視覚表示装置
【課題】周囲の全方位から立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人よって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置。
【解決手段】中心軸1に同心に回転対称な主光学系2が配置され、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置され、主光学系1を挟んで各副光学系と反対側に中心軸1に同心に回転対称で少なくとも2面の反射面41、42を備えた角度変換光学系4が配置され、各副光学系3、主光学系2、角度変換光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5が角度変換光学系4の主光学系2側とは反対側に位置し、各副光学系3の主光学系2とは反対側に表示面6が配置され、各合成光学系による表示面6の拡大像8が中心軸1近傍に重層して結像され、射出瞳5が中心軸1に同心に略連続的に形成され、表示面6は中心軸1に垂直な共通の平面上に回転対称に配置される。
【解決手段】中心軸1に同心に回転対称な主光学系2が配置され、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置され、主光学系1を挟んで各副光学系と反対側に中心軸1に同心に回転対称で少なくとも2面の反射面41、42を備えた角度変換光学系4が配置され、各副光学系3、主光学系2、角度変換光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5が角度変換光学系4の主光学系2側とは反対側に位置し、各副光学系3の主光学系2とは反対側に表示面6が配置され、各合成光学系による表示面6の拡大像8が中心軸1近傍に重層して結像され、射出瞳5が中心軸1に同心に略連続的に形成され、表示面6は中心軸1に垂直な共通の平面上に回転対称に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚表示装置に関し、特に、周囲の全方位から眼鏡等を用いることなく立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人によって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視野角制限フィルターを備えたスクリーンを中心軸の周りで回転させながら、例えば1つの物体を360°周辺方向から見た映像をそのスクリーン上に投影することにより、任意の方向から観察する場合に見る方向により観察画像が変化し、立体表示が可能な表示装置が特許文献1〜3において知られている。
【特許文献1】特開2005−221690号公報
【特許文献2】特開2006−10852号公報
【特許文献3】特開2006−11367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1〜3において知られている従来例の場合、視野角制限フィルターを備えたスクリーンを機械的に回転させる機構が必要であり、また、特定の方向から見る場合にその方向において観察可能な画像を断続的にしか見ることができない。さらに、表示素子やスクリーン面を回転させることなく、また、眼鏡等を用いることなく裸眼で立体視が可能で、さらに、周辺の360°どの方向からでも観察することが可能な表示装置は存在しなかった。
【0004】
本発明は従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械的な複雑な回転機構や眼鏡等を用いなくても、周囲の全方位から立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人よって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の視覚表示装置は、中心軸に同心に回転対称な主光学系が配置され、中心軸に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系が並列して配置され、さらに、前記主光学系を挟んで、前記各副光学系と反対側に、中心軸に同心に回転対称で少なくとも2面の反射面を備えた角度変換光学系が配置され、前記各副光学系、前記主光学系及び前記角度変換光学系により構成される合成光学系の射出瞳が前記角度変換光学系の前記主光学系側とは反対側に位置し、前記各副光学系の前記主光学系とは反対側に表示面が配置され、前記各合成光学系による前記表示面の拡大像が中心軸近傍に重層して結像され、かつ、前記各合成光学系の前記射出瞳が中心軸に同心に略連続的に形成され、前記表示面は中心軸に垂直な共通の平面上に回転対称に配置されることを特徴とするものである。
【0006】
この場合、前記各副光学系と前記主光学系との合成系による前記表示面の中間像が中心軸近傍に重層して投影されるようにすることが好ましい。
【0007】
また、前記中間像の位置に拡散板が配置されていることが好ましい。
【0008】
また、前記角度変換光学系は前記重層され投影された前記中間像を360°全方位に向けて画角を変換する変換作用を有し、前記重層されて投影される前記中間像各々は画角変換後正立して前記拡大像になるように回転して重層されていることが望ましい。
【0009】
また、前記表示面各々は、複数の異なる映像を表示することが望ましく、その場合に、前記複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であることができる。
【0010】
また、前記表示面は、前記副光学系各々と対応して配置された複数の表示素子の表示面であってもよく、あるいは、前記副光学系全てに対応して配置された1つの表示素子の表示面を区分した表示面であってもよい。
【0011】
また、前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸を含む縦断面と回転対称軸と直交する横断面での曲率が異なることが望ましい。
【0012】
また、前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することが望ましい。
【0013】
また、前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明の視覚表示装置においては、機械的に複雑な回転機構や眼鏡等を用いなくても、周辺から観察したときに視差のある画像を観察することにより立体像を観察することが可能な視覚表示装置を提供することができる。また、見る角度や見る方向によって異なる観察像を表示可能な視覚表示装置を提供することができる。さらに、表示面が共通な平面上に形成されるので、表示素子の拡大像が中心軸近傍に結像され、拡大像の位置を移動させるフォーカス機構が直線移動の構造でできると共に、表示面の組み立てが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施例に基づいて本発明の視覚表示装置について説明する。
【0016】
本発明の視覚表示装置の基本原理は、図1に後記の実施例1の中心軸1に沿ってとった断面図に示すように、中心軸1に同心に回転対称な主光学系2が配置され、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置され、さらに、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心に回転対称な角度変換光学系4が配置され、各副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5(通常、副光学系3の開口の像である。)が角度変換光学系4の主光学系2側とは反対側に位置し、各副光学系3の主光学系2とは反対側に表示面6が配置され、各合成光学系によるその表示面6の拡大像8が中心軸1近傍に重層して結像され、かつ、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に略連続的に形成され、表示面6は中心軸1に垂直の共通な平面上に回転対称に配置されものである。
【0017】
中心軸1に対してその周囲から中心軸1方向を観察する光学系の場合、従来の回転対称で像面が中心軸1に直交する光学系では、光線を大きく屈曲させる必要があり、周辺からの観察像の歪みが大きく発生してしまい、比較的大きな観察領域をとることはできなかった。
【0018】
一方、特許文献1〜3に開示されているスクリーンに投影する方法では、スクリーンを回転させる必要があった。
【0019】
そこで、本発明では、中心軸1周辺のどの方向からも拡大光学系として機能する光学系を、回転対称軸(中心軸)を上下方向として配置し、観察方向は回転対称軸と略垂直な水平方向の全方位から観察可能なようにすることが最大の特徴である。
【0020】
このような構成により、回転対称軸を上下方向として、水平方向のどの方向からでも拡大観察光学系(視覚表示装置)として機能させることに成功したものである。
【0021】
図1を参照にして説明すると、本発明の視覚表示装置の光学系は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0022】
そして、図1から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3も、単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の各副光学系3と主光学系2との合成系による拡大中間像7が主光学系2の内部あるいはその射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0023】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、2面以上の中心軸1に同心で回転対称な反射面を有する反射光学系あるいは反射屈折光学系からなっており、各副光学系3と主光学系2との合成系による表示面6の相互に重層された中間像7の実像(拡大像)8が中心軸1近傍に結像される。この拡大像8も心軸1近傍に重層して結像される。
【0024】
さらに、各副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5が中心軸1に各拡大像8に面して同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようにする。
【0025】
このような構成であるので、観察者はその眼を中心軸1の周囲の何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、合成光学系(副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4)によって拡大結像された対応する表示面6の拡大像8を観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側あるいは同じ側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0026】
そして、本発明の視覚表示装置においては、表示面6は中心軸1に垂直な共通な平面上に配置されているため、表示面6の拡大像8は中心軸1近傍に結像され、拡大像8の位置を移動させるフォーカス機構が直線移動の構造でできると共に、表示素子の組み立てが容易になる。
【0027】
さらに、複数の同一の副光学系3を同心に並列に配置して、中心軸1に同心に略連続的に射出瞳5が並列されることにより、広い観察領域を形成することができる。並列の連続して投影された射出瞳5により、拡散板等を用いることなく、広い観察領域を確保することが可能となる。
【0028】
さらに、拡大像8が中心軸1近傍に結像されるようにすることで、少なくとも合成光学系により投影された拡大像8の輻輳と両眼の輻輳点とを一致させることが可能となり、融像しやすい立体表示が可能となる。
