説明

親水性薬剤の自己マイクロエマルジョン化経口医薬組成物およびその調製方法

【課題】親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩の自己マイクロエマルジョン化経口医薬組成物及びその調製方法の提供。
【解決手段】本発明の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩の自己マイクロエマルジョン化経口医薬組成物及びその調製方法は、前記組成物がベンダマスチンまたはゲムシタビンなどの親水性薬剤、溶媒、界面活性剤、親水性キャリアを含み、良好な生物学的利用能及び安定性を備え、前記親水性キャリアが薬剤溶媒液及び界面活性剤と適合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親水性薬剤の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経口投与は薬剤投与の便利で利用しやすい形態であり、固形または液体懸濁液を問わず、薬物送達技術の分野を支配し続けている。多くの種類の薬剤が許容可能な薬効で経口投与可能であるが、米国FDA(食品医薬品局)の生物薬剤学的製剤分類システム(BCS)クラスIIIの薬剤など、特に溶解性に優れているが、肝臓で広範に代謝され、腸上皮により容易に送り出されるか(浸透性不良)、胃粘膜に刺激性があるとして知られる一部の薬剤のクラスには問題が残っている。したがって、これらの薬剤には、注射による薬剤投与が許容可能な薬物吸収性と生物学的利用能を達成するための主要な選択肢となっているが、これはリスクと費用が高まり、患者に痛みを引き起こすことにつながる。
【0003】
当技術分野では「自己エマルジョン化/マイクロエマルジョン化型薬物送達システム(SEDDS/SMEDDS)」と呼ばれる新しい手法が開発されており、これは疎水性薬物の生物学的利用能を改善し、それらの経口送達を可能にする優れた輸送法を提供する。一般に、SEDDS/SMEDDSは油、界面活性剤、共界面活性剤または可溶化剤および疎水性薬物から成る。このシステムは基本的な原則として、SEDDS/SMEDDSが水と接触すると、中程度の機械的な撹拌下で自発的に水中油滴型マイクロエマルジョンを形成することに基づいている。したがって、薬剤は水相を含まない液体ベースの製剤で溶解するように処方することができる。その後それを軟カプセルまたは硬カプセルに充填し、固形の経口製剤を形成することができる。経口投与後に胃腸液に触れると、前記製剤はすぐに自己乳化してマイクロエマルジョン化し、薬剤の分散性、溶解性、安定性、吸収性を促進して、その薬剤の生物学的利用能を改善することができる。しかしながら、親水性薬剤にはそれらをSEDDS/SMEDDSに適したものとするには制限がある。リポソーム、微小粒子またはプロドラッグなど他の既知の方法が、親水性薬剤の生物学的利用能の向上につながることが報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5および特許文献6)。
【0004】
したがって、親水性薬剤の経口投与形態、特に、生物学的利用能と安定性が良好な経口自己エマルジョン化医薬組成物を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7220428号明細書
【特許文献2】米国特許第7053076号明細書
【特許文献3】米国特許第7217735号明細書
【特許文献4】米国特許第7309696号明細書
【特許文献5】国際公開第2004/017944号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2007/089043号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、親水性薬剤の経口投与形態、特に、生物学的利用能と安定性が良好な経口自己エマルジョン化医薬組成物とその調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様において、本発明の提供する経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は、
(a)治療有効量の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩と、
(b)前記親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解して薬剤溶媒液を形成することができる1つ以上の溶媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤を含み、親水性親油性バランス(HLB)値が約8〜約17の範囲である界面活性剤系と、
(d)前記薬剤溶媒液及び前記界面活性剤系と適合する1つ以上の親水性キャリアと、
を含み、そのうち、前記医薬組成物が、経口投与用の自己マイクロエマルジョン化製剤の形態であることを特徴とする。
【0008】
別の一つの態様において、本発明は前述の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物の調製方法を提供する。この方法は、親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩と、1つ以上の溶媒と、1つ以上の親水性キャリアと、界面活性剤系を混合し、経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物を形成する工程を含む。
【0009】
