説明

視覚障害者誘導用ブロックおよびマット構造体

【課題】視覚障害者を安全に誘導するという機能と、靴底に付着した泥や汚れなどを落とすという機能を両立させることができる視覚障害者誘導用ブロックおよびマット構造体を提供する。
【解決手段】平板状のブロック本体11の表面に複数の突起12を有するブロック10であって、突起12は、荷重を支持する突起本体部13を有するとともに、突起本体部13の頂面13Bよりも低い部分にブラシ状に形成した繊維層17が設けられ、繊維層17は、頂面13Bよりも上方に突出している。また、マット構造体1は、ブロック10と、ブロック10の突起12と対応する位置に複数の貫通孔20Aが形成されたマット20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障害者誘導用ブロックおよび当該視覚障害者誘導用ブロックを利用したマット構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物の出入口などには、靴底に付着した泥や汚れなどを落とすためのマットが敷設されていることがある。近年のバリアフリー化の流れに応じて、このようなマットに貫通孔を設け、建築物の出入口などに敷設した視覚障害者誘導用ブロックの上に敷いて使用する形態や、マット自身に点状突起を設けた(取り付けた)形態などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような形態によれば、マット上であっても視覚障害者を安全に誘導することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−54533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、マットの表面から突起が突出していると、靴底に付着した泥や汚れなどを落とすというマット本来の機能が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、視覚障害者を安全に誘導するという機能と、靴底に付着した泥や汚れなどを落とすという機能を両立させることができる視覚障害者誘導用ブロックおよびマット構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記した目的を達成するための本発明は、平板状のブロック本体の表面に複数の突起を有する視覚障害者誘導用ブロックであって、前記突起は、上部に荷重を支持する少なくとも1つの凸部を有するとともに、前記凸部の頂面よりも低い部分にブラシ状またはループ状に形成した繊維層が設けられ、前記繊維層は、前記凸部の頂面よりも上方に突出していることを特徴とする。
【0006】
このように構成された視覚障害者誘導用ブロックによれば、視覚障害者を安全に誘導することができるとともに、突起の上部に設けられた繊維層によって靴底に付着した泥や汚れなどを落とすことができる。
【0007】
さらに、突起の上部に荷重を支持する凸部が形成されているので、視覚障害者誘導用ブロックに載った人の体重はこの凸部によって支えられ、繊維層には体重がかからない。そのため、繊維が折れてしまったり、繊維が踏み固められて繊維層が固くなったりせずに、繊維層の弾力を維持することができる。これとともに、繊維層が凸部の頂面よりも上方に突出していることで、靴底に付着した泥や汚れなどを良好に落とすことができる。
【0008】
また、本発明の視覚障害者誘導用ブロックは、上部に前記繊維層が設けられ、前記ブロック本体に設けられた係合穴部または係合凸部に着脱可能に係合して前記突起の少なくとも一部を構成するクリーニング部材を備えてもよい。
【0009】
このようなクリーニング部材は交換することができるので、繊維層が摩耗したり、汚れたりした場合に繊維層を容易に取り替えることができ、靴底に付着した泥や汚れなどを落とすという機能を維持することができる。また、視覚障害者誘導用ブロック全体を取り替える場合と比較して、作業が容易であるとともに作業規模を小さくすることができ、さらにコストを低く抑えることができる。
【0010】
本発明の視覚障害者誘導用ブロックの突起は、前記ブロック本体と一体に設けられ、前記係合穴部を有する筒状に形成された突起本体部と、前記係合穴部に嵌合する前記クリーニング部材とから構成することができる。
これによれば、クリーニング部材(繊維層)を容易に交換することができる。
【0011】
このとき、クリーニング部材は、頭部の頂面に前記繊維層が設けられたネジ部材と、前記ネジ部材が螺合するネジ受け部材とから構成してもよい。
これによれば、クリーニング部材の作製が容易になるとともに、ネジ受け部材は再利用することができるので、クリーニング部材のコストを低く抑えることができる。
【0012】
また、本発明の視覚障害者誘導用ブロックの突起は、前記ブロック本体と一体に設けられ、前記係合穴部を有する筒状に形成された突起本体部と、前記係合穴部に螺合する鋲状に形成された前記クリーニング部材とから構成することもできる。
これによれば、クリーニング部材を突起本体部(ブロック本体)に対して強固に固定することができるので、使用時におけるクリーニング部材の脱落を防止することができる。
