は、微孔性フィルタ膜を製作するリソグラフィー曝露デバイスを備え、該デバイスは、少なくとも部分的に膜基板上に導かれる放射線供給源であって、該放射線供給源から放射される放射線は、少なくとも1つの高エネルギー粒子のビームを備える、放射線供給源と、少なくとも1つの供給リールおよび少なくとも1つの巻取リールを備える、該膜基板を運搬するデバイスと、該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクとを備え、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、マスクを通って伝導される。
【0011】
さらなる実施形態は、本明細書中に開示されるようなプロセスに従ってデバイスによって、および本明細書中に開示されるようなデバイスによって生成されたフィルタ膜を備える。
【0012】
さらなる実施形態は、膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって該膜基板を損傷するステップと、該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップとを包含する。
【0013】
なおさらなる実施形態は、微孔性膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、中間マスク層およびレジスト被覆を膜基板に付与するステップと、該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームに該レジスト被覆を曝露するステップと、該レジスト被覆を現像するステップと、該中間マスク層を通って該レジストのパターンをエッチングするステップと、該中間マスク層のパターンを該膜基板へとエッチングするステップとを包含する。
【0014】
本発明のより大きな理解は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより受け取られ得る。
【0015】
上記された方法ならびに本発明の他の利点および目的が得られるために、簡潔に上記された本発明のさらなる詳細な説明が、添付の図面において例示されるそれらの特定の実施形態を参照することによって示される。これらの図面が本発明の典型的な実施形態のみを描き、従って、本発明の範囲を限定することを考慮されないことが理解される。添付の図面の使用を通じて、本発明の追加の特殊性および詳細が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態の例示であり、そこでは、高エネルギー粒子のビームが、開口によって穿孔された実質的に平面のマスクに突き当たり、非平面の膜基板を、規則的に間隔をおいて配置された領域の極めて均一なアレイにおいて損傷する。
【図2】図2は、適切な溶媒中で現像の後の、図1の実施形態に従った高エネルギー粒子のビームを受けた膜基板の例示である。
【図3】図3は、高エネルギー粒子の曝露の間の、放射冷却を向上させるために、高放射率被覆が膜に付与される本発明の実施形態の例示である。
【図4】図4は、粒子の点供給源によって生成されたシャドーの例示である。
【図5】図5は、供給源の様々な点から発出する粒子によって生成されたシャドーの例示である。
【図6】図6は、イオン曝露の間に基板の動きを抑制する静電気クランプの実施形態の例示である。
【図7】図7は、微孔性フィルタを製造するオープンリール式装置の実施形態の例示である。
【図8】図8は、マイラー膜フィルタのエッチング深さの例示であり、高温の20%KOH/H2O溶液中で現像され、50keVのHe+イオンの量の関数として例示する。
【図9】図9は、50keVの初期エネルギーに対するマイラー膜フィルタのHe+イオン軌跡の例示である。
【図10】図10は、a)400keV、b)600keV、およびc)900keVの初期エネルギーに対するマイラー膜フィルタのH+イオン軌跡の例示である。
【図11】図11は、a)0.8μmのステンシルの開口を有する微粒子フィルタを製作するためのステンシルマスクと、b)50keVのヘリウムイオンによってプリントされ、高温の20%KOH/H2O溶液で現像された織り目のあるポリエステル(マイラー)薄膜との走査電子顕微鏡写真である。曝露の間、薄膜はコーナーをテープによってプラテンにゆるく取り付けられた。薄膜の平面度は約2mmであった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本明細書中に示された詳細は、例として、本発明の好適な実施形態の例示的な議論だけの目的のためであり、本発明の様々な実施形態の原理および概念的な局面の、最も有用で、かつ容易に理解される説明と考えられるものを提供するという理由のために提示される。この見地から、本発明の構造的な詳細を、本発明の基本的な理解に必要であるよりも詳細に示すことはしない。図面および/または例とともに理解される説明は、本発明のいくつかの形態が実際の場でどのように具現化され得るかを当業者に明らかにする。
【0018】
以下の例において明らかに、かつ明瞭に修正されない限り、または意味の適用が任意の構造を無意味かまたは本質的に無意味にするときには、以下の定義および説明は、意味され、そして任意の将来の構造において制御することを意図される。用語の構造がそれを無意味かまたは本質的に無意味にする場合には、定義は、ウェブスターの辞書、第3版から取られるべきである。
【0019】
本明細書中に用いられるときには、すべてのパーセンテージは、特に述べられない限り、重量パーセンテージである。
【0020】
本明細書中に用いられるときには、用語「放射」は、粒子の形態の射線、波動として放射または伝導されるエネルギーを意味し、かつ示している。
【0021】
概して、本発明の様々な実施形態は、大きな領域または増大された領域のフィルタ膜をポリマーのシート材料から製造するためのプロセスおよびシステムを提供する。さらに、本発明の様々な実施形態は、生成されたままのフィルタ膜に関する。本発明のプロセス、システムおよびフィルタの実施形態は、概して、連続プロセスでフィルタ膜を生成することを通じて、プロセスの変動およびコストを最小化すること、細孔のオーバーラップをなくして増大された細孔密度および/または高められた細孔密度を有するフィルタ膜を生成すること、フィルタ膜を堅牢な支持体の必要性なしに生成すること、大きな領域のフィルタを、小さな別々のフィルタを互いに接続またはタイル張りする必要性なしに生成すること、などを通じて、最小化されたプロセスの変形およびコストのうちの少なくとも1つを提供する。
【0022】
様々な実施形態において、高エネルギー粒子が、ポリマーの膜基板を損傷するために用いられ、これに限定するものではないが、KOHの高温の溶液などの適切なエッチング液が、損傷した基板材料を除去するために用いられる。ホールの実質的に均一なアレイが、マスクを通した高エネルギー粒子の曝露によって形成される。一実施形態において、ホールのアレイは、基板材料にわたって均一である。
【0023】
本発明の膜基板は、支持されるかまたは支持されずに生成され得る。一実施形態において、膜基板は、自立したポリマーシートとして処理される。代替案の一実施形態においては、マクロポーラスのバッキング(backing)が、強度特性を向上させるために、基板の少なくとも一部分に存在する。
【0024】
様々な実施形態において、膜基板は、押し出し成形、鋳造、スピンコーティング、蒸着、エピタキシー、化学気相堆積、スパッタリングおよび/または当該分野で一般的な任意の他のプロセスによって堆積される。一実施形態において、本発明の膜基板の典型的な厚さは、約20μm〜約500nmである。代替案の一実施形態において、本発明の膜基板の厚さは、約100nm〜約5μmである。代替案の一実施形態において、本発明の膜基板の厚さは、約10nm〜約10μmである。代替案の一実施形態において、本発明の膜基板の厚さは、約5nm〜約15μmである。しかしながら、概して、本発明の膜の様々な実施形態は、任意の厚さで形成され得る。
【0025】
堆積技術は、当該技術分野、特に、半導体技術分野においてよく理解されており、何らの実質的な突出部または他の不規則性のない実質的に平坦な膜基板の生産品が容易に入手可能である。しかしながら、実質的に平坦な膜基板が要求されない用途では、押し出し成形、鋳造、スプレー、ゾルゲルメッキなどが、膜基板を形成するための使用が可能である。概して、本発明の様々な実施形態においては、当該分野において公知の任意の技術が用いられ得る。
【0026】
本発明の様々な実施形態の膜フィルタは、該膜が実質的に均一な厚さの実質的に平坦な層を備えており、該層の表面が何らの突出部または何らの他の不規則性が実質的にないという点で特徴付けられる。膜の適切な厚さおよび均一性は、様々なプロセスから高い相対的なフラックスに抵抗するために最適化が可能な特性である。流量を向上させるために、フィルタは、可能な限り低い抵抗を提示するべきであり、従って、本発明の好適な実施形態においては、膜の厚さが平均の細孔サイズよりも少なく、かつ細孔密度が1平方センチメートルあたり100万よりも大きい膜を備える。
【0027】
一般に、フィルタ膜の選択性の特性は、その最も大きな細孔(1つ以上の)によって決定される。従って、可能な限り均一な細孔サイズ分布を有することが望ましい。大きな選択性を提供するために、本発明に従ったフィルタの特定の実施形態においては、上記のように、細孔が比較的平滑なエッジを有する穿孔からなり、膜が比較的鋭い、約5%未満の標準偏差内のよく限定された細孔サイズ分布を特徴とするという点において特徴付けられる。代替案の一実施形態において、標準偏差は約3%未満である。代替案の一実施形態において、標準偏差は約1%未満である。
【0028】
他の実施形態は、ホールのサイズが、基板内に形成された任意の他のホールのサイズと5%以下の違いであるように、比較される。代替案の一実施形態において、サイズの相違は約3%未満である。代替案の一実施形態において、サイズの相違は約1%未満である。代替案の一実施形態において、サイズの相違は約0.5%未満である。一般に、膜は、ホールサイズの均一性によってよりよい動作特性を可能とする。しかしながら、様々な実施形態は、必要に応じて特定のプロセスおよび/または膜に対して均一でないホールサイズを生成することができる。
【0029】
膜フィルタに対する用途に依存して、膜における穿孔が円筒形、テーパ形などであるように構築され得る。テーパ形の実施形態は、特に「バックフラッシング」用途において有用であり、詰まった穿孔が逆方向の圧力パルスによって容易に再開される。
【0030】
