説明

視覚障害者用の読取り支援装置、データ出力装置、プログラム製品

【課題】視覚障害のあるユーザ用の読取り支援装置を提供すること。
【解決手段】読取り支援装置は、光活性材料を含むシート状の部材を備える。このシート状の部材は、パターン化された光源からのデータを表す光のパターンに応答して、部材表面上に触ることのできる形状を形成する。視覚障害のあるユーザは、これら触ることのできる形状に触ることによって情報を得る。好ましくは、光活性材料は、架橋アゾベンゼン液晶ポリマーの層である。好ましくは、この読取り支援装置は、コンピュータ用の出力装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障害者用の支援装置に関し、詳細には、視覚障害者がコンピュータなどのデジタル・データ・デバイスを使用できるようにする支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
20世紀の後半に情報革命として知られる現象が始まった。情報革命はその範囲においていかなる単独の出来事や機械よりも広い歴史的な発展であり、その中で、デジタル式電子計算機は情報革命を最も代表する装置である。コンピュータ・システムの発展はまさに革命であった。毎年、コンピュータ・システムはより高速になり、より多くのデータを蓄え、より多くの応用例をユーザに提供している。
【0003】
計算コストが減少し、デジタル式計算装置が一般に利用可能になったことにより、このような装置で利用可能な情報の量が爆発的に増加し、また、このような装置を適用する応用例の種類も爆発的に増加した。ここ数年、自宅で個人が使用したり、ビジネスの場で1人で使用する安価な「パーソナル・コンピュータ」が入手可能になってきている。小型化が進んだおかげで、携帯型「ラップトップ」コンピュータや携帯情報端末(PDA)の設計が可能になってきている。これらの装置により、インターネットの普及と併せて、大量のデジタル情報および大規模な計算能力が一般の人々にもたらされた。
【0004】
こうした発展の結果、1つの問題として、理由が何であれコンピュータ技術を利用できない人々が不利な状況に置かれ、それが年々大きくなってきている。例えば、単科大学や総合大学で、スケジュール、宿題、評価などに関してインターネットを介して学生とやり取りすることは今や普通である。一部の教育機関では、このようなインターネットへの依存が、インターネットを使用しないと必修科目を履修することが困難または不可能になるところまできてしまっており、この傾向は今後も継続しそうである。このようなデジタル技術およびインターネットの使用状況は、高等学校およびそれよりも下位レベルの教育課程にもさらに広がる徴候を見せている。
【0005】
こうした発展にもかかわらず、多くの人々がいまだコンピュータの使用を伴う基本的な作業を実行できないでおり、また、このような作業の実行に習熟していない。こうした能力の欠如には多くの、また様々な理由があり、これらすべてをここで扱うわけではない。一部の人々にとって、コンピュータに関する能力の欠如は、主に、または部分的に、こうした人々が従来型のデジタル式入出力装置を使用することを困難または不可能にしている物理的なハンディキャップによるものである。
【0006】
多くの一般的なデジタル・デバイスを使用することが難しいと感じる人々の具体的なグループの1つは視覚障害者である。ほとんどのデジタル・デバイスは、視覚表示の形で出力を提示する。視覚障害者はこうした出力を読み取ることが困難または不可能なことがある。さらに、厳密に言えば視覚的なものではないが、デジタル式入力装置は、多くの場合、視覚的な出力と、マウスなどの選択機構との相互作用に依存している。
【0007】
当技術分野には、様々な機構が視覚障害を補償するために存在しており、それによって、少なくとも一部の視覚障害者には少なくとも何らかの機能が提供されている。例えば、軽度の視覚障害者には、情報が拡大されて表示されるように、また、特殊なフォント、色、または他の特徴を用いて、視覚障害のあるユーザに見やすくなるように、デジタル・デバイスの出力表示をプログラムすることができる。より重度の視覚障害者には、テキスト音声合成装置を使用して、テキスト形式の情報を音声形式にすることがある。その他、視覚障害のあるユーザに何らかの利用手段を提供する様々な技術がある。
【0008】
こうした従来型機構は有用ではあるが、一般に、視覚障害者は、デジタル・デバイス技術を利用する段になると、通常視力の人々と比べて、いまだ不利な状況に置かれたままである。一部の形式の情報、特に図形情報は、音声形式にすることが難しいか、または不可能である。さらに他の情報の中には、音声形式、または何らかの他の適切な形式にすることができるものがあるが、そうするには、プライバシー、セキュリティ、侵害、またはこれらに類似の懸念など、他の問題がある。場合によっては、これまでなされなかったほど根本的にインターフェースを改変することになることもある。最後に、視覚情報を音声形式にすることができたとしても、ただ単に、ユーザに情報を伝達するには、ひどくゆっくりで、効率のよくない手段になってしまうこともあり、そのため、視覚障害のあるユーザはやはり、大きな不利を被ることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、視覚障害者とデジタル・デバイスとを橋渡しする方法、特に、デジタル・デバイスからの情報を視覚障害のあるユーザに伝える方法を継続的に改善することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