【0013】
本発明の視覚障害者誘導用ブロックのブロック本体は、裏面の少なくとも一部に粘着層が設けられていてもよい。
これによれば、視覚障害者誘導用ブロック(ブロック本体)を容易に敷設することができる。
【0014】
また、本発明は、前記視覚障害者誘導用ブロックと、前記視覚障害者誘導用ブロックの突起と対応する位置に複数の貫通孔が形成されたマットとを備えたマット構造体として構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の視覚障害者誘導用ブロックおよびマット構造体によれば、視覚障害者を安全に誘導するという機能と、靴底に付着した泥や汚れなどを落とすという機能を両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1はマット構造体の構成を示す分解斜視図であり、図2は視覚障害者誘導用ブロックの突起の構成を示す分解斜視図であり、図3はマット構造体の構成を示す断面図である。なお、以下の説明において、「上下」とは、マット構造体(視覚障害者誘導用ブロック)が敷設された状態における上下をいうものとする。また、以下の説明において、視覚障害者誘導用ブロックのことを単に「ブロック」という。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るマット構造体1は、2×3で配列された6枚のブロック10と、ブロック10の上に敷かれたマット20とから構成されている。このようなマット構造体1は、例えば、建築物やエレベータの出入口、階段の上り口や下り口などに敷設される。視覚障害者は、並んで敷設された従来公知の誘導用ブロック90によってマット構造体1に誘導される。
【0018】
図2および図3に示すように、ブロック10は、平板状(正方形状)のブロック本体11の上面(表面)に格子点状に配列された複数の点状の突起12が設けられた構成を有する。
突起12は、ブロック本体11と一体に設けられた突起本体部13と、クリーニング部材14とから構成されている。
【0019】
突起本体部13は、上部からブロック本体11の下面にまで達する係合穴部13Aが設けられた略円筒状に形成されている。この突起本体部13は、荷重を支持する凸部の一例でもある。また、突起本体部13の上部外周には、下方から上方に向かって径が小さくなるテーパが設けられている。
【0020】
クリーニング部材14は、突起本体部13(ブロック本体11)に設けられた係合穴部13Aに嵌合する外観視略円柱状の部材であり、ネジ部材15と、ネジ部材15のネジ部(符号省略)が螺合する略円筒状のネジ受け部材16とから構成されている。
【0021】
クリーニング部材14の上面でもあるネジ部材15の頭部(符号省略)の頂面15Aには、図示しない接着剤などの層を介して、1本1本の繊維が立設するブラシ状に形成された繊維層17が設けられている。ネジ部材15の頂面15Aは、クリーニング部材14が突起本体部13に嵌合した状態(図3参照)において、突起本体部13の頂面13Bよりも低い部分となり、係合穴部13Aの壁面とともに凹部を形成する。
【0022】
繊維層17は、繊維の先端が突起本体部13の頂面13Bよりも上方に突出するように設けられている。すなわち、繊維層17は、頂面13Bよりも低い位置から高い位置の範囲にわたって設けられている。このような繊維層17は、日用品や布製品などに用いられる植物繊維、動物繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、繊維状とした金属、繊維状とした樹脂などから形成することができる。
【0023】
図3に示すように、ブロック本体11の下面(裏面)には、係合穴部13Aを除く部分に、粘着層18が設けられている。このような粘着層18は、ブロック本体11の下面に両面テープを貼り付けて形成してもよいし、粘着剤を塗布して形成してもよい。なお、敷設時において十分な粘着性を発揮させるため、粘着層18には敷設時まで剥離シート(図示せず)などを貼り付けておくことが望ましい。
【0024】
マット20は、靴底に付着した泥や汚れなどを落とす従来公知のマットと同様の材質のものを使用することができる。このマット20には、ブロック10の突起12に対応する位置に複数の貫通孔20Aが形成されている。貫通孔20Aを突起12に合わせながらマット20をブロック10の上に敷くことで、マット20を容易に敷くことができるとともに、敷いた後にマット20のずれを防止することができる。また、このような構成により、マット20は容易に取り外すことができる。取り外したマット20には突起などの固い部材が設けられていないので、マットを洗浄する機械を使用して、従来公知のマットと同様に容易に洗浄することができる。
【0025】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。図4(a)はマット構造体に人が載った状態を示す図であり、(b)ないし(d)は繊維層を構成する繊維の作用を説明するための図である。
【0026】