本発明の様々な実施形態の膜フィルタに適する材料は、これに限定するものではないが、ポリウレタン、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))、ポリアミド、ポリアミド、ポリビニール、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロース、ポリホルムアルデヒド、およびポリスルホンなどのポリマー材料が好適とされる。さらなる実施形態は、ヘパリン被覆等々の生体適合性被覆を備えることが可能である。
【0031】
支持体は、ねじれた細孔構造、焼結されたセラミック材料、焼結された金属粉、またはポリマーのねじれた膜を有するマクロポーラス、および後のステージにおいて開口が作られる最初は緻密な材料、例えば、半導体ウェハにおける金属支持体または非有機のディスクであり得る。本発明の膜基板の全体の強度は、下側の支持体における数多くの比較的薄い支持ブリッジによって増大され得る。支持体を利用する様々な実施形態においては、膜層と支持体層との間の中間層が、接合の強化および応力低減のために堆積され得る。接合強化層は、膜および支持体の材料の性質に依存して、二酸化けい素および二酸化チタンであり得る。様々な実施形態において、中間層は、エッチング停止層としてさらに作用し得る。
【0032】
一般に、膜基板内のホール形成において、高エネルギー粒子(イオン、光子、電子、中性の高エネルギー原子および/または分子のような)の任意の供給源は、これらに限定するものではないが、光子、He+、H+、適切な等価物などを用いることができる。高エネルギー粒子の実質的に並列のビームが、ステンシルの開口によって穿孔された実質的に平面のマスクに突き当たるように導かれる。一実施形態において、ステンシルは、マスクを貫く一連の均一で均等に分散されたホールを含んでいる。代替案の一実施形態において、ステンシルの開口は、特定の形状またはデザインを有する。マスクのホールまたはステンシル開口を通過する高エネルギー粒子の部分は、マスクの近くに配置された膜基板を損傷する。様々な実施形態において、膜基板は本質的に平面である。代替案の一実施形態において、膜基板は非平面である。
【0033】
膜基板を高エネルギー粒子のビームに曝露した後、基板は、膜基板の損傷した部分を除去するために、適切な溶媒中で洗浄され得、それによって、ホールが現われる。これらのステップの間の膜基板の変形は、本発明の制約の下で受容可能である。
【0034】
本発明の方法の代替案の一実施形態において、特に高エネルギー粒子の曝露に対して感応性のある材料が堆積されたマスキング層は、高エネルギー粒子のリソグラフィー技術によって所望のパターンにもたらされる補助層として利用される。マスキング層は、膜層と接触し、その結果として、マスキング層のパターンの膜層への転送を非常に高い精度によって可能にする。さらに代替案の一実施形態において、中間のマスキング層が利用され得る。
【0035】
様々な実施形態において、本発明の膜フィルタは生体適合性を有する。一実施形態において、生体適合性膜の特性は、その表面が細孔サイズ未満の表面粗さ状態の平滑さであり、それによって、膜上および穿孔における粒子またはセルの膠着を抑制することである。従って、本発明の生体適合性膜の様々な実施形態は、セル−セル分離技術および他の医学および生物医学の目的に対して使用が可能なフィルタを備える。
【0036】
本発明に従ったフィルタの実施形態においては、支持体および膜は、同じまたは同様な成分を有する等価な材料、例えば、ポリカーボネートから構成される。この種類のフィルタは、支持体と膜との間の良好な密着を有し、広い温度範囲において適用可能である。
【0037】
あるいは、発明の様々な実施形態に従ったフィルタにおいて用いられる種類の膜は、それ自体、限外濾過層の支持体として非常に良好に作用し得る。一般に200nm未満の厚さを有する非常に薄い限外濾過層は、限外濾過フィルタを構成するために、膜の穿孔の内または上に堆積され得る。しかしながら、限外濾過層の厚さは、特定のプロセスに適するように変更され得る。
【0038】
様々な実施形態において、本発明の実施形態に基づいて処理される薄膜は、高エネルギー粒子の曝露が実行される間、本質的には静止状態に保持される。一実施形態において、図5に示されるような静電気クランプが、膜基板上に堆積された薄い金属薄膜を固定するために用いられ、それによって、膜基板をクランプに対して本質的に静止状態に保持する。
【0039】
さらに、膜基板上の堆積を利用する実施形態に対しては、所望の用途に応じて、本プロセスの例示的な実施形態は、制御された組成の複数の金属の同時堆積または連続的堆積を利用し得る。他の例示的な実施形態は、例えば、正確に位置決めされたカーボンナノチューブの整然としたアレイを成長させるために、小さな金属触媒粒子(例えば、ニッケル)を利用し得る。プロセスはまた、多層構造を形成するために、様々な気体、イオンおよび/または前駆物質の間の変更を可能にし得る。
【0040】
そのようなものとして、本発明の様々な実施形態は、微孔性フィルタ膜を製作するリソグラフィー曝露デバイスを備え、該リソグラフィー曝露デバイスは、膜基板を、少なくとも1つの高エネルギー粒子を備えるビームに曝露するための手段と、該膜基板を運搬するための手段と、該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクとを備え、該ビームは、該マスクを通って伝導される少なくとも1つのイオンを備えている。さらなる実施形態は、少なくとも1つの約1マイクロメートルの細孔を有する少なくとも1つの細孔を備えているフィルタ膜を備える。様々な実施形態において、マスクは実質的に静止状態である。様々な実施形態において、クランプが、該膜基板を固定するために用いられる。
【0041】
本発明の様々な実施形態において、放射線の任意の供給源が用いられ得る。一実施形態において、ヘリウムイオン供給源が照射のために用いられる。一実施形態において、水素イオン供給源が照射のために用いられる。しかしながら、一般に、任意の放射線供給源が用いられ得る。
【0042】
適切なエネルギーレベルは、膜基板に完全に浸透するための十分なエネルギーレベルである。エネルギーは、膜内のマイクロ細孔の特定の形状に合わせるために調整され得る。様々な実施形態において、エネルギーは500keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは300keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは100keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは50keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは25keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは10keV超である。一般に、任意のエネルギーレベルが、特定の用途に適するように用いられ得る。
【0043】
様々な実施形態において、本発明の実施形態のリソグラフィー曝露デバイスは、膜基板を段階的な方式で運搬するシステムを備え、該膜基板は、段階毎に該マスクの略長さだけ進められる。
【0044】
曝露の後に、エッチング液システム(例えば、高温のKOH溶液または有機溶媒)が、損傷した膜基板を除去するために用いられる。
【0045】
さらなる実施形態は、膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、該マスクを通って少なくとも部分的に集束された、少なくとも1つの放射線供給源から放射された少なくとも1つのイオンを備える少なくとも1つのビームによって、該膜基板を損傷するステップと、該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップとを包含する。
【0046】
さらなる実施形態は、曝露の前に該フィルタ膜基板への高放射率被覆の付与を包含する。そのようなものとして、異なるさらなる実施形態は、曝露の後に該フィルタ膜基板から高放射率被覆の除去を包含する。水溶性の高放射率被覆の例は、黒いテンペラ塗料である。ほとんどの他の塗料、特に二酸化チタン粒子を組み込む塗料はまた、高い放射率を有し、適切な溶媒中で除去され得る。シリコーンもまた高い放射率を有する。除去可能な高放射率被覆の選択は、被覆を除去するために用いられる溶媒に耐える膜の能力に依存する。例えば、テフロン(登録商標)膜は、アセトンおよび市販の塗料除去溶媒に耐えることができるのに対して、ポリエステル膜は耐えることができない。
【0047】
さらなる実施形態は、本明細書中に開示される様々な方法および装置に従って生成されるフィルタ膜を備える。
【0048】
様々な実施形態において、2つ以上のエッチングステップが実行され、その結果として、薄膜が2つ以上のエッチング液によってエッチングされる。界面活性剤が、当業者によって理解されるように、事前エッチング液またはエッチング液に追加されることが可能であり、それらの濡れ特性を改善し、コーン角(cone angle)を減らす。
【0049】
本発明の様々なプロセスによって生成されるフィルタは、サイズに少なくとも部分的に基づいた分離が所望される任意のプロセスまたは装置における使用に適する。そのようなものとして、様々な実施形態は、例えば、限定としてではなく、ウイルス、嚢胞、バクテリアなどの非常に小さなサイズの材料を分離するための使用に対して幅広い適用範囲を見出す。本発明のプロセスによって生成される様々な膜のさらなる産業用の実施形態は、飲料水および廃水の浄化、調剤、食物、燃料、化学薬品、気体分離限外濾過フィルタ(1つ以上の)などを包含する。
【0050】
本発明の様々な実施形態は、膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、該マスクを通って少なくとも部分的に導かれた、少なくとも1つの放射線供給源から放射された少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって、該膜基板を損傷するステップと、該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップとを包含する。
【0051】
なおさらなる実施形態は、微孔性膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、中間マスク層およびレジスト被覆を膜基板に付与するステップと、該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、該マスクを通って少なくとも部分的に導かれた、少なくとも1つの放射線供給源から放射された少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって、該レジスト被覆を曝露するステップと、該レジスト被覆を現像するステップと、該中間マスク層を通って該レジストのパターンをエッチングするステップと、該中間マスク層のパターンを該膜基板へとエッチングするステップとを包含する。
