説明

角形配管用清掃ノズル及び配管内清掃装置

【課題】断面が角形である配管内に付着した堆積物を除去するための角形配管用清掃ノズルを提供する。
【解決手段】ホースの先端部に接続されて、ホースからの高圧空気を導くための中空部を内部に有するシャフト部と、シャフト部の先端に取り付けられて、その断面形状が大略三角形状をして、第一の削り取り部材を有する第一傾斜面と、第二の削り取り部材を有する第二傾斜面と、第三の面を構成する第三面と、を有するヘッドキャップ部と、を備え、シャフト部の中空部及び外周面を連通して、高圧空気を大略軸方向に放出する第一放出孔がシャフト部に形成されており、シャフト部の中空部及び外周面を連通して、高圧空気を軸直交方向に放出する第二放出孔が、ヘッドキャップ部の第三面に対応するシャフト部の面に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面が角形である配管内に付着した堆積物を除去するための角形配管用清掃ノズルおよび当該清掃ノズルを用いた配管内清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配管の内壁面に付着した堆積物を除去する配管内清掃装置としては、エアホースの先端にノズルを取り付けてノズルからの高圧空気をダクトの内壁面に吹き付けるようにしたもの(例えば、特許文献1を参照)や、ダクト内を走行する清掃ロボット等が提案されている。
【0003】
ノズルからの高圧空気を配管の内壁面に吹き付けるだけでは、配管の内壁面に強固に付着した堆積物を確実に除去することができない。また、清掃ロボットは、高価で構造が複雑であるという問題がある。そこで、配管の内壁面に強固に付着した堆積物でも確実に除去して清掃することができる配管内清掃ノズルが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
特許文献2に開示された配管内清掃ノズルは、高圧空気を供給するホースの先端部に接続されており、噴射された高圧空気が羽根車を回転させ羽根車の回転に伴ってヘッドキャップ部も回転することにより、清掃ノズルが配管の内壁面に沿って旋回する。そして、羽根車に噴射された高圧空気が放出孔から放出され、放出孔から放出された高圧空気が配管の内壁面に付着している堆積物を吹き飛ばすとともに、清掃ノズルに前方移動力を与える。したがって、特許文献2の清掃ノズルは、配管の内壁面に沿って旋回しつつ前方に推進することで、配管の内壁面に付着している堆積物を清掃するというものである。
【特許文献1】特開平10−339502号公報
【特許文献2】特開2002−102812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献2に開示された配管内清掃ノズルは、断面が略丸形である配管の内壁面に沿って清掃ノズルが旋回するタイプのものであり、配管の内壁面の内周の円弧と、回転するヘッドキャップ部の外周の円弧とが適合するように、清掃ノズルの外形形状が構成されている。
【0006】
しかしながら、清掃すべき配管は、丸形タイプのものだけでなく角形タイプのものも存在している。丸形の清掃ノズルの外形形状が角形の配管の断面形状に適合していないために、当該丸形の清掃ノズルを断面が略角形である配管に適用することはできない。
【0007】
上記特許文献2のように、丸形配管用の清掃ノズルに関する先行技術文献等を出願人は了知している。しかしながら、高圧空気をホースから供給することにより、断面が角形である配管の内壁面に沿って移動しながら清掃するという角形配管用の清掃ノズルに関する先行技術文献等の存在を出願人は了知していない。
【0008】
したがって、本発明の解決すべき技術的課題は、高圧空気をホースから供給することにより、断面が角形である配管の内壁面に沿って移動しながら清掃するという角形配管用清掃ノズル及び配管内清掃装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するために、本発明によれば、
断面が角形である配管内に付着した堆積物を除去するための角形配管用清掃ノズルであって、
ホースの先端部に接続されて、ホースからの高圧空気を導くための中空部を内部に有するシャフト部と、
前記シャフト部の先端に取り付けられて、その断面形状が大略三角形状をして、第一の削り取り部材を有する第一傾斜面と、第二の削り取り部材を有する第二傾斜面と、第三の面を構成する第三面と、を有するヘッドキャップ部と、を備え、
シャフト部の中空部及び外周面を連通して、高圧空気を大略軸方向に放出する第一放出孔がシャフト部に形成されており、
シャフト部の中空部及び外周面を連通して、高圧空気を軸直交方向に放出する第二放出孔が、ヘッドキャップ部の第三面に対応するシャフト部の面に形成されていることを特徴とする角形配管用清掃ノズルが提供される。
【0010】
上記構成によれば、第一放出孔から放出された高圧空気によって前方移動推力を形成する。そして、例えば、大略三角形状をしたヘッドキャップ部の第一傾斜面が底壁面に対向するように配置されている場合、シャフト部の第二放出孔から放出された高圧空気は、底壁面に対して斜め上向きを向いている。第二放出孔から放出された斜め上向きの高圧空気は、その反作用として、底壁面に沿って並行移動しようとする壁面移動力と、角形配管の底壁面に対して作用する壁面押圧力と、を形成する。
【0011】
壁面押圧力により第一の削り取り部材が底壁面に強く密着するとともに、壁面移動力によりノズルが底壁面に沿って摺接移動する。その結果、角形配管の底壁面に強固に付着した堆積物でも確実に除去して清掃することができる。
【0012】
底壁面に沿って摺接移動するノズルが角形配管のコーナー部に到達すると、第一傾斜面が次の清掃すべき内壁面に対向するようにホースを捻ることにより、ノズルが回転して、第一傾斜面が次の清掃すべき内壁面に対向する。
【0013】
次の清掃すべき内壁面においても、第二放出孔から放出された斜め上向きの高圧空気から形成された壁面移動力及び壁面押圧力により、ノズルが次の内壁面に沿って摺接移動して、その結果、次の内壁面に付着した堆積物が除去される。このような一連の動作を繰り返すことにより、ノズルが角形配管の各内壁面を順次摺接移動して、その結果、角形配管の各内壁面に付着した堆積物が除去される。
【0014】
上記動作を角形配管の時計回りに回転する方向で行った場合、反時計回りの回転方向においても、同様の動作を行うことができるように、前記断面の大略三角形状が、第一傾斜面の長さ及び第二傾斜面の長さとが大略等しい略二等辺三角形であることが好ましい。
【0015】
例えば、第一傾斜面及び第二傾斜面とがなす頂角が、略30度乃至略90度である。
【0016】
さらに好ましくは、第一傾斜面及び第二傾斜面とがなす頂角が、略60度である。
【0017】
ノズルが角形配管のコーナー部で回転するときに、第一傾斜面又は第二傾斜面の第三面側の端部が内壁面に衝突することにより、衝突音を発する。そこで、好ましくは、ヘッドキャップ部の第三面の側には、第三面に対して直交する方向に延在する緩衝部材をさらに備える。
【0018】
