説明

角度測定システム

【課題】 角度測定システムを提供する。
【解決手段】 本開示のいくつかの態様は、回転シャフトの角度の位置を測定する技法に関する。詳細に後述するように、本開示のいくつかの角度測定システムは、所定関係(たとえば所定ギア比)に従って協働して異なる速度で回転する少なくとも2つの磁石を有する。固定されていることが多い2つ以上の磁界検知素子が、シャフトの特定の角度の位置に対して種々の位置で結果的な磁界の方向を測定する。磁界検知素子によって測定される方向に基づき、本技法は、360°を上回る可能性がある回転シャフトの絶対角度の位置を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば巨大磁気抵抗(GMR)センサ等の磁気検知装置が、多種多様の応用で使用されている。たとえば、GMRセンサは、回転シャフトの角度位置を検知するのに使用されることが多い。こうした応用では、「ピル(pill)」と呼ばれることがある永久磁石を、ステアリングシャフトの端部に取り付け、その永久磁石の中心をシャフトの回転軸上に置くことができる。通常、1または複数のブリッジを形成するように接続されているGMR素子または抵抗器もまた、回転軸に中心を置くように配置され、GMR抵抗器によって、回転シャフトの角度位置を示す出力信号が結果的に生成される。しかしながら、本発明者らが理解したように、多くの応用において、空間に制限があるため、GMRセンサをシャフトの端部のその回転軸上に取り付けることは非効率的である。たとえば、車両において、ステアリングシャフトの端部には、通常、ナックルアセンブリが取り付けられており、GMRセンサをステアリングシャフトの回転軸上に取り付ける実用的な方法はなく、それはナックルアセンブリがこうした構成を妨げるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、改善された角度検知技法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様は、回転シャフトの角度位置を測定する技法に関する。後により詳細に説明するように、本開示のいくつかの角度測定システムは少なくとも2つの磁石を有しており、それらは協働して、所定の関係(たとえば所定のギア比)に従って異なる速度で回転する。1つまたは複数の角度センサは、固定されており、特定角度のシャフトの位置に対し種々の位置において結果的に得られる磁界の方向(directionality)を測定する。前記複数の角度センサによって測定された磁界の方向に基づき、本技法は、回転シャフトの絶対角度の位置を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】一実施形態による角度測定システムの上面図である。
【図2】図1の角度測定システムの側面図である。
【図3】図1の角度測定システムで使用するのに好適なGMR角度センサの一実施形態を概略的に示すブロック図である。
【図4】一実施形態によるGMR抵抗器の構成を示す概略図である。
【図5】A〜Dは、時間の経過による様々な角度位置のうちの1つにおける角度測定システムを示す。
【図6】絶対角度の位置を導出するために使用される2つの角度センサからの信号を示し、かつ図5A〜図5Dに対応する、サンプル角度計算プロットを示す。
【図7】いくつかの実施形態による方法を示すフローチャートである。
【図8】冗長的な角度センサの一例を示す実施形態である。
【図9】回転体内に磁石以外の追加の構造体が含まれる一例を示す実施形態である。
【図10】冗長的な角度センサを含む一例を示す実施形態である。
【図11】ボタン磁石の上に偏心角度センサを有する一例を示す実施形態である。
【図12】ボタン磁石の上に一対の偏心角度センサを有する一例を示す実施形態である。
【図13】角度センサが、第1回転体および第2回転体の中心を通過するx軸に対して90°オフセットされた一例を示す実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで、請求項に記載された対象について図面を参照して説明する。全体を通じて、同様の参照符号を用いて同様の要素に言及する。以下の記載では、請求項に記載の対象を完全に理解するため、説明を目的として多数の具体的な詳細が述べられている。しかしながら、請求項に記載の対象を、これらの具体的な詳細なしで実施してもよいことは明らかであろう。
【0007】
以下の詳細から理解され得るように、本開示による角度測定技法は、回転シャフトを利用するあらゆる応用において有益となり得る。いくつかの応用では、これら技法を使用して、相対角度および絶対角度の両方を測定することができる。基本的には、相対角度は、1回の360°回転内で測定される角度位置であり、絶対角度は、1回の360°回転を越えることができる角度位置である。たとえば、相対角度位置は、(先の測定から360°回転が何回起こったかは示さない)正確な垂直線に対する45°の回転を測定でき、一方、絶対角度位置は、何らかの固定基準線に対して2回の完全な360°の回転に45°の回転を足したもの(たとえば、固定基準線に対して765°の回転)を示すことができる。
