説明

角栓除去用の皮膚外用剤

【課題】
角栓を容易に除去できるような、角栓除去効果に優れた皮膚外用剤を得る手段を提供することを課題とする。
【解決手段】
A)ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体とB)炭酸ジエステル、その中でもダイマージリノール酸ダイマージリノレイル5〜40質量%、炭酸ジカプリリル10〜70質量%を含有する油性洗浄料が、角栓の除去に優れた効果を有することを見出し、これを皮膚外用剤基材中に含有させることにより、角栓除去効果に優れた皮膚外用剤を提供できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料などの皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人の食生活において、欧米化が進行し、タンパク質や脂質の摂取が増えてきて、肥満などの生活習慣病の増加が社会問題となっている。このような食生活の変化は、健康問題のみでなく、以前はあまり問題となっていなかった大人のニキビや吹き出物、角栓などの肌トラブルの増加にも関係していると考えられている。特に、角栓は皮脂と角層の老廃物が一緒になって固まったもので、鼻の周囲など、皮脂の分泌量の多い部位の毛穴部分に小さな突起状として認められ、黒ずんで見えたりして、美容上においても大きなマイナス要因となっている。この角栓は、毛穴に皮脂と皮膚の老廃物が一体化したもので、通常の洗浄剤やクレンジングによる洗顔においても除去しにくいものである。そこで、固着性を有する粘着性のシートなどを用いて、機械的に除去することが行われてきた。化粧動作においても、クレンジング、水性洗顔料による洗顔、シートによる角栓除去、さらに洗顔を行うなど、洗顔操作が増えたりしている。このような過度な洗顔は、過剰な皮脂の除去による皮膚トラブルにつながる場合もあり、簡便な角栓の除去方法が望まれていた。
【0003】
炭酸ジエステルは、感触がさっぱりとしている油剤であり、クレンジング料やさっぱりした感触のクリームなどに利用されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。しかし、これを含有するクレンジング料などにおいても、脂質と角層の老廃物が一体化した角栓のような汚れの除去に対しては、十分な効果が得られていなかった。また炭酸ジエステルは、エステル部分が加水分解すると炭酸ガスが生成する場合が考えられ、その製剤化には注意が必要である。一方、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体は、不飽和脂肪酸のダイマー若しくはそれを還元したジオール体のジエステル体で、口紅やヘア製品などに於けるつや出し効果、皮膚外用剤においては感触改良効果が知られ、皮膚になめらかさを付与する目的などで使用されている(例えば、特許文献4,特許文献5を参照)。
【0004】
ここで、炭酸ジエステルとダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体とを含有する皮膚外用剤は、知られていないし、このような構成をとることにより、優れた角栓の除去効果を有するオイル型洗浄料が得られることは全く知られていなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平11−106326号公報
【特許文献2】特開2000−95662号公報
【特許文献3】特開2002−104951号公報
【特許文献4】特開2004−262783号公報
【特許文献5】特開2003−160430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
角栓除去効果の優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、発明者らは鋭意研究をし、炭酸ジエステルと、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体を含有する皮膚外用剤が、角栓の除去効果に優れていることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
【0008】
(1) A)炭酸ジエステルと、B)ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体とを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(2) 炭酸ジエステル10〜70質量%、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体5〜40質量%を含有することを特徴とする(1)記載の皮膚外用剤。
(3) 炭酸ジエステルが炭酸ジカプリリルであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4) ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体が、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルであることを特徴とする(1)〜(3)何れかに記載の皮膚外用剤。
(5) 炭酸ジエステルを含む極性油の含有量が80%以上であり、非極性油を含有しないことを特徴とする(1)〜(4)何れかに記載の皮膚外用剤。
(6) オイル型の洗浄料であることを特徴とする(1)〜(5)何れかに記載の皮膚外用剤。
(7) クレンジング用であることを特徴とする(1)〜(6)何れかに記載の皮膚外用剤。