【0052】
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態において具現化され得る。記載された実施形態は、すべての点において、限定としてではなく、単に例示として考慮される必要がある。例えば、セラミック材料が、膜基板として機能することが期待されている。しかしながら、本発明がオープンリール式の製作プロセスを想定するので、これらの実施形態は、言及されなかったけれども、受容可能である。従って、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にある、特許請求の範囲に対するすべての変更は、その特許請求の範囲内に包含されるはずである。さらに、本明細書中に言及されている、すべての公開された文書、特許、および出願は、それらの全体が提示されたかのように、本明細書によって参考として援用される。
【実施例】
【0053】
(実施例)
図1は、高エネルギー粒子のビーム(3)が、ステンシルの開口(4)によって穿孔された実質的に平面のマスク(2)に突き当たる例示である。伝導された小ビーム(5)の構造化されたビームは、規則的に間隔をおいて配置された領域の極めて均一なアレイにおいて非平面の膜基板(1)を損傷する。
【0054】
図1は、高エネルギー粒子(イオン、電子、または中性の高エネルギー原子または分子)の実質的に並列のビーム(3)が、ステンシルの開口(4)によって穿孔された実質的に平面のマスク(2)に突き当たる曝露プロセスを例示する。伝導された小ビーム(5)は、規則的に間隔をおいて配置された領域の極めて均一なアレイにおいて非平面の膜基板(1)を損傷する構造化されたビームを形成する。図2は、適切な溶媒中で現像の後に、非平面の膜基板(1)が、規則的に間隔をおいて配置された細孔(6)の極めて均一なアレイによって透過性となることを示す。基板は現像の間にその最初の形状から変形され得る。
【0055】
図2は、適切な溶媒中で現像の後の膜基板の例示であり、非平面の膜基板(1)が、規則的に間隔をおいて配置された細孔(6)の極めて均一なアレイによって透過される。
【0056】
一般に、高エネルギー粒子への膜の曝露は、ビームのエネルギーおよびフラックス密度に比例して膜を加熱する。好適な実施形態において、例えば、商業的に利用可能な500keVで動作するH+イオン供給源を用いると、0.15W/cm2のパワー密度を厚さ3μmのポリマー膜上に達成することは可能である。高エネルギー粒子のビームが
【0057】
【数1】
以下の高真空において動作するので、この熱を除去するための唯一の方法は、放射を介する方法である。1(unity)の放射率に対しては、膜のピーク温度上昇は40℃未満であり、すべてのポリマーが耐え得る温度である。しかしながら、0.1の放射率に対しては、温度は300℃にまで上昇し、その温度は、ポリエステルなどのより温度に敏感なポリマーを激しく損傷する。従って、高エネルギー粒子ビームへの曝露の前に、高い熱放射率被覆を膜基板の一面に付与することは有利であり得る。被覆は、高エネルギー粒子によって照射される側と反対側に付与されるべきである。一実施形態において、そのような被覆の放射率は、約0.9超である。代替案の一実施形態において、そのような被覆の放射率は、約0.8超である。代替案の一実施形態において、そのような被覆の放射率は、約0.5超である。しかしながら、当業者は、特定の用途に適する放射率を選択し得る。高放射率被覆は、曝露の後に、好ましくは膜基板の損傷した領域の除去の間に、容易に除去されるべきである。TiO2粒子を含んでいる塗料を含む高放射率被覆の多くの例が存在する。水溶性塗料(例えば、黒いテンペラ)は、現像の間に除去され得る。スプレー被覆は、膜基板の片面のみを被覆するための実用的で、安価な方法を提供する。図7は、本発明の一実施形態の例示であり、そこでは、高エネルギー粒子の曝露の間の放射冷却を向上させるために、高放射率被覆(19)が膜に付与される。被覆の放射率は、その厚さに依存する。好適な実施形態において、厚さは、10μmと125μmとの間である。
【0058】
非平面の基板をパターニングすることに対して、伝導された小ビームの寸法は、形態構造(topography)の高さに沿って本質的に不変であるべきである。下記されるようなポリマーシート材料の処理において、平面度が1mmよりよいことは期待されない。さらに、高い張力の下で、ほとんどの基板は張力しわを形成する。該しわは、張力を軽減した後に、直ちに消失する、機械のたて方向のひだである。ねじれ(buckel)を有する基板は通常、平坦な基板よりもかなり大きな張力しわを形成する。薄膜がマスクの下を通過するときに、張力しわの頂点は、マスクをこすり、マスクを壊すことがあり得る。従って、様々な実施形態は、マスクから5〜10mmの距離でのパターニングを予期している。そのようなものとして、様々な実施形態が、そのような大きな被写界深度(depth−of−field;DoF)(特定の形状(feature)サイズが形成され得る最大の距離として規定される)で画像を形成できることは重要な考慮である。
【0059】
投射システムの様々な実施形態において、主として高エネルギー粒子供給源の有限のサイズによってDoFが限定される高エネルギー粒子近接リソグラフィーを備えるシステムが用いられ得る。図3は、基板51上のマスク52の画像のエッジが、粒子の点供給源57のために鮮鋭で、かつ明確であることを示す。図4は、拡張された供給源60のために、基板61上のマスク62のシャドーのエッジが、供給源の様々な点から発出するイオンにより作り出されたオーバーラップ画像によってぼやけさせられることを示す。この半影のぼけの幅βは、プリントされる画像における解像度限界とほぼ等しい。明らかに、β=dσ/Lであり、ここで、σは供給源の直径であり、dはマスクから基板までの距離であり、Lは供給源からマスクまでの距離である。デュオプラズマトロンイオン供給源において、例えばDoFは、最小の分解可能な形状よりも10,000倍を超えて大きいことがあり得、従って、1マイクロメートルサイズの形状が、マスクから10mmの位置に配置された表面上にプリントされ得る。このことは、自立した膜が、1マイクロメートル細孔の開口を作り出すために、5〜10mmの許容範囲内に平坦に保持されるだけでよいことを意味している。これは、Van Rijnによって論じられた100nmの平面度許容範囲よりも100,000倍以上ゆるい制約である。
【0060】
図6は、イオン曝露の間に基板の動きを防止する静電気クランプの概念の例示である。伝導基板プラテン109は、電気的絶縁スペーサ112によって、2つの伝導領域110と111とに分割される。ポリマーの膜材料は、頂上の表面を電気伝導性にするために、薄い金属薄膜113によって被覆される。伝導領域110および111に印加された電圧によって生成される静電気力が次いで、ポリマーをプラテンに固定する。
【0061】
様々な実施形態において、膜基板と基板プラテン109とは、電気的絶縁スペーサ112によって、2つの領域110と111とに分割される。ポリマーの膜材料は、頂上の表面を電気伝導性にするために、薄い金属薄膜113によって被覆され得、そして異なる電圧が、領域110と111とに印加される。プラテンと金属薄膜との間の静電力が次いで、ポリマーをプラテンに固定する。プラテンの平面度は、被写界深度(DoF)の仕様に適合するだけでよい。さらに、クランプは、完全に平坦なポリマー薄膜を作る必要がない。隙間(void)およびしわは、それらがDoF仕様に適合する限り許容され得る。
【0062】
ここで図6を参照すると、オープンリール式の製造装置が、微孔性フィルタを連続的な方法で製造するために開示される。ポリマーの給送材料210が、供給リール213から、一連の給送ローラーテンショナ214と、キャプスタンドライブ216と、アイドラー218とを介して基板プラテン290上に給送され、該基板プラテン290上で、ポリマーの給送材料210が、イオンビーム230にステンシルマスク200を通して曝露される。曝露の後に、膜は、テンショナ217と、キャプスタンドライブ219と、アイドラー215とを通過し、巻取リール220に巻き取られる。
【0063】
様々な実施形態において、本発明の実施形態に基づいて処理される薄膜は、高エネルギー粒子の曝露が起こっている間は、静止状態に保持される。このことは、図5に示されるような静電気クランプによって行われ、そこでは、基板プラテン109が電気的絶縁スペーサ112によって、2つの領域110と111とに分割される。ポリマーの膜材料は、頂上の表面を電気伝導性にするために、薄い金属薄膜114によって被覆され得、そして異なる電圧が、領域110と111とに印加される。プラテンと金属薄膜との間の静電力が次いで、ポリマーをプラテンに固定する。プラテンの平面度は、DoF仕様に適合するだけでよい。さらに、クランプは、完全に平坦なポリマーの薄膜を作る必要がない。隙間およびしわは、それらがDoF仕様に適合する限り許容され得る。
【0064】
一実施形態において、実験は、50keVのHe+イオンビーム照射によって、20%のKOH/H2O現像剤を用いる、ポリエチレンテラフタレート(teraphthalate)(マイラー)薄膜のパターニングを示した。図8は、40℃および60℃の現像温度に対する現像の深さをイオンの量の関数として示す。1500オングストロームを除去するために必要な量は、約6μC/cm2である。エッチングの深さは、一般的に膜フィルタを製作するために必要とされる深さよりも小さい。このことは、これらの低エネルギーイオンが、薄膜内の約200nmで停止する(図9)からである。イオンの軌跡の末端近くのイオンの拡散はまた関心事である。なぜならば、それはプリントされたマスク画像の解像度を低下させる可能性があるからである。水素イオン(陽子)は、この見地から使用が可能である。図10は、400keV、600keV、および900keVの陽子が、これに限定するものではないが、3、4、および/または5マイクロメートルのような、異なる厚さのマイラー薄膜に浸透するために、十分な範囲を有し、ぼけは0.1マイクロメートル未満であることを示す。
【0065】
図11a)は、0.8x1.6μm2の開口を有するシリコン窒化物ステンシルマスクである。図11b)は、マイラーのシート材料のサンプルにプリントされた、a)のステンシルマスクの50keVのHe+画像である。1x1インチ2のマイラーシートは、コーナーをテープによってホルダーにゆるく取り付けられた。しわのあるサンプルの平面度は、2mmと見積もられた。薄膜は、高温のKOH(40℃)中で現像された。ヘリウムイオンのエネルギーが、マイラー薄膜に完全に浸透するためには不十分であったけれども、この顕微鏡写真は、大きな被写界深度わたってヘリウムイオンによる、マイラーの直接的なパターニングを明らかに示している。
【技術分野】
【0001】
(発明者)
John C. Wolfe (テキサス州、ヒューストン)
