説明

角度測定方法及び角度測定装置

【課題】 ワークの外周面の傾斜角度を正確に測定できる角度測定方法および角度測定装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の角度測定方法は、ワーク5の表面50の第一の部位50aと第一の所定の位置との間の第一の距離(L1)を測定する工程と、ワーク5の表面50の第二の部位50bと第二の所定の位置との間の第二の距離(L2)を測定する工程と、第一の距離(L1)、第二の距離(L2)および第一の所定の位置と第二の所定の位置との間の距離(L)から、第一の所定の位置と第二の所定の位置とを結ぶ方向に対するワークの表面がなす角(θ)を算出する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの表面のなす角を測定する角度測定方法及び角度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車や四輪車などの車両に搭載される部品には、その取り付け性や周囲に配置される部品との関係から、外周形状の形状変化(形状のバラツキ)が規定以下となることが求められている。そのような部品は、製造された後に、外周形状が規定されたサイズの範囲内にあるかを検査し、形状が所定の範囲をはずれている場合には不良品と判定していた。
【0003】
搭載部品は、ひとつの外周面の一部などの所定の基準に対して傾斜している傾斜面を備える場合がある。搭載部品が傾斜面を備えた場合、その傾斜面の傾斜角が規定された範囲内にあることが求められる。
【0004】
従来、傾斜角の測定は、角度計などの三次元測定器を用いてなされていた。具体的には、傾斜面と基準面とがなす角を角度計で測定していた。この測定方法では、角度の計測時に傾斜面と基準面とがなす角の中心に角度計の測定中心を合わせる必要があった。
【0005】
しかしながら、搭載部品の形状がさまざまな形状を有していることから、角度計を角の中心に合わせるときに、搭載部品の外周部が角度計に干渉を生じ、中心合わせを正確に行うことができない場合があった。角度計の中心合わせが正確に行えないと、測定される傾斜面の角度の正確さが低下していた。つまり、従来の角度の測定方法では、搭載部品の外周形状の検査結果の正確性が不十分となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、ワークの外周面の傾斜角度を正確に測定できる角度測定方法および角度測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明者はワークの外周面の角度測定方法について検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
【0008】
請求項1に記載の本発明の角度測定方法は、ワークの表面の第一の部位と第一の所定の位置との間の第一の距離を測定する工程と、ワークの表面の第二の部位と第二の所定の位置との間の第二の距離を測定する工程と、第一の距離、第二の距離および第一の所定の位置と第二の所定の位置との間の距離から、第一の所定の位置と第二の所定の位置とを結ぶ方向に対するワークの表面がなす角を算出する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の本発明の角度測定方法は、請求項1に記載の測定方法において、ワークの前記表面の角度の検査に用いられることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明の角度測定装置は、第一の所定の位置とワークの表面の第一の部位との間の第一の距離を測定する第一の距離測定手段と、ワークの第二の部位と第二の所定の位置の間の第二の距離を測定する第二の距離測定手段と、第一の距離、第二の距離および第一の所定の位置と第二の所定の位置との間の距離から、第一の所定の位置と第二の所定の位置とを結ぶ方向に対する該ワークの表面がなす角を演算する演算手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の本発明の角度測定装置は、請求項3に記載の測定装置において、第一の距離測定手段および前記第二の距離測定手段は、ダイヤルゲージであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明の角度測定装置は、請求項3〜4に記載の測定装置において、第二の距離測定手段は、ワークの表面に対する位置が変位した第一の距離測定手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の本発明の測定方法は、第一の距離、第二の距離および第一の所定の位置と第二の所定の位置との間の距離から角度を測定する。つまり、従来の角度計において生じていたワーク自身による角度の測定器具への干渉が生じない。つまり、本発明の測定方法は、正確にワークの表面の角度を測定できる。