【0008】
図1および図2は、車両のステアリングシャフト等、回転シャフト102の絶対角度を決定する角度測定システム100のそれぞれ上面図および側面図を示す。角度測定システムは、回転シャフト(それぞれ102、108)に結合された第1本体および第2本体(104、106)を有し、シャフトの回転軸(それぞれ110、112)は距離114だけ間隔を空けて配置されている。図示する実施形態では軸110、112は平行であるが、他の実施形態では、たとえばウォームギアの構成のように、互いに対して傾斜することもできることに留意されたい。
【0009】
第1本体および第2本体(104、106)は、それら本体の外周を画定する外側半径(それぞれRO1、RO2)を有し、その本体の外周に沿って歯116が配置されている。外周に沿った歯116の数を、所定のギア比に従って配置することができ、それにより、所定の関係に従って第1本体および第2本体(104、106)のそれらの回転軸(それぞれ110、112)を中心とする回転運動が容易になる。
【0010】
各本体は、その本体の運動に従って回転する磁界を提供するように構成された1または複数の磁石を有している。たとえば、第1本体104は、回転シャフト102に取り付けられた第1磁石118を有し、第1磁石118は、N極120およびS極122を有する永久リング磁石とすることができる。第1磁石118による第1磁界の磁力線は、磁力線124a〜124eによって示すように、N極120からS極122まで延びる。同様に、第2本体106は第2磁石126を有し、それは、N極128およびS極130を有する永久円形または「ボタン」磁石とすることができる。第2磁石126による第2磁界の磁力線は、磁力線132a〜132cによって示すように、N極128からS極130まで延びる。簡単にする目的で、この図では直線状の磁力線のみを示すが、実際の実施態様では磁力線は湾曲または屈曲する場合が多いことは理解されよう。
【0011】
2以上の角度センサ(たとえば第1角度センサ134および第2角度センサ136)が、それぞれ第1磁石118および第2磁石126に対して異なる位置に配置されている。実施形態によっては、第1角度センサ134および第2角度センサ136は、GMR抵抗器領域(それぞれ142、144)を有してプリント回路基板(それぞれ146、148)に取り付けられた第1半導体チップおよび第2半導体チップ(それぞれ138、140)を備えている。
【0012】
図1および図2は、第1磁石118の上に配置された第1角度センサ134を示している。より詳細には、第1角度センサ134は、リング磁石118の表面152に対して平行な平面150に配置されることが多く、それにより、抵抗器領域142は、実質的に、回転シャフト102の回転軸110を通って延びる半径に沿った、リング磁石118の内径(r)と外径(r)との間に中心が置かれる。さらに、抵抗領域142は、内径rおよび外径rの間で等距離であることが多く、それによりリング磁石118の縁部近傍で発生する望ましくない磁界変動を制限するのに役立つ。
【0013】
図1および図2はまた、第2磁石126の上に配置された第2角度センサ136も示している。より詳細には、第2角度センサ136は、ボタン磁石126の表面156に対して平行な平面154に配置されることが多く、それにより、抵抗器領域144は、実質的に、ボタン磁石の回転軸112上に中心が置かれる。平面150、154と表面152、156との間の距離は、実施態様に応じて同じであることも異なることも可能である。
【0014】
通常、第1角度センサ134および第2角度センサ136は、第1磁石118および第2磁石126がそれらの下で回転している間、固定されたままである。このように、第1角度センサ134および第2角度センサ136は、それらのそれぞれの位置で磁界の方向または相対角度を測定し、コントローラ158(たとえばマイクロコントローラ)に相対角度情報を提供する。そして、コントローラ158は、第1角度センサ134および第2角度センサ136からの相対角度に基づいて、回転シャフト102の絶対角度を決定することができる。シャフトの絶対角度に従うそれぞれの度合いは、第1角度センサおよび第2角度センサに対する種々の測定値の組合せに対応するため、ギア比が柔軟であると、シャフトの絶対角度に無限の可能性が与えられる。
【0015】
適切な機能性を促進するために、リング磁石118(およびシャフト102)に対する完全な回転の数Tを、以下の式(1)によって表わすことができる。
【数1】


ここで、Aは、シャフト102が回転する絶対角度であり、a=360°(どの旋回に対しても最大限のシャフトの回転を前提とする)である。
【0016】
設計者は、整数iを選択し、以下の式(2)に従ってリング磁石118のボタン磁石126に対する寸法比zを計算することができる。
【数2】

【0017】
ボタン磁石126に対する完全な回転の数を、以下の式(3)によって決定することができる。
【数3】

【0018】
