説明

親油性流体系で使用するための布地物品処理組成物

極性溶媒及び疎水性界面活性剤を含む布地物品処理組成物であって、親油性流体に混和可能である組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布地物品処理組成物に関し、更に詳細には、親油性流体系布地物品処理システムにおいて使用するのに好適な布地物品処理組成物、及び前記布地物品処理組成物を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水系布地物品処理システムは、親水性の染みを除去する及び/又は低減するのに有効である、親水性の前処理組成物を利用してきている。
【0003】
従来のドライクリーニングシステムは、疎水性の染みを除去する及び/又は低減するのに有効である、疎水性の前処理組成物を利用してきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、配合者らは親油性流体系布地物品処理システムを探索してきている。こうした親油性流体系システムにおける親水性の染みの除去が課題となってきている。それ故に、その後に親油性流体系布地物品処理システムにさらされる布地物品から、親水性の染みを除去するのに有効である布地物品処理組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、親油性流体に混和可能である布地物品処理組成物を提供することによって、上述の要求を満たすものである。
【0006】
本発明の1つの態様では、布地物品処理組成物であって:
a)次のハンセン溶解度パラメータのうち、少なくとも1つを示す極性溶媒:
i)0.02よりも大きいフラクショナル極性値(f);及び/又は
ii)0.10よりも大きいフラクショナル水素結合値(f);並びに
b)疎水性界面活性剤;
を含み、布地物品処理組成物が、親油性流体に混和可能である、布地物品処理組成物。
【0007】
本発明の別の態様では、
a)容器;及び
b)前記容器内に収容される、本発明に従う布地物品処理組成物;
を含む製造物品が提供される。
【0008】
本発明の更に別の態様では、処理を必要としている布地物品から親水性の染みを除去するための方法であって、その親水性の染みを、親油性流体に混和可能である布地物品処理組成物と接触させて前処理済みの布地物品を形成することを含む方法が提供される。
【0009】
本発明の更に他の態様では、本発明に従う方法によって処理された布地物品が提供される。
【0010】
従って、本発明は、布地物品処理組成物、該布地物品処理組成物を含む製造物品、布地物品を該布地物品処理組成物で処理するための方法、及びこうした方法によって処理された布地物品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(定義)
本明細書で使用する時、「布地物品」は、従来型洗濯工程又はドライクリーニング工程で、通例、クリーニングされるいかなる物品をも意味するものとする。従って、このような用語は、衣類、亜麻布、カーテン及び衣類付属品である物品を包含する。この用語は、また、手提げバッグ、家具カバー、防水布等の、全体又は一部が布地で作製された他の品目も包含する。
【0012】
用語「染み」は、除去が望まれる、布地物品上のいかなる好ましくない物質をも意味する。一般に染みは物品の一部上にのみ見出され、汚れと布地物品との偶発的な接触によって発生する。用語「親水性の染み」とは、染みが最初に布地物品と接触した時点で水を含んでいること、又はその染みが布地物品上で多量の水を保持していることを意味する。親水性の染みの例としては、これらに限定するものではないが、飲物、多くの食品汚れ、水溶性染料、汗や尿若しくは血液などの体液、草の染み及び泥などの戸外の汚れが挙げられる。
【0013】
用語「混和可能である」とは、本明細書で使用する時、ある物質が別の物質中に、5重量%よりも多く、及び/又は20重量%よりも多く、及び/又は50重量%よりも多く可溶であり、及び/又は分散可能であることを意味する。例えば、本発明の布地物品処理組成物は親油性流体中に5重量%よりも多く可溶であり、及び/又は分散可能である。
【0014】
「前処理済みの布地物品」とは、本明細書で使用する時、二次的な別個の親油性流体と接触させる前に、本発明の布地物品処理組成物と接触させた布地物品を意味する。
【0015】
「別個の親油性流体」とは、本明細書で使用する時、無接触の布地物品処理組成物の一部ではない親油性流体を意味する。典型的には、別個の親油性流体は、前記布地物品処理組成物と組み合わされた場合には、その布地物品処理組成物の30重量%より多く、及び/又は50重量%より多く、及び/又は70重量%より多くを構成する。上述にかかわらず、無接触の布地物品処理組成物中に(例えば、消費者が購入して、前処理済みの布地物品を、布地物品処理プロセス、例えば親油性流体系システムにさらす前の前処理工程において、布地物品上の染みと接触させるために使用する製品中に)親油性流体が存在できる。
【0016】
本明細書で使用する時、「重量平均分子量」は、「コロイド及び界面A、物理化学及び工学の状況」(Colloids and Surfaces A Physico Chemical & Engineering Aspects)162巻、2000、107〜121頁に見出されるプロトコルに従って、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて決定される重量平均分子量を意味する。
【0017】
(布地物品処理組成物)
布地物品処理組成物は、極性溶媒及び疎水性界面活性剤を含み、この際、該布地物品処理組成物は親油性流体に混和可能である。
【0018】
一実施形態では、布地物品処理組成物は、その約10重量%〜約99.9重量%、及び/又は約20重量%〜約95重量%、及び/又は約30重量%〜約90重量%の極性溶媒を含む。
【0019】
別の実施形態では、布地物品処理組成物は、その約0.1重量%〜約90重量%、及び/又は約5重量%〜約80重量%、及び/又は約10重量%〜約80重量%、及び/又は約10重量%〜約30重量%の疎水性界面活性剤を含む。
【0020】
更に別の実施形態では、布地物品処理組成物は、極性溶媒と疎水性界面活性剤を、約10:1〜約1:10、及び/又は約10:1〜約1:5、及び/又は約5:1〜約1:1の極性溶媒と疎水性界面活性剤の重量比で含む。
【0021】
更に別の実施形態では、布地物品処理組成物は、37℃よりも高い、及び/又は50℃よりも高い引火点を有する。
【0022】
一実施形態では、布地と接触する前の容器又は何らかの他の送達装置に収容されているものなどの無接触の布地物品処理組成物は次のものを含む:
a.その布地物品処理組成物の約5重量%〜約99.9重量%、及び/又は約10重量%〜約40重量%の極性溶媒;及び
b.その布地物品処理組成物の約0.1重量%〜約90重量%、及び/又は約10重量%〜約40重量%の疎水性界面活性剤。
【0023】
別の実施形態では、布地物品処理組成物は、使用時に、例えば前処理済みの布地物品を別個の親油性流体と接触させる時に、次のものを含む:
a.その布地物品処理組成物の約1重量%〜約99重量%、及び/又は約5重量%〜約40重量%の極性溶媒;
b.その布地物品処理組成物の約0.1重量%〜約90重量%、及び/又は約5重量%〜約40重量%の疎水性界面活性剤;及び
c.その布地物品処理組成物の約0.1重量%〜約95重量%、及び/又は約5重量%〜約50重量%の親油性流体。
【0024】
他の実施形態では、布地物品処理組成物は、極性溶媒と疎水性界面活性剤を、約20:1〜約1:20、及び/又は約10:1〜約1:10の極性溶媒と疎水性界面活性剤の比で含む。
【0025】
本明細書で使用するのに好適な好ましい布地物品処理組成物は、優れた衣類ケア特性を有することに基づいて、使用のためにさらに認定することができる。衣類ケア特性試験は、当該技術分野において周知であり、継ぎ目等に使用される布地、糸及びゴムひも、並びに様々なボタンを含め、幅広い範囲の衣類又は布地物品構成要素を使用して、認定すべき組成物を試験することを伴う。本明細書で使用するのに好ましい布地物品処理組成物は、優れた衣類ケア特性を有し、例えば、それらは良好な縮み又は布ひだ付け特性を有する。
【0026】
A.極性溶媒
本発明による極性溶媒は、次のハンセン溶解度パラメータのうちの少なくとも1つを示す:
0.02よりも大きい、及び/又は0.05よりも大きい、フラクショナル極性値(f);及び/又は
0.10よりも大きい、及び/又は0.2よりも大きいフラクショナル水素結合値(f)。
【0027】