【0014】
請求項2に記載の測定方法によれば、請求項1に記載の測定方法は簡単かつ正確に角度を測定することができるため、ワークの形状の検査に用いることでワーク形状を正確かつ簡単に検査できる。
【0015】
請求項3に記載の本発明の測定装置は、第一及び第二の距離測定手段により測定される二つの距離と二つの距離の間の距離とからワーク表面の角度を測定する測定装置である。つまり、従来の角度計において生じていたワーク自身による角度の測定器具への干渉が生じない。つまり、本発明の測定方法は、正確にワークの表面の角度を測定できる。
【0016】
請求項4に記載の測定装置によれば、距離測定手段をダイヤルゲージとすることで、第一の距離、第二の距離の測定時に距離測定手段がワークと干渉しなくなる。
【0017】
請求項5に記載の測定方法によれば、測定装置の距離測定手段をひとつとすることができ、測定装置の体格の低減やコストの上昇を抑えることができる。さらに、第一および第二の所定の位置が近接した場合に二つの距離測定手段を備えた構成では、二つの距離測定手段同士が干渉するおそれが生じる。これに対し、距離測定手段をひとつとすることでこの距離測定手段同士の干渉が生じなくなる。
【0018】
さらに、距離測定手段を移動させる構成となったことで、ワークの表面の任意の二点を結ぶ方向のなす角を測定することができるようになり、ワークの表面の任意の部分の角度を測定することを簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、具体的な実施の形態を用いて本発明を説明する。
【0020】
(第一実施形態)
本実施形態の角度測定装置1は、ワーク5を保持・固定する保持部材2と、保持部材2に固定されたワーク5の表面(側面)に対向した位置に配置された第一ゲージ3および第二ゲージ4と、第一ゲージ3および第二ゲージ4に接続された演算手段(図示せず)と、を有する。本実施形態の角度測定装置1の構成を図1に示した。
【0021】
保持部材2は、角度を計測される被測定面部50を備えたワーク5を保持・固定する部材である。保持部材2は、ワーク5が所定の位置となった状態でワーク5を保持する。本実施形態においては、保持部材2は、被測定面部50が鉛直方向に広がる状態でワーク5を保持する。
【0022】
第一ゲージ3は、保持部材2に保持されたワーク5の被測定面部50に対向した位置に配置されたダイヤルゲージ30よりなる。ダイヤルゲージ30は、対向した被測定面部50と当接する測定子31をもつ。測定子31は、被測定面部50から離間した位置である第一の所定の位置から、被測定面部50へ当接するまで変移し、その移動距離から被測定面部50と第一の所定の位置との間の距離を測定する。この距離を第一の距離(L1)とする。
【0023】
第二ゲージ4は、保持部材2に保持されたワーク5の被測定面部50に対向した位置であって、第一ゲージ3から水平方向において所定の距離(L)だけ離れた位置に配置されたダイヤルゲージ40である。
【0024】
ダイヤルゲージ40は、ダイヤルゲージ30と同様の構成を有しており、対向した被測定面部50と当接する測定子41をもつ。測定子41が被測定面部50から離間した位置である第二の所定の位置から被測定面部50へ当接するまで変移し、測定子41の移動距離から被測定面部50との距離を測定する。この距離を第二の距離(L2)とする。
【0025】
本実施形態の角度測定装置1では、ワーク5の被測定面部50における測定子41が当接する部分50bが、測定子31が当接する部分50aとは異なる位置となっている。また、二つのダイヤルゲージ30,40の測定子31,41は、互いに平行な方向に変移する。さらに、第一ゲージ3及び第二ゲージ4の間の所定の距離(L)は、測定子31,41がそれぞれ第一および第二の所定の位置にあるときの両測定子31,41間の距離である。
【0026】
本実施形態の測定装置1では、所定の距離(L)、第一の距離(L1)および第二の距離(L2)が、ひとつの平面上に位置するように第一ゲージ3及び第二ゲージ4が配置されている。そして、本実施形態の測定装置1においては、L,L1,L2が位置する平面は、水平方向に広がっている。L,L1,L2が位置する平面が広がる方向は、特に限定されるものではなく、水平方向に広がっていても、鉛直方向に広がっていても、水平方向や鉛直方向に対して傾斜していても、いずれでもよい。