完全な回転の数が少ないほど、リング磁石118の角度を測定する角度センサ134に要求される精度は低い。リング磁石に対するいかなる相対角度もボタン磁石に対する繰返し相対角度で分離する度数は、以下の式(4)によって表わされる。
【数4】

【0019】
したがって、リング磁石に対する相対角度測定値は、ボタン磁石に対する相対角度測定値の誤差によって定義されるシステム精度を達成するには、
【数5】


でなければならない。明確にするために、本明細書では、A=1440°およびi=2のさらに詳細な実施例を示して説明する。たとえば、図5、図6及び関連する本文を参照されたい。
【0020】
図3は、GMR角度センサ300(たとえば図1の角度センサ134および/または136)の一実施形態を概略的に示すブロック図である。図示するように、GMR角度センサ300は、GMR抵抗器領域302に加えて、コントローラ304およびメモリ306をさらに有することができ、メモリ306は複数のGMRパラメータ(たとえば較正パラメータ)に対する値を格納する。GMR角度センサ300は、供給電圧(VDD)ピン310、接地ピン312およびデータI/Oピン314等、複数のピン308をさらに有している。
【0021】
図4は、一実施形態によるGMR抵抗器領域400(たとえば図3のGMR抵抗器領域302)を概略的に示す略図である。図示するように、GMR抵抗器領域400は、一対のGMRセンサブリッジ402および404を有し、センサブリッジ402は4つのGMR抵抗器406a〜406dによって形成され、センサブリッジ404は4つのGMR抵抗器408a〜408dによって形成されている。図4のブリッジの実施態様によれば、GMRセンサブリッジ402および404は、互いに対して直交して配置され、410の破線で示す磁界のような、回転磁界のx成分およびy成分を検知するようにそれぞれ構成されている。
【0022】
供給電圧VDDは、ピン310を介して端子412に印加され、端子414および416において、GMRセンサブリッジ402の電圧信号V+およびV−が測定され、端子418および420において、GMRセンサブリッジ404の電圧信号V+およびV−が測定される。磁界410等の外部磁界に応答して、GMR抵抗器406a〜406dおよび408a〜408dのうちの1または複数が、それらの電気抵抗を変化させ、それにより、端子414および416における電圧信号V+およびV−と、端子418および420における電圧信号V+およびV−とが変化し、それらは、基準ベクトル(たとえば0度)に対する磁界410の角度位置を表す。
【0023】
ここで図5A〜図5Dならびに図6を参照すると、2つの角度センサ134、136を使用して、回転シャフト102の絶対角度の位置を決定する方法のさらに詳細な実施例が見られる。
【0024】
要約すると、これらの図は、回転シャフト102が旋回すると、第1本体104および第2本体106の外周に沿った歯が噛合し、それにより第1本体104および第2本体106を互いに異なる角度距離だけ移動させることを示している。回転の終端点間からの移動において、第1本体104は、完全な4回転、あるはい、1440°の絶対角度にわたって回転する。第2本体は、それに対応して、完全な9回転、あるいは、3240°の絶対角度にわたって回転する。しかしながら、第1角度センサ134および第2角度センサ136は、360°未満の相対角度しか測定しないため、コントローラ(たとえば図1のコントローラ158)は、これら2つの相対角度を相関させて、0°〜1440°となり得るシャフト102の絶対角度を決定する必要がある。
【0025】
以下、さらに詳細に理解されるように、シャフト102が複数の旋回によって回転すると、第1角度センサ134および第2角度センサ136は、表1に示すように、360°未満の相対角度を測定する。単一の角度センサは、シャフトの、複数の異なる絶対角度について、同じ相対角度を出力する場合があっても、第1角度センサ134および第2角度センサ136によって測定される相対角度の組合せは、シャフト102の各絶対角度に対して異なる。したがって、コントローラは、所与の時点におけるシャフトの絶対角度を、その所与の時点における第1角度センサおよび第2角度センサによって測定される相対角度の組合せに基づいて決定することができる。この機能性を容易化するために、コントローラは、一意的に対応する絶対角度とともに、予想される複数対の相対角度の表を有することが多く、それにより、コントローラは、2つの角度センサ測定値からシャフトの絶対角度を決定することができる。
【0026】
【表1】

【0027】
上述したように、図5A〜図5Dおよび図6の実施形態は、上記式(1)〜(4)においてA=1440°およびi=2に対応する。これは、シャフト102が1440°の絶対角度にわたって回転し、リング磁石およびボタン磁石の寸法比が2.25であり得ることを意味する。例示の目的で、第1本体104および第2本体106の0°相対角度をx軸502に沿うものとして定義し、90度の相対角度がy軸504に沿うものとして定義して図5A〜図5Dおよび図6の実施例を後述する。しかしながら、これらの相対角度の位置は幾分か任意であり、他の実施形態では、他の相対角度の位置を割り当てることも可能であることが理解されよう。