以下で本発明の多様な実施例について詳細に説明する。多様な実施例及び請求項についての次の詳細な説明によって、本発明のその他の特徴が明白に提示される。
【0010】
本発明が属する分野の当業者であれば、本明細書の説明に基づいて更なる図面の必要なく本発明を広範に利用することができる。したがって、以下の説明は本発明の範囲を限定する目的ではなく、例示目的であると理解されるべきである。
【0011】
本発明を説明する目的で、現時点での好ましい形態である図面を示すが、図示される形態に本発明が限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】静脈内投与及び経口投与後の血漿中濃度プロファイルである。
【図2】静脈内投与及び経口投与後の2’,2’−ジフルオロデオキシウリジン(dFdU)の血漿中濃度プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特記しないかぎり、本発明に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者が通常理解している意味を持つ。次の用語は、特記しないかぎり、ここで説明する意味を持つ。
【0014】
文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形を表す言葉は複数形も含み、複数形を表す言葉は単数形も含む。冠詞「a」および「an」は、本明細書においては、該冠詞の文法上の目的語が1または1より多い(すなわち、少なくとも1である)ことを意味する。例えば、「an element」は、1つのエレメントまたは1より多くのエレメントを意味する。
【0015】
本発明の提供する親水性薬剤の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は、親水性薬剤と、親水性薬剤を溶解して薬剤溶媒液を形成するための1つ以上の溶媒と、1つ以上の界面活性剤を含み、HLB値が約8〜約17の範囲である界面活性剤系に加え、前記薬剤溶媒液及び前記界面活性剤系に適合する1つ以上の親水性キャリアを含む。本発明に基づく経口自己エマルジョン化医薬組成物は、経口投与を通して静脈内注射による投薬に匹敵する優れた薬剤の生物学的利用能を示す。
【0016】
したがって、一つの態様において、本発明の提供する経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は、
(a)治療有効量の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩と、
(b)前記親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解して薬剤溶媒液を形成することができる1つ以上の溶媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤を含み、親水性親油性バランス(HLB)値が約8〜約17の範囲である界面活性剤系と、
(d)前記薬剤溶媒液及び前記界面活性剤系と適合する1つ以上の親水性キャリアと、
を含み、そのうち前記医薬組成物が、経口投与用の自己マイクロエマルジョン化製剤の形態であることを特徴とする。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「自己マイクロエマルジョン化」は、水性媒体に接触したとき(水と混合されたときなど)に微小な油−水エマルジョンを生成する製剤を説明する。特に、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は、水性媒体に接触すると、平均粒子サイズが800nm未満のエマルジョンが形成され、具体的には400nm未満、さらに具体的には200nm未満、最も具体的には100nm未満のエマルジョンが形成される。一実施形態では、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物が水性媒体に接触すると、平均粒子サイズが約10nmのエマルジョンが形成される。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「治療有効量」は、治療効果を発揮するのに有効な薬剤の用量を意味し、特に、胃腸(GI)管の壁を通して体内に吸収された後、標的器官に治療効果を発揮するのに有効な血中薬物濃度を生み出す薬剤の用量を指す。当業者は組成における薬剤の量は、薬剤の種類と剤形、及び被験者の体重、年齢、状態を含み、これらに限らず、特定の状況に応じて変化すると理解するであろう。
【0019】
本発明によれば、本明細書で使用するとき、用語「製薬学的に許容される塩」には、遊離塩基の生物学的効果と性質を実質的に保持する酸付加塩が含まれ、またこれに限らない。前記酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及び酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸で形成することができる。
【0020】
本発明によれば、本明細書で使用するとき、用語「親水性薬剤」とは親油性薬物の反対であり、水媒体で一定程度の溶解性を示す薬物を指す。特に、本発明で使用される親水性薬剤は、BCSで定義される高溶解性を有する(すなわち、pH1〜7.5の範囲において、最大の投与量の薬物が250ml以下の水に溶解する)。親水性薬剤の例としては、アルブテロール、アレンドロネート、アモキシシリン、ベンダムスチン、ブスピロン、カルシトニン、カプトプリル、カルボプラチン、シプロフロキサシン、フルコナゾール、葉酸、ゲムシタビン、グラニセトロン、ヒドロクロロチアジド、イバンドロネート、ラミブジン、ラモトリギン、メトホルミン、メトロニダソール、ナイアシン、オキサリプラチン、オキシコドン、副甲状腺ホルモン(PTH)、プロゲステロン、ラニチジン、リセドロネート、ロシグリタゾン、スマトリプタン、マレイン酸チモロール、ゾレドロン酸を含むが、これらに限らない。本発明の方法のいくつかの実施形態において、前記親水性薬剤はベンダマスチンまたはゲムシタビンである。本発明の特定の実施形態において、前記親水性薬剤の含量は、医薬組成物の重量に基づき約0.2%〜約15%(w/w)の範囲である。
