説明

視覚化ダッシュボードの共同作成方法、システムおよびコンピュータ・プログラム

【課題】視覚化ダッシュボードを共同作成する方法、システムおよびコンピュータ・プログラム製品を提供する。
【解決手段】視覚化ダッシュボードを共同で作成する方法は、視覚化ダッシュボード用に、ウィキ・アーチファクトの中の拡張ウィキ・ディレクティブを特定し、拡張ウィキ・ディレクティブにより参照されているデータと、その拡張ウィキ・ディレクティブにより参照されている1つ以上の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために取得する。さらに、視覚化ダッシュボード内に視覚的表示要素をプログラムでレンダリングするのに必要なコンポーネントに、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている視覚的表示要素をマッピングし、視覚化ダッシュボード内にコンポーネントを配列して、取得されたデータにそのコンポーネントを関連付ける。最後に、視覚化ダッシュボードを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚化ツールの分野に関し、特に、ダッシュボード視覚化(dashboard visualization)ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ技術が進歩する中、異なる複数のソースからの情報集積に関して、コンピューティング・システムが集積装置(aggregator)の役割を担ってきた。リポジトリに情報を格納するデータ・システムから情報を収集するエンド・ユーザまでソースが多岐にわたる中で、集積された情報を分析する際の制限要因は、コンピューティング・リソースではなく人間のオペレータにあることが多い。具体的に言えば、コンピューティング・システムは大量のデータをニア・リアル・タイムで集積することができるものの、最終的には、人間がデータの集積物を視覚化して、その視覚化から効果的な結果を引き出さなければならない。さらに、収集された情報を要約するエンド・ユーザの能力は、そのエンド・ユーザに示されるデータの量に反比例して変化する。収集されたデータの量が過多になった場合、人間が的確にデータを分析することはほぼ不可能になると考えられる。
【0003】
視覚化ツールは、集められたデータと、その中の相関関係とを理解するために使用される。そのような視覚化ツールは、散布図を使用して、オペレーショナル・データ(operational data)を視覚化することが多い。その他のツールは、スライス・アンド・ダイス・ツリー・マップ図を使用する。スプレッドシート・アプリケーションはデータ視覚化の初期の基礎を提供したが、スプレッドシートは適用性が限られており、情報の集合に対するリアル・タイム・ビューをシームレスに提供する能力に難がある。したがって、大規模協働的システム(collaborative system)は、内部で集められたデータを分析する組み込みの視覚化ツールを提供する。場合によっては、高性能の協働的システムは、データ視覚化のダッシュボード・ビューに対するエンド・ユーザ・アクセスを提供する。ダッシュボード・ビューでは、集められたデータを表現する1つ以上の図を、単一のウィンドウが示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
豊富なデータ視覚化を組み入れたダッシュボードの作成およびカスタマイズは、エンド・ユーザではなく技術スタッフによって行われることが多い。その結果、過度に複雑である、または適切なデータを示すことができない、または他の点で本来の利用者による使用が困難なダッシュボードがもたらされることがある。ユーザ中心の冗長な設計プロセスを導入することによって、この問題に対処するものもあるが、このプロセスは作成される新たなダッシュボードごとに繰り返さなければならない。情報技術インフラストラクチャ管理製品などの自社製品に何らかの形態のデータ視覚化を含む多数のソフトウェア・ベンダが、データの特定ビューのエンド・ユーザによるカスタマイズを支援することを目的としたツールを提供している。こうしたデータ視覚化ツールは、チャートおよびグラフを整理してデータ入力を視覚的出力に結び付けるための数十のノブおよびコントロール・ポイントを提供する、複雑でユーザ・インターフェース指向のものであることが多い。さらに、こうしたデータ視覚化ツールは、ダッシュボード設計を編集する1人のカスタマイズ実行者に焦点を当て、単一ユーザ指向である傾向にある。
【0005】