【0027】
演算手段は、第一ゲージ3および第二ゲージ4に接続され、両ゲージ3,4が測定した距離(測定子31,41の変移量)が入力される。そして、入力された二つの距離と予め入力された所定の距離(L)とから、当接面部50の当接部分50aと当接部分50bとを結ぶ方向が、所定の距離(L)ののびる方向に対する角度を算出する。演算手段は、角度を算出することができる装置であれば限定されるものではなく、本実施形態においてはコンピュータ(CPU)が用いられた。
【0028】
演算手段で算出されるワーク5の被当接面部50の角度からワーク5の形状の判定を行うことができる。この形状の判定は、演算手段が算出した角度が所定の角度範囲内にあるかどうかで行うことができる。すなわち、算出した角度と所定の角度範囲とを比較し、所定の角度範囲内にあれば良品、角度範囲内になければ不良品と判定することができる。本実施形態の測定装置1でワーク5の形状の判定を行う場合には、形状の判定を演算手段で行っても、形状の判定を行うコンピュータを新たに設置しても、いずれでもよい。本実施形態の測定装置1においては、演算手段で形状の判定も行う。
【0029】
(角度の測定)
以下に、ワーク5の表面の被当接面部50の角度を測定し、その測定された角度からワーク5の外周形状が所定の形状であるかの判定を行う測定方法および判定方法を説明する。
【0030】
本実施形態において角度を測定されるワーク5は、図2に示した断面形状を有する。図2に示したように、ワーク5は、方形状の本体部51の上面に突出した直線状にのびる突条52が形成された形状を有している。突条52は、方形状の本体部51の外周に対して傾斜した方向に伸びている。本実施形態においては、突条52ののびる方向に広がる一方の側面が本体部51の側面に対してなす角の測定および判定を行う。すなわち、突条52の側面が被当接面部50となる。
【0031】
まず、ワーク5を保持部材2に保持・固定する。ワーク5は、突条52の側面である被当接面部50が第一および第二ゲージ3,4に対向した状態で保持された。ワーク5は、本体部51の側面であって被当接面部50側の側面53が、第一および第二ゲージ3,4を結ぶ所定の距離(L)ののびる方向と平行をなすように保持・固定された。
【0032】
ワーク5が保持部材2に保持・固定された状態では、第一ゲージ3及び第二ゲージ4の測定子31,41がそれぞれ第一および第二の所定の位置にある(図1)。
【0033】
そして、第一ゲージ3の測定子31を変移して、当接面部50の当接部分50aに当接させ、測定子31の変移量である第一の距離(L1)を測定する。また、同様に第二ゲージ4の測定子41を変移して、当接面部50の当接部分50bに当接させ、測定子41の変移量である第二の距離(L2)を測定する(図3)。
【0034】
第一ゲージ3及び第二ゲージ4により測定された第一の距離(L1)および第二の距離(L2)は、演算手段に入力される。演算手段には、所定の距離(L)が予め入力されており、下記の数1式に示した式を用いて、二つの当接部分50a,50bを結ぶ方向と、所定の距離(L)ののびる方向との角度(θ)を算出する。
【0035】
【数1】

【0036】
このようにして、測定装置1を用いて二つの当接部分50a,50bを結ぶ方向が所定の距離(L)ののびる方向に対してなす角(θ)を求めることができた。
【0037】
ワーク5は、二つの当接部分50a,50bが位置する被当接面部50は平面をなすように広がっており、算出された角度(θ)は被当接面部50の広がる方向と所定の距離(L)ののびる方向とがなす角となる。
【0038】
さらに、ワーク5は、本体部51の被当接面部50側の側面53が、第一および第二ゲージ3,4を結ぶ所定の距離(L)ののびる方向と平行をなすように保持・固定されており、算出された角度(θ)は、被当接面部50の広がる方向が本体部51の側面53に対する角度となっている。
【0039】
本実施形態の測定装置1は、被当接面部50の広がる方向のなす角(θ)の測定を、二つのダイヤルゲージ30,40で行っている。つまり、二つのダイヤルゲージ30,40の測定子31,41の変移時に、測定子31,41とワーク5との干渉が生じない構成となっている。この結果、被当接面部50の角度(θ)を正確に測定することができる。
【0040】
さらに、本実施形態の測定装置1では、被当接面部50の広がる方向と所定の距離(L)の方向との交差する中心を検出する必要がなく、被当接面部50の傾き(角度θ)を簡単に測定できる。
【0041】