Paul Ruchhoeft (テキサス州、ヒューストン)
(政府の後援)
本発明は、NSF賞ECS−0404308に基づいて、部分的に政府の支援によってなされた。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、規則的に間隔をおいて配置されたマイクロ細孔の高密度アレイを有する膜と、マクロポーラス(macroporous)支持体とを備える微粒子フィルタを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.背景技術の説明)
リソグラフィー装置またはデバイスは、所望のパターンを基板上に、通常膜基板などの基板のターゲット部分の上に付与するマシンである。例えば、リソグラフィーデバイスは、集積回路(IC)の製造において用いられ得る。その例において、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスは、ICの個々の層の上に形成される回路パターンを生成するために用いられ得る。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェハ)上のターゲット部分(例えば、1つまたはいくつかのダイ(die)の部分を備える)の上に転送され得る。パターンの転送は、一般に、基板上に提供された放射線感応性(radiation−sensitive)材料(レジスト)層の上への画像の結像化を介して行われる。一般に、単一の基板は、連続してパターニングされる隣接のターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィー装置は、いわゆるステッパーを含み、そこでは、各ターゲット部分が、全体のパターンをターゲット部分の上に同時に曝露することによって照射され、そしていわゆるスキャナを含み、そこでは、各ターゲット部分が、放射線ビームを通して所与の方向(「走査」方向)にパターンを走査する一方で、同時にこの方向と同方向または反対方向に基板を走査することによって、照射される。パターンを基板上に押すことによって、パターニングデバイスから基板にパターンを転送することもまた可能である。
【0004】
極めて小さな直径の小さい直線的スルーホールを有する膜フィルタの形成と、そのような多孔性体および/または微孔性膜を作る方法とは周知である。微孔性膜は、ガラス、水晶またはポリマー膜の中に粒子の経路に対応する欠陥の連鎖を生成する粒子によって生成され得る。これらの欠陥は、それらのまわりの領域を様々な化学薬剤に対して非常に敏感にする。これらの薬剤への比較的短い継続時間の露出は、細孔を様々な位置に生成することを可能にする。より長い露出は、細孔の数を増大させることを可能にする。従って、様々な従来技術のプロセスにおいて、化学腐食またはエッチングの継続時間は、生成される細孔の直径(すなわち、フィルタの濾過特性)の制御を容易にする。
【0005】
様々な方法は、細孔またはホールを提供するために、実質的にまっすぐな経路に沿った照射損傷と損傷した材料の化学的な除去との組み合わせを含み、すなわち、エッチングによって除去される放射線損傷材料の痕跡を生成するために、固体を重い高エネルギー粒子と衝突させることと、膜内にイオン化痕跡を形成し、適切なエッチング溶液への曝露によって除去することと、より大きい細孔サイズの範囲を作るために、イオン痕跡を広げることを可能にする2段階エッチング処理などとの組み合わせを含む。一般に、細孔は、バックフラッシング(back flushing)を助けるために円錐形の形状を有するように構築されてきた。
【0006】
しかしながら、しばしば、開示されたように構築されたフィルタは、他のフィルタ技術に比べて、単位面積あたりの高いまたはより高い特定の流動抵抗に悩まされてきた。その結果として、特定の濾過流動を達成するために、低い抵抗のフィルタよりも大きい面積および/またはより高い差動圧力が必要である。この問題に対する一解決策は、より薄いフィルタ膜が同じ濾過圧力に耐えることを可能にする、微孔性フィルタ膜用のマクロポーラス支持体の使用であった。流動抵抗が厚さの低減に比例して低減されることが観察されている。同様に、非特許文献1は、フィルタ膜を形成するための、エッチングされた細孔の規則的なアレイの使用を開示する。これは、イオン化痕跡によって形成されたランダムなアレイによって可能となるよりも高い細孔密度を可能にする。なぜならば、フィルタの選択性を損なう、細孔がオーバーラップする可能性を取り除くからである。流動抵抗は、細孔密度の増加に反比例して低減される。主として、支持体を有するフィルタは、平坦な固体の基板上に形成されており、それによって、少なくとも平坦な基板の追加的材料費と、付随する固有の変動を有する複数の製作プロセスステップと、多数の小さな別々の膜を互いに接合またはタイル張りすることによる大きな面積の膜の製作とを有する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Keping Han、Wendong Xu、Ariel Ruiz、Paul Ruchhoeft、およびShankar Chellam、「Fabrication and Characterization of Polymeric Microfiltration Membranes using Aperture Array Lithography」、Journal of Membrane Science、Vol.249 Issues 1−2、pages 193−206 (2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、連続プロセスでフィルタ膜を生成することを通してプロセスの変動を最小化すること、増大および/または高められた細孔密度を有するフィルタ膜を生成すること、堅牢な支持体を必要性としないフィルタ膜を生成することなどのうちの少なくとも1つを達成することは、フィルタ膜を生成する当該分野に有益である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明の様々な実施形態は、概して、微孔性フィルタ膜を製作するリソグラフィー曝露デバイスに関し、該デバイスは、膜基板を、少なくとも1つの高エネルギー粒子を備えるビームに曝露するための手段と、該膜基板を運搬するための手段と、該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクとを備え、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、マスクを通って伝導される。
【0010】
さらなる実施形態は、微孔性フィルタ膜を製作するリソグラフィー曝露デバイスを備え、該デバイスは、少なくとも部分的に膜基板上に導かれる放射線供給源であって、該放射線供給源から放射される放射線は、少なくとも1つの高エネルギー粒子のビームを備える、放射線供給源と、少なくとも1つの供給リールおよび少なくとも1つの巻取リールを備える、該膜基板を運搬するデバイスと、該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクとを備え、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、マスクを通って伝導される。
【0011】
さらなる実施形態は、本明細書中に開示されるようなプロセスに従ってデバイスによって、および本明細書中に開示されるようなデバイスによって生成されたフィルタ膜を備える。
【0012】
さらなる実施形態は、膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって該膜基板を損傷するステップと、該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップとを包含する。
【0013】
なおさらなる実施形態は、微孔性膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、中間マスク層およびレジスト被覆を膜基板に付与するステップと、該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームに該レジスト被覆を曝露するステップと、該レジスト被覆を現像するステップと、該中間マスク層を通って該レジストのパターンをエッチングするステップと、該中間マスク層のパターンを該膜基板へとエッチングするステップとを包含する。
【0014】
本発明のより大きな理解は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を参照することにより受け取られ得る。
【0015】
上記された方法ならびに本発明の他の利点および目的が得られるために、簡潔に上記された本発明のさらなる詳細な説明が、添付の図面において例示されるそれらの特定の実施形態を参照することによって示される。これらの図面が本発明の典型的な実施形態のみを描き、従って、本発明の範囲を限定することを考慮されないことが理解される。添付の図面の使用を通じて、本発明の追加の特殊性および詳細が記載される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態の例示であり、そこでは、高エネルギー粒子のビームが、開口によって穿孔された実質的に平面のマスクに突き当たり、非平面の膜基板を、規則的に間隔をおいて配置された領域の極めて均一なアレイにおいて損傷する。
【図2】図2は、適切な溶媒中で現像の後の、図1の実施形態に従った高エネルギー粒子のビームを受けた膜基板の例示である。
【図3】図3は、高エネルギー粒子の曝露の間の、放射冷却を向上させるために、高放射率被覆が膜に付与される本発明の実施形態の例示である。
【図4】図4は、粒子の点供給源によって生成されたシャドーの例示である。
【図5】図5は、供給源の様々な点から発出する粒子によって生成されたシャドーの例示である。
【図6】図6は、イオン曝露の間に基板の動きを抑制する静電気クランプの実施形態の例示である。
【図7】図7は、微孔性フィルタを製造するオープンリール式装置の実施形態の例示である。
【図8】図8は、マイラー膜フィルタのエッチング深さの例示であり、高温の20%KOH/H2O溶液中で現像され、50keVのHe+イオンの量の関数として例示する。
【図9】図9は、50keVの初期エネルギーに対するマイラー膜フィルタのHe+イオン軌跡の例示である。
【図10】図10は、a)400keV、b)600keV、およびc)900keVの初期エネルギーに対するマイラー膜フィルタのH+イオン軌跡の例示である。