データ視覚化は、ウィキ・ページの概念にまで拡大された。ウィキ・ページは、ウィキ・ページにアクセスする人が誰でも、ウィキ・マークアップとして知られる簡易化したマークアップ言語を使用してコンテンツを投稿または変更できるように設計されたページ、またはウェブ・ページの集合である。ウィキは、共同ウェブ・サイトの作成およびコミュニティ・ウェブ・サイトの強化に使用されることが多い。ウィキ・ページとの関連では、ダッシュボードを、ウィキ・マークアップを使用して定義し、視覚化のあらゆる側面を十分に記述することができる。したがって、ウィキというコンテキストにおいてダッシュボードを作成する人は、ダッシュボードを生成するために、ウィキ・マークアップを十分に熟知していなければならない。さらに、ウィキ・ページで定義されるダッシュボードは、個々のウィキ・ユーザによるウィキ・マークアップの手動編集によってのみ変更可能であるが、これは単調で時間のかかる作業である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、視覚化ツールおよびダッシュボード設計の制作に関して当技術分野の欠陥に対処し、視覚化ダッシュボード(visualization dashboard)の共同作成のための、新規であり自明でない方法、システムおよびコンピュータ・プログラム製品を提供する。本発明の実施形態では、視覚化ダッシュボードを共同で作成する方法を提供することができる。本方法は、視覚化ダッシュボード用のウィキ・アーチファクト(Wiki artifact)の中の拡張ウィキ・ディレクティブ(extended Wikidirective)を特定することを含むことができる。この点において、周知のように、ウィキ・アーチファクトはウィキ・ページのマークアップ部分である。ウィキ・ページも、ウィキ・ページにアクセスするエンド・ユーザが簡易化したマークアップ言語を使用してコンテンツを投稿または変更できるように設計されたウェブ・ページの集合として知られている。当業者には分かるように、ウィキは、共同ウェブ・サイトの作成およびコミュニティ・ウェブ・サイトの強化のために使用されることが多い。
【0007】
したがって、本方法はさらに、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている1つ以上の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために、取得することを含むことができる。本方法はさらに、視覚的表示要素を視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要なコンポーネントに、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている視覚的表示要素をマッピングすることを含むことができる。本方法はさらに、コンポーネントを視覚化ダッシュボード内に配列して、そのコンポーネントを取得されたデータに関連付け、視覚化ダッシュボード内の視覚的表示要素のうちの1つの一部分に対応するデータを、視覚化ダッシュボード内の視覚的表示要素のうちの他の視覚的表示要素のデータのソースとして、視覚的表示要素のうちの該他の視覚的表示要素に関連付けることを含むことができる。最後に、本方法は、視覚化ダッシュボードを表示することを含むことができる。任意選択で、編集コントロールが視覚化ダッシュボードに挿入され、視覚化ダッシュボード内の編集コントロールの選択に応答して、共同編集用にウィキ・アーチファクトを取得するよう構成されることが可能である。
【0008】
この実施形態の一態様では、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータおよび視覚的表示要素は、他のウィキ・ページから取得可能である。この実施形態の別の態様では、視覚的表示要素を視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要なコンポーネントに、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている視覚的表示要素をマッピングすることは、さらに、コンポーネントのうち、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている視覚的表示要素の1つに対応する選択されたコンポーネントが、アクセス不可能であると判断することと、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている視覚的表示要素のうちの該1つを、コンポーネント・タイプにファジー・マッチさせることと、ファジー・マッチしたコンポーネント・タイプのコンポーネントのインスタンスを定義するために、What‐You‐See‐Is‐What‐You‐Get(WYSIWYG)エディタを呼び出すことと、コンポーネントのうち、アクセス不可能であると判断された選択されたコンポーネントの代わりに、ファジー・マッチしたコンポーネント・タイプのコンポーネントの定義されたインスタンスを、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている視覚的表示要素のうちの該1つにマッピングすることとを含むことができる。
【0009】