マット構造体1は、突起12が、荷重を支持する突起本体部13を有し、突起本体部13の頂面13Bよりも低い部分(頂面15A)にブラシ状に形成した繊維層17が設けられ、繊維層17が、突起本体部13の頂面13Bよりも上方に突出している。これによれば、視覚障害者を安全に誘導することができるとともに、繊維層17によって靴底に付着した泥や汚れなどを落とすことができる。
【0027】
より詳細には、図4(a)に示すように、人(靴FW)がマット構造体1(ブロック10)に載ると、繊維層17を構成する繊維は曲がった状態となる。このとき、マット構造体1(ブロック10)に載った人の体重は突起本体部13によって支持されるとともに、繊維の大部分は頂面15A、頂面13B(靴FWの底FW1)および突起本体部13によって囲まれる空間内にあるので、繊維層17(繊維)には体重がかからない。そのため、1本1本の繊維が折れたり、折れた繊維が踏み固められて繊維層17が固くなったりすることがないため、繊維層17(繊維)の弾力を維持することができる。
【0028】
このように弾力が維持された繊維層17は、各繊維の先端が頂面13Bよりも上方に突出しているので、人(靴FW)がマット構造体1(ブロック10)に載ると各繊維が曲がった状態で靴FWの底FW1や、底FW1に設けられた溝FW2内に確実に接触する。そして、図4(b)ないし(d)に示すように、靴FWが突起本体部13から離れるとき、繊維19は元の形状(立設した状態)に戻っていくので、先端が底FW1や溝FW2内と摺接し、いわば底FW1や溝FW2内を掃くこととなる。これにより、底FW1や溝FW2に付着した泥Dなどを良好に落とすことができる。
【0029】
ブロック10は、上部に繊維層17が設けられ、ブロック本体11(突起本体部13)に設けられた係合穴部13Aに着脱可能に係合(嵌合)して突起12の一部を構成するクリーニング部材14を備えている。これによれば、繊維層17が摩耗したり、汚れたりした場合には、クリーニング部材14を交換することで、繊維層17を容易に取り替えることができ、靴底に付着した泥や汚れなどを落とすという機能を維持することができる。
【0030】
また、このような構成により、視覚障害者誘導用ブロック全体を取り替える場合と比較して、作業が容易であるとともに作業規模を小さくすることができ、さらにコストを低く抑えることができる。特に本実施形態のクリーニング部材14は、係合穴部13Aに嵌合しているだけなので、より簡単に取り付けおよび取り外しを行うことができる。
【0031】
また、本実施形態のクリーニング部材14は、頭部の頂面15Aに繊維層17が設けられたネジ部材15と、ネジ部材15が螺合するネジ受け部材16とから構成されている。これによれば、既存のネジを利用することでネジ部材15を容易に作製することができるとともに、樹脂製の管材などを切断する方法でネジ受け部材16を容易に作製することができる。また、ネジ受け部材16は再利用することができるので、クリーニング部材14のコストを低く抑えることができるとともに、環境性に優れている。
【0032】
ブロック本体11は、裏面に粘着層18が設けられているので、ブロック10(ブロック本体11)を容易に敷設することができる。
なお、以上の効果は、ブロック10を単独で使用した場合にも発揮される。この場合、ブロック本体11の厚さや突起12の高さなどは所定の基準(例えば、JIS T 9251など)に適合するように適宜変更することができる。
【0033】
ここで、本実施形態の変形例について説明する。図5は第1変形例に係るマット構造体の構成を示す断面図であり、図6は第2変形例に係る視覚障害者誘導用ブロックの構成を示す斜視図である。なお、前記した実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0034】
図5に示すように、第1変形例に係るブロック101は、突起121が、ブロック本体11と一体に設けられた突起本体部13と、クリーニング部材141とから構成されている。
【0035】
クリーニング部材141は、樹脂や金属などから構成された略有底円筒状に形成された基部151と、基部151の頂面151Aに設けられた繊維層17とから構成されている。このようなクリーニング部材141によれば、前記した実施形態のクリーニング部材14のようにネジ部材15とネジ受け部材16とを組み立てる工程を省略することができるので、特に作業現場でクリーニング部材14を組み立てる場合と比較して、作業性を向上させることができる。
【0036】
また、図6に示すように、第2変形例に係るブロック102は、正方形状のブロック本体11の上面に複数の線状の突起122が設けられた構成を有する。突起122は、ブロック本体11と一体に設けられた突起本体部132と、クリーニング部材142とから構成されている。
突起本体部132は、平面視矩形状の係合穴部132Aが設けられた略筒状に形成されている。
【0037】
クリーニング部材142は、係合穴部132Aに嵌合する平面視矩形状の基部152と、基部152の頂面(符号省略)に設けられた繊維層17とから構成されている。基部152の頂面は、クリーニング部材142が突起本体部132に嵌合した状態において、突起本体部132の頂面132Bよりも低い部分となる。また、繊維層17は、繊維の先端が突起本体部132の頂面132Bよりも上方に突出するように設けられている。
