説明

観賞魚用水槽

【課題】水槽本体内の水中に配置される水中装置として例えば電気ヒータの発熱部の位置ずれを防止することができ且つ美観が良好な観賞魚用水槽を提供すること。
【解決手段】水槽1の水槽本体2内に濾過器収容空間6が設けられている。この濾過器収容空間6内に濾過器20が少なくともその下部が水槽本体2内の水40中に浸漬される状態に取り出し可能に収容配置されている。濾過器収容空間6を形成する空間形成壁6Aと濾過器20との間に、両者6A,20間の隙間からなり且つ電気ヒータ61の電源コード部61bが通される第1通路51が形成されている。さらに、第1通路51の一端開口51aが水槽本体2内の水面41よりも下側の位置に水槽本体2の内側に臨んで配置される一方、第1通路51の他端開口51bが水槽本体2内の水面41よりも上側の位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱帯魚や金魚等の観賞魚を飼育する観賞魚用水槽に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭等で用いられる観賞魚用水槽として、水槽本体内の水を濾過するための濾過器がその少なくとも一部が水槽本体内の水中に浸漬された状態にして配置されたものが知られている。この種の観賞魚用水槽では、濾過器の交換や掃除を行えるようにするため濾過器は水槽本体に対して取り出し可能に配置されている。
【0003】
また、水槽本体内には、水槽本体内の水中に配置されて使用される水中装置として、水槽本体内の水を加熱する電気ヒータの発熱部が水槽本体内の水中に浸漬された状態に配置されるが、その際、電気ヒータは次のように水槽本体に取り付けられることが多い。すなわち、特開2002−136243号公報(特許文献1)に開示されているように、電気ヒータの発熱部を水槽本体内の水中の底部近傍に配置するとともに、発熱部から延びた電源コード部を水槽本体の内面に上方向に沿わせて配置し、そしてこの電源コード部に取り付けられた吸盤(キスゴム)を水槽本体の内面に吸着させることで電源コード部の位置を固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−136243号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この取付け方法では、電源コード部が水槽本体内に露出しているので、水槽の美観が損なわれるし、更に、長期の使用によって水槽本体の内面や吸盤に付着した苔や汚れによって吸盤が内面から外れ易くなるという難点があった。もし吸盤が外れると、発熱部の位置が所定位置からずれてしまうという問題が発生する。
【0006】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、水槽本体内の水中に配置される水中装置(例:電気ヒータ、空気噴出器、水中ポンプ)の本体部の位置ずれを防止することができ且つ美観が良好な観賞魚用水槽を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の手段を提供する。
【0008】
[1] 水槽本体内に濾過器収容空間が設けられるとともに、前記濾過器収容空間内に濾過器がその少なくとも下部が水槽本体内の水中に浸漬される状態に取り出し可能に収容配置され、
前記水槽本体内の水中に配置される本体部と前記本体部から延びたコード部とを有する水中装置を取付け可能な観賞魚用水槽であって、
前記濾過器収容空間を形成する空間形成壁と前記濾過器との間に、両者間の隙間からなり且つ前記水中装置のコード部が通される第1通路が形成されるとともに、
前記第1通路の一端開口が前記水槽本体内の水面よりも下側の位置に水槽本体の内方に臨んで配置される一方、前記第1通路の他端開口が水槽本体内の水面よりも上側の位置に配置されていることを特徴とする観賞魚用水槽。
【0009】
[2] 前記濾過器収容空間は、前記水槽本体内の後部側に設けられており、
前記第1通路の一端開口が前記濾過器の前面の下部に設けられた切欠き部から形成されるとともに、前記水槽本体の正面視において前記第1通路がその一端開口を除いて前記濾過器の前面で隠蔽されている前項1記載の観賞魚用水槽。
【0010】