【0029】
さらに好ましくは、表示面6各々には同一物体について複数の視点から撮影された映像を表示するようにすることが望ましい。すなわち、図2に示すように、物体100についての視差画像は、全周360°を例えば16分割する場合には、22.5°毎に物体100を回転させてカメラ101で撮影された静止画でもよいし、CG等で作成した3次元物体を同様に22.5°毎に視点を回転させた生成した動画でもよい。さらに、16台のカメラを中心点に向けて設置した撮像装置からの動画でもよい。
【0030】
このようにして作成した16視点の静止画や動画は、図3に物体100についての16個の画像を並べて示すように、16視点の映像となる。このような映像を個々の表示面6を並べて形成される全体の表示面16に、図4に示すように、撮影された角度順に同心となるように表示する。
【0031】
このような視差画像を中心軸の周りで撮影された角度順に各表示面6に配置すると、図5に示すように、隣接した射出瞳5に観察者の左右の眼球EL、ERが位置するとき、左右の眼球EL、ERに両眼視差像の拡大像8が見えることになり、撮影した物体100の立体像が見えることになる。
【0032】
ここで、観察位置での射出瞳5と観察者の左右の眼球EL、ERの位置については、図6に示すように、少なくとも、眼幅の標準が65mmなので、本発明の視覚表示装置の光学系50の投影された射出瞳5も65mm間隔となることが望ましい。また、射出瞳5の形状は、図5に示すような正方形に限らず、楕円や長方形でも可能である。
【0033】
また、図6に示すように、観察位置を明視の距離30cmとすると、標準眼幅65mmであるから、本発明の視覚表示装置の光学系50の1つの合成光学系による観察領域は、12.37°以上あることが好ましい。さらに、観察者Eが頭を動かした場合は、図7に示すように、順次隣の合成光学系による観察領域へ移っていって、やがて360°の全方位からの立体映像を観察することが可能となる。また、機械的に光学系50を回転させて全方位の立体映像を観察をすることも可能であるし、各表示面6の表示映像を電子的に切り替えて全方位からの立体映像を観察するようにすることも可能である。
【0034】
なお、各表示面6に配置する画像として上記のような視差画像を角度順に配置したものに限定されず、例えば、ある角度を境にして全く別の画像とすることで、見る角度や個々別人よって異なる像が観察可能になる。
【0035】
また、各射出瞳5は、連続的に配置されることが好ましいが、これに限らず、図8に示すように、各射出瞳5が多少離れていても、視差画像を中心軸の周りで撮影された角度順に各射出瞳5に配置すると、隣接した射出瞳5に観察者の左右の眼球EL、ERが位置するとき、左右の眼球EL、ERに両眼視差像の拡大像8が見えることになり、撮影した物体100の立体像が見えることは同様である。
【0036】
また、好ましくは、副光学系3と主光学系2との組み合わせによる表示面6の中間像7が中心軸1近傍に重層して投影されることで、視覚表示装置の外径に対して比較的大きな拡大像8を表示することができる。
【0037】
さらに、本発明の光学系では、中間像7を中心軸1に直交する平面近傍に空中像として重層して投影しているために、その空中像の位置に中心軸1を中心にして半径方向にのみ拡散性を持つ拡散板を配置することにより、副光学系のNAは小さくすみ、収差の良好に補正された映像をより広い観察領域で観察することができる。
【0038】
さらに好ましくは、角度変換光学系4は少なくとも2面の反射面を備えているので、重層され投影された拡大像8を360°全方位に向けて任意の画角に変換する変換作用を有する。そのため、重層されて投影される拡大像8は画角変換後正立した像になるように中心軸1を含む断面内で所要角度だけ回転して重層されるので、角度変換光学系4の画角変換作用により拡大像8を回転対称軸1に対して任意の角度の全周から観察することが可能となる。
【0039】
また、表示面6各々には、複数の異なる映像を表示するので、同一領域にでも見る角度により異なる映像を表示することができる。
【0040】
また、好ましくは、複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であるので、立体観察をすることができる。
【0041】
さらに好ましくは、表示面6各々を各副光学系3と対応して配置された複数の表示素子の表示面としてもよく、あるいは、汎用の比較的画面の大きな平面表示素子の表示面を区分することで、各々の表示面6を構成することが可能となる。このように、各副光学系3と対応して各々1つの表示素子を配置する代わりに、全体で1つの表示素子を用いて各表示面6を形成することが可能となり、簡単な構造で構成することが可能となり、安価に装置を構成することが可能となる。
【0042】
また、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸(中心軸)1を含む縦断面と回転対称軸1と直交する横断面での曲率が異なるように構成されていることが望ましい。本発明の光学系においては、副光学系3は、中心軸1に対して同心な円周上に複数並列に配置される。そのため、主光学系2に対して副光学系3は偏心して配置されることになり、偏心収差が発生する。これを少なくするためには、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸(中心軸)1を含む縦断面と回転対称軸1と直交する横断面での曲率が異なるように構成することにより、この偏心収差を補正することが可能となる。
【0043】
さらに好ましくは、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸1の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することにより、さらに偏心収差、例えば偏心により発生するコマ収差を補正することが可能となる。
【0044】
さらに好ましくは、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸1の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することにより、さらに自由度の高い収差補正を行うことが可能となり、収差補正上好ましい。
【0045】
ところで、本発明の視覚表示装置においては、副光学系3各々に対応して表示素子が配置されるが、各表示面6を並列させた全体の表示面は、上記のように平面状になる。これを1個の表示素子で構成してもよいし、複数の平面表示素子を回転対称に配置して構成してもよい。
【0046】
以下に、本発明の視覚表示装置の光学系の実施例1〜3を説明する。これら光学系の構成パラメータは後記する。これら実施例の構成パラメータは、例えば図1に示すように、拡大像8のできる面を物体面8とし、拡大像8と共役な面を表示面6である像面6とし、射出瞳5を通り物体面8に向かう光線が、角度変換光学系4の反射面41、42と、主光学系2の光学面21、22と、副光学系3の光学面31、32とを順に経て表示面6に至る逆光線追跡の結果に基づくものである。
【0047】
座標系は、逆光線追跡において、例えば図1に示すように、物体面8の中心(中心軸1上に位置する。)を偏心光学系の偏心光学面の原点とし、中心軸1の表示面6側とは反対の方向をY軸正方向とし、図1の紙面内をY−Z平面とする。そして、図1の中心軸1に対して射出瞳5と反対側の方向をZ軸正方向とし、Y軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をX軸正方向とする。
【0048】
偏心面については、その面が定義される座標系の上記光学系の原点の中心からの偏心量(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX,Y,Z)と、光学系の原点に定義される座標系のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とする各面を定義する座標系の傾き角(それぞれα,β,γ(°))とが与えられている。その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対して反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対して時計回りを意味する。なお、面の中心軸のα,β,γの回転のさせ方は、各面を定義する座標系を光学系の原点に定義される座標系のまずX軸の回りで反時計回りにα回転させ、次に、その回転した新たな座標系のY軸の回りで反時計回りにβ回転させ、次いで、その回転した別の新たな座標系のZ軸の回りで時計回りにγ回転させるものである。
【0049】
また、各実施例の光学系を構成する光学作用面の中、特定の面とそれに続く面が共軸光学系を構成する場合には面間隔が与えられており、その他、面の曲率半径、媒質の屈折率、アッベ数が慣用法に従って与えられている。なお、実施例1〜3の6面以降の面は、中心軸1に対してそれぞれの偏心(5)で定義される値だけ平行移動されている。
【0050】
なお、拡張回転自由曲面は、以下の定義で与えられる回転対称面である。
【0051】
まず、Y−Z座標面上で原点を通る下記の曲線(d)が定められる。
【0052】
Z=(Y2 /RY)/[1+{1−(C1 +1)Y2 /RY2 }1 /2]
+C2 Y+C3 Y2 +C4 Y3 +C5 Y4 +C6 Y5 +C7 Y6
+・・・・+C21Y20+・・・・+Cn+1 Yn +・・・
・・・(d)
次いで、この曲線(d)をX軸正方向を向いて左回りを正として角度θ(°)回転した曲線F(Y)が定められる。この曲線F(Y)もY−Z座標面上で原点を通る。
【0053】
その曲線F(Y)をZ正方向に距離R(負のときはZ負方向)だけ平行移動し、その後にY軸の周りでその平行移動した曲線を回転させてできる回転対称面を拡張回転自由曲面とする。
【0054】
その結果、拡張回転自由曲面はY−Z面内で自由曲面(自由曲線)になり、X−Z面内で半径|R|の円になる。
【0055】
この定義からY軸が拡張回転自由曲面の軸(回転対称軸)となる。
【0056】
ここで、RYはY−Z断面での球面項の曲率半径、C1 は円錐定数、C2 、C3 、C4 、C5 …はそれぞれ1次、2次、3次、4次…の非球面係数である。
【0057】
また、後記の構成パラメータ中にデータの記載されていない非球面に関する項は0である。屈折率、アッベ数については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmmである。各面の偏心は、上記のように、基準面からの偏心量で表わす。
【0058】
実施例1の視覚表示装置の光学系の中心軸1に沿ってとった断面図を図1に、図1の主要部の拡大図を図9に示す。また、図9の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図を図10に示す。そして、主光学系2に対する副光学系3の配置と形状を示す中心軸に沿う方向に見た透視図を図11に示す。また、この実施例の光学系全体の横収差図を図12に示す。この横収差図において、中央に示された角度は、(水平方向画角、垂直方向の画角)を示し、その画角におけるY方向(メリジオナル方向)とX方向(サジタル方向)の横収差を示す。なお、マイナスの画角は、水平方向画角については、Y軸正方向を向いて右回りの角度、垂直方向画角については、X軸正方向を向いて右回りの角度を意味する。以下、同じ。
【0059】
本実施例1は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0060】