【図11】図11は、a)0.8μmのステンシルの開口を有する微粒子フィルタを製作するためのステンシルマスクと、b)50keVのヘリウムイオンによってプリントされ、高温の20%KOH/H2O溶液で現像された織り目のあるポリエステル(マイラー)薄膜との走査電子顕微鏡写真である。曝露の間、薄膜はコーナーをテープによってプラテンにゆるく取り付けられた。薄膜の平面度は約2mmであった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本明細書中に示された詳細は、例として、本発明の好適な実施形態の例示的な議論だけの目的のためであり、本発明の様々な実施形態の原理および概念的な局面の、最も有用で、かつ容易に理解される説明と考えられるものを提供するという理由のために提示される。この見地から、本発明の構造的な詳細を、本発明の基本的な理解に必要であるよりも詳細に示すことはしない。図面および/または例とともに理解される説明は、本発明のいくつかの形態が実際の場でどのように具現化され得るかを当業者に明らかにする。
【0018】
以下の例において明らかに、かつ明瞭に修正されない限り、または意味の適用が任意の構造を無意味かまたは本質的に無意味にするときには、以下の定義および説明は、意味され、そして任意の将来の構造において制御することを意図される。用語の構造がそれを無意味かまたは本質的に無意味にする場合には、定義は、ウェブスターの辞書、第3版から取られるべきである。
【0019】
本明細書中に用いられるときには、すべてのパーセンテージは、特に述べられない限り、重量パーセンテージである。
【0020】
本明細書中に用いられるときには、用語「放射」は、粒子の形態の射線、波動として放射または伝導されるエネルギーを意味し、かつ示している。
【0021】
概して、本発明の様々な実施形態は、大きな領域または増大された領域のフィルタ膜をポリマーのシート材料から製造するためのプロセスおよびシステムを提供する。さらに、本発明の様々な実施形態は、生成されたままのフィルタ膜に関する。本発明のプロセス、システムおよびフィルタの実施形態は、概して、連続プロセスでフィルタ膜を生成することを通じて、プロセスの変動およびコストを最小化すること、細孔のオーバーラップをなくして増大された細孔密度および/または高められた細孔密度を有するフィルタ膜を生成すること、フィルタ膜を堅牢な支持体の必要性なしに生成すること、大きな領域のフィルタを、小さな別々のフィルタを互いに接続またはタイル張りする必要性なしに生成すること、などを通じて、最小化されたプロセスの変形およびコストのうちの少なくとも1つを提供する。
【0022】
様々な実施形態において、高エネルギー粒子が、ポリマーの膜基板を損傷するために用いられ、これに限定するものではないが、KOHの高温の溶液などの適切なエッチング液が、損傷した基板材料を除去するために用いられる。ホールの実質的に均一なアレイが、マスクを通した高エネルギー粒子の曝露によって形成される。一実施形態において、ホールのアレイは、基板材料にわたって均一である。
【0023】
本発明の膜基板は、支持されるかまたは支持されずに生成され得る。一実施形態において、膜基板は、自立したポリマーシートとして処理される。代替案の一実施形態においては、マクロポーラスのバッキング(backing)が、強度特性を向上させるために、基板の少なくとも一部分に存在する。
【0024】
様々な実施形態において、膜基板は、押し出し成形、鋳造、スピンコーティング、蒸着、エピタキシー、化学気相堆積、スパッタリングおよび/または当該分野で一般的な任意の他のプロセスによって堆積される。一実施形態において、本発明の膜基板の典型的な厚さは、約20μm〜約500nmである。代替案の一実施形態において、本発明の膜基板の厚さは、約100nm〜約5μmである。代替案の一実施形態において、本発明の膜基板の厚さは、約10nm〜約10μmである。代替案の一実施形態において、本発明の膜基板の厚さは、約5nm〜約15μmである。しかしながら、概して、本発明の膜の様々な実施形態は、任意の厚さで形成され得る。
【0025】
堆積技術は、当該技術分野、特に、半導体技術分野においてよく理解されており、何らの実質的な突出部または他の不規則性のない実質的に平坦な膜基板の生産品が容易に入手可能である。しかしながら、実質的に平坦な膜基板が要求されない用途では、押し出し成形、鋳造、スプレー、ゾルゲルメッキなどが、膜基板を形成するための使用が可能である。概して、本発明の様々な実施形態においては、当該分野において公知の任意の技術が用いられ得る。
【0026】
本発明の様々な実施形態の膜フィルタは、該膜が実質的に均一な厚さの実質的に平坦な層を備えており、該層の表面が何らの突出部または何らの他の不規則性が実質的にないという点で特徴付けられる。膜の適切な厚さおよび均一性は、様々なプロセスから高い相対的なフラックスに抵抗するために最適化が可能な特性である。流量を向上させるために、フィルタは、可能な限り低い抵抗を提示するべきであり、従って、本発明の好適な実施形態においては、膜の厚さが平均の細孔サイズよりも少なく、かつ細孔密度が1平方センチメートルあたり100万よりも大きい膜を備える。
【0027】
一般に、フィルタ膜の選択性の特性は、その最も大きな細孔(1つ以上の)によって決定される。従って、可能な限り均一な細孔サイズ分布を有することが望ましい。大きな選択性を提供するために、本発明に従ったフィルタの特定の実施形態においては、上記のように、細孔が比較的平滑なエッジを有する穿孔からなり、膜が比較的鋭い、約5%未満の標準偏差内のよく限定された細孔サイズ分布を特徴とするという点において特徴付けられる。代替案の一実施形態において、標準偏差は約3%未満である。代替案の一実施形態において、標準偏差は約1%未満である。
【0028】
他の実施形態は、ホールのサイズが、基板内に形成された任意の他のホールのサイズと5%以下の違いであるように、比較される。代替案の一実施形態において、サイズの相違は約3%未満である。代替案の一実施形態において、サイズの相違は約1%未満である。代替案の一実施形態において、サイズの相違は約0.5%未満である。一般に、膜は、ホールサイズの均一性によってよりよい動作特性を可能とする。しかしながら、様々な実施形態は、必要に応じて特定のプロセスおよび/または膜に対して均一でないホールサイズを生成することができる。
【0029】
膜フィルタに対する用途に依存して、膜における穿孔が円筒形、テーパ形などであるように構築され得る。テーパ形の実施形態は、特に「バックフラッシング」用途において有用であり、詰まった穿孔が逆方向の圧力パルスによって容易に再開される。
【0030】
本発明の様々な実施形態の膜フィルタに適する材料は、これに限定するものではないが、ポリウレタン、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))、ポリアミド、ポリアミド、ポリビニール、ポリメタクリル酸メチル、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロース、ポリホルムアルデヒド、およびポリスルホンなどのポリマー材料が好適とされる。さらなる実施形態は、ヘパリン被覆等々の生体適合性被覆を備えることが可能である。
【0031】
支持体は、ねじれた細孔構造、焼結されたセラミック材料、焼結された金属粉、またはポリマーのねじれた膜を有するマクロポーラス、および後のステージにおいて開口が作られる最初は緻密な材料、例えば、半導体ウェハにおける金属支持体または非有機のディスクであり得る。本発明の膜基板の全体の強度は、下側の支持体における数多くの比較的薄い支持ブリッジによって増大され得る。支持体を利用する様々な実施形態においては、膜層と支持体層との間の中間層が、接合の強化および応力低減のために堆積され得る。接合強化層は、膜および支持体の材料の性質に依存して、二酸化けい素および二酸化チタンであり得る。様々な実施形態において、中間層は、エッチング停止層としてさらに作用し得る。
【0032】
一般に、膜基板内のホール形成において、高エネルギー粒子(イオン、光子、電子、中性の高エネルギー原子および/または分子のような)の任意の供給源は、これらに限定するものではないが、光子、He+、H+、適切な等価物などを用いることができる。高エネルギー粒子の実質的に並列のビームが、ステンシルの開口によって穿孔された実質的に平面のマスクに突き当たるように導かれる。一実施形態において、ステンシルは、マスクを貫く一連の均一で均等に分散されたホールを含んでいる。代替案の一実施形態において、ステンシルの開口は、特定の形状またはデザインを有する。マスクのホールまたはステンシル開口を通過する高エネルギー粒子の部分は、マスクの近くに配置された膜基板を損傷する。様々な実施形態において、膜基板は本質的に平面である。代替案の一実施形態において、膜基板は非平面である。
【0033】
膜基板を高エネルギー粒子のビームに曝露した後、基板は、膜基板の損傷した部分を除去するために、適切な溶媒中で洗浄され得、それによって、ホールが現われる。これらのステップの間の膜基板の変形は、本発明の制約の下で受容可能である。
【0034】
本発明の方法の代替案の一実施形態において、特に高エネルギー粒子の曝露に対して感応性のある材料が堆積されたマスキング層は、高エネルギー粒子のリソグラフィー技術によって所望のパターンにもたらされる補助層として利用される。マスキング層は、膜層と接触し、その結果として、マスキング層のパターンの膜層への転送を非常に高い精度によって可能にする。さらに代替案の一実施形態において、中間のマスキング層が利用され得る。
【0035】
様々な実施形態において、本発明の膜フィルタは生体適合性を有する。一実施形態において、生体適合性膜の特性は、その表面が細孔サイズ未満の表面粗さ状態の平滑さであり、それによって、膜上および穿孔における粒子またはセルの膠着を抑制することである。従って、本発明の生体適合性膜の様々な実施形態は、セル−セル分離技術および他の医学および生物医学の目的に対して使用が可能なフィルタを備える。
【0036】
本発明に従ったフィルタの実施形態においては、支持体および膜は、同じまたは同様な成分を有する等価な材料、例えば、ポリカーボネートから構成される。この種類のフィルタは、支持体と膜との間の良好な密着を有し、広い温度範囲において適用可能である。
【0037】
あるいは、発明の様々な実施形態に従ったフィルタにおいて用いられる種類の膜は、それ自体、限外濾過層の支持体として非常に良好に作用し得る。一般に200nm未満の厚さを有する非常に薄い限外濾過層は、限外濾過フィルタを構成するために、膜の穿孔の内または上に堆積され得る。しかしながら、限外濾過層の厚さは、特定のプロセスに適するように変更され得る。
【0038】
様々な実施形態において、本発明の実施形態に基づいて処理される薄膜は、高エネルギー粒子の曝露が実行される間、本質的には静止状態に保持される。一実施形態において、図5に示されるような静電気クランプが、膜基板上に堆積された薄い金属薄膜を固定するために用いられ、それによって、膜基板をクランプに対して本質的に静止状態に保持する。
【0039】