ノズルが角形配管のコーナー部に到達すると、清掃作業者がホースを捻ることによりノズルを回転させている。ある内壁面を摺接移動するノズルが次の清掃すべき内壁面に衝突する力を利用して、自動的にノズルを所定方向に回転させることもできる。そこで、第一傾斜面及び第二傾斜面は、第一傾斜面及び第二傾斜面のそれぞれに対して直交する方向に延在するとともに、削り取り部材の先端部よりも引っ込んでいるように構成されている回転支持部材をそれぞれ備えるようにしてもよい。
【0019】
上記構成によれば、例えば、底壁面に沿って摺接移動するノズルが角形配管のコーナー部に到達して第一傾斜面が次の清掃すべき内壁面に対向する場合、第二傾斜面側の回転支持部材の先端部が次の清掃すべき内壁面に衝突したあと、第一傾斜面側の回転支持部材の先端部を回転中心にしてノズルが回転するようになる。
【0020】
ノズルが次の清掃すべき内壁面に衝突する際に生じる衝突音を低減してノズルがスムーズに回転することができるように、回転支持部材の先端部は、丸みを有することが好適である。
【0021】
上述した角形配管用清掃ノズルは、
角形配管用清掃ノズルが取り付けられるホースと、
該ホースの内部に高圧空気を供給する高圧空気供給手段と、
前記配管内の堆積物を吸引して集塵する集塵手段と、を備える配管内清掃装置に組み入れて使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2、及び、当該角形配管用清掃ノズル2を用いた配管内清掃装置150について、図1、2、3、8及び9を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、特定の方向を意味する用語(例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、およびそれらを含む他の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」)を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明は限定的に解釈されるべきものでない。
【0023】
図1は、本発明の第一実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2の説明図である。(A)は、ノズル2の平面図であり、(B)は(A)のA−A断面図であり、(C)はノズル2を前方から見た図であり、(D)はノズル2をホース4の側から見た後面図である。図2は、図1に示した角形配管用清掃ノズル2が時計回りしながら角形配管60の内壁面61を清掃する様子を説明する図である。図3は、図1に示した角形配管用清掃ノズル2が反時計回りしながら角形配管60の内壁面61を清掃する様子を説明する図である。図4は、本発明の第二実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2の説明図である。(A)は、ノズル2の平面図であり、(B)は(A)のA−A断面図であり、(C)はノズル2を前方から見た図であり、(D)はノズル2をホース4の側から見た後面図である。図5は、図4に示した角形配管用清掃ノズル2が時計回りしながら角形配管60の内壁面61を清掃する様子を部分的に説明する図である。図6は、図4に示した角形配管用清掃ノズル2が時計回りしながら角形配管60の内壁面61を清掃する様子を部分的に説明する図である。図7は、図4に示した角形配管用清掃ノズル2が時計回りしながら角形配管60の内壁面61を清掃する様子を部分的に説明する図である。図8は、図1に示した角形配管用清掃ノズル2を用いた配管内清掃装置150の全体構成を説明する概略図である。図9は、図1に示した配管内清掃ノズル2による角形配管60の内壁面61の清掃状況を示す説明図である。
【0024】
まず、図1を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2の全体構成を説明する。
【0025】
角形配管用清掃ノズル2は、大略、シャフト部10とヘッドキャップ部20とから構成されている。
【0026】
シャフト部10は、金属材料やエンジニアリングプラスチック等の剛性を有する材料からなり、ホース4の先端部に挿入して使用される。シャフト部10には、シャフト部本体の一端側すなわちホース4の側が開口し、他端側すなわちヘッドキャップ部20の側が閉口した中空構造を有する中空部14が形成されている。
【0027】
シャフト部10は、ホース4の側から順に、ホース取付部13と中央部12と突出部15とを備えている。ホース取付部13は、管状形状をしており、耐圧網入りホース等の柔軟性を有するホース4の先端部に挿入して、ホース4を気密接続するように構成されている。中央部12は、ホース取付部13の前端よりも拡径している。突出部15は、中央部12の前端よりも縮径しており、ホース取付部13と大略同じ程度の外径を有する。そして、突出部15の外周面には、凸ネジが形成されている。
【0028】
突出部15の中央部には、貫通穴が形成されており、後述するヘッドキャップ部20の挿入穴24(凹ネジ)に突出部15(凸ネジ)を螺合させた状態でネジ44によりネジ止め固定される。
【0029】
上述した中空部14は、ホース取付部13の全て及び中央部12の大部分まで延在している。
【0030】
中央部12において、その中央部分から後端側に向けて延在する4個の第一放出孔11が形成されている。図1の(A)及び(D)に示されているように、各第一放出孔11が軸に対して斜め後方に延在している。4個の第一放出孔11が約90度の角度で等配されている。各第一放出孔11は、中央部12の中空部14と中央部12の後端外周部の外界とを連通して、高圧空気6から分岐した第一放出高圧空気7を斜め後方に吹き出すためのものである。なお、中央部12の中空部14と中央部12の後端外周部の外界とを連通する第一放出孔11の連通経路は、必ずしも最短距離で延在している必要はなく、第一放出高圧空気7を所定の方向に放出することが可能であるならば連通経路の途中が湾曲等して連通経路が回り道しているような構成であってもよい。また、第一放出孔11の数も4個に限定されるものではなく、例えば、2個の第一放出孔11を約180度の角度で等配したり、3個の第一放出孔11を約120度の角度で等配したりして、複数個の第一放出孔11から斜め後方への均等な吹き出しが可能であるように構成されていればよい。
【0031】
また、中央部12の中央部分には、一つの第二放出孔18が形成されている。図1の(B)に示されているように、第二放出孔18が軸に対して直交するように延在している。第二放出孔18は、中央部12の中空部14と中央部12の中央部分の外界とを連通して、高圧空気6から分岐した第二高圧空気8を下向きに吹き出すためのものである。
【0032】
ヘッドキャップ部20は、金属材料やエンジニアリングプラスチック等の剛性を有する材料からなる。ヘッドキャップ部20は、ホース4の側から順に、基端部22と末端部23とを備えている。
【0033】
