説明

角質軟化剤

【課題】
古い角質が徐々に厚く蓄積され、肥厚化し硬くなってひび割れた踵等の角質を、無理なく取り除くことが可能であり、短期間で柔らかく滑らかな踵等に改善可能な角質軟化剤の提供を目的とする。
【解決手段】
α−アミノ酸と強酸の二価鉄塩を含む水溶液および、この水溶液を配合した外用剤や化粧品であって、皮膚が古く厚くなりひび割れのある踵に塗布することで、角質を軟化し滑らかに改善することができる角質軟化剤を提供する。α―アミノ酸としてグリシン、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、バリン、ヒスチジン及び、プロリンから選択される1種以上であり、強酸の第二鉄塩が塩化第二鉄である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角質軟化剤に関し、より詳しくは、α−アミノ酸と強酸の二価鉄塩を含む水溶液および、この水溶液を配合した化粧品や外用剤で、肥厚化し荒れた踵や肘等皮膚の角質を軟化し滑らかに改善することのできる角質軟化剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
角質は層となって表皮を覆い、皮膚で最も外側の最上層のケラチンというたんぱく質を主成分とし角質細胞とも呼ばれ、下から新しい細胞が出来てくるたびにアカとなって剥がれ落ちることで一定の厚みが保たれている。角質は細菌の侵入するのを防ぎ、皮膚の水分の喪失を防ぎ、外部からの刺激を和らげ、真皮や皮下組織を保護する役割を果たすが、このように、角質は表皮の細胞が角質細胞に変化する途中で、細胞核を失ったもので、踵や肘などの皮膚は角質化しやすく、足の踵の角質層は最も厚くなっている。踵は肥厚すると普通の生活環境でも水分保持が十分できずに、皮膚にひび割れが生じて痛くなったり、病原菌の侵入路となったりする。角質化した皮膚を除去するための方法として、入浴後に軽石などの用具でこすり取る物理的方法があるが、肌荒れ等皮膚疾病を引き起こし、さらなる悪化をもたらしている。
【0003】
尿素やサリチル酸などを含むクリームを塗り込み皮膚を軟化する化学的方法なども知られており、角化症などを改善する角質溶解剤として、尿素、ベンゾイルペルオキシド、イオウ、レゾルシン、α−ヒドキシ酸等を含むクリームなどが使用されてきたが十分な効果は得られなかった。また、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、尿素などを含有する含水系粘着性組成物を不織布に塗布した外用貼付剤(特許文献1)や、ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩、多価アルコール類、水、外部架橋剤、さらに角質軟化剤・細胞賦活成分・オイル成分などを含む化粧用ゲルシート(特許文献2)等肥厚化した角質層部位の皮膚に貼り付けて薬剤を浸透させる方法が知られ、また発酵乳エキスを有効成分として含有する肥厚化角質層柔軟化剤(特許文献3)などが知られているがいずれも、手間がかかる、または即効性に欠け、肥厚化した角質層部位を容易に軟化できなかった。また、α−オキシ酸と塩基性アミノ酸とを組み合わせたものも提案されているが(特許文献4)その皮膚柔軟化効果は十分に満足できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3042905号公報
【特許文献2】特開平11−228340号公報
【特許文献3】特開2002−241289号公報
【特許文献4】特公平3−30566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
古い角質が徐々に蓄積することで肥厚化し、ひび割れて皮膚トラブルを引き起こす可能性のある踵等の角質を、短期間で、柔らかで滑らかな角質に改善する効果をもつ角質軟化剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、次のような角質軟化剤を提供する。すなわち、本発明に係る角質軟化剤は、(1)α−アミノ酸と強酸の二価鉄塩を含む水溶液で、α−アミノ酸に対する強酸の第二鉄塩の配合比がモル比で0.05〜1.0であることを特徴とする角質軟化剤。
(2)α−アミノ酸がグリシン、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、バリン、ヒスチジン及び、プロリンから選択される1種以上であり、強酸の第二鉄塩が塩化第二鉄である(1)に記載の角質軟化剤。