本発明の別の実施形態では、ダッシュボード視覚化データ処理システムは、視覚化ダッシュボードの共同定義用に構成可能である。このシステムは、ホスト・コンピューティング・プラットフォーム内で実行されているウィキ・エンジンと、このウィキ・エンジンに接続された拡張ウィキ・ディレクティブ処理モジュールとを含むことができる。このモジュールは、視覚化ダッシュボード用にウィキ・エンジンにより管理されているウィキ・アーチファクトの中の拡張ウィキ・ディレクティブを特定し、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために取得し、視覚的表示要素を視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要なコンポーネントに、拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている視覚的表示要素をマッピングすることができるプログラム・コードを含むことができる。
【0010】
このプログラム・コードはさらに、コンポーネントを視覚化ダッシュボード内に配列して、そのコンポーネントを取得されたデータに関連付け、視覚化ダッシュボード内の視覚的表示要素のうちの1つの一部分に対応するデータを、視覚化ダッシュボード内の視覚的表示要素のうちの他の視覚的表示要素のデータのソースとして、視覚的表示要素のうちの該他の視覚的表示要素に関連付け、表示用に視覚化ダッシュボードをウィキ・エンジンに返すことができるようにすることが可能である。WYSIWYGエディタはさらに、拡張ウィキ・ディレクティブ処理モジュールに接続可能であり、拡張ウィキ・ディレクティブ処理モジュールのプログラム・コードはさらに、コンポーネントのうち、アクセスできないと判断された選択されたコンポーネントをインタラクティブに定義して、コンポーネントのうち、インタラクティブに定義された選択されたコンポーネントに対する参照を、ウィキ・アーチファクトの中の拡張ウィキ・ディレクティブに挿入するために、WYSIWYGエディタを呼び出すことができる。
【0011】
本発明のさらなる態様が、一部以下の記載において明記され、一部本記載から明らかとなるか、または本発明を実践することによって習得される。本発明の各態様が、添付の特許請求の範囲において詳しく示される構成要素および組み合わせによって実現および達成される。当然のことながら、前述の概要および以下の詳細な説明はどちらも、例示および説明のためのものでしかなく、特許請求の範囲に記載されている本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】視覚化ダッシュボードを共同で作成するプロセスを図で表現したものである。
【図2】視覚化ダッシュボードの共同定義用に構成されているダッシュボード視覚化データ処理システムの略図である。
【図3】視覚化ダッシュボードを共同で作成するプロセスを示すフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面が、この明細書に組み込まれ、明細書の一部を構成しているが、これは本発明の実施形態を示し、本記載と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。本願明細書で示される実施形態は、現時点において好ましいものである。ただし、当然ながら本発明は、示されている構成および手段に厳密に限定されるものではない。
【0014】
本発明の実施形態は、視覚化ダッシュボードを共同作成する方法、システムおよびコンピュータ・プログラム製品を提供する。本発明の実施形態によれば、ウィキ・ページ内の、アプリケーション用のデータ・ソースと、このデータ・ソースからデータを視覚化するよう構成されている1つ以上の視覚的表示要素とを特定するために、ウィキ・ディレクティブを構文解析することができる。視覚的表示要素は、別個のウィキ・ページの中でディレクティブに従って配列されることが可能である。その後、その別個のウィキ・ページを、このデータ・ソースからのデータのアプリケーションに関連して、ダッシュボード・ビューとしてレンダリング可能である。
【0015】
実例として、図1は、視覚化ダッシュボードを共同で作成するプロセスを図示したものである。図1に示されているように、ウィキ・マークアップ110の異なる複数の部分が、拡張ウィキ・ディレクティブ170に従って特定される拡張ウィキ・マークアップ・アーチファクト120に集積されることが可能である。この点について、拡張ウィキ・ディレクティブ170は、両視覚的表示要素160、視覚的表示要素160により視覚化されるべきデータ190のデータ・ソース、およびデータ190のダッシュボード視覚化140内での視覚的表示要素160の配列を含むウィキ・マークアップ110の部分のうちの1つ以上を指定することができる。
【0016】
拡張ウィキ・マークアップ・アーチファクト120は、拡張ウィキ・レンダラ130に提供可能である。拡張ウィキ・レンダラ130は、視覚的表示要素160においてデータ190を視覚化するために、拡張ウィキ・ディレクティブ170を処理して、視覚的表示要素160をダッシュボード視覚化140内に配列することができる。さらに、視覚的表示要素160のうちの選択されたものが、1つ以上のユーザ・インターフェース・イベントに応答するよう構成されることも可能である。イベントとは、データ190の複数部分の別の視覚的表示要素160における表示をトリガするための、視覚的表示要素160のうちの選択されたものの一部分の選択イベントなどである。任意選択で、さらに編集コントロール150を、ダッシュボード視覚化140内に配置することができる。この編集コントロール150のアクティブ化に応答して、拡張ウィキ・マークアップ・アーチファクト120がエンド・ユーザによる編集用に示され得る。