【0021】
本発明によれば、本明細書で使用する1つ以上の溶媒は、所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解し、薬剤溶媒液を形成することができる。特に、本明細書で使用する1つ以上の溶媒はそれぞれが約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を100分量未満の溶媒で溶解することができる。より具体的に、本明細書で使用する1つ以上の溶媒は、(a)約1分量未満で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解できる第1溶媒(極めて溶けやすい)、(b)約1〜約10分量で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解できる第2溶媒(溶けやすい)、(c)約10〜約30分量で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解できる第3溶媒(やや溶けやすい)、(d)約30〜約100分量で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解できる第4溶媒(やや溶けにくい)、(e)これらの任意の組み合わせから構成される群から選択することができる。一般に、溶媒のおおよその容量は重量で計算した1分量の溶質に対応する。例えば、第1溶媒は約1gの所定の親水性薬剤を1ml未満の溶媒で溶解できる。本明細書で使用する溶媒の例には、水、エタノール、ポリエチレングリコール(PEG)、イソプロパノール(IPA)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、グリセロール、酢酸を含むが、これらに限らない。溶媒はいずれも単独または組み合わせで使用することができる。一実施形態では、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は溶媒として水を含む。本発明の特定の実施形態において、前記1つ以上の溶媒の含量は、医薬組成物の重量に基づき約2.5%〜約60%(w/w)の範囲である。
【0022】
本発明によれば、前記界面活性剤系は1つ以上の界面活性剤を含み、かつ約8〜約17の範囲のHLB値を示す。HLB値は当業者において界面活性剤の親水性部分と親油性部分の間のバランスに基づいた界面活性剤のランク付けとして知られている。HLB値が高いと、その界面活性剤はより親水性であり、HLB値が低いと、その界面活性剤は親水性が低いことを表す。本発明ではHLB値が約8〜約17の範囲の単一の界面活性剤を使用してもよい。または、高HLBの界面活性剤と低HLBの界面活性剤の組み合わせを使用してもよい。そのような混合された界面活性剤は、界面活性剤の混合物の最終的なHLB値が約8〜約17の範囲を示すような割合で含有される。本発明で使用される界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤とすることができる。界面活性剤の例としては、ポリソルベート(polysorbate)、ポロキサマー(poloxamer)、オレオイルポリオキシルグリセリド(oleoyl polyoxylglyceride、例えばLabrafil M1944CSなど)、リノレオイルポリオキシルグリセリド(linoleoyl polyoxylglyceride、例えばLabrafil M2125CSなど)、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド(caprylocaproyl polyoxylglyceride、例えばLabrasolなど)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(PEG40水素化ヒマシ油、Cremophor ELまたはCremophor RHなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brijなど)、ソルビタン脂肪酸エステル(Spansなど)、グリセリルモノオレエート(PECEOL(登録商標)など)、モノリノール酸グリセリル(Maisine(登録商標)35−1など)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、オレイン酸ポリグリセリル(polyglyceryl oleate、例えばPlurol(登録商標) Oleique CC497など)、ラウロイルポリオキシルグリセリド(lauroyl polyoxylglyceride、例えばGelucire(登録商標)44/14など)、ステアロイルポリオキシルグリセリド(stearoyl polyoxylglyceride、例えばGelucire(登録商標)50/13など)、ジカプリル酸プロピレングリコールカプリン酸(propylene glycol dicaprylocaprate、Labrafac(登録商標)PGなど)、プロピレングリコールラウラート(propylene glycol laurate、例えばLauroglycol(登録商標)FCCなど)、プロピレングリコールモノラウラート(propylene glycol monolaurate、例えばLauroglycol(登録商標)90など)、カプリル酸プロピレングリコール(propylene glycol caprylate、例えばCapryol PGMCなど)、モノカプリル酸プロピレングリコール(propylene glycol monocaprylate、例えばCapryol 90など)を含むが、これらに限らない。