[3] 前記空間形成壁の少なくとも一部は、前記水槽本体内の後板から構成されており、
前記水槽本体の後部側には、前記後板の後側に配置され且つ後板の後外面を覆う後カバー体が取り付けられるとともに、
前記後板と前記後カバー体との間に、両者間の隙間からなり且つ前記第1通路の他端開口から出されたコード部が通される第2通路が形成されている前項2記載の観賞魚用水槽。
【0011】
[4] 前記水中装置は、電気ヒータ、空気噴出器及び水循環ポンプからなる群から選択される少なくとも1つである前項1〜3のいずれかに記載の観賞魚用水槽。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以下の効果を奏する。
【0013】
上記[1]記載の観賞魚用水槽では、水槽本体内に濾過器収容空間が設けられるとともに、濾過器収容空間内に濾過器がその少なくとも下部が水槽本体内の水中に浸漬される状態に収容配置されるので、水槽本体内の水を濾過器によって濾過することができるし、更に、この濾過器は、濾過器収容空間内に取り出し可能に収容配置されるので、濾過器の交換や掃除を行う際には濾過器を濾過器収容空間内から取り出すことができる。
【0014】
さらに、濾過器収容空間を形成する空間形成壁と濾過器との間に、両者間の隙間からなり且つ水中装置のコード部が通される第1通路が形成されるとともに、第1通路の一端開口が水槽本体内の水面よりも下側の位置に水槽本体の内方に臨んで形成される一方、第1通路の他端開口が水槽本体内の水面よりも上側の位置に形成されているので、次の効果を奏する。
【0015】
すなわち、水中装置の本体部を水槽本体内の水中に配置し、この本体部から延びたコード部を第1通路の一端開口から導入して第1通路に通すとともにその他端開口からコード部を出することにより、コード部の位置を固定することができ、これにより、水槽本体内における水中装置の本体部の位置ずれを防止することができる。
【0016】
しかも、コード部が通される第1通路は空間形成壁と濾過器との間の隙間からなるので、コード部の第1通路への通し作業を行う場合には、まず濾過器収容空間内から濾過器を取り出し、次いで濾過器収容空間内における第1通路に対応する部分にコード部を沿わせて配置し、そして濾過器を濾過器収容空間内に収容すれば、コード部が第1通路に通されることになる。そのため、コード部の第1通路への通し作業を容易に行うことができる。
【0017】
その上、第1通路は空間形成壁と濾過器との間の隙間からなるものであり、更に、第1通路の一端開口が水槽本体内の水面よりも下側の位置に配置されているので、この第1通路にコード部を通すことにより、コード部が外部から見えにくくなり、これにより、水槽の美観を従来のものよりも向上させることができる。
【0018】
上記[2]記載の観賞魚用水槽では、濾過器収容空間が水槽本体内の後部側に設けられているので、水槽本体の内部を水槽本体の前側からだけではなく更に左右両側からも鑑賞することができる。
【0019】
さらに、第1通路の一端開口が濾過器の前面の下部に設けられた切欠き部から形成されるとともに、水槽本体の正面視において第1通路がその一端開口を除いて濾過器の前面で隠蔽されているので、この第1通路にコード部を通すことにより、コード部が更に見えにくくなる。これにより、水槽の美観を更に向上させることができる。
【0020】
上記[3]記載の観賞魚用水槽では、水槽本体の後板と後カバー体との間に、両者間の隙間からなり且つ第1通路の他端開口から出されたコード部が通される第2通路が形成されているので、この第2通路に第1通路の他端開口から出されたコード部を通すことにより、水槽をその後側から見てもコード部が後カバー体で隠蔽され、これにより水槽の美観をより一層向上させることができる。
【0021】
上記[4]記載の観賞魚用水槽では、水中装置として、電気ヒータや空気噴出器や水循環ポンプについてその本体部の位置ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る観賞魚用水槽の一部切欠き斜視図である。
【図2】図2は、同水槽の後面図である。
【図3】図3は、同水槽の分解斜視図である。
【図4】図4は、同水槽の濾過器における第1通路側の端部を後側から見た斜視図である。