(3)更に、水性成分、天然油脂、蝋、鉱物油、脂肪酸、アルコール、多価アルコール、及び脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする(1)乃至(2)に記載の角質軟化剤。
であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、古い角質が徐々に厚く蓄積され、肥厚化し硬くなってひび割れた踵等の角質を、軟化させて取り除くことが可能であり、短期間で柔らかく滑らかな踵等に改善可能な角質軟化剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。角質の一番下層のケラチノサイトからできたばかりの角質細胞は無構造なタンパクの固まりで、フィラグリンという基質タンパクにがっちりと固められた構造をしているが下層から上層へ移動してゆくに連れ、フィラグリンも、タンパク分解酵素により、しだいにアミノ酸にまで分解される。この分解されてできたアミノ酸は、角質が水と結合し、自身には柔らかさを、皮膚の表面には滑らかさを保つ為の重要な働きをするが、肥厚化した角質では、アミノ酸の含量は極めて少なく、普通の角質と違い水を吸わなくなる。
【0009】
本願発明のα−アミノ酸に強酸の第二鉄塩を加えると、赤褐色のα−アミノ酸の3価鉄化合物を含む溶液となる。α−アミノ酸の3価鉄化合物は肥厚化し固くひび割れした角質から侵入し、角質に付着し肥厚化した角質に保湿効果を与え、肥厚化し硬くなった角質を柔らかく滑らかくに改善して行き、ひび割れを消滅させる作用がある。柔らかく肥厚した角質は、爪等で容易に脱落させることも可能であり、肥厚化した角質を脱落させた後は、角膜層が少なくなり、弾力のある滑らかな角質に改善することが可能となる。
【0010】
本願発明のα−アミノ酸と強酸の第二鉄塩の混合比は、強酸の第二鉄塩が多すぎると、3価鉄イオンの黄色が皮膚に残ってしまい、強酸の第二鉄塩が少なすぎると角質軟化剤としての効果がなくなり、好ましい配合割合は、α−アミノ酸のモル数を1とした場合に、強酸の第二鉄塩をモル比で0.05〜1.0含有するのが好ましく、0.1〜0.7が更に好ましい。強酸の第二鉄塩の濃度が少ないと、角質軟化作用が弱く効果が期待できず、濃度が高すぎると、効果では大きな差はないが、3価鉄イオンの色が皮膚に残り好ましくない。使用可能な化粧料や外用剤の組成物中にα−アミノ酸の合計量を0.05〜10.0重量%程度含有させるのが好ましく、0.1〜5.0 重量%とするのがより好ましい。量を多過ぎて加えても、効果は変わらず、臭いもきつく、経済的でない。また少な過ぎると、所望の効果が得られない。
【0011】
本発明の角質軟化剤は、軟膏、鉱物油、クリーム、乳化液、分散液、パック剤等のような形態に含有させた場合、肥厚した角質部分に塗布する、又は張り付けて使用することにより、該角質を軟化する効果を有するものであり、基本的には上記のとおりα−アミノ酸と強酸の第二鉄塩を必須成分として含むものである。
【0012】
本発明の角質軟化剤は、本発明のα―アミノ酸と強酸の二価鉄塩を含む液体を第1剤として肥厚化し硬くなった角質に塗布した後、第2剤として、水性成分、天然油脂、蝋、鉱物油、脂肪酸、アルコール、多価アルコール、及び脂肪酸エステルから選択された少なくとも1種類の成分を含み、更に必要に応じ、本願発明には記載していないアミノ酸、金属セッケン、粉末成分、ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物、界面活性剤、およびビタミン剤、その他、植物由来の植物(生薬)、色剤、香料、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、あるいは紫外線防御剤、抗炎症剤などの薬剤を1種又は2種以上を混合した保湿性を有するクリーム状の外用剤や化粧品等を塗布するやり方や、又は、加温した本発明の第1剤を加温した第2剤の油性材料中に攪拌しながら加え、冷却した後に得られる液状、クリーム状や、ゲル状の加工品とした形態で提供することができる。化粧料や外用剤のpH値が低下するとともに、角質溶解作用が発揮され、古い角質が除去されるが、本発明のα−アミノ酸に強酸の第二価鉄塩を加えた液は酸性を示すので古い角質の除去に好ましい。また、このα−アミノ酸の3価鉄化合物には殺菌効果もある。ヒノキチオールやテルペン化合物等の抗菌作用をもつ成分を添加すれば、角質に存在する真菌や細菌などに対応することも可能である。
【0013】
水性成分としては、例えば水、低級アルコール(メタノール、エタノール、変性エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール)等が挙げられる。