視覚障害のあるユーザ用の読取り支援装置は、光活性ポリマーなどの光活性材料を含むシート状の部材を備え、このシート状の部材は、パターン化された光源の上に配置される。このパターン化された光源は、情報を表すパターン、例えば、点字テキストのパターンまたは図形情報を表すパターンを生成する。光活性材料は、光源から放出された光に応答して、シート状の部材の表面上に触ることのできる形状を形成する。視覚障害のあるユーザは、この触ることのできる形状に触ることによって情報を得る。
【0011】
好ましい実施形態では、光活性材料は、アゾベンゼンまたはアゾピリジンによるポリマーを含む。より詳細には、光活性材料は、架橋アゾベンゼン液晶ポリマーの層である。好ましくは、この光活性層は、光源から外に向いた片側が薄く不透明な被覆で覆われ、それによって、光源を遮蔽し、かつ周囲光が邪魔することを防ぐ。光源は、選択位置に特定の波長(例えば、紫外範囲)の光を放出して、その選択位置で光活性層に局所的な座屈を起こさせる。この光源は、それぞれの選択位置に対応するマトリックス状の複数のレーザとすることもできるし、走査し、選択的にオン・オフを切り替えることによって選択位置を狙う1つのレーザとすることもできる。好ましくは、この光源は、光活性層の局所領域を復元して元の(座屈していない)状態にし、それによって、その局所領域上に表現されたデータを「消去」するための第2の特定波長の光を生成するレーザ光源も備える。
【0012】
ある実施形態の例では、パターン化された光源は、コンピュータ・ワークステーションなどの対話式デジタル・デバイスに接続されて、従来型ディスプレイの出力に類似の出力をユーザに提示する出力装置が形成される。このワークステーションは、従来型ディスプレイ用に設計された表示出力を、読取り支援装置に出力するのに適切なフォーマットに変換する。例えば、テキストを点字に変換する。視覚障害のあるユーザは、シート部材上に生成された触ることのできるパターンに触ることによって対話式デジタル・デバイスの出力データを読み取る。
【0013】
光活性材料の特性が改善されるにつれ、特に、光活性材料の応答時間および光感受性が改善されるにつれ、さらに進んだ応用例が実用的になることが予想される。特に、今後予想される実施形態では、光活性材料からなるシート状の部材は、コンピュータ・ワークステーションの従来型表示装置、例えば、ブラウン管または発光ダイオード型ディスプレイから放出された光に応答するのに十分に感度が高くなる。このシート状の部材を従来型表示装置の上に取り付け、それによって、従来型ディスプレイ上に表示されたデータが触ることができるように表現される。
【0014】
このように、本明細書で説明する支援装置は、視覚障害者が、従来型デジタル・デバイスと対話し、全くの従来の手段を使用しては簡単には、または実際上可能ではないほど改善された状態でこの装置から情報を受け取ることができるようにする。
【0015】
本発明の細部は、その構造および動作に関して、添付の図面を参照して最もよく理解されよう。図面では、同様の参照数字は同様の部分を指すものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
概要
本発明の好ましい実施形態により、視覚障害のあるユーザ用の支援装置は、コンピュータ・システムなどのデジタル・デバイスの出力パターン光源に適合されており、光源から放出される光に応答して読取り表面の形状を変化させ、それによって、光源から出力されたある種の情報を触ってわかるように表現する。
【0017】
理想的には、このような支援装置は、ブラウン管式ディスプレイなどの従来型のデジタル表示出力装置の光に応答するのに十分な光感受性と、1秒の何分の1かで支援装置の形状を変化させるのに十分な応答速度とを有する。そのため、人間であるユーザが見てわかるほどの遅れは生じない。このような装置なら、従来型ディスプレイ上に表示されるいかなる情報も、触ることができる形式にリアルタイムで変換し得るはずである。このような装置を使用して、図形またはテキストあるいはその両方を(点字形式または他の符号化形式で)ユーザに提供し得る。このような装置は、ディスプレイ自体とは別の携帯型装置とすることさえでき、必要に応じてユーザが様々なディスプレイに取り付けることができる。
【0018】
材料がその形状を変えることによって入射光に応答する光活性特性を示す材料には様々なものが知られている。しかし、現在、入手可能な材料の光活性特性では、このような材料を適用し得る実際の利用法が限られている。具体的には、従来の光活性材料は、応答時間が比較的遅いか、または、入射光に特殊な要件(波長、照明)が課されるかのいずれかの傾向があり、そのため、上記の理想を実現するのが難しいか、または不可能である。しかし、現在入手可能な光活性材料でも、本明細書でさらに説明するタイプのある種の簡略化された本発明の実施形態を構築することは可能であろう。
【0019】
光活性材料にさらなる改良が加えられて、光感受性が増大し、応答時間が短くなり、かつ他の特性が改善されると、あるいはこれらのうちいずれかが実現されると、本発明の別の改善された実施形態が実用になると期待される。
【0020】
詳細な説明