いずれの界面活性剤も単独または組み合わせで使用することができる。好ましくは、HLB値が約9〜約13、より好ましくは約10〜約12である単一の界面活性剤または界面活性剤の組み合わせを使用することができる。特定の実施形態において、本発明の自己エマルジョン化医薬組成物は、界面活性剤系としてポリソルベート及びオレオイルポリオキシルグリセリドを含む。本発明の特定の実施形態において、前記界面活性剤系の含量は医薬組成物の重量に基づき約20.0%〜約75%(w/w)の範囲である。
【0023】
本発明によれば、本明細書で使用する前記1つ以上の親水性キャリアは、親水性薬剤及び溶媒から成る上述の薬剤溶媒液及び前記界面活性剤系に適合する。本明細書で使用する用語「適合」とは、1つ以上の親水性キャリアが上述の薬剤溶媒液及び界面活性剤系と混合可能またはその中に分散可能であり、安定した均質の溶液を形成できることを意味する。特に、本明細書で使用する前記1つ以上の親水性キャリアのそれぞれが約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を約10〜約10000分量の前記親水性キャリアに分散可能である。より具体的に、本明細書で使用する前記1つ以上の親水性キャリアは、(a)約10〜約30分量で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を分散することができる第1親水性キャリア(やや溶けやすい)、(b)約30〜約100分量で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を分散することができる第2親水性キャリア(やや溶けにくい)、(c)約100〜約1000分量で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を分散することができる第3親水性キャリア(溶けにくい)、(d)約1000〜約10000分量で約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を分散することができる第4親水性キャリア(極めて溶けにくい)、及び(e)これらの任意の組み合わせから構成される群から選択することができる。本明細書で使用する親水性キャリアの例としては、
ポリソルベート、エタノール、ポリエチレングリコール(PEG)(PEG200、PEG300、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG2000、PEG3000、PEG4000、PEG6000、PEG8000など)、グリセロール、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、プロピレンカーボネート(PC)、及びジエチレングリコールモノメチルエーテル(Transcutol(登録商標)HPなど)を含むが、これらに限らない。いずれの親水性キャリアも単独または組み合わせで使用することができる。本発明の特定の実施形態において、前記1つ以上の親水性キャリアの含量は医薬組成物の重量に基づき約2%〜約60%(w/w)の範囲である。
【0024】
さらに、一部の例において、溶媒と親水性キャリアの特定の組み合わせを使用することが特に有利である場合がある。例えば、(i)第1溶媒と第2、第3、第4親水性キャリアの組み合わせ、(ii)第2溶媒と第2または第3親水性キャリアの組み合わせ、(iii)第3溶媒と第2または第3親水性キャリアの組み合わせ、または(iv)第4溶媒と第1、第2、または第3親水性キャリアの組み合わせである。加えて、溶媒と親水性キャリアの含量は本発明の医薬組成物の重量に基づきまとめて、具体的には約25%〜約65%(w/w)の範囲、より具体的には約40%〜約60%(w/w)の範囲、より一層具体的には約50%(w/w)である。具体的に、溶媒と親水性キャリアは本発明の医薬組成物の重量に基づき約1:0.1〜約1:9の割合で含有される。より具体的に本発明の医薬組成物が経口液剤の形態である場合、溶媒と親水性キャリアは本発明の医薬組成物の重量に基づき約1:0.1〜約1:2の割合で含有される。本発明の医薬組成物がカプセルの形態である場合、溶媒と親水性キャリアは本発明の医薬組成物の重量に基づき約1:1〜約1:9の割合で含有される。一方で、親水性キャリアと界面活性剤系の含量は本発明の医薬組成物の重量に基づきまとめて、具体的には約50%〜約95%(w/w)の範囲、より具体的には約65%〜約85%(w/w)の範囲、より一層具体的には約75%(w/w)である。具体的には、親水性キャリアと界面活性剤系は本発明の医薬組成物の重量に基づき、約1:0.3〜約1:32.5、より具体的には約1:1〜約1:20、より一層具体的には約1:1.5の割合で含有される。
【0025】
一実施形態では、溶媒と親水性キャリア、及び界面活性剤系は、本発明の医薬組成物の重量に基づき約2:3:4.5の割合で含有される。
【0026】
さらに、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は必要に応じて酸化防止剤(例えばD−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS))などのほかの成分を含んでもよい。