本発明の布地物品処理組成物中で使用するのに好適な極性溶媒の非限定例としては、水、アルコール、グリコール、ポリグリコール、エーテル、カーボネート、二塩基性エステル、ケトン、他の酸素化溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。アルコールの更なる例には、プロパノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのようなC1〜C126アルコール、ベンジルアルコール、及び1,2−ヘキサンジオールのようなジオールが挙げられる。ダウ・ケミカル(Dow Chemical)によるダウアノール(Dowanol)シリーズは、本発明で有用なグリコール及びポリグリコールの例であり、例えば、ダウアノールTPM、TPnP、DPnB、DPnP、TPnB、PPh、DPM、DPMA、DB、及びその他がある。さらなる例としては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、及びより疎水性のグリコールが挙げられる。カーボネート溶媒の例は、エチレン、プロピレン及びブチレンカーボネート、例えば、ジェフソル(Jeffsol)の商標名で入手可能なものがある。本発明のための極性溶媒は、分散性(δ)、極性(δ)及び水素結合(δ)ハンセン溶解度パラメータによってさらに識別することができる。好ましい極性溶媒又は極性溶媒混合物は、フラクショナル極性(f)及びフラクショナル水素結合(f)値が、f>0.02及びf>0.10であり、ここでf=δ/(δ+δ+δ)及びf=δ/(δ+δ+δ)であり、より好ましくはf>0.05及びf>0.20、最も好ましくはf>0.07及びf>0.30である。
【0028】
一実施形態では、極性溶媒は、水、アルコール、グリコール、ポリグリコール、エーテル、カーボネート、エステル、ケトン、他の酸素化溶媒、アミン、アミド、尿素、アルカノールアミン、アルカノールアミド、リン酸エステル、アルキルニトリル、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0029】
一実施形態では、極性溶媒は約0重量%〜約50重量%、及び/又は約0.01重量%〜約20重量%の水を含む。
【0030】
B.疎水性界面活性剤;
「疎水性界面活性剤」とは、慣習的に、水、親油性流体、又はこの2つの混合物のいずれかにおいて界面活性のある物質を指す。幾つかの例証的な界面活性剤には、従来型水性洗剤系中で使用されるような、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及びシリコーン界面活性剤が挙げられる。
【0031】
好適な非イオン性界面活性剤には:
a)米国特許第4685930号(カスプルザク(Kasprzak))におけるもののような、ノニルフェノール及びミリスチルアルコールのポリエチレンオキシド縮合物;及び
b)脂肪族アルコールエトキシレート、R−(OCHCHOHa=1〜100、典型的には12〜40であり、R=炭化水素残基で8〜20のC原子、典型的には線状アルキル;が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例、4又は23のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンラウリルエーテル;2、10、又は20のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンセチルエーテル;2、10、20、21、又は100のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレンステアリルエーテル;2又は10のオキシエチレン基を有するポリオキシエチレン(2),(10)オレイルエーテル。市販の例には、アルフォニック(ALFONIC)、BRIJ、ジェナポール(GENAPOL)、ネオドール(NEODOL)、スルフォニック(SURFONIC)、トライコール(TRYCOL)が挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第6,013,683号(ヒル(Hill)ら)もまた参照のこと。
【0032】
好適な陽イオン性界面活性剤には、これらに限定されないが、次式を有するジアルキルジメチルアンモニウム塩が挙げられ:
R’R’’N+(CH
式中、各R’R’’は、独立して、12〜30個のC原子から成る群から選択され、又はタロー、ココヤシ油、若しくは大豆から誘導され、XはCl又はBrである。その例には、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジエイコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジココナッツジメチルアンモニウムクロリド、ジタロージメチルアンモニウムブロミド(DTAB)が挙げられる。市販の例として、アドゲン(ADOGEN)、アークワッド(ARQUAD)、トマー(TOMAH)、バリクワット(VARIQUAT)が挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第6,013,683号(ヒル(Hill)ら)もまた参照のこと。
【0033】
本発明で使用するのに好適な疎水性界面活性剤の非限定例としては、次の一般式を有する構造が挙げられ:
(I)Y−(L−X−Y’
(II)L−(X−Y−L’
並びにこれらの混合物;
ここで、L及びL’は、溶媒相溶化(又は親油性)部分であり、これらは独立して次から選択され:
(a)C1〜C22アルキル若しくはC4〜C12アルコキシの、線状又は分枝状、環式又は非環式、飽和又は不飽和、置換又は非置換のもの;
(b)次式を有するシロキサン:
D’D’’
式中、aは0〜2であり;bは0〜1000であり;cは0〜50であり;dは0〜50であり、ただしa+c+dは少なくとも1であり;
MはR3−eSiO1/2であり、式中、Rは独立してH又はアルキル基であり、Xはヒドロキシル基であり、eは0又は1であり;
DはRSiO2/2であり、式中、Rは独立してH又はアルキル基であり;
D’はRSiO2/2であり、式中、Rは独立して、H、アルキル基、又は(CH(CO−(CO)−(CO)(C2k−Rであり、ただし、少なくとも1つのRが(CH(CO−(CO)−(CO)(C2k−Rであることを条件とし、式中、Rは独立して、H、アルキル基、又はアルコキシ基であり、fは1〜10であり、gは0又は1であり、hは1〜50であり、iは0〜50であり、jは0〜50であり、kは4〜8であり;Cは、非置換又は置換型であり;Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、及びこれらの混合物から選択され;
D’’はRSiO2/2であり、式中、Rは独立して、H、アルキル基、又は(CH(C(A)−[(T)−(A’)−]−(T’)Z(G)であり、式中、lは1〜10であり;mは0又は1であり;nは0〜5であり;oは0〜3であり;pは0又は1であり;qは0〜10であり;rは0〜3であり;sは0〜3であり;Cは、非置換又は置換型であり;Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C2〜10アルケニル、及びこれらの混合物から選択され;A及びA’はそれぞれ独立して、エステル、ケト、エーテル、チオ、アミド、アミノ、C1〜4フルオロアルキル、C1〜4フルオロアルケニル、分枝鎖又は直鎖ポリアルキレンオキシド、ホスフェート、スルホニル、サルフェート、アンモニウム、及びこれらの混合物を表す連結部分であり;T及びT’はそれぞれ独立して、C1〜30直鎖若しくは分枝鎖アルキル若しくはアルケニル又はアリールで、非置換又は置換型であり;Zは、水素、カルボン酸、ヒドロキシ、ホスフェート(phosphato)、ホスフェートエステル、スルホニル、スルホネート、サルフェート、分枝鎖若しくは直鎖ポリアルキレンオキシド、ニトリル、グリセリル、C1〜30アルキル若しくはアルケニルで置換又は非置換されたアリール、C1〜10アルキル若しくはアルケニルで置換又は非置換された炭水化物、或いはアンモニウムであり;Gは、H、Na、Li、K、NH、Ca+2、Mg+2、Cl、Br、I、メシラート若しくはトシラートのような、アニオン又はカチオンであり;D’’は、C1〜C4アルキル又はヒドロキシ基で末端保護されることができ;
Y及びY’は親水性部分であり、ヒドロキシ;ポリヒドロキシ;C1〜C3アルコキシ;モノ−又はジ−アルカノールアミン;C1〜C4アルキル置換アルカノールアミン;O、S、Nを含有する置換複素環;サルフェート;カルボキシレート;カーボネートから独立して選択され;Y及び/又はY’がエトキシ(EO)又はプロポキシ(PO)であるときには、次から成る群から選択されるRで末端保護される必要があり:
(i)1〜3個のヘテロ原子を含有する、4〜8員の置換又は非置換の複素環式環;及び
(ii)約1〜約30個の炭素原子を有する、線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、環式又は非環式、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカル;