図面では、いくつかの図を通じて同様の番号は同様の部分を示す。ここで図面を参照すると、図1は、好ましい実施形態によるデジタル・デバイスの主要コンポーネントを示すブロック図である。このデジタル・デバイスは、具体的には、デスクトップ・コンピュータまたはワークステーションとしても知られている、読取り支援装置にデータを出力するのに好適なシングル・ユーザ・コンピュータ・システムである。システム100は、CPU101、主メモリ102、様々なデバイス・アダプタおよびインターフェース111〜117、ならびに通信バス105を備える。CPU101は汎用プログラマブル・プロセッサであり、主メモリ102内に記憶された命令を実行する。図1には1つのCPUを示すが、複数のCPUを有するコンピュータ・システムまたは他のデジタル・デバイスを使用し得ることを理解されたい。メモリは、データおよびプログラムを記憶するランダム・アクセス型半導体メモリであり、1つのモノリシックな実体として概念的に示すが、メモリは、キャッシュその他のメモリ・デバイスからなる階層の形で配置されることが多いことを理解されたい。通信バス105は、異なる装置間でのデータ、コマンドその他の情報の転送をサポートするものであり、単一バスとして簡略化された形態で示されているが、複数のバスとして構築してもよいし、階層形態で配置してもよい。
【0021】
読取り装置アダプタ111は、読取り支援装置120への出力をサポートするものであり、本明細書でより詳細に説明する。この実施形態の例では、読取り支援装置120は、視覚障害者のために、視覚的な表示ユニットと等価な機能を提供するためのものである。読取り装置アダプタ111は、通信バス105と読取り支援装置120との間でインターフェースを形成するアダプタ/ドライバであり、そのため、読取り支援装置への出力を受け取り、一時的に保持し、駆動するのに必要なインターフェース・ハードウエア、バッファなどを含む。好ましくは、読取り支援装置120は、ブラウン管型ディスプレイなどの視覚的な表示ユニットのものと等価なハードウエア・インターフェースを使用する。この場合、読取り装置アダプタ111は、様々な視覚的な表示ユニットのいずれかを駆動するのに一般に使用されるものなどの従来型のディスプレイ・アダプタとし得る。あるいは、読取り装置アダプタ111は、読取り支援装置120とのインターフェースとして機能するように特別に設計されたアダプタ/ドライバとしてもよい。
【0022】
タッチスクリーン・アダプタ112は、タッチスクリーン用入力装置121をサポートする。好ましくは、タッチスクリーン用入力装置121は、ユーザの指が触ったことを、読取り支援装置120の表面における圧力の形で感知し、読取り表面の面内において触った場所を決定する入力装置である。こうしたタッチスクリーン技術は、コンピュータの従来型視覚ディスプレイならびにそれに類似した装置とともに使用する様々なものが知られており、これらの技術の一部は、読取り支援装置120とともに使用するのに好適なものである。例えば、好ましい実施形態では、タッチスクリーン用入力装置は、読取り支援装置120の四隅に1組の圧力センサを備え、これら圧力センサの出力を比較して、圧力が加えられた場所(触った場所)のXY座標を計算する。あるいは、他の形態のタッチスクリーン技術を利用してもよい。さらに、タッチスクリーンは読取り表面上での視覚障害ユーザの感覚と自然に相互に関連するので、タッチスクリーンが好ましいポインティング式入力装置であるが、その代わりに、他の形態のポインティング・デバイスを使用することもできるし、ポインティング・デバイスを全く使用しないことも可能である。
【0023】
キーボード・アダプタ113は、ユーザからテキストその他の入力を受け取るキーボード122をサポートする。スピーカ・アダプタ114は、選択出力を音声形式でユーザに提供する音声スピーカ123をサポートする。記憶装置アダプタ115は、1つまたは複数のデータ記憶装置124をサポートする。データ記憶装置124は、典型的には、回転式磁気ハード・ディスク・ドライブであるが、他のデータ記憶装置を使用することもできる。プリンタ・アダプタ116は、プリンタ125をサポートする。プリンタ125は、点字印刷装置を含み得る。ネットワーク・インターフェース117は、ローカル・エリア・ネットワークまたはインターネットなどの外部ネットワークとの物理的なインターフェースを提供する。それに加えて、またはその代わりに、ネットワーク・インターフェースは、より大型の「メインフレーム」コンピュータ・システムとの接続を提供し得る。システム100は、この「メインフレーム」コンピュータ・システムに対して、そこに記憶されたデータおよびアプリケーションにアクセスするための端末として動作する。
【0024】
図1では、システム100は、「パーソナル・コンピュータ」または「ワークステーション」として知られているタイプのシングル・ユーザ・デスクトップ・コンピュータ・システムとして示されている。図1は、簡略化した表現の例を示すためのものであり、ここで述べるものに加えて、システム構成の点で多くの変形が可能であることを理解されたい。さらに、本発明による読取り支援装置への出力を生成するデジタル・デバイスは、シングル・ユーザ・パーソナル・コンピュータ・システムである必要はなく、より大型のコンピュータ・システム、ノート型またはラップトップ型のコンピュータ、あるいは、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ゲーム機、マルチメディア・プレゼンテーション・システム、携帯無線ウエブ・アクセス・デバイスなど、様々な特殊用途のデジタル・デバイスのいずれかとすることもできる。