【0028】
図5Aは、シャフト102の1つの端点に対応し、そこで第1角度センサ134は、第1角度センサ134における磁界がx軸502に沿うという事実により、略0°の相対角度を測定する。第2角度センサ136も、略0°の相対角度を測定する。図6(「図5A」と付された点)も参照されたい。第1角度センサおよび第2角度センサに対する特定の0°、0°の相対角度の対を調べることにより、コントローラは、シャフトがこの時点で0°の絶対角度にあることを識別する。
【0029】
図5Bにおいて、第1角度センサ134は、約320°の相対角度を測定し、第2角度センサは約0°の相対角度を測定する。図6に示すように、図5Aから図5Bに進む際に、第2角度センサ136は、第2(小さい方の)本体106に対して360°の完全な回転を2回測定している。しかしながら、第1角度センサ134は、第1本体104に対して完全な1回転より少ない回転(すなわち320°)を測定している。再度、第1角度センサおよび第2角度センサに対する特定の0°、320°の相対角度の対を調べることにより、コントローラは、この時点でシャフトが320°の絶対角度にあることを識別する。
【0030】
図5Cにおいて、第1角度センサ134は280°の相対角度を測定し、第2角度センサ136は0°の相対角度を測定する。したがって、図6に示すように、図5Bから図5Cに進む際に、第2本体106は、360°の完全な回転をもう2回行い、第2本体106に対する1440°の絶対角度となる。第1本体104(したがって回転シャフト102)は、依然として第2本体106より低速に回転しており、ここでは640°の絶対角度にわたって回転している。もう一度、第1角度センサおよび第2角度センサに対する特定の0°、280°の相対角度の対を調べることにより、コントローラは、シャフトがこの時点で640°の絶対角度にあることを識別する。
【0031】
シャフト102に対する第2の端点に対応する図5Dにおいて、第1角度センサは、この時240°を測定し、第2角度センサは0°を測定する。図6に示すように、図5Cから図5Dに進む際に、第2本体106は、360°の完全な回転をもう2回行っており、第2本体に対する2160°の絶対角度となる。依然として第2本体106より低速に回転している第1本体104(したがってシャフト102)は、この時、960°の絶対角度にわたって回転している。もう一度、第1角度センサおよび第2角度センサに対する特定の0°、240°の相対角度の対を調べることにより、コントローラは、この時点でシャフトが960°の絶対角度にあることを識別する。
【0032】
さらに、この例では、コントローラが決定する絶対角度に影響を与えることなく、およそ±20°のリング磁石に対する相対角度測定値誤差が許容可能であることを留意すべきである。これは、上記式(4)を用いると分かる。シャフト102に対する絶対角度を達成するために要求されるボタン磁石の回転が小さいようにシステムが設計されている場合、リング磁石の角度センサに必要な精度は低くなる。
【0033】
図7を参照すると、いくつかの実施形態による方法700を見ることができる。本明細書に記載する方法を、一連の作用または事象として図示して説明しているが、本発明は、こうした作用または事象の図示する順序に限定されないことが理解されよう。たとえば、本発明に従い、いくつかの作用は、本明細書に図示、及び/又は、説明したものと別の作用または事象と異なる順序で、及び/又は、同時に発生してもよい。さらに、本発明による方法を実施するために、図示する作用または事象のすべてが要求されるわけではない。
【0034】
方法700は702で開始し、第1位置において磁界の方向を測定する。第1位置は、第1磁石が回転する中心となる第1軸に対して固定されていることが多い。たとえば、図1の実施形態では、第1位置は第1角度センサ134の位置に対応することができ、第1軸は、第1磁石118が回転する中心となる第1軸110に対応することができる。
【0035】
704において、方法700は、第2位置における磁界の方向を測定する。第2位置は、第2磁石が回転する中心となる第2軸に対して固定されていることが多い。たとえば、図1の実施形態では、第2位置は、第2角度センサ136の位置に対応することができ、第2軸は、第2磁石126が回転する中心となる第2軸112に対応することができる。
【0036】
706において、方法700は、第1位置および第2位置における磁界の方向を分析することにより、シャフトの絶対角度の位置を決定する。第1磁石および第2磁石は、第1位置および第2位置における磁界方向が所定関係に従って変化するように協働して移動するように配置されることが多く、それにより、第1位置および第2位置における種々の磁界方向は回転シャフトの固有の絶対角度に対応する。
【0037】