ヘッドキャップ部20の基端部22は、シャフト部10の突出部15の外周に形成された凸ネジの寸法と同じ寸法の凹ネジが形成された挿入穴と貫通穴をその内部に有する。そして、その貫通穴の第三面28側には凹ネジが形成されている。そして、その挿入穴には、突出部15が装着されている。突出部15の凸ネジを基端部22の挿入穴の凹ネジに螺合させた状態でネジ44でネジ止め固定することにより、ヘッドキャップ部20とシャフト部10とが一体化される。ヘッドキャップ部20を軽量化するために、末端部23は、第三面28の側から大略三角柱状に切り欠かれている。
【0034】
ヘッドキャップ部20は、その断面形状が大略三角形状をしており、第一の削り取り部材50の配設された第一傾斜面25と、第二の削り取り部材51の配設された第二傾斜面26と、第三の面を構成する第三面28と、からなる3つの面を有する。第一傾斜面25と第二傾斜面26とは、大略等しい寸法であり、大略二等辺三角形を形成している。第三面28の寸法も第一傾斜面25及び第二傾斜面26の寸法に等しい場合には、ヘッドキャップ部20の断面形状は、大略正三角形になる。
【0035】
後述するように、第二放出高圧空気8の放出による噴射力の反力は、横方向への移動推力と内壁面61への壁面押圧力とに分力される。そして、対向する内壁面61に対する第二放出高圧空気8の噴射力がなす角度βは、第一傾斜面25と第二傾斜面26とがなす頂角αの半分の角度になる。例えば、当該頂角αが60度であるならば、対向する内壁面61に対する第二放出高圧空気8の噴射力がなす角度βは30度になる。
【0036】
そして、対向する内壁面61に対する第二放出高圧空気8の噴射力がなす角度βが大きければ、横方向への移動推力に対する内壁面61への壁面押圧力の比率が相対的に大きくなる。第二放出高圧空気8の噴射力や、角形配管60の内壁面61に付着した堆積物63との摩擦等が関係するが、内壁面61への壁面押圧力が相対的に大きすぎると、内壁面61とブラシ50,51との間の摩擦抵抗が大きくなるとともに、横方向への移動推力が不足するために角形配管用清掃ノズル2が横方向に移動しなくなる。
【0037】
逆に、対向する内壁面61に対する第二放出高圧空気8の噴射力がなす角度βが小さければ、横方向への移動推力に対する内壁面61への壁面押圧力の比率が相対的に小さくなる。内壁面61への壁面押圧力が相対的に小さすぎると、例えば、第一傾斜面25と第二傾斜面26とがなす頂角αが略30度より小さい場合には、角形配管用清掃ノズル2が上壁面66を移動するときに、内壁面61への壁面押圧力が角形配管用清掃ノズル2及びホース4の自重に負けてしまうために、角形配管用清掃ノズル2が落下してしまう。また、第一傾斜面25と第二傾斜面26とがなす頂角αが略90度より大きい場合には、内壁面61への壁面押圧力が相対的に大きすぎて、横方向への移動推力が相対的に小さすぎるために、横方向への移動推力が内壁面61とブラシ50,51の間の摩擦抵抗に負けてしまい、角形配管用清掃ノズル2が横方向に移動しなくなる。
【0038】
したがって、ヘッドキャップ部20の第一傾斜面25と第二傾斜面26とがなす頂角αは、例えば、略30度乃至略90度であることが好適である。
【0039】
横方向への移動推力と内壁面61への壁面押圧力との間でのバランスが良好であり、角形配管用清掃ノズル2が安定した姿勢で横方向への移動及び回転を行うという観点から、第一傾斜面25と第二傾斜面26とがなす頂角αが略60度であり、ヘッドキャップ部20の断面形状は、大略正三角形であることがさらに好ましい。
【0040】
第一傾斜面25及び第二傾斜面26のそれぞれには、削り取り部材としての第一ブラシ50,第二ブラシ51が、基端部22の側から末端部23の側にかけて、各傾斜面25,26に対して直交するように固定的に立設されている。各ブラシ50,51の先端部は、各傾斜面25,26に対して並行であり、この部分が角形配管60の内壁面61に対して摺接する摺接部となる。各ブラシ50,51は、各傾斜面25,26に対して密集してあるいは離間して植設されている。また、清掃対象の堆積物63に応じてブラシ50,51の材質が適宜選択され、ブラシ50,51は、ナイロンやポリプロピレン等の剛性のある化学繊維や、スチール線やピアノ線や真鍮線等の金属製の線材から構成される。なお、削り取り部材は、ブラシ50,51のような繊維状や線材状の弾性的に変形可能なものや、ブレード状の板状体であってもよい。
【0041】
第三面28には、第三面28に対して直交する方向に延在する緩衝部材52が設けられている。例えば、その先端部が第三面28に対して並行である第三ブラシ52が使用される。緩衝部材52は、ノズル2が角形配管60のコーナー部で回転するときに、第一傾斜面25又は第二傾斜面26の第三面28側の端部が内壁面61に衝突した際に、内壁面61を傷付けたり異音を発したりするのを防止するためや、ノズル2の第三面28が底壁面62に面して移動するときに第三面28が底壁面62に直接当たるのを防止するためのものである。したがって、緩衝部材52として、弾性的に変形して衝撃を吸収することができるものが使用され、例えば、ゴム材料や上記ブラシのような針状体を植設することができる。
【0042】
次に、図2、3、8及び9を参照しながら、本発明の第一実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2の使用形態について説明する。なお、以下の図2の説明においては、ホース4に接続された角形配管用清掃ノズル2は時計回りの旋回を行い、図3の説明においては、ホース4に接続された角形配管用清掃ノズル2は反時計回りの旋回を行うものとする。また、角形配管60として、断面が4面体の方形形状からなる場合について説明するが、角形配管60というのは、4面体にだけに限定されるものではなく、5面体や6面体や7面体や8面体等の多面体であってもよい。
【0043】
まず、断面が4面体である正方形又は長方形の方形形状からなる角形配管60であって、断面形状が大略正三角形をした角形配管用清掃ノズル2が時計回りの旋回を行う場合について、図2を参照しながら説明する。
【0044】
清掃作業者によって、ホース4に接続された角形配管用清掃ノズル2が、その第三ブラシ52が底壁面62に接するとともにその第二ブラシ51が右壁面68に接するようにして、すなわち、角形配管60の右下コーナ部に載置される。ホース4に高圧空気6を導入すると、弛んで湾曲していたホース4が直線状に伸張して、角形配管用清掃ノズル2が角形配管60の底壁面62と右壁面68とに接しながら前方位置に移動する。
【0045】
角形配管用清掃ノズル2が所定の位置に到達すると、清掃作業者がホース4を反時計方向に捻ることにより、第一ブラシ50が底壁面62に接するように位置決めされる。そして、高圧空気6の圧力が所定の圧力まで上昇される。
【0046】
ホース4を介してシャフト部10に導入された高圧空気6は、中空部14において第一放出孔11と第二放出孔18とに分岐される。4個の第一放出孔11から放出された第一放出高圧空気7は、いずれも斜め後方に放出されるので、後方の高圧空気放出力に合力される。後方の高圧空気放出力の反作用として、前向きの力が生成され、当該前向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を前方に移動させる前方移動推力として機能する。