【0017】
拡張ウィキ・ディレクティブ170により参照される視覚化用の視覚的表示要素160のうちの1つ以上が、ダッシュボード視覚化140をレンダリングする時に見つからなければ、視覚化の代わりにプレースホルダ・アイコンをダッシュボード視覚化140内に挿入することができる。プレースホルダ・アイコンをアクティブ化して、WYSIWYGエディタ180を起動して視覚化をつくることが可能である。その後は、一度作成された視覚化は、視覚的表示要素160のうちの新たに指定および配列されたものを参照することによって、拡張ウィキ・マークアップ・アーチファクト120に組み込むことができる。このようにして、手動のウィキ編集に完全に依存するのではなく、手動のウィキ・マークアップのウィキ・スタイル編集と、WYSIWIGエディタ180を用いたインタラクティブな編集との組み合わせを、視覚化の作成においてサポートすることができる。
【0018】
なお、データ190の一部分100を別の視覚的表示要素160のデータのソースとして提供するよう、データ190の一部分100に対応する、視覚的表示要素160のうちの1つの一部分がアクティブ化され得る。この点について、ダッシュボード視覚化140内の視覚的表示要素160のうちの1つの一部分に対応するこのデータ100が、視覚的表示要素160のうちの他のものに、ダッシュボード視覚化140における、視覚的表示要素160の該他のもののデータのソースとして割り当てられ得る。このように、視覚的表示要素160のうちの1つの種々の部分が選択されるときに、基礎をなす対応するデータ100が、他方の視覚的表示要素160のデータのソースとして提供されることが可能である。
【0019】
図1に関連して記載されたプロセスは、ダッシュボード視覚化データ処理システム内で具現化できる。さらに説明すると、図2は、視覚化ダッシュボードの共同定義用に構成されているダッシュボード視覚化データ処理システムの略図である。このシステムは、コンピュータ通信ネットワーク230上で種々のクライアント210に通信接続するよう構成された、ホスト・コンピューティング・プラットフォーム240を含むことができる。ホスト・コンピューティング・プラットフォーム240は、共同コンピューティング・アプリケーションなどのアプリケーション270の動作環境を提供するデータ・ストア250の実行をホストすることができる。さらに、データ・ストア250は、アプリケーション270によってつくり出されるデータのデータ・ストレージを提供するよう、ホスト・コンピューティング・プラットフォーム240に接続され得る。この点について、クライアント210はそれぞれ、コンテンツ・ブラウザ220の実行をサポートすることができ、コンテンツ・ブラウザ220を介して、アプリケーション270およびデータ・ストア250内の対応するデータへのアクセスが提供され得る。
【0020】
ウィキ・エンジン280は、ホスト・コンピューティング・プラットフォーム240に接続可能であり、個々のコンテンツ・ブラウザ220を介してエンド・ユーザによって閲覧可能かつ編集可能なウィキ・ページの作成および保持を管理することができる。特に、拡張ウィキ処理モジュール300は、ウィキ・エンジン280に接続可能である。拡張ウィキ処理モジュール300は、拡張ウィキ指定(extended Wiki specification)290Bの拡張ウィキ・ディレクティブを処理できるプログラム・コードを含むことができ、拡張ウィキ・ディレクティブは、コンテンツ・ブラウザ220を介したオン・デマンドでの閲覧用に、データ・ストア250内のデータのダッシュボード視覚化290Aを定義する。
【0021】
特に、拡張ウィキ処理モジュール300のプログラム・コードは、ウィキ・エンジン280により処理されるウィキにおいて拡張ウィキ・ディレクティブを特定できるようにすることができる。このプログラム・コードは、拡張ウィキ・ディレクティブの特定に応答して、データ・ストア250内にある、データの、拡張ウィキ・ディレクティブ内で指定されているデータ・ソース、およびさらに、視覚化ダッシュボード290A内に配列されるべき1つ以上の視覚的表示要素を見つけることができるようにすることが可能である。例えば、拡張ウィキ・ディレクティブは、次の形式のウィキ・ディレクティブを含むことができる。
【0022】
|=[表示要素1タイトル]|=[表示要素2タイトル]|
|((DataSource:表示要素1))|=((DataSource.selected:表示要素2))|
【0023】
上記の例示的なディレクティブでは、データ・ソースからデータを視覚化するために、視覚化されるべきデータのデータ・ソースを、表示要素と共に指定できる。さらに、第2の表示要素が、第1の表示要素内のデータの選択された部分を視覚化するよう指定される。当業者には当然のことながら、拡張ウィキ・ディレクティブを含むウィキ・アーチファクトはさらに、種々の視覚的表示要素の正確な視覚的配列を指定する従来のウィキ・ディレクティブを含むことができる。