【図5】図5は、同水槽の水槽本体の濾過器収容空間内に濾過器を収容配置した状態の一部切欠き斜視図である。
【図6】図6は、同水槽の水槽本体内に更に水受け板を配置した状態の斜視図である。
【図7】図7は、同水槽の正面断面図である。
【図8】図8は、図7中のX−X線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0024】
図1〜8は、本発明の一実施形態に係る観賞魚用水槽を説明するための図である。
【0025】
本実施形態の観賞魚用水槽1は、図3に示すように、水槽本体2、水槽本体2用の蓋体30、水受け板10、濾過器20などを具備している。ここで、図7及び8は、それぞれ観賞魚用水槽1の正面断面図及び図7中のX−X線断面図であるが、これらの図には、説明の便宜上、水受け板10は図示省略されている。
【0026】
図3において、60は、水槽本体2に取り付けられる水中装置である。本実施形態では、水中装置60は、水槽本体2内の水40を加熱する電気ヒータ61である。この電気ヒータ61は、棒状発熱部61a(水中装置60の「本体部」に相当)と、該発熱部61aの端部から延びるとともに発熱部61aに動作用電力を導入する電源コード部61b(水中装置60の「コード部」に相当)とを有している。この電気ヒータ61の水槽本体2への取り付け構造及び方法については後述する。
【0027】
図1及び3に示すように、水槽本体2は、前板3、左板4、右板4、後板5及び底板7を有する上方が開口した四角箱状のものである。これら前板3、左右各板4、4、後板5及び底板7は、水槽本体2内の水40が水槽本体2の外側へ漏出しないように水40を遮蔽するものである。前板3と左右各板4、4はそれぞれ透明のプラスチック又はガラス製である。後板5は透明又は不透明のプラスチック製である。また、底板7上には底砂7aが敷設されている(図7参照)。
【0028】
さらに、この水槽本体2では、図3に示すように、後板5の上板部5aはその下板部5bよりも後側に配置されるとともに、上板部5aと下板部5bとが水平状の段板部5cを介して互いに一体に連結されており、そのため後板5の上板部5aと下板部5bとの間に段差が生じている。これにより、水槽本体2内における後板5の上部(即ち水槽本体2内の後部側)に、段板部5cよりも上側の段差空間からなる濾過器収容空間6が水槽本体2の内向きに開いて形成されている。さらに、この濾過器収容空間6を形成する空間形成壁6Aにおける後壁及び下壁は、それぞれ後板5の上板部5a及び段板部5cから構成されるとともに、空間形成壁6Aにおける左右各壁は左右各板4、4の後端部から構成されている。さらに、この濾過器収容空間6の少なくとも下部は、水槽本体2内における水面41よりも下側に配置されており、本実施形態では濾過器収容空間6の下部だけが水槽本体2内の水面41よりも下側に配置される一方、濾過器収容空間6の上部は水面41よりも上側に配置されている。
【0029】
濾過器20は、水槽本体2内の水40を濾過するものであり、該濾過器20の少なくとも下部が水槽本体2内の水40中に浸漬される状態に配置されて使用される板状のものである。濾過器20のプラスチック製ケーシング21の内部には濾過材及び水循環水中ポンプ(いずれも図示せず)が収納配置されている。なお本発明では、水循環ポンプはケーシング21の内部に必ずしも収容されていることを要せず、例えばケーシング21に付設されていても良い。そして、図3及び5に示すように、この濾過器20が上記濾過器収容空間6内に上方から取り外し可能に縦置きに収容配置されている。この収容状態において、濾過器20は水槽本体2の後板5の段板部5c上に載置されることで、濾過器20の下部だけが水槽本体2内の水中に浸漬された状態に配置されるとともに、濾過器20の上部は水槽本体2内の水面41よりも上側に配置されている(図7及び8参照)。さらに、濾過器20のケーシング21の前面20a(即ち水槽本体2の内方に向いた面)は、後板5の下板部5bの内面に対して上下方向に略面一(つらいち)に連なっている。
【0030】