【0047】
また、第二放出孔18から放出された第二放出高圧空気8は、図2の(i)の位置にある場合、斜め右上向きに角度βで放出されるので、斜め右上向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め左下向きの力が生成される。当該斜め左下向きの力は、左向きの力と垂直下向きの力とに分力される。左向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を左方向に移動させる左方向移動推力として機能する。そして、垂直下向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の底壁面62に対して下向きに押圧するものであり、この下向きの壁面押圧力は、角形配管60の底壁面62に対する角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50の摺接を増大させるように作用し、底壁面62の堆積物63に対する第一ブラシ50の清掃力が増大する。
【0048】
このような左向きの力と垂直下向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図2の(ii)のように、底壁面62の堆積物63を削り取りながら左方向に直進し、左壁面64に突き当たることにより一時的に停止する。
【0049】
底壁面62と左壁面64とが交差する左下コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50が左壁面64に接するようになる。
【0050】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め右下向きに角度βで放出されるので、斜め右下向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め左上向きの力が生成される。当該斜め左上向きの力は、上向きの力と水平左向きの力とに分力される。上向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を上方向に移動させる上方向移動推力として機能する。そして、水平左向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の左壁面64に対して左向きに押圧するものであり、この左向きの壁面押圧力は、角形配管60の左壁面64に対する角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50の摺接を増大させるように作用し、左壁面64の堆積物63に対する第一ブラシ50の清掃力が増大する。
【0051】
このような上向きの力と水平左向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図2の(iii)のように、左壁面64の堆積物63を削り取りながら上方向に直進し、上壁面66に突き当たることにより一時的に停止する。
【0052】
左壁面64と上壁面66とが交差する左上コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50が上壁面66に接するようになる。
【0053】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め左下向きに角度βで放出されるので、斜め左下向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め右上向きの力が生成される。当該斜め右上向きの力は、右向きの力と垂直上向きの力とに分力される。右向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を右方向に移動させる右方向移動推力として機能する。そして、垂直上向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の上壁面66に対して上向きに押圧するものであり、この上向きの壁面押圧力は、角形配管60の上壁面66に対する角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50の摺接を増大させるように作用し、上壁面66の堆積物63に対する第一ブラシ50の清掃力が増大する。
【0054】
このような右向きの力と垂直上向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図2の(iv)のように、上壁面66の堆積物63を削り取りながら右方向に直進し、右壁面68に突き当たることにより一時的に停止する。
【0055】
上壁面66と右壁面68とが交差する右上コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50が右壁面68に接するようになる。
【0056】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め左上向きに角度βで放出されるので、斜め左上向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め右下向きの力が生成される。当該斜め右下向きの力は、下向きの力と水平右向きの力とに分力される。下向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を下方向に移動させる下方向移動推力として機能する。そして、水平右向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の右壁面68に対して右向きに押圧するものであり、この右向きの壁面押圧力は、角形配管60の右壁面68に対する角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50の摺接を増大させるように作用し、右壁面68の堆積物63に対する第一ブラシ50の清掃力が増大する。
【0057】
このような下向きの力と水平右向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図2の(v)のように、右壁面68の堆積物63を削り取りながら下方向に直進し、底壁面62に突き当たることにより一時的に停止する。
【0058】
右壁面68と底壁面62とが交差する右下コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50が底壁面62に接するようになる。
【0059】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め右上向きに角度βで放出されるので、斜め右上向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め左下向きの力が生成される。当該斜め左下向きの力は、左向きの力と垂直下向きの力とに分力される。このような左向きの力と垂直下向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図2の(ii)のように、底壁面62の堆積物63を削り取りながら左方向に直進し、左壁面64に突き当たることにより一時的に停止する。