さらに、膜基板上の堆積を利用する実施形態に対しては、所望の用途に応じて、本プロセスの例示的な実施形態は、制御された組成の複数の金属の同時堆積または連続的堆積を利用し得る。他の例示的な実施形態は、例えば、正確に位置決めされたカーボンナノチューブの整然としたアレイを成長させるために、小さな金属触媒粒子(例えば、ニッケル)を利用し得る。プロセスはまた、多層構造を形成するために、様々な気体、イオンおよび/または前駆物質の間の変更を可能にし得る。
【0040】
そのようなものとして、本発明の様々な実施形態は、微孔性フィルタ膜を製作するリソグラフィー曝露デバイスを備え、該リソグラフィー曝露デバイスは、膜基板を、少なくとも1つの高エネルギー粒子を備えるビームに曝露するための手段と、該膜基板を運搬するための手段と、該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクとを備え、該ビームは、該マスクを通って伝導される少なくとも1つのイオンを備えている。さらなる実施形態は、少なくとも1つの約1マイクロメートルの細孔を有する少なくとも1つの細孔を備えているフィルタ膜を備える。様々な実施形態において、マスクは実質的に静止状態である。様々な実施形態において、クランプが、該膜基板を固定するために用いられる。
【0041】
本発明の様々な実施形態において、放射線の任意の供給源が用いられ得る。一実施形態において、ヘリウムイオン供給源が照射のために用いられる。一実施形態において、水素イオン供給源が照射のために用いられる。しかしながら、一般に、任意の放射線供給源が用いられ得る。
【0042】
適切なエネルギーレベルは、膜基板に完全に浸透するための十分なエネルギーレベルである。エネルギーは、膜内のマイクロ細孔の特定の形状に合わせるために調整され得る。様々な実施形態において、エネルギーは500keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは300keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは100keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは50keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは25keV超である。様々な代替案の実施形態において、エネルギーは10keV超である。一般に、任意のエネルギーレベルが、特定の用途に適するように用いられ得る。
【0043】
様々な実施形態において、本発明の実施形態のリソグラフィー曝露デバイスは、膜基板を段階的な方式で運搬するシステムを備え、該膜基板は、段階毎に該マスクの略長さだけ進められる。
【0044】
曝露の後に、エッチング液システム(例えば、高温のKOH溶液または有機溶媒)が、損傷した膜基板を除去するために用いられる。
【0045】
さらなる実施形態は、膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、該マスクを通って少なくとも部分的に集束された、少なくとも1つの放射線供給源から放射された少なくとも1つのイオンを備える少なくとも1つのビームによって、該膜基板を損傷するステップと、該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップとを包含する。
【0046】
さらなる実施形態は、曝露の前に該フィルタ膜基板への高放射率被覆の付与を包含する。そのようなものとして、異なるさらなる実施形態は、曝露の後に該フィルタ膜基板から高放射率被覆の除去を包含する。水溶性の高放射率被覆の例は、黒いテンペラ塗料である。ほとんどの他の塗料、特に二酸化チタン粒子を組み込む塗料はまた、高い放射率を有し、適切な溶媒中で除去され得る。シリコーンもまた高い放射率を有する。除去可能な高放射率被覆の選択は、被覆を除去するために用いられる溶媒に耐える膜の能力に依存する。例えば、テフロン(登録商標)膜は、アセトンおよび市販の塗料除去溶媒に耐えることができるのに対して、ポリエステル膜は耐えることができない。
【0047】
さらなる実施形態は、本明細書中に開示される様々な方法および装置に従って生成されるフィルタ膜を備える。
【0048】
様々な実施形態において、2つ以上のエッチングステップが実行され、その結果として、薄膜が2つ以上のエッチング液によってエッチングされる。界面活性剤が、当業者によって理解されるように、事前エッチング液またはエッチング液に追加されることが可能であり、それらの濡れ特性を改善し、コーン角(cone angle)を減らす。
【0049】
本発明の様々なプロセスによって生成されるフィルタは、サイズに少なくとも部分的に基づいた分離が所望される任意のプロセスまたは装置における使用に適する。そのようなものとして、様々な実施形態は、例えば、限定としてではなく、ウイルス、嚢胞、バクテリアなどの非常に小さなサイズの材料を分離するための使用に対して幅広い適用範囲を見出す。本発明のプロセスによって生成される様々な膜のさらなる産業用の実施形態は、飲料水および廃水の浄化、調剤、食物、燃料、化学薬品、気体分離限外濾過フィルタ(1つ以上の)などを包含する。
【0050】
本発明の様々な実施形態は、膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、該マスクを通って少なくとも部分的に導かれた、少なくとも1つの放射線供給源から放射された少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって、該膜基板を損傷するステップと、該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップとを包含する。
【0051】
なおさらなる実施形態は、微孔性膜フィルタを製作するためのプロセスを包含し、該プロセスは、中間マスク層およびレジスト被覆を膜基板に付与するステップと、該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、該マスクを通って少なくとも部分的に導かれた、少なくとも1つの放射線供給源から放射された少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって、該レジスト被覆を曝露するステップと、該レジスト被覆を現像するステップと、該中間マスク層を通って該レジストのパターンをエッチングするステップと、該中間マスク層のパターンを該膜基板へとエッチングするステップとを包含する。
【0052】
本発明は、その精神または本質的特性から逸脱することなく他の特定の形態において具現化され得る。記載された実施形態は、すべての点において、限定としてではなく、単に例示として考慮される必要がある。例えば、セラミック材料が、膜基板として機能することが期待されている。しかしながら、本発明がオープンリール式の製作プロセスを想定するので、これらの実施形態は、言及されなかったけれども、受容可能である。従って、本発明の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にある、特許請求の範囲に対するすべての変更は、その特許請求の範囲内に包含されるはずである。さらに、本明細書中に言及されている、すべての公開された文書、特許、および出願は、それらの全体が提示されたかのように、本明細書によって参考として援用される。
【実施例】
【0053】
(実施例)
図1は、高エネルギー粒子のビーム(3)が、ステンシルの開口(4)によって穿孔された実質的に平面のマスク(2)に突き当たる例示である。伝導された小ビーム(5)の構造化されたビームは、規則的に間隔をおいて配置された領域の極めて均一なアレイにおいて非平面の膜基板(1)を損傷する。
【0054】
図1は、高エネルギー粒子(イオン、電子、または中性の高エネルギー原子または分子)の実質的に並列のビーム(3)が、ステンシルの開口(4)によって穿孔された実質的に平面のマスク(2)に突き当たる曝露プロセスを例示する。伝導された小ビーム(5)は、規則的に間隔をおいて配置された領域の極めて均一なアレイにおいて非平面の膜基板(1)を損傷する構造化されたビームを形成する。図2は、適切な溶媒中で現像の後に、非平面の膜基板(1)が、規則的に間隔をおいて配置された細孔(6)の極めて均一なアレイによって透過性となることを示す。基板は現像の間にその最初の形状から変形され得る。
【0055】
図2は、適切な溶媒中で現像の後の膜基板の例示であり、非平面の膜基板(1)が、規則的に間隔をおいて配置された細孔(6)の極めて均一なアレイによって透過される。
【0056】
一般に、高エネルギー粒子への膜の曝露は、ビームのエネルギーおよびフラックス密度に比例して膜を加熱する。好適な実施形態において、例えば、商業的に利用可能な500keVで動作するH+イオン供給源を用いると、0.15W/cm2のパワー密度を厚さ3μmのポリマー膜上に達成することは可能である。高エネルギー粒子のビームが
【0057】
【数1】
以下の高真空において動作するので、この熱を除去するための唯一の方法は、放射を介する方法である。1(unity)の放射率に対しては、膜のピーク温度上昇は40℃未満であり、すべてのポリマーが耐え得る温度である。しかしながら、0.1の放射率に対しては、温度は300℃にまで上昇し、その温度は、ポリエステルなどのより温度に敏感なポリマーを激しく損傷する。従って、高エネルギー粒子ビームへの曝露の前に、高い熱放射率被覆を膜基板の一面に付与することは有利であり得る。被覆は、高エネルギー粒子によって照射される側と反対側に付与されるべきである。一実施形態において、そのような被覆の放射率は、約0.9超である。代替案の一実施形態において、そのような被覆の放射率は、約0.8超である。代替案の一実施形態において、そのような被覆の放射率は、約0.5超である。しかしながら、当業者は、特定の用途に適する放射率を選択し得る。高放射率被覆は、曝露の後に、好ましくは膜基板の損傷した領域の除去の間に、容易に除去されるべきである。TiO2粒子を含んでいる塗料を含む高放射率被覆の多くの例が存在する。水溶性塗料(例えば、黒いテンペラ)は、現像の間に除去され得る。スプレー被覆は、膜基板の片面のみを被覆するための実用的で、安価な方法を提供する。図7は、本発明の一実施形態の例示であり、そこでは、高エネルギー粒子の曝露の間の放射冷却を向上させるために、高放射率被覆(19)が膜に付与される。被覆の放射率は、その厚さに依存する。好適な実施形態において、厚さは、10μmと125μmとの間である。
【0058】