様々な実施形態について上述したが、これら実施形態の変形もまた、本開示の範囲内に収まるものと考えられる。たとえば、第1磁石および第2磁石を、先の図では、(図1に示したように)シャフト102から第1本体および第2本体の外径まで連続して延びているものとして示したが、他の構成も可能である。図8は、シャフト102とリング磁石118との間にハウジングまたはマニホルド902が配置されるこうした1つの実施形態を示す。ハウジングまたはマニホルド902を、リング磁石118の外径とその周囲の歯116との間に配置することも、同様に、ボタン磁石126とその周囲の歯116との間に配置することも可能である。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1磁石118および第2磁石126を、射出成形技法を用いて製造することができ、その場合、ゴムまたはプラスチック材料が磁化可能材料とともに含有される。ハウジングまたはマニホルド902を使用した、他の実施形態では、磁石118、126を、他の方法(たとえば締結具または接着剤)でシャフト102に結合することができる。
【0039】
第2角度センサ136を、少なくとも実質的に第2(ボタン)磁石126の回転軸に中心を置くものとして図示して説明したが、他の実施形態(図9)では、第2角度センサ136を、第2ボタン磁石の回転軸から距離904だけ間隔を空けて配置することができる。
【0040】
さらに、先に図示した実施形態は、各磁石の上に1つの角度センサしか示していないが、この開示による角度検知システムにおいて追加の(冗長的な)角度センサをさまざまな方法で散在させることも可能である。したがって、図10は、2つの角度センサ1002、1004が第1磁石118の上に配置されている1つの実施形態を示す。これら角度センサ1002、1004は互いに180°間隔が空けられているが、他の実施形態によっては、N個の角度センサを、互いにN/360°で等間隔に空けて配置することができる。ここでNは冗長的な角度センサの整数の数である。さらに、N個の角度センサを、互いに角度距離を不等間隔に空けて配置することも可能である。
【0041】
冗長的な角度センサは、存在する場合、第1磁石118の上の単一平面(たとえば図2の平面150)に配置することができる場合が多い。しかしながら、これらおよび他の実施態様において、冗長的な角度センサを、第2磁石126の上で互いに「積み重ねる」ことも可能である。いずれの配置を使用しても、冗長的な角度センサは、長期間の信頼性の高い角度検知を容易にするのに役立てることができる。
【0042】
図11は、第1(リング)磁石118の上に冗長的なセンサが配置され、第2(ボタン)磁石126の上に偏心角度センサ1102が配置される別の実施形態を示す。
【0043】
図12は、第2(ボタン)磁石126の上に一対の冗長的な偏心角度センサ1202、1204が配置される別の実施形態を示す。
【0044】
いくつかの態様では、簡略化してもよいが、磁石が直径方向に対向した位置に配置される必要はないことを留意されたい。したがって、図13は、第1磁石118の上の角度センサ1302が、第1本体および第2本体の中心を通過するx軸1304に対して90°の角度に配置されている実施例を示す。
【0045】
さらに、図示する実施形態は、2つの回転体(たとえば、図1の第1本体104および第2本体106)のみを示すが、図示しない実施形態によっては、3以上の本体が使用される。たとえば、より複雑なギア機構を使用して磁石の所望の回転運動を容易にすることができ、その場合、ギアシステムは3、4、5またはそれより多くの本体を有し、それらの各々の周上には歯を配置することができる。これらのギアシステムに対して2以上の角度センサを配置することにより、回転シャフトの角度位置の正確な検出を可能にすることができる。
【0046】
当業者が理解するように、会社が異なると1つの構成要素を異なる名称で呼ぶ場合がある。この文書は、本明細書において名称は異なるが機能は異ならない構成要素を識別するようには意図していない。この文書において、「含む、有する(including)」および「具備する、備える、有する(comprising)」という用語は、非限定的に使用され、したがって「含む、ただし限定されない」と意味するように解釈されるべきである。また、「結合する」という用語(およびその変形)は、間接的な接続または直接的な接続のいずれをも意味するように意図されている。したがって、第1要素が第2要素に結合される場合、その接続は、直接的な接続であってもよく、または他の要素および接続を介する間接的な接続であってもよい。本明細書において種々の大体の数値を提供しているが、これらの数値は単なる例示にすぎず、本開示の範囲を限定するように使用されるべきではない。
【0047】