Xは、O;S;N;P;O、S、N、Pが入り込んだ、C1〜C22アルキルの、線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、環式又は非環式、脂肪族又は芳香族のもの;グリシジル、エステル、アミド、アミノ、PO2−、HPO、PO2−、HPOから選択される架橋結合であり、これらは、プロトン化、又は非プロトン化しており;
u及びwは、0〜20から独立して選択される整数であり、ただしu+w≧1であることを条件とし;
tは1〜10の整数であり;
vは0〜10の整数であり;
xは1〜20の整数であり;
y及びzは、1〜10から独立して選択される整数である。
【0034】
上式を有する界面活性剤の非限定例としては:
(1)アルカノールアミン/アルカノールアミド;
(2)ホフェート(phophate)/ホスホネートエステル;
(3)これらに限定するものではないが、ジェミニジオール、ジェミニアミドアルコキシレート、ジェミニアミノアルコキシレートを包含するジェミニ界面活性剤;
(4)末端保護された非イオン性界面活性剤;
(5)非イオン性シリコーンエトキシレート、シリコーンアミン誘導体のような末端保護されたシリコーン界面活性剤;
(6)アルキルアルコキシレート;
(7)ポリオール界面活性剤;並びに
(8)これらの混合物が挙げられる。
【0035】
界面活性剤の別の部類としては、シロキサン系界面活性剤を挙げることができる。この用途におけるシロキサン系界面活性剤は、他の用途向けのシロキサンポリマーであってよい。シロキサン系界面活性剤は、通常、0.0008〜0.033ag(500〜20,000ダルトン)の重量平均分子量を有する。ポリ(ジメチルシロキサン)から誘導されるこのような物質は、当該技術分野において周知である。本発明では、このようなシロキサン系界面活性剤すべてが好適であるとは限らないが、それは、そのような界面活性剤が、親油性流体自体によってもたらされる洗浄レベルに比べて改善された汚れの洗浄をもたらさないからである。
【0036】
好適なシロキサン系界面活性剤は、次式を有するポリエーテルシロキサンを含み:
D’D’’M’2−a
式中、aは0〜2であり;bは0〜1000であり;cは0〜50であり;dは0〜50であり、ただしa+c+dは少なくとも1であり;
MはR3−eSiO1/2であり、式中、Rは独立してH又はアルキル基であり、Xはヒドロキシル基であり、eは0又は1であり;
M’は、RSiO1/2であり、式中、Rは独立して、H、アルキル基、又は(CH(CO−(CO)−(CO)(C2k−Rであり、ただし、少なくとも1つのRが(CH(CO−(CO)−(CO)(C2k−Rであることを条件とし、式中、R3は独立して、H、アルキル基、又はアルコキシ基であり、fは1〜10であり、gは0又は1であり、hは1〜50であり、iは0〜50であり、jは0〜50であり、kは4〜8であり;Cは非置換又は置換型であり;Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C1〜10アルケニル、及びこれらの混合物から選択され;
DはRSiO2/2であり、式中、Rは独立してH又はアルキル基であり;
D’はRSiO2/2であり、式中、Rは独立して、H、アルキル基、又は(CH(CO−(CO)−(CO)(C2k−Rであり、ただし、少なくとも1つのRが(CH(CO−(CO)−(CO)(C2k−Rであることを条件とし、式中、Rは独立して、H、アルキル基、又はアルコキシ基であり、fは1〜10であり、gは0又は1であり、hは1〜50であり、iは0〜50であり、jは0〜50であり、kは4〜8であり;Cは、非置換又は置換型であり;Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C1〜10アルケニル、及びこれらの混合物から選択され;
D’’は、RSiO2/2であり、式中、Rは独立して、H、アルキル基、又は(CH(C(A)−[(T)−(A’)−]−(T’)Z(G)であり、式中、lは1〜10であり;mは0又は1であり;nは0〜5であり;oは0〜3であり;pは0又は1であり;qは0〜10であり;rは0〜3であり;sは0〜3であり;Cは、非置換又は置換型であり;Qは独立して、H、C1〜10アルキル、C1〜10アルケニル、及びこれらの混合物から選択され;A及びA’はそれぞれ独立して、エステル、ケト、エーテル、チオ、アミド、アミノ、C1〜4フルオロアルキル、C1〜4フルオロアルケニル、分枝鎖又は直鎖ポリアルキレンオキシド、ホスフェート、スルホニル、サルフェート、アンモニウム、及びこれらの混合物を表す連結部分であり;T及びT’はそれぞれ独立して、C1〜30直鎖若しくは分枝鎖アルキル若しくはアルケニル又はアリールで、非置換又は置換型であり;Zは、水素、カルボン酸、ヒドロキシ、ホスフェート(phosphato)、ホスフェートエステル、スルホニル、スルホネート、サルフェート、分枝鎖若しくは直鎖ポリアルキレンオキシド、ニトリル、グリセリル、C1〜30アルキル若しくはアルケニルで置換又は非置換されたアリール、C1〜10アルキル若しくはアルケニルで置換又は非置換された炭水化物、或いはアンモニウムであり;Gは、H、Na、Li、K、NH、Ca+2、Mg+2、Cl、Br、I、メシラート若しくはトシラートのような、アニオン又はカチオンである。
【0037】
以上に記載したシロキサン系界面活性剤の種類の例は、EP−1,043,443A1、EP−1,041,189、及びWO−01/34,706(すべてGEシリコーンズ(GE Silicones))、並びにUS−5,676,705、US−5,683,977、US−5,683,473、及びEP−1,092,803A1(すべてリーバー・ブラザーズ(Lever Brothers)に譲渡)に見出すことができる。
【0038】
好適なシロキサン系界面活性剤の非限定的な市販の例は、TSF4446(ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)より)、XS69−B5476(ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)より);ジェナミン(Jenamine)HSX(デルコン(DelCon)より)及びY12147(オーシースペシャルティー(OSi Specialties)より)である。
【0039】
界面活性剤成分に好適なさらに別の部類の物質は、有機物の性質をもつ。好ましい物質は、炭素原子数約6〜約20の炭素鎖をもつ、オルガノスルホスクシネート界面活性剤である。それぞれ炭素原子数約6〜約20の炭素鎖をもつ、ジアルキル鎖を含有するオルガノスルホスクシネートが、最も好ましい。また、アリール又はアルキルアリール、置換又は非置換、分枝状又は線状、飽和又は不飽和の基を含有する鎖も好ましい。好適なオルガノスルホスクシネート界面活性剤の市販品の非限定例は、エアゾール(Aerosol)OT及びエアゾール(Aerosol)TR−70(サイテック(Cytec)より)の商標名で入手可能である。
【0040】
好適なシリコーン界面活性剤には、これらに限定されないが、ジメチルポリシロキサン疎水性部分と1以上の親水性ポリアルキレン側鎖とを有するポリアルキレンオキシドポリシロキサンが挙げられ、以下の一般式を有し:
―(CHSiO―[(CHSiO]―[(CH)(R)SiO]―Si(CH―R
式中、a+bは約1〜約50、好ましくは約3〜約30、更に好ましくは約10〜約25であり、各R1は同じであるか又は異なり、メチル及びポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基から成る群から選択され、次の一般式を有し:
−(CHO(CO)(CO)
式中、少なくとも1個のRはポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であり、その際、nは3又は4、好ましくは3であり;(全てのポリアルキレンオキシ側基の)cの合計は1〜約100、好ましくは約6〜約100の値を有し;dの合計は0〜約14、好ましくは0〜約3であり;更に好ましくはdは0であり;c+dの合計は約5〜約150、好ましくは約9〜約100であり、並びに各Rは同じであるか又は異なり、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及びアセチル基、好ましくは水素及びメチル基から成る群から選択される。これらの界面活性剤の例は、米国特許第5,705,562号(ヒル(Hill))及び米国特許第5,707,613号(ヒル(Hill))に見出すことができ、これら2つを本明細書に参考として組み込む。
【0041】
この種類の界面活性剤の例には、コネチカット州ダンブリー(Danbury)のCKウィトコ(Witco)、OSiディビジョンから入手可能なシルウェット(Silwet(登録商標))界面活性剤がある。代表的なシルウェット(Silwet)(登録商標)界面活性剤は次のとおりである。
【表1】