そして、図1、図9、図11から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0061】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の拡大中間像7が各副光学系3と主光学系2との合成系によって主光学系2の射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0062】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な2面の反射面41、42からなる角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、少なくとも2面の反射面を備えた反射光学系あるいは反射屈折光学系からなる。この実施例の場合、反射面41、42は何れも凹面の球面鏡からなる。
【0063】
さらに、副光学系3の開口の各合成光学系による実像である射出瞳5が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようになっている。
【0064】
このような構成であるので、各表示面6から出た光線は、副光学系3の両凸正レンズの面32、31と主光学系2の両凸正レンズの面22、21を順に経て、主光学系2の射出側の面21近傍に表示面6の拡大中間像7が空中像として中心軸1に略直交する面に重層して投影される。そして、その拡大中間像7を結像した光線は角度変換光学系4を構成する反射面42の中心軸1を挟んで副光学系3と反対側の部分で反射され、次いで、中心軸1を挟んで副光学系3と同じ側の反射面41の部分で反射され、表示面6の拡大像8を中心軸1近傍であって中心軸1に略沿うように重層して結像する。その拡大像8を結像した光線は、中心軸1を挟んで副光学系3と反対側に位置する各表示面6に対応する射出瞳5に向かって進み、副光学系3の開口の像である射出瞳5を形成しながらその射出瞳5を通って中心軸1から離れていく。なお、この実施例の場合、角度変換光学系4の反射面42と反射面41により、反射面42と反射面41の間の中心軸1近傍に別の中間像9を形成している。
【0065】
したがって、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、副光学系3と主光学系2との合成系の表示面6の像である拡大中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々が角度変換光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した実像の拡大像8として結像され、その拡大像8を観察者が観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、この実施例の場合、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0066】
なお、この実施例において、表示面6は大きい平面としており、これを1個の表示素子で構成してもよいが、22個の平面表示素子を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0067】
この実施例1の仕様は、
射出瞳径 60mm
表示面の大きさ X1.99mm×Y1.67mm
像の大きさ X4.00mm×Y8.00mm
である。
【0068】
実施例2の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図を図13に、また、その主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図を図14に示す。なお、射出瞳は欄外になるため、図示は省く。また、この実施例の光学系全体の横収差図を図15に示す。
【0069】
本実施例2は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0070】
そして、図13から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0071】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の拡大中間像7が各副光学系3と主光学系2との合成系によって主光学系2の射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0072】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な2面の反射面41、42からなる角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、少なくとも2面の反射面を備えた反射光学系あるいは反射屈折光学系からなる。この実施例の場合、反射面41、42は何れも拡張回転自由曲面からなる。
【0073】
さらに、副光学系3の開口の各合成光学系による実像である射出瞳5(図1参照)が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようになっている。
【0074】
このような構成であるので、各表示面6から出た光線は、副光学系3の両凸正レンズの面32、31と主光学系2の両凸正レンズの面22、21を順に経て、主光学系2の射出側の面21近傍に表示面6の拡大中間像7が空中像として中心軸1に略直交する面に重層して投影される。そして、その拡大中間像7を結像した光線は角度変換光学系4を構成する反射面42の中心軸1を挟んで副光学系3と反対側の部分で反射され、次いで、中心軸1に対して反射面42の反射部分と同じ側の反射面41の部分で反射され、表示面6の拡大像8を中心軸1近傍であって中心軸1に略沿うように重層して結像する。その拡大像8を結像した光線は、中心軸1に対して副光学系3と同じ側に位置する各表示面6に対応する射出瞳5に向かって進み、副光学系3の開口の像である射出瞳5を形成しながらその射出瞳5を通って中心軸1から離れていく。
【0075】
したがって、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、副光学系3と主光学系2との合成系の表示面6の像である拡大中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々が角度変換光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した実像の拡大像8として結像され、その拡大像8を観察者が観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、この実施例の場合、中心軸1に対して観察者の眼が位置する射出瞳5と同じ側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0076】
なお、この実施例において、表示面6は大きい平面としており、これを1個の表示素子で構成してもよいが、副光学系3の数に対応する個数の平面表示素子を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0077】
この実施例2の仕様は、
射出瞳径 60mm
表示面の大きさ X4.75mm×Y4.25mm
像の大きさ X10.0mm×Y10.0mm
である。
【0078】
実施例3の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図を図16に、また、その主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図を図17に示す。なお、射出瞳は欄外になるため、図示は省く。また、この実施例の光学系全体の横収差図を図18に示す。
【0079】
本実施例3は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、観察側に凹面を向けた正メニスカスレンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0080】
そして、図16から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0081】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の拡大中間像7が各副光学系3と主光学系2との合成系によって主光学系2の射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0082】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な2面の反射面41、42からなる角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、少なくとも2面の反射面を備えた反射光学系あるいは反射屈折光学系からなる。この実施例の場合、反射面41は凹面の球面鏡、反射面42は凸面の球面鏡からなる。
【0083】
さらに、副光学系3の開口の各合成光学系による実像である射出瞳5(図1参照)が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようになっている。
【0084】
このような構成であるので、各表示面6から出た光線は、副光学系3の両凸正レンズの面32、31と主光学系2の正メニスカスレンズの面22、21を順に経て、主光学系2の射出側に表示面6の拡大中間像7が空中像として中心軸1に略直交する面に重層して投影される。そして、その拡大中間像7を結像した光線は角度変換光学系4を構成する反射面42の中心軸1を挟んで副光学系3と反対側の部分で反射され、次いで、中心軸1に対して反射面42の反射部分と同じ側の反射面41の部分で反射され、表示面6の拡大像8を中心軸1近傍であって中心軸1に略沿うように重層して結像する。その拡大像8を結像した光線は、中心軸1に対して副光学系3と同じ側に位置する各表示面6に対応する射出瞳5に向かって進み、副光学系3の開口の像である射出瞳5を形成しながらその射出瞳5を通って中心軸1から離れていく。
【0085】
したがって、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、副光学系3と主光学系2との合成系の表示面6の像である拡大中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々が角度変換光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した実像の拡大像8として結像され、その拡大像8を観察者が観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、この実施例の場合、中心軸1に対して観察者の眼が位置する射出瞳5と同じ側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0086】
なお、この実施例において、表示面6は大きい平面としており、これを1個の表示素子で構成してもよいが、副光学系3の数に対応する個数の平面表示素子を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0087】
この実施例3の仕様は、
射出瞳径 60mm
表示面の大きさ X5.57mm×Y5.50mm
像の大きさ X10.0mm×Y10.0mm
である。
【0088】
以下に、上記実施例1〜3の構成パラメータを示す。なお、以下の表中の“ERFS”は拡張回転自由曲面を、“RS”は反射面を示す。
【0089】
実施例1
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞
1 ∞(瞳面) 偏心(1)
2 ERFS[1] (RE) 偏心(2)
3 ERFS[2] (RE) 偏心(3)
4 445.13 10.00 偏心(4) 1.8830 40.7