【0027】
特定の実施形態において、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は、ゲムシタビンまたはその製薬学的に許容される塩、水、グリセロール、PEG、ポリソルベート、オレオイルポリオキシルグリセリドを含む。具体的な例において、ゲムシタビンの含量は医薬組成物の重量に基づき約2.00%(w/w)であり、水の含量は医薬組成物の重量に基づき約20.00%(w/w)であり、グリセロールとPEGの含量は医薬組成物の重量に基づきまとめて約32.30%(w/w)であり、ポリソルベートとオレオイルポリオキシルグリセリドの含量は医薬組成物の重量に基づきまとめて約45.70%(w/w)である。
【0028】
特定の実施形態において、本発明の自己エマルジョン化医薬組成物は、ゲムシタビンまたはその製薬学的に許容される塩、水、プロピレングリコール、PEG、ポリソルベート、オレオイルポリオキシルグリセリドを含む。具体的な例において、ゲムシタビンの含量は医薬組成物の重量に基づき約2.00%(w/w)であり、水の含量は医薬組成物の重量に基づき約20.00%(w/w)であり、プロピレングリコールとPEGの含量は医薬組成物の重量に基づきまとめて約32.30%(w/w)であり、ポリソルベートとオレオイルポリオキシルグリセリドの含量は医薬組成物の重量に基づきまとめて約45.70%(w/w)である。
【0029】
特定の実施形態において、本発明の自己エマルジョン化医薬組成物は、ゲムシタビンまたはその製薬学的に許容される塩、水、グリセロール、PEG、ポリソルベート、オレオイルポリオキシルグリセリド、TPGSを含む。具体的な例において、ゲムシタビンの含量は医薬組成物の重量に基づき約1.98%(w/w)であり、水の含量は医薬組成物の重量に基づき約19.8%(w/w)であり、グリセロールとPEGの含量は医薬組成物の重量に基づきまとめて約31.98%(w/w)であり、ポリソルベートとオレオイルポリオキシルグリセリドの含量は医薬組成物の重量に基づきまとめて約45.25%(w/w)であり、TPGSの含量は医薬組成物の重量に基づき約0.99%(w/w)である。
【0030】
さらに、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は、保管中の安定性を高めるため、含まれている親水性薬剤の解離定数(pKa)を超えるpHを備えるように必要に応じて調整することができる。一実施形態では、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物はさらに4.0を超えるpH、例えばpH4〜5、5〜6、6〜7または7〜8に調整されたゲムシタビンを含む。
【0031】
本発明に基づく自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は、経口投与を通して静脈内注射による投薬に匹敵する優れた薬剤の生物学的利用能を示す。具体的な例において、本発明に基づく自己エマルジョン化医薬組成物は、従来の注射を通した製剤と比較して経口投与により約89%の相対的生物学的利用能を示す(以下の例4を参照)。
【0032】
さらに、本発明に基づく自己マイクロエマルジョン化医薬組成物は保管中の良好な安定性を示し、つまり一定の保管期間中に相分離、成分沈殿、テクスチャ変化、または含まれる有効成分の分解などが実質的にない。用語「含まれる有効成分の分解などが実質的にない」とは、一定期間保管された後本発明の医薬組成物において失われる有効成分の量が、医薬組成物における本来の有効成分量の20%未満であり、好ましくは10%未満、より好ましくは約5%未満であることを意味する。
【0033】
本発明の医薬組成物は、カプセル、錠剤、粉末、被覆顆粒を含むがこれらに限らない任意の許容可能な経口剤形とすることができ、かつ必要に応じてバインダー、フィラー、フィラーバインダー、吸着剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤など既知の医薬品添加剤を含んでもよい。
【0034】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は密封された軟カプセルまたは硬カプセルに封入される。カプセルは、胃腸管の特定の区域で崩壊し、内容物をそこで放出する一般的な種類である。そのようなカプセルの一例が、腸溶ゼラチン軟カプセルまたは硬カプセルである。腸溶コーティングは、周知のように、胃液で溶解せず、腸で崩壊する物質または物質の組み合わせのコーティングである。
【0035】
本発明の医薬組成物は、本開示に照らして当該分野で一般的に使用される標準的な方法を使用して、親水性薬剤を1つ以上の溶媒、1つ以上の親水性キャリア、界面活性剤系と混合し、調製される。詳細は以下の実施例で説明する。
【0036】
以下、本発明について実施例を参照しながら、より具体的に説明する。これらの実施例は限定ではなく例示を目的としたものである。
【実施例】
【0037】
実施例1
本発明の自己エマルジョン化医薬組成物の調製
1.製剤I
ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(1,000mg)、グリセロール(105mg)、PEG 400(1,510mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて、製剤Iが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表1に製剤Iの組成を示す。
【0038】
【表1】