【0024】
拡張ウィキ処理モジュール300のプログラム・コードはさらに、例えば円グラフ、棒グラフ、線グラフ、ツリー・マップおよび同様のものなどの視覚的表示を提供するよう構成されている指定の各視覚的表示に関して、データ・ストア250において実行されるべき必要コンポーネントを見つけることができるようにすることが可能である。必要コンポーネントは、所望の視覚的表示要素を提供するようプログラムされた従来のJava、Javascriptおよびハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML:hypertext markup language)、Flashなどを含むことができる。必要コンポーネントを、ウィキ・アーチファクトのレンダリング時に見つけられなければ、WYSIWYGエディタ200が、必要コンポーネントのインタラクティブな指定および配列を提供するために呼び出され得る。
【0025】
あるいは、指定の視覚的表示要素に正確にマッピングする必要コンポーネントがデータ・ストア250によってアクセスできなければ、テーブル205を参照することによるファジー・マッチング・プロセス(fuzzy matching process)が用いられ、視覚的表示要素の文字指定と一致する視覚的表示要素のタイプに対する最良の推測(ファジー・マッチ)を提供することができる。例えば、「円」という語を含む視覚的表示要素に対する文字による参照は、円グラフ・タイプの視覚的表示要素にファジー決定することができる。その後、リンクが視覚化ダッシュボード290Aに提供されるとよく、これは、アクセス不可能であると判断された必要コンポーネントの代わりに、視覚的表示要素のファジー決定されたタイプと一致するコンポーネントをインタラクティブに指定および配列できるよう、WYSIWYGエディタ200をアクティブ化するように構成されているとよい。
【0026】
さらに、拡張ウィキ処理モジュール300のプログラム・コードは、視覚的表示要素のうちの所定のものにおける選択イベントに応答して、サポート用のディレクティブを挿入できるようにすることができる。具体的には、このサポート用のディレクティブは、複数の視覚的表示要素のうちの所定のものの選択部分に関する対応するデータを特定し、複数の視覚的表示要素のうちの所定のものの選択部分に関するこの対応するデータを視覚化するのに使用するために、この対応するデータを別の視覚的表示要素に渡すよう構成されるとよい。このように、拡張ウィキ指定290B内の拡張ウィキ・ディレクティブにアクセスするエンド・ユーザは、視覚化ダッシュボード290Aを効率的かつ単純に定義するために、データ・ソース、1つ以上の視覚化要素、視覚化要素と視覚化要素の配列との間の所望の関係を指定しさえすればよい。さらに、拡張ウィキ指定290Bが本質的にウィキ方式であるということから、ウィキ環境の共同作業による利点を、視覚化ダッシュボード290Aのコミュニティによる定義をサポートするよう活用することができる。
【0027】
拡張ウィキ処理モジュール300の動作のさらに別の説明として、図3は、視覚化ダッシュボードを共同で作成するプロセスを示すフロー・チャートである。ブロック305で開始し、視覚化ダッシュボードのウィキ指定を、処理のためにロードすることができる。ブロック310で、ウィキ指定内の第1の拡張ウィキ参照が取得されるとよく、拡張ウィキ参照により参照される対応するコンテンツがブロック315で取得されるとよい。対応するコンテンツは、視覚的表示要素、または表示要素によって視覚化されるべきデータとすることができる。決定ブロック320において、取得されたコンテンツが、視覚化されるべきデータであれば、ブロック325でデータがメモリに格納されるとよい。そうでなければ、ブロック330で、データを視覚化する表示要素が、その表示要素の提供に必要なコンポーネントにマッピングされるとよい。
【0028】
決定ブロック335において、視覚化ダッシュボードのウィキ指定において、未処理のさらなる拡張ウィキ参照があれば、次の拡張ウィキ参照が、ブロック315で取得されることが可能であり、プロセスが繰り返されるとよい。決定ブロック335において未処理のさらなる拡張ウィキ参照がなければ、ブロック345で、マッピングされた視覚的表示要素が、表示要素の特定の視覚的配列を指定するさらなる従来のウィキ・ディレクティブに従って、視覚化ダッシュボードに挿入されるとよい。さらに、格納されているデータが、ブロック350において、挿入された表示要素のうちの指定されたものに関連付けられるとよい。最後にブロック355で、視覚化ダッシュボードが、リクエスト側のエンド・ユーザによって表示用にレンダリングされるとよい。
【0029】