【0014】
天然油脂として、ホホバ油、コメ胚芽油、アボガド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、深海鮫の肝油、牛脂、豚脂又はこれら油脂類の水素添加物(硬化油等)等が挙げられる。
【0015】
蝋として、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス、スクワレン、スクワラン、プリスタン等が挙げられる。
【0016】
鉱物油として、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス等が挙げられる。
【0017】
脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸等が挙げられる。
【0018】
アルコール類として、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコール等が挙げられる。
【0019】
多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール等が挙げられる。
【0020】
脂肪酸エステルとして、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
【0021】
金属セッケンとして、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等が挙げられる。
【0022】
粉末成分としては、溶融シリカ、シリコンパウダー、アクリル酸アルキルコポリマー、アルミニウム粉末、酸化チタン粉末、酸化亜鉛粉末、酸化鉄粉末、アクリル粉体、シリカビーズ、タルク、セリサイト等が挙げられる。
【0023】
ガム質、糖類又は水溶性高分子化合物として、アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシメチルキチン又はキトサン、エチレンオキサイド等のアルキレン(C2〜C4)オキサイドが付加されたヒドロキシアルキル(C2〜C4)キチン又はキトサン、低分子キチン又はキトサン、キトサン塩、硫酸化キチン又はキトサン、リン酸化キチン又はキトサン、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0024】
界面活性剤として、アニオン界面活性剤(アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤:カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤、エーテルエステル型非イオン界面活性剤、エステル型非イオン界面活性剤、ブロックポリマー型非イオン界面活性剤、含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等が挙げられる。
【0025】
ビタミンとして、ビタミンA群:レチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群:チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群:ビタミンC酸又はその誘導体、ビタミンD群:エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群:ビタミンE又はその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群:フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)、その他、必須脂肪酸(ビタミンF)、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロット酸、ビタミンP類(ルチン、エリオシトリン、ヘスペリジン)、ビタミンU等が挙げられる。
【0026】
その他、植物由来のエキスとして、アロエ、モモ葉、甘草の根等からの抽出エキス、海藻類、褐藻類、紅藻類、車軸藻類等や、動物系原料由来の添加物があげられ、必要に応じ添加しようとする製品種別、形態に応じて常法的に行われる加工を行い、各種の素材から任意に選択して供すれば良い。
【0027】
本発明の角質軟化剤は、特に制限はないが、例えば、軟膏、クリーム、乳化液、分散液、パック剤等の形態で使用することができる。また、本発明の外用剤は、医薬品、医薬部外品として用いられるほか、化粧水、乳液、クリーム、パック、皮膚洗浄料等の皮膚化粧料としても使用することもできる。