【0042】
ポリアルキレンオキシ基(R)の分子量は、約10,000以下である。好ましくは、ポリアルキレンオキシ基の分子量は約8,000以下、最も好ましくは約300〜約5,000の範囲である。従って、c及びdの値は、これらの範囲内の分子量を与える数であり得る。しかしながら、ポリエーテル鎖(R)中のエチレンオキシ単位(−CO)の数は、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンを水分散性又は水溶性にするのに十分な値でなければならない。ポリアルキレンオキシ鎖にプロピレンオキシ基が存在する場合、それらは鎖中に無作為に分布するか、又はブロックとして存在し得る。好ましいシルウェット(Silwet)(登録商標)界面活性剤は、L−7600、L−7602、L−7604、L−7605、L−7657、及びこれらの混合物である。表面活性の他にも、ポリアルキレンオキシドポリシロキサン界面活性剤は、布地物品に対する静電気防止効果、及び柔軟性などの他の効果をもたらすこともできる。
【0043】
ポリアルキレンオキシドポリシロキサンの調製は当該技術分野において既知である。本発明のポリアルキレンオキシドポリシロキサンを、米国特許第3,299,112号に開示された手順に従って調製することができる。
【0044】
他の好適なシリコーン界面活性剤はSF−1488であり、GEシリコーン流体(GE silicone fluids)より入手可能である。
【0045】
親油性流体と組み合わせて添加剤として用いられるのに好適なこれら及び他の界面活性剤は、当該技術分野で周知であり、より詳細にはカーク・オスマー(Kirk Othmer)の工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、第22巻、360〜379頁、「界面活性剤及び洗剤システム(Surfactants and Detersive Systems)」に記載されている。更なる好適な非イオン性洗浄性界面活性剤は、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)の13欄14行〜16欄6行に概ね開示されている。
【0046】
一実施形態では、疎水性界面活性剤は約0.1〜約12、及び/又は約3〜約9のHLB値を示す。
【0047】
別の実施形態では、疎水性界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤、オルガノスルホスクシネート界面活性剤、アルカノールアミン、アルカノールアミド、アルコールアルコキシレート、ジェミニ界面活性剤、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキル水素ホスフェート及びそれらの塩、糖誘導体、及びアルカノールアミン系界面活性剤から成る群から選択され、これらは水溶性の及び水ベースの汚れの洗浄を助けるための能力を有している。しかし、これらの官能性は、通常、デカメチルシクロペンタシロキサンのようなドライクリーニング溶媒中では良好な相溶性をもたない。
【0048】
好適なアルカノールアミン界面活性剤は一般式(I)の式中において、H部分が次式を有するアルカノールアミン部分である:
【化1】