(8) 角栓除去用であることを特徴とすることを特徴とする(1)〜(7)何れかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、角栓を容易に除去できる手段を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である炭酸ジエステル
本発明は、炭酸ジエステルを含有していることを特徴としている。本発明の炭酸ジエステルに使用されるアルコールとしては、例えば、イソプロピルアルコール、ヘキシルアルコール、カプリリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコールなどが例示でき、特に炭素数3〜10のアルコールが好ましく例示できる。これらの内、炭素数8の炭酸ジカプリリルはコグニスジャパン(株)より、セチオールCCとして市販されており、このものを購入して使用することができ、好ましい。このような、炭素数の少ない炭酸ジエステルは、油剤としての性質に加えて、溶剤としての性質も有しており、固形脂などを溶解する作用にも優れている。
【0011】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体
本発明の皮膚外用剤は、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体を含有していることを特徴としている。本発明の皮膚外用剤に用いるダイマー酸のジエステル体は、モノ−或いはジ−不飽和脂肪酸を2量体化させた後、必要仁応じて水素添加して得られるダイマー酸と種々のアルコールとのエステル体、さらにはダイマー酸を還元して得られるダイマージオールと種々の脂肪酸とのエステル体、ダイマー酸とダイマージオールとのエステル体などを指し、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸ジリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイルなどが例示できる。これらの化合物は日本精化(株)より、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル・フィトステリル)がLUSPLAN PI−DAとして、ダイマージリノール酸ジリノレイルがLUSPLAN DD−DAとして、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイルがLUSPLAN DD−ISとして、市販されており、これらのものを購入して使用することができ、好ましい。これらのダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体はつや出し効果やエモリエント効果に優れており、口紅やエモリエントクリームなどに使用されている。本発明の皮膚外用剤においては、ダイマージリノール酸ジリノレイルを用いることが特に好ましい。
【0012】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、必須成分として炭酸ジエステルとダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体を含有する皮膚外用剤に関する。さらに具体的には、炭酸ジエステル10〜70質量%、好ましくは30〜65質量%、より好ましくは40〜60質量%と、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体5〜40質量%、好ましくは10〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%を含有する皮膚外用剤に関する。
【0013】
本発明の皮膚外用剤は上記構成を有し、油性の汚れ、口紅、ファンデーションなどのメクアップ化粧料、角栓などを除去するクレンジング化粧料に適用するのが好ましい。特に、炭酸ジエステルを多量に含有し、総極性油剤量が80%以上、さらに好ましくは90%以上を含有するものは、角栓の除去効果が優れており、角栓除去用のオイル型洗浄料に適用するのが好ましい。本発明の皮膚外用剤に使用する炭酸ジエステルとしては、炭素数が6〜10のアルコールのジエステル体を用いるときに、特に本発明の角栓除去効果が高い。しかし、このような炭素数の少ないアルコールの炭酸ジエステル体は粘度が小さく、皮膚上に塗布した場合に、垂れたりして、オイル型洗浄料を皮膚上に付着させておくことが困難な場合がある。角栓を溶解するためにはなるべくしっかりと肌状に留まっていることが好ましいことから、本発明の皮膚外用剤に粘度を有する油相成分を含有させることも本発明の好ましい形態である。
【0014】
一般的にオイル型の製剤に粘度を付与するには、デキストリンの脂肪酸エステルなどのバルキーな化合物を添加したり、ワックスなどの高融点油剤やポリエチレンオキサイドなどの高分子量化合物を添加する方法が知られているが、これらの化合物を炭酸ジエステルを含有するオイル型洗浄料に添加すると、角栓の除去効果が低下したり、感触的に重くなったり、添加成分が沈殿したりすることが起こる。角栓の除去効果を低下させること無く、オイル型洗浄料に適度な粘性を付与するには、極性油剤であるダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体、特にダイマージリノール酸ジリノレイルを5〜40質量%、好ましくは10〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%含有させるのが良い。この程度含有させることにより、角栓除去効果を低下させることなく、感触的にも重くならず、適度な粘度を付与することが可能となる。