【0038】
なお、クリーニング部材142は、長手方向において複数に分割して構成してもよい。これによれば、突起122の長手方向のうち、繊維層17の交換が必要な部分だけを交換することができるのでより経済的である。
以上のような第1および第2変形例によっても、前記した実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図7は本実施形態に係るマット構造体の構成を示す断面図である。なお、前記した第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0040】
図7に示すように、ブロック210は、平板状(正方形状)のブロック本体11の上面に格子点状に配列された複数の点状の突起212が設けられた構成を有する(図7では1つのみ図示)。
突起212は、ブロック本体11と一体に設けられた突起本体部213と、クリーニング部材214とから構成されている。
【0041】
突起本体部213は、上面(符号省略)がマット20の上面と略同一平面を形成するような高さを有し、上面からブロック本体11の下面にまで達する係合穴部213Aが設けられた略円筒状に形成されている。この係合穴部213Aは、内周面に雌ネジが設けられている。
【0042】
クリーニング部材214は、頭部215と雄ネジが設けられたネジ部216とから構成された鋲状に形成されている。頭部215の上面には荷重を支持する平面視リング状の凸部215Aが設けられ、頭部215の側面には下方から上方に向かって径が小さくなるテーパが設けられている。
【0043】
凸部215Aによって囲まれる凹部の底面には、片面(上面)にブラシ状の繊維層17が設けられた金属や樹脂などからなる円盤217が、図示しない接着剤などによって貼り付けられている。繊維層17は、繊維の先端が凸部215Aよりも上方に突出するように設けられている。なお、繊維層17は、接着剤などの層を介して、凸部215Aによって囲まれる凹部の底面に直接設けられていてもよい。
【0044】
このように構成されたクリーニング部材214は、ネジ部216の雄ネジを係合穴部213Aの雌ネジに螺合させることで、突起本体部213に取り付けられ、突起本体部213とともに突起212を構成する。
【0045】
このように構成された第2実施形態によれば、前記した第1実施形態と同等の効果を得ることができるとともに、さらに、以下のような効果を得ることができる。
ネジ部216と係合穴部213Aとの螺合によってクリーニング部材214が突起本体部213に取り付けられているので、クリーニング部材214を突起本体部213(ブロック本体11)に対して強固に固定することができる。これにより、使用時におけるクリーニング部材214の脱落を防止することができる。
【0046】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図8は本実施形態に係るマット構造体の構成を示す断面図であり、図9は本実施形態の変形例に係るマット構造体の構成を示す断面図である。なお、前記した第1または第2実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
【0047】
前記した第1および第2実施形態では、クリーニング部材が突起の一部を構成していたが、本実施形態のようにクリーニング部材が突起の全部を構成していてもよい。
【0048】
図8に示すように、ブロック310は、平板状のブロック本体311と、複数(図8では1つのみ図示)のクリーニング部材312とから構成されている。
ブロック本体311には、クリーニング部材312が取り付けられる位置に複数の係合穴部311Aが形成され、係合穴部311Aの内周面には雌ネジが設けられている。
【0049】
クリーニング部材312は、頭部315と雄ネジが設けられたネジ部316とから構成された略鋲状に形成されている。頭部315の上面には荷重を支持する平面視リング状の凸部315Aが設けられ、頭部315の上部外周には下方から上方に向かって径が小さくなるテーパが設けられている。
【0050】
凸部315Aによって囲まれる凹部の底面には、繊維層17が設けられた円盤217が貼り付けられている。繊維層17は、繊維の先端が凸部315Aよりも上方に突出するように設けられている。
【0051】
このように構成されたクリーニング部材312は、ネジ部316の雄ネジを係合穴部311Aの雌ネジに螺合させることで、ブロック本体311に取り付けられ、突起を構成する。
【0052】
また、図9に示すように、本実施形態の変形例に係るブロック410は、平板状のブロック本体411と、複数(図9では1つのみ図示)のクリーニング部材412とから構成されている。
ブロック本体411には、クリーニング部材412が取り付けられる位置に複数の係合凸部411Aが形成され、係合凸部411Aの外周面には雄ネジが設けられている。
【0053】