【0025】
図2は、システム100の、主メモリ102に常駐する様々なソフトウエア・コンポーネントの概念図である。オペレーティング・システム・カーネル201は、実行可能なコンピュータ・プログラムであり、当技術分野でよく知られているように、主メモリの割当、メモリ・ページの管理、タスク指名、マルチタスク状態データの管理など、当技術分野で周知の様々なローレベル・ソフトウエア機能を提供する。具体的には、OSカーネル201は、読取り装置アダプタ111と通信して読取り支援装置120をサポートする読取り装置ドライバ202を含めて、様々なI/Oデバイス・アダプタ111〜117用のドライバを含む。
【0026】
システム100は、視覚障害者用の読取り支援装置120に出力するために特別にフォーマットされた形式で出力を生成する1つまたは複数のアプリケーション・プログラムを含み得る。図2に、視覚障害者用の2つのこのようなアプリケーション203、204を示す。このようなアプリケーションは、周知のワード・プロセッシング、財務管理、日程管理、データベース管理、ソフトウエア開発など、数ある従来のコンピュータ・アプリケーションのいずれか、ならびに何千とある他のアプリケーションのいずれかとし得る。一般に、視覚障害者用のアプリケーションは、視覚障害のないユーザ用の従来のアプリケーションと同じように働くが、視覚的な表示画面上に通常は表示される出力が、視覚障害者用に特別にフォーマットされている点が異なる。具体的には、出力は読取り支援装置120用にフォーマットされる。
【0027】
ある実施形態の例では、視覚障害者用の1つのこのような特別なアプリケーション・プログラムは、視覚障害者用ウエブ・ブラウザ204である。周知のように、従来のウエブ・ブラウザ・アプリケーションは、様々なサーバ・アプリケーション(ウエブ・サーバ)にアクセスするクライアントとして動作するものであり、これらのウエブ・サーバは、離れた場所に設置され、インターネットを介してクライアントと通信する。ウエブ・ブラウザ・クライアントは、ウエブ・サーバにアクセスしてウエブ・ページを要求する働きをし、ウエブ・ページ(例えば、HTMLフォーマットのページ)をユーザに表示可能なフォーマットにし、必要に応じてサーバにユーザによる入力を提供し、「お気に入り」URLのリストを維持し、ウエブ・サイトを好都合に閲覧するための他の様々な補助機能を実行する。ウエブ・ページをユーザに表示可能な形式にすることは、従来のウエブ・ブラウザの重要な要素である。
【0028】
この実施形態の例の視覚障害者用ブラウザ204は、従来のブラウザであるが、その表示画面出力が、特に、インターネットを介してHTMLその他のフォーマットで受け取ったウエブ・ページの表現およびフォーマットが、読取り支援装置120への出力用に好適に改変されている。具体的には、HTMLテキストまたはそれに類似のテキストなどのテキストは、可能な場合には、点字表現、すなわち一連の点に変換される。図形、写真などは、簡略化した形式にするか、またはまとめて削除する。本明細書では、図5を参照して、ウエブ・ページを変換して読取り支援装置120に出力する視覚障害者用ブラウザ処理をより詳細に説明する。
【0029】
システム100は、任意の様々な従来のアプリケーション・プログラム205および206も含み得る。図2に、これら2つのアプリケーション・プログラムを示す。従来のアプリケーション・プログラム205、206は、改変されていないアプリケーションであり、従来型の視覚的な表示画面用にフォーマットされた出力を生成する。システムには、従来のアプリケーションによって生成された画面出力を読取り装置120に好適なフォーマットでフォーマットするための読取り装置フォーマッタ207が含まれる。読取り装置フォーマッタ207は、視覚障害者用ウエブ・ブラウザ204が出力をフォーマットするのとほぼ同じやり方で、すなわち、スクリーン・サイズ(画素数)を小さくして読取り支援装置120の解像力に合わせ、可能な場合にはテキストを点字表現に変換し、図形を削除するか、または簡略化することによって、読取り装置用に画面出力をフォーマットするプログラムまたは関数である。図2には別の実体として示すが、読取り装置フォーマッタ207は、オペレーティング・システムの一部とすることができる。
【0030】
一般に、読取り支援装置120に出力するためにアプリケーションが特別に改変される場合には、より良い出力フォーマットを実現し得ることを理解されたい。例えば、場合によっては、好都合なスペースに収まるようにテキストを変えてもよい。例えば、読取り支援装置120上である種の図形画像を解釈するのが難しいことがわかっている場合、こうした画像を割愛するか、または他の画像で置き換えることができる。しかし、アプリケーションを変換するコストのために、従来のアプリケーションの多くは、読取り支援装置120用に特別に設計された形式では利用可能でないことがあり、このようなアプリケーションでは、読取り装置フォーマッタ207によって実施される何らかの形式の自動フォーマット処理が望ましいことも理解すべきである。好ましい実施形態では、ユーザは、選択可能なアプリケーションの表示画面出力が、読取り装置フォーマッタ207によってフィルタリングされるように構成する。OSカーネル201がこのようなアプリケーションから表示出力を受け取ると、OSカーネル201は読取り装置フォーマッタ207を呼び出して、オペレーティング・システムのある種の従来の表示出力関数の代わりに、この表示出力をフォーマットする。