また、それぞれの測定子31,41がワーク5に当接する方向に変移することで角度の測定を行う構成となっており、測定子31,41がワーク5に当接するために変移をしたときに、測定子31,41はワーク5の当接部分50a,50b以外の部分や他の部材やと当接しない。つまり、測定時に、第一および第二ゲージ3,4が干渉を受けない。この結果、本実施形態の測定装置1は、被当接面部50の傾き(角度θ)を正確に得られる。
【0042】
(ワークの形状の判定)
本実施形態の測定装置1は、演算手段で算出された角度(θ)からワーク5の形状が所定の形状であるかの判定(ワーク5の検査)を行う。
【0043】
ワーク5の検査は、算出された角度(θ)が基準の角度範囲(たとえば、α±β)の中(α−β≦θ≦α+β)にあれば良品とし、角度範囲外(θ<α−β,α+β<θ)であれば不良品とする。この判定も、演算手段で合わせて行われた。
【0044】
このように、本実施形態の測定装置1を用いてワーク5の形状の検査を行うことができた。
【0045】
(変形形態)
第一実施形態の測定装置1では、ワーク5は、本体部51の被当接面部50側の側面53が、第一および第二ゲージ3,4を結ぶ所定の距離(L)ののびる方向と平行をなす状態で保持部材2に固定されたが、良品のワーク5の被当接面部50が所定の距離(L)ののびる方向に平行となる状態で角度(θ)が測定されるワーク5を保持部材2に保持した構成としてもよい。
【0046】
ワーク5をこのような向きで保持することで、算出された角度(θ)の値がそのままワーク5の形状のズレを表すことになる。この結果、良品と不良品の判定を簡単に行うことができる。
【0047】
(第二実施形態)
本実施形態の角度測定装置1は、ワーク5を保持する保持部材2と、保持部材2に保持されたワーク5の表面に対向した位置に配置されたゲージ6と、ゲージ6に接続された演算手段(図示せず)と、を有する。本実施形態の角度測定装置1の構成を図4に示した。
【0048】
保持部材2は、第一実施形態の時と同様な、ワーク5を保持・固定する部材である。
【0049】
ゲージ6は、保持部材2に保持されたワーク5の被測定面部50に対向した位置に配置されたダイヤルゲージ60と、ダイヤルゲージ60を水平方向に変移する変移手段65と、を有する。
【0050】
ダイヤルゲージ60は、対向した被測定面部50と当接する測定子61をもつ。ダイヤルゲージ60は、測定子61が被測定面部50から離間した位置から被測定面部50へ当接するまで変移する。ダイヤルゲージ60は、測定子61の移動量から被測定面部50との距離を測定する。
【0051】
変移手段65は、ダイヤルゲージ60を水平方向に変移する装置である。変移手段65は、ダイヤルゲージ60を、測定子61の変移方向に対して垂直な方向に変移する。変移手段65は、ダイヤルゲージ60の変移量を任意に設定することができ、本実施形態においては所定の距離(L)だけ変移する。
【0052】
演算手段は、ダイヤルゲージ60に接続され、ダイヤルゲージ60が測定した距離が入力される。そして、入力された二つの距離と予め入力された所定の距離(L)とから、当接面部50の当接部分50aと当接部分50bとを結ぶ方向が、所定の距離(L)を結ぶ方向に対する角度を算出する。演算手段は、角度を算出することができる装置であれば限定されるものではなく、本実施形態においてはコンピュータ(CPU)が用いられた。
【0053】
本実施形態の測定装置1は、演算手段で算出されるワーク5の被当接面部50の角度からワーク5の形状の判定を行うことができる。このとき、演算手段は、算出した角度が所定の角度範囲内にあるかどうかの判定を行う。すなわち、算出した角度と所定の角度範囲とを比較し、所定の角度範囲内にあれば良品、角度範囲内になければ不良品と判定することができる。
【0054】
(角度の測定および検査)
以下に、ワーク5の表面の被当接面部50の角度を測定し、その測定された角度からワーク5の外周形状が所定の形状であるかの判定を行うときの様子を説明する。
【0055】
本実施形態において角度を測定されるワーク5は、第一実施形態の時と同様な形状を有する。
【0056】
ワーク5が保持部材2に保持・固定された状態では、ゲージ6の測定子61は、第一の所定の位置にある。
【0057】
そして、ダイヤルゲージ60の測定子61を変移して、当接面部50の当接部分50aに当接させ、測定子61の変移量である第一の距離(L1)を求める。
【0058】
第一の距離(L1)を測定した後に、測定子61を当接面部50から離間する方向に変移し、第一の所定の位置に戻す。そして、変移手段65を駆動して、ダイヤルゲージ60を水平方向に所定の距離(L)だけ変移させる。
【0059】
そして、第一の距離(L1)を測定した時と同様に、測定子61を変移して第二の距離(L2)を測定する。
【0060】