さらに、この濾過器20のケーシング21の前面20aの下部には、図3及び5に示すように、該ケーシング21内の水循環ポンプの吸引力によって水槽本体2内の水40をケーシング21内に吸い込む際に水40が通過する複数のスリット状吸い込み口24が設けられている。この吸い込み口24から吸い込まれた水は、水循環ポンプの動力によってケーシング21内の濾過材を通過することで濾過されて濾過水40aとなるとともに、この濾過水40aがケーシング21の前面20aの上端部に形成された幅広の吐出口25から水槽本体2内において前向きに吐出される。吐出口25の幅寸法は、水槽本体2の左右両板4、4間の幅寸法と略同寸に設定されている。
【0031】
また、図2及び8に示すように、水槽本体2の後板5(詳述すると後板5の上板部5a及び下板部5b)に対して後側に離間した位置には、後板5の後外面を覆う後カバー体8が配置されるとともに、この後カバー体8の左右各端部が水槽本体2の左右各板4、4の後端部に分離可能に固定され、更に、この後カバー体8の左右各端部の上縁部が水槽本体2の左右各板4、4の後端部の上縁部に分離可能に固定されている。これにより、後カバー体8が水槽本体2の後部側に取り外し可能に取り付けられるとともに、後板5と後カバー体8との間に両者5、8間の隙間からなる後述する第2通路55が上下方向に延びて形成されている。
【0032】
ここで、濾過器20は、図3に示すように濾過器収容空間6内に上方から収容される際に、濾過器20の左右両端部が後カバー体8の左右各端部の上縁部に設けられた前後一対の保持片8a、8a間にスライド挿入されることによって、濾過器20が濾過器収容空間6内から脱落しないように保持されている。
【0033】
さらに、こうして濾過器20が濾過器収容空間6内に収容配置された状態において、濾過器収容空間6を形成する空間形成壁6Aと濾過器20との間には、両者6A、20間の隙間からなる第1通路51が上下方向に延びて形成されるとともに、この第1通路51に電気ヒータ61の電源コード部61bが通されている。電気ヒータ61の発熱部61aは、水槽本体2内の水40中に浸漬状態に配置されており、具体的には水槽本体2内の底砂7a上に配置されている。この点について詳述すると次のとおりである。
【0034】
本実施形態では、第1通路51は、空間形成壁6Aと濾過器20との間の隙間における左右両端部の一端部に形成されており、具体的には左端部に形成されている。詳述すると、図4に示すように、濾過器20のケーシング21の後面20bの左右両端部のうち第1通路51に対応する端部、即ち左端部には、第1通路形成用溝部52が上下方向に延びて設けられている。
【0035】
さらに、この溝部52の下端は前方へ延びて、濾過器20の前面20aの左下端角部に設けられた切欠き部52aと連通している。したがって、この濾過器20を濾過器収容空間6内に収容配置すると、図8に示すように、濾過器収容空間6を形成する空間形成壁6Aと濾過器20との間には、両者6A、20間の隙間としての第1通路形成用溝部52からなる第1通路51が上下方向に延びて形成されるとともに、この第1通路51の一端開口51aが水槽本体2内の水面41よりも下側の位置に水槽本体2の内方に臨んで配置されている。また、第1通路51が濾過器20の後面20bの左端部に設けられた第1通路形成用溝部52からなることから、図7に示すように、水槽本体2の正面視において第1通路51はその一端開口51aを除いて濾過器20の前面20aで隠蔽されている。
【0036】
一方、図4に示すように、第1通路形成用溝部52の上端は、濾過器20の上端部において上向きに開口している。したがって、この濾過器20を濾過器収容空間6内に収容配置すると、図8に示すように、第1通路51の他端開口51bは水槽本体2内の水面41よりも上側の位置に上向きに開いて配置されている。
【0037】
また、図8に示すように、水槽本体2の後板5と後カバー体8との間には、上述したように両者5、8間の隙間からなる第2通路55が上下方向に延びて形成されている。さらに、この第2通路55の上端開口55aが、水槽本体2の後板5の上端と後カバー体8の上端との間に上向きに開いて形成されるとともに、第2通路55の下端開口55bが後カバー体8の下端部に水槽1の後向きに開いて形成されている。
【0038】