式中、R、R、Rは同じか又は異なっており、独立して、H、炭化水素、ポリオキシアルキレン、シロキサン、又はフッ素化基から選択され、及び少なくとも1つのヒドロキシル基がアルカノールアミン部分中に存在し、1つ以上のR基を終端させるか又はR基のうちの1つ以上の内部に2級のヒドロキシル基として存在するかのどちらかである。炭化水素基は線状又は分枝状、環式又は非環式、飽和又は不飽和であり、約1〜30個の炭素、好ましくは約6〜30個の炭素、より好ましくは約8〜18個の炭素を含有する。シリコーン及びフッ素化基は、1〜50個の繰り返し単位から構成されてよい。
【0049】
アルカノールアミン部分を官能化する方法は、これらに限定されないが、アルキル化、エステル化、エーテル化、アミド化、アミン化、及びその他の結合化学であってよい。従って、対応する架橋基Bは、アルキル、エステル、エーテル、アミド、及びアミノ結合基である。
【0050】
与えられているアルカノールアミン基に使用されるソルボトロープ(solvotrope)基、Sの数及び大きさは、最適な性能のために重要である。界面活性剤が多過ぎる数及び/又は大き過ぎるソルボトロープ基を含有する場合、界面活性剤が溶媒中で過多の溶解特性、或いは過多の分子量を示す場合があり、それらは両方とも非効率的な洗浄性及び/又は汚れ除去性能につながる。さらに、界面活性剤が固体となることがあり、このことは溶媒中での可溶化(solubiliztion)及び配合を困難にする。他方で、界面活性剤が少な過ぎる数の及び/又は小さ過ぎるソルボトロープ基を含有する場合には、その界面活性剤は溶媒に対する低い溶解性を示すことがあり、及び洗浄性及び/又は汚れ除去性におけるアルカノールアミン部分の有効性を低下させることがある。
【0051】
本発明のアルカノールアミン系界面活性剤は、その界面活性剤構造内に1つ以上のポリアルキレンオキシド単位又はソルバトロープ基、Sを含んでいてよい。アルコキシ部分はエトキシ(EO)、プロポキシ(PO)、ブトキシ(BO)、更に高級のアルコキシ部分、及びこれらの混合物、例えば、混合EO/PO、EO/B、PO/BO、EO/PO/BOなどから選択され、この時、繰り返し単位の数(m)は1〜50であってよい。アルコキシ部分は、平均アルコキシル化度の繰り返し単位がmである分布、或いはアルコキシル化の繰り返し単位mを有する単分散部分のどちらかであってよい。
【0052】
本発明の一実施形態では、官能化アルカノールアミン部分は、平均して界面活性剤1分子につき少なくとも1つのソルボトロープ部分を有する。好ましくは、界面活性剤分子は溶媒相溶性を提供するのに十分な数のソルボトロープ部分を含有している。本発明の別の実施形態では、アルカノールアミン部分は、平均してアルカノールアミン部分1個につき少なくとも2個の溶媒相溶性基(すなわち、「ツイン・テール」構造を有する部分)を有する。ソルボトロープ部分は、OH、アルコキシ、及びこれらの混合物から選択できる。
【0053】
次のものは、本発明で有用な官能化アルカノールアミン含有界面活性剤の非限定例である:
【化2】

【0054】
本発明のアルカノールアミン系界面活性剤は1分子につき少なくとも1つの遊離ヒドロキシルを有する。
【0055】
一部の実施形態では、組成物は約0.01〜約10重量%のアルカノールアミン系界面活性剤、約0〜約20重量%の水、約0.1〜約20重量%のその他の洗浄性の補助剤、及び残部の親油性流体を含む。これらの洗浄組成物は、組成物の総合的な洗浄及び染み除去性能を向上させることが示されている。これらの組成物は、血液、草、及び土の染みを洗浄及び除去するのに特に有効である。
【0056】
ホスフェート/ホスホネートエーテル界面活性剤は、一般式(I)を有し、B部分が式中において、次式を有するホスフェート系部分であり得る:
【化3】

式中、R、R、Rは独立して、H、OR、C1〜22アルキルであって線状又は分枝状、置換又は非置換、環式又は非環式であり所望によりO、N、S、若しくはPが入り込んだものから選択され、Rは次のものから選択され:
【化4】

【0057】
H、Na、K、Li、C1〜22アルキルであって線状又は分枝状、置換又は非置換、環式又は非環式であり所望によりO、N、S、若しくはPが入り込んだもの;RはH、CH、C、C、Cから選択され;及びnは0〜10の整数である。
【0058】
次のものは、本発明で有用な官能化ホスフェートエステル含有界面活性剤の非限定例である:
【化5】

【0059】
一部の実施形態では、組成物は約0.01〜約10重量%のホスフェート系界面活性剤、約0〜約20重量%の水、約0.1〜約20重量%のその他の洗浄性の補助剤、及び残部の親油性流体を含む。これらの洗浄組成物は、組成物の総合的な洗浄及び染み除去性能を向上させることが示されている。これらの組成物は、血液、草、及び茶の染みを洗浄及び除去するのに特に有効である。
【0060】
従来の界面活性剤は一般に1つの親水性基と1つの疎水性基を有しているのに対して、ジェミニ界面活性剤は少なくとも2つの疎水性基と少なくとも2つの親水性基を有する化合物である。米国化学会誌(J.American Chemical Soc.)、115、10083〜10090(1993年)及びケムテック(Chemtech)、1993年3月、30〜33頁を参照のこと。ジェミニ界面活性剤は、通常の界面活性剤と比較して非常に低い濃度で使用した場合に、非常に効果的な乳化剤であることが見出されている。この特徴はさらに、非常に低い濃度での優れた洗浄力につながる。
【0061】
次のものは、本発明での使用に好適なジェミニ界面活性剤の非限定例である:
【化6】