【0031】
図2に、例として、ある数のアプリケーションおよび他のソフトウエアの実体を示すが、このような実体の数は変わり得るものであり、典型的には、その数はより多く、完全に機能するシステムでは典型的には、ここに示されていない他の実体および追加の実体が存在することを理解されたい。図2のソフトウエア・コンポーネントは、主メモリ102に常駐するものとして概念的に示されているが、一般に、コンピュータ・システムのメモリは、すべてのプログラムおよびデータを同時に保持するには小さすぎること、情報は典型的には、回転式磁気ディスク・ドライブなどの1つまたは複数の大容量記憶装置を含むデータ記憶装置124内に記憶されること、ならびに、こうした情報は、必要に応じてオペレーティング・システムによってページングされてメモリに入れられることを理解されたい。
【0032】
図3および図4は、好ましい実施形態による読取り支援装置120の概略図である。図3は、この装置の斜視正面図であり、この装置の読取り表面におけるマトリックス状の光活性位置を示している。図4は、この装置の断面図であり、読取り表面の構造およびこの読取り表面の背後に配置されたレーザ活性化コンポーネントを示している。
【0033】
読取り支援装置は、ほぼ平面で矩形の読取り表面302を有するハウジング301を備える。読取り表面302は、好ましくは、快適かつ容易に使用されるように、垂直方向から斜めに角度が付けられている。マトリックス状の光活性位置303はこの読取り表面上で定義される。これを図3の挿入図に示す。図3では、このマトリックスが十字線模様のアレイとして示されているが、このマトリックスは、単に、レーザが光活性材料を活性化し得る位置の定義であり、必ずしも、読取り表面上に目に見える模様または離散的な構造要素を備える必要がないことを理解されたい。図3に示すように、このマトリックスは、矩形配置とすることもできるし、千鳥配置または三角配置(すなわち、隣接する位置が正三角形の頂点を定義する)、あるいは何らかの他の構成とすることもできる。光活性位置303は、従来型の視覚ディスプレイの画素に似せてもよいが、好ましい実施形態の読取り表面は、従来型の視覚ディスプレイよりも解像力が低い(すなわち、従来型ディスプレイの画素の数よりも光活性位置の数が少ない)ことが求められる。
【0034】
好ましくは、この読取り表面は、それぞれ均一な組成の複数の層のサンドイッチ構造として構築される。好ましくはガラスである透明な下層401は、この読取り表面の構造上の支持となる。光活性層402は、このガラスの上に配置される。光活性材料は一般に透明なので、安全上その他の理由により、不透明な被覆403が光活性層を覆っており、ユーザ環境ではレーザの光出力が見えないようになっている。また、周囲光が邪魔することがあり得るが、この不透明層によりそれが少なくなる。下層401は、タッチスクリーン用入力装置121の一部を形成する圧力センサ404のところに取り付けられる。
【0035】
光活性層402は、露光されると適切な機械的変形を示す任意の材料で構成することができる。この材料は、現在知られているもの、または今後開発されるものとすることができ、使用する光は、広いスペクトルの光とすることもできるし、特定の波長の光とすることもできる。最近の光活性材料は、特定の波長の光に応答する。そのため、好ましい実施形態では、励起用に1つまたは複数のレーザが用いられる。しかし、今後開発される光活性材料は、広いスペクトル応答を示すものとなり得る。具体的には、光活性層402は、アゾベンゼンまたはアゾピリジンによるポリマー、例えば、架橋アゾベンゼン液晶ポリマーの薄膜であることが好ましい。
【0036】
読取り支援装置120は、少なくとも1つのレーザを駆動して光活性層402内の選択位置を励起するレーザ駆動ユニット405を備える。読取り装置はさらに、データ・ケーブル407を介して読取り装置アダプタ111と通信し、読取り装置の出力の状態を表すデータを一時的に保持し、レーザ駆動ユニット405を制御するための適切な信号にデータを変換するバッファ/インターフェース/制御用の電子回路406を備える。
【0037】
レーザ駆動ユニット405は、光活性層402を励起するのに適切な波長の(紫外光または赤外光とし得る)光を放出する少なくとも1つのレーザを備える。この光源は、適宜、光活性材料に対して偏光していてもよいし、していなくてもよい。このレーザ駆動ユニットは、単一駆動レーザを含むことができ、これは、電子ビームが従来型ブラウン管の表面を走査するように、任意の適切な手段によって読取り表面302のマトリックス状の光活性位置303を走査するためのものである。あるいは、このレーザ駆動ユニットは、複数のレーザを含み得る。例えば、マトリックス状の光活性位置303の各列ごとに1つのレーザを含むことができる(そのため、走査は1次元でのみ行われる)。あるいは、マトリックス状の光活性位置303の各個別位置ごとに別々のレーザを含むことさえ可能である。
【0038】
1つのレーザを使用して走査によりマトリックス状の光活性位置303の複数の位置を活性化する場合、走査速度は、従来型ブラウン管の走査速度ほど速くする必要はないが、光活性材料の応答時間および励起を知覚する人間であるユーザの能力に関連付けられる。この場合、レーザの出力は、レーザがある特定の位置を励起している走査中の比較的短い時間で人間が表面の機械的な変形を知覚するのに十分に大きくなければならない。