また、ダイマージリノール酸ジリノレイルを5〜40%含有させることにより、炭酸ジカプリリルと共に角栓を軟化溶解し、角栓を毛穴より離脱しやすくする作用を増強させる作用も有している。このような構成をとることにより、角栓部位での製剤の垂れが少なく製剤の角栓部位への付着性が良く、角栓溶解作用に優れたオイル型洗浄料が得られる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、炭酸ジエステルを10〜70質量%含有していることを特徴としているが、炭酸ジエステルを含む総油剤量としては、80質量%以上含有していることが好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。さらに本発明の皮膚外用剤においては、非極性油は含有しない方が好ましい。これは、角栓の溶解作用が低下してしまうためである。ここで、本発明でいう極性油とは、水に不溶な油剤であって、その分子中にエーテル結合、エステル結合、アミド結合などの極性結合を有する油剤のことを指し、非極性油とは、炭化水素系の油剤、極性を有する置換基などを有しないシリコーン油などを指す。
【0016】
さらに本発明の皮膚外用剤は、水分量が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下あることが好ましい。このような、水分含有量が少ない製剤系として、均一なオイル型の製剤系であるオイル型洗浄料とすることにより、炭酸ジアルキルの加水分解による炭酸ガスの生成の心配がなく、水分含有量の多い乳化型の製剤系に対して、本発明のオイル型洗浄料の優位性がある。
【0017】
また、本発明のオイル型洗浄料においては、油剤相に溶解する非イオン性の界面活性剤を添加することにより、水での洗い流しが可能となり、より使用性が向上する。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、本発明の角栓溶解作用を妨害しない範囲で、化粧料などに使用可能な他の成分を含有させることが可能である。このような任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン、モノラウリン酸ジグリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリンジイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。
【0019】
本発明の皮膚外用剤は、前記の必須成分と任意成分とを常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚上の角栓、特に角栓のできやすい小鼻の周辺に重点的に使用するのが、好ましい使用形態である。
【0021】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0022】
イ)を混合し、60〜70℃で加温溶解し、これにロ)を混合後40℃に加温したものを添加し、撹拌して均一に溶解し、本発明のオイル型洗浄料を作製した。実施例1において、炭酸ジカプリリルをスクワランに置換したものを比較例1、2−エチルヘキサン酸−セチルに置換したものを比較例2,実施例1においてダイマージリノール酸ダイマージリノイルを2−エチルヘキサン酸−セチルに置換したものを比較例3とした。
【0023】
イ)
2−エチルヘキサン酸−セチル 5.29質量%
ダイマージリノール酸ダイマージリノイル 25.00質量%
(LUSPLAN DD−DA:日本精化社製)
セバシン酸ジイソプロピル 0.01質量%
N−ラウロイルサルコシンイソプロピル 1.00質量%
ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル 5.00質量%
炭酸ジカプリリル 55.80質量%
(セチオールCC:コグニス社製)
ビタミンE 0.10質量%
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO) 5.00質量%
ジグリセリンモノラウレート 2.00質量%
2−フェノキシエタノール 0.30質量%
ロ)
純水 0.50質量%
【0024】
<試験例1> 角栓除去試験
実施例1の洗浄料1、比較例1、比較例2、比較例3を用いて、角栓の除去試験を実施した。20名のパネラーを無作為に4群に分け、各群のパネラーには小鼻の右側部分に各サンプルを毎日、5日間連続で、通常の洗顔操作であるクレンジング、水性洗顔料での洗浄後に5分間使用して頂いた。その後、小鼻の左右部分に、シアノアクリレート系の瞬間接着剤を薄く付けた直径1cmのプラスチック板を押し当て、5秒後にはがした。プラスチック板上に5mm四方の部位を設定し、その中の角栓を数え、以下の式に基づき角栓の除去率を算出した。
角栓除去率(%)=(1−(処理部位の右側の角栓数/未処理の左側の角栓数))×100
【0025】
【表1】

【0026】
表1の結果より、本発明の実施例1のオイル型洗浄料1の角栓除去効果が高いことがわかった。炭酸ジカプリリルをスクワランに置換した比較例1,2−エチルヘキサン酸セチルに置換した比較例2では、角栓の除去効果が低下していることが判った。ダイマージリノール酸ダイマージリノイルを2−エチルヘキサン酸セチルに置換した比較例3では角栓の除去効果が若干低下した。これは、炭酸ジカプリリルとダイマージリノール酸ダイマージリノイルの相乗効果若しくはダイマージリノール酸ダイマージリノイルの増粘効果による付着性の向上によると考えられる。
【実施例2】
【0027】