【0039】
2.製剤II
まず、ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(1,000mg)、プロピレングリコール(105mg)、PEG 400(1,510mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて製剤IIが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表2に製剤IIの組成を示す。
【0040】
【表2】

【0041】
3.製剤III
ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(1,000mg)、グリセロール(105mg)、PEG 400(1,510mg)、TPGS(50mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて製剤IIIが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表3に製剤IIIの組成を示す。
【0042】
【表3】

【0043】
4.製剤IV
ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(901.3mg)、4.0 N NaOH溶液(98.7mg)、グリセロール(105mg)、PEG 400(1,510mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて製剤IVが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表4に製剤IVの組成を示す。
【0044】
【表4】

【0045】
5.製剤V
ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(901.3mg)、4.0 N NaOH溶液(98.7mg)、プロピレングリコール(105mg)、PEG 400(1,510mg)、TPGS(50mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて製剤Vが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表5に製剤Vの組成を示す。
【0046】
【表5】

【0047】
6.製剤VI
ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(913.28mg)、4.0 N NaOH溶液(86.72mg)、グリセロール(105mg)、PEG 400(1,510mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて製剤VIが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表6に製剤VIの組成を示す。
【0048】
【表6】

【0049】
7.製剤VII
ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(720.21mg)、4.0 N NaOH溶液(279.79mg)、グリセロール(105mg)、PEG 400(1,510mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて製剤VIIが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表7に製剤VIIの組成を示す。
【0050】
【表7】

【0051】
8.製剤VIII
ゲムシタビン塩酸塩(100mg)が蒸留水(715mg)、4.0 N NaOH溶液(285mg)、グリセロール(105mg)、PEG 400(1,510mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌され、溶液Aが形成される。Tween 80(1,613mg)とLabrafil M1944CS(672mg)が別の容器で均一に混合されて溶液Bが形成される。溶液Aが溶液Bに注加され、かつ透明溶液が得られるまで撹拌されて製剤VIIIが形成され、さらに当該分野で周知の方法を使用して硬カプセル剤または軟カプセル剤とされる。表8に製剤VIIIの組成を示す。
【0052】
【表8】

【0053】
実施例2
本発明の自己エマルジョン化医薬組成物の粒子サイズ測定
製剤IからVIIIのマイクロエマルジョン滴の粒子サイズが測定された。簡単に説明すると、250mlの蒸留水が溶解用小型ベッセルに注加され、37℃まで加熱された。温度が37℃に達すると、試験する製剤0.25mlがベッセルに加えられた。混合物がパドルにより100rpmで10分間撹拌された。10分後、約1mlの混合物がサンプルキュベットに移され、マイクロエマルジョン滴の粒子サイズがゼータ電位測定装置(Zetasizer Nano−ZS、英国Malvern Instruments社製)により、製造元により提供されたマニュアルに記載の手順に従って測定された。表9に本発明の医薬組成物により形成されたマイクロエマルジョンの測定された粒子サイズを示す。
【0054】
【表9】