【0060】
角形配管用清掃ノズル2は、図2の(ii)、(iii)、(iv)、(v)の動きを繰り返すことにより、断面が4面体の方形形状からなる角形配管60に対して時計回りの旋回運動を行う。
【0061】
角形配管用清掃ノズル2が上記時計回りの旋回運動を繰り返すと、ホース4が捻れてしまって時計回りの旋回運動が継続できなくなる。そこで、ホース4の捻れを解消するために、反時計回りの旋回運動が行われる。ノズル2が反時計回りの旋回を行う場合について、図3を参照しながら説明する。
【0062】
ホース4の捻れにより、角形配管用清掃ノズル2の旋回運動が停止すると、角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を反時計回りに適宜捻ることにより、第二ブラシ51が底壁面62に接するように角形配管用清掃ノズル2が位置決めされる。
【0063】
ホース4を介してシャフト部10に導入された高圧空気6は、中空部14において第一放出孔11と第二放出孔18とに分岐される。4つの第一放出孔11から放出された第一放出高圧空気7は、いずれも斜め後方に放出されるので、後方の高圧空気放出力に合力される。後方の高圧空気放出力の反作用として、前向きの力が生成され、当該前向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を前方に移動させる前方移動推力として機能する。
【0064】
また、第二放出孔18から放出された第二放出高圧空気8は、図3の(i)の位置にある場合、斜め左上向きに角度βで放出されるので、斜め左上向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め右下向きの力が生成される。当該斜め右下向きの力は、右向きの力と垂直下向きの力とに分力される。右向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を右方向に移動させる右方向移動推力として機能する。そして、垂直下向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の底壁面62に対して下向きに押圧するものであり、この下向きの壁面押圧力は、角形配管60の底壁面62に対する角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51の摺接を増大させるように作用し、底壁面62の堆積物63に対する第二ブラシ51の清掃力が増大する。
【0065】
このような右向きの力と垂直下向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図3の(ii)のように、底壁面62の堆積物63を削り取りながら右方向に直進し、右壁面68に突き当たることにより一時的に停止する。
【0066】
底壁面62と右面68とが交差する右下コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を反時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51が右壁面68に接するようになる。
【0067】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め左下向きに角度βで放出されるので、斜め左下向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め右上向きの力が生成される。当該斜め右上向きの力は、上向きの力と水平右向きの力とに分力される。上向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を上方向に移動させる上方向移動推力として機能する。そして、水平右向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の右壁面68に対して右向きに押圧するものであり、この右向きの壁面押圧力は、角形配管60の右壁面64に対する角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51の摺接を増大させるように作用し、右壁面64の堆積物63に対する第二ブラシ51の清掃力が増大する。
【0068】
このような上向きの力と水平右向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図3の(iii)のように、右壁面68の堆積物63を削り取りながら上方向に直進し、上壁面66に突き当たることにより一時的に停止する。
【0069】
右壁面68と上壁面66とが交差する右上コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を反時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51が上壁面66に接するようになる。
【0070】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め右下向きに角度βで放出されるので、斜め右下向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め左上向きの力が生成される。当該斜め左上向きの力は、左向きの力と垂直上向きの力とに分力される。左向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を左方向に移動させる左方向移動推力として機能する。そして、垂直上向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の上壁面66に対して上向きに押圧するものであり、この上向きの壁面押圧力は、角形配管60の上壁面66に対する角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51の摺接を増大させるように作用し、上壁面66の堆積物63に対する第二ブラシ51の清掃力が増大する。
【0071】
このような左向きの力と垂直上向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図3の(iv)のように、上壁面66の堆積物63を削り取りながら左方向に直進し、左壁面64に突き当たることにより一時的に停止する。
【0072】
上壁面66と左壁面64とが交差する左上コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を反時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51が左壁面64に接するようになる。
