説明

角度感知手段を備えたインパルスレンチ

インパルスレンチにおいて、モータ駆動型慣性駆動部材(14)を備えたインパルスユニット(13)及び慣性駆動部材(14)の角度運動を検出するようにされた運動検出装置(16)が設けられ、運動検出装置(16)が、慣性駆動部材(14)に堅固に固着されかつ慣性駆動部材(14)と共に回転する回転円板(17)と、四つのホール素子(120a〜120d)を備えた感知装置(19)とを有し、回転円板(17)がリム部分(18)を備え、リム部分(18)が駆動部材(14)の回転時にセンサー(120a〜120d)を作動する多数の磁極を形成する磁化され、各対におけるセンサーからの発生信号が180°の位相の相対遅れをもつようにセンサー(120a〜120d)が対に配列され、一方の対のセンサー(120a、120c)が他方の対のセンサー(120b、120d)からのセンサー信号に対して90°の位相の遅れをもって信号を発生するようにされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インパルスユニットがモータ駆動型慣性駆動部材を備え、この駆動部材の角度運動を検出する角度感知装置が設けられるインパルスレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
インパルスレンチに用いられるある形式の角度感知装置はホール素子型センサーを通過する回転素子の磁極の検出に基づいている。この形式の角度感知装置に伴う問題点は、例えばレンチの出力軸に取付けた磁気ビットによって生じた外部磁界により乱され易いことにある。
【0003】
同様な形式のインパルスレンチはWO02/083366に記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、供給された信号が外部磁界によって影響を受けるのを阻止するようにホール素子を配列した磁気作動型ホール素子形式の角度感知装置を備えたインパルスレンチを提供することにある。
【0005】
以下添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態についてさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1に示す動力工具システムは流体力インパルスレンチ10を有し、このインパルスレンチ10はロータ12を備えたモータ11と、モータのロータ12に接続された慣性駆動部材14を含むインパルスユニット13と、出力軸15とを備えている。インパルスレンチ10はさらに、角度運動検出装置16を備え、この角度運動検出装置16は慣性駆動部材14に堅固に固定されかつ慣性駆動部材14と共に回転する円板17を備えている。円板17にはリム部分18が設けられ、このリム部分18は、リム部分18の周囲に沿って等間隔に多数の磁極、例えば32個の正の磁極と32個の負の磁極とを形成するように磁化されている。固定感知装置19はほぼ、円板17の磁化されたリム部分18に配置され、そして円板17の動きに応じて、即ち円板17を通過する磁極に応じて、電気信号を発生するようにされている。
【0007】
感知装置19はコネクタボード20を有し、このコネクタボード20は四つのホール素子センサー120a、120b、120c、120dを支持し、各ホール素子センサーはリム部分18の磁極によって作動された際に正弦波信号を発生する。ホール素子は二つの対120a、120c、及び120b、120dを成して配置され、各対のセンサー120a、120cは、相互に180°づつ位相遅れをもって信号を発生するように配置されている。他の対のホール素子120b、120dは、第1の対のホール素子120a、120cに対して90°の位相遅れで信号を発生する。
【0008】
図3に示す線図には時間tにおける電圧Uとしてセンサー信号曲線を示している。図3に示すように、リム部分18は交互に正及び負の磁極を備え、そして図3に示す各位置において、センサー120aは負の磁極に一致し、その結果正弦波信号の負の最高値を発生する。センサー120cは正の磁極に一致し、正弦波信号の正の最高値を発生する。他の対において、センサー120b、120dは正及び負の磁極間の転移点と一致し、各瞬時にはゼロ値信号を発生する。
【0009】
一方の対の信号が他方の対の信号に対して90°位相が遅れるように一方の対のホール素子を配列することによって、慣性駆動部材14の回転の方向についての情報が得られる。各対においてホール素子信号間に180°の位相遅れを設けることによって、外部妨害磁界の発生に対するある種の保護が得られ、各対におけるホール素子からの信号間の値の差が計算される。
【0010】