また、本開示は、1または複数の実施態様に対して示され説明されているが、本明細書および添付図の解釈及び理解に基づいて、当業者には等価な改変および変更に気付くであろう。本開示は、こうした変更および改変をすべて包含し、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。特に、上述した構成要素(たとえば要素および/または資源)によって実行される様々な機能に関して、こうした構成要素を説明するために用いる用語は、特に示さない限り、本明細書で示す例示的な実施態様において機能を実行する開示した構造と構造的に等価でなくても、所望の(たとえば機能的に等価な)構成要素の指定された機能を実行する任意の構成要素に対応するように意図されている。さらに、本開示の特定の特徴は、いくつかの実施態様のうちの1つのみに関して開示している場合もあるが、こうした特徴は、任意の所与のまたは特定の用途に対して望まれかつ有利となり得るように、他の実施態様の1または複数の他の特徴と組み合わせることができる。さらに、本願および添付の特許請求の範囲において使用する冠詞「1つの(a、an)」は、「1つまたは複数の」を意味するように解釈されるべきである。
【0048】
さらに、「含む(includes)」、「有する(having、has)」、「備えた(with)」と言う用語またはそれらの変形は、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される範囲で、「具備する、備える(comprising)」という用語と同様に包括的であるように意図されている。
【符号の説明】
【0049】
100 角度測定システム
102 回転シャフト
104 第1本体
106 第2本体
108 回転シャフト
110 回転軸
112 回転軸
116 歯
118 第1磁石(リング磁石)
120 N極
122 S極
124a〜124e 磁力線
126 第2磁石(ボタン磁石)
128 N極
130 S極
132a〜132c 磁力線
134 第1角度センサ
136 第2角度センサ
138 第1半導体チップ
140 第2半導体チップ
142 GMR抵抗器領域
144 GMR抵抗器領域
146 プリント回路基板
148 プリント回路基板
150 平面
152 表面
154 平面
156 表面
158 コントローラ
300 GMR角度センサ
302 GMR抵抗器領域
304 コントローラ
306 メモリ
308 ピン
310 供給電圧ピン
312 接地ピン
314 データI/Oピン
400 GMR抵抗器領域
402 GMRセンサブリッジ
404 GMRセンサブリッジ
406a〜406d GMR抵抗器
408a〜408d GMR抵抗器
410 磁界
412 端子
414 端子
416 端子
418 端子
420 端子
502 x軸
504 y軸
700 方法
902 ハウジングまたはマニホルド
1002 角度センサ
1004 角度センサ
1102 偏心角度センサ
1202 偏心角度センサ
1204 偏心角度センサ
1302 角度センサ
1304 x軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの角度の位置を決定する角度測定システムであって、
所定の関係に従って種々の角度距離にわたり協働して回転するように構成された第1磁石および第2磁石であって、前記第1磁石が前記シャフトに結合され、そのシャフトとともに回転する、第1磁石および第2磁石と、
異なる位置に配置され、かつ前記第1磁石および前記第2磁石によって磁界方向を測定するように構成された第1角度センサおよび第2角度センサと、
前記第1角度センサおよび前記第2角度センサによって測定される前記磁界方向に基づいて、前記シャフトの前記角度の位置を決定するように構成されたコントローラと、
を具備する角度測定システム。
【請求項2】
前記シャフトが、360度を上回る絶対角度にわたって回転するように構成され、前記コントローラが、前記第1角度センサおよび前記第2角度センサによって測定される前記磁界方向に基づいて前記シャフトの前記絶対角度を決定するように構成される、請求項1に記載の角度測定システム。
【請求項3】
前記第1磁石が前記シャフトを中心に半径方向に配置されている、請求項1に記載の角度測定システム。
【請求項4】
前記第1角度センサが、前記第1磁石の回転軸に対して固定されている、請求項3に記載の角度測定システム。
【請求項5】
前記第1角度センサが、少なくとも実質的に前記第1磁石の内径と前記第1磁石の外径との間に中心が置かれる検知領域を含む、請求項4に記載の角度測定システム。
【請求項6】
前記第2磁石が、少なくとも実質的に前記第2磁石の中心に配置される回転軸を中心に回転するように構成されている、請求項1に記載の角度測定システム。
【請求項7】
前記第2角度センサが、前記第2磁石の前記回転軸に対して固定されている、請求項6に記載の角度測定システム。
【請求項8】
前記第2角度センサが、少なくとも実質的に前記第2磁石の前記回転軸に中心が置かれる検知領域を含む、請求項7に記載の角度測定システム。
【請求項9】
前記第2角度センサが、前記第2磁石の前記回転軸から間隔を空けて配置される検知領域を含む、請求項7に記載の角度測定システム。
【請求項10】
前記第1磁石および前記第2磁石の半径方向外側に歯が配置され、前記歯が、ギア比に従って前記所定関係を確立するように配置されている、請求項1に記載の角度測定システム。