【0073】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め右上向きに角度βで放出されるので、斜め右上向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め左下向きの力が生成される。当該斜め左下向きの力は、下向きの力と水平左向きの力とに分力される。下向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を下方向に移動させる下方向移動推力として機能する。そして、水平左向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の左壁面64に対して右向きに押圧するものであり、この左向きの壁面押圧力は、角形配管60の左壁面64に対する角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51の摺接を増大させるように作用し、左壁面64の堆積物63に対する第二ブラシ51の清掃力が増大する。
【0074】
このような下向きの力と水平左向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図3の(v)のように、左壁面64の堆積物63を削り取りながら下方向に直進し、底壁面62に突き当たることにより一時的に停止する。
【0075】
左壁面68と底壁面62とが交差する左下コーナ部において一時的に停止している角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を反時計回りに大略90度の角度で捻ることによって、角形配管用清掃ノズル2の第二ブラシ51が底壁面62に接するようになる。
【0076】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め左上向きに角度βで放出されるので、斜め左上向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め右下向きの力が生成される。当該斜め右下向きの力は、右向きの力と垂直下向きの力とに分力される。このような右向きの力と垂直下向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図3の(ii)のように、底壁面62の堆積物63を削り取りながら右方向に直進し、右壁面68に突き当たることにより一時的に停止する。
【0077】
角形配管用清掃ノズル2は、図3の(ii)、(iii)、(iv)、(v)の動きを繰り返すことにより、断面が4面体の方形形状からなる角形配管60に対して反時計回りの旋回運動を行う。
【0078】
このような時計回りの旋回と反時計回りの旋回とを交互に行うことにより、ヘッドキャップ部20に取り付けられたブラシ50,51が堆積物63を掻き取ることにより、堆積物63が角形配管60の内壁面61から引き剥がされる。角形配管用清掃ノズル2の時計回りの旋回運動と反時計回りの旋回運動とが交互に繰り返される結果、角形配管用清掃ノズル2は、角形配管60の底壁面61に強固に付着した堆積物63でも確実に除去して清掃することができる。
【0079】
角形配管60の内壁面61から引き剥がされた堆積物63は、一例として図示した図8の配管内清掃装置150によって回収される。
【0080】
図8に示すように、上述した角形配管用清掃ノズル2及びホース4は、配管内清掃装置150に組み込まれている。
【0081】
角形配管用清掃ノズル2が取り付けられたホース4の先端は、清掃すべき角形配管60の吹出口151から内部に挿入されている。ホース4は、脚立152を介して床まで降ろされ、ホースリール153に適宜の長さで巻き付けられている。ホース4は、屋外車両154に搭載されたコンプレッサ155に接続され、高圧空気6が供給されるようになっている。角形配管60の吹出口151には、吸引パッド156が取り付けられ、該吸引パッド156は吸引ホース157を介してサイクロン式の回収タンク158、集塵機159、フィルタ160に順次接続されている。集塵機159の電源は、延長コード161を介して屋外車両154の発電機162に接続され、電力が供給されるようになっている。
【0082】
この配管内清掃装置150では、コンプレッサ155から供給される高圧空気6は、ホース4を介して角形配管用清掃ノズル2へ供給され、前述したような旋回及び前方移動を繰り返しながら、角形配管60の内壁面61に付着した堆積物63を除去する。角形配管用清掃ノズル2により引き剥がされた堆積物63を含む角形配管60内の空気は、第一放出高圧空気7の噴射力と集塵機159の吸引力により、吹出口151の吸引パッド156と吸引ホース157を介して回収タンク158に入り、回収タンク158で大きな粒子の堆積物63が回収される。回収タンク158を通過した空気は、集塵機159に入り、集塵機159で堆積物63がほぼ集塵される。集塵機159を通過した空気は、フィルタ160に入り、フィルタ160で微細な粒子の堆積物63が除去されて、清潔な空気となって室内に放出される。このため、室内の空気を汚染することがない。
【0083】
次に、本発明の第二実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2について、図4乃至7を参照しながら詳細に説明する。
【0084】
本発明の第二実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2は、上述した第一実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2と比較して、回転支持部材70,71をさらに備えていることが相違している。したがって、回転支持部材70,71の具備ということを中心にして第二実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2を説明する。
【0085】
図4に示すように、第一傾斜面25及び第二傾斜面26に対して、それぞれ、第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71が設置されている。第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71は、それぞれ、第一傾斜面25及び第二傾斜面26のそれぞれに対して直交する方向に延在するとともに、第一ブラシ50及び第二ブラシ51の各先端部よりも引っ込んでいるように構成されている。第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71は、金属材料やエンジニアリングプラスチック等の剛性を有する材料からなる。
【0086】
第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71は、それぞれ、第一傾斜面25及び第二傾斜面26がなす頂角αの側に先端部72,73を有する。先端部72,73は、それぞれ、角形配管用清掃ノズル2が角形配管60のコーナ部において内壁面61に衝突したときに、ブラシ50,51が最初に衝突するもののそれらは弾性的に変形してしまうので剛性体が最初に衝突する剛性衝突点として、又は、角形配管用清掃ノズル2を回転させる回転中心として機能する。先端部72,73は、衝突時の衝撃を低減し、スムーズな回転を実現するために、丸みを有していることが好ましい。