非平面の基板をパターニングすることに対して、伝導された小ビームの寸法は、形態構造(topography)の高さに沿って本質的に不変であるべきである。下記されるようなポリマーシート材料の処理において、平面度が1mmよりよいことは期待されない。さらに、高い張力の下で、ほとんどの基板は張力しわを形成する。該しわは、張力を軽減した後に、直ちに消失する、機械のたて方向のひだである。ねじれ(buckel)を有する基板は通常、平坦な基板よりもかなり大きな張力しわを形成する。薄膜がマスクの下を通過するときに、張力しわの頂点は、マスクをこすり、マスクを壊すことがあり得る。従って、様々な実施形態は、マスクから5〜10mmの距離でのパターニングを予期している。そのようなものとして、様々な実施形態が、そのような大きな被写界深度(depth−of−field;DoF)(特定の形状(feature)サイズが形成され得る最大の距離として規定される)で画像を形成できることは重要な考慮である。
【0059】
投射システムの様々な実施形態において、主として高エネルギー粒子供給源の有限のサイズによってDoFが限定される高エネルギー粒子近接リソグラフィーを備えるシステムが用いられ得る。図3は、基板51上のマスク52の画像のエッジが、粒子の点供給源57のために鮮鋭で、かつ明確であることを示す。図4は、拡張された供給源60のために、基板61上のマスク62のシャドーのエッジが、供給源の様々な点から発出するイオンにより作り出されたオーバーラップ画像によってぼやけさせられることを示す。この半影のぼけの幅βは、プリントされる画像における解像度限界とほぼ等しい。明らかに、β=dσ/Lであり、ここで、σは供給源の直径であり、dはマスクから基板までの距離であり、Lは供給源からマスクまでの距離である。デュオプラズマトロンイオン供給源において、例えばDoFは、最小の分解可能な形状よりも10,000倍を超えて大きいことがあり得、従って、1マイクロメートルサイズの形状が、マスクから10mmの位置に配置された表面上にプリントされ得る。このことは、自立した膜が、1マイクロメートル細孔の開口を作り出すために、5〜10mmの許容範囲内に平坦に保持されるだけでよいことを意味している。これは、Van Rijnによって論じられた100nmの平面度許容範囲よりも100,000倍以上ゆるい制約である。
【0060】
図6は、イオン曝露の間に基板の動きを防止する静電気クランプの概念の例示である。伝導基板プラテン109は、電気的絶縁スペーサ112によって、2つの伝導領域110と111とに分割される。ポリマーの膜材料は、頂上の表面を電気伝導性にするために、薄い金属薄膜113によって被覆される。伝導領域110および111に印加された電圧によって生成される静電気力が次いで、ポリマーをプラテンに固定する。
【0061】
様々な実施形態において、膜基板と基板プラテン109とは、電気的絶縁スペーサ112によって、2つの領域110と111とに分割される。ポリマーの膜材料は、頂上の表面を電気伝導性にするために、薄い金属薄膜113によって被覆され得、そして異なる電圧が、領域110と111とに印加される。プラテンと金属薄膜との間の静電力が次いで、ポリマーをプラテンに固定する。プラテンの平面度は、被写界深度(DoF)の仕様に適合するだけでよい。さらに、クランプは、完全に平坦なポリマー薄膜を作る必要がない。隙間(void)およびしわは、それらがDoF仕様に適合する限り許容され得る。
【0062】
ここで図6を参照すると、オープンリール式の製造装置が、微孔性フィルタを連続的な方法で製造するために開示される。ポリマーの給送材料210が、供給リール213から、一連の給送ローラーテンショナ214と、キャプスタンドライブ216と、アイドラー218とを介して基板プラテン290上に給送され、該基板プラテン290上で、ポリマーの給送材料210が、イオンビーム230にステンシルマスク200を通して曝露される。曝露の後に、膜は、テンショナ217と、キャプスタンドライブ219と、アイドラー215とを通過し、巻取リール220に巻き取られる。
【0063】
様々な実施形態において、本発明の実施形態に基づいて処理される薄膜は、高エネルギー粒子の曝露が起こっている間は、静止状態に保持される。このことは、図5に示されるような静電気クランプによって行われ、そこでは、基板プラテン109が電気的絶縁スペーサ112によって、2つの領域110と111とに分割される。ポリマーの膜材料は、頂上の表面を電気伝導性にするために、薄い金属薄膜114によって被覆され得、そして異なる電圧が、領域110と111とに印加される。プラテンと金属薄膜との間の静電力が次いで、ポリマーをプラテンに固定する。プラテンの平面度は、DoF仕様に適合するだけでよい。さらに、クランプは、完全に平坦なポリマーの薄膜を作る必要がない。隙間およびしわは、それらがDoF仕様に適合する限り許容され得る。
【0064】
一実施形態において、実験は、50keVのHe+イオンビーム照射によって、20%のKOH/H2O現像剤を用いる、ポリエチレンテラフタレート(teraphthalate)(マイラー)薄膜のパターニングを示した。図8は、40℃および60℃の現像温度に対する現像の深さをイオンの量の関数として示す。1500オングストロームを除去するために必要な量は、約6μC/cm2である。エッチングの深さは、一般的に膜フィルタを製作するために必要とされる深さよりも小さい。このことは、これらの低エネルギーイオンが、薄膜内の約200nmで停止する(図9)からである。イオンの軌跡の末端近くのイオンの拡散はまた関心事である。なぜならば、それはプリントされたマスク画像の解像度を低下させる可能性があるからである。水素イオン(陽子)は、この見地から使用が可能である。図10は、400keV、600keV、および900keVの陽子が、これに限定するものではないが、3、4、および/または5マイクロメートルのような、異なる厚さのマイラー薄膜に浸透するために、十分な範囲を有し、ぼけは0.1マイクロメートル未満であることを示す。
【0065】
図11a)は、0.8x1.6μm2の開口を有するシリコン窒化物ステンシルマスクである。図11b)は、マイラーのシート材料のサンプルにプリントされた、a)のステンシルマスクの50keVのHe+画像である。1x1インチ2のマイラーシートは、コーナーをテープによってホルダーにゆるく取り付けられた。しわのあるサンプルの平面度は、2mmと見積もられた。薄膜は、高温のKOH(40℃)中で現像された。ヘリウムイオンのエネルギーが、マイラー薄膜に完全に浸透するためには不十分であったけれども、この顕微鏡写真は、大きな被写界深度わたってヘリウムイオンによる、マイラーの直接的なパターニングを明らかに示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微孔性フィルタ膜を製作するためのリソグラフィー曝露デバイスであって、該微孔性フィルタ膜は、堅牢な基板によって支持されておらず、該リソグラフィー曝露デバイスは、
膜基板を、少なくとも1つの高エネルギー粒子を備えるビームに曝露するための手段と、
該膜基板を運搬するための手段と、
該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクであって、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、該マスクを通って伝導される、マスクと
を備える、リソグラフィー曝露デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、少なくとも1つの細孔を備えるフィルタ膜を製作する、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項3】
前記マスクは、実質的に静止状態にある、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項4】
前記膜基板を運搬するための前記手段は、該膜基板を固定するクランプをさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項5】
前記膜基板を運搬するための前記手段は、該膜基板を段階的な方式で進め、該膜基板は、段階ごとに前記マスクの略長さだけ進められる、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項6】
エッチング液曝露システムをさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項7】
曝露の前に高放射率被覆を前記フィルタ膜基板に付与するための手段をさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項8】
曝露の後に前記高放射率被覆を前記フィルタ膜基板から除去するための手段をさらに備える、請求項7に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項9】
請求項1に従ったデバイスによって生成されるフィルタ膜。
【請求項10】
前記高エネルギー粒子は、イオン、光子、電子、中性の高エネルギー原子および高エネルギー分子のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項11】
微孔性フィルタ膜を製作するためのリソグラフィー曝露デバイスであって、該微孔性フィルタ膜は、堅牢な基板によって支持されておらず、該リソグラフィー曝露デバイスは、
少なくとも部分的に膜基板上に導かれる放射線供給源であって、該放射線供給源の放射される放射線は、少なくとも1つの高エネルギー粒子のビームを備える、放射線供給源と、
該膜基板を運搬するためのデバイスであって、少なくとも1つの供給リールおよび少なくとも1つの巻取リールを備える、デバイスと、
該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクであって、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、該マスクを通って伝導される、マスクと
を備える、リソグラフィー曝露デバイス。
【請求項12】
前記マスクは、実質的に静止状態である、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項13】
前記膜基板を運搬するための前記デバイスは、該膜基板を固定するクランプをさらに備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項14】
エッチング液曝露システムをさらに備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項15】
曝露の前に高放射率被覆を前記フィルタ膜基板に付与するためのデバイスをさらに備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項16】
曝露の後に高放射率被覆を前記フィルタ膜基板から除去するためのデバイスをさらに備える、請求項15に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項17】