【請求項11】
前記第1角度センサおよび前記第2角度センサの両方でなくとも少なくとも一方が、
磁界方向を協働して決定するように配置された巨大磁気抵抗(GMR)抵抗器の配置構成を含む半導体チップ
を備える、請求項1に記載の角度測定システム。
【請求項12】
シャフトの角度の位置を決定する方法であって、
第1磁石が回転する中心となる第1軸に対して固定された第1位置において磁界の方向を測定するステップと、
第2磁石が回転する中心となる第2軸に対して固定された第2位置において磁界の方向を測定するステップと、
前記第1位置および前記第2位置における前記磁界の方向を分析することにより前記シャフトの前記角度位置を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記第1軸が前記シャフトの回転軸に対応する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1位置が、前記第1軸からある距離だけ間隔を空けて配置されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2磁石が少なくとも実質的に前記第2軸上に中心が置かれる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
シャフトの絶対角度位置を決定する方法であって、
第1位置において磁界の第1相対角度を測定するステップであって、前記第1相対角度が、前記シャフトの回転軸を中心に前記シャフトとともに回転する第1磁石の関数である、ステップと、
前記第1位置から間隔を空けて配置された第2位置において前記磁界の第2相対角度を測定するステップであって、前記第2相対角度が前記第1磁石とは異なって移動するように構成された第2磁石の関数である、ステップと、
前記第1相対角度と前記第2相対角度との関係に基づいて前記シャフトの絶対角度の位置を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記第1相対角度および前記第2相対角度が、360度未満の角度を特定し、前記絶対角度の位置が360度を上回る、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1相対角度および前記第2相対角度からの前記絶対角度の位置を決定するステップが、前記第1相対角度および前記第2相対角度を分析するステップと、前記第1相対角度および前記第2相対角度に対して一意に対応する絶対角度の位置を特定するステップと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
シャフトの絶対角度の位置を決定するシステムであって、
第1回転軸を中心に前記シャフトとともに回転するように構成された第1磁石と、
前記第1回転軸から間隔を空けて配置された第2回転軸を中心に回転するように構成された第2磁石と、
第1位置において磁界の第1相対角度を測定するように構成された第1角度センサであって、前記第1位置が前記第1磁石の上にあり、かつ、前記第1回転軸から間隔を空けて配置されている、第1角度センサと、
第2位置において前記磁界の第2相対角度を測定するように構成された第2角度センサと、
前記第1相対角度および前記第2相対角度を分析することにより前記シャフトの前記絶対角度の位置を決定するように構成されたコントローラと、
を具備するシステム。
【請求項20】
前記第2位置が少なくとも実質的に前記第2回転軸上にある、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2位置が、前記第2回転軸からある距離だけ間隔を空けて配置されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1磁石の上の少なくとも1つの冗長的な角度センサをさらに具備する、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの冗長的な角度センサが、前記第1磁石の表面に対して前記第1角度センサとの共通面に位置する、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2磁石の上の少なくとも1つの冗長的な角度センサをさらに具備する、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの冗長的な角度センサが、前記第2角度センサの上で積み重ねられ、少なくとも実質的に前記第2回転軸上に位置する、請求項24に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−112651(P2011−112651A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−261419(P2010−261419)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (331)
【Fターム(参考)】