5 -11.28 12.14
6 4.68 2.00 偏心(5) 1.8830 40.7
7 -4.30 2.00
像 面 ∞
ERFS[1]
RY -58.66
θ -19.07
R 64.10
ERFS[2]
RY 68.70
θ -44.46
R -35.88
偏心(1)
X 0.00 Y 52.09 Z -295.44
α -10.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(2)
X 0.00 Y -11.30 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(3)
X 0.00 Y 42.16 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(4)
X 0.00 Y -22.29 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(5)
X 0.00 Y 0.00 Z 6.20
α 0.00 β 0.00 γ 0.00 。
【0090】
実施例2
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞
1 ∞(瞳面) 偏心(1)
2 ERFS[1] (RE) 偏心(2)
3 ERFS[2] (RE) 偏心(3)
4 61.89 15.00 偏心(4) 1.8830 40.7
5 -32.55 20.30
6 181.36 3.00 偏心(5) 1.8830 40.7
7 -4.81 5.00
像 面 ∞
ERFS[1]
RY -111.32
θ -38.84
R 71.74
C4 7.7238 ×10-6
ERFS[2]
RY 789.71
θ -86.45
R 35.00
C4 -6.8651 ×10-6
偏心(1)
X 0.00 Y 102.61 Z -281.91
α -20.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(2)
X 0.00 Y -26.11 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(3)
X 0.00 Y 31.98 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(4)
X 0.00 Y -47.48 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(5)
X 0.00 Y 0.00 Z -10.51
α 0.00 β 0.00 γ 0.00 。
【0091】
実施例3
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞
1 ∞(瞳面) 偏心(1)
2 ERFS[1] (RE) 偏心(2)
3 ERFS[2] (RE) 偏心(3)
4 -113.17 15.00 偏心(4) 1.8830 40.7
5 -35.70 71.87
6 19.08 3.00 偏心(5) 1.8830 40.7
7 -17.60 10.00
像 面 ∞ ERFS[1]
RY -54.75
θ -5.38
R 50.00
ERFS[2]
RY -143.77
θ -48.47
R 19.96
偏心(1)
X 0.00 Y 102.61 Z -281.91
α -20.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(2)
X 0.00 Y -18.20 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(3)
X 0.00 Y -23.08 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(4)
X 0.00 Y -98.90 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(5)
X 0.00 Y 0.00 Z -17.92
α 0.00 β 0.00 γ 0.00 。
【0092】
ところで、図19は、実施例1の光学系において、中間像7の結像面に中心軸1に対して回転対称で半径方向にのみ拡散性を持つ拡散板25を配置した変形例を示す図9と同様の図である。また、図20(a)は、拡散板25の斜視図、図20(b)は、拡散板25の断面図を示す。拡散板25は、半径方向のみ拡散する回転対称なレンチキュラーシート等を適用し、拡散角をコントロールして重層投影された映像がクロストークを起こさないようにすることが重要である。このように、副光学系3の開口を小さくしておいて、拡散板25で副光学系3の開口の像ある射出瞳5を拡大するようにすることにより、副光学系3の収差補正上の負担を少なくすることができる。
【0093】
図21(a)は、図1、図9で示した実施例1の角度変換光学系4の反射面41、42として、中心軸1に同心に回転対称な曲面反射鏡の代わりに、その曲面反射面を中心軸1の周りで回転対称なフレネル反射鏡を用いた変形例を示す図9と同様のである。その回転対称フレネル反射鏡は、図21(b)に中心軸1を含む断面の一部を模式的に示すように、中心軸1の周りで回転対称な微細な輪帯表面反射面44の集合からなるフレネル表面反射鏡43でもよく、あるいは、図21(c)に中心軸1を含む断面の一部を模式的に示すように、中心軸1の周りで回転対称な微細な輪帯裏面反射面46の集合からなるフレネル裏面反射鏡45でもよい。このようなフレネル表面反射鏡43やフレネル裏面反射鏡45を角度変換光学系4の反射面の一部あるいは全部に使用することにより光学素子を薄くすることが可能となり、全体の光学系の軽量化には好ましい。
【0094】
また、回転対称な角度変換光学系4の光線が通過しない領域に遮光部材を配置するようにすることが不要光防止のために望ましい。
【0095】
また、実施例1〜3として、角度変換光学系4の反射面として表面反射鏡のみ用いているが、裏面反射鏡を用いることも可能である。
【0096】
なお、本発明の視覚表示装置の以上のような光学系において、中心軸1の周りで回転対称な光学系(主光学系2+副光学系3+角度変換光学系4)はそのまま用いることにより、光学系の周辺の360°の全ての方向から表示面(表示素子)6の拡大像8を観察できるが、その光学系を、中心軸1を含む断面で切断して2分の1、3分の1、3分の2等にすることにより、中心軸1の周りの180°、120°、240°等の角度範囲で拡大像8を観察できるようにしてももちろんよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の基本原理を示す図であり、実施例1の中心軸1に沿ってとった断面図である。
【図2】本発明の視覚表示装置の光学系の表示面に配置する視差画像の撮影方法を説明するための図である。
【図3】図2の撮影方法で撮影された視差画像の例を示す図である。
【図4】共通な平面状の全体の表示面への視差画像の表示のさせ方を示す図である。
【図5】本発明の視覚表示装置の光学系の隣接した射出瞳に観察者の左右の眼球を位置させる様子を示す図である。
【図6】観察者の左右の眼球の眼幅と本発明の視覚表示装置の光学系の隣接した射出瞳の間隔とを示す図である。
【図7】観察者が頭を動かした場合に順次隣の合成光学系による観察領域へ移っていく様子を示す図である。
【図8】各射出瞳が少し離れている場合の図5に対応する図である。
【図9】実施例1の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図である。
【図10】実施例1の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図11】実施例1の主光学系に対する副光学系の配置と形状を示す中心軸に沿う方向に見た透視図である。
【図12】実施例1の光学系全体の横収差図である。
【図13】実施例2の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図である。
【図14】実施例2の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図15】実施例2の光学系全体の横収差図である。
【図16】実施例3の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図である。
【図17】実施例3の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図18】実施例3の光学系全体の横収差図である。
【図19】拡散板を使用する実施例1の変形例の図9と同様の図である。
【図20】拡散板の構造を示す図である。
【図21】フレネル反射鏡を使用する実施例1の変形例の断面図とフレネル反射鏡の構造を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1…中心軸(回転対称軸)
2…主光学系
3て副光学系
4…角度変換光学系
5…射出瞳
6…表示面
7…拡大中間像
8…拡大像
9…別の中間像
16…全体の表示面
21、22…主光学系の光学面
25…拡散板
31、32…副光学系の光学面
41、42…角度変換光学系の反射面
43…フレネル表面反射鏡
44…輪帯表面反射面
45…フレネル裏面反射鏡
46…輪帯裏面反射面
100…物体
101…カメラ
EL…観察者の左眼球
ER…観察者の右眼球
E…観察者
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚表示装置に関し、特に、周囲の全方位から眼鏡等を用いることなく立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人によって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、視野角制限フィルターを備えたスクリーンを中心軸の周りで回転させながら、例えば1つの物体を360°周辺方向から見た映像をそのスクリーン上に投影することにより、任意の方向から観察する場合に見る方向により観察画像が変化し、立体表示が可能な表示装置が特許文献1〜3において知られている。
【特許文献1】特開2005−221690号公報
【特許文献2】特開2006−10852号公報
【特許文献3】特開2006−11367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1〜3において知られている従来例の場合、視野角制限フィルターを備えたスクリーンを機械的に回転させる機構が必要であり、また、特定の方向から見る場合にその方向において観察可能な画像を断続的にしか見ることができない。さらに、表示素子やスクリーン面を回転させることなく、また、眼鏡等を用いることなく裸眼で立体視が可能で、さらに、周辺の360°どの方向からでも観察することが可能な表示装置は存在しなかった。
【0004】
本発明は従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、機械的な複雑な回転機構や眼鏡等を用いなくても、周囲の全方位から立体観察することが可能な観察装置や、見る角度や個々別人よって異なる観察像を表示可能な表示装置に適した視覚表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明の視覚表示装置は、中心軸に同心に回転対称な主光学系が配置され、中心軸に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系が並列して配置され、さらに、前記主光学系を挟んで、前記各副光学系と反対側に、中心軸に同心に回転対称で少なくとも2面の反射面を備えた角度変換光学系が配置され、前記各副光学系、前記主光学系及び前記角度変換光学系により構成される合成光学系の射出瞳が前記角度変換光学系の前記主光学系側とは反対側に位置し、前記各副光学系の前記主光学系とは反対側に表示面が配置され、前記各合成光学系による前記表示面の拡大像が中心軸近傍に重層して結像され、かつ、前記各合成光学系の前記射出瞳が中心軸に同心に略連続的に形成され、前記表示面は中心軸に垂直な共通の平面上に回転対称に配置されることを特徴とするものである。