【0087】
なお、図4に示した第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71は、それぞれ、三角形状の板状体であるが、当該形状に限定されるものではない。第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71は、方形形状の板状体や棒状体であってもよい。
【0088】
第一傾斜面25及び第二傾斜面26において、第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71を備えることにより、角形配管用清掃ノズル2が角形配管60のコーナ部において内壁面61に衝突したときに、角形配管用清掃ノズル2が停止するものの、衝突の反動で角形配管用清掃ノズル2が大略90度回転する。したがって、上述した第一実施形態のように、清掃作業者がホース4を捻じることによって角形配管用清掃ノズル2を大略90度回転させる操作が不要になり、角形配管用清掃ノズル2が角形配管60のコーナ部で自動的に回転する。
【0089】
次に、図5乃至7を参照しながら、本発明の第二実施形態に係る角形配管用清掃ノズル2の使用形態について説明する。なお、以下の説明においては、ホース4に接続された角形配管用清掃ノズル2が時計回りの旋回を行う場合について説明するが、上記第一実施形態と同様に、ホース4に接続された角形配管用清掃ノズル2は反時計回りの旋回も行う。
【0090】
図5に示すように、清掃作業者によって、ホース4に接続された角形配管用清掃ノズル2が、その第三ブラシ52が底壁面62に接するようにして、清掃対象の角形配管60の底壁面62の上に載置される。ホース4に高圧空気6を導入すると、弛んで湾曲していたホース4が直線状に伸張して、角形配管用清掃ノズル2が角形配管60の底壁面62に沿って前方位置に移動する。
【0091】
角形配管用清掃ノズル2が所定の位置に到達すると、清掃作業者がホース4を反時計方向に捻ることにより、第一ブラシ50が底壁面62に接するように位置決めされる。そして、高圧空気6の圧力が所定の圧力まで上昇される。
【0092】
ホース4を介してシャフト部10に導入された高圧空気6は、中空部14において第一放出孔11と第二放出孔18とに分岐される。4つの第一放出孔11から放出された第一放出高圧空気7は、いずれも斜め後方に放出されるので、後方の高圧空気放出力に合力される。後方の高圧空気放出力の反作用として、前向きの力が生成され、当該前向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を前方に移動させる前方移動推力として機能する。
【0093】
また、第二放出孔18から放出された第二放出高圧空気8は、図5の位置にある場合、斜め右上向きに角度βで放出されるので、斜め右上向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め左下向きの力が生成される。当該斜め左下向きの力は、左向きの力と垂直下向きの力とに分力される。左向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を左方向に移動させる左方向移動推力として機能する。そして、垂直下向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の底壁面62に対して下向きに押圧するものであり、この下向きの壁面押圧力は、角形配管60の底壁面62に対する角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50の摺接を増大させるように作用し、底壁面62の堆積物63に対する第一ブラシ50の清掃力が増大する。
【0094】
このような左向きの力と垂直下向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図6のように、底壁面62の堆積物63を削り取りながら左方向に直進し、左壁面64に突き当たることにより一時的に停止する。角形配管用清掃ノズル2が左壁面64に衝突するとき、最初に第二ブラシ51の先端部が左壁面64に接触するが、第二ブラシ51が弾性的に変形する。第二ブラシ51の弾性的な変形により、第二回転支持部材71の先端部73が顔を出して、第二回転支持部材71の先端部が左壁面64に衝突する。
【0095】
角形配管用清掃ノズル2の第二回転支持部材71の先端部73が左壁面64に衝突したときの反動で、角形配管用清掃ノズル2が第一回転支持部材70の先端部72を回転中心にして時計回りに大略90度の角度で回転する。その結果、角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50が左壁面64に接するようになる。
【0096】
このとき、第二放出高圧空気8は、斜め右下向きに角度βで放出されるので、斜め右下向きの高圧空気放出力の反作用として、斜め左上向きの力が生成される。当該斜め左上向きの力は、上向きの力と水平左向きの力とに分力される。上向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を上方向に移動させる上方向移動推力として機能する。そして、水平左向きの力は、角形配管用清掃ノズル2を角形配管60の左壁面64に対して左向きに押圧するものであり、この左向きの壁面押圧力は、角形配管60の左壁面64に対する角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50の摺接を増大させるように作用し、左壁面64の堆積物63に対する第一ブラシ50の清掃力が増大する。
【0097】
このような上向きの力と水平左向きの力とにより、角形配管用清掃ノズル2は、図7のように、左壁面64の堆積物63を削り取りながら上方向に直進し、上壁面66に突き当たることにより一時的に停止する。角形配管用清掃ノズル2が上壁面66に衝突するとき、最初に第二ブラシ51の先端部が上壁面66に接触するが、第二ブラシ51が弾性的に変形する。第二ブラシ51の弾性的な変形により、第二回転支持部材71の先端部73が顔を出して、第二回転支持部材71の先端部が上壁面66に衝突する。
【0098】
角形配管用清掃ノズル2の第二回転支持部材71の先端部73が上壁面66に衝突したときの反動で、角形配管用清掃ノズル2が第一回転支持部材70の先端部72を回転中心にして時計回りに大略90度の角度で回転する。その結果、角形配管用清掃ノズル2の第一ブラシ50が上壁面66に接するようになり、斜め左下向きに角度βで放出される第二放出高圧空気8により、垂直上向きの壁面押圧力を受けながら、角形配管用清掃ノズル2が上壁面66に沿って右方向に移動する。
【0099】
以降は、上述した第一実施形態と同じように、角形配管用清掃ノズル2が右壁面68及び底壁面62に沿って順次移動するが、上壁面66から右壁面68に、及び、右壁面68から底壁面62に移るときには、第一回転支持部材70及び第二回転支持部材71の働きによって時計回りに大略90度の角度で自動的に回転する。
【0100】