【0055】
実施例3
比較用注射製剤の調製
ゲムシタビン塩酸塩(53mg)が生理食塩水(4,947mg)に加えられ、かつ完全に溶解するまで撹拌されて比較用製剤(5000mg)が形成された。表10に比較用製剤の組成を示す。
【0056】
【表10】

【0057】
実施例4
バイオアッセイ
実施例1で調製された製剤I(1mg/kg)がビーグル犬に栄養チューブを介して投与された。実施例3で調製された比較用製剤(1mg/kg)が別のビーグル犬に静脈内注射で投与された。犬の血液が投与後5、10、15、30、45分、及び1、2、4、8、12時間後にそれぞれ採取された。採取された血液が反応終結剤及び抗凝血剤を入れた試験管に加えられ、混合物を連続遠心分離して血漿を取得した。ゲムシタビン及びその主要代謝産物がLC/MS/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析計)で分析された。図1及び図2、表11及び表12にバイオアッセイの結果を示す。
【0058】
【表11】

【0059】
【表12】

【0060】
結果によると、ゲムシタビンは本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物の経口投与を通して動物に良く吸収されることが示されている。静脈内注射による比較用製剤と比較した本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物の相対的生物学的利用能は約89%(3.22/3.60)である。また、本発明の自己マイクロエマルジョン化医薬組成物のdFdUの血漿プロファイルは比較用製剤のそれと類似しており、先行技術におけるゲムシタビンのほかの経口製剤のそれと比較して代謝による初回通過効果が少ないことが示されている。本発明は初めて、当該分野において使用される従来の静脈内注射による製剤に匹敵する生物学的利用能を有するゲムシタビンの自己マイクロエマルジョン化医薬組成物を提供する。
【0061】
実施例5
安定性試験法
実施例1の製剤IからVIIIに対し、当該分野の従来の方法に基づいて安定性試験が実施された。簡単に説明すると、約2gの製剤が試験管(4ml)に加えられ、さらにこの試験管に窒素が充填され、テフロン(登録商標)膜とアルミニウム蓋で密封された。続いて密封された試験管は恒温・恒湿器(25℃ 60%RHまたは40℃ 75%RH)に少なくとも30日間置かれた。各時間点で、一部の試験管が取り出され、内部のサンプルが容量フラスコ(100ml)に注加された。残留したサンプルも蒸留水で溶出されてフラスコに収集された。最後にフラスコに100mlまで水が加えられた。HPLC解析が実施され、フラスコに収集されたサンプルにおけるゲムシタビンの量(w)が測定された。ゲムシタビンの分解率(%)が次に従って計算された。
【数1】