本発明の実施形態は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはハードウェア要素およびソフトウェア要素両方を含んだ実施形態という形をとることができる。好適な実施形態では、本発明は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードおよび同様のものを含むがこれらに限定されないソフトウェアにおいて実装される。さらに、本発明は、コンピュータまたは任意の命令実行システムにより使用される、またはそれに関連して使用されるプログラム・コードを提供する、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体からアクセス可能なコンピュータ・プログラム製品という形をとることができる。
【0030】
本記載では、コンピュータ使用可能媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置もしくはデバイスにより使用される、またはこれらに関連して使用されるプログラムを、含むこと、格納すること、伝達すること、伝播させること、または転送することができる任意の装置とすることができる。媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線または半導体のシステム(もしくは装置もしくはデバイス)、または伝播媒質とすることができる。コンピュータ可読媒体の例には、半導体または固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータ・ディスケット、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、読み取り専用メモリ(ROM:read‐only memory)、剛体磁気ディスクおよび光ディスクがある。光ディスクの現在の例には、コンパクト・ディスク‐読み取り専用メモリ(CD‐ROM:compact disk‐read only memory)、コンパクト・ディスク‐読み取り/書き込み(CD‐R/W:compact disk‐read/write)およびDVDがある。
【0031】
プログラム・コードの格納または実行、あるいはその両方を行うのに適したデータ処理システムは、システム・バスを介して直接的または間接的にメモリ要素に接続された、少なくとも1つのプロセッサを含む。メモリ要素は、プログラム・コードの実際の実行中に用いられるローカル・メモリと、大容量ストレージと、実行中に大容量ストレージからコードを読み出さなければならない回数を減らすために少なくとも一部のプログラム・コードの一時的なストレージとなるキャッシュ・メモリとを含むことができる。入出力、すなわちI/O(Input/Output)デバイス(限定されるものではないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティング・デバイスなどを含む)が、直接、または介在するI/O制御器を介してシステムに接続されるとよい。データ処理システムを、介在するプライベート・ネットワークまたはパブリック・ネットワークを介して他のデータ処理システムまたはリモート・プリンタまたは記憶デバイスに接続できるよう、ネットワーク・アダプタもシステムに接続されているとよい。モデム、ケーブル・モデムおよびEthernet(R)カードは、現時点で入手可能なタイプのネットワーク・アダプタのごく一部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚化ダッシュボードを共同で作成する方法であって、
視覚化ダッシュボード用のウィキ・アーチファクトの中の拡張ウィキ・ディレクティブを特定するステップと、
前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために前記取得するステップと、
前記視覚的表示要素を前記視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要な複数のコンポーネントに、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素をマッピングするステップと、
前記コンポーネントを前記視覚化ダッシュボード内に配列して、前記コンポーネントを前記取得されたデータに関連付けるステップと、
前記視覚化ダッシュボード内の前記視覚的表示要素のうちの1つの一部分に対応するデータを、前記視覚化ダッシュボード内の前記視覚的表示要素のうちの他の視覚的構成要素のデータのソースとして、前記視覚的表示要素のうちの前記他の視覚的表示要素に関連付けるステップと、
前記視覚化ダッシュボードを表示するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記視覚化ダッシュボードに編集コントロールを挿入するステップと、