【0006】
この場合、前記各副光学系と前記主光学系との合成系による前記表示面の中間像が中心軸近傍に重層して投影されるようにすることが好ましい。
【0007】
また、前記中間像の位置に拡散板が配置されていることが好ましい。
【0008】
また、前記角度変換光学系は前記重層され投影された前記中間像を360°全方位に向けて画角を変換する変換作用を有し、前記重層されて投影される前記中間像各々は画角変換後正立して前記拡大像になるように回転して重層されていることが望ましい。
【0009】
また、前記表示面各々は、複数の異なる映像を表示することが望ましく、その場合に、前記複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であることができる。
【0010】
また、前記表示面は、前記副光学系各々と対応して配置された複数の表示素子の表示面であってもよく、あるいは、前記副光学系全てに対応して配置された1つの表示素子の表示面を区分した表示面であってもよい。
【0011】
また、前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸を含む縦断面と回転対称軸と直交する横断面での曲率が異なることが望ましい。
【0012】
また、前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することが望ましい。
【0013】
また、前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上の本発明の視覚表示装置においては、機械的に複雑な回転機構や眼鏡等を用いなくても、周辺から観察したときに視差のある画像を観察することにより立体像を観察することが可能な視覚表示装置を提供することができる。また、見る角度や見る方向によって異なる観察像を表示可能な視覚表示装置を提供することができる。さらに、表示面が共通な平面上に形成されるので、表示素子の拡大像が中心軸近傍に結像され、拡大像の位置を移動させるフォーカス機構が直線移動の構造でできると共に、表示面の組み立てが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施例に基づいて本発明の視覚表示装置について説明する。
【0016】
本発明の視覚表示装置の基本原理は、図1に後記の実施例1の中心軸1に沿ってとった断面図に示すように、中心軸1に同心に回転対称な主光学系2が配置され、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置され、さらに、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心に回転対称な角度変換光学系4が配置され、各副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5(通常、副光学系3の開口の像である。)が角度変換光学系4の主光学系2側とは反対側に位置し、各副光学系3の主光学系2とは反対側に表示面6が配置され、各合成光学系によるその表示面6の拡大像8が中心軸1近傍に重層して結像され、かつ、各合成光学系の射出瞳5が中心軸1に同心に略連続的に形成され、表示面6は中心軸1に垂直の共通な平面上に回転対称に配置されものである。
【0017】
中心軸1に対してその周囲から中心軸1方向を観察する光学系の場合、従来の回転対称で像面が中心軸1に直交する光学系では、光線を大きく屈曲させる必要があり、周辺からの観察像の歪みが大きく発生してしまい、比較的大きな観察領域をとることはできなかった。
【0018】
一方、特許文献1〜3に開示されているスクリーンに投影する方法では、スクリーンを回転させる必要があった。
【0019】
そこで、本発明では、中心軸1周辺のどの方向からも拡大光学系として機能する光学系を、回転対称軸(中心軸)を上下方向として配置し、観察方向は回転対称軸と略垂直な水平方向の全方位から観察可能なようにすることが最大の特徴である。
【0020】
このような構成により、回転対称軸を上下方向として、水平方向のどの方向からでも拡大観察光学系(視覚表示装置)として機能させることに成功したものである。
【0021】
図1を参照にして説明すると、本発明の視覚表示装置の光学系は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0022】
そして、図1から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3も、単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の各副光学系3と主光学系2との合成系による拡大中間像7が主光学系2の内部あるいはその射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0023】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、2面以上の中心軸1に同心で回転対称な反射面を有する反射光学系あるいは反射屈折光学系からなっており、各副光学系3と主光学系2との合成系による表示面6の相互に重層された中間像7の実像(拡大像)8が中心軸1近傍に結像される。この拡大像8も心軸1近傍に重層して結像される。
【0024】
さらに、各副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4により構成される合成光学系の射出瞳5が中心軸1に各拡大像8に面して同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようにする。
【0025】
このような構成であるので、観察者はその眼を中心軸1の周囲の何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、合成光学系(副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4)によって拡大結像された対応する表示面6の拡大像8を観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側あるいは同じ側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0026】
そして、本発明の視覚表示装置においては、表示面6は中心軸1に垂直な共通な平面上に配置されているため、表示面6の拡大像8は中心軸1近傍に結像され、拡大像8の位置を移動させるフォーカス機構が直線移動の構造でできると共に、表示素子の組み立てが容易になる。
【0027】
さらに、複数の同一の副光学系3を同心に並列に配置して、中心軸1に同心に略連続的に射出瞳5が並列されることにより、広い観察領域を形成することができる。並列の連続して投影された射出瞳5により、拡散板等を用いることなく、広い観察領域を確保することが可能となる。
【0028】
さらに、拡大像8が中心軸1近傍に結像されるようにすることで、少なくとも合成光学系により投影された拡大像8の輻輳と両眼の輻輳点とを一致させることが可能となり、融像しやすい立体表示が可能となる。
【0029】
さらに好ましくは、表示面6各々には同一物体について複数の視点から撮影された映像を表示するようにすることが望ましい。すなわち、図2に示すように、物体100についての視差画像は、全周360°を例えば16分割する場合には、22.5°毎に物体100を回転させてカメラ101で撮影された静止画でもよいし、CG等で作成した3次元物体を同様に22.5°毎に視点を回転させた生成した動画でもよい。さらに、16台のカメラを中心点に向けて設置した撮像装置からの動画でもよい。
【0030】
このようにして作成した16視点の静止画や動画は、図3に物体100についての16個の画像を並べて示すように、16視点の映像となる。このような映像を個々の表示面6を並べて形成される全体の表示面16に、図4に示すように、撮影された角度順に同心となるように表示する。
【0031】
このような視差画像を中心軸の周りで撮影された角度順に各表示面6に配置すると、図5に示すように、隣接した射出瞳5に観察者の左右の眼球EL、ERが位置するとき、左右の眼球EL、ERに両眼視差像の拡大像8が見えることになり、撮影した物体100の立体像が見えることになる。
【0032】
ここで、観察位置での射出瞳5と観察者の左右の眼球EL、ERの位置については、図6に示すように、少なくとも、眼幅の標準が65mmなので、本発明の視覚表示装置の光学系50の投影された射出瞳5も65mm間隔となることが望ましい。また、射出瞳5の形状は、図5に示すような正方形に限らず、楕円や長方形でも可能である。
【0033】
また、図6に示すように、観察位置を明視の距離30cmとすると、標準眼幅65mmであるから、本発明の視覚表示装置の光学系50の1つの合成光学系による観察領域は、12.37°以上あることが好ましい。さらに、観察者Eが頭を動かした場合は、図7に示すように、順次隣の合成光学系による観察領域へ移っていって、やがて360°の全方位からの立体映像を観察することが可能となる。また、機械的に光学系50を回転させて全方位の立体映像を観察をすることも可能であるし、各表示面6の表示映像を電子的に切り替えて全方位からの立体映像を観察するようにすることも可能である。
【0034】
なお、各表示面6に配置する画像として上記のような視差画像を角度順に配置したものに限定されず、例えば、ある角度を境にして全く別の画像とすることで、見る角度や個々別人よって異なる像が観察可能になる。
【0035】
また、各射出瞳5は、連続的に配置されることが好ましいが、これに限らず、図8に示すように、各射出瞳5が多少離れていても、視差画像を中心軸の周りで撮影された角度順に各射出瞳5に配置すると、隣接した射出瞳5に観察者の左右の眼球EL、ERが位置するとき、左右の眼球EL、ERに両眼視差像の拡大像8が見えることになり、撮影した物体100の立体像が見えることは同様である。
【0036】
また、好ましくは、副光学系3と主光学系2との組み合わせによる表示面6の中間像7が中心軸1近傍に重層して投影されることで、視覚表示装置の外径に対して比較的大きな拡大像8を表示することができる。
【0037】
さらに、本発明の光学系では、中間像7を中心軸1に直交する平面近傍に空中像として重層して投影しているために、その空中像の位置に中心軸1を中心にして半径方向にのみ拡散性を持つ拡散板を配置することにより、副光学系のNAは小さくすみ、収差の良好に補正された映像をより広い観察領域で観察することができる。
【0038】
さらに好ましくは、角度変換光学系4は少なくとも2面の反射面を備えているので、重層され投影された拡大像8を360°全方位に向けて任意の画角に変換する変換作用を有する。そのため、重層されて投影される拡大像8は画角変換後正立した像になるように中心軸1を含む断面内で所要角度だけ回転して重層されるので、角度変換光学系4の画角変換作用により拡大像8を回転対称軸1に対して任意の角度の全周から観察することが可能となる。
【0039】
また、表示面6各々には、複数の異なる映像を表示するので、同一領域にでも見る角度により異なる映像を表示することができる。
【0040】
また、好ましくは、複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であるので、立体観察をすることができる。
【0041】