【0039】
光活性材料の多くは、励起(光)を取り除くとその元の状態に戻るが、異なる波長または異なる偏光あるいはその両方の光によって対抗励起されると、元の状態に戻る時間が速くなる。好ましい実施形態では、レーザ駆動ユニット405はさらに、最初の励起光源によってもたらされた変形を取り去るための少なくとも1つのレーザ光源を含み、それによって、新しいデータを書き込むことができるように画面上のデータを効果的に消去する。励起光源の場合と同様に、対抗励起光源は、単一光源または複数光源とすることができる。
【0040】
動作においては、インターフェースおよびバッファ用の電子回路406は、読取り装置アダプタ111から受け取ったデータを復号して、レーザ駆動ユニット405により、走査中に1つ(または複数)のレーザを選択的にオンとオフに切り替えることによって読取り表面302の選択位置を励起する。あるいは、各位置ごとに別々のレーザを使用する場合には、適切なレーザの切替えを選択的に行うことによって励起を行う。マトリックス状の光活性位置303のある位置がレーザに暴露されると、それに応答して光活性材料の形状が変化して、読取り表面上で局所的な座屈または変形が生じる。これを特徴的な形状304で表す。この変形は、表面の隆起として現れることがあるが、変形の厳密な形状は、使用する材料および様々な構造上の細部によって決まる。この変形の形状は、人間であるユーザが触ることによって知覚し得るものであればなんでもよい。ユーザは、変形を感じ取り、それに従って読取り装置から情報を読み取ることができる。例えば、この変形は、点字テキストのなじみのある隆起を表すものであってもよい。こうした変形により、様々なタイプの図形画像を表すこともできる。
【0041】
一般に、読取り支援装置120の解像力は、従来型デスクトップ・コンピュータ・システムの標準的な視覚ディスプレイの解像力よりも低いことが求められるが、携帯情報端末、携帯電話、または携帯型ウエブ・アクセス・デバイスなどのより小型で機能が制限されたデバイスの視覚ディスプレイの解像力と同等の解像力とし得る。標準の出力表示画像は、変換されて読取り支援装置120に出力される。これは、点字などの適切な記号表現にテキストを変換し、出力の特徴および解像力を減らすことによって行われ、その結果、ユーザは読取り支援装置120上で好都合に出力を感知することができる。
【0042】
図5は、アプリケーション・プログラム用の標準表示画像を読取り支援装置120への出力に変換する処理を高いレベルで示したものである。この出力は、読取り表面上で触ることができる変形の形をとる。すなわち、従来型表示画面の可視光出力を、図5を参照して以下で説明する改変を受けたパターン状の触ることができる変形に置き換える。このような変換処理は、読取り装置フォーマッタ207によって実施することができる。あるいは、ここで説明する変換処理によって生成されたものに対応する出力が生成されるようにアプリケーションを改変することができる。後者の場合、アプリケーションは、必ずしも変換処理を実施しない。すなわち、アプリケーションは必ずしも、1つの特徴を生成して、それを別の特徴に変換しない。アプリケーションは単に、最初の段階で出力特徴を生成する。
【0043】
図5を参照すると、簡略化されるアプリケーション・ウィンドウのある種の特徴が定義される(ステップ501)。好ましくは、このアプリケーション・ウィンドウは、読取り装置の低解像力に対応するために可能な限り簡略化される。例えば、可能な場合には、ツールバーおよび類似の特徴は、それぞれの単一アイコンまたは文字の組合せに変えられる。これらは、選択すると、ポップアップ・ウィンドウなどの形で拡大し得る。この簡略化されたウィンドウは、画面幅が標準ウィンドウのものよりも狭いことがあり、スクロールすることができる。
【0044】
ウィンドウ内に表示されたものの本体は、この本体内のすべてのテキストを点字などの適切な記号表現に変換することによって、読取り支援装置120用に変換される(ステップ502)。例えば、各テキスト符号は、対応する一連の点字アルファベットの形式の点に変換される。読取り支援装置120に出力されると、1つ(または複数)のレーザは、読取り表面上の対応する位置を活性化して、点字ドットのパターンの形で局所的に変形(隆起)させる。
【0045】
このウィンドウの本体内に図形画像があり、それを変換しなければならない場合(ステップ503からの分岐‘Y’)、図形を選択して変換する(ステップ504)。選択された図形画像の解像力が変換に適しているかどうかを判断する(ステップ505)。具体的には、この図形が、写真などの比較的解像力が高い画像である場合、有用な画像を生成するのが難しいことがあり、ステップ505から分岐‘N’に進む。この場合、この図形は、アイコンまたは極めて短いテキストなど、1つまたは複数の記号に置き換えられ、それによって、図形が削除されたことが示される(ステップ506)。この図形の解像力が十分に低い場合(例えば、棒グラフ)、この図形を変換して読取り装置に出力することができる。これは、読取り支援装置120に出力する図形の解像力を調整することによって行われる(ステップ507)。すべての図形が変換されると、ステップ503から分岐‘N’に進み、この処理が完了する。
【0046】
追加の変形および実施形態