電気ヒータ61の発熱部61aは、水槽本体2内の水40中における底砂7a上に配置されており、その電源コード部61bは、第1通路51の一端開口51aから導入されて第1通路51に通されるとともにその他端開口51bから出され、更にこの電源コード部61bが第2通路55の上端開口55aから導入されて第2通路55に通されるとともにその下端開口55bから水槽1の後方へ出されている。
【0039】
なお、本実施形態では、水槽1における第1通路51及び第2通路55は、水槽本体2の正面視において水槽本体2(濾過器20)の左端部側だけでははなく更に右端部側にも同様に形成されている。
【0040】
水受け板10は、光透性を有する無色透明プラスチック製のものであり、図3及び6に示すように、水槽本体2内の水面41に対して上側に離間するとともに水槽本体2の上開口周縁2aよりも若干低い高さ位置に、該水面41の略全面(詳述すると、平面視において水面41の全面積に対して80%以上(好ましくは90%以上)を覆う状態に略水平に配置されている。
【0041】
この水受け板10は、その上面11上に供給された水40を略水平方向に受け流して水槽本体2内へすだれ状乃至膜状に落下させるものである。本実施形態では、図1及び6に示すように、水受け板10は、その上面11上に供給される水40として、濾過器20の吐出口25から吐出された濾過水40aを、水受け板10の上面11上における水槽本体2の後部側から前部側へ受け流して水受け板10の前端縁19から水槽本体2内の水面41の前部上へ膜状に落下させるものである。なお、水受け板10の前端縁19と水槽本体2の前板3との間には隙間が水平方向に生じている。
【0042】
また、図3及び6に示すように、水受け板10の左右両端縁には左右一対の立ち上がり状の側板部15a、15aが該水受け板10の前後方向に連続して一体形成されている。また、水受け板10の後端縁には後板部15bが左右方向に連続して立ち上がり状に一体形成されている。さらに、左右各側板部15aの上端部の前部及び後部には、それぞれ外側方突出状の係止片16、16が一体形成されている。そして、図6に示すように、これらの係止片16が水槽本体2の左右各板4、4の上縁部及び後カバー体8の左右各端部の上縁部に上方から係脱可能に係止されており、これにより、水受け板10が水槽本体2内の所定高さ位置に取外し可能に配置されている。
【0043】
さらに、図3及び6に示すように、水受け板10の上面11には溝部13が水受け板10の後端部から前端縁19まで連続して形成されている。そして、この水受け板10の上面11上の溝部13内に濾過器20の吐出口25から吐出された濾過水40aが供給されて、この濾過水40aが溝部13内を流れて水受け板10の前端縁19から水槽本体2内の水面41の前部上へ膜状に落下する。
【0044】
蓋体30は、プラスチック製のものであり、水受け板10に対して上側に離間した高さ位置であって更には水槽本体2の上開口周縁2aよりも上側の高さ位置に(図8参照)、水槽本体2の後部側から前部側へ水槽本体2の上開口部を概ね覆うように軒(のき)状に延びて配置されている。この状態において、蓋体30と水槽本体2との間には上下方向に第1隙間71が生じている。さらに、水槽1の平面視において、蓋体30の外周縁の前縁部30aが水槽本体2の上開口周縁2aにおける前縁部2bよりも内側に配置されており、これにより、蓋体30の外周縁の前縁部30aと水槽本体2の上開口周縁2aの前縁部2bとの間に、第2隙間72が水平方向に生じている。
【0045】
さらに、この蓋体30は、水槽本体2の後部(詳述すると後カバー体8)の上端部に分離可能に取り付けられている。
【0046】
また、図8に示すように、この蓋体30の内部(即ち、水受け板10に対して上側に離間した位置)には、水槽本体2の内側に向けて照明をする照明具31が配置されている。この照明具31は、詳述すると照明光源として複数のLEDを有するもの、即ちLED照明具であり、図1に示すように蓋体30の上面に設けられた円盤状の調光操作ダイヤル33を手で回転させることでその光量(明るさ)を調整しうるように構成されている。なお、34は、ダイヤル33を操作することで調光された照明具31の調光状態を表示する表示部である。また図8において32は、照明具31についての防滴用透光板である。
【0047】