前記視覚化ダッシュボードにおける前記編集コントロールの選択に応答して、共同編集のために前記ウィキ・アーチファクトを取得するよう、前記編集コントロールを構成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために前記取得するステップは、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために他のウィキ−・ページから前記取得するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記視覚的表示要素を前記視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要な複数のコンポーネントに、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素をマッピングするステップは、
前記コンポーネントのうち、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素の1つに対応する選択されたコンポーネントが、アクセス不可能であると判断するステップと、
前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素のうちの前記1つを、コンポーネント・タイプにファジー・マッチさせるステップと、
前記ファジー・マッチしたコンポーネント・タイプのコンポーネントのインスタンスを定義するために、What‐You‐See‐Is‐What‐You‐Get(WYSIWYG)エディタを呼び出すステップと、
前記コンポーネントのうち、アクセス不可能であると判断された前記選択されたコンポーネントの代わりに、前記ファジー・マッチしたコンポーネント・タイプの前記コンポーネントの前記定義されたインスタンスを、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素のうちの前記1つにマッピングするステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
視覚化ダッシュボードの共同定義用に構成されたダッシュボード視覚化データ処理システムであって、
ホスト・コンピューティング・プラットフォームにおいて実行されているウィキ・エンジンと、
前記ウィキ・エンジンに接続されている拡張ウィキ・ディレクティブ処理モジュールであって、視覚化ダッシュボード用に前記ウィキ・エンジンにより管理されているウィキ・アーチファクトの中の拡張ウィキ・ディレクティブを特定し、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために前記取得し、前記視覚的表示要素を前記視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要な複数のコンポーネントに、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素をマッピングし、前記コンポーネントを前記視覚化ダッシュボード内に配列して、前記コンポーネントを前記取得されたデータに関連付け、前記視覚化ダッシュボード内の前記視覚的表示要素のうちの1つの一部分に対応するデータを、前記視覚化ダッシュボード内の前記視覚的表示要素のうちの他の視覚的表示要素のデータのソースとして、前記視覚的表示要素のうちの前記他の視覚的表示要素に関連付け、前記視覚化ダッシュボードを、表示用に前記ウィキ・エンジンに返すことができるプログラム・コードを含む、前記モジュールと、
を含むシステム。
【請求項6】
前記視覚的表示要素は、円グラフ、棒グラフ、ツリー・マップおよび線グラフから成る群から選択された要素を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、前記視覚化ダッシュボード内に配置された編集コントロールをさらに含み、前記編集コントロールは、前記視覚化ダッシュボードにおける前記編集コントロールの選択に応答して、共同編集のために前記ウィキ・アーチファクトを取得する構成を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、前記拡張ウィキ・ディレクティブ処理モジュールに接続されたWhat‐You‐See‐Is‐What‐You‐Get(WYSIWYG)エディタをさらに含み、前記拡張ウィキ・ディレクティブ処理モジュールの前記プログラム・コードはさらに、前記コンポーネントのうち、アクセス不可能であると判断された選択されたコンポーネントをインタラクティブに定義して、前記コンポーネントのうち、前記インタラクティブに定義された選択されたコンポーネントに対する参照を、前記ウィキ・アーチファクトの中の前記拡張ウィキ・ディレクティブに挿入するために、前記WYSIWYGエディタを呼び出すことができる、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
視覚化ダッシュボードを共同で作成するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードを具現化するコンピュータ使用可能媒体を含むコンピュータ・プログラムであって、