【化7】

【0062】
一部の実施形態では、組成物は約0.01〜約10重量%のジェミニ界面活性剤、約0〜約20重量%の水、約0.1〜約20重量%のその他の洗浄性の補助剤、及び残部の親油性流体を含む。これらの洗浄組成物は、組成物の総合的な洗浄及び染み除去性能を向上させることが示されている。これらの組成物は、土及び化粧品の染みを洗浄及び除去するのに特に有効である。
【0063】
本発明の一実施形態では、式(i)に従う末端保護された非イオン性界面活性剤は次の一般式を有することができる:
O[CHCH(R)O][CHCH(OH)[CH
式中、R及びRは、約1〜約30個の炭素原子を有する、線状又は分枝状、飽和又は不飽和、脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカル;RはH、又は約1〜約4個の炭素原子を有する線状脂肪族炭化水素ラジカルであり;xは平均値が1〜約40である整数であり、ここで、xが2以上である場合、Rは同じか又は異なっていてよく、k及びjは平均値が約1〜約12、より好ましくは1〜約5である整数であり、nは、0〜1の整数であり;さらにxが15以上及びR3がH及びメチルである場合には、Rのうちの少なくとも4つがメチルであり、さらにxが15以上であり、及びRがH及び1〜3個のメチル基を包含する場合には、少なくとも1つのRはエチル、プロピル、又はブチルであり、さらに式中、Rは所望によりアルコキシル化され得、このとき、前記アルコキシは、エトキシ、プロポキシ、ブチロキシ、及びこれらの混合物から選択され;ここで、R及びRは、好ましくは、約6〜約22個の炭素原子を有するが、約8〜約18個の炭素原子を有するのが最も好ましい線状又は分枝状、飽和又は不飽和、脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルである。Rは所望によりアルコキシル化され得、ここで、アルコキシはエトキシ、プロポキシ、ブチロキシ、及びこれらの混合物から選択される。Rについては、H又は、約1〜約2個の炭素原子を有する線状脂肪族炭化水素ラジカルが最も好ましい。好ましくは、xは平均値が約1〜約20、より好ましくは約6〜約15の整数である。また、アルコール界面活性剤も本発明で好ましい。
【0064】
本発明の別の実施形態では、式(i)に従う末端保護された非イオン性界面活性剤は、エーテルで末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤であり、特に次式を有するものであり:
RO(RO)CH(CH)OR
式中、Rは約1〜約30個の炭素原子を有する線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカルからなる群から選択され;Rは同じか又は異なっていてよく、あらゆる与えられた分子中で分枝状又は線状C〜Cアルキレンからなる群から独立に選択され;xは1〜約30の数であり;Rは以下からなる群から選択される:
(iii)1〜3個のヘテロ原子を含有する、4〜8員、置換又は非置換の複素環式環;及び
(iv)約1〜約30個の炭素原子を有する、線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、環式又は非環式、脂肪族又は芳香族の炭化水素ラジカル;
ただし、Rが(ii)であるとき、(A)Rの少なくとも1つがC〜Cアルキレン以外であるか、又は(B)Rが6〜30個の炭素原子を有するかのいずれかであり、更にRが8〜18個の炭素原子を有するとき、RはC〜Cアルキル以外である。
【0065】
本発明の更に別の実施形態では、式(i)に従う末端保護された非イオン性界面活性剤は、次式を有する、エーテルで末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコールである:
RO(RO)
本発明の1つの態様では、Rは約1〜約20個の炭素原子を有する線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂肪族炭化水素ラジカルであり、更により好ましくは、Rは約4〜約18個の炭素原子を有する、線状又は分枝状、飽和、脂肪族炭化水素ラジカルである。
【0066】
本発明の1つの態様では、R、R及びRは、エーテルで末端保護されたポリ(アルコキシル化)アルコール界面活性剤が1つ以上のキラル炭素原子を含有するように選択される。
【0067】
本発明の1つの態様では、Rは次の式の炭化水素ラジカルであり:
【化8】

式中、R、R、及びRはそれぞれ独立して、水素、及びC〜Cアルキル、より好ましくは水素、C〜Cアルキル、更により好ましくは水素、及びメチルから選択され、ただし、R、R、及びRはすべてが水素であることはなく、tが0である場合、少なくともR又はRは水素ではなく;q、r、s、tはそれぞれ独立して、0〜13の整数である。この態様の好ましい形態の1つでは、Rは次の式から選択される:
【化9】

式中、n、m、j、及びkはそれぞれ独立して0〜13の整数である。
【0068】
本発明の1つの態様では、Rは次の式の炭化水素ラジカルである:
【化10】

は約1〜約30個、より好ましくは1〜20個、更により好ましくは1〜15個の炭素原子を有する線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルから成る群から選択され、ただし、Rがメチルである場合にはRは分枝状である。本発明のこの態様の一実施形態では、Rはエチルである。
【0069】
本発明の1つの態様では、Rは、1〜3個のヘテロ原子を含有する4〜8員の、置換又は非置換複素環式環である。本発明のこの態様の一実施形態では、ヘテロ原子は酸素、窒素、硫黄及びこれらの混合物から成る群から選択される。本発明のこの態様の一実施形態では、Rは5又は6員の複素環である。本発明のこの態様での他の実施形態では、Rは、次から成る群から選択され:
【化11】

式中、Rは独立して、水素、約1〜約10個の炭素原子を有する、線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂肪族炭化水素又はアルコキシラジカルから成る群から選択され、或いはRは、約1〜約10個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂環式又は芳香族炭化水素ラジカルであって、複素環に縮合されており;各Aは独立して、O、及びN(Rから成る群から選択され、式中、Rは独立して、水素、約1〜約10個の炭素原子を有する、線状又は分枝状、飽和又は不飽和、置換又は非置換、脂肪族炭化水素ラジカルから成る群から選択され、aは0又は1のどちらかであり;zは1〜3の整数である。
【0070】
本発明のこの態様での他の実施形態では、Rは、次から成る群から選択され:
【化12】

式中、Rは上記のとおりに定義される。
【0071】
次のものは、本発明での使用に好適な末端保護された非イオン性界面活性剤の非限定例である:
【化13】

【0072】
一部の実施形態では、組成物は約0.01〜約10重量%の末端保護された非イオン性界面活性剤、約0〜約20重量%の水、約0.1〜約20重量%のその他の洗浄性の補助剤、及び残部の親油性流体を含む。これらの洗浄組成物は、組成物の総合的な洗浄及び染み除去性能を向上させることが示されている。これらの組成物は、草、及び土の染みを洗浄及び除去するのに特に有効である。
【0073】
本発明の一実施形態では、アミド含有界面活性剤は下記の式(i)又は(ii)に従う構造を有する:
【化14】

これらの混合物。
【0074】
物質の別の部類としては、ポリオール系界面活性剤を挙げることができる。本明細書で使用する時、「ポリオール」は、少なくとも2つの遊離のヒドロキシル基を含有する脂肪族又は芳香族化合物を意味する。本明細書に開示される方法を実行する際に、好適なポリオールの選別は単に選択の問題である。例えば、好適なポリオール類は、以下の部類から選択されてもよい:飽和及び不飽和の、直鎖及び分枝鎖の線状脂肪族;複素環式脂肪族を含めた、飽和及び不飽和の環状脂肪族;又は複素環式芳香族を含めた、単核若しくは多核性芳香族。炭水化物及びグリコールは、代表的なポリオールである。特に好ましいグリコール類には、グリセリンが挙げられる。本明細書における使用に好適な単糖類としては、例えば、マンノース、ガラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、アピオース、ラムノース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タジトース、リブロース、キシルロース、及びエリトルロースが挙げられる。本明細書における使用に好適なオリゴ糖類には、例えば、マルトース、コージビオース、ニゲロース、セロビオース、ラクトース、メリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、ルチノース、トレハロース、スクロース、及びラフィノースが挙げられる。本明細書における使用に好適な多糖類としては、例えば、アミロース、グリコーゲン、セルロース、キチン、イヌリン、アガロース、ジラン類、マンナン、及びガラクタン類が挙げられる。厳密に言えば、糖アルコールは炭水化物ではないが、天然に生じる糖アルコールは非常に密接に炭水化物に関連しているため、それらも本明細書における使用には好ましい。本明細書に用いるのに好適な、本質的に最も広く流通した糖アルコール類は、ソルビトール、マンニトール及びガラクチトールである。その他のポリオールとしてはペンタエリスリトール及びその誘導体が挙げられる。
【0075】
本明細書に用いるのに特に好適な部類の物質には、単糖類、二糖類、及び糖アルコール類が包含される。物質の他の部類としては、糖エーテル、アルコキシル化ポリオール、例えばポリエトキシグリセロール及びグルコサミンなどのアミンを含有する他のポリオールが挙げられる。ポリオール系界面活性剤は、水溶性及び水ベースの汚れに対する洗浄補助能力を有する。しかし、これらの官能性は、通常、デカメチルシクロペンタシロキサンのようなドライクリーニング溶媒中では良好な相溶性をもたない。本発明は、洗浄改善のためにポリオール上で官能化された溶媒相溶性基を利用している。
【0076】
一般のスクロース系構造の例は、次の構造に示される:
【化15】