ホール素子120a〜120d及びコネクタボード20は回路ボード21に結合され、回路ボード21は上記のようにホール素子によって発生された角度信号を処理し、固定のプログラミング可能な制御ユニット22に多芯ケーブルを介して二次的信号を伝送する多数の電子構成要素(図示していない)を担持している。インパルスレンチにはホース25及び流量調整弁26を介して圧力空気が供給され、流量調整弁26は圧力空気源に連通し、そして動作信号を受ける制御ユニット22に接続されている。流量調整弁26は、制御ユニット22から供給される信号によって決まるゼロ電力流れとフル電力流れとの間の範囲において空気の流れの大きさを巧く調整できる形式のものである。
【0011】
運動検出装置16から発生された信号は、駆動部材14の回転運動に相応し、そして駆動部材14の速度及び減速だけでなく、組込まれたトルクも計算するのに用いられ、回転部品即ち駆動部材14及び接続されたモータのロータの総慣性を知ることにより、エネルギー及び従って各発生されたトルクインパルスの組込まれたトルクの大きさを計算することができる。トルクを計算するこの方法それ自体は、上述のWO02/083366に記載されている。
【0012】
上記のこのトルク決定方法に基づいて、インパルスレンチの動作は、流量調整弁26を介してインパルスレンチモータへの圧力空気供給を制御することによって調節される。設定した目標トルクレベルに達すると、流量調整弁26は、インパルスレンチを完全に止めるか又は各インパルスにおいてさらに減少したトルクの大きさで連続したインパルスの発生を介して組込んだトルクの大きさを維持することによって締付け工程を中断するように空気の供給流れを低減するように指令される。
【0013】
本発明の実施形態は上記の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で自由に変更できることが理解されるべきである。従って、本発明は、慣性駆動部材の回転運動を同様にして即ち特許請求の範囲に記載したように配列した四つのホール素子を介して検出する電動型インパルスレンチにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるインパルスレンチを含む動力工具システムを示す概略図。
【図2】角度運動感知装置を示す、図1のインパルスレンチの拡大部分断面図。
【図3】磁気作動型角度センサーを示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸(15)と、ロータ(12)を備えたモータ(11)と、モータ(11)を出力軸(15)に接続し、モータのロータ(12)に堅固に接続された慣性駆動部材(14)を備えたインパルスユニット(13)と、慣性駆動部材(14)に堅固に固着され、周囲に沿って等間隔に配置された多数の磁極で磁化されたリング要素(17、18)を備えた回転検出装置(16)と、リング要素(17、18)の近くに取付けられ、駆動部材(14)の回転時に上記磁極の通過に応じて電気信号を発生するようにを配列された感知装置(19)とを有するインパルスナットランナーにおいて、
上記感知装置(19)が、各々駆動部材(14)の回転時に正弦波電気信号を発生する四つのホール素子(120a〜120d)を備え、上記ホール素子(120a〜120d)が二対(120a、120c;120b、120d)に配置され、各対におけるホール素子が互いに対して180°の位相の遅れをもってしかも他方の対のホール素子に対して90°の位相の遅れをもって信号を発生するようにされる
ことを特徴とするインパルスナットランナー。
【請求項2】
上記ホール素子(120a〜120d)が印刷コネクタボード(20)上に担持されていることを特徴とする請求項1に記載のインパルスナットランナー。
【請求項3】
ハウジングに装着した回路ボード(21)が上記コネクタボード(20)に接続され、上記感知装置(19)で発生された信号を処理しかつ動作制御ユニット(22)へ供給する多数の電子構成要素を担持していることを特徴とする請求項2に記載のインパルスナットランナー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−512969(P2007−512969A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542528(P2006−542528)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001767
【国際公開番号】WO2005/053908
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(502212604)アトラス・コプコ・ツールス・アクチボラグ (48)
【Fターム(参考)】