本実施形態の観賞魚用水槽1では、図5及び6に示すように、水槽本体2内の水40は、水槽本体2内の後部側から濾過器20(ケーシング21)内の水循環ポンプの吸引力によって吸い込み口24を介して濾過器20内部に吸い込まれる。吸い込まれた水40は、濾過器20内の濾過材を通過することで濾過されて清浄な水、即ち濾過水40aとなる。そして、この濾過水40aは水循環ポンプの動力によって濾過器20の吐出口25から吐出されて、水受け板10の上面11上における水槽本体2の後部側に供給される。供給された濾過水40aは、水受け板10の上面11における溝部13内の底面で受けられてから該溝部13内を前部側へ流れる。そして、溝部13内を流れる濾過水40aが水受け板10の前端縁19から膜状に水槽本体2内の水面41の前部上へ落下する。落下した濾過水40aは、水槽本体2内の水40と混ざりながら濾過器20内の水循環ポンプの吸引力によって水槽本体2内の後部側へ吸い寄せられて再度、濾過器20内に吸い込まれる。このように水槽本体2内の水40は循環する。
【0048】
而して、本実施形態の観賞魚用水槽1は次のような利点がある。
【0049】
図3に示すように、水槽本体2内に濾過器収容空間6が設けられるとともに、図5に示すようにこの濾過器収容空間6内に濾過器20がその下部が水槽本体2内の水40中に浸漬される状態に収容配置されるので、水槽本体2内の水40を濾過器20によって濾過することができる。しかも、この濾過器20は、濾過器収容空間6内に取り出し可能に収容配置されるので、濾過器20の交換や掃除を行う際には濾過器20を濾過器収容空間6内から取り出すことができる。
【0050】
さらに、図7及び8に示すように、濾過器収容空間6を形成する空間形成壁6Aと濾過器20との間に、両者6A、20間の隙間(第1通路形成用溝部52)からなり且つ電気ヒータ61の電源コード部61bが通される第1通路51が形成されるとともに、第1通路51の一端開口51aが水槽本体2内の水面41よりも下側の位置に水槽本体2の内方に臨んで形成される一方、第1通路51の他端開口51bが水槽本体2内の水面41よりも上側の位置に形成されているので、次の効果を奏する。
【0051】
すなわち、電気ヒータ61の発熱部61aを水槽本体2内の水40中における底砂7a上に配置し、この発熱部61aから延びた電源コード部61bを第1通路51の一端開口51aから導入して第1通路51に通すとともにその他端開口51bから電源コード部61bを出することにより、電源コード部61bの位置を固定することができ、これにより、水槽本体2内における電気ヒータ61の発熱部61aの位置ずれを防止することができる。
【0052】
しかも、第1通路51が空間形成壁6Aと濾過器20との間の隙間(第1通路形成用溝部52)からなるので、電源コード部61bの第1通路51への通し作業を行う場合には、図3に示すように、まず濾過器収容空間6内から濾過器20を取り出し、次いで濾過器収容空間6内における第1通路51に対応する部分に電源コード部61bを沿わせて配置し、そして濾過器20を濾過器収容空間6内に収容すれば、電源コード部61bが第1通路51に通されることになる。そのため、電源コード部61bの第1通路51への通し作業を容易に行うことができる。
【0053】
その上、第1通路51は空間形成壁6Aと濾過器20との間の隙間(第1通路形成用溝部52)からなるものであり、更に、第1通路51の一端開口51aが水槽本体2内の水面41よりも下側の位置に配置されているので、この第1通路51に電源コード部61bを通すことにより、電源コード部61bが外部から見えにくくなり、これにより、水槽1の美観を従来のものよりも向上させることができる。
【0054】
さらに、濾過器収容空間6が水槽本体2内の後部側に設けられているので、水槽本体2の内部を水槽本体2の前側からだけではなく更に左右両側からも鑑賞することができる。
【0055】
さらに、第1通路51の一端開口51aが濾過器20の前面20aの左下端角部に設けられた切欠き部52aから形成されるとともに、水槽本体2の正面視において第1通路51がその一端開口51aを除いて濾過器20の前面20aで隠蔽されているので、図7に示すように、この第1通路51に電源コード部61bを通すことにより、電源コード部61bが更に見えにくくなる。これにより、水槽1の美観を更に向上させることができる。