【0062】
表13に本発明の製剤IからVIIIの分解率の結果を示す。
【0063】
【表13】

【0064】
結果によると、本発明の製剤IからVIIIは少なくとも30日間室温(25℃)で高い安定性を示した(分解率10%未満)。中でも製剤IVからVIII(pH4以上)は少なくとも30日間40℃で高い安定性を示した(分解率10%未満)。
【0065】
本明細書で開示された特徴のすべては任意の組み合わせで組み合わせることが可能である。本明細書で開示された各特徴は同様、同等、類似の目的を達するほかの特徴で置き換えることが可能である。つまり、明示的に記載されない限り、開示されているそれぞれの特徴は、一般的な一連の同等又は類似の特徴の単なる一例である。上記の明細書により、当業者はその多様な用途及び条件に応じて本発明の要旨から逸脱せずに本発明の様々な変更や変形を行うことが可能である。従って、本発明は明細書に記載された特定の実施形態に限定されず、権利は説明した実施形態及び添付の特許請求の範囲に内包される全ての変更を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物であって、
(a)治療有効量の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩と、
(b)前記親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を溶解して薬剤溶媒液を形成することができる1つ以上の溶媒と、
(c)1つ以上の界面活性剤を含み、親水性親油性バランス(HLB)値が約8〜約17の範囲を示す前記界面活性剤系と、
(d)前記薬剤溶媒液及び前記界面活性剤系と適合する1つ以上の親水性キャリアと、
を含み、そのうち、医薬組成物が経口投与向けの自己マイクロエマルジョン化製剤の形態であることを特徴とする、経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物が水媒体に接触すると粒子サイズが約800nm未満のエマルジョンを形成することを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項3】
前記親水性薬剤がベンダマスチンまたはゲムシタビンであることを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項4】
前記1つ以上の溶媒のそれぞれが、約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を100分量未満の前記溶媒で溶解することができることを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項5】
前記1つ以上の溶媒が、水、エタノール、ポリエチレングリコール(PEG)、イソプロパノール(IPA)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、グリセロール、酢酸及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項6】
前記溶媒として水を含むことを特徴とする、請求項5に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項7】
前記1つ以上の界面活性剤が、ポリソルベート(polysorbate)、ポロキサマー(poloxamer)、オレオイルポリオキシルグリセリド(oleoyl polyoxylglyceride)、リノレオイルポリオキシルグリセリド(linoleoyl polyoxylglyceride)、カプリロカプロイルポリオキシルグリセリド(caprylocaproyl polyoxylglyceride)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(polyoxyethylene castor oil derivative)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(polyoxyethylene alkyl ether)、ソルビタン脂肪酸エステル(sorbitan fatty acid ester)、グリセリルモノオレエート(glyceryl monooleate)、グリセリルモノリノレエート(glyceryl monolinoleate)、中鎖脂肪酸トリグリセリド(medium−chain triglyceride、MCT)、オレイン酸ポリグリセリル(polyglyceryl oleate)、ラウロイルポリオキシルグリセリド(lauroyl polyoxylglyceride)、ステアロイルポリオキシルグリセリド(stearoyl polyoxylglyceride)、ジカプリル酸プロピレングリコールカプリン酸(propylene glycol dicaprylocaprate)、プロピレングリコールラウラート(propylene glycol laurate)、プロピレングリコールモノラウラート(propylene glycol monolaurate)、カプリル酸プロピレングリコール(propylene glycol caprylate)、モノカプリル酸プロピレングリコール(propylene glycol monocaprylate)、及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤としてポリソルベートとオレオイルポリオキシルグリセリドを含むことを特徴とする、請求項7に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項9】
前記1つ以上の親水性キャリアのそれぞれが、約1分量の所定の親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩を約10〜約10000分量の親水性キャリアで溶解することができることを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項10】
前記親水性キャリアが、ポリソルベート、エタノール、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセロール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びこれらの組み合わせから構成される群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項11】
前記親水性キャリアとして、グリセロールとPEGを含むことを特徴とする、請求項10に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項12】
前記親水性キャリアとしてプロピレングリコールとPEGを含むことを特徴とする、請求項10に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項13】
pHが4.0を超えることを特徴とする、請求項3に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項14】
ゲムシタビンまたはその製薬学的に許容される塩、水、グリセロール、PEG、ポリソルベート、オレオイルポリオキシルグリセリドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項15】
ゲムシタビンまたはその製薬学的に許容される塩、水、プロピレングリコール、PEG、ポリソルベート、オレオイルポリオキシルグリセリドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項16】
ゲムシタビンまたはその製薬学的に許容される塩、水、グリセロール、PEG、ポリソルベート、オレオイルポリオキシルグリセリド、TPGSを含むことを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物を調製する方法であって、前記親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩と、前記1つ以上の溶媒と、前記1つ以上の親水性キャリアと、前記界面活性剤系を混合して経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物を形成することを特徴とする、請求項1に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物を調製する方法。
【請求項18】
まず前記親水性薬剤またはその製薬学的に許容される塩と前記1つ以上の溶媒及び前記1つ以上の親水性キャリアを混合し、さらに前記界面活性剤系と混合することを特徴とする、請求項17に記載の経口自己マイクロエマルジョン化医薬組成物を調製する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−524820(P2012−524820A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507575(P2012−507575)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/CN2010/000577
【国際公開番号】WO2010/124525
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511259692)イノファーマックス インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】