視覚化ダッシュボード用のウィキ・アーチファクトの中の拡張ウィキ・ディレクティブを特定するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために前記取得するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記視覚的表示要素を前記視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要な複数のコンポーネントに、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素をマッピングするためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記コンポーネントを前記視覚化ダッシュボード内に配列して、前記コンポーネントを前記取得されたデータに関連付けるためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記視覚化ダッシュボード内の前記視覚的表示要素のうちの1つの一部分に対応するデータを、前記視覚化ダッシュボード内の前記視覚的表示要素のうちの他の視覚的表示要素のデータのソースとして、前記視覚的表示要素のうちの前記他の視覚的表示要素に関連付けるためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記視覚化ダッシュボードを表示するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
を含むコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
前記視覚化ダッシュボードに編集コントロールを挿入するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記視覚化ダッシュボードにおける前記編集コントロールの選択に応答して、共同編集のために前記ウィキ・アーチファクトを取得するよう、前記編集コントロールを構成するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
をさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項11】
前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために前記取得するための前記コンピュータ使用可能プログラム・コードは、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されているデータと、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている複数の視覚的表示要素とを、取得されるデータの複数部分を視覚化するために他のウィキ・ページから前記取得するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードを含む、請求項9に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
前記視覚的表示要素を前記視覚化ダッシュボード内にプログラムでレンダリングするのに必要な複数のコンポーネントに、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素をマッピングするための前記コンピュータ使用可能プログラム・コードは、
前記コンポーネントのうち、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素の1つに対応する選択されたコンポーネントが、アクセス不可能であると判断するためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素のうちの前記1つを、コンポーネント・タイプにファジー・マッチさせるためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記ファジー・マッチしたコンポーネント・タイプのコンポーネントのインスタンスを定義するために、What‐You‐See‐Is‐What‐You‐Get(WYSIWYG)エディタを呼び出すためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
前記コンポーネントのうち、アクセス不可能であると判断された前記選択されたコンポーネントの代わりに、前記ファジー・マッチしたコンポーネント・タイプの前記コンポーネントの前記定義されたインスタンスを、前記拡張ウィキ・ディレクティブによって参照されている前記視覚的表示要素のうちの前記1つにマッピングするためのコンピュータ使用可能プログラム・コードと、
をさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−157219(P2010−157219A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277199(P2009−277199)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.FLASH
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】