【0056】
さらに、図8に示すように、水槽本体2の後板5と後カバー体8との間に、両者5、8間の隙間からなり且つ第1通路51の他端開口51bから出された電源コード部61bが通される第2通路55が形成されているので、この第2通路55に第1通路51の他端開口51bから出された電源コード部61bを通すことにより、水槽1をその後側から見ても電源コード部61bが後カバー体8で隠蔽され、これにより水槽1の美観をより一層向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態の水槽1では、水受け板10は、該水受け板10上(即ち水受け板10の上面11上)に供給された水40(濾過水40a)を略水平方向に受け流して水槽本体2内へ落下させるものであるから、水40の空気との接触面積及び接触時間を増加させることができ、もって水40に酸素を確実に取り込ませることができる。
【0058】
さらに、この水受け板10は、水槽本体2内の水面41に対して上側に離間した位置に水槽本体2内の水面41の略全面を覆う状態に配置されているから、この観賞魚用水槽1は従来の水槽にはない新規な構造を有しており、趣向性が高められている。
【0059】
また、水受け板10は、該水受け板10上に供給された水40(濾過水40a)を水槽本体2内へ膜状に落下させるものであるから、水40の空気との接触面積及び接触時間を更に増加させることができ、もって水40に酸素を更に確実に取り込ませることができるし、趣向性を更に高めることができる。
【0060】
また、水受け板10に対して上側に離間した位置に、水槽本体2用の蓋体30が配置されているので、空気中を漂う埃などが水受け板10上に落下してここを流れる水40(濾過水40a)と一緒に水槽本体2内へ流入するのをこの蓋体30によって防止することができる。
【0061】
しかも、この蓋体30は、水受け板10に対して上側に離間した位置に配置されているので、水槽本体2の外側から水受け板10と蓋体30との間の隙間を介して水受け板10上を流れる水40や水受け板10から落下する膜状の水40を見ることができる。これにより、高い趣向性を維持することができる。
【0062】
その上、蓋体30は、水槽本体2の上開口周縁2aよりも高い位置に配置されているので、観賞魚に餌を与える際に、わざわざ蓋体30を水槽本体2から取り外さなくても水槽本体2の上開口周縁2aと蓋体30との間の隙間71から餌を水受け板10上に投入すれば餌が水受け板10上を流れる水40(濾過水40a)と一緒に水槽本体2内に落下するので、観賞魚への給餌を容易に行うことができる。
【0063】
また、水受け板10は光透性を有するものであり、この水受け板10に対して上側に離間した位置(本実施形態では蓋体30の内部)に照明具31が配置されているので、水受け板10の上側から照明具31により水槽本体2の内側に向けて照明をすると、その照明光が水受け板10上を流れる水40及び水受け板10を順次透過する。そのため、水槽本体2内の水40を照明することができるし、更には、水受け板10上を流れる水40によって照明光が揺らぐので、照明効果を向上させることができる。
【0064】
また、水槽本体2内の後部側として、水槽本体2内における後板5の上部に形成された濾過器収容空間6内には、水槽本体2内の水40を水槽本体2の後部側から吸い込んで濾過する濾過器20が配置されており、水受け板10は、該水受け板10上に供給される水40として、濾過器20により濾過された濾過水40aを水受け板10上における水槽本体2の後部側から前部側に受け流して水受け板10の前端縁19から水槽本体2内の水面41の前部上へ落下させるものであるから、上述したように、水槽本体2内の水40は循環するようになる。ここで、水受け板10の前端縁19から落下する濾過水40aの落下位置は水槽本体2内の前部であり、一方、濾過器20により吸い込まれる水槽本体2内の水40の吸い込み位置(即ち濾過器20の吸い込み口24の位置)は水槽本体2内の後端部であるから、落下位置と吸い込み位置との距離は長い。したがって、水槽本体2内に落下した濾過水40aがその落下位置から吸い込み位置に到達するまでの間に、水槽本体2内の水40の略全部が濾過器20により吸い込まれて濾過されることになるため、水槽本体2内の水40に対して効率良く濾過することができるし、更に、水槽本体2内の水40に対して酸素をより一層確実に取り込ませることができる。