式中、R、R、R、R、R、R、R、及びRは、H,炭化水素、ポリオキシアルキレン、シロキサン、又はフッ素化基のいずれかの組み合わせであることができる。炭化水素基は、線状、環状、分枝状、飽和又は不飽和であってよい1〜30個の炭素から構成されることも可能である。シリコーン及びフッ素化基は、1〜50個の繰り返し単位から構成されてよい。ポリオール上のR置換は、全置換が完全でない場合、平均置換度を有する分布であってよい。与えられるポリオールに使用される溶媒相溶性基の数及び大きさは、最適な性能のために重要である。溶媒相溶性基が大き過ぎる及び/又は多過ぎると、溶媒中での過多の溶解特性、分子の非有効性につながる過多の分子量、及びその物質が固体となって溶媒への可溶化及び配合を困難にする可能性などの、種々の望ましくない特性がもたらされ得る。溶媒相溶性基が少な過ぎる及び/又は小さ過ぎると、溶媒中での溶解性が劣るためにポリオールの性能を低下させることにつながり得る。
【0077】
本発明のポリオール系界面活性剤は、その構造内に1つ以上のポリアルキレンオキシド単位を含んでいてよい。アルコキシ部分は、EO/PO/BO、及び更に高級の物質であり、好ましくは、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及び混合EO/PO、EO/BO、から選択される。PO/BO、EO/PO/BO基は、このとき、繰り返し単位の数(m)は1〜50単位から成ることも可能である。アルコキシ部分は、分布であるか、又はmに相当する平均アルコキシル化度を有するかのどちらかであってよく、或いは、それは厳密にmに相当するアルコキシル化の数を有する特定の単一鎖であってよい。構造内のアルコキシ部分の配置は、ポリオール部分の近く、又はR単位上の末端部上であることも可能である。
【0078】
エトキシル化スクロースの次の一般的な例が、下記に示され:
【化16】

、R、R、R、R、R、R、及びRは、H,炭化水素、ポリオキシアルキレン、シロキサン、又はフッ素化基のいずれかの組み合わせであることができる。ポリオールを官能化する方法は、これらに限定されないが、エステル化、エーテル化、アミド化、及びその他の結合化学であってよい。
【0079】
本発明の一実施形態では、官能化ポリオールは、平均して1分子につき少なくとも1つの溶媒相溶性基を有する。本発明の別の実施形態では、ポリオールは、平均して1分子につき少なくとも2個の溶媒相溶性基を有し(ツインテール)、一方、別の実施形態では、ポリオールは平均して1分子につき少なくとも約3〜約8個の溶媒相溶性基を有する。
【0080】
本発明の一実施形態では、官能化ポリオールは、平均して1分子につき少なくとも2個のOH基を有する。本発明の別の実施形態では、ポリオールは、平均して1分子につき少なくとも3個のOH基を有し、一方、別の実施形態では、ポリオールは平均して1分子につき少なくとも約3〜約8個のOH基を有する。
【0081】
本発明の一実施形態では、官能化ポリオールは、2つ以上のヒドロキシルが次の基又はこれらの基の組み合わせの1つ以上で置き換えられていてもよい:サルフェート、スルホネート、カルボキシレート、アミン、アルカノールアミン、ホスフェート、及びアミド含有部分。ポリオールは、ヒドロキシル基のうちの幾つかにおいて、例えばメチルオレエートと、トランスエステル化されていてもよい。ポリオールのオレエートエステルは、その場合、「末端保護」基となる。
【0082】
次の構造は本発明に有用なポリオール含有界面活性剤の代表例である:
【化17】

【0083】
大豆油(主にオレイル)からのスクロースエステル。溶媒相溶性基、ヒドロキシルにわたる分布、及び上記の構造、単なる代表例。
【化18】

【0084】
本発明のポリオール系界面活性剤は、1分子につき少なくとも2個の、より好ましくは溶媒相溶性が維持される限りもっと多くの遊離ヒドロキシルを有する。
【0085】
本発明のポリオール系界面活性剤は、1分子につき少なくとも1個の、より好ましくは溶媒相溶性を維持するのに要する最も少ない数の相溶性基を有する。
【0086】
本発明のポリオール系界面活性剤は、炭素の合計が6〜30個、より好ましくは8〜18個の範囲の、不飽和又は分枝状炭化水素であるR基を有する。
【0087】
ポリオール系界面活性剤は、本発明の洗浄配合物中に、0.001%〜10%、より好ましくは約0.01%〜2%の濃度で存在する。
【0088】
一実施形態では、疎水性界面活性剤は次の構造のうちの1つ以上を含む:
【化19】

1−[ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミノ]−3−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール
【化20】

ドデカン酸ビス−(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド
【化21】

リン酸ビス−(2−エチル−ヘキシル)エステルビス(2−エチルヘキシル)ナトリウムスルホスクシネート
【0089】
(任意成分)
(キャリア溶媒)
「キャリア溶媒」とは、本明細書で使用する時、シリコーン溶媒、ヒドロフルオロエーテル溶媒、ペルフルオロ化溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素、及びこれらの混合物から成る群から選択される溶媒を意味する。
【0090】
(洗浄補助剤)
本発明の組成物は、所望により少なくとも1つの洗浄補助剤を含んでいてよい。該洗浄補助剤は、幅広く異なることができ、広範にわたる濃度で使用することが可能である。例えば、プロテアーゼ類、アミラーゼ類、セルラーゼ類、リパーゼ類等のような洗浄性酵素、並びに、洗濯及び洗浄製品で全て有用なマンガン又は類似の遷移金属を有する大環状種を包含する漂白触媒を、非常に低い濃度で、又はあまり一般的ではないがより高い濃度で、本明細書において使用することができる。触媒作用のある洗浄補助剤、例えば酵素は、「前進」又は「逆進」式で用いることができ、これは本発明の布地処理方法とは無関係に有用な発見である。例えば、リポラーゼ又は他の加水分解酵素は、所望によりアルコールの存在下で洗浄補助剤として使用されて、脂肪酸をエステルに変換し、それにより親油性流体中での溶解性を増大させ得る。これは「逆進」操作であり、水溶性の低い脂肪酸エステルを水溶性の高い物質に転換する、水中でのこの加水分解酵素の通常の使用法とは対照的である。いずれにせよ、どの洗浄補助剤も、本発明に従って親油性流体との組み合わせでの使用に適していなければならない。
【0091】
幾つかの好適な洗浄補助剤には、ビルダー、界面活性剤、界面活性剤成分に関する前述のもの以外、酵素、漂白活性化剤、漂白触媒、漂白増進剤、漂白剤、アルカリ性供給源、抗菌剤、着色剤、香料、プロ香料、仕上げ助剤、石灰石鹸分散剤、臭気抑制剤、臭気中和剤、高分子移染抑制剤、結晶成長阻害物質、光漂白剤、重金属イオン封止剤、変色防止剤、抗微生物剤、抗酸化剤、再付着防止剤、ポリマー分散剤、汚れ放出ポリマー、電解質、pH調節剤、増粘剤、研磨剤、二価イオン又は三価イオン、金属イオン塩、酵素安定化剤、腐食阻害物質、ジアミン又はポリアミン及び/又はそのアルコキシレート、泡安定化ポリマー、溶媒、加工助剤、布地柔軟化剤、蛍光増白剤、ヒドロトロープ、石鹸泡又は気泡抑制剤、石鹸泡又は気泡促進剤、及びこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
所望により仕上げ剤として使用し得る好適な臭気抑制剤としては、シクロデキストリン、臭気中和剤、臭気遮断剤及びこれらの混合物を包含する剤が挙げられる。好適な臭気中和剤としては、アルデヒド、フラバノイド、金属性塩、水溶性ポリマー、ゼオライト、活性炭、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0093】
本発明の組成物に有用な香料及び香料的成分は、多種多様な天然の及び合成の化学成分を含み、アルデヒド、ケトン、エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、様々な天然抽出物及び天然エキスも挙げられ、これらは、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、ビャクダン油、松根油、シーダーなどのような成分の複雑な混合物を含むことができる。完成した香料は、このような成分の極めて複雑な混合物を含んでもよい。また、本発明ではプロ香料も有用である。こうした物質は、化学的に反応可能なそれらの前駆体又はこれらの混合物であり、例えば加水分解により香料を放出するもので、プロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)、フィルメニッチ(Firmenich)、ジボダン(Givaudan)らによる特許及び/又は公開特許出願に記載されている。
【0094】
漂白剤、特に酸素漂白剤は、本発明の組成物中に使用するのに好適な別の種類の洗浄補助剤である。これは特に、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート及び/若しくはその線状又は分枝状高級若しくは低級類似体のいずれか、並びに/又はテトラアセチルエチレンジアミン及び/若しくはその誘導体のいずれか、又はフタロイルイミドペルオキシカプロン酸(PAP)の誘導体のような漂白活性化剤、又はラクタム型を包含するその他のイミド−又はアミド−置換漂白活性化剤、又はより一般的に、親水性及び/若しくは疎水性漂白活性化剤のいずれかの混合物(特に、C〜C16置換オキシベンゼンスルホネート類のものを包含するアシル誘導体)による活性化及び触媒型のための場合である。
【0095】
また、PAP及びPAP以外のものを包含する、有機又は無機過酸も好適である。本発明で使用される好適な有機又は無機過酸としては、過カルボン酸及び塩;過炭酸及び塩;過イミド酸及び塩;ペルオキシモノ硫酸及び塩;モノペルサルフェートのようなペルサルフェート;ジペルオキシドデカンジオン酸(DPDA)のようなペルオキシ酸;ペルオキシフタル酸マグネシウム;過ラウリン酸;過安息香酸及びアルキル過安息香酸;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
好適な有機ペルカルボン酸の一部類は次式を有する:
【化22】