以下に示す処方を60〜70℃で加温溶解し、本発明の皮膚外用剤オイル型洗浄剤を作製した。実施例2において、極性油剤である2−エチルヘキサン酸−セチルと増粘剤は、表2に示す割合で作製した。
2−エチルヘキサン酸−セチル ** 質量%
増粘剤 ** 質量%
セバシン酸ジイソプロピル 0.10質量%
N−ラウロイルサルコシンイソプロピル 1.00質量%
ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル 5.00質量%
炭酸ジカプリリル 50.00質量%
ビタミンE 0.10質量%
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO) 5.00質量%
ジグリセリンモノラウレート 2.00質量%
2−フェノキシエタノール 0.30質量%
【0028】
【表2】

【0029】
<試験例2>
実施例2の洗浄料2,洗浄料3,比較例5,比較例6,比較例7の各サンプルの20℃に於ける粘度を測定後、専門評価者5名による感触の評価を行った。感触評価は、適量を肌に塗布する時の感触を以下の評点で評価し、5名の平均を算出した。
軽い :4
やや軽い:3
やや重い:2
重い :1
その後、各サンプルを5℃に1週間放置し外観の性状を観察した。結果を表3に示す。
また、同一サンプルにて、試験例1と同様な角栓の除去試験を実施した結果も、表3に併せて示す。
【0030】
【表3】

【0031】
表3に示すとおりに、実施例2の洗浄料2,洗浄料3において、ダイマージリノール酸ダイマージリノイル(LUSPLAN DD−DA)は、適度な粘度を有する程度に添加しても、製剤の低温安定性が良く、感触的にも優れていた。デキストリンモノパルミチン酸、カルナウバロウ、PEG6000の様なバルキーな増粘剤は、感触的に重くなり、しかも製剤系の低温保存時の安定性が悪くなってしまった。角栓除去率においても、比較例5,6,7は若干洗浄料2,洗浄料3より低かった。また実施例2の結果より、ダイマージリノール酸ダイマージリノイルの添加効果が、10%含有では低下し始めていることが判った。
【実施例3】
【0032】
イ)
2−エチルヘキサン酸−セチル 36.09質量%
ダイマージリノール酸ダイマージリノイル 30.00質量%
(商品名LUSPLAN DD−DA:日本精化社製)
セバシン酸ジイソプロピル 0.01質量%
N−ラウロイルサルコシンイソプロピル 1.00質量%
ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル 5.00質量%
炭酸ジカプリリル 20.00質量%
(セチオールCC:コグニス社製)
ビタミンE 0.10質量%
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20EO) 5.00質量%
ジグリセリンモノラウレート 2.00質量%
2−フェノキシエタノール 0.30質量%
ロ)
純水 0.50質量%
【0033】
実施例3において、試験例1と同様な角栓除去効果を測定したところ、角栓除去率が41.5%であり、炭酸ジカプリリルの角栓除去効果がかなり低下していることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、角栓の除去効果に優れた皮膚外用剤に適用するのに有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)炭酸ジエステルと、B)ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体とを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】
炭酸ジエステル10〜70質量%、ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体5〜40質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
炭酸ジエステルが炭酸ジカプリリルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
ダイマー酸及び/又はダイマージオールのジエステル体が、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルであることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
炭酸ジエステルを含む極性油の含有量が80%以上であり、非極性油を含有しないことを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
オイル型の洗浄料であることを特徴とする請求項1〜5何れかに記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
クレンジング用であることを特徴とする請求項1〜6何れかに記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
角栓除去用であることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜7何れかに記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2007−119401(P2007−119401A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314129(P2005−314129)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】