【0065】
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々に変更可能である。
【0066】
例えば、本実施形態では、水中装置60は電気ヒータ61であるが、本発明では、水中装置60は電気ヒータ61に限定されるものではなく、その他に例えば、水槽本体2内の水40に酸素を取り込ませるために水40中に空気を気泡状に噴出する空気噴出器であっても良いし、水槽本体2内の水40を循環させるための水循環ポンプであっても良いし、あるいは電気ヒータ61、空気噴出器及び水循環ポンプのうち2つ以上を用いても良い。水中装置60が空気噴出器である場合には、エアストーン等の空気噴出部が水中装置60の本体部に相当し、空気噴出部に空気を送る空気送りチューブが水中装置のコード部に相当する。また、水中装置60が水循環ポンプである場合には、ポンプ本体が水中装置60の本体部に相当し、ポンプ本体に動作用電気を導入する電源コード部が水中装置60のコード部に相当することとになる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は鑑賞魚水槽に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1:観賞魚用水槽
2:水槽本体
5:水槽本体の後板
6:濾過器収容空間
6A:空間形成壁
8:後カバー体
10:水受け板
20:濾過器
20a:濾過器の前面
30:蓋体
40:水槽本体内の水
40a:濾過水
41:水面
51:第1通路
51a:第1通路の一端開口
51b:第1通路の他端開口
52a:切欠き部
55:第2通路
60:水中装置
61:電気ヒータ
61a:発熱部(本体部)
61b:電源コード(コード部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽本体内に濾過器収容空間が設けられるとともに、前記濾過器収容空間内に濾過器がその少なくとも下部が水槽本体内の水中に浸漬される状態に取り出し可能に収容配置され、
前記水槽本体内の水中に配置される本体部と前記本体部から延びたコード部とを有する水中装置を取付け可能な観賞魚用水槽であって、
前記濾過器収容空間を形成する空間形成壁と前記濾過器との間に、両者間の隙間からなり且つ前記水中装置のコード部が通される第1通路が形成されるとともに、
前記第1通路の一端開口が前記水槽本体内の水面よりも下側の位置に水槽本体の内方に臨んで配置される一方、前記第1通路の他端開口が水槽本体内の水面よりも上側の位置に配置されていることを特徴とする観賞魚用水槽。
【請求項2】
前記濾過器収容空間は、前記水槽本体内の後部側に設けられており、
前記第1通路の一端開口が前記濾過器の前面の下部に設けられた切欠き部から形成されるとともに、前記水槽本体の正面視において前記第1通路がその一端開口を除いて前記濾過器の前面で隠蔽されている請求項1記載の観賞魚用水槽。
【請求項3】
前記空間形成壁の少なくとも一部は、前記水槽本体内の後板から構成されており、
前記水槽本体の後部側には、前記後板の後側に配置され且つ後板の後外面を覆う後カバー体が取り付けられるとともに、
前記後板と前記後カバー体との間に、両者間の隙間からなり且つ前記第1通路の他端開口から出されたコード部が通される第2通路が形成されている請求項2記載の観賞魚用水槽。
【請求項4】
前記水中装置は、電気ヒータ、空気噴出器及び水循環ポンプからなる群から選択される少なくとも1つである請求項1〜3のいずれかに記載の観賞魚用水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−187079(P2012−187079A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55450(P2011−55450)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(393022746)ジェックス株式会社 (37)
【Fターム(参考)】