式中、Rは1〜約22個の炭素原子を含有するアルキレン若しくは置換アルキレン基、又はフェニレン若しくは置換フェニレン基であり、Yは水素、ハロゲン、アルキル、アリール、−C(O)OH、又は−C(O)OOHである。
【0097】
特に好ましい過酸化合物は、次式を有する:
【化23】

式中、RはC1〜4アルキルであり、nは1〜5の整数である。特に好ましい過酸は、RがCH2であり、nが5である式を有し、すなわち、米国特許第5,487,818号、第5,310,934号、第5,246,620号、第5,279,757号及び第5,132,431号に記載のフタロイルアミノペルオキシカプロン酸(PAP)である。PAPは、オウシモントSpA(Ausimont SpA)から商標名ユーロコ(Euroco)として入手可能である。
【0098】
過酸化水素は非常に好ましい漂白剤である。
【0099】
本発明の組成物に使用するのに好適な他の洗浄補助剤には、不溶型、例えば、ゼオライトA、P、及びいわゆる最大アルミニウムPを包含するゼオライト、並びに可溶型、例えば、ホスフェート及びポリホスフェート、いずれかの含水性の水溶性又は非水溶性シリケート、2,2’−オキシジスクシネート、タータラートスクシネート、グリコレート、NTA、及びその他多くのエーテルカルボキシレート又はシトレートを包含するビルダー;EDTA、S,S’−EDDS、DTPA、及びホスホネートを含むキレート剤;水溶性ポリマー、コポリマー、及びターポリマー;汚れ放出ポリマー;蛍光増白剤;クリスピング剤及び/充填剤のような加工助剤;再付着防止剤;クメンスルホン酸ナトリウム又はカルシウム、ナフタレンスルホン酸カリウム等のヒドロトロープ、保湿剤;他の香料又はプロ香料;染料;光漂白剤;増粘剤;単塩;水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、及び硫酸塩などを包含するナトリウム又はカリウムを主体とするもののようなアルカリ;並びにこれらの洗浄補助剤の1種又はそれ以上の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
特に好ましい洗浄補助剤の種類の1つは、極性の高い及び/又は水素結合する先端基を含む添加剤で、本発明の組成物による汚れ除去をさらに向上させる。極性の高い及び/又は水素結合する先端基の例は、アルコール、カルボン酸、サルフェート、スルホネート、ホスフェート、ホスホネート、及び窒素含有物質である。好ましい添加剤は、一級、二級、及び三級アミン、ジアミン、トリアミン、エトキシル化アミン、アミンオキシド、アミド、ベタイン、四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される窒素含有物質である。最も好ましい物質は、次の特性の1つ以上を有するアミノ官能シロキサンである:i)少なくとも約60重量%のシリコーン含有量、及びii)アルキレンオキシ基、最も好ましくはエチレンオキシ基。
【0101】
本発明の組成物は、液体、増粘水性液、半固体若しくはゲル、又は固体の製品形態として配合できる。増粘液体製品形態は、増粘剤を組み込むことによって製造することができる。無機の増粘剤は典型的に粘土、シリケート、及びその他の周知の無機増粘剤を含む。有機の増粘剤には、揺変性の、及び非揺変性の増粘剤が包含される。好ましい増粘剤は、除去を容易にするためにかなりの程度の水溶性を有する。本発明の組成物に有用な可溶な有機増粘剤の例は、カルボキシル化ビニルポリマー、例えば、ポリアクリル酸及びそれらのナトリウム塩、エトキシル化セルロース、ポリアクリルアミド増粘剤、キサンタン増粘剤、グアーガム、アルギン酸ナトリウム及びアルギン副産物、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びかなりの程度の水溶性を有する他の類似の水性増粘剤を含む。
【0102】
硬化剤は、本方法及び組成物において使用されるとき、組成物の均一な固化に著しく寄与する有機又は無機の化合物又は化合物系である。好ましくは、硬化剤は組成物の活性成分と適合性であり、加工された組成物に有効量の固さを与えることができる。硬化剤はまた、使用時にその固体の組成物から洗浄剤の均一な溶解を提供するように、混合され及び固化された時に成分と均質なマトリックスを形成することができなければならない。洗浄組成物に包含される硬化剤の量は、調製されている洗浄組成物の種類、組成物の成分、組成物の意図された用途、使用の間固体組成物に適用される分配溶液の量、分配溶液の温度、分配溶液の硬度、固体組成物の物理的サイズ、他の成分の濃度、組成物中の洗浄剤の濃度、及び他の類似の要因に応じて変化することになる。硬化剤の量は、洗浄剤及び組成物の他の成分と組み合わされて、連続的な混合条件及びその硬化剤の融点以下の温度の元で均質な混合物を形成するために有効であることが、好ましい。硬化剤は、洗浄剤及び他の成分とマトリックスを形成することができ、このマトリックスは周囲条件のもとで硬化して固体形態となる。別の好ましい硬化剤は、ノニルフェノールエトキシレート、線状アルキルアルコールエトキシレート、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、例えば商標名プルロニック(PLURONIC)(登録商標)でバスフ・ワイアンドット(BASF-Wyandotte)から市販されている界面活性剤などの非イオン性界面活性剤洗浄剤を含む、洗浄組成物に使用するためのポリエチレングリコール(PEG)又はプロピレングリコール化合物である。本発明に従って作製されたポリエチレングリコール硬化剤を含む洗浄組成物の固化速度は、少なくとも部分的に、組成物に加えられるポリエチレングリコールの量及び分子量に応じて変化することになる。
【0103】
硬化剤はまた、無水炭酸ナトリウム、無水硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせなどの水和可能な物質であってもよい。本発明に従う水和可能な硬化剤は、その液体エマルションが均質な固体へと硬化され又は固化された状態となる程度まで、水和して液体洗浄性エマルション中に存在する遊離水を結合することができる。本発明に従って加工される洗浄剤組成物に包含される水和可能物質の量は、液体エマルション中に存在する水の割合、並びに他の成分の水和能に応じて変化することになる。
【0104】
本発明に従って加工される洗浄組成物中で使用してもよいその他の硬化剤としては、例えば、カルバミドとしても知られる尿素、酸又はアルカリ処理加工によって水溶性となされたデンプン、及び加熱された液体マトリックスに、冷却時に固化する特性を付与する種々の無機物が挙げられる。
【0105】
洗浄補助剤(類)は、好ましくは組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.02重量%〜約7重量%、さらにより好ましくは約0.05重量%〜約5重量%が含まれる。
【0106】
(方法)
この布地物品処理組成物は、当該技術分野で既知のいずれかの好適な手段による処理を必要としている布地物品上の染み、特に親水性の染みに適用することが可能である。
【0107】
こうした適用方法の非限定的な例としては、スプレー、浸漬、刷毛塗り、ローリング及び/又は延展が挙げられる。
【0108】
スポット前処理組成物を使用する様式に関しては、前記組成物は典型的には、織物又は衣類の汚れ又は染みの領域の直接処理に使用される。本発明に従うプロセスの1つの態様によれば、汚れた衣類は、有効量のスポット前処理組成物を染みの場所に及び所望により染みの周りの領域に直接適用することによって、処理される。このことは、以下の方法の1つ以上において行うことができる。1つの方法は、単に、有効量のスポット前処理組成物を直接容器又は入れ物から直接染みの場所に手で分注することによる。こうした手による適用が消費者にとって便利なものとなるように、数々の装置が使用され得る。例えば、スポット前処理組成物は、手動のポンプを有するスプレーボトル、スクイーズボトル、エアゾール、又はその他の分注容器に入れて提供することが可能である。こうした容器は当該技術分野で既知である。このような方法では、スプレーボトルのポンプの必要な作動によって、又はスクイーズボトルを絞って所定量のスポット前処理組成物を分注することによって、或いは、洗浄組成物を本発明に従う組成物を含有する加圧されたエアゾール容器から噴霧することによって、スポット前処理組成物の局部的な適用が容易となり簡素化される。別の特に有用な、公知技術の分注装置は、液体浸透式アプリケータ先端部又は末端部、例えば多孔質スポンジ又は多孔質布地アプリケータ先端部を有する容器のものである。使用時には、アプリケータ先端部を覆っている取り外し可能のキャップを引張り、容器を逆さまにしてその内容物が浸透性のアプリケータ先端に染み込むようにし、次にその先端部を手で染みと接触させて、一定量のスポット前処理組成物を移動させると同時に、手で織物又は衣類を染みの場所及び所望により周囲の領域でもみ込む又は擦り取る。こうした手で加えられるもみ込みは、染みを物理的に破壊するように働く機械的な作用を与える。このことは、長時間、すなわち数日、数週間、及び更に長い期間処理されずに放置されて、固くなった可能性のある染みに対して、特に有用である。こうした手によるもみ込みは、染みを機械的にほぐすことに加えて、さらに染みの付いた繊維全体に渡る及びその繊維の間へのスポット前処理組成物の浸透を改善するように働く。こうした機械的な作用はまた、そのスポット前処理組成物の総合的な染み除去特性をも改善する。これらの有益な特性に起因して、液体浸透性アプリケータ先端部又は末端部を有する容器は特に好ましく、こうした容器は当該技術分野において公知である。
【0109】
典型的には、使用される界面活性剤ブレンドの濃度に応じて、この前処理品は、約10〜約600秒、好ましくは約20〜約300秒の間染みと接触させることができる。典型的には、この物質は噴霧され、又は物理的に汚れた物品と接触される。液体物質を使用する場合には、通常のスプレー、ネブライザー、又は染み若しくは局部に液体物質を直接適用できるその他の同等品が使用できる。本発明のゲル又は固体の配合品を用いる場合には、固体ゲル、ブロック、又はスティックを染み又は局部に直接接触させて、衣類のあらゆる局部又は染み全体を実質的に覆う薄い被膜又は残留物の形態でその固体配合品を残存させる。前処理される衣類は、その配合品の界面活性剤組成物を染みと結合させて染み又は局部を前処理するために、洗濯機の外で放置することができる。
【0110】
別の実施形態では、布地物品処理装置内の布地物品を最初に本発明に従う布地物品処理組成物と接触させて、それからその後で別個の親油性流体と接触させてもよい。このプロセスはすべて、装置そのものの内部で手を使わない様式で行うことも可能である。
【0111】
別の実施形態では、本方法は次の工程を含む:
a.処理を必要としている布地物品を、その布地物品上の染みが前処理されるように、布地物品処理装置内で布地物品処理組成物と接触させる工程;及び
b.その後、前記布地物品上の染みが除去され及び/又は減少されるように、その布地物品を別個の親油性流体と接触させる工程。
【0112】
装置内で接触させる工程は、装置による布地物品処理組成物及び/又は別個の親油性流体の自動投入によるものであってもよい。
【0113】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものと解釈すべきではない。
【0114】
本発明の特定の実施形態を例示し説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地物品処理組成物であって:
a)次のハンセン溶解度パラメータのうち、少なくとも1つを示す極性溶媒:
i.0.02よりも大きいフラクショナル極性値(f);及び/又は
ii.0.10よりも大きいフラクショナル水素結合値(f);並びに
b)疎水性界面活性剤;
を含み、前記布地物品処理組成物が、親油性流体に混和可能である、布地物品処理組成物。
【請求項2】
前記極性溶媒が、0.05よりも大きいフラクショナル極性値(f)を示す、請求項1に記載の布地物品処理組成物。
【請求項3】
前記極性溶媒が、0.20よりも大きいフラクショナル水素結合値(f)を示す、請求項1又は2に記載の布地物品処理組成物。
【請求項4】
前記極性溶媒が、水、アルコール、グリコール、ポリグリコール、エーテル、カーボネート、エステル、ケトン、他の酸素化溶媒、アミン、アミド、尿素、アルカノールアミン、アルカノールアミド、リン酸エステル、アルキルニトリル、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項5】
前記極性溶媒が、組成物の0重量%〜50重量%の水を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項6】
前記極性溶媒が、組成物の0.01重量%〜20重量%の水を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項7】
前記極性溶媒が、グリコール及び/又はポリグリコール及び/又はそれらの誘導体を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項8】
前記極性溶媒が、アルコキシアルコールを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項9】
前記組成物が、その組成物の2重量%〜50重量%の疎水性界面活性剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項10】
前記組成物が、その組成物の10重量%〜30重量%の疎水性界面活性剤を含む、請求項の1〜9のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項11】
前記疎水性界面活性剤が、0.1〜12のHLB値を示す、請求項1〜10のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項12】
前記疎水性界面活性剤が、3〜9のHLB値を示す、請求項1〜11のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項13】
前記疎水性界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤、オルガノスルホスクシネート界面活性剤、アルカノールアミン、アルカノールアミド、アルコールアルコキシレート、ジェミニ界面活性剤、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキル水素ホスフェート及びそれらの塩、糖誘導体、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項14】
前記組成物が、洗浄補助剤及び/又は親油性流体を更に含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項15】
前記組成物が、37℃よりも高い引火点を示す、請求項1〜14のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項16】
シリコーン溶媒、ヒドロフルオロエーテル溶媒、ペルフルオロ化溶媒、炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素、及びこれらの混合物から成る群から選択されるキャリア溶媒を更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項17】
布地物品処理組成物であって:
a.前記布地物品処理組成物の50重量%〜70重量%の第1の極性溶媒;
b.前記布地物品処理組成物の10重量%〜30重量%の第1のものとは異なる第2の極性溶媒;
c.前記布地物品処理組成物の10重量%〜30重量%の疎水性界面活性剤;及び
d.所望により、前記布地物品処理組成物の3重量%〜10重量%の分散剤ポリマー;
を含み、前記布地物品処理組成物が、親油性流体に混和可能である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項18】
前記第1の極性溶媒が、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを含み、及び前記第2の極性溶媒が、水を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物。
【請求項19】
処理を必要としている布地物品から親水性の染みを除去するための方法であって、該親水性の染みを請求項1〜18のいずれか一項に記載の布地物品処理組成物と接触させることを含む、方法。
【請求項20】
前記方法が、前記親水性の染みが除去される及び/又は低減されるように、前記前処理済みの布地物品を親水性流体と接触させることを更に含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記前処理済みの布地物品が、布地物品処理装置の中で形成される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記前処理済みの布地物品が、前記布地物品を布地物品処理装置の中に入れる前に形成される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって処理された布地物品。

【公表番号】特表2007−526404(P2007−526404A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515374(P2006−515374)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/020623
【国際公開番号】WO2005/003435
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】