角形配管用清掃ノズル2は、このような動きを繰り返すことにより、断面が4面体の方形形状からなる角形配管60に対して時計回りの旋回運動を行う。
【0101】
上述した第一実施形態と同じように、角形配管用清掃ノズル2の上記時計回りの旋回運動を繰り返すと、ホース4が捻れてしまって時計回りの旋回運動が継続できなくなるので、角形配管用清掃ノズル2の時計回りの旋回運動が停止する。そして、第一実施形態と同じように、ホース4の捻れを解消するために、角形配管用清掃ノズル2に対して、清掃作業者がホース4を反時計回りに適宜捻ることにより、第二ブラシ51が内壁面62に接するように角形配管用清掃ノズル2が位置決めされ、時計回りの旋回運動の停止に続いて、反時計回りの旋回運動が行われる。角形配管用清掃ノズル2の時計回りの旋回運動と反時計回りの旋回運動とが交互に繰り返される結果、角形配管用清掃ノズル2は、角形配管60の底壁面61に強固に付着した堆積物63でも確実に除去して清掃することができる。
【0102】
なお、上記実施形態では、ヘッドキャップ部20の交換を容易にするために、シャフト部10とヘッドキャップ部20とが、別体の二物品から構成されている。しかしながら、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、シャフト部10とヘッドキャップ部20とが、一体成型や削りだし加工等により一体的に構成された一物品であるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第一実施形態に係る角形配管用清掃ノズルの説明図である。(A)は、ノズルの平面図であり、(B)は(A)のA−A断面図であり、(C)はノズルを前方から見た図であり、(D)はノズルをホースの側から見た後面図である。
【図2】図1に示した角形配管用清掃ノズルが時計回りしながら角形配管の内壁面を清掃する様子を説明する図である。
【図3】図1に示した角形配管用清掃ノズルが反時計回りしながら角形配管の内壁面を清掃する様子を説明する図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る角形配管用清掃ノズルの説明図である。(A)は、ノズルの平面図であり、(B)は(A)のA−A断面図であり、(C)はノズルを前方から見た図であり、(D)はノズルをホースの側から見た後面図である。
【図5】図4に示した角形配管用清掃ノズルが時計回りしながら角形配管の内壁面を清掃する様子を部分的に説明する図である。
【図6】図4に示した角形配管用清掃ノズルが時計回りしながら角形配管の内壁面を清掃する様子を部分的に説明する図である。
【図7】図4に示した角形配管用清掃ノズルが時計回りしながら角形配管の内壁面を清掃する様子を部分的に説明する図である。
【図8】図1に示した角形配管用清掃ノズルを用いた配管内清掃装置の全体構成を説明する概略図である。
【図9】図1に示した配管内清掃ノズルによる角形配管の内壁面の清掃状況を示す説明図である。
【符号の説明】
【0104】
2:角形配管用清掃ノズル
4:ホース
6:高圧空気
7:第一放出高圧空気
8:第二放出高圧空気
10:シャフト部
11:第一放出孔
12:中央部
13:ホース取付部
14:中空部
15:突出部
18:第二放出孔
20:ヘッドキャップ部
22:基端部
23:末端部
24:挿入穴
25:第一傾斜面
26:第二傾斜面
28:第三面
44:ネジ
50:第一ブラシ(削り取り部材)
51:第二ブラシ(削り取り部材)
52:第三ブラシ(緩衝部材)
60:角形配管
61:内壁面
62:底壁面
63:堆積物
64:左壁面
66:上壁面
68:右壁面
70:第一回転支持部材
71:第二回転支持部材
72:先端部
73:先端部
150:配管内清掃装置
151:吹き出し口
154:屋外車両
155:コンプレッサ
156:吸引パッド
157:吸引ホース
158:回収タンク
159:集塵機
160:フィルタ
161:延長コード
162:発電機
α:第一傾斜面と第二傾斜面とがなす頂角
β:内壁面に対する第二放出高圧空気の噴射力がなす角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が角形である配管内に付着した堆積物を除去するための角形配管用清掃ノズルであって、
ホースの先端部に接続されて、ホースからの高圧空気を導くための中空部を内部に有するシャフト部と、
前記シャフト部の先端に取り付けられて、その断面形状が大略三角形状をして、第一の削り取り部材を有する第一傾斜面と、第二の削り取り部材を有する第二傾斜面と、第三の面を構成する第三面と、を有するヘッドキャップ部と、を備え、
シャフト部の中空部及び外周面を連通して、高圧空気を大略軸方向に放出する第一放出孔がシャフト部に形成されており、
シャフト部の中空部及び外周面を連通して、高圧空気を軸直交方向に放出する第二放出孔が、ヘッドキャップ部の第三面に対応するシャフト部の面に形成されていることを特徴とする角形配管用清掃ノズル。
【請求項2】
前記断面の大略三角形状が、第一傾斜面の長さ及び第二傾斜面の長さとが大略等しい略二等辺三角形であることを特徴とする、請求項1に記載の角形配管用清掃ノズル。
【請求項3】
第一傾斜面及び第二傾斜面とがなす頂角が、略30度乃至略90度であることを特徴とする、請求項2に記載の角形配管用清掃ノズル。
【請求項4】
第一傾斜面及び第二傾斜面とがなす頂角が、略60度であることを特徴とする、請求項2に記載の角形配管用清掃ノズル。
【請求項5】
ヘッドキャップ部の第三面の側には、第三面に対して直交する方向に延在する緩衝部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の角形配管用清掃ノズル。
【請求項6】
第一傾斜面及び第二傾斜面は、第一傾斜面及び第二傾斜面のそれぞれに対して直交する方向に延在するとともに、削り取り部材の先端部よりも引っ込んでいるように構成されている回転支持部材をそれぞれ備えることを特徴とする、請求項1に記載の角形配管用清掃ノズル。
【請求項7】
前記回転支持部材の先端部は、丸みを有することを特徴とする、請求項6に記載の角形配管用清掃ノズル。
【請求項8】
前記請求項1から7のいずれかに記載の角形配管用清掃ノズルと、
角形配管用清掃ノズルが取り付けられるホースと、
該ホースの内部に高圧空気を供給する高圧空気供給手段と、
前記配管内の堆積物を吸引して集塵する集塵手段と、を備えることを特徴とする角形配管用清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−51849(P2010−51849A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216860(P2008−216860)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【特許番号】特許第4242444号(P4242444)
【特許公報発行日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(308014536)有限会社プロメンテ (2)
【Fターム(参考)】