【0028】
本発明の角質軟化剤は、選択したα−アミノ酸を水に溶解し攪拌しながら、強酸の二価鉄塩の水溶液または粉末を加えることによって製造することが可能である。α−アミノ酸の合計モル数を1とした場合に、強酸の二価鉄塩として、例えば、塩化第二鉄を、0.05〜1.0モル、好ましくは、0.1〜0.7モル加えて溶解した水溶液、または、この水溶液を含む化粧品、外用剤等である。
【実施例1】
【0029】
300mlビーカーに水100mlを入れ無水塩化第二鉄16gを加え攪拌溶解後、グリセリン100mlを加えA液とする。
300mlビーカーに水100mlを入れグリシン15gを加え攪拌溶解後、グリセリン100mlを加えB液とする。
A液より10ml、B液より5ml採取し混合した液をC液とする。
両踵が肥厚化し、硬く荒れて、ひび割れも生じている4名の被験者で効果を確かめた。就寝前の入浴後、1人目の右踵にA液を、左踵にC液を塗布、2人目の右踵にB液を、左踵にC液を塗布、3人目の右踵にスキンクリーム(DK)[(角質柔軟クリーム)ハートランド社製、以下DKという]を塗りこみ、左踵にC液を塗布してからDKを塗りこみ、4人目の右踵にクレパールL[(10%尿素ローション)(大塚製薬工業製)]を塗布し、左踵はC液を塗り込んだ。被験者各自の両足を靴下で保護し、翌朝各自の踵を爪で押しながら左右踵の硬さの感触を調べた。0:硬さの変化なし、1:やや滑らかになった、2:少し柔らかく滑らかになった、3:柔らかく滑らかになった。
【0030】
被験者各自の右踵と左踵を比較した結果では、右踵より左踵の方が明らかに柔らかくなっているのを感じた。
【表1】



【実施例2】
【0031】
実施例1のB液のα−アミノ酸を以下の組成としてB−2〜B−4液を得た。
50mlビーカーに精製水10mlを入れグリシン0.2g、ヒスチジン0.3g、イソロイシン0.3g、を加え攪拌溶解しB−2液とする。
50mlビーカーに精製水10mlを入れグリシン0.8g、アラニン2.1g、セリン1.0g、システイン0.8gを加え攪拌溶解しB−3液とする。
50mlビーカーに精製水10mlを入れアラニン0.1g、ロイシン0.1g、バリン0.1g、プロリン0.1gを加え攪拌溶解しB−4液とする。
B−2〜B−4の各液にA液の5mlを加え、C−2〜C−4液を得た。
C−2〜C−4の液より各2mlを採り、各々DK98gに加え良く攪拌し、均一に混合し、D−2〜D−4のクリームを作製した。
【0032】
評価は、両踵の角質が肥厚化し白く荒れて硬く、ひび割れがある3名の被験者が、就寝前の入浴後に右の踵の肥厚化した部分に実施例2のD−2〜D−4のクリームを塗布後、左の踵の肥厚化した部分にDKを塗布し、被験者各自の両足を靴下で保護し、翌朝の左右の踵の状態につき、3名の被験者の意見を聞いたところ、右踵の方が明らかに柔らかく滑らかになっていう報告を受けた。3日間連続で同じように行った後の上記3名の被験者全員の右踵の角質はひび割れが直り柔らかく滑らかになった。それに対し左踵はまだ硬さが取れず、滑らかにはならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る角質軟化剤は、化粧品、外用剤等の分野で効果的に使用できるものである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−アミノ酸と強酸の二価鉄塩を含む水溶液で、α−アミノ酸に対する強酸の第二鉄塩の配合比がモル比で0.05〜1.0であることを特徴とする角質軟化剤。
【請求項2】
α−アミノ酸がグリシン、アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、バリン、ヒスチジン及び、プロリンから選択される1種以上であり、強酸の第二鉄塩が塩化第二鉄である請求項1に記載の角質軟化剤。
【請求項3】
更に、水性成分、天然油脂、蝋、鉱物油、脂肪酸、アルコール、多価アルコール、及び脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種以上を含む、請求項1乃至2に記載の角質軟化剤。

【公開番号】特開2010−241748(P2010−241748A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93486(P2009−93486)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(502248647)有限会社ユニレック (1)
【Fターム(参考)】