さらに好ましくは、表示面6各々を各副光学系3と対応して配置された複数の表示素子の表示面としてもよく、あるいは、汎用の比較的画面の大きな平面表示素子の表示面を区分することで、各々の表示面6を構成することが可能となる。このように、各副光学系3と対応して各々1つの表示素子を配置する代わりに、全体で1つの表示素子を用いて各表示面6を形成することが可能となり、簡単な構造で構成することが可能となり、安価に装置を構成することが可能となる。
【0042】
また、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸(中心軸)1を含む縦断面と回転対称軸1と直交する横断面での曲率が異なるように構成されていることが望ましい。本発明の光学系においては、副光学系3は、中心軸1に対して同心な円周上に複数並列に配置される。そのため、主光学系2に対して副光学系3は偏心して配置されることになり、偏心収差が発生する。これを少なくするためには、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸(中心軸)1を含む縦断面と回転対称軸1と直交する横断面での曲率が異なるように構成することにより、この偏心収差を補正することが可能となる。
【0043】
さらに好ましくは、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸1の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することにより、さらに偏心収差、例えば偏心により発生するコマ収差を補正することが可能となる。
【0044】
さらに好ましくは、角度変換光学系4の少なくとも1つの反射面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸1の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することにより、さらに自由度の高い収差補正を行うことが可能となり、収差補正上好ましい。
【0045】
ところで、本発明の視覚表示装置においては、副光学系3各々に対応して表示素子が配置されるが、各表示面6を並列させた全体の表示面は、上記のように平面状になる。これを1個の表示素子で構成してもよいし、複数の平面表示素子を回転対称に配置して構成してもよい。
【0046】
以下に、本発明の視覚表示装置の光学系の実施例1〜3を説明する。これら光学系の構成パラメータは後記する。これら実施例の構成パラメータは、例えば図1に示すように、拡大像8のできる面を物体面8とし、拡大像8と共役な面を表示面6である像面6とし、射出瞳5を通り物体面8に向かう光線が、角度変換光学系4の反射面41、42と、主光学系2の光学面21、22と、副光学系3の光学面31、32とを順に経て表示面6に至る逆光線追跡の結果に基づくものである。
【0047】
座標系は、逆光線追跡において、例えば図1に示すように、物体面8の中心(中心軸1上に位置する。)を偏心光学系の偏心光学面の原点とし、中心軸1の表示面6側とは反対の方向をY軸正方向とし、図1の紙面内をY−Z平面とする。そして、図1の中心軸1に対して射出瞳5と反対側の方向をZ軸正方向とし、Y軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をX軸正方向とする。
【0048】
偏心面については、その面が定義される座標系の上記光学系の原点の中心からの偏心量(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向をそれぞれX,Y,Z)と、光学系の原点に定義される座標系のX軸、Y軸、Z軸それぞれを中心とする各面を定義する座標系の傾き角(それぞれα,β,γ(°))とが与えられている。その場合、αとβの正はそれぞれの軸の正方向に対して反時計回りを、γの正はZ軸の正方向に対して時計回りを意味する。なお、面の中心軸のα,β,γの回転のさせ方は、各面を定義する座標系を光学系の原点に定義される座標系のまずX軸の回りで反時計回りにα回転させ、次に、その回転した新たな座標系のY軸の回りで反時計回りにβ回転させ、次いで、その回転した別の新たな座標系のZ軸の回りで時計回りにγ回転させるものである。
【0049】
また、各実施例の光学系を構成する光学作用面の中、特定の面とそれに続く面が共軸光学系を構成する場合には面間隔が与えられており、その他、面の曲率半径、媒質の屈折率、アッベ数が慣用法に従って与えられている。なお、実施例1〜3の6面以降の面は、中心軸1に対してそれぞれの偏心(5)で定義される値だけ平行移動されている。
【0050】
なお、拡張回転自由曲面は、以下の定義で与えられる回転対称面である。
【0051】
まず、Y−Z座標面上で原点を通る下記の曲線(d)が定められる。
【0052】
Z=(Y2 /RY)/[1+{1−(C1 +1)Y2 /RY2 }1 /2]
+C2 Y+C3 Y2 +C4 Y3 +C5 Y4 +C6 Y5 +C7 Y6
+・・・・+C21Y20+・・・・+Cn+1 Yn +・・・
・・・(d)
次いで、この曲線(d)をX軸正方向を向いて左回りを正として角度θ(°)回転した曲線F(Y)が定められる。この曲線F(Y)もY−Z座標面上で原点を通る。
【0053】
その曲線F(Y)をZ正方向に距離R(負のときはZ負方向)だけ平行移動し、その後にY軸の周りでその平行移動した曲線を回転させてできる回転対称面を拡張回転自由曲面とする。
【0054】
その結果、拡張回転自由曲面はY−Z面内で自由曲面(自由曲線)になり、X−Z面内で半径|R|の円になる。
【0055】
この定義からY軸が拡張回転自由曲面の軸(回転対称軸)となる。
【0056】
ここで、RYはY−Z断面での球面項の曲率半径、C1 は円錐定数、C2 、C3 、C4 、C5 …はそれぞれ1次、2次、3次、4次…の非球面係数である。
【0057】
また、後記の構成パラメータ中にデータの記載されていない非球面に関する項は0である。屈折率、アッベ数については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記してある。長さの単位はmmである。各面の偏心は、上記のように、基準面からの偏心量で表わす。
【0058】
実施例1の視覚表示装置の光学系の中心軸1に沿ってとった断面図を図1に、図1の主要部の拡大図を図9に示す。また、図9の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図を図10に示す。そして、主光学系2に対する副光学系3の配置と形状を示す中心軸に沿う方向に見た透視図を図11に示す。また、この実施例の光学系全体の横収差図を図12に示す。この横収差図において、中央に示された角度は、(水平方向画角、垂直方向の画角)を示し、その画角におけるY方向(メリジオナル方向)とX方向(サジタル方向)の横収差を示す。なお、マイナスの画角は、水平方向画角については、Y軸正方向を向いて右回りの角度、垂直方向画角については、X軸正方向を向いて右回りの角度を意味する。以下、同じ。
【0059】
本実施例1は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0060】
そして、図1、図9、図11から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0061】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の拡大中間像7が各副光学系3と主光学系2との合成系によって主光学系2の射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0062】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な2面の反射面41、42からなる角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、少なくとも2面の反射面を備えた反射光学系あるいは反射屈折光学系からなる。この実施例の場合、反射面41、42は何れも凹面の球面鏡からなる。
【0063】
さらに、副光学系3の開口の各合成光学系による実像である射出瞳5が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようになっている。
【0064】
このような構成であるので、各表示面6から出た光線は、副光学系3の両凸正レンズの面32、31と主光学系2の両凸正レンズの面22、21を順に経て、主光学系2の射出側の面21近傍に表示面6の拡大中間像7が空中像として中心軸1に略直交する面に重層して投影される。そして、その拡大中間像7を結像した光線は角度変換光学系4を構成する反射面42の中心軸1を挟んで副光学系3と反対側の部分で反射され、次いで、中心軸1を挟んで副光学系3と同じ側の反射面41の部分で反射され、表示面6の拡大像8を中心軸1近傍であって中心軸1に略沿うように重層して結像する。その拡大像8を結像した光線は、中心軸1を挟んで副光学系3と反対側に位置する各表示面6に対応する射出瞳5に向かって進み、副光学系3の開口の像である射出瞳5を形成しながらその射出瞳5を通って中心軸1から離れていく。なお、この実施例の場合、角度変換光学系4の反射面42と反射面41により、反射面42と反射面41の間の中心軸1近傍に別の中間像9を形成している。
【0065】
したがって、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、副光学系3と主光学系2との合成系の表示面6の像である拡大中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々が角度変換光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した実像の拡大像8として結像され、その拡大像8を観察者が観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、この実施例の場合、観察者の眼が位置する射出瞳5と中心軸1を挟んで反対側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0066】
なお、この実施例において、表示面6は大きい平面としており、これを1個の表示素子で構成してもよいが、22個の平面表示素子を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0067】
この実施例1の仕様は、
射出瞳径 60mm
表示面の大きさ X1.99mm×Y1.67mm
像の大きさ X4.00mm×Y8.00mm
である。
【0068】
実施例2の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図を図13に、また、その主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図を図14に示す。なお、射出瞳は欄外になるため、図示は省く。また、この実施例の光学系全体の横収差図を図15に示す。
【0069】
本実施例2は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0070】
そして、図13から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0071】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の拡大中間像7が各副光学系3と主光学系2との合成系によって主光学系2の射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0072】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な2面の反射面41、42からなる角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、少なくとも2面の反射面を備えた反射光学系あるいは反射屈折光学系からなる。この実施例の場合、反射面41、42は何れも拡張回転自由曲面からなる。