クリーニング部材412は、下面にネジ穴412Aが形成された平面視円形の略キャップ状に形成されている。クリーニング部材412は、上面に荷重を支持する平面視リング状の凸部412Bが設けられ、上部外周に下方から上方に向かって径が小さくなるテーパが設けられている。また、凸部412Bによって囲まれる部分には、クリーニング部材312と同様にして繊維層17が設けられている。
【0054】
このように構成されたクリーニング部材412は、ネジ穴412Aを係合凸部411Aの雄ネジに螺合させることで、ブロック本体411に取り付けられ、突起を構成する。
以上のように構成された第3実施形態によれば、前記した第1および第2実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0055】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図10は本実施形態に係るマット構造体の構成を示す断面図である。前記した第1ないし第3実施形態では、突起の少なくとも一部(クリーニング部材)をブロック本体から着脱可能な構成としていたが、ブロック本体と突起の全部が一体に形成されていてもよい。
【0056】
図10に示すように、ブロック510は、ブロック本体511の上面に複数(図10では1つのみ図示)の点状(または線状)の突起512が設けられた構成を有する。突起512は、上面に荷重を支持する平面視枠状(平面視で外周が円形または矩形)の凸部512Aが設けられ、上部外周に下方から上方に向かって径が小さくなるテーパが設けられている。凸部512Aによって囲まれる部分には、クリーニング部材312などと同様にして繊維層17が設けられている。
【0057】
このように構成されたブロック510およびマット構造体5によっても、視覚障害者を安全に誘導することができるとともに、繊維層17によって靴底に付着した泥や汚れなどを落とすことができる。また、突起512の上部に荷重を支持する凸部512Aが形成されているので、ブロック510(マット構造体5)に載った人の体重は凸部512Aによって支えられ、繊維層17には体重がかからない。そのため、1本1本の繊維が折れてしまったり、繊維が踏み固められて繊維層17が固くなったりせずに、繊維層17の弾力を維持することができる。これとともに、繊維層17が凸部512Aよりも上方に突出しているので、靴底に付着した泥や汚れなどを良好に落とすことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0059】
前記した実施形態では、荷重を支持する凸部が、繊維層の周囲を囲む略リング状(枠状)に形成され、1つだけ設けられた例を示したが、本発明の凸部は、荷重を支持するという機能を発揮するものであれば、その形状や数は特に限定されない。例えば、繊維層の周囲を囲む弧状の凸部を2つ以上設けた構成であってもよい。また、図11に示すように、突起612の上面に柱状(図11では円柱状)の凸部612Aを1つ以上(図11では7つ)設け、凸部612Aの頂面よりも低い部分に繊維層17を設けた構成としてもよい。
【0060】
前記した実施形態では、繊維層17を一定太さの枝分れがない繊維を使用して形成した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、根元が太く、先端が細いものや、枝分かれして網目状になったものなどを使用してもよい。すなわち、本発明の繊維層を形成する繊維(部材)は、本発明の効果を発揮しうるものであれば広く採用することができる。
【0061】
前記した実施形態では、ブラシ状に形成した繊維層17を採用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ループ状に形成した繊維層を採用してもよい。具体的には、図12(a)に示すブロック10Aの突起12Aを構成するクリーニング部材14Aのように、規則正しいループを形成した繊維層17Aを採用してもよい。また、図12(b)に示すブロック10Bの突起12Bを構成するクリーニング部材14Bのように、繊維が曲がりくねったランダムループを形成した繊維層17Bを採用してもよい。
【0062】
前記した実施形態では、図3に示したように、粘着層18をブロック本体11の下面の係合穴部13Aを除く部分に設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、すべての係合穴部を囲むようにして枠状に粘着層を設けてもよい。また、図9に示すように、粘着層18をブロック本体411の下面全部に設けてもよい。なお、クリーニング部材14の着脱を妨げない構成であれば、図3などに示すような形態であっても、粘着層をブロック本体の裏面の全部に設けることができる。
【0063】
前記した第2および第3実施形態では、ブロック本体とクリーニング部材とが着脱可能に螺合する構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ブロック本体とクリーニング部材とを嵌合する構成や、クリーニング部材がブロック本体に対して着脱可能に係止される構成などであってもよい。
【0064】