測定された第一の距離(L1)および第二の距離(L2)は、第一実施形態の場合と同様に、演算手段に入力され、予め入力された所定の距離(L)とに基づいて二つの当接部分50a,50bを結ぶ方向と、所定の距離(L)ののびる方向との角度(θ)を上記の数1式を用いて算出する。
【0061】
このようにして、測定装置1を用いて二つの当接部分50a,50bを結ぶ方向が所定の距離(L)ののびる方向に対してなす角(θ)を求めることができた。
【0062】
本実施形態の測定装置1は、第一実施形態の測定装置と同様な効果を発揮する。さらに、本実施形態の測定装置1は、所定の距離(L)が短い場合においても、ダイヤルゲージ同士の干渉が生じない構成となっている。つまり、正確に角度(θ)を測定できる効果を発揮する。
【0063】
さらに、本実施形態の測定装置1においては、第二の距離(L2)を測定した後に、再び変移手段65を駆動して、ダイヤルゲージ60を水平方向に所定の距離(L’)だけ変移させる。この変移により、ダイヤルゲージ60は、第一の距離(L1)および第二の距離(L2)の測定時とは異なる第三の位置に配置される。そして、第一の距離(L1)を測定した時と同様に、測定子61を変移して第三の距離(L3)を測定する。
【0064】
そして、測定された第三の距離(L3)と、第二の距離(L2)および所定の距離(L’)とから、角度(θ)の時と同様に、角度(θ’)を算出する。このとき、測定された第三の距離(L3)と、第一の距離(L1)および所定の距離(L+L’)とから、角度(θ’)を算出する。すなわち、被当接面部50の広がる方向と所定の距離(L+L’)ののびる方向とがなす角を算出することができた。
【0065】
このように、本実施形態の測定装置1は、ワーク5の被当接面部50の複数の部分間の角度を簡単に測定することができる。すなわち、ワーク5の被当接面部50の形状(傾き)をより正確に測定することができる効果を発揮する。
【0066】
(その他の変形形態)
上記の各実施形態は、第一の距離(L1)および第二の距離(L2)の測定は、測定子31,41,61が変移する変移量で距離を測定するダイヤルゲージ30,40,60が用いられているが、それぞれの距離の測定は、ダイヤルゲージ以外の測定手段を用いてもよい。たとえば、レーザー距離測定装置をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第一実施形態の角度測定装置の構成を示した図である。
【図2】角度測定装置で測定されるワークを示した図である。
【図3】第一実施形態の角度測定装置の構成を示した図である。
【図4】第二実施形態の角度測定装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
【0068】
1:角度測定装置
2:保持部材
3:第一ゲージ 30:ダイヤルゲージ
31:測定子
4:第二ゲージ 40:ダイヤルゲージ
41:測定子
5:ワーク
6:ゲージ 60:ダイヤルゲージ
61:測定子 65:変移手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面の第一の部位と第一の所定の位置との間の第一の距離を測定する工程と、
該ワークの表面の第二の部位と第二の所定の位置との間の第二の距離を測定する工程と、
該第一の距離、該第二の距離および該第一の所定の位置と該第二の所定の位置との間の距離から、該第一の所定の位置と該第二の所定の位置とを結ぶ方向に対する該ワークの表面がなす角を算出する工程と、
を有することを特徴とする角度測定方法。
【請求項2】
前記ワークの前記表面の角度の検査に用いられる請求項1記載の角度測定方法。
【請求項3】
第一の所定の位置とワークの表面の第一の部位との間の第一の距離を測定する第一の距離測定手段と、
該ワークの第二の部位と第二の所定の位置の間の第二の距離を測定する第二の距離測定手段と、
該第一の距離、該第二の距離および該第一の所定の位置と該第二の所定の位置との間の距離から、該第一の所定の位置と該第二の所定の位置とを結ぶ方向に対する該ワークの表面がなす角を演算する演算手段と、
を有することを特徴とする角度測定装置。
【請求項4】
前記第一の距離測定手段および前記第二の距離測定手段は、ダイヤルゲージである請求項3記載の角度測定装置。
【請求項5】
前記第二の距離測定手段は、前記ワークの前記表面に対する位置が変位した前記第一の距離測定手段である請求項3〜4の何れかに記載の角度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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