【0073】
さらに、副光学系3の開口の各合成光学系による実像である射出瞳5(図1参照)が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようになっている。
【0074】
このような構成であるので、各表示面6から出た光線は、副光学系3の両凸正レンズの面32、31と主光学系2の両凸正レンズの面22、21を順に経て、主光学系2の射出側の面21近傍に表示面6の拡大中間像7が空中像として中心軸1に略直交する面に重層して投影される。そして、その拡大中間像7を結像した光線は角度変換光学系4を構成する反射面42の中心軸1を挟んで副光学系3と反対側の部分で反射され、次いで、中心軸1に対して反射面42の反射部分と同じ側の反射面41の部分で反射され、表示面6の拡大像8を中心軸1近傍であって中心軸1に略沿うように重層して結像する。その拡大像8を結像した光線は、中心軸1に対して副光学系3と同じ側に位置する各表示面6に対応する射出瞳5に向かって進み、副光学系3の開口の像である射出瞳5を形成しながらその射出瞳5を通って中心軸1から離れていく。
【0075】
したがって、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、副光学系3と主光学系2との合成系の表示面6の像である拡大中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々が角度変換光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した実像の拡大像8として結像され、その拡大像8を観察者が観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、この実施例の場合、中心軸1に対して観察者の眼が位置する射出瞳5と同じ側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0076】
なお、この実施例において、表示面6は大きい平面としており、これを1個の表示素子で構成してもよいが、副光学系3の数に対応する個数の平面表示素子を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0077】
この実施例2の仕様は、
射出瞳径 60mm
表示面の大きさ X4.75mm×Y4.25mm
像の大きさ X10.0mm×Y10.0mm
である。
【0078】
実施例3の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図を図16に、また、その主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図を図17に示す。なお、射出瞳は欄外になるため、図示は省く。また、この実施例の光学系全体の横収差図を図18に示す。
【0079】
本実施例3は、中心軸1に同心で回転対称な主光学系2が配置される。この主光学系2は、この実施例の場合、観察側に凹面を向けた正メニスカスレンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよく、要件としては、中心軸1に向かって進む光束に正のパワーを与え、かつ、中心軸1に対して回転対称な形状を持っていることである。
【0080】
そして、図16から明らかなように、中心軸1に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系3が並列して配置される。この副光学系3は、この実施例の場合、両凸正レンズを用いているが、正パワーを持った単体のレンズに限定されず、反射光学系あるいは反射屈折光学系、複合光学系何れでもよい。
【0081】
また、各副光学系3の主光学系2とは反対側に、表示面6が中心軸1と垂直な共通な平面上に配置されている。そして、表示面6の拡大中間像7が各副光学系3と主光学系2との合成系によって主光学系2の射出側の中心軸1の近傍に相互に重なり合った状態で投影される。
【0082】
また、主光学系2を挟んで副光学系3の反対側に中心軸1に同心で回転対称な2面の反射面41、42からなる角度変換光学系4が配置される。この角度変換光学系4は、少なくとも2面の反射面を備えた反射光学系あるいは反射屈折光学系からなる。この実施例の場合、反射面41は凹面の球面鏡、反射面42は凸面の球面鏡からなる。
【0083】
さらに、副光学系3の開口の各合成光学系による実像である射出瞳5(図1参照)が中心軸1に同心に並列配置される。各射出瞳5の大きさとしては、並列配置されたときにその円周上に略連続的に繋がるようになっている。
【0084】
このような構成であるので、各表示面6から出た光線は、副光学系3の両凸正レンズの面32、31と主光学系2の正メニスカスレンズの面22、21を順に経て、主光学系2の射出側に表示面6の拡大中間像7が空中像として中心軸1に略直交する面に重層して投影される。そして、その拡大中間像7を結像した光線は角度変換光学系4を構成する反射面42の中心軸1を挟んで副光学系3と反対側の部分で反射され、次いで、中心軸1に対して反射面42の反射部分と同じ側の反射面41の部分で反射され、表示面6の拡大像8を中心軸1近傍であって中心軸1に略沿うように重層して結像する。その拡大像8を結像した光線は、中心軸1に対して副光学系3と同じ側に位置する各表示面6に対応する射出瞳5に向かって進み、副光学系3の開口の像である射出瞳5を形成しながらその射出瞳5を通って中心軸1から離れていく。
【0085】
したがって、観察者はその眼を何れかの射出瞳5位置近傍に持って行くと、副光学系3と主光学系2との合成系の表示面6の像である拡大中間像7が中心軸1近傍に重層して投影され、その中間像7各々が角度変換光学系4によって360°全方位に向けて画角変換され、中心軸1近傍に画角変換後正立した実像の拡大像8として結像され、その拡大像8を観察者が観察することができる。そして、副光学系3、主光学系2及び角度変換光学系4からなる合成光学系は、中心軸1を中心としてその周りに一定角度毎に配置されているのに等しいため、中心軸1を上下方向として設定すると、中心軸1の周囲の360°のどの方向から観察しても、この実施例の場合、中心軸1に対して観察者の眼が位置する射出瞳5と同じ側の表示面6の拡大像8を観察することができる。
【0086】
なお、この実施例において、表示面6は大きい平面としており、これを1個の表示素子で構成してもよいが、副光学系3の数に対応する個数の平面表示素子を回転対称に並列に配置して構成してもよい。
【0087】
この実施例3の仕様は、
射出瞳径 60mm
表示面の大きさ X5.57mm×Y5.50mm
像の大きさ X10.0mm×Y10.0mm
である。
【0088】
以下に、上記実施例1〜3の構成パラメータを示す。なお、以下の表中の“ERFS”は拡張回転自由曲面を、“RS”は反射面を示す。
【0089】
実施例1
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞
1 ∞(瞳面) 偏心(1)
2 ERFS[1] (RE) 偏心(2)
3 ERFS[2] (RE) 偏心(3)
4 445.13 10.00 偏心(4) 1.8830 40.7
5 -11.28 12.14
6 4.68 2.00 偏心(5) 1.8830 40.7
7 -4.30 2.00
像 面 ∞
ERFS[1]
RY -58.66
θ -19.07
R 64.10
ERFS[2]
RY 68.70
θ -44.46
R -35.88
偏心(1)
X 0.00 Y 52.09 Z -295.44
α -10.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(2)
X 0.00 Y -11.30 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(3)
X 0.00 Y 42.16 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(4)
X 0.00 Y -22.29 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(5)
X 0.00 Y 0.00 Z 6.20
α 0.00 β 0.00 γ 0.00 。
【0090】
実施例2
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞
1 ∞(瞳面) 偏心(1)
2 ERFS[1] (RE) 偏心(2)
3 ERFS[2] (RE) 偏心(3)
4 61.89 15.00 偏心(4) 1.8830 40.7
5 -32.55 20.30
6 181.36 3.00 偏心(5) 1.8830 40.7
7 -4.81 5.00
像 面 ∞
ERFS[1]
RY -111.32
θ -38.84
R 71.74
C4 7.7238 ×10-6
ERFS[2]
RY 789.71
θ -86.45
R 35.00
C4 -6.8651 ×10-6
偏心(1)
X 0.00 Y 102.61 Z -281.91
α -20.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(2)
X 0.00 Y -26.11 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(3)
X 0.00 Y 31.98 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(4)
X 0.00 Y -47.48 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(5)
X 0.00 Y 0.00 Z -10.51
α 0.00 β 0.00 γ 0.00 。
【0091】
実施例3
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞
1 ∞(瞳面) 偏心(1)
2 ERFS[1] (RE) 偏心(2)
3 ERFS[2] (RE) 偏心(3)
4 -113.17 15.00 偏心(4) 1.8830 40.7
5 -35.70 71.87
6 19.08 3.00 偏心(5) 1.8830 40.7
7 -17.60 10.00
像 面 ∞ ERFS[1]
RY -54.75
θ -5.38
R 50.00
ERFS[2]
RY -143.77
θ -48.47
R 19.96
偏心(1)
X 0.00 Y 102.61 Z -281.91
α -20.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(2)
X 0.00 Y -18.20 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(3)
X 0.00 Y -23.08 Z 0.00
α 0.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(4)
X 0.00 Y -98.90 Z 0.00
α -90.00 β 0.00 γ 0.00
偏心(5)
X 0.00 Y 0.00 Z -17.92
α 0.00 β 0.00 γ 0.00 。
【0092】