一般に、これまで説明した本発明の実施形態を実施するのに実行されるルーチンは、オペレーティング・システムまたは特定のアプリケーション、プログラム、オブジェクト、モジュールの一部として実施されるか、あるいは命令シーケンスとして実施されるかにかかわらず、本明細書では「コンピュータ・プログラム」と称する。こうしたコンピュータ・プログラムは、典型的には命令を含み、これらの命令は、本発明によるコンピュータ・システムの装置またはシステム内の1つまたは複数のプロセッサによって読み取られ、実行されると、これらの装置またはシステムに、本発明の様々な態様を実施するステップの実行または要素の生成に必要なステップを実行させる。さらに、完全に機能するコンピュータ・システムの状況において本発明をいままで説明してきて、そしてこれからも説明するが、本発明の様々な実施形態は、様々な形態のプログラム製品として頒布することができ、本発明は、実際に頒布を行うのに使用される信号担持媒体の特定のタイプにかかわらず等しく適用される。信号担持媒体の例には、揮発性および不揮発性のメモリ・デバイス、フロッピー(登録商標)・ディスク、ハード・ディスク・ドライブ、CD−ROM、DVD、磁気テープなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明は、無線ネットワークを含めて伝達ネットワークを介して信号担持媒体の1つの形態から別の形態にデータが交換されるかどうかにかかわらず、任意の形態の信号担持媒体に適用される。図1に、主メモリ102およびデータ記憶装置124として信号担持媒体の例を示す。
【0047】
好ましい実施形態では、読取り支援装置は、それ自体の1つ(または複数)の光源および制御電子回路を有する自己完結型装置であり、従来型の視覚的な表示画面と類似のやり方でインターフェースを介してデータを受け取り、比較的平坦な読取り表面において触ることができる表現形式でデータをユーザに提示する。しかし、様々な実施形態では、読取り装置は、別のコンポーネント部品として販売し得ること、具体的には、入射光に応答して触ることができる形状を形成する読取り表面は、光源とは別物とし得ることを理解されたい。さらに進んで、光活性材料のさらなる改良、または表示画面技術の変化、あるいはその両方により、ブラウン管などの表示画面の前面に取り付けるためのものであって、ブラウン管の光によって活性化される独立した読取り表面を設計することが実現可能になり得る。このような応用例では、光活性表面を活性化する特殊なレーザの代わりに、表示画面および表示画面駆動部など、多くの従来型コンポーネントを使用することが可能になろう。それによって、読取り支援装置を採用するシステムのコストが下がる可能性がある。
【0048】
好ましい実施形態では、読取り支援装置は、汎用デジタル・コンピュータ用のデータ出力装置である。あるいは、この読取り支援装置は、数ある他のタイプのデジタル・デバイス用の出力装置として機能し得ることを理解されたい。さらに、光活性材料のさらなる改良により、特別な光源を用いずに、より広範な応用例をサポートすることができよう。例えば、視覚障害者が、携帯型読取り支援装置を使用して照らされた記号などを読み取ることができよう。
【0049】
ある種の代替形態と併せて本発明の特定の実施形態を開示したが、添付の特許請求の範囲の範囲内で、形態および細部に関して追加の変更を加えることが当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるデジタル・デバイスの主要コンポーネントを示すブロック図であり、具体的には、このデジタル・デバイスは、読取り支援装置にデータを出力するのに好適なシングル・ユーザ・コンピュータ・システムである。
【図2】好ましい実施形態による、読取り支援装置にデータを出力するコンピュータ・システムの様々なソフトウエア・コンポーネントの概念図である。
【図3】好ましい実施形態による読取り支援装置の概略正面斜視図である。
【図4】好ましい実施形態による読取り支援装置の概略断面図であり、ある種の構造上の特徴を示す。
【図5】アプリケーション・プログラム用の標準表示画像を、好ましい実施形態による触知型読取り支援装置への出力に変換する処理を高いレベルで示したものである。
【符号の説明】
【0051】
100 システム
101 CPU
102 主メモリ
105 通信バス
111 読取り装置アダプタ
112 タッチスクリーン・アダプタ
113 キーボード・アダプタ
114 スピーカ・アダプタ
115 記憶装置アダプタ
116 プリンタ・アダプタ
117 ネットワーク・インターフェース
120 読取り支援装置
121 タッチスクリーン用入力装置
122 キーボード
123 音声スピーカ
124 データ記憶装置
125 プリンタ
201 オペレーティング・システム・カーネル
202 読取り装置ドライバ
203 視覚障害者用アプリケーション
204 視覚障害者用ウエブ・ブラウザ
205 アプリケーション・プログラム
206 アプリケーション・プログラム
207 読取り装置フォーマッタ
301 ハウジング
302 読取り表面
303 光活性位置
304 特徴的な形状
401 下層
402 光活性層
403 被覆
404 圧力センサ
405 レーザ駆動ユニット
406 電子回路
407 データ・ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚障害のあるユーザ用の読取り支援装置であって、