前記した実施形態では、図1に示したように、マット構造体1が6枚のブロック10とマット20とから構成された例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ブロックの数は6枚に限定されず、ブロックの寸法や敷設面積などに応じて1枚または複数枚を使用することができる。また、マットの寸法や貫通孔が形成される位置はブロックの種類(突起の形状)や数、寸法、配列などに応じて適宜設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1実施形態に係るマット構造体の構成を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの突起の構成を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るマット構造体の構成を示す断面図である。
【図4】(a)は第1実施形態に係るマット構造体に人が載った状態を示す図であり、(b)ないし(d)は繊維層を構成する繊維の作用を説明するための図である。
【図5】第1実施形態の第1変形例に係るマット構造体の構成を示す断面図である。
【図6】第1実施形態の第2変形例に係る視覚障害者誘導用ブロックの構成を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態に係るマット構造体の構成を示す断面図である。
【図8】第3実施形態に係るマット構造体の構成を示す断面図である。
【図9】第3実施形態の変形例に係るマット構造体の構成を示す断面図である。
【図10】第4実施形態に係るマット構造体の構成を示す断面図である。
【図11】突起に設けられる凸部の変形例を示す斜視図である。
【図12】(a)および(b)は繊維層の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 マット構造体
10 ブロック
11 ブロック本体
12 突起
13 突起本体部
13A 係合穴部
13B 頂面
14 クリーニング部材
15 ネジ部材
15A 頂面
16 ネジ受け部材
17 繊維層
18 粘着層
20 マット
20A 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のブロック本体の表面に複数の突起を有する視覚障害者誘導用ブロックであって、
前記突起は、上部に荷重を支持する少なくとも1つの凸部を有するとともに、前記凸部の頂面よりも低い部分にブラシ状またはループ状に形成した繊維層が設けられ、
前記繊維層は、前記凸部の頂面よりも上方に突出していることを特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項2】
上部に前記繊維層が設けられ、前記ブロック本体に設けられた係合穴部または係合凸部に着脱可能に係合して前記突起の少なくとも一部を構成するクリーニング部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載の視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項3】
前記突起は、前記ブロック本体と一体に設けられ、前記係合穴部を有する筒状に形成された突起本体部と、前記係合穴部に嵌合する前記クリーニング部材とから構成されたことを特徴とする請求項2に記載の視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項4】
前記クリーニング部材は、頭部の頂面に前記繊維層が設けられたネジ部材と、前記ネジ部材が螺合するネジ受け部材とから構成されたこと特徴とする請求項3に記載の視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項5】
前記突起は、前記ブロック本体と一体に設けられ、前記係合穴部を有する筒状に形成された突起本体部と、前記係合穴部に螺合する鋲状に形成された前記クリーニング部材とから構成されたことを特徴とする請求項2に記載の視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項6】
前記ブロック本体は、裏面の少なくとも一部に粘着層が設けられたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の視覚障害者誘導用ブロック。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の視覚障害者誘導用ブロックと、
前記視覚障害者誘導用ブロックの突起と対応する位置に複数の貫通孔が形成されたマットとを備えたことを特徴とするマット構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−285174(P2009−285174A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141274(P2008−141274)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(592058234)株式会社エム・アンド・エフ (8)
【Fターム(参考)】