ところで、図19は、実施例1の光学系において、中間像7の結像面に中心軸1に対して回転対称で半径方向にのみ拡散性を持つ拡散板25を配置した変形例を示す図9と同様の図である。また、図20(a)は、拡散板25の斜視図、図20(b)は、拡散板25の断面図を示す。拡散板25は、半径方向のみ拡散する回転対称なレンチキュラーシート等を適用し、拡散角をコントロールして重層投影された映像がクロストークを起こさないようにすることが重要である。このように、副光学系3の開口を小さくしておいて、拡散板25で副光学系3の開口の像ある射出瞳5を拡大するようにすることにより、副光学系3の収差補正上の負担を少なくすることができる。
【0093】
図21(a)は、図1、図9で示した実施例1の角度変換光学系4の反射面41、42として、中心軸1に同心に回転対称な曲面反射鏡の代わりに、その曲面反射面を中心軸1の周りで回転対称なフレネル反射鏡を用いた変形例を示す図9と同様のである。その回転対称フレネル反射鏡は、図21(b)に中心軸1を含む断面の一部を模式的に示すように、中心軸1の周りで回転対称な微細な輪帯表面反射面44の集合からなるフレネル表面反射鏡43でもよく、あるいは、図21(c)に中心軸1を含む断面の一部を模式的に示すように、中心軸1の周りで回転対称な微細な輪帯裏面反射面46の集合からなるフレネル裏面反射鏡45でもよい。このようなフレネル表面反射鏡43やフレネル裏面反射鏡45を角度変換光学系4の反射面の一部あるいは全部に使用することにより光学素子を薄くすることが可能となり、全体の光学系の軽量化には好ましい。
【0094】
また、回転対称な角度変換光学系4の光線が通過しない領域に遮光部材を配置するようにすることが不要光防止のために望ましい。
【0095】
また、実施例1〜3として、角度変換光学系4の反射面として表面反射鏡のみ用いているが、裏面反射鏡を用いることも可能である。
【0096】
なお、本発明の視覚表示装置の以上のような光学系において、中心軸1の周りで回転対称な光学系(主光学系2+副光学系3+角度変換光学系4)はそのまま用いることにより、光学系の周辺の360°の全ての方向から表示面(表示素子)6の拡大像8を観察できるが、その光学系を、中心軸1を含む断面で切断して2分の1、3分の1、3分の2等にすることにより、中心軸1の周りの180°、120°、240°等の角度範囲で拡大像8を観察できるようにしてももちろんよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の基本原理を示す図であり、実施例1の中心軸1に沿ってとった断面図である。
【図2】本発明の視覚表示装置の光学系の表示面に配置する視差画像の撮影方法を説明するための図である。
【図3】図2の撮影方法で撮影された視差画像の例を示す図である。
【図4】共通な平面状の全体の表示面への視差画像の表示のさせ方を示す図である。
【図5】本発明の視覚表示装置の光学系の隣接した射出瞳に観察者の左右の眼球を位置させる様子を示す図である。
【図6】観察者の左右の眼球の眼幅と本発明の視覚表示装置の光学系の隣接した射出瞳の間隔とを示す図である。
【図7】観察者が頭を動かした場合に順次隣の合成光学系による観察領域へ移っていく様子を示す図である。
【図8】各射出瞳が少し離れている場合の図5に対応する図である。
【図9】実施例1の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図である。
【図10】実施例1の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図11】実施例1の主光学系に対する副光学系の配置と形状を示す中心軸に沿う方向に見た透視図である。
【図12】実施例1の光学系全体の横収差図である。
【図13】実施例2の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図である。
【図14】実施例2の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図15】実施例2の光学系全体の横収差図である。
【図16】実施例3の視覚表示装置の光学系の主要部の断面図である。
【図17】実施例3の主要部の光学系内の光路を示す中心軸に沿う方向に見た平面図である。
【図18】実施例3の光学系全体の横収差図である。
【図19】拡散板を使用する実施例1の変形例の図9と同様の図である。
【図20】拡散板の構造を示す図である。
【図21】フレネル反射鏡を使用する実施例1の変形例の断面図とフレネル反射鏡の構造を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0098】
1…中心軸(回転対称軸)
2…主光学系
3て副光学系
4…角度変換光学系
5…射出瞳
6…表示面
7…拡大中間像
8…拡大像
9…別の中間像
16…全体の表示面
21、22…主光学系の光学面
25…拡散板
31、32…副光学系の光学面
41、42…角度変換光学系の反射面
43…フレネル表面反射鏡
44…輪帯表面反射面
45…フレネル裏面反射鏡
46…輪帯裏面反射面
100…物体
101…カメラ
EL…観察者の左眼球
ER…観察者の右眼球
E…観察者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に同心に回転対称な主光学系が配置され、中心軸に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系が並列して配置され、さらに、前記主光学系を挟んで、前記各副光学系と反対側に、中心軸に同心に回転対称で少なくとも2面の反射面を備えた角度変換光学系が配置され、前記各副光学系、前記主光学系及び前記角度変換光学系により構成される合成光学系の射出瞳が前記角度変換光学系の前記主光学系側とは反対側に位置し、前記各副光学系の前記主光学系とは反対側に表示面が配置され、前記各合成光学系による前記表示面の拡大像が中心軸近傍に重層して結像され、かつ、前記各合成光学系の前記射出瞳が中心軸に同心に略連続的に形成され、前記表示面は中心軸に垂直な共通の平面上に回転対称に配置されることを特徴とする視覚表示装置。
【請求項2】
前記各副光学系と前記主光学系との合成系による前記表示面の中間像が中心軸近傍に重層して投影されることを特徴とする請求項1記載の視覚表示装置。
【請求項3】
前記中間像の位置に拡散板が配置されていることことを特徴とする請求項2記載の視覚表示装置。
【請求項4】
前記角度変換光学系は前記重層され投影された前記中間像を360°全方位に向けて画角を変換する変換作用を有し、前記重層されて投影される前記中間像各々は画角変換後正立して前記拡大像になるように回転して重層されていることを特徴とする請求項2又は3記載の視覚表示装置。
【請求項5】
前記表示面各々は、複数の異なる映像を表示することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項6】
前記複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であることを特徴とする請求項5記載の視覚表示装置。
【請求項7】
前記表示面は、前記副光学系各々と対応して配置された複数の表示素子の表示面であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項8】
前記表示面は、前記副光学系全てに対応して配置された1つの表示素子の表示面を区分した表示面であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項9】
前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸を含む縦断面と回転対称軸と直交する横断面での曲率が異なることを特徴とする請求項1から8の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項10】
前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1から9の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項11】
前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1から10の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項1】
中心軸に同心に回転対称な主光学系が配置され、中心軸に同心な円周上に複数の同一構成の副光学系が並列して配置され、さらに、前記主光学系を挟んで、前記各副光学系と反対側に、中心軸に同心に回転対称で少なくとも2面の反射面を備えた角度変換光学系が配置され、前記各副光学系、前記主光学系及び前記角度変換光学系により構成される合成光学系の射出瞳が前記角度変換光学系の前記主光学系側とは反対側に位置し、前記各副光学系の前記主光学系とは反対側に表示面が配置され、前記各合成光学系による前記表示面の拡大像が中心軸近傍に重層して結像され、かつ、前記各合成光学系の前記射出瞳が中心軸に同心に略連続的に形成され、前記表示面は中心軸に垂直な共通の平面上に回転対称に配置されることを特徴とする視覚表示装置。
【請求項2】
前記各副光学系と前記主光学系との合成系による前記表示面の中間像が中心軸近傍に重層して投影されることを特徴とする請求項1記載の視覚表示装置。
【請求項3】
前記中間像の位置に拡散板が配置されていることことを特徴とする請求項2記載の視覚表示装置。
【請求項4】
前記角度変換光学系は前記重層され投影された前記中間像を360°全方位に向けて画角を変換する変換作用を有し、前記重層されて投影される前記中間像各々は画角変換後正立して前記拡大像になるように回転して重層されていることを特徴とする請求項2又は3記載の視覚表示装置。
【請求項5】
前記表示面各々は、複数の異なる映像を表示することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項6】
前記複数の異なる映像は、同一物体について複数の視点から撮影された映像であることを特徴とする請求項5記載の視覚表示装置。
【請求項7】
前記表示面は、前記副光学系各々と対応して配置された複数の表示素子の表示面であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項8】
前記表示面は、前記副光学系全てに対応して配置された1つの表示素子の表示面を区分した表示面であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項9】
前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、回転対称軸を含む縦断面と回転対称軸と直交する横断面での曲率が異なることを特徴とする請求項1から8の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項10】
前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、対称面を持たない任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1から9の何れか1項記載の視覚表示装置。
【請求項11】
前記角度変換光学系の少なくとも1つの反射面は、奇数次項を含む任意形状の曲線を回転対称軸の周りで回転させて形成される回転対称な形状を有することを特徴とする請求項1から10の何れか1項記載の視覚表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−89681(P2008−89681A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267577(P2006−267577)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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