光活性材料を含み、読取り表面を有するほぼ平坦で薄い部材を備え、前記光活性材料は、パターン化された光源からの光に応答する前記読取り表面上の選択位置に人間であるユーザが触って知覚し得る形状を形成し、前記触ることができる形状は、デジタル・データ・デバイスのデータ出力を表す、読取り支援装置。
【請求項2】
前記ほぼ平坦で薄い部材は、構造上の支持を提供する剛体の透明な下層を備え、前記剛体の透明な下層の上に光活性ポリマー材料の層が配置される、請求項1に記載の読取り支援装置。
【請求項3】
前記ほぼ平坦で薄い部材はさらに、前記光活性ポリマー材料の前記層の上に不透明な層を備え、前記不透明な層は、前記パターン化された光源からの光を遮蔽する、請求項2に記載の読取り支援装置。
【請求項4】
前記ほぼ平坦で薄い部材を支持し、前記パターン化された光源を収容するハウジングをさらに備える、請求項1に記載の読取り支援装置。
【請求項5】
前記パターン化された光源は、
前記光活性材料の選択位置を活性化して、前記光活性材料内に触ることができる形状を生成するための第1の波長の光を放出する第1の光源と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長の光を放出する第2の光源とを備え、前記第2の波長の光によって、前記光活性材料の前記選択位置がほぼ平坦な形状に戻る、請求項4に記載の読取り支援装置。
【請求項6】
前記ハウジングに取り付けられたタッチスクリーン用データ入力装置をさらに備え、前記タッチスクリーンは、前記読取り表面の特定の位置に加えられた圧力を感知する、請求項4に記載の読取り支援装置。
【請求項7】
汎用デジタル・コンピュータからのデータを出力するデータ出力装置である、請求項1に記載の読取り支援装置。
【請求項8】
前記光活性材料は、アゾベンゼンおよびアゾピリジンの少なくとも1つを含む光活性ポリマーである、請求項1に記載の読取り支援装置。
【請求項9】
前記光活性ポリマーは、架橋アゾベンゼン液晶ポリマーを含む、請求項8に記載の読取り支援装置。
【請求項10】
データ出力装置であって、
出力データを表現するために、読取り表面の背後からマトリックス状の位置のうち複数の位置を選択的に照明する光源と、
前記光源によって照明される光活性材料とを備え、前記光活性材料は、各選択位置における前記光源による照明に応答する前記読取り表面の選択位置に変形を形成し、前記変形は、人間であるユーザが触って知覚し得るものである、データ出力装置。
【請求項11】
前記光活性材料は、アゾベンゼンおよびアゾピリジンの少なくとも1つを含む光活性ポリマーである、請求項10に記載のデータ出力装置。
【請求項12】
前記光活性ポリマーは、架橋アゾベンゼン液晶ポリマーを含む、請求項11に記載のデータ出力装置。
【請求項13】
前記光源は少なくとも1つのレーザを含む、請求項10に記載のデータ出力装置。
【請求項14】
前記光源は、前記マトリックス状の位置のうち複数の選択位置が照明されるように選択的に狙う少なくとも1つのレーザを含む、請求項13に記載のデータ出力装置。
【請求項15】
前記光源は複数のレーザを含み、各レーザは、前記マトリックス状の位置のうち前記複数の位置からなるそれぞれの離散的な副集合を照明する、請求項13に記載のデータ出力装置。
【請求項16】
前記光活性ポリマー材料の上に不透明な層をさらに備え、前記不透明な層は、前記光源からの光を遮蔽する、請求項10に記載のデータ出力装置。
【請求項17】
汎用デジタル・コンピュータからの出力データを提示するデータ出力装置であって、前記読取り表面の選択位置に加えられた圧力を感知するタッチスクリーン用入力装置をさらに備える、請求項10に記載のデータ出力装置。
【請求項18】
データをフォーマットするプログラム製品であって、
信号担持媒体に記録された、プロセッサが実行可能な複数の命令を含み、前記命令は、デジタル・デバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、視覚的な表示装置に出力するための複数のテキスト符号を有する表示出力データを受け取り、前記表示出力データ中の複数のテキスト符号の各テキスト符号を、人間であるユーザが触ることによって認識されるそれぞれのパターンに変換し、その結果得られたデータを、触ることができる読取り装置への出力用にフォーマットし、前記触ることができる読取り装置は、ほぼ平坦な読取り表面上にマトリックス状の選択的に変形可能な位置を有し、前記選択的に変形可能な位置はそれぞれ、変形すると、人間であるユーザが触ってわかるものである、プログラム製品。
【請求項19】
前記触って認識されるそれぞれのパターンは、点字符号化における点の配列である、請求項18に記載のプログラム製品。
【請求項20】
前記表示出力データは少なくとも1つの図形画像をさらに含み、前記プログラム製品の前記プロセッサが実行可能な命令はさらに、前記少なくとも1つの図形画像を、前記触ることができる読取り装置への出力用のフォーマットに変換する、請求項18に記載のプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−122954(P2008−122954A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274760(P2007−274760)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】