請求項11に従ったデバイスによって生成されるフィルタ膜。
【請求項18】
前記ビームは、約10keV超のエネルギーを有するヘリウムイオンを備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項19】
前記ビームは、約10keV超のエネルギーを有する水素イオンを備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項20】
前記クランプは、静電気クランプである、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項21】
微孔性フィルタ膜フィルタを製作するための方法であって、該微孔性フィルタ膜は、堅牢な基板によって支持されておらず、該方法は、
該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、
少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって、該膜基板を損傷するステップと、
該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップと
を包含する、方法。
【請求項22】
前記膜基板を段階的な方式で運搬する前記ステップは、該膜基板を段階ごとに前記マスクの略長さだけ進める、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
各ステップの少なくとも一部分部分の間には、前記膜基板は、実質的に静止状態にある、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法に従って生成されるフィルタ膜。
【請求項25】
微孔性膜フィルタを製作するための方法であって、該方法は、
中間マスク層およびレジスト被覆を膜基板に付与するステップと、
該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、
少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームに、該レジスト被覆を曝露するステップと、
該レジスト被覆を現像するステップと、
該中間マスク層を通って該レジストのパターンをエッチングするステップと、
該中間マスク層のパターンを該膜基板にエッチングするステップと
を包含する、方法。
【請求項1】
微孔性フィルタ膜を製作するためのリソグラフィー曝露デバイスであって、該微孔性フィルタ膜は、堅牢な基板によって支持されておらず、該リソグラフィー曝露デバイスは、
膜基板を、少なくとも1つの高エネルギー粒子を備えるビームに曝露するための手段と、
該膜基板を運搬するための手段と、
該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクであって、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、該マスクを通って伝導される、マスクと
を備える、リソグラフィー曝露デバイス。
【請求項2】
前記デバイスは、少なくとも1つの細孔を備えるフィルタ膜を製作する、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項3】
前記マスクは、実質的に静止状態にある、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項4】
前記膜基板を運搬するための前記手段は、該膜基板を固定するクランプをさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項5】
前記膜基板を運搬するための前記手段は、該膜基板を段階的な方式で進め、該膜基板は、段階ごとに前記マスクの略長さだけ進められる、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項6】
エッチング液曝露システムをさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項7】
曝露の前に高放射率被覆を前記フィルタ膜基板に付与するための手段をさらに備える、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項8】
曝露の後に前記高放射率被覆を前記フィルタ膜基板から除去するための手段をさらに備える、請求項7に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項9】
請求項1に従ったデバイスによって生成されるフィルタ膜。
【請求項10】
前記高エネルギー粒子は、イオン、光子、電子、中性の高エネルギー原子および高エネルギー分子のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項11】
微孔性フィルタ膜を製作するためのリソグラフィー曝露デバイスであって、該微孔性フィルタ膜は、堅牢な基板によって支持されておらず、該リソグラフィー曝露デバイスは、
少なくとも部分的に膜基板上に導かれる放射線供給源であって、該放射線供給源の放射される放射線は、少なくとも1つの高エネルギー粒子のビームを備える、放射線供給源と、
該膜基板を運搬するためのデバイスであって、少なくとも1つの供給リールおよび少なくとも1つの巻取リールを備える、デバイスと、
該膜基板と該少なくとも1つの高エネルギー粒子の少なくとも1つの供給源との間に配置されるマスクであって、少なくとも1つの粒子を備える該ビームは、該マスクを通って伝導される、マスクと
を備える、リソグラフィー曝露デバイス。
【請求項12】
前記マスクは、実質的に静止状態である、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項13】
前記膜基板を運搬するための前記デバイスは、該膜基板を固定するクランプをさらに備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項14】
エッチング液曝露システムをさらに備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項15】
曝露の前に高放射率被覆を前記フィルタ膜基板に付与するためのデバイスをさらに備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項16】
曝露の後に高放射率被覆を前記フィルタ膜基板から除去するためのデバイスをさらに備える、請求項15に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項17】
請求項11に従ったデバイスによって生成されるフィルタ膜。
【請求項18】
前記ビームは、約10keV超のエネルギーを有するヘリウムイオンを備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項19】
前記ビームは、約10keV超のエネルギーを有する水素イオンを備える、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項20】
前記クランプは、静電気クランプである、請求項11に記載のリソグラフィー曝露デバイス。
【請求項21】
微孔性フィルタ膜フィルタを製作するための方法であって、該微孔性フィルタ膜は、堅牢な基板によって支持されておらず、該方法は、
該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、
少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームによって、該膜基板を損傷するステップと、
該損傷した膜基板をエッチング液によって除去するステップと
を包含する、方法。
【請求項22】
前記膜基板を段階的な方式で運搬する前記ステップは、該膜基板を段階ごとに前記マスクの略長さだけ進める、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
各ステップの少なくとも一部分部分の間には、前記膜基板は、実質的に静止状態にある、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法に従って生成されるフィルタ膜。
【請求項25】
微孔性膜フィルタを製作するための方法であって、該方法は、
中間マスク層およびレジスト被覆を膜基板に付与するステップと、
該膜基板を隣接のマスクに段階的な方式で運搬するステップと、
少なくとも部分的に該マスクを通って導かれる、少なくとも1つの放射線供給源から放射される少なくとも1つの高エネルギー粒子を備える少なくとも1つのビームに、該レジスト被覆を曝露するステップと、
該レジスト被覆を現像するステップと、
該中間マスク層を通って該レジストのパターンをエッチングするステップと、
該中間マスク層のパターンを該膜基板にエッチングするステップと
を包含する、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11a】
【図11b】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11a】
【図11b】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−521291(P2010−521291A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553778(P2009−553778)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/056848
【国際公開番号】WO2008/112888
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508000087)ユニバーシティ オブ ヒューストン (5)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF HOUSTON
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/056848
【国際公開番号】WO2008/112888
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508000087)ユニバーシティ オブ ヒューストン (5)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF HOUSTON
【Fターム(参考)】
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